芥川賞のすべて・のようなもの
第107回
  • =受賞者=
  • 藤原智美
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Last Update[H26]2014/6/20

藤原智美
Fujiwara Tomomi
生没年月日【注】 昭和30年/1955年7月20日~
受賞年齢 36歳11ヵ月
経歴 福岡県福岡市生まれ。明治大学政治経済学部政治学科卒。高校時代より演劇に興味を持ち、大学在学中には劇団を結成。卒業後、フリーライターのかたわら創作を始める。
受賞歴・候補歴
  • 第107回芥川賞(平成4年/1992年上期)「運転士」
備考
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芥川賞 第107受賞  一覧へ

うんてんし
運転士」(『群像』平成4年/1992年5月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第47巻 第5号  別表記5月号
印刷/発行年月日 印刷 平成4年/1992年4月5日 発行 平成4年/1992年5月1日
発行者等 編集人 渡辺勝夫 発行人 徳島高義 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 356 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 88~133
(計46頁)
測定枚数 127
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書誌
>>平成4年/1992年8月・講談社刊『運転士』所収
>>『文藝春秋』平成4年/1992年9月号
>>平成7年/1995年8月・講談社/講談社文庫『運転士』所収
>>平成9年/1997年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『運転士』所収
>>平成14年/2002年6月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第16巻』所収
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候補者 藤原智美 男36歳
選考委員 評価 行数 評言
大庭みな子
女61歳
11 「運転士は女の入っている旅行鞄をいつも持ち歩いているが、〈鞄だ。いつも最後はあの鞄になってしまう。自分の頭の中を他人に覗かれでもしたら、どんなに嫌だろうな〉と感じている。現代の生活者には妙なリアリティがある。」
大江健三郎
男57歳
11 「文体はまだ揺れているし、未熟で月並な形容句を繰りだすことも気にかけない。ところが小説はしっかりと進行して、名前もない人物が切実な体温をつたえはじめるのだ。」「この伝統ある賞が、次はどの駅にとまるとも知れぬ、しかし馬力は確実な書き手に賭けることに賛成する。」
黒井千次
男60歳
20 「地下鉄の運転という仕事そのものを土台にして書かれている点が新鮮である。」「どこか切実で何やら滑稽でもある二十五歳の男の姿が、現代人の影絵のように見えて来る。地下世界への注目が、車輌運転という具体的な作業を手がかりにして結実し、いかにも新人らしい初々しい作品の誕生したことを喜びたい。」
河野多恵子
女66歳
19 「積極的にして、全く衒い心のない、すぐれた作品であった。」「この主人公には、往年の小説の人物のキャラクターとは異なるキャラクターが備わっている。このように抽象的に捉えられることで初めて表現され得る現代の新しい様ざまのキャラクターの存在を想像させられもした。現代短編小説の魅力の横溢する、充実した作品が受賞作に得られて幸いである。」
吉行淳之介
男68歳
23 「私にとって地下の隧道全部が官能のにおいを放ち、大きな事故の予感まで官能的で、そこが面白かった。この作品には、予想以上の票が集まった。」
古井由吉
男54歳
29 「(引用者注:「量子のベルカント」「樹木内侵入臨床士」と共に)従来の小説観からすれば無機的、あるいは非人格的にならざるを得ないと危惧されるような題材、環境、態度をあえてくぐろうとしている。」「無機的な整合の世界と、それで内面を支える人物へ綿密に付いて、それによって作品の情念のボルテージをじわじわと高めた、「運転士」のほうが(引用者注:「量子のベルカント」より)やはり一枚上か。」
日野啓三
男63歳
6 「最初から異例に高得点を得たことは、私には率直にいって意外だった。」「機械と人間の関係の感覚が私には古風に感じられる。機械と人間との身体的、神経的関係は、もっと妖しく微妙なものに変質しつつある気がする。」
田久保英夫
男64歳
28 「今日の小説表現の世界で、いささか間隙をつかれるような思いがした。」「彼(引用者注:主人公の運転士)が地上から地下へ光と闇の間を走行するうち、そうした具体そのものの生活が、しだいに奥行も拡がりもある抽象の気配を帯びてくる。これは現代小説の当面する写実と抽象との間に、今まであまり眼をむけなかったような橋を架ける試みだ。」「作家としてはまだ未知数で、冒険の気味はあるが、それでも芥川賞はこういう新人にふさわしい、と思う。」
丸谷才一
男66歳
25 「小説といふよりはむしろスケッチに近い作柄だが、これはこれでよい。」「まづ目につくものは、車輌といふ無機的なものを相手にしてゐるため、一体に鉱物的な材質感がつきまとふことである。しかし作品全体の肌合ひは冷たくない。実はこれが急所である。」「この主人公の名前は紹介されてゐない。その点では抽象的な人格である。しかし名前を知らないで、かへつてこの青年への親愛感が強まるのは、おもしろい工夫だつた。」
三浦哲郎
男61歳
15 「自分としては受賞作なしだが、もし藤原作品と多和田作品を強く推す委員がいたら、同調してもいいというつもりで選考会に出た。」「未知の世界がくわしく描かれているだけに、強い好奇心をもって面白く読んだ」「ただし、前半部分のところどころに〈 〉で挿入してある主人公の気取った感慨のいくつかは、なくもがなだろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年9月号)
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