芥川賞のすべて・のようなもの
第109回
  • =受賞者=
  • 吉目木晴彦
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Last Update[H26]2014/8/14

吉目木晴彦
Yoshimeki Haruhiko
生没年月日【注】 昭和32年/1957年2月25日~
受賞年齢 36歳4ヵ月
経歴 神奈川県小田原市生まれ。成蹊大学法学部法律学科卒。会社勤務のかたわら、群像新人文学賞優秀作にて作家デビュー。
受賞歴・候補歴
備考
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芥川賞 第109受賞  一覧へ

せきりょうこうや
寂寥郊野」(『群像』平成5年/1993年1月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第48巻 第1号  別表記1月特大号
印刷/発行年月日 印刷 平成4年/1992年12月5日 発行 平成5年/1993年1月1日
発行者等 編集人 渡辺勝夫 発行人 天野敬子 印刷人 藤田弘道 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 548 表記上の枚数 目次 180枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 190~253
(計64頁)
測定枚数 177
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書誌
>>平成5年/1993年5月・講談社刊『寂寥郊野』所収
>>『文藝春秋』平成5年/1993年9月号
>>平成10年/1998年3月・講談社/講談社文庫『寂寥郊野』所収
>>平成14年/2002年6月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第16巻』所収
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候補者 吉目木晴彦 男36歳
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎
男58歳
12 「文体も安定したこの作家の持味のままで――それだけに、新人らしい魅力に欠けるという声もあった――、着実な成果をあげている。とくにアメリカ人と結婚して老年をむかえた日本女性が、夫とも、また息子の嫁とも、じつにクッキリした対立をあらわす両シーンは、(引用者中略)個性確かな新人の出現といえよう。」
日野啓三
男64歳
30 「帰国子女と呼ばれる人たちの感性、性格のことを改めて考えた。」「外国で対等に、あるいは差別されながら育った。つらいことも少なくなかったであろう。そうして鍛えられたにちがいない性格の陰影のようなものが、彼の文章の隅々から感じられる。しかもこれまでそうした個人的な苦しみを直接に、彼は私小説的には語っていない。自国内だけの心情共同体のようなものから切れている。」
大庭みな子
女62歳
9 「アメリカならずとも、現代、大工業主義的な生き方をする国の寂寥感が伝わってくる。登場人物の間をわたる寒々とした寂しい風の音が聞こえる。」「現代文学の灯と言える作品であろう。」
古井由吉
男55歳
31 「今回はまっすぐに、(引用者中略)推すことができた。落着いた筆致である。」「主人公夫妻の、意志の人生が描かれている。このことは私にとって妙に新鮮だった。」「夫婦として、そして社会にたいしてもなかば、言語の疎通まで奪われかけている。しかしこの危機に瀕して、夫婦の意志の人生がいま一度、ぎりぎり追いつめられ、切りつめられ、ほとんど意味を失いつつある境で、くっきりと表われる。そこがこの小説の魅力であろうと思われる。」
吉行淳之介
男69歳
24 「私はその両方(引用者注:最後に残った「寂寥郊野」と「穀雨」)にマルを付けていた。」「今回の候補作はみな長く、苦痛をあたえるものもあったが、「寂寥郊野」は無駄に長くはなかった。」「アルツハイマーの進行とともに、幸恵が日本語で喋っていたりするあたり、悲痛である。二、三の疑問点が残ったが、この作品は芥川賞受賞作として、出色のものとおもった。」
田久保英夫
男65歳
13 「終章近くでは、妻が「回復するために力を尽くすのが、何にも増して値打ちのあることだとまでは思わないわね」と言うほど、人間の意識へのぎりぎりの問いが、発せられている。私は当選が出れば、この作しかないと思ったが、資料や取材を駆使する表現方法のせいか、人物たちと作者の間に、一抹の隙間風があるようで、疑問も残った。」
黒井千次
男61歳
25 「アメリカを舞台とし、アメリカの男性と結婚した日本人女性を描く新人の小説はこれまで幾度か読んで来たが、(引用者中略)その中でも際立った作品であるといえよう。」「作品の構成がしっかりとして人物の輪郭が鮮やかであるために、あたかも家庭劇のステージに接しているかの感がある。」「アメリカが捉えられると同時に、日本の影も刻まれている、静かな奥行きを持つ小説である。」
河野多恵子
女67歳
31 「推した。」「この作品は老人問題小説でも、老人小説でもない。」「描かれているのは、まさしく、あるカップルの――それも豊かな物語の印象が強い。その夫、その妻をはじめ作中人物のそれぞれに人間としての誇りを見出しているからである。つまり、人物を人格において捉えて、みごとに成功している。」「すぐれた前衛作品が出現した。」
丸谷才一
男67歳
26 「いちおう恰好がついてゐるし、手堅く書いてある。」「好感を持たれるのは当然だが、しかしわたしはむしろそこに不満を感じた。色調が全体にくすんでゐて、派手なところがまるでないのである。」「全体が論理的に組立てられてゐるのはいいけれど、その論理が展開してゆかない感じなのも気に入らなかった。」「しかし六篇の候補作中、一つだけ抜きんでた作品であるし(引用者中略)有望な新人だと思ふので、受賞には反対しなかつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成5年/1993年9月号)
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