芥川賞のすべて・のようなもの
第120回
  • =受賞者=
  • 平野啓一郎
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Last Update[H27]2015/5/10

平野啓一郎
Hirano Keiichiro
生没年月日【注】 昭和50年/1975年6月22日~
受賞年齢 23歳6ヵ月
経歴 愛知県蒲郡市生まれ、福岡県北九州市育ち。京都大学法学部卒。大学在学中に作家デビュー。
受賞歴・候補歴
備考
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芥川賞 第120受賞  一覧へ

にっしょく
日蝕」(『新潮』平成10年/1998年8月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「THE SHINCHO^」併記
巻号 第95巻 第8号  別表記8月号/1123号
印刷/発行年月日 発行 平成10年/1998年8月1日
発行者等 編集兼発行者 前田速夫 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 356 表記上の枚数 表紙・目次 250枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 6~89
(計84頁)
測定枚数 254
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書誌
>>平成10年/1998年10月・新潮社刊『日蝕』
>>『文藝春秋』平成11年/1999年3月号
>>平成14年/2002年2月・新潮社/新潮文庫『日蝕』
>>平成14年/2002年10月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第18巻』所収
>>平成23年/2011年1月・新潮社/新潮文庫『日蝕・一月物語』所収
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候補者 平野啓一郎 男23歳
選考委員 評価 行数 評言
河野多恵子
女72歳
33 「私はこの作品の新仮名遣に、作者が語っている理由ある選択以上の取得、つまり効果を感じる。」「「日蝕」の創作動機は、奇跡との遭遇願望である。とはいえ、主人公の学僧は、作者の分身ではない。」「学僧は、海苔を干す時に使われる小簾のようなもので、干し上がれば用のないものである。」「主人公の学僧を無性格な人物たらしめてあるのは、大きな取得になっている。」「私はこの作品に作者の志の高さを見たので、それに賭けるつもりで推した。」
古井由吉
男61歳
33 「なぜこのような文章を、二十歳と少々の青年が書くに至ったか、また書き得たか、その訝りにたいする解答を、読者はしばらく留保したほうがよいと思われる。」「無論、擬体である。仮構である。小説である。ただ、西洋伝来の近代小説の、源のひとつの、その境まで振り戻して、新たに始めるという冒険である。」「私などは感嘆以前に、投げあげた試みがさほどの揺らぎもなく、伸びやかな抛物線を描くのを、唖然として眺めた。」
日野啓三
男69歳
37 「近代小説の正統(ルビ:オーソドックス)の道に自覚的に立とうとする作品として、(引用者中略)推す。気分的でしかない非現実感や自閉や破壊衝動や終末待望の単調な表白に、私は飽き始めている。」「意識的な書き言葉の格調を、最後まで担い通したのは見事である。」「矛盾した記述は矛盾のままに、「両性具有者(ルビ:アンドロギュノス)は私自身であったのかも知れない」という主人公の魂の統合体験を、私は共感することができた。」
石原慎太郎
男66歳
26 「いろいろ基本的な疑義を感じぬ訳にはいかない。」「この衒学趣味といい、たいそうな擬古文といい、果たしてこうした手法を用いなければ現代文学は蘇生し得ないのだろうか。私は決してそうは思わない。」「浅薄なコマーシャリズムがこの作者を三島由紀夫の再来などと呼ばわるのは止めておいた方がいい。三島氏がこの作者と同じ年齢で書いた「仮面の告白」の冒頭の数行からしての、あの強烈な官能的予感はこの作品が決して備えぬものでしかない。」
宮本輝
男51歳
18 「小説の後半からの破綻、手の込みすぎた文章。全体に漂う妙な驕り。それらはみな鼻持ちならないのだが、ことごとくが既製品の範疇から出て手脚を延ばしている。」「この若い作者が内に秘めているものは、出たとこ勝負の腕力ではない。将来に大きな楽しみをかかえた強くて豊かな膂力であって、私にも幾つかの不満はありながらも芥川賞に推さざるを得なかった。」
田久保英夫
男70歳
15 「文章の様式に、積極果敢な試みを感じた。」「この十五世紀のフランスの修道士を中心に、異端審問や錬金術を描いた作品には妙に適合した力を持っている。」「男女の肉のすべてを象徴的に結集した存在を火刑にする光景で、一瞬、至高の極を開示して見せる。まことに若々しい野心と膂力と言えよう。いくつか懸念もあるが、今回この作品がず抜けていた。」
三浦哲郎
男67歳
22 「この作者の該博ぶりと明晰な文章を駆使する力量は、確かに瞠目に値する。それを充分認めた上でいうのだが、作者は、ここにちりばめてあるペダントリーとも思われかねない用語の力を頼ることなしに、それらを強引に押しつけるのではなしに、自分の意図するところを読む者へそっくり正確に伝えられるような独自の表現方法を考慮するべきではなかったろうか。」
黒井千次
男66歳
18 「天井の高い建造物に踏み入ったかのような印象を受けた。作品の構えの大きさと思考の奥行きとが生んだ印象であったろう。」「精神と物質との関係が激しく揺らいでいる今日、それを専ら精神の側から描こうとする若い人の小説は多いのだが、その主題を正面に据えたロマンの形で書かれる作品は稀である。」「ここに現出した世界の問題が現代に深く関るものであることに共感を覚える。」
池澤夏樹
男53歳
14 「知的に構築された小説としておもしろかった。もっとスマートな書きかたがあっただろうというのは若くない者の愚痴で、あちらこちら荒削りなのは一種の腕力の証明として好ましい。」「こういう座興的な議論の土台となる小説は、もちろん拍手と授賞に値する。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成11年/1999年3月号)
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