芥川賞のすべて・のようなもの
第133回
  • =受賞者=
  • 中村文則
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Last Update[H29]2017/10/29

中村文則
Nakamura Fuminori
生没年月日【注】 昭和52年/1977年9月2日~
受賞年齢 27歳10ヵ月
経歴 本名=軸見文則。愛知県東海市出身。福島大学行政社会学部卒。
受賞歴・候補歴
  • 第34回新潮新人賞[小説部門](平成14年/2002年)「銃」
  • |候補| 第128回芥川賞(平成14年/2002年下期)「銃」
  • |候補| 第129回芥川賞(平成15年/2003年上期)「遮光」
  • 第26回野間文芸新人賞(平成16年/2004年)『遮光』
  • |候補| 第18回三島由紀夫賞(平成16年/2004年度)「悪意の手記」
  • 第133回芥川賞(平成17年/2005年上期)「土の中の子供」
  • 愛知県芸術文化選奨文化賞(平成17年/2005年度)
  • 第4回大江健三郎賞(平成22年/2010年)『掏摸』
  • |候補| 第27回織田作之助賞(平成22年/2010年)『悪と仮面のルール』
  • David L. Goodis Award{デイヴィッド・グーディス賞/アメリカ}(平成26年/2014年)
  • |第10位| 第11回2014年本屋大賞(平成26年/2014年)『去年の冬、きみと別れ』
  • |候補| 第40回川端康成文学賞(平成26年/2014年)「糸杉」
  • |第9位| 第13回2016年本屋大賞(平成28年/2016年)『教団X』
  • 第26回Bunkamuraドゥマゴ文学賞(平成28年/2016年)『私の消滅』
備考
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芥川賞 第128回候補  一覧へ

じゅう
銃」(『新潮』平成14年/2002年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「The Shincho Monthly」併記
巻号 第99巻 第11号  別表記11月特大号/1174号
印刷/発行年月日 発行 平成14年/2002年11月1日
発行者等 編集兼発行者 前田速夫 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 388 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
28字
×27行
×2段
本文ページ 166~230
(計65頁)
測定枚数 234
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書誌
>>平成15年/2003年3月・新潮社刊『銃』
>>平成18年/2006年6月・新潮社/新潮文庫『銃』
>>平成24年/2012年7月・河出書房新社/河出文庫『銃』所収
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候補者 中村文則 男25歳
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男70歳
15 「翻訳調の文章が粗雑ではあるものの、拳銃を拾った若者の心理の変化を追い続ける粘りに結末まで引きずられた。」「刑事の描き方など欠点はあるが、書きたいことが咽喉まで詰まっている切迫感は伝わって来る。受賞作としては推せなかったが今後への手応えを覚えた。」
三浦哲郎
男71歳
37 「読みはじめてすぐカミユの「異邦人」という小説の冒頭を思い出した。」「途中で全く別種の作品だと気づいたが、それでも最後まで読み通したのは、作者の強引ともいえる筆力とまだ残っていた胸のときめきに引かれてのことである。」「彼(引用者注:主人公)は、その拳銃と共に破滅の道を辿ることになるのだが、何よりの不満は、その破滅の過程がすべて読者の予想の域を出なかったことである。」
宮本輝
男55歳
21 「最後まで読ませる力を持っている。」「一丁の拳銃がひとりの青年の思考や行動を魔物のように支配していくという筋立(引用者中略)を中村氏独自の文学世界へと深めるには、銃を手にした主人公と、そうでないときの主人公とのあいだに、歴然とした断層が形成されなくてはならない。この作品にはそれがなかった。」
古井由吉
男65歳
52 「新人の力のこもった作であり、私は惹かれた」「意識の構築物と呼ぶべき作品である。主人公の意識と無意識との境まで分け入りはする。」「ある段階での意識が破れかかると、不可解な行動が表われて、次の段階へ移る。そうやって踏みあがっていく足取りは感じ取れる。」「しかし読み了えて、力作には感じるが、全体として同じ「騒動」の繰り返しであったような印象を否めないのはどうしたことか。」
高樹のぶ子
女56歳
22 「二作(引用者注:「しょっぱいドライブ」と「銃」)に○をつけた」「賛成票が集まれば、受賞作として推したいと思ったが、叶わなかった。これは銃に対する男の意識がテーマになっている。」「深読みすれば、核を持った人間の心理も想起させる。文章のドライブ感に才能を感じたのだが。」
石原慎太郎
男70歳
27 「候補作の中で唯一つ(引用者中略)最後まで面白く読んだ。」「非日常性の象徴ともいえる凶器によって主人公の生活に今まで存在しなかった、緊張と孤独さをともなった新しい生活のリズムのようなものが生まれてくる。」「ただ最後の、実際に電車の中で見知らぬ男を射殺してしまうエンディングはいかにも通俗、ありきたりでしかない。しかしこの作家の力量、というよりもそれ以前の、最後までドライブがかかり通すエネルギーは貴重」
河野多恵子
女76歳
13 「後半、殊に警察から調べにくるところから先になると、私は全く失望した。ただし、拾った拳銃――あるいは盗んだことになるかもしれない拳銃を身近かにもつようになってからの主人公の意識・気分のあれこれは鮮やかに伝わってきて、そこには作者の資質が感じられた。」
村上龍
男50歳
0  
池澤夏樹
男57歳
6 「銃というものを持つことによる偽の自信について普通に想像できる筋道をなぞっただけ。本当はこの先でもう一つ逸脱が欲しいのだ。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年3月号
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芥川賞 第129回候補  一覧へ

しゃこう
遮光」(『新潮』平成15年/2003年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「The Shincho Monthly」併記
巻号 第100巻 第6号  別表記6月号/1181号
印刷/発行年月日 発行 平成15年/2003年6月1日
発行者等 編集兼発行者 矢野 優 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 324 表記上の枚数 表紙・目次 180枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×26行
×2段
本文ページ 66~119
(計54頁)
測定枚数 180
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書誌
>>平成16年/2004年6月・新潮社刊『遮光』
>>平成23年/2011年1月・新潮社/新潮文庫『遮光』
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候補者 中村文則 男25歳
選考委員 評価 行数 評言
高樹のぶ子
女57歳
8 「前回の『銃』ほどには、瓶の中の小指が魅力的でなく、病的な狭い世界に頭をつっこんでしまった。病気というのは社会から認知された状態だから、本当に怖いものにはならないことを知っておくべきだ。」
石原慎太郎
男70歳
16 「安易な同工異曲で、前作の拳銃が女の遺体から切り取った指に変わっただけでしかない。」「野心あるべき新人が二つ続けてほとんど同じものを書いてみせるというのは、所詮志の問題というべきか。」
宮本輝
男56歳
0  
河野多恵子
女77歳
0  
古井由吉
男65歳
52 「意識を表現することは、無意識の境に踏みこむのに劣らず、厄介なことである。」「このような難儀な試みを敢えて構えて行なう若い意志を私は壮として、前回の「銃」にひきつづき、今回も銓衡会の評判の芳しくはなかった「遮光」を推した。」「前回と並行ではあるが、再挑戦と見た。」「前回より深みはまさっている。ただ何分にも、跳び越すべき、バーは高い。」「再々挑戦あり。」
山田詠美
女44歳
13 「一ページに〈私〉という主語が平均十五個。それが三人称のように使われていて心惹かれる。ただし最後が残念だ。遮光カーテン開けて主人公を、どん底に突き落としてやれば良かったのに。」
村上龍
男51歳
8 「今回の候補作の中でこの作品だけが、ある種の切実さを持っていた。だが切実さはあったが、その他の大切な要素がほとんどなかった。」
黒井千次
男71歳
2 「前作「銃」の暴発力が見られず、」
三浦哲郎
男72歳
5 「前作と同工異曲で構成上の無理が目立ち粗雑であった。」
池澤夏樹
男58歳
4 「前作と同じエゴセントリックな空回りで、他者の不在のために話に奥行きがでていない。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年9月号
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芥川賞 第133受賞  一覧へ

つち なか こども
土の 中の 子供」(『新潮』平成17年/2005年4月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「今年101年目の文芸誌」「THE SHINCHO MONTHLY」併記
巻号 第102巻 第4号  別表記4月号/1203号
印刷/発行年月日 発行 平成17年/2005年4月1日
発行者等 編集兼発行者 矢野 優 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 292 表記上の枚数 表紙・目次 130枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×24行
×2段
本文ページ 6~48
(計43頁)
測定枚数 132
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書誌
>>平成17年/2005年7月・新潮社刊『土の中の子供』所収
>>『文藝春秋』平成17年/2005年9月号
>>平成20年/2008年1月・新潮社/新潮文庫『土の中の子供』所収
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候補者 中村文則 男27歳
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男73歳
24 「受賞作として推すことが出来ると思ったのは、(引用者中略)「土の中の子供」だけであった。」「〈この先にある〉何か、を懸命に追い求める男の意識が執拗に辿られている。」「ここに見られるのは原因と結果との単なる対応ではなく、より意志的な、過去の確認と現在の模索の営為ではなかろうか。それが仄かな明るみを生み出して作品が結ばれるところに共感する。」
石原慎太郎
男72歳
57 「以前の二つの候補作のように、(引用者中略)象徴的でありながら現実的な物体を媒体としての暴力への傾斜という仕組みの方が、むしろ自然な物語として読めたと思う。」「(引用者注:今回の作品のように)背景に主人公の幼い頃からの被虐待という経験がもたらしたトラウマが在る、ということになると話がいかにもわかり過ぎて作品が薄くなることは否めない。」「観念としてではなしに、何か直裁なメタファを設定することでこの作者には将来、人間の暗部を探る独自の作品の造形が可能だと期待している。」
山田詠美
女46歳
6 「不感症の原因が死産。いかにも若い男子が考えそうなことですな。」「でも、小説を構築しようとしている作品はこれだけ。」
村上龍
男53歳
42 「虐待を受けた人の現実をリアルに描くのは簡単ではない。」「他人には理解しがたいものであり、本人も理解できていない場合も多い。」「『土の中の子供』は、そういう文学的な「畏れ」と「困難さ」を無視して書かれている。深刻さを単になぞったもので、痛みも怖さもない。そういう作品の受賞は、虐待やトラウマやPTSDの現実をさらにワイドショー的に陳腐化するという負の側面もあり、わたしは反対した。」
河野多恵子
女79歳
10 「今回の候補作でも暴力を、今度はネガティブの象(ルビ:かたち)で書いているが、非常に難しいことではあるにしても、人間の内部に確実に触れるには到っていない。とはいえ、物や小生物などを落下させるくだり、さらに自分を落下させた場合も想像の表現は、尋常ならぬ見事なものだ。」
宮本輝
男58歳
25 「前作、前々作と比して(引用者中略)語彙のひろがりを感じたが、幼児期に養父母によってひどい虐待を受けつづけた過去を持つ青年の内面に筆が届いているとは思えなかった。」「リスクを負っている素材であることを中村氏がどこまで自覚しているか、私にはどうもこころもとなくて、(引用者中略)推す委員の意見に賛同しづらかったが、二十七歳という若さと今後の可能性を買うことにした。」
池澤夏樹
男60歳
16 「前二作に比して小説としての体裁がずっとよくなったとは思った。ただ、この作も骨格は要するに自問自答なのだ。対話があるとすれば相手は過去の自分であり、その周辺にエピソードが並べられるという構図で、ここには真の他者がいない。」
高樹のぶ子
女59歳
18 「運命的で理不尽な暴力の被害者が、暴力で応報せず、自らの恐怖の感覚を克服することで生きのびようとする観念小説だ。」「地表があちこちで動いているとき、深い岩盤にまで人間探求の杭を打ち込もうとする試みは、その重さと不自由さゆえ反時代的に見える。しかしそのような小説はちょっと前にも、その昔にも、さらにその昔にもあった。ならばこの先にもあり得るはずだ。」
選評出典:『文藝春秋』平成17年/2005年9月号
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