芥川賞のすべて・のようなもの
第157回
  • =受賞者=
  • 沼田真佑
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Last Update[H29]2017/8/15

沼田真佑
Numata Shinsuke
生没年月日【注】 昭和53年/1978年10月30日~
受賞年齢 38歳8ヵ月
経歴 北海道小樽市生まれ。西南学院大学卒。平成29年/2017年「影裏」で第122回文學界新人賞を受賞。
受賞歴・候補歴
備考
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芥川賞 第157受賞  一覧へ

えいり
影裏」(『文學界』平成29年/2017年5月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「bungakukai」併記
巻号 第71巻 第5号  別表記5月号
作品名 別表記 表紙・目次・本文 ルビ有り「えいり」
印刷/発行年月日 発売 平成29年/2017年4月7日 発行 平成29年/2017年5月1日
発行者等 編集人 武藤 旬 発行人 吉安 章 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社 DTP制作 株式会社ローヤル企画
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 312 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 9~37
(計29頁)
測定枚数 93
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書誌
>>平成29年/2017年7月・文藝春秋刊『影裏』
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候補者 沼田真佑 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
山田詠美
女58歳
17 「まるで、きらきらと輝く接着剤のような言葉で小説をまとめ上げて行く。うまいなー。日浅のお父さん、相当息子を愛しているね。背徳的な意味で。」
吉田修一
男48歳
48 「そもそもこの日浅という男は、それがどういう種類のものごとであれ、何か大きなものの崩壊に脆く感動しやすくできていた。」「受賞作の美点を一つ挙げろと言われれば、まずこの一文を挙げる。」「実際、ほのめかし小説であると私も思う。ただ、このほのめかしは、マイノリティである主人公の余裕から出るものではなく、余裕などからは程遠い、そのギリギリのところで絞り出された勇気から出たものと読んだ。」
村上龍
男65歳
60 「上質な作品だったが、わたしは推さなかった。作者の描写力は新人の域を超えている。」「推さなかったのは、「作者が伝えようとしたこと」を「発見」できなかったという理由だけで、それ以外にはない。」「わたしは「これで、このあと東日本大震災が出てきたら困るな」と思った。やがて「日浅」は行方不明となる。主人公は、大津波を見ても逃げることなく、目をそらすこともなく呑み込まれる「日浅」をイメージする。「巨大なものの崩壊に陶酔しがちな傾向」がある「日浅」にぴったりの情景であり、おそらくこの作品の通奏低音が「崩壊」であることが鮮明になる。だが、わたしには驚きはまったくなかった。」
奥泉光
男61歳
17 「どこかハードボイルドふうの味わいのある作品で、描写に安定があって、なるほど気持ちよく読めた。が、短い。これは序章であって、ここから日浅と云う謎の男を追う主人公の物語がはじまるのでないかとの印象を持った。」
宮本輝
男70歳
36 「たしかに今回の四人の候補者のなかではいちばんうまい。だが、芥川賞において「うまい」という美点はさして重要ではない。」「後半、意味ありげなメタファとして禅の言葉が出て来る。「電光影裏に春風を斬る」。」「題の「影裏」もこの意味のよくわからない蒟蒻問答のような言葉から取られている。」「ならば、この言葉をもっと深い部分からえぐり出して、読者に投げかけるべきだ。あえて書かないというカモフラージュをして、うまく逃げたなという気がしたので、私は授賞に賛成しなかった。」
高樹のぶ子
女71歳
31 「何かをきっかけに表層の覆いが剥ぎ取られて邪悪な内面が剥き出しになるのは、大自然も人間も同じで、東北大震災はこのように、人間内部の崩壊と呼応させて書かれる運命にあった。」「鎮まったかに見える厄災だが、津波で死んだと思われる悪性な息子を父は、息子なら死んではいませんよ、と不気味に言い放つ。雌伏する邪悪な力はいつ息を吹き返すかも知れず、これは美しくもおぞましい、予言に満ちた秀作だ。」
小川洋子
女55歳
38 「(引用者注:「星の子」と共に)推した。(引用者中略)どちらも、いかに書かないで書くか、という根源的な問いをはらんでいて興味深かった。」「沼田さんは、主人公が言葉の届かない場所へ向かおうとしているのを自覚し、無言の足跡にひたすら視線を注いでいる。」「(引用者注:登場人物たちの)誰もがぽつん、ぽつんとその場に取り残され、立ち往生している。ここに立ち込める、救われようのない濃密な孤独の前で、言葉は無力だ。」
堀江敏幸
男53歳
23 「故意の言い落としで語りのバランスが崩れるのを承知で、よく計算されて書かれた一作だ。」「日浅という男の謎は、「わたし」が押し隠している崩れの予感のあらわれだろう。」「あちこちに顔を出す亀裂を私は好意的に捉えた。」
川上弘美
女59歳
22 「作者は、小説を読む時の快楽をわかっている、と感じました。なぜなら、この小説の中には、その快楽がたしかにあるからです。」「この作者は、どのくらい意識して書いているのだろう。たぶん、大いに意識しているのではないか。苦しいことです。その苦しさに、どのくらい耐えられるのかを、次の小説まで待ってから見てもいいのではないかと思い、今回わたしはこの作品を第一には推さず、次点としました。」
島田雅彦
男56歳
18 「田舎での偏見を警戒してもいるのだろう、語り手は慎重にコトバを選びながら、自身の中に芽生えた志向と向き合っている。さらに震災経験がその中に織り込まれ、あの日を境に変わってしまった世界の心象を繊細に掬い上げることに成功している。」
選評出典:『文藝春秋』平成29年/2017年9月号
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