芥川賞のすべて・のようなもの
第26回
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堀田善衛
Hotta Yoshie
生没年月日【注】 大正7年/1918年7月17日~平成10年/1998年9月5日
受賞年齢 33歳6ヵ月
経歴 富山県高岡市生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒。太平洋戦争後、世界日報社、読売新聞社を経て作家生活に入る。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第23回芥川賞(昭和25年/1950年上期)「祖国喪失」
  • |候補| 第2回戦後文学賞(昭和25年/1950年度)「祖国喪失」「捜索」
  • |候補| 第25回芥川賞(昭和26年/1951年上期)「歯車」
  • 第26回芥川賞(昭和26年/1951年下期)「広場の孤独」「漢奸」
  • |候補| 第2回新潮社文学賞(昭和30年/1955年)『時間』『夜の森』
  • 日本文化人会議平和文化賞(昭和31年/1956年)
  • |候補| 第13回読売文学賞[小説賞](昭和36年/1961年)『海鳴りの底から』
  • |候補| 第20回読売文学賞[小説賞](昭和43年/1968年)『若き日の詩人たちの肖像』
  • 第25回毎日出版文化賞(昭和46年/1971年)『方丈記私記』
  • 第4回大佛次郎賞(昭和52年/1977年)『ゴヤ』全4巻
  • 賢王アルフォンソ十世十字章{スペイン}(昭和54年/1979年)
  • ロータス賞{アジア・アフリカ作家会議}(昭和54年/1979年)
  • 第7回和辻哲郎文化賞[一般部門](平成6年/1994年)『ミシェル城館の人』全3巻
  • 朝日賞(平成6年/1994年度)"人間と芸術を時空をこえて凝視した、長年の文学的業績"
  • 第54回日本藝術院賞[文芸](平成9年/1997年度)"作家としての業績"
個人全集 『堀田善衛全集』全16巻(昭和49年/1974年6月~昭和50年/1975年9月・筑摩書房刊)
『堀田善衛全集』全16巻(平成5年/1993年5月~平成6年/1994年8月・筑摩書房刊)
備考
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芥川賞 第23回候補  一覧へ

そこくそうしつ
祖国喪失」(『群像』昭和25年/1950年5月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」
巻号 第5巻 第5号  別表記5月号
作品名 別表記 國喪失」
印刷/発行年月日 印刷 昭和25年/1950年4月20日 発行 昭和25年/1950年5月1日
発行者等 編集兼発行人 高橋次 印刷人 大橋芳雄 印刷所 共同印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社大日本雄辯會講談社(東京都)
総ページ数 184 表記上の枚数 表紙・目次 104枚 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×25行
×2段
本文ページ 92~120
(計29頁)
測定枚数 106
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>昭和27年/1952年5月・文藝春秋新社刊『祖国喪失』所収
>>昭和28年/1953年☆月・筑摩書房/現代日本名作選『広場の孤独・祖国喪失』所収
>>昭和31年/1956年☆月・角川書店/角川文庫『祖国喪失』所収
>>昭和49年/1974年6月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1』所収
>>平成5年/1993年5月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1 詩・広場の孤独他』所収
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候補者 堀田善衛 男32歳
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男56歳
0  
石川達三
男45歳
7 「相当いいものだと私は思っていたが、こういう作品のもつ一種の臭いと、それらの類型とが選者たちの鼻につくのであろうか、これを推挙する人は意外に少なかった。前半にかなり退屈なところはあるが、書ける人だと思う。」
舟橋聖一
男45歳
2  
丹羽文雄
男45歳
2 「推す人もあったが、読んでから一週間経った今は、私の頭には何も残っていない。」
坂口安吾
男43歳
0  
宇野浩二
男59歳
1  
川端康成
男51歳
0  
岸田國士
男59歳
0  
佐藤春夫
男58歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和25年/1950年10月号)
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芥川賞 第25回候補  一覧へ

はぐるま
歯車」(『文學51』昭和26年/1951年5月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學51」
巻号 第1巻 第1号  別表記創刊号/5月号
作品名 別表記 「齒車」
印刷/発行年月日 印刷 昭和26年/1951年4月25日 発行 昭和26年/1951年5月1日
発行者等 編集人 文學51の會 大草 實 発行人 笠倉寧之 印刷人 淺野 剛 印刷所 株式会社金羊社(東京都)
発行所 株式会社日本社(東京都)
総ページ数 140 表記上の枚数 目次 140枚 基本の文字組
(1ページ当り)
30字
×25行
×2段
本文ページ 82~122
(計41頁)
測定枚数 146
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書誌
>>昭和26年/1951年11月・中央公論社刊『広場の孤独』所収
>>昭和28年/1953年☆月・河出書房刊『新文学全集 堀田善衛集』所収
>>昭和30年/1955年7月・光文社/カッパ・ブックス『戦後十年名作選集 第7集』所収
>>昭和40年/1965年5月・講談社刊『日本現代文学全集99 野間宏・堀田善衛集』所収
>>昭和43年/1968年3月・筑摩書房刊『現代文学大系61 堀田善衛・阿川弘之・遠藤周作・大江健三郎集』所収
>>昭和43年/1968年11月・集英社刊『日本文学全集84 埴谷雄高・堀田善衛集』所収
>>昭和46年/1971年12月・毎日新聞社刊『戦争文学全集4』所収
>>昭和47年/1972年7月・筑摩書房刊『現代日本文学大系87 堀田善衛・遠藤周作・井上光晴集』所収
>>昭和47年/1972年11月・集英社刊『日本文学全集84 埴谷雄高・堀田善衛』[豪華版]所収
>>昭和48年/1973年11月・講談社刊『現代の文学14 堀田善衛』所収
>>昭和49年/1974年6月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1』所収
>>昭和55年/1980年5月・講談社刊『日本現代文学全集99 野間宏・堀田善衛集』[増補改訂版]所収
>>平成5年/1993年5月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1 詩・広場の孤独他』所収
>>平成15年/2003年1月・講談社/講談社文芸文庫『歯車・至福千年―堀田善衛作品集』所収
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候補者 堀田善衛 男33歳
選考委員 評価 行数 評言
丹羽文雄
男46歳
8 「「蒼氓」にくらべて、果してどれほどの相違があるだろうか。「歯車」の方が巧緻である。」「「祖国喪失」と同工異曲のこの作品は、武田泰淳の作があるので、大変に損をしている。どうしてもあれを思い出す。」
佐藤春夫
男59歳
4 「力作でもあり読後の感銘は深かったが通読するのには骨が折れた。書き出しとおしまいの部分の外は作者が話にひきずられて、まるで書けていなかったからである。」
瀧井孝作
男57歳
9 「米国のジャン・ワ゛ルチンの「夜をのがれて」という小説と似た所があって、私は、この「夜をのがれて」の方が数等面白いので、「歯車」はその亜流だと思いました。尚、ついでに、この作家は、これまで幾つも出していますが、題材の新奇のわりに、筆が弱いようで、筆致が平凡のようで、この「歯車」も筆力不足」
岸田國士
男60歳
0  
舟橋聖一
男46歳
3 「当選作品との懸隔はごく少い。」「次ぎ次ぎと逞しく書いている。」
川端康成
男52歳
14 「私は推薦したかった。」「堀田氏や安部氏のような作家が出て「歯車」や「壁」のような作品の現われることに、私は今日の必然を感じ、その意味での興味を持つからである。」「最近の飜訳小説の幾つかを連想させ、比較もされて、それが賞を逸する原因の一つともなった。」
宇野浩二
男60歳
2  
坂口安吾
男44歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和26年/1951年10月号)
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芥川賞 第26受賞  一覧へ

ひろば こどく
広場の 孤独」(『中央公論文藝特集』9号[昭和26年/1951年9月])
媒体・作品情報
誌名 「中央公論文藝特集」
巻号 第9号
作品名 別表記 「廣場の孤獨」
発行者等 編集者 嶋中鵬二 発行者 栗本和夫 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 中央公論社(東京都)
総ページ数 228 表記上の枚数 目次 200枚 基本の文字組
(1ページ当り)
30字
×24行
×2段
本文ページ 172~228
(計57頁)
測定枚数 192
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書誌
>>昭和26年/1951年11月・中央公論社刊『広場の孤独』所収
>>『文藝春秋』昭和27年/1952年3月号
>>昭和27年/1952年4月・大日本雄弁会講談社刊『創作代表選集 第9巻 昭和26年後期』所収
>>昭和28年/1953年☆月・河出書房刊『新文学全集 堀田善衛集』所収
>>昭和28年/1953年☆月・筑摩書房/現代日本名作選『広場の孤独・祖国喪失』所収
>>昭和28年/1953年☆月・新潮社/新潮文庫『広場の孤独』所収
>>昭和31年/1956年10月・修道社刊『芥川賞作品集 第1巻』所収
>>昭和31年/1956年11月・長嶋書房刊『戦後芥川賞作品集 II』所収
>>昭和33年/1958年12月・筑摩書房刊『新選現代日本文学全集30 堀田善衛集』所収
>>昭和37年/1962年11月・新潮社刊『日本文学全集67 堀田善衛集』所収
>>昭和38年/1963年☆月・集英社刊『新日本文学全集 第30 堀田善衛集』所収
>>昭和38年/1963年10月・現代芸術社刊『芥川賞作品全集 第3巻』所収
>>昭和39年/1964年☆月・学習研究社/ガッケン・ブックス『日本青春文学名作選14』所収
>>昭和40年/1965年5月・講談社刊『日本現代文学全集99 野間宏・堀田善衛集』所収
>>昭和42年/1967年5月・講談社刊『われらの文学9 堀田善衛・深沢七郎』所収
>>昭和43年/1968年11月・中央公論社刊『日本の文学73 堀田善衛・安部公房・島尾敏雄』所収
>>昭和43年/1968年11月・集英社刊『日本文学全集84 埴谷雄高・堀田善衛集』所収
>>昭和43年/1968年3月・筑摩書房刊『現代文学大系61 堀田善衛・阿川弘之・遠藤周作・大江健三郎集』所収
>>昭和46年/1971年☆月・河出書房新社刊『日本文学全集49 中村真一郎・福永武彦・堀田善衛』[カラー版]所収
>>昭和46年/1971年7月・新潮社刊『新潮日本文学47 堀田善衛集』所収
>>昭和47年/1972年7月・筑摩書房刊『現代日本文学大系87 堀田善衛・遠藤周作・井上光晴集』所収
>>昭和47年/1972年11月・集英社刊『日本文学全集84 埴谷雄高・堀田善衛』[豪華版]所収
>>昭和48年/1973年☆月・中央公論社刊『日本の文学73 堀田善衛・安部公房・島尾敏雄』[アイボリーバックス]所収
>>昭和49年/1974年6月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1』所収
>>昭和55年/1980年5月・講談社刊『日本現代文学全集99 野間宏・堀田善衛集』[増補改訂版]所収
>>昭和55年/1980年5月・新潮社刊『新潮現代文学29 堀田善衛』所収
>>昭和55年/1980年9月・成瀬書房刊『広場の孤独』所収
>>昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第4巻』所収
>>平成1年/1989年7月・小学館刊『昭和文学全集 第17巻 椎名麟三・平野謙・本多秋五・藤枝静男・木下順二・堀田善衛・寺田透』所収
>>平成5年/1993年5月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1 詩・広場の孤独他』所収
>>平成10年/1998年9月・集英社/集英社文庫『広場の孤独・漢奸』所収
>>平成24年/2012年10月・集英社刊『コレクション戦争と文学3 冷戦の時代:謀』所収
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候補者 堀田善衛 男33歳
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男59歳
39 「「広場の孤独」を読んで、今まで十年あまりの委員をつづけて来た自分の知っている芥川賞の水準から推しても他にこれだけの力量を持った人がもうひとり居るだろうとは思わなかった。」「この作者の時代感覚それを知性で捕捉しようと努力している点など表現力の不足を補うて余りあり、十分に賞に値するものと思う。」「堀田は既に文壇の表面に出ているのだから新作家を発見するという芥川賞最初の意図から云えば少し出しおくれの気味が無いでもないが、野に遺賢無き今日の状情ではこれ位進出している新進に声援を送るのも無意義ではあるまい。」
瀧井孝作
男57歳
29 「「広場の孤独」は、苛立った風の、しかもテンポの早い風の、独自風の、この文体が、錯雑した国際間の軋轢に混迷した人々の描かれた、この題材に、ぴったりした所があって、今度は題材と文体とが一致したようで、これは佳いと思いました。それで今回は「広場の孤独」を推薦しました。「漢奸」と云うのは、分りやすく行届いた筆だが、作者の心持に余裕がありすぎて、これも、切迫した題材に比べて、文体が生温くて、一致しないようで、物足りないと思いました。」
丹羽文雄
男47歳
11 「「広場の孤独」を第一に推していた。すでに単行本になっているので、発表に差支えがあるというのなら「漢奸」でもよいと。いずれにしても堀田君以外に今期の授賞者はないと考えた。」「大抵の候補者は二度つづくと三度目は現れなくなるものだが、堀田君は三度候補者として現れ、しかも今度がいちばんよかった。ということは、なみなみならぬ実力がある証拠だ。」
岸田國士
男61歳
23 「今度の銓衡では、出席者のほとんど全部が、この「広場の孤独」を第一に推し、私もやや意を強くすることができた。」「芥川賞の出しおくれという観もあるが、それは決して作者の不名誉にはならぬと思うから、遠慮に及ばぬであろう。」「アメリカの特派員も中国記者も墺国貴族と自称する国際ゴロもなかなかよく書けている。上海の異国的雰囲気は、これはちょっと誰にでも難物だが、現在の東京の植民地風景は、却って作者の筆力にふさわしく、むしろ、作者に最も近いと思われる人物の輪廓が浮き出て来ない憾みがあるだけである。」
坂口安吾
男45歳
16 「私は感心しませんでした。」「文学はいつもただ「人間」の側に立つべきで、特定の誰の側に立つべき物でもありません。」「また「ドラマ性の欠如」という点も挙げられます。」「広場の孤独なぞという説明も、血の通ったところのない空々しいものとしか受けとれませんでした。」
石川達三
男46歳
22 「「広場の孤独」が他にくらべて一段とすぐれている。これにきまったのは妥当でもあり、有意義だったと思っている。」「他の候補作にくらべて、格段に新しい。それが小手先の技巧的な新しさでなく、時代を感ずる皮膚の鋭敏さであることを私は良いと思った。」「坂口君の反対意見は少し意地わるな批評のように私は思った。」「「広場の孤独」は描写を出て自己の表現をもっている。私はこの点を強く支持する。」
舟橋聖一
男47歳
14 「「広場の孤独」は、去年のベストスリーにあげる人さえあった程で、今更、芥川賞でもあるまいから、こんどは、吉行、澤野、阿川など、まだ名前の出ていない人の所へ授賞したいと思ったのである。」「今回の授賞は、事勿れに傾いたわけで、堀田の世評が定まっている以上、委員の心理には、何ンといっても、そこへお尻のもって行き場所があることを、大体、狙うともなく、狙っているのは争えないだろう。」
宇野浩二
男60歳
19 「『広場の孤独』は、こんどの候補作品のなかでいわゆる小説らしいところのほとんどない小説である、しかし、うまい工合に、今の時世にむくような事を書き、それにふさわしい理窟も述べている。そのかわり、読ませるところもあるが、ウスッペラで、作り事が、作り事になって、真実の感じがしない、つまり、読者の心にせまるものが殆んどない。」
川端康成
男52歳
13 「今度の授賞は当然だと思うし、銓衡会出席の委員に一人の異存もなく決定したのは、順当だと思う。」「「広場の孤独」、「漢奸」、その他として、「文藝春秋」に「漢奸」を掲載することにも、私は異存はなかった。ただ「漢奸」は終りを端折って、筋書のようになっていないか。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和27年/1952年3月号)
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芥川賞 第26受賞  一覧へ

かんかん
漢奸」(『文學界』昭和26年/1951年9月号)その他
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編輯」併記
巻号 第5巻 第9号  別表記9月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和26年/1951年8月20日 発行 昭和26年/1951年9月1日
発行者等 編輯人 鈴木 貢 発行人 池島信 印刷人 村尾一雄 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 180 表記上の枚数 目次 90枚 基本の文字組
(1ページ当り)
28字
×24行
×2段
本文ページ 6~32
(計27頁)
測定枚数 87
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>昭和27年/1952年5月・文藝春秋新社刊『祖国喪失』所収
>>昭和28年/1953年☆月・河出書房刊『新文学全集 堀田善衛集』所収
>>昭和49年/1974年6月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1』所収
>>昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第4巻』所収
>>平成5年/1993年5月・筑摩書房刊『堀田善衛全集1 詩・広場の孤独他』所収
>>平成10年/1998年9月・集英社/集英社文庫『広場の孤独・漢奸』所収
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候補者 堀田善衛 男33歳
選考委員 評価 行数 評言
佐藤春夫
男59歳
39 「「広場の孤独」を読んで、今まで十年あまりの委員をつづけて来た自分の知っている芥川賞の水準から推しても他にこれだけの力量を持った人がもうひとり居るだろうとは思わなかった。」「この作者の時代感覚それを知性で捕捉しようと努力している点など表現力の不足を補うて余りあり、十分に賞に値するものと思う。」「堀田は既に文壇の表面に出ているのだから新作家を発見するという芥川賞最初の意図から云えば少し出しおくれの気味が無いでもないが、野に遺賢無き今日の状情ではこれ位進出している新進に声援を送るのも無意義ではあるまい。」
瀧井孝作
男57歳
29 「「広場の孤独」は、苛立った風の、しかもテンポの早い風の、独自風の、この文体が、錯雑した国際間の軋轢に混迷した人々の描かれた、この題材に、ぴったりした所があって、今度は題材と文体とが一致したようで、これは佳いと思いました。それで今回は「広場の孤独」を推薦しました。「漢奸」と云うのは、分りやすく行届いた筆だが、作者の心持に余裕がありすぎて、これも、切迫した題材に比べて、文体が生温くて、一致しないようで、物足りないと思いました。」
丹羽文雄
男47歳
11 「「広場の孤独」を第一に推していた。すでに単行本になっているので、発表に差支えがあるというのなら「漢奸」でもよいと。いずれにしても堀田君以外に今期の授賞者はないと考えた。」「大抵の候補者は二度つづくと三度目は現れなくなるものだが、堀田君は三度候補者として現れ、しかも今度がいちばんよかった。ということは、なみなみならぬ実力がある証拠だ。」
岸田國士
男61歳
23 「今度の銓衡では、出席者のほとんど全部が、この「広場の孤独」を第一に推し、私もやや意を強くすることができた。」「芥川賞の出しおくれという観もあるが、それは決して作者の不名誉にはならぬと思うから、遠慮に及ばぬであろう。」「アメリカの特派員も中国記者も墺国貴族と自称する国際ゴロもなかなかよく書けている。上海の異国的雰囲気は、これはちょっと誰にでも難物だが、現在の東京の植民地風景は、却って作者の筆力にふさわしく、むしろ、作者に最も近いと思われる人物の輪廓が浮き出て来ない憾みがあるだけである。」
坂口安吾
男45歳
16 「私は感心しませんでした。」「文学はいつもただ「人間」の側に立つべきで、特定の誰の側に立つべき物でもありません。」「また「ドラマ性の欠如」という点も挙げられます。」「広場の孤独なぞという説明も、血の通ったところのない空々しいものとしか受けとれませんでした。」
石川達三
男46歳
22 「「広場の孤独」が他にくらべて一段とすぐれている。これにきまったのは妥当でもあり、有意義だったと思っている。」「他の候補作にくらべて、格段に新しい。それが小手先の技巧的な新しさでなく、時代を感ずる皮膚の鋭敏さであることを私は良いと思った。」「坂口君の反対意見は少し意地わるな批評のように私は思った。」「「広場の孤独」は描写を出て自己の表現をもっている。私はこの点を強く支持する。」
舟橋聖一
男47歳
14 「「広場の孤独」は、去年のベストスリーにあげる人さえあった程で、今更、芥川賞でもあるまいから、こんどは、吉行、澤野、阿川など、まだ名前の出ていない人の所へ授賞したいと思ったのである。」「今回の授賞は、事勿れに傾いたわけで、堀田の世評が定まっている以上、委員の心理には、何ンといっても、そこへお尻のもって行き場所があることを、大体、狙うともなく、狙っているのは争えないだろう。」
宇野浩二
男60歳
19 「『広場の孤独』は、こんどの候補作品のなかでいわゆる小説らしいところのほとんどない小説である、しかし、うまい工合に、今の時世にむくような事を書き、それにふさわしい理窟も述べている。そのかわり、読ませるところもあるが、ウスッペラで、作り事が、作り事になって、真実の感じがしない、つまり、読者の心にせまるものが殆んどない。」
川端康成
男52歳
13 「今度の授賞は当然だと思うし、銓衡会出席の委員に一人の異存もなく決定したのは、順当だと思う。」「「広場の孤独」、「漢奸」、その他として、「文藝春秋」に「漢奸」を掲載することにも、私は異存はなかった。ただ「漢奸」は終りを端折って、筋書のようになっていないか。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和27年/1952年3月号)
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