芥川賞のすべて・のようなもの
第46回
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Last Update[H28]2016/10/17

宇能鴻一郎
Uno Koichiro
生没年月日【注】 昭和9年/1934年7月25日~
受賞年齢 27歳6ヵ月
経歴 本名=鵜野廣澄。北海道札幌市生まれ。東京大学文学部国文学科卒、同大学大学院博士課程中退。大学在学中より同人誌『半世界』に参加、その後大学院在学中に、芥川賞受賞。以後、官能小説の第一人者となる。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第45回芥川賞(昭和36年/1961年上期)「光りの飢え」
  • 第46回芥川賞(昭和36年/1961年下期)「鯨神」
備考
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芥川賞 第45回候補  一覧へ

ひか
光りの 飢え」(『螺旋』1号[昭和36年/1961年2月])
媒体・作品情報
測定媒体 昭和37年/1962年3月・文藝春秋新社刊『鯨神』
総ページ数 224 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×17行
×1段
本文ページ 99~162
(計64頁)
測定枚数 102
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書誌
>>『文學界』昭和36年/1961年4月号再録
>>昭和37年/1962年3月・文藝春秋新社刊『鯨神』所収
>>昭和56年/1981年7月・中央公論社/中公文庫『鯨神』所収
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候補者 宇能鴻一郎 男26歳
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男50歳
5 「作者が力をもてあましている感じで、このエネルギーの過剰からの失敗は、作者の将来を期待させます。しかしこの作品は、どぎつい書割や事件をつぎつぎに並べているくせに迫力がなく、主人公の性格もお伽噺の英雄じみています。」
石川達三
男56歳
22 「私は最後まで、三篇(引用者注:「名門」「光りの飢え」「海岸公園」)のどれを当選作とするとも決心がつかなかった。全く違う主題と、全くちがった作風と、そして各々相当に書き切っている実力とを比較して、優劣をつけ得なかった。」
丹羽文雄
男56歳
9 「面白く、達者な作品である。極彩色の油絵の感じだが、あんまり面白すぎることが作品を安っぽくしている。個々の描写は巧みだが、みせ場ばかりの連続がかえってマイナスとなっている。」「一事が万事刺戟的でありすぎる。作者の興味の持ち方に、危険を感じる。」
瀧井孝作
男67歳
7 「文學界七月号に出した「鯨神」が、かなり佳いので、この「鯨神」を、七月号だけれど特にくり上げて採るということにしては如何。」「「光りの飢え」は、(引用者中略)のべつ幕なしに書いてあるが、書き習いの習作と見た。」
宇野浩二
男69歳
0  
井上靖
男54歳
4 「(引用者注:「名門」と共に)書ききっている感じで、力量は感じられたが、文学作品として当然持たねばならぬ読後の感動は稀薄だった。」
川端康成
男62歳
7 「私は旅先きから、二、(引用者中略)と、電報だけは打っておいた。」「力がはいり、目的は明らかだが、短いうちにもりこみ過ぎ、ゆきすぎと、私には思われた。」
舟橋聖一
男56歳
9 「或る委員が、はじめから終りまで、亢奮しつづけている文章で、いやだ、と云っていたが、とにかく、おちついたところのない、緊張と亢奮の連続する作品で、今まで永井氏が退けた傾向のように思うが、今回はひどく力こぶを入れて支持した。」「あんまり一人の委員が熱心だと、はたは冷静になるという妙な心理作用もあって評定が長びき、」
佐藤春夫
男69歳
17 「僕にはどう考えても当選の価値のある作品とは思えないから、(引用者中略)一票はおろか半票をさえ惜しんだ。」「(引用者注:「名門」と共に)可なり面白い読み物ではある。しかし決して文学ではない。文学は勿論何事をどう書いてもよい。しかし常に美しく品格を以て書かれなければならない。」「一種のナニワ節としか思えなかった。」
井伏鱒二
男63歳
2 「永井君は「光りの飢え」を推すと云い、」
永井龍男
男57歳
11 「私は(引用者中略)推した。若く健康な空想力と、たくましい描写力に感心した。廃坑部落のセットの中で、風変りな西部劇の制作に、また独り芝居に一心不乱になっている、破帽の若い監督を想像した。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和36年/1961年9月号)
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芥川賞 第46受賞  一覧へ

くじらがみ
鯨神」(『文學界』昭和36年/1961年7月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編集」併記
巻号 第15巻 第7号  別表記7月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和36年/1961年6月20日 発行 昭和36年/1961年7月1日
発行者等 編集兼発行人 小林米紀 印刷人 高橋武夫 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 238 表記上の枚数 目次 120枚 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×25行
×2段
本文ページ 76~102
(計27頁)
測定枚数 99
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書誌
>>『文藝春秋』昭和37年/1962年3月号
>>昭和37年/1962年3月・文藝春秋新社刊『鯨神』所収
>>昭和56年/1981年7月・中央公論社/中公文庫『鯨神』所収
>>昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第6巻』所収
>>平成28年/2016年5月・集英社刊『冒険の森へ 傑作小説大全7』所収
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候補者 宇能鴻一郎 男27歳
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
13 「恋敵・仕事敵の腕比べなども描いて、大衆向の読物とも見える。」「大体は、若気の至りの粗大なものだろうが、向うみずの盲目の情熱と、野放図のたくましい構想力とは、また異色のもののようで、捨て難い。このようなものも、稀にたまには有ってもよいと思った。この粗大が、はびこっては困るが。」「今回は又ナシでは淋しいので、「鯨神」は賛成も多いようで、僕は敢えて、当選の方に、努めたが。」
石川達三
男56歳
22 「物語性も豊富で、一種の香気もあり、才気ゆたかな作家であるとは思いながらも、容易に私たちが当選を承知できなかったのは、この作品の裏に作者の悲しみも憤りも慨きも、そういうどっしり(原文傍点)とした動かすべからざるものが、何もないような不満を感じていたからではないだろうか。」「私のこのおせっかい(原文傍点)めいた忠告が宇能君によって理解されないようならば、マス・コミの攻勢に会って、彼はたちまち売文業者に転落して行くだろう。」
中村光夫
男50歳
10 「巨鯨と人間の闘いという、古い文学的テーマを奔放な若々しい筆致で仕上げたところに、人真似でない熱情と個性が感じられ、なにかをする人であろうという期待はよせられます。」「文章そのものに、絵で言うと、絵具の質の悪いようなところがあるのが、一番気がかりです。しかしいわゆる芸術家でないところにこの人の新しさがあるのかも知れません。」
丹羽文雄
男57歳
7 「その豊かな筆力は、ひとを驚かすに足る。筆が走りすぎて、文章が上すべりしているところがあるが、前回の「光りの飢え」に比較すれば、格段のちがいである。」「どんな風になっていくのか、私達とあんまり縁のないところへとび出していくような気がする。」
永井龍男
男57歳
3 「欠点が多い。しかし、この大芝居に精魂を尽す作者の情熱は、前作の「光りの飢え」と同様さかんなものがある。」
舟橋聖一
男57歳
20 「私には、両方(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)とも、そんなに強硬に支持するほどの作品ではないような気がした。」「私も彼に半星を入れていたが、正直なところ、あと味はすっきりしなかった。」「「光りの飢え」も「鯨神」も、ギラギラ照明が強すぎて、こけおどしに類するところがあり、その中にはまだ、借りものも入っているように思われる。」「この人の将来は、興味深い未知数である。」
井上靖
男54歳
11 「私には際立って面白かった。この作品を読み終った時、すぐこれを推そうという気になった。」「構成の上にも難はあるし、細部にわたって見れば指摘できる欠点は幾らでもあるが、そうしたところがさして気にならないくらい野性的なエネルギーに満ちた作品で、芥川賞授賞作にふさわしい新風と言っていいだろうと思った。」
井伏鱒二
男63歳
9 「問題になりそうだと思ったものを三つ(引用者注:「海の屑」「鯨神」「解禁」)選んでみた。」「「(引用者注:銓衡会場からの電話に)その二篇(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)のうちなら『鯨神』に票を入れる。」と回答した。」
佐藤春夫
男69歳
18 「瀧井氏のいうとおり「光りの飢え」にくらべてずっと難のない作品に相違なかった。」「この作者を才能の人とも思う。」「惜しむらくは郷土伝説的には仕上げられず、ただ荒っぽく書かれているだけで、素朴に古拙な趣は見られない。かえって近代的な観念が末尾でとってつけたように露出するのは欠点であろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和37年/1962年3月号)
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