芥川賞のすべて・のようなもの
第49回
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Last Update[H27]2015/1/30

河野多恵子
Kono Taeko
生没年月日【注】 大正15年/1926年4月30日~平成27年/2015年1月29日
受賞年齢 37歳2ヵ月
経歴 大阪府大阪市生まれ。大阪府女子専門学校(現・大阪府立大学)卒。昭和25年/1950年より丹羽文雄主宰『文学者』同人となり、主に同誌に作品を発表。新潮社の同人雑誌賞を受けた「幼児狩り」で注目される。
受賞歴・候補歴
  • 第8回同人雑誌賞(昭和36年/1961年)「幼児狩り」
  • |候補| 第47回芥川賞(昭和37年/1962年上期)「雪」
  • |候補| 第48回芥川賞(昭和37年/1962年下期)「美少女」
  • 第49回芥川賞(昭和38年/1963年上期)「蟹」
  • 第6回女流文学賞(昭和42年/1967年)『最後の時』
  • |候補| 第4回谷崎潤一郎賞(昭和43年/1968年)『不意の声』
  • 第20回読売文学賞[小説賞](昭和43年/1968年)『不意の声』
  • |候補| 第8回谷崎潤一郎賞(昭和47年/1972年)『骨の肉』
  • |候補| 第11回女流文学賞(昭和47年/1972年)『骨の肉』
  • |候補| 第9回谷崎潤一郎賞(昭和48年/1973年)『双夢』
  • |候補| 第2回川端康成文学賞(昭和50年/1975年)「択ばれて在る日々」
  • |候補| 第12回谷崎潤一郎賞(昭和51年/1976年)『血と貝殻』
  • 第28回読売文学賞[評論・伝記賞](昭和51年/1976年)『谷崎文学と肯定の欲望』
  • 第16回谷崎潤一郎賞(昭和55年/1980年)『一年の牧歌』
  • 第40回日本藝術院賞[文芸](昭和58年/1983年度)"作家としての業績"
  • 第44回野間文芸賞(平成3年/1991年)『みいら採り猟奇譚』
  • 第10回伊藤整文学賞[小説部門](平成11年/1999年)『後日の話』
  • 第41回毎日芸術賞(平成11年/1999年度)『後日の話』
  • 第28回川端康成文学賞(平成14年/2002年)「半所有者」
  • 文化功労者(平成14年/2002年)
  • 文化勲章(平成26年/2014年)
個人全集 『河野多恵子全集』全10巻(平成6年/1994年11月~平成7年/1995年9月・新潮社刊)
芥川賞
選考委員歴
第97回~第136回(通算20年・40回)
備考
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芥川賞 第47回候補  一覧へ

ゆき
雪」(『新潮』昭和37年/1962年5月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「THE SHINCHO」併記
巻号 第59巻 第5号  別表記5月号/685号
印刷/発行年月日 発行 昭和37年/1962年5月1日
発行者等 編輯者発行者 齋藤十一 印刷者 高橋武夫 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 260 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
30字
×25行
×2段
本文ページ 138~158
(計21頁)
測定枚数 73
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書誌
>>昭和37年/1962年8月・新潮社刊『幼児狩り』所収
>>昭和55年/1980年1月・新潮社刊『新潮現代文学60 一年の牧歌・美少女』所収
>>平成1年/1989年5月・福武書店/福武文庫『恐怖の花』所収
>>平成5年/1993年4月・角川書店/角川ホラー文庫『現代ホラー傑作選 第1集 それぞれの夜』所収
>>平成6年/1994年11月・新潮社刊『河野多恵子全集 第1巻』所収
>>平成11年/1999年1月・徳間書店/徳間文庫『誘惑―女流ミステリー傑作選』所収
>>平成13年/2001年4月・リブリオ出版/大きな活字で読みやすい本『怪奇・ホラーワールド 第6巻 恐ろしき執念』所収
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候補者 河野多恵子 女36歳
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
3 「文章がうまいがうますぎる感じで、話もうまく(ことに終りの部分で)つくりすぎていますが、才の有る人という印象をうけました。」
瀧井孝作
男68歳
3 「女の特異の感情を美しく見せたものだが、抽象化されて、きれい事のようで、恰も美術人形のようで、僕は採れなかった。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
0  
石川達三
男57歳
4 「私ははじめから、今回は授賞作無しと思っていたが、その中でも「烏のしらが」や「石の微笑」や「雪」ならば、それが受賞されても特に強い反対は云わなくても済むはずだった。」
舟橋聖一
男57歳
4 「ミグレニンを呑めばすぐ治るような痛みを、大仰に甘ったれて書いていて、まだ少女小説の域を出ていないと思った。」
井上靖
男55歳
4 「いいと思った。新風といったものは感じられぬが、何かゆたかなものもあり、読後の印象のいい作品で、こうした作品の少い現在、充分珍重さるべきものであろう。」
井伏鱒二
男64歳
0  
丹羽文雄
男57歳
6 「私は当選させたかった。だんだんと種明かししていくあたり、心にくい技巧だが、推理めいていると評したひとがある。」「作者はそのことをすてても気にすることはいらないのだ。この作者は本質的に何かがある。豊かな情感をあたえる。文章もよろしい。」
川端康成
男63歳
0  
高見順
男55歳
5 「私は推した。」「「幼児狩り」や「劇場」(「新潮」二月)は異常感覚の強調がいやだったが、候補作「雪」、更に「文學者」二月の「塀の中」に私は感心した。でも、まだこれからの人とも言える。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和37年/1962年9月号)
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芥川賞 第48回候補  一覧へ

びしょうじょ
美少女」(『新潮』昭和37年/1962年8月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「THE SHINCHO」併記
巻号 第59巻 第8号  別表記8月号/688号
印刷/発行年月日 発行 昭和37年/1962年8月1日
発行者等 編輯者発行者 齋藤十一 印刷者 高橋武夫 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 260 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 92~119
(計28頁)
測定枚数 83
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書誌
>>『文藝春秋』昭和38年/1963年3月号
>>昭和38年/1963年8月・新潮社刊『美少女・蟹』所収
>>昭和48年/1973年9月・講談社刊『現代の文学33 河野多恵子・大庭みな子』所収
>>昭和52年/1977年5月・筑摩書房刊『筑摩現代文学大系83 瀬戸内晴美・河野多恵子集』所収
>>昭和53年/1978年11月・成瀬書房刊『幼児狩り』[特装版]所収
>>昭和55年/1980年1月・新潮社刊『新潮現代文学60 一年の牧歌・美少女』所収
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候補者 河野多恵子 女36歳
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
12 「相当に正確に描いてある。筆も利いて来たし、うまい。」「しかし、楷書で書いたような固い、とりすました冷めたい感じもある。もっと、ヘタでもよいが、しどろもどろに心身の塗みれた作品でありたい。これは、打ちのめされて、立直りの、力んだ姿とも云えるが……。」「一番ちゃんとして、佳い。今回は、このひとを落したのは、惜しい。」
石川達三
男57歳
2 「才能に(引用者中略)興味をもつ。」
高見順
男55歳
11 「私は推した。前回の候補作「雪」のほうがいいと見る委員もあったが、私はその反対の見方をしていた。」「キラリと光るところが諸所にあって、すぐれた文学的稟質を感じさせる。」「この人の「幼児狩り」が三十六年度の新潮社同人雑誌賞を受けたとき銓衡者のひとりとして消極的だった私は、この人がこんなにうまい作家になろうとは思わなかった。」
中村光夫
男51歳
7 「しっかりした筆つかいで、そつなく話をまとめていますが、女主人公を作者がよく見ているようで大事なところを見のがしているためか、読者は彼女の心に這入って行けません。」「達者に見えても、まだ習作の域を脱していないと思われます。」
石川淳
男63歳
3 「素質があり才能がある。」
舟橋聖一
男58歳
10 「技巧的だが、情夫が妹と称している女が、実は妹ではなくて、二人は夫婦のようなものだったというオチのある組立が、あざとくて戴けなかった。」「然し、他の作とくらべると優位なので、半星の準入賞にするなら消極的に賛成してもいいと思った。」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
8 「前作「雪」にくらべると、格段の文章の上達がみとめられる。」「いまどきこれほど文章に神経を使う若い文学者は、他に例がないのではないか。へんな男も、三人の少女もあざやかに描き分けている。私はこれを当選作にきめていた。」
井上靖
男55歳
4 「非常にうまい作家だと思う。」「併し、芥川賞作品として打ち出すのには、新しさがないことが、やはり欠点になる。」
永井龍男
男58歳
3 「巧い。たいへんカンの働く作者だが、そのために無意識な省略があり、前後に感情の通じない叙述がある。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和38年/1963年3月号)
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芥川賞 第49受賞  一覧へ

かに
蟹」(『文學界』昭和38年/1963年6月号)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙 「文藝春秋編集」併記
印刷/発行年月日 印刷 昭和38年/1963年5月20日 発行 昭和38年/1963年6月1日
発行者等 編集兼発行人 小林米紀 印刷人 高橋武夫 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 240 表記上の枚数 目次 80枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×25行
×2段
本文ページ 62~84
(計23頁)
測定枚数 71
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書誌
>>昭和38年/1963年8月・新潮社刊『美少女・蟹』所収
>>『文藝春秋』昭和38年/1963年9月号
>>昭和46年/1971年☆月・河出書房新社刊『日本文学全集54 有吉佐和子・瀬戸内晴美・河野多恵子』[カラー版]所収
>>昭和48年/1973年4月・新潮社/新潮社文庫『幼児狩り・蟹』所収
>>昭和48年/1973年9月・講談社刊『現代の文学33 河野多恵子・大庭みな子』所収
>>昭和52年/1977年5月・筑摩書房刊『筑摩現代文学大系83 瀬戸内晴美・河野多恵子集』所収
>>昭和55年/1980年1月・新潮社刊『新潮現代文学60 一年の牧歌・美少女』所収
>>昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第6巻』所収
>>昭和62年/1987年12月・小学館刊『昭和文学全集 第19巻 中里恒子・芝木好子・大原富枝・河野多恵子・大庭みな子』所収
>>平成1年/1989年6月・学芸書林刊『鳥にされた女―河野多恵子自選短篇集』所収
>>平成6年/1994年11月・新潮社刊『河野多恵子全集 第1巻』所収
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候補者 河野多恵子 女37歳
選考委員 評価 行数 評言
高見順
男56歳
10 「通読直後の印象としては前回の候補作より劣ると思われ当選作として推せる力に欠けているとも思われた。しかしこれにはこれまでの作品に眼立ったサディズムめいた毒々しさがなく、気質的なものからもみずからを放っている歩みの感じられる作品と逆に思い直されもした。」「もったいぶらないで、さりげなく書いている巧みさは、尋常の才能ではない。」
井上靖
男56歳
12 「きちんとした乱れのない文章で、海岸に転地療養している女の心理の陰影をよく描いている。」「作品としては(引用者注:以前の候補作より)「蟹」が一番よくまとまっている。仕上がりがみごとなだけに弱い印象も受けるが、こうした破綻のない好短篇の授賞もまた久しぶりでいい。」「私は「蟹」を推した」
瀧井孝作
男69歳
9 「病身の心持と風景描写だけの短篇だが、前半の転地に赴くまでの心持は、おだやかなおっとりとした好い味の描写で、後半の浜辺の描写は長いわりに淡いと思った。」「佳作「美少女」が当選せずに見落されて、少し惜しかったので、今回は特別にこの人も推薦した。」
中村光夫
男52歳
4 「氏にしては尋常すぎる作品で、大きな傷もない代りにやや冗長で力の乏しいきらいがあります。しかし作品の完成度においては他をぬいているので、これが受賞したのも当然でしょう。」
永井龍男
男59歳
5 「賞の対象になる強さを欠いていた。」「「分る人には分る」といった小粒な作品だが、純粋さを買われたようだ。」
石川淳
男64歳
2 「賞に加わった。これは多数決である。いいもわるいもない。」
石川達三
男58歳
3 「前半と後半とが分裂して居り、しつこく蟹を探し廻ることの意味がわかり兼ねる。」
川端康成
男64歳
22 「授賞することはいいが、今期の「蟹」に授賞することも、「少年の橋」と二本にすることも、私はうなずきかねた。」「受賞ときまった後の夜ふけ、私は「蟹」に好意を向けて丁寧に読み直してみた。そして私も見直した。」「読み直すと、作意がよく伝わって来た。ただ河野氏は文章の細部にもっと注意を払ってほしい。」
舟橋聖一
男58歳
23 「今度の「蟹」はよく書き上っていて、抵抗なしに読めたから、これを支持しようと思った。」「もっとも、前半、後半の間に折れ目がありすぎて、席上佐佐木茂索氏がこれを衝いた。たしかにそのような構成上の欠陥が、他の諸作を通じ河野の弱味となっている。」「この作者は人の云うほど異常でも嗜虐でもなく、普通のモラルの中にいる腕達者な女流なのだろう。折れ目を意図したものではなくて、書いているうちに、おのずからこうなったものに相違ない。」「両作(引用者注:「少年の橋」と「蟹」)とも授賞させることを、最初から提案した。」
丹羽文雄
男58歳
13 「上質の文学である。」「候補作品の中で群を抜いていた。彼女の作品にはマゾ的な傾向がある。」「しかし、これを機会にジャーナリズムが、河野君のそうした点を要求して、あやまらせないようにしてもらいたいと、私は思っている。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和38年/1963年9月号)
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