芥川賞のすべて・のようなもの
第63回
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Last Update[H26]2014/8/5

吉田知子
Yoshida Tomoko
生没年月日【注】 昭和9年/1934年2月6日~
受賞年齢 36歳5ヵ月
経歴 本名=吉良知子。静岡県浜松市生まれ。名古屋市立女子短期大学経済科卒。伊勢新聞名古屋支局、浜松市の私立高校を経て、昭和38年/1963年より同人誌『ゴム』を創刊。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第13回同人雑誌賞(昭和41年/1966年)「寓話」
  • |候補| 第3回作家賞(昭和41年/1966年)「寓話」
  • 第63回芥川賞(昭和45年/1970年上期)「無明長夜」
  • 第23回女流文学賞(昭和59年/1984年)「満洲は知らない」
  • 第19回川端康成文学賞(平成4年/1992年)「お供え」
  • 第27回泉鏡花文学賞(平成11年/1999年)『箱の夫』
  • 第53回中日文化賞(平成12年/2000年)「長年にわたり独自の文学世界を開拓」
備考
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芥川賞 第63受賞  一覧へ

むみょうちょうや
無明長夜」(『新潮』昭和45年/1970年4月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「THE SHINCHO^」併記
巻号 第67巻 第4号  別表記4月号/780号
印刷/発行年月日 発行 昭和45年/1970年4月1日
発行者等 編集兼発行者 酒井健次郎 印刷者 高橋武夫 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 260 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 47~97
(計51頁)
測定枚数 156
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書誌
>>『文藝春秋』昭和45年/1970年9月号
>>昭和45年/1970年9月・新潮社刊『無明長夜』所収
>>昭和46年/1971年6月・講談社刊『文学選集36 昭和46年版』所収
>>昭和49年/1974年9月・毎日新聞社刊『現代の女流文学 第2巻』所収
>>昭和50年/1975年3月・新潮社/新潮文庫『無明長夜』所収
>>昭和57年/1982年9月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第8巻』所収
>>平成6年/1994年12月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第26巻 静岡』所収
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候補者 吉田知子 女36歳
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男63歳
23 「一位「プレオー8の夜明け」、二位「無明長夜」ということで銓衡の席に臨んだ。」「一点判らぬものが残されている感じであった」「狂気が次第に深まって行く世界を、仏教的な暗い妖しい雰囲気の中に捉えた作品と言っていいであろうか。生命の、愛の、情念の鬼火が燃えている感じである。」
石川達三
男65歳
13 「今回は(引用者注:「プレオー8の夜明け」「無明長夜」「証人のいない光景」の中から)当選作二篇と信じた。」「一読して、是は当選作と信じた。」「独自の表現を持ち独自の発想法を持っている。」「むしろ泉鏡花を思わせるような古い味わいも有る。作品は全体として写実であるよりは半抽象的であり、幻想的である。」「一篇だけを選ぶとしたら是を取ろうと私は思っていた。」
三島由紀夫
男45歳
15 「(引用者注:「プレオー8の夜明け」と)まったく対照的な作風で、甲乙をつけがたい」「実存的な作品で、すばらしい断片の集積であり、現実感覚の剥落感が精密周到に組み立てられ、(引用者中略)文章もたしかで、詩が横溢している。しかし、できれば、断片の集積で終ってほしかった。さわりの本山の出火や回想の炸裂は、いかにもドラマチックな盛上げになっていて感心しない。」
丹羽文雄
男65歳
13 「感心したが、(引用者中略)吉田氏の毒口は古山氏のようにすんなりと心にはいって来ない何かがあったので、ためらった。それは吉田氏の気負いだったようである。(引用者中略)気負いをすなおに感じさせるのには、それだけのゆとりがほしかった。」「ある審査員が今回は(引用者注:受賞作を)二つにしたいと提案したので、私はすぐ賛成した。」
舟橋聖一
男65歳
14 「これでもかこれでもかの道具立てが多すぎて閉口した。」「これが当選したのは、以上の難点を上廻る表現力を持っているからなのだろう。たとえば癲癇の子が淵へ身を落す前後の描写などが垢抜けている。寺の和尚との関係もちょっと面白い。」「しかし、精神分裂者の幻想小説というものは素人にも書き易いものである。」「最終的には、他の候補作より頭抜けているので、(引用者中略)授賞作とすることに、私は同意した。」
大岡昇平
男61歳
9 「文章もしっかりしており、孤独な女性の感情と感覚の惑乱が、隈なく描き出されている。やや仰々しい道具立ては恐怖小説的傾斜を懸念させるのだが、「小さな子供が溺れ死のうとしていても……仏は見ているだけだ」というような句に、作者の誠実を信じたい。」
川端康成
男71歳
14 「とにかく、私は推してもいいと思い、(引用者中略)とにかくと言うのは、他の委員たちが挙げるなら、私もそれに従いたいというほどの意味である。」「読後に、鮮明な印象、または感動があざやかに残らないので、特に推挙する自信はなかったのである。」「いろいろの異常を書き過ぎてはいないだろうか。」
石川淳
男71歳
2 「一応は書けているようだが、すでに決定したもののことを、とやこういうにおよばない。」
永井龍男
男66歳
5 「「プレオー8の夜明け」と「無明長夜」のどちらかだろうと決めて銓衡会へ出かけ、一篇と限られたならば前者に票を入れるつもりだった」
中村光夫
男59歳
14 「ほとんど僕ひとりが反対した結果になりました。」「よみ終ってから、これ(引用者注:道具立て)が題名通り、人間の苦の象徴と見られるかというと、そうは行きません。かといって、主人公の個性的体験の世界と見るには、作者が読者の方に目を配りすぎていて、中途半端な印象をあたえます。」「要するには、意図とたくらみが勝ちすぎた失敗作という風によみました。」
瀧井孝作
男76歳
11 「女のかなしみを、只訴えたい、一途に書きたい、この切迫した筆力があった。しかし、何か異常な、妙な不分明な所もあったが、不分明なりに何か一貫して、特殊な女の性情が、読みながらわかった。」「全体に暗い薄墨色くもり空の色調情調が活きて、ふしぎな佳作と思った。」
選評出典:『芥川賞全集 第八巻』昭和57年/1982年9月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和45年/1970年9月号)
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