芥川賞のすべて・のようなもの
第84回
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Last Update[H27]2015/11/28

尾辻克彦
Otsuji Katsuhiko
生没年月日【注】 昭和12年/1937年3月27日~平成26年/2014年10月26日
受賞年齢 43歳9ヵ月
経歴 本名=赤瀬川克彦、別名義=赤瀬川原平。神奈川県横浜市生まれ。武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)油絵学科中退。赤瀬川原平名義で前衛芸術家として活動、また尾辻克彦名義で純文学を執筆。兄に直木賞受賞作家の赤瀬川隼がいる。
受賞歴・候補歴
  • 第6回シェル美術賞展[三席入選](昭和37年/1962年)
  • 第5回中央公論新人賞(昭和54年/1979年度)「肌ざわり」
  • |候補| 第82回芥川賞(昭和54年/1979年下期)「肌ざわり」
  • |候補| 第83回芥川賞(昭和55年/1980年上期)「闇のヘルペス」
  • |候補| 第8回泉鏡花文学賞(昭和55年/1980年)『肌ざわり』
  • 第84回芥川賞(昭和55年/1980年下期)「父が消えた」
  • 第5回野間文芸新人賞(昭和58年/1983年)『雪野』
  • |候補| 第28回岸田國士戯曲賞(昭和59年/1984年)『シルバー・ロード』《戯曲》
  • 第3回講談社エッセイ賞(昭和62年/1987年)『東京路上探険記』
  • |候補| 第14回川端康成文学賞(昭和62年/1987年)「舞踏神」
  • |候補| 第24回谷崎潤一郎賞(昭和63年/1988年)『贋金づかい』
  • 第2回JTB紀行文学大賞(平成5年/1993年)『仙人の桜、俗人の桜』赤瀬川原平名義
  • 第53回毎日出版文化賞[特別賞](平成11年/1999年)『老人力』赤瀬川原平名義
備考
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芥川賞 第82回候補  一覧へ

はだ
肌ざわり」(『中央公論』昭和54年/1979年10月号)
媒体・作品情報
誌名 「中央公論」
巻号 第94年 第10号/通巻 第1111号  別表記10月特大号
印刷/発行年月日 発行 昭和54年/1979年10月1日
発行者等 編集者 青柳正美 発行者 高梨 茂 印刷所 大日本印刷
発行所 中央公論社(東京都)
装幀/装画等 装画 赤瀬川原平
総ページ数 414 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×24行
×2段
本文ページ 340~359
(計20頁)
測定枚数 69
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書誌
>>昭和55年/1980年6月・中央公論社刊『肌ざわり』所収
>>昭和58年/1983年5月・中央公論社/中公文庫『肌ざわり』所収
>>平成1年/1989年8月・小学館刊『昭和文学全集 第32巻 中短編小説集』所収
>>平成17年/2005年5月・河出書房新社/河出文庫『肌ざわり』所収
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候補者 尾辻克彦 男42歳
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男68歳
13 「小品ながら、独創性に富んだ作品で、小説を読むたのしみを感じさせてくれました。父と娘の何気ない対話にも工夫がこらされてゐて、読者を飽きさせないのは凡手でないと思はれます。」「作者がひとりで思ひつきを楽しんでゐる風で、読者の感動を浅くしてゐるのは残念で、もう少し深味がほしいと思ひます。」
遠藤周作
男56歳
5 「私の考えでは森禮子さんにつぐ良い作品で、日常のなかのこわさをユーモアをもって書くその力はこの人がいつかは受賞作家になることを充分予想させる。」
瀧井孝作
男85歳
8 「しまいの場面、床屋の亭主の異常者のような感じは一寸よいと見た。」
大江健三郎
男44歳
5 「候補作中きわだった芸術家の気質を、そのよくつくられた文体によって相対化しえている。」
吉行淳之介
男55歳
3 「資質が抜群で、ほっと息がつける。しかし、作品自体となると諸氏の欠点指摘を受け入れざるを得ない。」
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男59歳
21 「とにもかくにも一個の文体らしいものを感じさせる作品だった。私は、それだけでこの作品を当選にしてもいいように思った。」「気にかかったのは、この作家の文体がホンモノかどうかということである。そう思って読むと、(引用者中略)思わせ振りな書き出しは、思わせ振りが一つのスタイルであるとしても、何か作家と文体の自己撞着というようなものが感じられて、だんだんイヤになってきた。それに父と娘の会話が感心しない。」
井上靖
男72歳
5 「いい短篇である。はっきりと自分のものを自分の文体で綴っているという意味では、この作品がただ一つのものであった。こうした短篇をもう何作か見せて貰いたいと思う。」
丸谷才一
男54歳
20 「何と言つても文章が光つてゐる。言葉づかひが生き生きしてゐて、いちいち小気味がいい。この感受性の新鮮さは抜群のものだ。が、残念なことに、話の中身が他愛ない。」「もうすこし好意的な見方をすれば、(引用者中略)主人公の妻であり娘の母である女はなぜおこにゐないのかといふことが、この小説にはわざと書いてなくて、(引用者中略)これはおもしろい趣向なのだが、しかしさう弁護するにしても、作者はあまりにも筆を惜しみすぎた。」
丹羽文雄
男75歳
2 「印象に残った。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和55年/1980年3月号)
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芥川賞 第83回候補  一覧へ

やみ
闇のヘルペス」(『海』昭和55年/1980年1月号)
媒体・作品情報
誌名 「海」  別表記表紙 「文芸雑誌」併記
巻号 第129号/第12巻 第1号  別表記新年特別号
印刷/発行年月日 発行 昭和55年/1980年1月1日
発行者等 編集者 塙 嘉彦 発行者 高梨 茂 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 中央公論社(東京都)
総ページ数 392 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 105~123
(計19頁)
測定枚数 56
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書誌
>>昭和55年/1980年6月・中央公論社刊『肌ざわり』所収
>>昭和58年/1983年5月・中央公論社/中公文庫『肌ざわり』所収
>>平成17年/2005年5月・河出書房新社/河出文庫『肌ざわり』所収
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候補者 尾辻克彦 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一
男54歳
14 「よいと思つた」「感受性を短篇小説の枠のなかに定着するのが巧妙で、大変な技術です。」「藝や趣向を積み重ねたあげくの物語が何だか他愛ないといふ感じは否めませんでした。」
大江健三郎
男45歳
11 「三篇(引用者注:「闇のヘルペス」「一九七三年のピンボール」「羽ばたき」)のいずれが入賞しても不満でないと考えていたが、またそれらいずれにも積極的に賞へと推すことにはなにか不充分な思いが残るのでもあった。」「ものの見方、感じ方、その表現の独特さでは、(引用者中略)きわだっている。」「これは本質において詩の領域の才能の仕事である。」
吉行淳之介
男56歳
4 「おもしろかった。」「前作「肌ざわり」に劣らない出来だった。」
瀧井孝作
男86歳
0  
中村光夫
男69歳
12 「話術の巧みな小説で、この点では群をぬいてゐます。しかしこの故意に無秩序を意図した構成が全体として効果をあげてゐないので、(引用者中略)ただいい気になつて読者をふりまはさうとする印象を与へられます。」
遠藤周作
男57歳
5 「作者の感性はすばらしい。しかしその感性に溺れると、どうもイヤ味になる、前作にくらべて今度はそのイヤ味が作品をそこねた。」
井上靖
男73歳
12 「一番面白かった。」「どことなく古ものめいた、つぎはり小説とでもいったような面白さがある。一見素朴を装っているが、なかなかしゃれたものである。しかし、最後の詰めは利いていないばかりか、決してうまいとは言えない。」
丹羽文雄
男75歳
0  
開高健
男49歳
0  
安岡章太郎
男60歳
6 「自分の手に触れたところ、感覚だけで間に合う部分だけを切りとって、一生懸命、頭をそこに突っこんでいる。それが悪いとは言わないが、感性にばかりたよっていては、モノは何も見えてこない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和55年/1980年9月号)
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芥川賞 第84受賞  一覧へ

ちち
父が 消えた」(『文學界』昭和55年/1980年12月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第34巻 第12号  別表記12月号
印刷/発行年月日 発行 昭和55年/1980年12月1日
発行者等 編集兼発行人 松村善二郎 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 344 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 88~117
(計30頁)
測定枚数 89
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書誌
>>『文藝春秋』昭和56年/1981年3月号
>>昭和56年/1981年3月・文藝春秋刊『父が消えた―五つの短篇小説』所収
>>昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第12巻』所収
>>昭和61年/1986年8月・文藝春秋/文春文庫『父が消えた』所収
>>平成17年/2005年6月・河出書房新社/河出文庫『父が消えた』所収
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候補者 尾辻克彦 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介
男56歳
19 「独特のスタイルを持っていることを認めざるを得ない作品である。軽快な筆致と、軽妙な会話によって、一行ごとにパチパチとエスプリの火花が散る。」「感性や感覚のかたまりが迫ってくるだけでなく、本人が意図していないかもしれない、あるいはそう言われるのが不本意かもしれない、「人間とはなにか」とか「人生とは」とかいう問いかけも迫ってくる。」
大江健三郎
男45歳
13 「次つぎに繰りだすイメージは、日常的なようで独特のものだ。」「在来の短篇の定型をいちいちひっくりかえす細部、構築するかわりに解体するような筋の運び。その尾辻氏の書き方は、短篇というジャンルの「異化」と呼びうるものだ。」「在来の短篇に見られぬ特質である。」
丸谷才一
男55歳
24 「かなりの出来ばえのものである。話術はいよいよ巧みになり、感受性は相変らず新鮮である。それゆゑ尾辻氏の受賞にはいちおう異存がない。」「尾辻氏の作風は他愛もない話を書くところに一番の値打があつた。」「しかし今度の作品は、父の死といふ切実な題材を、もちろんずいぶんしやれた手つきで持ち込むことによつて、強引に芯を作つてゐる。」「この書き方では、易きについたといふ印象を受けるのである。」
遠藤周作
男57歳
9 「(引用者注:候補作の中で)半馬身先にたっているというのが私の感じだった。」「今まで氏の候補作になったもののなかで一番いいと思う。この作品を私が奨したのはこの作品はやはり尾辻氏だけの文体と言葉と感覚とで書かれているからである。」「ただ今後、この作風だけでは行きづまるかもしれぬという一抹の不安がしないでもない。」
丹羽文雄
男76歳
4 「主張があれば喧嘩になるというこの作者らしい小味な気持のよい作品であった。」「そういう作品も大切にされてよい。」
安岡章太郎
男60歳
12 「当選したのは、私の予想したとほりであつた。尾辻氏の作品のなかでも、これは最も常識的で、かつ安心して読めたからだ。」「皮膚感覚だけではとらへ切れない「父」が登場するため、ともかく骨格が出来てきた。だから、その「父」が消えてしまつて、最後の墓場の場面なんかになると、常識的といふより描写が平板になつて、いささか退屈させられることにもなるわけだ。」
開高健
男50歳
3 「5点 最終的にはこの人の作品が入選したのだが、残念ながら私は支持することができない。書くことが何もない。」
井上靖
男73歳
11 「(引用者注:「裸足」と共に)光っていた。」「何よりも作者の資質と才能を感じる。それも派手な眼につくものではないが、作者の身についている危気のないもの、信用していいものである。」「当選作としては軽いという批評もあるかも知れないが、その軽さがいいという見方もあるだろう。いずれにしても、これだけの資質なら、資質だけを推してもいいだろうと思う。」
瀧井孝作
男86歳
0  
中村光夫
男69歳
13 「むろん氏がここで開拓した軽味とユーモアは独自のもので、都会的で繊細な感受性が生かされてゐますが、結局精巧な細工物といふ感じで、他の二作(引用者注:「裸足」「遠い朝」)とくらべて、技巧的には格段にすぐれてゐても、芸術作品として傑出してゐるとは云へないと思ひます。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和56年/1981年3月号)
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