芥川賞のすべて・のようなもの
第88回
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Last Update[H29]2017/9/20

唐十郎
Kara Juro
生没年月日【注】 昭和15年/1940年2月11日~
受賞年齢 42歳11ヵ月
経歴 本名=大〈雨/鶴〉義英(オオツル・ヨシヒデ)。東京市下谷区(現・台東区)生まれ。明治大学文学部演劇学科卒。劇団「青年芸術劇場」を経て、「シチュエーションの会」(のち「状況劇場」)を旗揚げ。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第14回「新劇」岸田戯曲賞(昭和44年/1969年)「由比正雪」《戯曲》
  • 第15回「新劇」岸田戯曲賞(昭和45年/1970年)「少女仮面」《戯曲》
  • |候補| 第1回泉鏡花文学賞(昭和48年/1973年)『ズボン』
  • |候補| 第5回泉鏡花文学賞(昭和52年/1977年)『蛇姫様』
  • 第6回泉鏡花文学賞(昭和53年/1978年)『海星・河童』
  • 第88回芥川賞(昭和57年/1982年下期)「佐川君からの手紙」
  • 第1回花園賞(平成13年/2001年)
  • 第7回鶴屋南北戯曲賞(平成15年/2003年度)『泥人魚』《戯曲》
  • 第55回読売文学賞[戯曲・シナリオ賞](平成15年/2003年)『泥人魚』《戯曲》
  • 第13回読売演劇大賞芸術栄誉賞(平成18年/2006年)
  • 明治大学特別功労賞(平成18年/2006年)
  • 朝日賞(平成24年/2012年度)"幻想的な戯曲の創作とテント公演での独創的な舞台制作"
備考
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芥川賞 第88受賞  一覧へ

さがわくん てがみ
佐川君からの 手紙」(『文藝』昭和57年/1982年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「文藝」
巻号 第21巻 第11号  別表記11月号
副題等 目次 「―舞踏会の手帖」 本文 「―舞踏会の手帖―」
印刷/発行年月日 発行 昭和57年/1982年11月1日
発行者等 編集者 福島紀幸 発行者 金田太郎 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社河出書房新社(東京都)
総ページ数 264 表記上の枚数 表紙・目次 190枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×25行
×2段
本文ページ 32~87
(計56頁)
測定枚数 172
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書誌
>>昭和58年/1983年1月・河出書房新社刊『佐川君からの手紙―舞踏会の手帖』
>>『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号
>>昭和61年/1986年8月・河出書房新社/河出文庫『佐川君からの手紙―舞踏会の手帖』
>>平成1年/1989年2月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第13巻』所収
>>平成21年/2009年5月・河出書房新社/河出文庫『完全版 佐川君からの手紙』所収
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候補者 唐十郎 男42歳
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男71歳
16 「力作という点では、(引用者中略)群をぬいていました。しかしこれが文学作品として秀作かとなると、多くの疑問がおこります。」「事件の主人公は佐川君の筈ですが、作者の筆はどこでも彼に届いていません。」「結局、殺人、食肉という事件は、彼ら(引用者注:話者や登場人物)の饒舌と気取りの背景をなしているだけで、この小説は面白くなりそうな事件を、つまらなく描いた小説ということになります。」
吉行淳之介
男58歳
20 「「黄色い小人が白い大きな女を喰った」という事件は、唐氏にダダ(イズム)風な刺戟も与えた筈である。こういう角度には、唐氏はモトデがかかっている。」「俗な言葉でいえば、死体までの遣手(婆)をメインにして、虚と実の境目でうまく遊んだといえる作品である。」「私は、(引用者中略)弱点を美点が大きく上まわった、とおもった。」
安岡章太郎
男62歳
20 「芥川賞が新進登竜門ということなら、(引用者中略)不適当と思った。たしかに面白さという点では、これは候補作中抜群であり、あらゆる意味で新人ばなれがしている。しかし、それはアタリマエで、唐氏の奇才は劇作家として知れ渡っているからだ。」「成功作かといえば、そうは言えまい。」「女性(引用者注:K・オハラ)と語り手“私”のからみ合いは秀逸であるが、それに引きずられて主題は立ち消えになっている。」
丸谷才一
男57歳
9 「わたしには何が何だかさっぱりわからなかった。」「話の筋には論理性がなく、登場人物は存在感を欠いている。文章は奇態な言いまわしが多く、言葉の選び方は妙によじれていた。」「わたしには縁のない作品だと言うしかないと述べて、そっと吐息をつく。」
大江健三郎
男47歳
13 「作者のたくらみは、徹底した演劇性につらぬかれて、現実の出来事を引金にしながら、感覚的、知的に高い水位の幻想をくりひろげる。対話と手紙の呼び掛けによる進行はわが国の文学に新しい刺戟を与える独自さのものだ。」「幕切れのあざやかさは、名優唐十郎のものだ。」
丹羽文雄
男78歳
22 「よみはじめて、しばらく視点が合わなかったが、この小説がいわゆる小説らしい小説として書かれたのでなく、観客席を意識した舞台上の展開であると気がつくと、ひきこまれるような興味をおぼえた。」「私はこれを読んでいて、ふとチエホフを連想した。」「小説の世界に演出家が舞台稽古の草履ばきでのりこんできたような印象が、ユニークであった。これがあるいは、ひとつの先蹤となるかもしれない。」
井上靖
男75歳
8 「かなり高いものを覘った野心的な作品ではあるが、最後まで読むには、私などは努力を要する」「私自身、積極的には推さなかったが、しかし視点を変えれば、推すに吝かでないものも持っている。」
遠藤周作
男59歳
21 「無難な当選作ではない。現に選衡委員会で評価は三対四にわかれた。三は否であり四はよしとした。」「この小説を佐川君の心の内容ではなく佐川事件から触発された作者の気持と、祖母とオハラに代表される仲介者を書こうとした小説だと見て、その遊びを評価した人はこの作品を肯定した。」「(引用者注:私は)この作品にはついていけなかったが、作者の才能を評価するにはやぶさかではない。」
開高健
男52歳
23 「第一回の採点が4点。」「第二回も4点。」「上質の軽みを含んだその文体はメリ、ハリをきかせて達者である。」「では、スケッチを超える要素についてはというと、竜頭蛇尾というしかない。」「丸谷氏の意見はアタマからダメの一語。安岡氏の意見は、結論としては週刊誌の記事にすぎぬという。開高氏の意見では、取材メモに一本半ぐらいの毛が生えた程度のモノということであった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号)
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