芥川賞のすべて・のようなもの
選評の概要
137138139140.
141142143144145.
146147148149150.
151152153154155.
156.
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Last Update[H28]2016/12/20

小川洋子
Ogawa Yoko
生没年月日【注】 昭和37年/1962年3月30日~
在任期間 第137回~(通算10年・20回)
在任年齢 45歳3ヶ月~
経歴 旧姓=本郷。岡山県岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒。川崎医科大学教員秘書室を経て、結婚、昭和63年/1988年に海燕新人文学賞を受けて作家デビューを果たす。
受賞歴・候補歴
  • 第7回海燕新人文学賞(昭和63年/1988年)「揚羽蝶が壊れる時」
  • |候補| 第101回芥川賞(平成1年/1989年上期)「完璧な病室」
  • |候補| 第102回芥川賞(平成1年/1989年下期)「ダイヴィングプール」
  • |候補| 第103回芥川賞(平成2年/1990年上期)「冷めない紅茶」
  • |候補| 第12回野間文芸新人賞(平成2年/1990年)『冷めない紅茶』
  • 第104回芥川賞(平成2年/1990年下期)「妊娠カレンダー」
  • |候補| 第25回泉鏡花文学賞(平成9年/1997年)『ホテル・アイリス』
  • 第55回読売文学賞[小説賞](平成15年/2003年)『博士の愛した数式』
  • |候補| 第8回木山捷平文学賞(平成16年/2004年)『博士の愛した数式』
  • 第1回2004年本屋大賞(平成16年/2004年)『博士の愛した数式』
  • 第32回泉鏡花文学賞(平成16年/2004年)『ブラフマンの埋葬』
  • |候補| 第31回川端康成文学賞(平成17年/2005年)「海」
  • 第42回谷崎潤一郎賞(平成18年/2006年)『ミーナの行進』
  • |第7位| 第4回2007年本屋大賞(平成19年/2007年)『ミーナの行進』
  • |候補| 第33回川端康成文学賞(平成19年/2007年)「ひよこトラック」
  • |第5位| 第7回2010年本屋大賞(平成22年/2010年)『猫を抱いて象と泳ぐ』
  • |候補| 第36回川端康成文学賞(平成22年/2010年)「寄生」
  • |第5位| 第9回2012年本屋大賞(平成24年/2012年)『人質の朗読会』
  • 第63回芸術選奨文部科学大臣賞[文学部門](平成24年/2012年度)『ことり』
  • 第4回早稲田大学坪内逍遙大賞(平成25年/2013年)
  • |候補| The Independent Foreign Fiction Prize{インディペンデント外国小説賞/イギリス}(平成26年/2014年)『寡黙な死骸 みだらな弔い』(Stephen Snyder訳)
芥川賞候補歴 第101回候補 「完璧な病室」(『海燕』平成1年/1989年3月号)
第102回候補 「ダイヴィングプール」(『海燕』平成1年/1989年12月号)
第103回候補 「冷めない紅茶」(『海燕』平成2年/1990年5月号)
第104回受賞 「妊娠カレンダー」(『文學界』平成2年/1990年9月号)
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

芥川賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 叔父さんの体温 総行数45 (1行=14字)
選考委員 小川洋子 女45歳
候補 評価 行数 評言
男37歳
35 「この語り手は小説に追いすがってもいないし、いじけてもいない。彼はやすやすと小説の枠を越え、ただひたすら叔父さんの発する声の響きにのみ耳を澄ませた。」「私が最も心惹かれたのは、言語の問題が、他人や社会との関わり合いの難しさを描く方向へ向かっていない点だった。」「初めての選考で『アサッテの人』に出会えたのは幸運だった。」
選評出典:『文藝春秋』平成19年/2007年9月号
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芥川賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 余計なお世話 総行数47 (1行=14字)
選考委員 小川洋子 女45歳
候補 評価 行数 評言
女31歳
25 「目の前にある、具体的な形を持つ何かを書き表わす時、その輪郭をなぞる指先が、独特の威力を持つ。勝手気ままに振る舞っているように見せかけながら、慎重に言葉を編み込んでゆく才能は見事だった。」「ただ、読み終えた時、もしこれが母娘の関係を描くのではなく、巻子さんの狂気にのみ焦点を絞った小説だったら……と想像してしまった。(引用者中略)しかしこれは、全くの余計なお世話である。」
田中慎弥
男35歳
7 「梅子が、私は忘れられない。性的な言葉を放出しながら他者を蔑む彼女の存在感は圧倒的だった。たとえ古臭いと言われても、構わず行けるところまで行ってほしい。」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年3月号
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芥川賞 139 平成20年/2008年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数49 (1行=14字)
選考委員 小川洋子 女46歳
候補 評価 行数 評言
磯崎憲一郎
男43歳
22 「磯崎さんの作り出す世界から立ち上ってくる現実は、不条理などという便利な言葉でくくれない不気味さをはらんでいる。偶然の恩恵を拒否し、すべてを敢えて宙吊りにしておく勇気に、私は才能を感じた。」「受賞に相応しいと、一生懸命奮闘したつもりだが、力及ばず、残念だった。」
女44歳
21 「浩遠の苦悩は、内側に深まってゆかない。(引用者中略)外へ外へと拡散する方向にのみ動いてゆく。最初、その点が不満だったが、国家に踏みにじられる状況をただ単に嘆くのではなく、一歩でもそこから脱出しようとする彼の生気のあらわれだとすれば、納得できると思った。」「平成の日本文学では書き表すことが困難なさまざまな風景が、楊さんの中には蓄えられているに違いない。」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年9月号
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芥川賞 140 平成20年/2008年下半期   一覧へ
選評の概要 間違いないこと 総行数54 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女46歳
候補 評価 行数 評言
墨谷渉
男36歳
19 「最も興味深く読んだ。内面を表現する手段としての暴力ではなく、単なる肉体的運動としての暴力を描写している点がユニークだった。」「最も魅力的なのは、亜佐美が陰嚢の断面図を思い浮かべている場面だった。「潰玉」が真に意味を持つためには、この冷やかに光る医学用語に対抗できる文章が必要だったのだろう。」
女30歳
4 「津村さんはこれからどんどん書いてゆくだろう。それは間違いないことであるし、一番大事なことである。」
選評出典:『文藝春秋』平成21年/2009年3月号
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芥川賞 141 平成21年/2009年上半期   一覧へ
選評の概要 人格の拒否 総行数52 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女47歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
24 「あらゆる出来事は、まるであらかじめ定められていたかのように起こるべくして起こる。人間の人格など何の役にも立たない。その当然の摂理が描かれると、こんなにも恐ろしいものなのか、と立ちすくむ思いがする。」
選評出典:『文藝春秋』平成21年/2009年9月号
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芥川賞 142 平成21年/2009年下半期   一覧へ
選評の概要 どこかに甘えが 総行数79 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女47歳
候補 評価 行数 評言
大森兄弟
男男34歳33歳
27 「唯一の丸をつけた。主人公僕の幼い語り口とは対照的に、彼がとらえる世界のありようはあまりにもいびつで入り組んでいて、死臭に満ちている。(引用者中略)言葉を持たない者が一人ぽつんと取り残された時、本来そこにあるべきでない何かを掘り返してしまうのではないか。犬が広場で腐敗した肉を掘り起こすように。そんな恐怖が見事に描かれている。」
選評出典:『文藝春秋』平成22年/2010年3月号
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芥川賞 143 平成22年/2010年上半期   一覧へ
選評の概要 人形とストップウォッチ 総行数199 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女48歳
候補 評価 行数 評言
女35歳
163 「アンネにとっての密告と、女子大生の間の告げ口では恐怖のレベルが違いすぎる、という意見もあった。そう、確かにその通りだと思う。ただ、赤染さんはレベルの違う恐怖の間をつなぐ、細い糸を丹念にたどっている。」「目の前の人物を最も的確に表現できるものとして、人形とストップウォッチを選ぶ赤染さんは、社会の貼るレッテルに惑わされず、人間の真実を描写できる作家であろう。」
  「最初の投票から『乙女の密告』が最も多くの点数を集め、その流れのまま受賞作と決まったのだから、結果だけ見れば穏便な選考会だったと言えるのかもしれないが、実際、議論の場ではかなり熱い言葉が行き交った。」
選評出典:『文藝春秋』平成22年/2010年9月号
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芥川賞 144 平成22年/2010年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数87 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女48歳
候補 評価 行数 評言
女26歳
25 「『きことわ』の人物たちにはまるで質量がないかのようだ。」「古生代から現代まで、葉山の坂の上からマリアナ海溝まで、時は自由自在に移動するが、ふと気づくと、結局は小さな淀みの中をひととき漂っていただけなのかもしれない、という不思議な感触が残る。」
男43歳
9 「存在感の濃さで言えば、『苦役列車』の貫多も(引用者注:『母子寮前』の「父親」に)負けてはいない。」「肉体はむせるほどの汗と酒のにおいを発し、彼自身そのおざましさを持て余している。」
選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年3月号
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芥川賞 145 平成23年/2011年上半期   一覧へ
選評の概要 小説らしきもの 総行数89 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女49歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『文藝春秋』平成23年/2011年9月号
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芥川賞 146 平成23年/2011年下半期   一覧へ
選評の概要 浮き上がってきた模様 総行数86 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女49歳
候補 評価 行数 評言
男39歳
35 「小片たちがつなぎ合わされ、一枚のパッチワークが縫い上がり、さてどんな模様が浮き出してきたかと楽しみに見つめてみれば、そこには模様など何も現れていなかった。」「もし自分の使っている言葉が、世界中で自分一人にしか通じないとしても、私はやはり小説を書くだろうか。結局、私に見えてきた模様とは、この一つの重大な自問であった。」
男39歳
21 「二人の男性を取り囲む女性たちは、田中さんにしか表せない存在感を放っている。」「古典的なテーマでありながら尚、新鮮な力で読み手を引っ張るのは、父親ではなく、彼女たちの生命力あふれる手と、失われた手と、義手なのだ。」
選評出典:『文藝春秋』平成24年/2012年3月号
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芥川賞 147 平成24年/2012年上半期   一覧へ
選評の概要 計器の針が指し示すもの 総行数84 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女50歳
候補 評価 行数 評言
山下澄人
男46歳
46 「最も興味深く読んだ。」「母が死んだ時、“わたし”は病院の廊下にある計器の目盛を眺める。次の段落で彼は、目盛を確認する夜警の仕事に就いている。この静かな飛躍に、作品の魅力が凝縮されている気がする。」「“わたし”はまるで言葉を持たない動物のように振る舞う。彼の姿は饒舌な人間よりずっと深く胸に突き刺さってくる。」
女35歳
23 「奈津子の語りを上手くコントロールし、陳腐になりかねないテーマの壁を超えてもう一歩先の地点に到達している。」「作品全体を覆う緊迫した不穏さは、独自の魅力を放っている。鹿島田さんにしか描けない世界だと思う。」
選評出典:『文藝春秋』平成24年/2012年9月号
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芥川賞 148 平成24年/2012年下半期   一覧へ
選評の概要 語っているのは誰なのか 総行数90 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女50歳
候補 評価 行数 評言
女75歳
27 「身についた言葉を一旦忘れて、あるいは忘れた振りをして書く、とは何と不思議な試みだろうか。たとえ語られる意味は平凡でも、言葉の連なり方や音の響きだけで小説は成り立ってしまうと、『abさんご』は証明している。この小説を読むことは、私にとって死者の語りに身を委ねるのに等しかった。」
選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年3月号
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芥川賞 149 平成25年/2013年上半期   一覧へ
選評の概要 二作を推す 総行数88 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女51歳
候補 評価 行数 評言
女33歳
37 「(引用者注:「すなまわり」と共に)推した。」「『爪と目』が恐ろしいのは、三歳の女の子が“あなた”について語っているという錯覚を、読み手に植えつける点である。しかも語り口が、報告書のように無表情なのだ。弱者であるはずの“わたし”は、少しずつ“あなた”を上回る不気味さで彼女を支配しはじめる。二人がラスト、“あとはだいたい、おなじ”の一行で一つに重なり合う瞬間、瑣末な日常に走る亀裂に触れたような、快感を覚えた。」
鶴川健吉
男31歳
42 「(引用者注:「爪と目」と共に)推した。」「『すなまわり』の主人公は、挫折も成長も拒否する。傷ついた自分を哀れんだり、希望を見出そうとしてもがいたり、理不尽な他者を攻撃したりしない。自分の居場所をただありのままに描写するだけだ。にもかかわらず、彼の抱える空虚さがひっそりと浮かび上がって見えてくる。」
選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年9月号
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芥川賞 150 平成25年/2013年下半期   一覧へ
選評の概要 見返りに失った何か 総行数152 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女51歳
候補 評価 行数 評言
岩城けい
女42歳
57 「(引用者注:「コルバトントリ」と共に)推した。」「生物の中で唯一言語を持ってしまった人間は、見返りに何を失ったのか。進化の過程でただ一人、特異な方向を選んだ者は、繰り返し何度でも分かれ道に立ち返り、選択の意味を問い直す必要がある。作家はその失われた何かを求めるため、言葉で小説を書かなければならない。」
山下澄人
男47歳
38 「(引用者注:「さようなら、オレンジ」と共に)推した。」「本来記憶は混乱しているものであり、小説は時間の流れから人を解放するものではあるが、“ぼく”の描く無邪気なほどに自在な軌跡は、山下さんにしか表現できない模様を浮かび上がらせている。何を言われようと、山下さんが目指す方向へ、果ての果てまで突き進んで行ってほしい。」
女30歳
28 「人はしょっちゅう穴に落ちている。けれど面倒がって、落ちなかった振りをしたり、そもそも穴など開いていなかったと思い込んでいる。取り繕おうとすればするほど滑稽な振る舞いになるのにも、気づいていない。不穏の底からじわじわと滑稽さがにじみ出てくるまで、もう少しじっくりその場に踏みとどまれる小説であったなら、迷いなく一番に推しただろう。」
選評出典:『文藝春秋』平成26年/2014年3月号
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芥川賞 151 平成26年/2014年上半期   一覧へ
選評の概要 自らを鏡にする 総行数87 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女52歳
候補 評価 行数 評言
戌井昭人
男42歳
40 「力みのない、とぼけた味わいを装いながら、実は丁寧に組み立てられた小説だ。」「この作品が成功した一番の要因は、救いようのない駄目な自分を抑制し、老人にお灸を売りつけている善人ぶりを、語り手が十分に意識している点にあると思う。」「以前の候補作に見られた、人の愚かさを生のまま放置する、これみよがしなところが消え、今回こそ受賞にふさわしいと思ったが、かなわなかった。残念でならない。」
女40歳
7 「柴崎さんは自分が書くべきものを確かにつかんでいる。それを掌の肉に食い込むまで強く握り締めている。その痛みを決してこちらに見せようとしない柴崎さんの粘り強さに、祝福を贈りたい。」
選評出典:『文藝春秋』平成26年/2014年9月号
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芥川賞 152 平成26年/2014年下半期   一覧へ
選評の概要 大地からの声 総行数87 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女52歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
37 「たった一度のカナダ旅行の記憶が取り込まれることにより、物語にいっそうの奥行きが生まれた。旅の思い出としては何の魅力もないはずの一瞬が、小さな光となって希敏とさなえに少しずつ射し込んでくる。」「何ものかの計らいにより、九年前の祈りがさなえの背後に立つ悲しみと響き合う時、彼らが立つ地面の温もりが伝わってくるようだった。」
選評出典:『文藝春秋』平成27年/2015年3月号
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芥川賞 153 平成27年/2015年上半期   一覧へ
選評の概要 語り手の位置 総行数84 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女53歳
候補 評価 行数 評言
滝口悠生
男32歳
30 「ほんのわずかの差で(引用者中略)受賞を逃したのは、残念なことだった。」「滝口さんにしか生み出せない独自の光を放っていた。特に、楽器の使われ方が印象深い。過去と楽器が結び付く時、思い出せない空白にあふれている記憶の強度が増し、肉体的な実感を持って時間が動きはじめる。」
男35歳
16 「『火花』の語り手が私は好きだ。」「他人を無条件に丸ごと肯定できる彼だからこそ、天才気取りの詐欺師的理屈屋、神谷の存在をここまで深く掘り下げられたのだろう。『火花』の成功は、神谷ではなく、“僕”を見事に描き出した点にある。」
男29歳
11 「評価は、幼稚な健斗をどれだけ受け入れられるかにかかっていた。その上で、とぼけたユーモアのある小説にも、あるいは祖父と孫の間に不気味な闇が立ち上ってくる小説にもなる可能性があった。しかし結局、そのどちらにもなりきれなかったのでは、との思いが残った。」
選評出典:『文藝春秋』平成27年/2015年9月号
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芥川賞 154 平成27年/2015年下半期   一覧へ
選評の概要 目に映ったままをただ見る 総行数84 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女53歳
候補 評価 行数 評言
男33歳
37 「『死んでいない者』を語っているのは誰なのか。もしかしたら滝口さんにも正体は分からないのかもしれない。その不親切ゆえに生じるあいまいさを、私は魅力と受け取った。」「記憶していることより、忘れてしまったことの方がより鮮明な重みを持つ。そのことの不思議を滝口さんは描ける人なのだ。」
女36歳
14 「旦那が醸し出す空気は気持悪いが、そういう夫を深く考えず丸飲みする妻は更に不気味だ。」「説話の形を借りることで、主人公の自意識が上手くコントロールされていたように思う。」
選評出典:『文藝春秋』平成28年/2016年3月号
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芥川賞 155 平成28年/2016年上半期   一覧へ
選評の概要 ただそれだけのこと 総行数82 (1行=13字)
選考委員 小川洋子 女54歳
候補 評価 行数 評言
今村夏子
女36歳
29 「増殖してゆく子供たちの気色悪さ、誕生日会に誰もやって来ない奇妙な欠落、あひると赤ん坊がすり替わるのではないかという予感。どれも書き手の意図から生まれたのではない。言葉が隠し持つ暗闇から、いつの間にかあぶり出されてきたのだ。そう思わせる底知れない恐ろしさが、この小説にはある。」「受賞に至らなかったのは残念だ。」
女36歳
26 「社会的異物である主人公を、人工的に正常化したコンビニの箱の中に立たせた時、外の世界にいる人々の怪しさが生々しく見えてくる。あるいは、明らかな奇人、白羽が主人公の部屋で一緒に暮らすうち、思いがけず凡庸な正体を露呈してしまう。あやふやな境界を自在に伸び縮みさせる、このあたりの展開を面白く読んだ。」
選評出典:『文藝春秋』平成28年/2016年9月号
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芥川賞 156 平成28年/2016年下半期   一覧へ
選評の概要 総行数未 (1行=字)
選考委員 小川洋子 女54歳
候補 評価 行数 評言
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