芥川賞のすべて・のようなもの
選評の概要
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Last Update[H26]2014/8/5

丸谷才一
Maruya Saiichi
生没年月日【注】 大正14年/1925年8月27日~平成24年/2012年10月13日・
在任期間 第79回~第93回、第103回~第118回(通算15.5年・31回)
在任年齢 52歳10ヶ月~59歳10ヶ月、64歳10ヶ月~72歳4ヶ月
経歴 山形県鶴岡市生まれ。東京大学文学部英文科卒、同大学大学院修士課程修了。高校、大学で教鞭をとるかたわら、英文学の翻訳や、創作をつづける。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第57回芥川賞(昭和42年/1967年上期)「にぎやかな街で」
  • |候補| 第58回芥川賞(昭和42年/1967年下期)「秘密」
  • 河出文化賞(昭和42年/1967年)『笹まくら』
  • 第59回芥川賞(昭和43年/1968年上期)「年の残り」
  • 第8回谷崎潤一郎賞(昭和47年/1972年)『たった一人の反乱』
  • 第25回読売文学賞[評論・伝記賞](昭和48年/1973年)『後鳥羽院』
  • 第46回文藝春秋読者賞(昭和59年/1984年)「鼎談書評」(木村尚三郎・山崎正和鼎談)
  • 第38回野間文芸賞(昭和60年/1985年)『忠臣蔵とは何か』
  • 第15回川端康成文学賞(昭和63年/1988年)「樹影譚」
  • 第40回芸術選奨文部大臣賞[評論その他部門](平成1年/1989年度)『光る源氏の物語』《大岡晋対談》
  • The Independent Foreign Fiction Prize{インディペンデント外国小説賞/イギリス}[特別賞](平成3年/1991年)『横しぐれ』(Dennis Keene訳)
  • 第26回大佛次郎賞(平成11年/1999年)『新々百人一首』
  • 第49回菊池寛賞(平成13年/2001年)
  • 第31回泉鏡花文学賞(平成15年/2003年)『輝く日の宮』
  • 朝日賞(平成15年/2003年度)"『輝く日の宮』にいたる多年の文学的業績"
  • 文化功労者(平成18年/2006年)
  • 第61回読売文学賞[研究・翻訳賞](平成21年/2009年)ジェイムズ・ジョイス『若い藝術家の肖像』
  • 文化勲章(平成23年/2011年)
個人全集 『丸谷才一全集』全12巻(平成25年/2013年10月~平成26年/2014年9月・文藝春秋刊)
芥川賞候補歴 第57回候補 「にぎやかな街で」(『文芸』昭和42年/1967年3月号)
第58回候補 「秘密」(『文學界』昭和42年/1967年9月号)
第59回受賞 「年の残り」(『文學界』昭和43年/1968年3月号)
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

芥川賞 79 昭和53年/1978年上半期   一覧へ
選評の概要 人情話と教養小説 総行数31 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男52歳
候補 評価 行数 評言
男50歳
9 「ずいぶん上手な人情話である。これだけの技巧を見せられたら、いちおう感心するのが見物の態度だらう。さういふ意味でわたしは票を入れた。」「ただし、おしまひのところがいかにも芸がない。」「終り方がをかしいせゐで、女主人公のイメージが狂つて来るし、それに、後味がずいぶん悪くなるのである。」
男30歳
2 「格別の感想が浮ばなかつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和53年/1978年9月号)
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芥川賞 80 昭和53年/1978年下半期   一覧へ
選評の概要 『秋月へ』の魅力 総行数33 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男53歳
候補 評価 行数 評言
丸元淑生
男44歳
15 「二つの趣向が新しい。第一は曾祖父が秋月の乱の反逆者だといふことからはじまる、家の歴史の研究である。」「第二は、主人公である少年が威勢のいい勇敢な少年であることで、すなはちこれは一篇のピカレスク・ロマン(悪者小説)として読めないこともない。」「現代小説が自閉症的な内向性に閉ぢこもつてゐるとき、かういふ作風はまことに小気味よいものだと思ふ。いろいろ欠点はあるにしても、この楽しさを無視することはわたしにはできなかつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年3月号)
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芥川賞 81 昭和54年/1979年上半期   一覧へ
選評の概要 四つの作品 総行数30 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男53歳
候補 評価 行数 評言
男35歳
7 「前回にくらべて急に腕をあげました。この調子で進めばかなりのところまでゆくかもしれないといふ気持になつて、つい点が甘くなります。しかし、(引用者中略)総じて言へば、体力は申し分ないが運動神経はあまりない運動選手を見てゐるやうな感じでした。」
女52歳
12 「童話です。童話仕立ての小説と言つてもいい。」「さういふ性格のものとしてはいちおうまく出来てゐますが、しかし童話特有の恐しさはありません。たぶんこの作者は、前作のあと味の悪さを捨てようとした結果、苦りのきいてゐない小説を書くことになつたのでせう。そのことをわたしはいささか残念に思ひますが、しかしこの作に見られる優しさはやはり嬉しい。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和54年/1979年9月号)
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芥川賞 82 昭和54年/1979年下半期   一覧へ
選評の概要 対照的な二作 総行数30 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男54歳
候補 評価 行数 評言
女51歳
10 「いちおう無難に出来てゐるソツのない小説なのだらうが、わたしには印象の薄い作品であつた。在来の日本の小説の書き方を大人しく習ひ覚えて、ちよつと変つた題材に当てはめただけといふ気がして仕方がない。」「殊にいけないのは文体に冴えがないことで、素人としては上手な部類にはいるのかもしれないが、小説家の文章ではない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和55年/1980年3月号)
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芥川賞 83 昭和55年/1980年上半期   一覧へ
選評の概要 文学的エネルギー 総行数32 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男54歳
候補 評価 行数 評言
丸元淑生
男46歳
20 「よいと思つた」「主人公と二人の息子の関係が情理兼ね備つた書き方で、感動的です。しかし二人の女との関係はどうも感心しない。」「が、さういふ欠点はあるものの、八方やぶれで無鉄砲な男の生き方と、その男の知的な側面とを、あはせ描いてゐるところがおもしろい。」
  「わたしは、この三人の作家(引用者注:丸元淑生、村上春樹、尾辻克彦)が持つてゐる文学的エネルギーを信用してゐます、」「現在のやうな文学的転換期では、万人むきの無難な作品よりもむしろ、破綻のある作品を書くしかなかつたエネルギーを尊重したいと考へるのです。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和55年/1980年9月号)
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芥川賞 84 昭和55年/1980年下半期   一覧へ
選評の概要 他愛もない話、実のある話 総行数35 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男55歳
候補 評価 行数 評言
丸元淑生
男46歳
11 「(引用者注:「父が消えた」の他に)わたしが推したもう一篇」「実を言ふと(引用者注:授賞作より)こちらのほうが上だと思つたが、賛同を得られなかつた。」「いはゆる滑稽小説にありがちな、おどけや誇張をしりぞけて書いてゐるところがおもしろい。殊にいいのは構成がしつかりしてゐること」
男43歳
24 「かなりの出来ばえのものである。話術はいよいよ巧みになり、感受性は相変らず新鮮である。それゆゑ尾辻氏の受賞にはいちおう異存がない。」「尾辻氏の作風は他愛もない話を書くところに一番の値打があつた。」「しかし今度の作品は、父の死といふ切実な題材を、もちろんずいぶんしやれた手つきで持ち込むことによつて、強引に芯を作つてゐる。」「この書き方では、易きについたといふ印象を受けるのである。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和56年/1981年3月号)
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芥川賞 85 昭和56年/1981年上半期   一覧へ
選評の概要 反小説的な試み 総行数27 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男55歳
候補 評価 行数 評言
女42歳
17 「小説としては中身があまりにも他愛ないが、作者自身そんなことは百も承知で書いてゐるのが強味だらう。」「この坐りのよさは、おそらく、自分の本当に書きたいことを自分の書きたい流儀で書いたせゐで生じたものだらう。これは近頃珍しいことで、わたしはその珍しさに見とれながら、しかしそれにしてももうすこし何とかならないものかと惜しみつづけた。」
  「候補作八篇のうち二篇(引用者注:「小さな貴婦人」「金色の象」)だけがいくらかましで、あとの六篇は問題外だと思つた。どうしてこんなものが予選を通過したのだらうと狐につままれたやうな気持で考へこむのが読後感の大部分、といつた作品が多すぎる。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和56年/1981年9月号)
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芥川賞 86 昭和56年/1981年下半期   一覧へ
選評の概要 若者たち 総行数22 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男56歳
候補 評価 行数 評言
  「今回もまたすこぶる低調であつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和57年/1982年3月号)
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芥川賞 87 昭和57年/1982年上半期   一覧へ
選評の概要 寂しい 総行数30 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男56歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和57年/1982年9月号)
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芥川賞 88 昭和57年/1982年下半期   一覧へ
選評の概要 茫然とする 総行数17 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男57歳
候補 評価 行数 評言
女46歳
8 「よくわかる。しかし、わかったからどうだと言うのか。ただそれだけの話ではないか。」「小説であるにしてはあまりにも苦りがきいてなさすぎる。」「口あたりのいい美談であって、温良な美談佳話を一篇の作品に仕立てるだけの力量はこの人にない。わたしは、赤の他人の卒業記念アルバムをくるときのような退屈を禁じ得なかった。」
男42歳
9 「わたしには何が何だかさっぱりわからなかった。」「話の筋には論理性がなく、登場人物は存在感を欠いている。文章は奇態な言いまわしが多く、言葉の選び方は妙によじれていた。」「わたしには縁のない作品だと言うしかないと述べて、そっと吐息をつく。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号)
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芥川賞 89 昭和58年/1983年上半期   一覧へ
選評の概要 無題 総行数19 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男57歳
候補 評価 行数 評言
  「候補作八篇、読み終えるのにずいぶん苦労した。個性があるものは文章が悪く、文章のいいものは個性が弱く、新味のあるものは作りがデタラメで、作りがきちんとしているものは古臭く……読んでいてすっかり厭になってしまうのである。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年9月号)
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芥川賞 90 昭和58年/1983年下半期   一覧へ
選評の概要 二作を推す 総行数27 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男58歳
候補 評価 行数 評言
平岡篤頼
男54歳
17 「時間のあつかい方が手際がよかった。」「それに主人公の自己批判があまりきびしくならず、つまり自己苛責という深刻な騒ぎにならないのも趣味がいい。残念なにはその時間感覚の探究が過去と現在の二つだけにとどまっていて、大過去がきれいに抜け落ちていることである。」「途中ですこし魅力が薄れてゆくのは惜しいけれど、これなら受賞作にしてもいいと思ったのだが、賛同を得られなかった。」
男47歳
8 「妙に不景気な小説で、しかも不景気の極、景気がよくなるという風情もない。」「どう見てもわたしの好みではないのだが、小説の作りが安定しているので推すことにした。これだけ古風な書き方でゆけば坐りがよくなるのは当り前のような気もするけれど、まあ文句は言わないことにしよう。」
女37歳
2 「書くに価するほどの感想が浮ばない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和59年/1984年3月号)
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芥川賞 91 昭和59年/1984年上半期   一覧へ
選評の概要 むやみに火をつけるな 総行数32 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男58歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和59年/1984年9月号)
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芥川賞 92 昭和59年/1984年下半期   一覧へ
選評の概要 作者の責任 総行数30 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男59歳
候補 評価 行数 評言
女45歳
30 「わたしの好みに合わない。」「たとえば癌の話。」「乳癌になっても医者に見せることをしないで死んでゆく人はいるかもしれない。いるならいるでいっこう構わない。しかしこの作者は、そういう覚悟で生きる、あるいは死ぬ、その人と、きちんとつきあっているだろうか。はなはだ心もとない気がする。」「作者は筋を作る都合のため、この作中人物を医者にかからせないでいる。しかし小説家には、作中人物をこんなふうにあつかう権利はないはずだ。」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和60年/1985年3月号)
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芥川賞 93 昭和60年/1985年上半期   一覧へ
選評の概要 不満を述べる 総行数31 (1行=26字)
選考委員 丸谷才一 男59歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和60年/1985年9月号)
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芥川賞 103 平成2年/1990年上半期   一覧へ
選評の概要 小説の功徳 総行数34 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男64歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
24 「われわれの文学の宿題みたいになつてゐるリアリズムからの脱出といふことを、かなりうまくやつてゐる。ごくありふれた商用の旅の記録が、冒険譚や童話の味になつてゆくのはおもしろい趣向で、わたしは小気味よい藝に喝采することになつた。」「どうやら、楽園あるいはユートピアあるいはいつまでもつづく幼年期といふ人類永遠の夢想の哀切さこそ、この物語の主題であるらしい。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成2年/1990年9月号)
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芥川賞 104 平成2年/1990年下半期   一覧へ
選評の概要 三作について 総行数37 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男65歳
候補 評価 行数 評言
女28歳
18 「人生といふ厄介な代物を妙な角度から見ようとする趣向がすばらしい。この着想は大いに賞揚されて然るべきものだ。」「しかし末尾の数枚には落胆した。グレープフルーツのジャムは妹の悪意の、むづかしく言へばオブジェクティヴ・コレラティヴ(客観的相関物)、うんと砕いて言へば小道具に、なつてゐるかしら。ずいぶん疑はしい。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年3月号)
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芥川賞 105 平成3年/1991年上半期   一覧へ
選評の概要 『体温』を推す 総行数31 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男65歳
候補 評価 行数 評言
多田尋子
女59歳
15 「感心した。デッサンが確かでディテイルがいい。筋の運びに無理がないし、そのくせ筋に綾をつけるつけ方がうまい。」「何しろ地味な作風なので古風に見えるかもしれないが、古くさくはない。」「このおだやかで安定した態度は注目に価する。」
男46歳
8 「眠りといふ軸と植物といふ軸と、二つの方向から探求しようとするのも適切な趣向である。しかしこれは前半までで、後半はこの探求の線が捨てられ(殊に植物への関心が失せ)、新式の機械のことだけで筋を運ぶ。この後半がわたしにはおもしろくなかつた。」
女34歳
8 「わたしには解しかねる作品であつた。登場人物間の関係が、表面的なことはよくわかるけれど、ちよつと深い層になると見当もつかない。どうやら、ユーモアのつもりのものが魂を描くことの邪魔をし、新しさを狙つたものが真実に迫ることを妨げてゐるらしい。」
選評出典:『芥川賞全集 第十五巻』平成14年/2002年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成3年/1991年9月号)
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芥川賞 106 平成3年/1991年下半期   一覧へ
選評の概要 驚いた 総行数34 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男66歳
候補 評価 行数 評言
女30歳
3 「関心の持てない作品だつた。わたしは推奨の言葉を聞きながらただ驚いてゐた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年3月号)
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芥川賞 107 平成4年/1992年上半期   一覧へ
選評の概要 何か健気な感じ 総行数33 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男66歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
25 「小説といふよりはむしろスケッチに近い作柄だが、これはこれでよい。」「まづ目につくものは、車輌といふ無機的なものを相手にしてゐるため、一体に鉱物的な材質感がつきまとふことである。しかし作品全体の肌合ひは冷たくない。実はこれが急所である。」「この主人公の名前は紹介されてゐない。その点では抽象的な人格である。しかし名前を知らないで、かへつてこの青年への親愛感が強まるのは、おもしろい工夫だつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成4年/1992年9月号)
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芥川賞 108 平成4年/1992年下半期   一覧へ
選評の概要 四作を評す 総行数34 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男67歳
候補 評価 行数 評言
女32歳
9 「文体と趣向はおもしろいなと思つたものの、そのおもしろさがつづいたのは前半だけだつた。そのさきへ進むと、登場人物たちも急に魅力を失ひ、意味ありげな筋もなげやりな話の運びに変る。」「この作家が作風を転換して、風通しをよくしたのには大賛成だが、技術がそれについて行つてゐない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成5年/1993年3月号)
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芥川賞 109 平成5年/1993年上半期   一覧へ
選評の概要 反対しない 総行数26 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男67歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
26 「いちおう恰好がついてゐるし、手堅く書いてある。」「好感を持たれるのは当然だが、しかしわたしはむしろそこに不満を感じた。色調が全体にくすんでゐて、派手なところがまるでないのである。」「全体が論理的に組立てられてゐるのはいいけれど、その論理が展開してゆかない感じなのも気に入らなかった。」「しかし六篇の候補作中、一つだけ抜きんでた作品であるし(引用者中略)有望な新人だと思ふので、受賞には反対しなかつた。」
  「今回は一般に低調だつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成5年/1993年9月号)
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芥川賞 110 平成5年/1993年下半期   一覧へ
選評の概要 引間徹さんを推す 総行数27 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男68歳
候補 評価 行数 評言
引間徹
男29歳
20 「久方ぶりに属望するに足る才能に出会つたといふ気がする。」「第一に発想がいいし、筋の展開がいちいち気がきいてゐる。」「第二に登場人物たちがみな隣人のやうになつかしい。」「第三に文章が、ときどき変なこともあるけれど、全体としてはしつかりしてゐて、着実に前へ進む。第四に、いまの日本人の生活感、をかしな時代に生きて困つてゐる感じがよくつかまへてある。」
男37歳
7 「この前の『三つ目の鯰』のほうがよかつた。登場人物が生き生きしてゐたし、ゆつたりした感じで呼吸してゐて、親愛感をいだくことができた。」「受賞はまことにめでたいことだが、これを機会にあの『三つ目の鯰』の調子に戻つてもらひたいと思ふ。」
選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成6年/1994年3月号)
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芥川賞 111 平成6年/1994年上半期   一覧へ
選評の概要 結末が惜しかつた 総行数35 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男68歳
候補 評価 行数 評言
小浜清志
男43歳
10 「前近代と近代とがいりまじつてゐる生き方をとらへようとしたもので、着眼点がよく、野心が大きい。」「物語の展開に無理な部分もあるが、それでも共同体と個人の関係、習俗と生活とのかかはりあひをうまく写してゐて、わたしには興味深かつた。」
女38歳
17 「じつに惜しいところで佳作になりそこねてゐる短篇小説です。もちろん前作よりずつといい。」「むきだしな感覚の氾濫を、分別と才覚によつて口当りよく水わりにして、ただしちつとも水つぽくしなかつたところがすばらしい。」「しかしかういふ具合に、横へ横へと感覚をずるずるつないでゆく作風は(文章の藝のかずかずはじつに見事なのですが)、おしまひにうんと花やかな業を一つ決めてくれなければ見物衆が困ります。」
男39歳
8 「作品の世界へはいつてゆけなくて困りました。評論体の小説といふのはわたしの縄張りのはずなのだが、読んでゐてどうも力がこもらないのですね。いろんな本の話もピンと来なかつたし、登場人物たちも印象が淡かつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成6年/1994年9月号)
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芥川賞 112 平成6年/1994年下半期   一覧へ
選評の概要 激励と嘆息 総行数27 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男69歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成7年/1995年3月号)
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芥川賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 二人の新人 総行数34 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男69歳
候補 評価 行数 評言
男38歳
17 「文章が明快でいいし、作風が素直でそのくせ意外にたちが悪い。」「しかし人生そのものはこんな調子だとしても、小説のなかの人生としてはこれでは退屈なのぢやないか。小説のなかに生の人生を切り取つて貼付けたとて、それが小説家の手柄なのかしら。」「保坂さんはずいぶん苦労してゐるやうだが、実はもう一工夫なければならない。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成7年/1995年9月号)
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芥川賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 三作の読後感 総行数33 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男70歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
8 「前半は非常によかつたが、後半は崩れてゐる。生命力の奔騰を描いて読者を刺戟し、さあこれからどうなるのかと期待させて置きながら、決着がうまくついてゐない。」「文章も後半は傷が目立つて痛々しかつた。しかし属望に価する新人だとは思ふ。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年3月号)
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芥川賞 115 平成8年/1996年上半期   一覧へ
選評の概要 『蛇を踏む』のこと 総行数32 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男70歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
21 「文句のつけやうのない佳品である。有望な新人を推すことができて嬉しい。」「普通、変形譚といふと何か危機的な感じがするものだけれど、ごく日常的な感じである。」「普段の暮しのなかにたしかにある厄介なもの、迷惑なものを相手どらうとしてゐる。それがじつに清新である。」「書き出しもよく、真中もよく、結末もうまい。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成8年/1996年9月号)
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芥川賞 116 平成8年/1996年下半期   一覧へ
選評の概要 理の裏づけ 総行数36 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男71歳
候補 評価 行数 評言
女28歳
16 「設定の基本にいろいろと無理がある。たとへば制作の費用はどういふ資本によるのか、映画の配給はどうなる見通しなのか、その他あれやこれやのことが一切わからず、読者は不安で仕方がない。」「親愛感ないし現実感の持てる登場人物は一人もゐないし、筋の展開はどう見ても乱暴である。わたしはこの小説的世界において生きることができなかつた。」
男37歳
23 「(引用者注:「家族シネマ」より)もつとリアリティがない。」「この語り手の教養に合せて文体を選んだと見るのならば、これだけ言語能力の低い者の一人称で小説を書かうとした作者の責任が問はれなければならない。」「小説全体もこの文章にふさはしく意味不明で、主人公行状も語り手の感慨もいちいちわけがわからなかつた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成9年/1997年3月号)
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芥川賞 117 平成9年/1997年上半期   一覧へ
選評の概要 をととひのへちまの水 総行数33 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男71歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
17 「徳正の右足がふくれて踵から絶え間なく水がしたたり、さうしてゐるうちにベッドのそばに兵隊たちが立ち、そして彼らと彼との因縁、といふあたりまではなかなかよかつた。」「しかし足から出る水が毛生え薬になつて、それで儲ける段になると、想像力の動き具合が急に衰へる。」「これは小説を発想する力に恵まれてゐる人が、しかしそれを構築し展開し持続する修練を経てゐないため、惜しい結果になつたものである。」
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成9年/1997年9月号)
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芥川賞 118 平成9年/1997年下半期   一覧へ
選評の概要 弓さんと藤沢さん 総行数31 (1行=24字)
選考委員 丸谷才一 男72歳
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第十八巻』平成14年/2002年10月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成10年/1998年3月号)
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