芥川賞のすべて・のようなもの
第46回
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昭和36年/1961年下半期
(昭和37年/1962年1月23日決定発表/『文藝春秋』昭和37年/1962年3月号選評掲載)
選考委員  瀧井孝作
男67歳
石川達三
男56歳
中村光夫
男50歳
丹羽文雄
男57歳
永井龍男
男57歳
舟橋聖一
男57歳
井上靖
男54歳
井伏鱒二
男63歳
佐藤春夫
男69歳
川端康成
男62歳
選評総行数  37 30 28 26 13 43 26 19 31  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
宇能鴻一郎 「鯨神」
99
男27歳
13 22 10 7 3 20 11 9 18    
吉村昭 「透明標本」
106
男34歳
4 0 3 7 3 8 6 4 14    
久保輝巳 「海の屑」
62
男33歳
3 0 7 0 6 0 5 2 3    
木野工 「凍(しばれ)
93
男41歳
3 0 0 4 0 0 0 0 0    
洲之内徹 「終りの夏」
124
男49歳
3 0 0 3 0 0 0 0 0    
谷口茂 「めじろ塚」
76
男28歳
3 0 5 0 0 0 0 0 0    
田久保英夫 「解禁」
143
男33歳
3 0 5 3 0 11 0 12 0    
大森光章 「王国」
123
男39歳
7 0 0 3 0 2 4 0 2    
              欠席   欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和37年/1962年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
瀧井孝作男67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
異色のもの 総行数37 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
13 「恋敵・仕事敵の腕比べなども描いて、大衆向の読物とも見える。」「大体は、若気の至りの粗大なものだろうが、向うみずの盲目の情熱と、野放図のたくましい構想力とは、また異色のもののようで、捨て難い。このようなものも、稀にたまには有ってもよいと思った。この粗大が、はびこっては困るが。」「今回は又ナシでは淋しいので、「鯨神」は賛成も多いようで、僕は敢えて、当選の方に、努めたが。」
吉村昭
男34歳
4 「腐爛死体を解きほぐす職業などを、こんなに熱心に描いた、その動機がよくわからず、読みながら気味のわるいイヤな感じがした。明瞭に描いた、デッサンの手腕は認めるが。」
久保輝巳
男33歳
3 「素直な筆だが、まだ淡いようだ。文学にキツイ冴えが出るのを待つ。」
木野工
男41歳
3 「北海道の積雪の鴉の飢えが、なまじいに小説に仕組まれてあるのが、筆のくだくだしさと共に、スッキリしなかった。」
洲之内徹
男49歳
3 「中年の男と少女との恋のあそび、メロドラマのような、微温の味を出そうとしたものか。ぬるま湯だ。」
谷口茂
男28歳
3 「目白の群鳥と田舎の少年のあそびに、肺病の職工を加えて、手軽に小説にまとめた、手法の幼稚なものだ。」
田久保英夫
男33歳
3 「この小説の繊細な心持も捨て難い」
大森光章
男39歳
7 「一番佳いと思った。」「前回の「名門」は、まだ文章の力が弱くて、採れなかったが、この「王国」は、北海道の冬の山の雪げしきが、精彩のある筆で、文章に作者の生地が出て、佳かった。」
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
丹羽文雄
永井龍男
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
佐藤春夫
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選考委員
石川達三男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
銓衡の困難 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
22 「物語性も豊富で、一種の香気もあり、才気ゆたかな作家であるとは思いながらも、容易に私たちが当選を承知できなかったのは、この作品の裏に作者の悲しみも憤りも慨きも、そういうどっしり(原文傍点)とした動かすべからざるものが、何もないような不満を感じていたからではないだろうか。」「私のこのおせっかい(原文傍点)めいた忠告が宇能君によって理解されないようならば、マス・コミの攻勢に会って、彼はたちまち売文業者に転落して行くだろう。」
吉村昭
男34歳
0  
久保輝巳
男33歳
0  
木野工
男41歳
0  
洲之内徹
男49歳
0  
谷口茂
男28歳
0  
田久保英夫
男33歳
0  
大森光章
男39歳
0  
  「芥川賞の銓衡がだんだん困難になって来たような気がする。」「候補作品のなかに作者の才気や技巧によって書かれたようなものが幾つも見受けられ、作者がみずからの魂をもって書いたという風な作品が殆ど見られない、その事が選者に物足らない感じを与えるのではないかとも考えられた。(これはマス・コミ時代の悪い影響であるかも知れない。)」
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他の選考委員
瀧井孝作
中村光夫
丹羽文雄
永井龍男
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
佐藤春夫
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選考委員
中村光夫男50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
背丈がたりない 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
10 「巨鯨と人間の闘いという、古い文学的テーマを奔放な若々しい筆致で仕上げたところに、人真似でない熱情と個性が感じられ、なにかをする人であろうという期待はよせられます。」「文章そのものに、絵で言うと、絵具の質の悪いようなところがあるのが、一番気がかりです。しかしいわゆる芸術家でないところにこの人の新しさがあるのかも知れません。」
吉村昭
男34歳
3 「作者の手練はたしかに感じられますが、モチイフの明かでない作品で、異常な一人物の生態が、ただのお話という、感銘しかあたえません。」
久保輝巳
男33歳
7 (引用者注:「解禁」「めじろ塚」「海の屑」は)みなそれぞれにいい気になっていて、それが作品に生きていない感じです。素朴で細工のない「海の屑」が一番気持よく読めるのはそのせいでしょう。」
木野工
男41歳
0  
洲之内徹
男49歳
0  
谷口茂
男28歳
5 (引用者注:「解禁」「めじろ塚」「海の屑」は)みなそれぞれにいい気になっていて、それが作品に生きていない感じです。」
田久保英夫
男33歳
5 (引用者注:「解禁」「めじろ塚」「海の屑」は)みなそれぞれにいい気になっていて、それが作品に生きていない感じです。」
大森光章
男39歳
0  
  「今回は予選を通過した作家に新顔が少なく、二度目三度目の人が過半をしめたのが特色でした。」「そのせいか出来栄えが平均しているわりに、新鮮な傑出した作品がなく、候補作としては全部文句なくみとめられても、積極的に当選させたいものは、見当りませんでした。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
丹羽文雄
永井龍男
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
佐藤春夫
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選考委員
丹羽文雄男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
豊かな描写力 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
7 「その豊かな筆力は、ひとを驚かすに足る。筆が走りすぎて、文章が上すべりしているところがあるが、前回の「光りの飢え」に比較すれば、格段のちがいである。」「どんな風になっていくのか、私達とあんまり縁のないところへとび出していくような気がする。」
吉村昭
男34歳
7 「この小説はよけいなことは一切書いていない。人間関係をあざやかに描いている。娘が急性肺炎で死ぬあたり、筆が足りないうらみがあったが、人間の執念をよくまとめあげてあると思った。腕のたしかな作家であるので、これまでの候補作品も考えて、推薦した。」
久保輝巳
男33歳
0  
木野工
男41歳
4 「木野工君の話はいつも面白い。」「何か信頼出来る作家という気がするが、料理の仕方に一抹やぼったいところがある。今度のも必要以上に人間がごたごたしていたので損をした。」
洲之内徹
男49歳
3 「あちらこちらに十分しぼっていなければならない作家の目が、ものぐさになっているようなところがあった。」
谷口茂
男28歳
0  
田久保英夫
男33歳
3 「苦悩と恍惚を描こうとしたものだったが、無駄なものが多すぎて、主題がよたよたとしていた。」
大森光章
男39歳
3 「「名門」の方がよかった。小説は上手になっているが、また動物かといった感じをあたえたのが拙かった。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
中村光夫
永井龍男
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
佐藤春夫
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選考委員
永井龍男男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
寸感 総行数13 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
3 「欠点が多い。しかし、この大芝居に精魂を尽す作者の情熱は、前作の「光りの飢え」と同様さかんなものがある。」
吉村昭
男34歳
3 「因果物語に似た古めかしい読後感があった。この特異な題材を写実する、手堅い手法の中に、それがただようのである。」
久保輝巳
男33歳
6 「成長期にある中学生の眼が、まっすぐ一篇を貫いている。夾雑物がなく、候補作中私の一番好きな作品だったが、序章という感じが残らないではない。」
木野工
男41歳
0  
洲之内徹
男49歳
0  
谷口茂
男28歳
0  
田久保英夫
男33歳
0  
大森光章
男39歳
0  
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
中村光夫
丹羽文雄
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
佐藤春夫
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選考委員
舟橋聖一男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
興味ある未知数 総行数43 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
20 「私には、両方(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)とも、そんなに強硬に支持するほどの作品ではないような気がした。」「私も彼に半星を入れていたが、正直なところ、あと味はすっきりしなかった。」「「光りの飢え」も「鯨神」も、ギラギラ照明が強すぎて、こけおどしに類するところがあり、その中にはまだ、借りものも入っているように思われる。」「この人の将来は、興味深い未知数である。」
吉村昭
男34歳
8 「私には、両方(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)とも、そんなに強硬に支持するほどの作品ではないような気がした。」「(引用者注:宇能鴻一郎と共に)持時計が一つ足りない気がする。」
久保輝巳
男33歳
0  
木野工
男41歳
0  
洲之内徹
男49歳
0  
谷口茂
男28歳
0  
田久保英夫
男33歳
11 「後半の構成を崩さなかったら、私は彼を推したろう。」「井伏氏も書面では田久保を推した。然し他の委員からは完全に黙殺されていた。」「今回の候補作の中では、田久保が一番クロっぽい。」「こういう才能が、先ゆき、通俗的に使い廻されないためには、作品以前の作家精神が問題である。」「「解禁」には、そういう威力と厳格さが足りない。とは云え、読ませる力は随一だ。」
大森光章
男39歳
2 「(引用者注:前回の「名門」のほうが)「王国」よりすぐれている。」
  「私には、該当者ナシだった前回のほうがレベルが上だったとおもう。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
中村光夫
丹羽文雄
永井龍男
井上靖
井伏鱒二
佐藤春夫
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選考委員
井上靖男54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
エネルギーに満ちた作品 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
11 「私には際立って面白かった。この作品を読み終った時、すぐこれを推そうという気になった。」「構成の上にも難はあるし、細部にわたって見れば指摘できる欠点は幾らでもあるが、そうしたところがさして気にならないくらい野性的なエネルギーに満ちた作品で、芥川賞授賞作にふさわしい新風と言っていいだろうと思った。」
吉村昭
男34歳
6 「力作であることは否めない。」「力倆のある作家だと思う。併し、余り気持のいい作品ではなく、主題は同じでも、もっと違った読後感のものができないものかと思った。」
久保輝巳
男33歳
5 「少年から青年への移行期のナイーブな気持がよく描けていて、教師との関係も厭味なく、総じて好感の持てる作品であった。」
木野工
男41歳
0  
洲之内徹
男49歳
0  
谷口茂
男28歳
0  
田久保英夫
男33歳
0  
大森光章
男39歳
4 「いかにも作品といった几帳面な小説で、ところどころに正確な美しい描写があった。」
  「候補作八篇とも私には面白かった。特に見劣りのする作品はなかった。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
中村光夫
丹羽文雄
永井龍男
舟橋聖一
井伏鱒二
佐藤春夫
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選考委員
井伏鱒二男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
報告 総行数19 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
9 「問題になりそうだと思ったものを三つ(引用者注:「海の屑」「鯨神」「解禁」)選んでみた。」「「(引用者注:銓衡会場からの電話に)その二篇(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)のうちなら『鯨神』に票を入れる。」と回答した。」
吉村昭
男34歳
4  
久保輝巳
男33歳
2 「問題になりそうだと思ったものを三つ(引用者注:「海の屑」「鯨神」「解禁」)選んでみた。」
木野工
男41歳
0  
洲之内徹
男49歳
0  
谷口茂
男28歳
0  
田久保英夫
男33歳
12 「自分は『解禁』を推したいと思う。この作品は前半が意識のよく行き届いた方法で書かれており、決して張子ではないように人間の姿が表現されていると思った。」「後半の瑕瑾は問題でないと思ったほど前半に感心した。」「当日、私は欠席したが、たいてい「解禁」が受賞するだろうと思っていた。」
大森光章
男39歳
0  
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
中村光夫
丹羽文雄
永井龍男
舟橋聖一
井上靖
佐藤春夫
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選考委員
佐藤春夫男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「鯨神」は採らず 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
宇能鴻一郎
男27歳
18 「瀧井氏のいうとおり「光りの飢え」にくらべてずっと難のない作品に相違なかった。」「この作者を才能の人とも思う。」「惜しむらくは郷土伝説的には仕上げられず、ただ荒っぽく書かれているだけで、素朴に古拙な趣は見られない。かえって近代的な観念が末尾でとってつけたように露出するのは欠点であろう。」
吉村昭
男34歳
14 「僕は会場に臨む前から「透明標本」と決めていた。神経の行きとどいた明快な文体とこの特異な取材との必然性を見て、これをホンモノと思い、少々都合のよすぎる筋立てもあるとは思いながらも層々として盛り上り進捗するのもよく、独自の世界を創作し得て一頭地を抜く作とする。」「風変りな取材のため正当な理解を得られなかったのは、作者のためには気の毒、賞のためには残念だが是非もない。」
久保輝巳
男33歳
3 「いかにも少年の作らしい純朴に好意の持てるもの」「ただそれだけの消極的な価値で多く論ずるには足りなかった。」
木野工
男41歳
0  
洲之内徹
男49歳
0  
谷口茂
男28歳
0  
田久保英夫
男33歳
0  
大森光章
男39歳
2 「前回の有力候補「名門」(引用者中略)より見劣りする」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
中村光夫
丹羽文雄
永井龍男
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
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受賞者・作品
宇能鴻一郎男27歳×各選考委員 
「鯨神」
短篇 99
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
13 「恋敵・仕事敵の腕比べなども描いて、大衆向の読物とも見える。」「大体は、若気の至りの粗大なものだろうが、向うみずの盲目の情熱と、野放図のたくましい構想力とは、また異色のもののようで、捨て難い。このようなものも、稀にたまには有ってもよいと思った。この粗大が、はびこっては困るが。」「今回は又ナシでは淋しいので、「鯨神」は賛成も多いようで、僕は敢えて、当選の方に、努めたが。」
石川達三
男56歳
22 「物語性も豊富で、一種の香気もあり、才気ゆたかな作家であるとは思いながらも、容易に私たちが当選を承知できなかったのは、この作品の裏に作者の悲しみも憤りも慨きも、そういうどっしり(原文傍点)とした動かすべからざるものが、何もないような不満を感じていたからではないだろうか。」「私のこのおせっかい(原文傍点)めいた忠告が宇能君によって理解されないようならば、マス・コミの攻勢に会って、彼はたちまち売文業者に転落して行くだろう。」
中村光夫
男50歳
10 「巨鯨と人間の闘いという、古い文学的テーマを奔放な若々しい筆致で仕上げたところに、人真似でない熱情と個性が感じられ、なにかをする人であろうという期待はよせられます。」「文章そのものに、絵で言うと、絵具の質の悪いようなところがあるのが、一番気がかりです。しかしいわゆる芸術家でないところにこの人の新しさがあるのかも知れません。」
丹羽文雄
男57歳
7 「その豊かな筆力は、ひとを驚かすに足る。筆が走りすぎて、文章が上すべりしているところがあるが、前回の「光りの飢え」に比較すれば、格段のちがいである。」「どんな風になっていくのか、私達とあんまり縁のないところへとび出していくような気がする。」
永井龍男
男57歳
3 「欠点が多い。しかし、この大芝居に精魂を尽す作者の情熱は、前作の「光りの飢え」と同様さかんなものがある。」
舟橋聖一
男57歳
20 「私には、両方(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)とも、そんなに強硬に支持するほどの作品ではないような気がした。」「私も彼に半星を入れていたが、正直なところ、あと味はすっきりしなかった。」「「光りの飢え」も「鯨神」も、ギラギラ照明が強すぎて、こけおどしに類するところがあり、その中にはまだ、借りものも入っているように思われる。」「この人の将来は、興味深い未知数である。」
井上靖
男54歳
11 「私には際立って面白かった。この作品を読み終った時、すぐこれを推そうという気になった。」「構成の上にも難はあるし、細部にわたって見れば指摘できる欠点は幾らでもあるが、そうしたところがさして気にならないくらい野性的なエネルギーに満ちた作品で、芥川賞授賞作にふさわしい新風と言っていいだろうと思った。」
井伏鱒二
男63歳
9 「問題になりそうだと思ったものを三つ(引用者注:「海の屑」「鯨神」「解禁」)選んでみた。」「「(引用者注:銓衡会場からの電話に)その二篇(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)のうちなら『鯨神』に票を入れる。」と回答した。」
佐藤春夫
男69歳
18 「瀧井氏のいうとおり「光りの飢え」にくらべてずっと難のない作品に相違なかった。」「この作者を才能の人とも思う。」「惜しむらくは郷土伝説的には仕上げられず、ただ荒っぽく書かれているだけで、素朴に古拙な趣は見られない。かえって近代的な観念が末尾でとってつけたように露出するのは欠点であろう。」
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他の候補作
吉村昭
「透明標本」
久保輝巳
「海の屑」
木野工
「凍(しばれ)
洲之内徹
「終りの夏」
谷口茂
「めじろ塚」
田久保英夫
「解禁」
大森光章
「王国」
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候補者・作品
吉村昭男34歳×各選考委員 
「透明標本」
短篇 106
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
4 「腐爛死体を解きほぐす職業などを、こんなに熱心に描いた、その動機がよくわからず、読みながら気味のわるいイヤな感じがした。明瞭に描いた、デッサンの手腕は認めるが。」
石川達三
男56歳
0  
中村光夫
男50歳
3 「作者の手練はたしかに感じられますが、モチイフの明かでない作品で、異常な一人物の生態が、ただのお話という、感銘しかあたえません。」
丹羽文雄
男57歳
7 「この小説はよけいなことは一切書いていない。人間関係をあざやかに描いている。娘が急性肺炎で死ぬあたり、筆が足りないうらみがあったが、人間の執念をよくまとめあげてあると思った。腕のたしかな作家であるので、これまでの候補作品も考えて、推薦した。」
永井龍男
男57歳
3 「因果物語に似た古めかしい読後感があった。この特異な題材を写実する、手堅い手法の中に、それがただようのである。」
舟橋聖一
男57歳
8 「私には、両方(引用者注:最後に残った「鯨神」と「透明標本」)とも、そんなに強硬に支持するほどの作品ではないような気がした。」「(引用者注:宇能鴻一郎と共に)持時計が一つ足りない気がする。」
井上靖
男54歳
6 「力作であることは否めない。」「力倆のある作家だと思う。併し、余り気持のいい作品ではなく、主題は同じでも、もっと違った読後感のものができないものかと思った。」
井伏鱒二
男63歳
4  
佐藤春夫
男69歳
14 「僕は会場に臨む前から「透明標本」と決めていた。神経の行きとどいた明快な文体とこの特異な取材との必然性を見て、これをホンモノと思い、少々都合のよすぎる筋立てもあるとは思いながらも層々として盛り上り進捗するのもよく、独自の世界を創作し得て一頭地を抜く作とする。」「風変りな取材のため正当な理解を得られなかったのは、作者のためには気の毒、賞のためには残念だが是非もない。」
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他の候補作
宇能鴻一郎
「鯨神」
久保輝巳
「海の屑」
木野工
「凍(しばれ)
洲之内徹
「終りの夏」
谷口茂
「めじろ塚」
田久保英夫
「解禁」
大森光章
「王国」
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候補者・作品
久保輝巳男33歳×各選考委員 
「海の屑」
短篇 62
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
3 「素直な筆だが、まだ淡いようだ。文学にキツイ冴えが出るのを待つ。」
石川達三
男56歳
0  
中村光夫
男50歳
7 (引用者注:「解禁」「めじろ塚」「海の屑」は)みなそれぞれにいい気になっていて、それが作品に生きていない感じです。素朴で細工のない「海の屑」が一番気持よく読めるのはそのせいでしょう。」
丹羽文雄
男57歳
0  
永井龍男
男57歳
6 「成長期にある中学生の眼が、まっすぐ一篇を貫いている。夾雑物がなく、候補作中私の一番好きな作品だったが、序章という感じが残らないではない。」
舟橋聖一
男57歳
0  
井上靖
男54歳
5 「少年から青年への移行期のナイーブな気持がよく描けていて、教師との関係も厭味なく、総じて好感の持てる作品であった。」
井伏鱒二
男63歳
2 「問題になりそうだと思ったものを三つ(引用者注:「海の屑」「鯨神」「解禁」)選んでみた。」
佐藤春夫
男69歳
3 「いかにも少年の作らしい純朴に好意の持てるもの」「ただそれだけの消極的な価値で多く論ずるには足りなかった。」
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他の候補作
宇能鴻一郎
「鯨神」
吉村昭
「透明標本」
木野工
「凍(しばれ)
洲之内徹
「終りの夏」
谷口茂
「めじろ塚」
田久保英夫
「解禁」
大森光章
「王国」
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候補者・作品
木野工男41歳×各選考委員 
「凍(しばれ)
短篇 93
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
3 「北海道の積雪の鴉の飢えが、なまじいに小説に仕組まれてあるのが、筆のくだくだしさと共に、スッキリしなかった。」
石川達三
男56歳
0  
中村光夫
男50歳
0  
丹羽文雄
男57歳
4 「木野工君の話はいつも面白い。」「何か信頼出来る作家という気がするが、料理の仕方に一抹やぼったいところがある。今度のも必要以上に人間がごたごたしていたので損をした。」
永井龍男
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
0  
井上靖
男54歳
0  
井伏鱒二
男63歳
0  
佐藤春夫
男69歳
0  
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他の候補作
宇能鴻一郎
「鯨神」
吉村昭
「透明標本」
久保輝巳
「海の屑」
洲之内徹
「終りの夏」
谷口茂
「めじろ塚」
田久保英夫
「解禁」
大森光章
「王国」
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候補者・作品
洲之内徹男49歳×各選考委員 
「終りの夏」
短篇 124
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
3 「中年の男と少女との恋のあそび、メロドラマのような、微温の味を出そうとしたものか。ぬるま湯だ。」
石川達三
男56歳
0  
中村光夫
男50歳
0  
丹羽文雄
男57歳
3 「あちらこちらに十分しぼっていなければならない作家の目が、ものぐさになっているようなところがあった。」
永井龍男
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
0  
井上靖
男54歳
0  
井伏鱒二
男63歳
0  
佐藤春夫
男69歳
0  
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他の候補作
宇能鴻一郎
「鯨神」
吉村昭
「透明標本」
久保輝巳
「海の屑」
木野工
「凍(しばれ)
谷口茂
「めじろ塚」
田久保英夫
「解禁」
大森光章
「王国」
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候補者・作品
谷口茂男28歳×各選考委員 
「めじろ塚」
短篇 76
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
3 「目白の群鳥と田舎の少年のあそびに、肺病の職工を加えて、手軽に小説にまとめた、手法の幼稚なものだ。」
石川達三
男56歳
0  
中村光夫
男50歳
5 (引用者注:「解禁」「めじろ塚」「海の屑」は)みなそれぞれにいい気になっていて、それが作品に生きていない感じです。」
丹羽文雄
男57歳
0  
永井龍男
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
0  
井上靖
男54歳
0  
井伏鱒二
男63歳
0  
佐藤春夫
男69歳
0  
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他の候補作
宇能鴻一郎
「鯨神」
吉村昭
「透明標本」
久保輝巳
「海の屑」
木野工
「凍(しばれ)
洲之内徹
「終りの夏」
田久保英夫
「解禁」
大森光章
「王国」
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候補者・作品
田久保英夫男33歳×各選考委員 
「解禁」
短篇 143
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
3 「この小説の繊細な心持も捨て難い」
石川達三
男56歳
0  
中村光夫
男50歳
5 (引用者注:「解禁」「めじろ塚」「海の屑」は)みなそれぞれにいい気になっていて、それが作品に生きていない感じです。」
丹羽文雄
男57歳
3 「苦悩と恍惚を描こうとしたものだったが、無駄なものが多すぎて、主題がよたよたとしていた。」
永井龍男
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
11 「後半の構成を崩さなかったら、私は彼を推したろう。」「井伏氏も書面では田久保を推した。然し他の委員からは完全に黙殺されていた。」「今回の候補作の中では、田久保が一番クロっぽい。」「こういう才能が、先ゆき、通俗的に使い廻されないためには、作品以前の作家精神が問題である。」「「解禁」には、そういう威力と厳格さが足りない。とは云え、読ませる力は随一だ。」
井上靖
男54歳
0  
井伏鱒二
男63歳
12 「自分は『解禁』を推したいと思う。この作品は前半が意識のよく行き届いた方法で書かれており、決して張子ではないように人間の姿が表現されていると思った。」「後半の瑕瑾は問題でないと思ったほど前半に感心した。」「当日、私は欠席したが、たいてい「解禁」が受賞するだろうと思っていた。」
佐藤春夫
男69歳
0  
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他の候補作
宇能鴻一郎
「鯨神」
吉村昭
「透明標本」
久保輝巳
「海の屑」
木野工
「凍(しばれ)
洲之内徹
「終りの夏」
谷口茂
「めじろ塚」
大森光章
「王国」
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候補者・作品
大森光章男39歳×各選考委員 
「王国」
短篇 123
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男67歳
7 「一番佳いと思った。」「前回の「名門」は、まだ文章の力が弱くて、採れなかったが、この「王国」は、北海道の冬の山の雪げしきが、精彩のある筆で、文章に作者の生地が出て、佳かった。」
石川達三
男56歳
0  
中村光夫
男50歳
0  
丹羽文雄
男57歳
3 「「名門」の方がよかった。小説は上手になっているが、また動物かといった感じをあたえたのが拙かった。」
永井龍男
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
2 「(引用者注:前回の「名門」のほうが)「王国」よりすぐれている。」
井上靖
男54歳
4 「いかにも作品といった几帳面な小説で、ところどころに正確な美しい描写があった。」
井伏鱒二
男63歳
0  
佐藤春夫
男69歳
2 「前回の有力候補「名門」(引用者中略)より見劣りする」
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他の候補作
宇能鴻一郎
「鯨神」
吉村昭
「透明標本」
久保輝巳
「海の屑」
木野工
「凍(しばれ)
洲之内徹
「終りの夏」
谷口茂
「めじろ塚」
田久保英夫
「解禁」
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