芥川賞のすべて・のようなもの
第48回
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昭和37年/1962年下半期
(昭和38年/1963年1月22日決定発表/『文藝春秋』昭和38年/1963年3月号選評掲載)
選考委員  瀧井孝作
男68歳
石川達三
男57歳
高見順
男55歳
中村光夫
男51歳
石川淳
男63歳
舟橋聖一
男58歳
川端康成
男63歳
丹羽文雄
男58歳
井上靖
男55歳
永井龍男
男58歳
井伏鱒二
男64歳
選評総行数  42 32 31 29 24 38 45 25 22 33  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
河野多恵子 「美少女」
83
女36歳
12 2 11 7 3 10 0 8 4 3    
大森光章 「培養」
129
男40歳
6 1 3 5 0 4 0 2 0 0    
加藤浩子 「白猫」
91
女(22歳)
3 2 3 5 2 7 0 3 4 2    
久保輝巳 「こどもの国」
99
男34歳
3 0 2 5 0 6 0 4 0 4    
多岐一雄 「光芒」
59
男31歳
6 0 10 5 2 0 0 4 7 13    
田久保英夫 「奢りの春」
159
男34歳
7 0 4 5 2 3 0 0 3 2    
西條倶吉 「カナダ館一九四一年」
98
男(47歳)
0 0 0 2 0 3 0 5 0 7    
久我耕 「痙攣」
135
男(不明)
5 0 0 3 0 3 0 0 0 4    
                    欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和38年/1963年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
瀧井孝作男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「美少女」は佳い 総行数42 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
12 「相当に正確に描いてある。筆も利いて来たし、うまい。」「しかし、楷書で書いたような固い、とりすました冷めたい感じもある。もっと、ヘタでもよいが、しどろもどろに心身の塗みれた作品でありたい。これは、打ちのめされて、立直りの、力んだ姿とも云えるが……。」「一番ちゃんとして、佳い。今回は、このひとを落したのは、惜しい。」
大森光章
男40歳
6 「人の弱い愚鈍性のようなものを、克明に追求しようとしたものか、これは拙い作だが、この作家がまともに人を描く方に来たのは、また一つの進歩ではないかと、同情して読んだ。」
加藤浩子
女(22歳)
3 「体の関係に至る所でお互に何もしなかったのは宜いが。特にほめる程の出来栄でもなかろう。」
久保輝巳
男34歳
3 「軽いものだが、同人雑誌小説のうまい程度だろう。」
多岐一雄
男31歳
6 「描写もムダなくテキパキして読ませるが、小説の筋のはこびは、あまりに都合よく、あつらえむきに進行して、ウソらしく、実感が淡い。」「これは、新しい通俗小説であろう。」
田久保英夫
男34歳
7 「小説の中に、女優と学生とは、話が二つにわれて、フィクションとしては、よくまとまらない。私小説としては、筆も眼も冗漫で、未だしであろう。」
西條倶吉
男(47歳)
0  
久我耕
男(不明)
5 「筆者の筆が浮わついて、うまくない。」
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他の選考委員
石川達三
高見順
中村光夫
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選考委員
石川達三男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
拍手を送る 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
2 「才能に(引用者中略)興味をもつ。」
大森光章
男40歳
1 「努力を高く買う」
加藤浩子
女(22歳)
2 「この若さでこれだけのものが書ける力倆にも感心する。」
久保輝巳
男34歳
0  
多岐一雄
男31歳
0  
田久保英夫
男34歳
0  
西條倶吉
男(47歳)
0  
久我耕
男(不明)
0  
  「席上、(若い作家に新鮮なものが無い)という言葉が出されたが、もし若い人が新鮮な作品を書いた場合、かなりの年齢に達している私たちは、逆に反撥を感じたりすることも有るかも知れない。」「何度も候補に上りながら当選を得られなかった作家に対しては、却って大きな迷惑になっていはしないかという反省もしている。今回は当選作をきめ得なかったけれども、これらの人たちの次の作品に期待しようという温い気持もみんなが持っていた。」
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瀧井孝作
高見順
中村光夫
石川淳
舟橋聖一
川端康成
丹羽文雄
井上靖
永井龍男
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選考委員
高見順男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
推した理由 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
11 「私は推した。前回の候補作「雪」のほうがいいと見る委員もあったが、私はその反対の見方をしていた。」「キラリと光るところが諸所にあって、すぐれた文学的稟質を感じさせる。」「この人の「幼児狩り」が三十六年度の新潮社同人雑誌賞を受けたとき銓衡者のひとりとして消極的だった私は、この人がこんなにうまい作家になろうとは思わなかった。」
大森光章
男40歳
3 「慎重な筆致の力作だが、全体として読み物風の印象を私に与えたのは題材のせいか、作者のせいか。」
加藤浩子
女(22歳)
3 「「群像」合評会のとき、北原武夫氏の否定論に対して私は擁護論にまわった。しかしこの席では擁護できなかった。」
久保輝巳
男34歳
2 「前作と全く違う印象なのが私には意外だった。」
多岐一雄
男31歳
10 「「美少女についで(引用者中略)推した。疎外の時代の人間像が描かれていると私は見た。軽薄を軽薄として書いているのを私はそう解した。難点はあっても、もっとも新人らしい小説はこれだと思われた。第二の石原慎太郎という気もした。」「抑制が見事で、小説としても上手だと思われる。」
田久保英夫
男34歳
4 「書きにくい青春像とはいえ、以前のものより見劣りがした。なんでも書ける感じにいささか疑問があるが、実力のある人に違いない。」
西條倶吉
男(47歳)
0  
久我耕
男(不明)
0  
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瀧井孝作
石川達三
中村光夫
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井上靖
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選考委員
中村光夫男51歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
当選作なし 総行数29 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
7 「しっかりした筆つかいで、そつなく話をまとめていますが、女主人公を作者がよく見ているようで大事なところを見のがしているためか、読者は彼女の心に這入って行けません。」「達者に見えても、まだ習作の域を脱していないと思われます。」
大森光章
男40歳
5 「三度の登場だけに、たしかな力倆は感じられますが、いずれも前の作品と同じところで、あるいはそれより下で低徊している風なのは歯がゆい気がします。」
加藤浩子
女(22歳)
5 「小説の態をなしていないような未熟さのなかに、ある素質を感じさせます。苦心したらしい書きだしの部分より無造作な後半がむしろすぐれているのは、作者が人物を扱いなれたせいでしょう。」
久保輝巳
男34歳
5 「三度の登場だけに、たしかな力倆は感じられますが、いずれも前の作品と同じところで、あるいはそれより下で低徊している風なのは歯がゆい気がします。」
多岐一雄
男31歳
5 「近ごろめずらしいきっちりまとまった短篇で、話術もたくみですが、文章に生動感がないために、人物が切紙細工のように見えます。」
田久保英夫
男34歳
5 「三度の登場だけに、たしかな力倆は感じられますが、いずれも前の作品と同じところで、あるいはそれより下で低徊している風なのは歯がゆい気がします。」
西條倶吉
男(47歳)
2 「始めに(引用者中略)他の新人賞を得ているという理由で除外された」
久我耕
男(不明)
3 「話がうまくできすぎていて、未熟な読物としか思えません。この才筆をもっとうまく生かせる筈でしょう。」
  「どれも予選を通った理由はわかっても、当選作とするには力が弱い感じです。」
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瀧井孝作
石川達三
高見順
石川淳
舟橋聖一
川端康成
丹羽文雄
井上靖
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選考委員
石川淳男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
あるべくしてあらず 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
3 「素質があり才能がある。」
大森光章
男40歳
0  
加藤浩子
女(22歳)
2 「作品のできばえはともかく、作者の年齢が若いということに見どころがある。」
久保輝巳
男34歳
0  
多岐一雄
男31歳
2 「素質があり才能がある。」
田久保英夫
男34歳
2 「素質があり才能がある。」
西條倶吉
男(47歳)
0  
久我耕
男(不明)
0  
  「該当作品なし。新風おこらずという状況はどうにもならない。そういっても、出すべき賞を出せないということは残念である。」「どれも捨てたものではない。ただ賞をブランクにした所以のものを突き破るだけの力が無かったということは、当人がめいめいさとらなくてはなるまい。」「芥川賞は出すためにある。新鮮なものはかならず出る。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
高見順
中村光夫
舟橋聖一
川端康成
丹羽文雄
井上靖
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選考委員
舟橋聖一男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
推し切れず 総行数38 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
10 「技巧的だが、情夫が妹と称している女が、実は妹ではなくて、二人は夫婦のようなものだったというオチのある組立が、あざとくて戴けなかった。」「然し、他の作とくらべると優位なので、半星の準入賞にするなら消極的に賛成してもいいと思った。」
大森光章
男40歳
4 「(引用者注:以前の「名門」は)秀作である。」
加藤浩子
女(22歳)
7 「二十歳そこそこの若い人なのに、えらく達者で、最後まで心惹かれて読んだが、この若さで芥川賞に推されては、将来が永いだけに、途中でバテる懼れもあろう。そんなことは、銓衡委員の取越苦労だと思いながら、やはり強くは推せないものがあった。」「年若い女子学生の色気が、素直にたっぷり出ているところは、好感がもてる。」
久保輝巳
男34歳
6 「道徳とか良心とかをまるで別扱いにして、故意に無関心のようなのは面白い。然し、小説の終りへ来て、ハンケチを川へ投げてみたり、ネズミを焼いてみたりして、精々小道具を使う割に、効果が出ない。」
多岐一雄
男31歳
0  
田久保英夫
男34歳
3 「(引用者注:以前の「睡蓮」は)冴えていた」
西條倶吉
男(47歳)
3 「中央公論新人賞にも入ったものだが、すでに派手な受賞記念のパーティーまでやっているので敬遠となった。」
久我耕
男(不明)
3 「まともな主題からは逸れていて、敗北型青年の卑屈さばかりが印象された。」
  「今まで芥川賞の有力候補となった連中(ルビ:ベテラン)が、轡を並べた恰好なので、大いに期待して、読みだしたが、どうやら期待外れに終った。」「今回は各作とも、気負っているのかと思ったら、案外に低調で、銓衡委員の誰もが、強力に推すものがないため、該当作ナシという結論が出ても、特に心残りはなかったようだ。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
高見順
中村光夫
石川淳
川端康成
丹羽文雄
井上靖
永井龍男
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選考委員
川端康成男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
旧人作家を恐れるな 総行数45 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
0  
大森光章
男40歳
0  
加藤浩子
女(22歳)
0  
久保輝巳
男34歳
0  
多岐一雄
男31歳
0  
田久保英夫
男34歳
0  
西條倶吉
男(47歳)
0  
久我耕
男(不明)
0  
  「今日ほど小説の読者の多い時、今日ほど小説を書く人の多い時、たとえ未成未熟であっても、新鮮な個性の現われることが稀なのは、私には残念である。」「過去現在の西洋の小説を学び、それを追うこともないのではないか。西洋の小説の道は下り坂である。そう実感する自覚を、若い作家は持ってほしいものである。」「芥川賞はたしかに出文壇の効果はあり過ぎるが、それはマス・コンミュニケイションの大きい騒ぎを、新作家が高等な文学評価と思いちがいさせられたのではないか。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
高見順
中村光夫
石川淳
舟橋聖一
丹羽文雄
井上靖
永井龍男
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選考委員
丹羽文雄男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「美少女」を推す 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
8 「前作「雪」にくらべると、格段の文章の上達がみとめられる。」「いまどきこれほど文章に神経を使う若い文学者は、他に例がないのではないか。へんな男も、三人の少女もあざやかに描き分けている。私はこれを当選作にきめていた。」
大森光章
男40歳
2 「もっと短くした方がよかった。」
加藤浩子
女(22歳)
3 「北原武夫君が非難するほどのものではなかった。二十歳の作者ときく。将来が多いに期待される。」
久保輝巳
男34歳
4 「文章にまったく神経を使わない例」「もっと書きようがあったはずだ。最後まで面白く読んだだけに、惜しいと思った。」
多岐一雄
男31歳
4 「文章に気を使わないにしても、(引用者中略・注:「こどもの国」の気の使わなさとは)ちがう。(引用者中略)計算された文章のようだが、それ以上何も書くことがないからである。」
田久保英夫
男34歳
0  
西條倶吉
男(47歳)
5 「ついさっき中央公論賞をもらったばかりだったので、敬遠することにした。文芸雑誌の新人賞以上の授賞作品は、敬遠すべきだというのが私の持論である。」
久我耕
男(不明)
0  
  「選者の顔がちがっているように、各人の評がまちまちなのが、毎度のことながら私には面白かった。」「批評とは、自分ひとりの考えを、面白おかしく演出するだけのことらしい。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
高見順
中村光夫
石川淳
舟橋聖一
川端康成
井上靖
永井龍男
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選考委員
井上靖男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「光芒」の軽さを惜しむ 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
4 「非常にうまい作家だと思う。」「併し、芥川賞作品として打ち出すのには、新しさがないことが、やはり欠点になる。」
大森光章
男40歳
0  
加藤浩子
女(22歳)
4 「独特のタッチで、よく書き込んだ作品であり、充分に作者の才能を感じさせるが、併し、文章に背のびしているところがあり、言葉の使い方も粗雑である。」
久保輝巳
男34歳
0  
多岐一雄
男31歳
7 「一番面白く読めた」「現代に幾らでも居そうな青年を、その軽薄さも、その生活の空虚さも、なかなかよく出しながら描いていると思った。ただ読後、作中に不思議に重さの感じられぬことが気になった。」
田久保英夫
男34歳
3 「期待して読んだが、作品に分裂しているところがあり、氏の作品としてはいいものとは言えないと思った。」
西條倶吉
男(47歳)
0  
久我耕
男(不明)
0  
  「こんどの候補作には特に優れたものはなかった。」「残念ながら当選作として推す情熱の感じられるものは見出せなかった。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
高見順
中村光夫
石川淳
舟橋聖一
川端康成
丹羽文雄
永井龍男
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選考委員
永井龍男男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
いたずらなる“力作感” 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子
女36歳
3 「巧い。たいへんカンの働く作者だが、そのために無意識な省略があり、前後に感情の通じない叙述がある。」
大森光章
男40歳
0  
加藤浩子
女(22歳)
2 「若々しいという点で、諸家の愛惜をうけた。私もその通りだと思う」
久保輝巳
男34歳
4 「おもちゃ箱の中で、こわれた人形が遊んでいるような印象をうけた。もっともそういう風に意図して書いたら、もっと別の作品が出来たであろう。」
多岐一雄
男31歳
13 「私は「光芒」と「カナダ館」と「奢りの春」の三つに絞った」「短篇小説としてはほとんど完璧である。」「一つの短篇小説としては、この頃の候補作中頭抜けていると思われる。」「新潮同人雑誌賞を受けたこの作品にも(引用者注:他賞を受けたという理由で失格となった「カナダ館一九四一年」と)同じ影が添ってくる。」
田久保英夫
男34歳
2 「私は「光芒」と「カナダ館」と「奢りの春」の三つに絞った」「贅肉があり過ぎる。」
西條倶吉
男(47歳)
7 「作品の価値とは別の条件で失格した「カナダ館一九四一年」にも、私は心を残した。(この作品は、題名と書出しの気負った処が瑕であろう。)」
久我耕
男(不明)
4 「若さという点ならば、(引用者中略・注:「白猫」に)劣らない。」「この作品が好評でなかったのは、野心が気に入られなかったので、それにもかかわらず私は素直に読んだ。」
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他の選考委員
瀧井孝作
石川達三
高見順
中村光夫
石川淳
舟橋聖一
川端康成
丹羽文雄
井上靖
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候補者・作品
河野多恵子女36歳×各選考委員 
「美少女」
短篇 83
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
12 「相当に正確に描いてある。筆も利いて来たし、うまい。」「しかし、楷書で書いたような固い、とりすました冷めたい感じもある。もっと、ヘタでもよいが、しどろもどろに心身の塗みれた作品でありたい。これは、打ちのめされて、立直りの、力んだ姿とも云えるが……。」「一番ちゃんとして、佳い。今回は、このひとを落したのは、惜しい。」
石川達三
男57歳
2 「才能に(引用者中略)興味をもつ。」
高見順
男55歳
11 「私は推した。前回の候補作「雪」のほうがいいと見る委員もあったが、私はその反対の見方をしていた。」「キラリと光るところが諸所にあって、すぐれた文学的稟質を感じさせる。」「この人の「幼児狩り」が三十六年度の新潮社同人雑誌賞を受けたとき銓衡者のひとりとして消極的だった私は、この人がこんなにうまい作家になろうとは思わなかった。」
中村光夫
男51歳
7 「しっかりした筆つかいで、そつなく話をまとめていますが、女主人公を作者がよく見ているようで大事なところを見のがしているためか、読者は彼女の心に這入って行けません。」「達者に見えても、まだ習作の域を脱していないと思われます。」
石川淳
男63歳
3 「素質があり才能がある。」
舟橋聖一
男58歳
10 「技巧的だが、情夫が妹と称している女が、実は妹ではなくて、二人は夫婦のようなものだったというオチのある組立が、あざとくて戴けなかった。」「然し、他の作とくらべると優位なので、半星の準入賞にするなら消極的に賛成してもいいと思った。」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
8 「前作「雪」にくらべると、格段の文章の上達がみとめられる。」「いまどきこれほど文章に神経を使う若い文学者は、他に例がないのではないか。へんな男も、三人の少女もあざやかに描き分けている。私はこれを当選作にきめていた。」
井上靖
男55歳
4 「非常にうまい作家だと思う。」「併し、芥川賞作品として打ち出すのには、新しさがないことが、やはり欠点になる。」
永井龍男
男58歳
3 「巧い。たいへんカンの働く作者だが、そのために無意識な省略があり、前後に感情の通じない叙述がある。」
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他の候補作
大森光章
「培養」
加藤浩子
「白猫」
久保輝巳
「こどもの国」
多岐一雄
「光芒」
田久保英夫
「奢りの春」
西條倶吉
「カナダ館一九四一年」
久我耕
「痙攣」
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候補者・作品
大森光章男40歳×各選考委員 
「培養」
短篇 129
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
6 「人の弱い愚鈍性のようなものを、克明に追求しようとしたものか、これは拙い作だが、この作家がまともに人を描く方に来たのは、また一つの進歩ではないかと、同情して読んだ。」
石川達三
男57歳
1 「努力を高く買う」
高見順
男55歳
3 「慎重な筆致の力作だが、全体として読み物風の印象を私に与えたのは題材のせいか、作者のせいか。」
中村光夫
男51歳
5 「三度の登場だけに、たしかな力倆は感じられますが、いずれも前の作品と同じところで、あるいはそれより下で低徊している風なのは歯がゆい気がします。」
石川淳
男63歳
0  
舟橋聖一
男58歳
4 「(引用者注:以前の「名門」は)秀作である。」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
2 「もっと短くした方がよかった。」
井上靖
男55歳
0  
永井龍男
男58歳
0  
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他の候補作
河野多恵子
「美少女」
加藤浩子
「白猫」
久保輝巳
「こどもの国」
多岐一雄
「光芒」
田久保英夫
「奢りの春」
西條倶吉
「カナダ館一九四一年」
久我耕
「痙攣」
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候補者・作品
加藤浩子女(22歳)×各選考委員 
「白猫」
短篇 91
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
3 「体の関係に至る所でお互に何もしなかったのは宜いが。特にほめる程の出来栄でもなかろう。」
石川達三
男57歳
2 「この若さでこれだけのものが書ける力倆にも感心する。」
高見順
男55歳
3 「「群像」合評会のとき、北原武夫氏の否定論に対して私は擁護論にまわった。しかしこの席では擁護できなかった。」
中村光夫
男51歳
5 「小説の態をなしていないような未熟さのなかに、ある素質を感じさせます。苦心したらしい書きだしの部分より無造作な後半がむしろすぐれているのは、作者が人物を扱いなれたせいでしょう。」
石川淳
男63歳
2 「作品のできばえはともかく、作者の年齢が若いということに見どころがある。」
舟橋聖一
男58歳
7 「二十歳そこそこの若い人なのに、えらく達者で、最後まで心惹かれて読んだが、この若さで芥川賞に推されては、将来が永いだけに、途中でバテる懼れもあろう。そんなことは、銓衡委員の取越苦労だと思いながら、やはり強くは推せないものがあった。」「年若い女子学生の色気が、素直にたっぷり出ているところは、好感がもてる。」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
3 「北原武夫君が非難するほどのものではなかった。二十歳の作者ときく。将来が多いに期待される。」
井上靖
男55歳
4 「独特のタッチで、よく書き込んだ作品であり、充分に作者の才能を感じさせるが、併し、文章に背のびしているところがあり、言葉の使い方も粗雑である。」
永井龍男
男58歳
2 「若々しいという点で、諸家の愛惜をうけた。私もその通りだと思う」
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他の候補作
河野多恵子
「美少女」
大森光章
「培養」
久保輝巳
「こどもの国」
多岐一雄
「光芒」
田久保英夫
「奢りの春」
西條倶吉
「カナダ館一九四一年」
久我耕
「痙攣」
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候補者・作品
久保輝巳男34歳×各選考委員 
「こどもの国」
短篇 99
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
3 「軽いものだが、同人雑誌小説のうまい程度だろう。」
石川達三
男57歳
0  
高見順
男55歳
2 「前作と全く違う印象なのが私には意外だった。」
中村光夫
男51歳
5 「三度の登場だけに、たしかな力倆は感じられますが、いずれも前の作品と同じところで、あるいはそれより下で低徊している風なのは歯がゆい気がします。」
石川淳
男63歳
0  
舟橋聖一
男58歳
6 「道徳とか良心とかをまるで別扱いにして、故意に無関心のようなのは面白い。然し、小説の終りへ来て、ハンケチを川へ投げてみたり、ネズミを焼いてみたりして、精々小道具を使う割に、効果が出ない。」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
4 「文章にまったく神経を使わない例」「もっと書きようがあったはずだ。最後まで面白く読んだだけに、惜しいと思った。」
井上靖
男55歳
0  
永井龍男
男58歳
4 「おもちゃ箱の中で、こわれた人形が遊んでいるような印象をうけた。もっともそういう風に意図して書いたら、もっと別の作品が出来たであろう。」
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他の候補作
河野多恵子
「美少女」
大森光章
「培養」
加藤浩子
「白猫」
多岐一雄
「光芒」
田久保英夫
「奢りの春」
西條倶吉
「カナダ館一九四一年」
久我耕
「痙攣」
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候補者・作品
多岐一雄男31歳×各選考委員 
「光芒」
短篇 59
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
6 「描写もムダなくテキパキして読ませるが、小説の筋のはこびは、あまりに都合よく、あつらえむきに進行して、ウソらしく、実感が淡い。」「これは、新しい通俗小説であろう。」
石川達三
男57歳
0  
高見順
男55歳
10 「「美少女についで(引用者中略)推した。疎外の時代の人間像が描かれていると私は見た。軽薄を軽薄として書いているのを私はそう解した。難点はあっても、もっとも新人らしい小説はこれだと思われた。第二の石原慎太郎という気もした。」「抑制が見事で、小説としても上手だと思われる。」
中村光夫
男51歳
5 「近ごろめずらしいきっちりまとまった短篇で、話術もたくみですが、文章に生動感がないために、人物が切紙細工のように見えます。」
石川淳
男63歳
2 「素質があり才能がある。」
舟橋聖一
男58歳
0  
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
4 「文章に気を使わないにしても、(引用者中略・注:「こどもの国」の気の使わなさとは)ちがう。(引用者中略)計算された文章のようだが、それ以上何も書くことがないからである。」
井上靖
男55歳
7 「一番面白く読めた」「現代に幾らでも居そうな青年を、その軽薄さも、その生活の空虚さも、なかなかよく出しながら描いていると思った。ただ読後、作中に不思議に重さの感じられぬことが気になった。」
永井龍男
男58歳
13 「私は「光芒」と「カナダ館」と「奢りの春」の三つに絞った」「短篇小説としてはほとんど完璧である。」「一つの短篇小説としては、この頃の候補作中頭抜けていると思われる。」「新潮同人雑誌賞を受けたこの作品にも(引用者注:他賞を受けたという理由で失格となった「カナダ館一九四一年」と)同じ影が添ってくる。」
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他の候補作
河野多恵子
「美少女」
大森光章
「培養」
加藤浩子
「白猫」
久保輝巳
「こどもの国」
田久保英夫
「奢りの春」
西條倶吉
「カナダ館一九四一年」
久我耕
「痙攣」
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候補者・作品
田久保英夫男34歳×各選考委員 
「奢りの春」
中篇 159
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
7 「小説の中に、女優と学生とは、話が二つにわれて、フィクションとしては、よくまとまらない。私小説としては、筆も眼も冗漫で、未だしであろう。」
石川達三
男57歳
0  
高見順
男55歳
4 「書きにくい青春像とはいえ、以前のものより見劣りがした。なんでも書ける感じにいささか疑問があるが、実力のある人に違いない。」
中村光夫
男51歳
5 「三度の登場だけに、たしかな力倆は感じられますが、いずれも前の作品と同じところで、あるいはそれより下で低徊している風なのは歯がゆい気がします。」
石川淳
男63歳
2 「素質があり才能がある。」
舟橋聖一
男58歳
3 「(引用者注:以前の「睡蓮」は)冴えていた」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
0  
井上靖
男55歳
3 「期待して読んだが、作品に分裂しているところがあり、氏の作品としてはいいものとは言えないと思った。」
永井龍男
男58歳
2 「私は「光芒」と「カナダ館」と「奢りの春」の三つに絞った」「贅肉があり過ぎる。」
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他の候補作
河野多恵子
「美少女」
大森光章
「培養」
加藤浩子
「白猫」
久保輝巳
「こどもの国」
多岐一雄
「光芒」
西條倶吉
「カナダ館一九四一年」
久我耕
「痙攣」
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候補者・作品
西條倶吉男(47歳)×各選考委員 
「カナダ館一九四一年」
短篇 98
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
0  
石川達三
男57歳
0  
高見順
男55歳
0  
中村光夫
男51歳
2 「始めに(引用者中略)他の新人賞を得ているという理由で除外された」
石川淳
男63歳
0  
舟橋聖一
男58歳
3 「中央公論新人賞にも入ったものだが、すでに派手な受賞記念のパーティーまでやっているので敬遠となった。」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
5 「ついさっき中央公論賞をもらったばかりだったので、敬遠することにした。文芸雑誌の新人賞以上の授賞作品は、敬遠すべきだというのが私の持論である。」
井上靖
男55歳
0  
永井龍男
男58歳
7 「作品の価値とは別の条件で失格した「カナダ館一九四一年」にも、私は心を残した。(この作品は、題名と書出しの気負った処が瑕であろう。)」
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他の候補作
河野多恵子
「美少女」
大森光章
「培養」
加藤浩子
「白猫」
久保輝巳
「こどもの国」
多岐一雄
「光芒」
田久保英夫
「奢りの春」
久我耕
「痙攣」
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候補者・作品
久我耕男(不明)×各選考委員 
「痙攣」
短篇 135
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作
男68歳
5 「筆者の筆が浮わついて、うまくない。」
石川達三
男57歳
0  
高見順
男55歳
0  
中村光夫
男51歳
3 「話がうまくできすぎていて、未熟な読物としか思えません。この才筆をもっとうまく生かせる筈でしょう。」
石川淳
男63歳
0  
舟橋聖一
男58歳
3 「まともな主題からは逸れていて、敗北型青年の卑屈さばかりが印象された。」
川端康成
男63歳
0  
丹羽文雄
男58歳
0  
井上靖
男55歳
0  
永井龍男
男58歳
4 「若さという点ならば、(引用者中略・注:「白猫」に)劣らない。」「この作品が好評でなかったのは、野心が気に入られなかったので、それにもかかわらず私は素直に読んだ。」
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他の候補作
河野多恵子
「美少女」
大森光章
「培養」
加藤浩子
「白猫」
久保輝巳
「こどもの国」
多岐一雄
「光芒」
田久保英夫
「奢りの春」
西條倶吉
「カナダ館一九四一年」
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