芥川賞のすべて・のようなもの
第57回
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昭和42年/1967年上半期
(昭和42年/1967年7月21日決定発表/『文藝春秋』昭和42年/1967年9月号選評掲載)
選考委員  石川達三
男62歳
丹羽文雄
男62歳
中村光夫
男56歳
大岡昇平
男58歳
永井龍男
男63歳
瀧井孝作
男73歳
石川淳
男68歳
舟橋聖一
男62歳
三島由紀夫
男42歳
川端康成
男68歳
井上靖
男60歳
選評総行数  34 27 43 23 23 48 22 46 29 33  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
大城立裕 「カクテル・パーティー」
125
男41歳
19 13 15 16 16 20 9 16 23 24    
野呂邦暢 「白桃」
31
男29歳
0 0 0 0 0 4 0 0 0 0    
後藤明生 「人間の病気」
109
男35歳
0 0 0 0 0 2 0 0 0 0    
丸谷才一 「にぎやかな街で」
209
男41歳
13 8 16 6 7 9 13 30 0 5    
なだいなだ 「レトルト」
217
男38歳
8 2 6 0 0 6 0 4 0 5    
北条文緒 「魚」
87
女31歳
0 0 5 0 0 2 0 0 0 0    
宮原昭夫 「やわらかい兇器」
79
男34歳
0 4 6 0 0 7 0 0 0 0    
                    欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和42年/1967年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
石川達三男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
当選を祝う 総行数34 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
19 「積極的に推すことはできなかった。」「(私)で始まり途中から(お前)という第二人称にかわる。しかしその(お前)は前半の(私)である。その事の必然性がどうしても納得できなかった。」「次に暴行を受ける娘の、その暴行の事情がはっきりしないし、娘自身のそれに対する態度が書いてない。」「ただ沖縄らしい生活事情の理不尽さが書かれ、その理不尽が日常的であることもよく解るように思った。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
13 「積極的に推すことはできなかった。」「戦後のごたごたとした人間風景を描いて面白いが、わざと時間的に前後交錯させた手法は、読みながら神経が疲れる。」「作者は描写力と構成力とかを充分に持った人と思うが、それだけに今後は幅や大きさのある本格的な作品を見せてほしいと思う。」
なだいなだ
男38歳
8 「何かしら小説を(余技)として書き、余技以上には考えていないのではないかという疑問が湧いてくる。才筆にたより、才筆にまかせて、作者が楽しみ過ぎるのかも知れない。」「創作態度について再考を促したいと思った。」
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
0  
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他の選考委員
丹羽文雄
中村光夫
大岡昇平
永井龍男
瀧井孝作
石川淳
舟橋聖一
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
丹羽文雄男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
最後が印象的 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
13 「いちばん読みごたえがあった。」「最後がことに印象的であった。」「勝味のない告訴をあえてやらずにはいられない主人公の気持が胸を打つ。そしてこの気持が沖縄のひとびとをはじめ、われわれの胸を通うものである。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
8 「あいまいな殺人に対する主人公の不安が、外部に向ってのみの感情に終始しているので、読者の胸にこたえないのであろう。」「最後に大いなる目のことがほのめかされているが、大いなる目は罪の意識があってはじめて生れるものである。」
なだいなだ
男38歳
2 「構成上の失敗と思う。が、いつもの作品よりは好意がもてた。」
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
4 「「石のニンフ達」の才能が落ち入りやすい失敗を案の定やったのだと思った。自分の才能に溺れすぎたようである。が、このひとの才能を私は高く買っている。」
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
大岡昇平
永井龍男
瀧井孝作
石川淳
舟橋聖一
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
中村光夫男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二つの試作 総行数43 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
15 「(引用者注:「にぎやかな味で」と共に)重味のある材料をこなして、作者の手腕は感じられますが、それぞれ不満な点があり、当選作にはならないというのが僕の意見です。」「主人公の意識と現実とのあいだのドラマが、作品の中心であるべき筈なのに、極めて不充分にしか見られず、主人公の反省や省察が読者として素直について行けない底の浅さを感じさせます。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
16 「(引用者注:「カクテル・パーティー」と共に)重味のある材料をこなして、作者の手腕は感じられますが、それぞれ不満な点があり、当選作にはならないというのが僕の意見です。」「作者がこれだけ執拗に彼らの行動を辿る動機が何なのか、読んでゆくうちにあいまいになります。」「作者が通常のモチイフを否定する考えであるなら、そういういわば前衛的な考えと、ここに登場する二人の感傷的人物とのつながりはどこにあるのかという疑問がわいてきます。」
なだいなだ
男38歳
6 「力作ですが、作者が主人公と一緒になっていい気に人間をいじっている感じで、興味索然とします。」
北条文緒
女31歳
5 「惜しいと思いました。」「終りの方で夫が事故死するあたりが不自然ですが、前半のぐうたらな夫と野心家の妻の心のきしみは、かなり書けています。」
宮原昭夫
男34歳
6 「一番作者の才能を感じた」「どこか人間を捕えていて、書きだしの部分は立派なできです。しかし下らない材料を、自分だけ面白がってひねりまわしているところが、結局作品を卑小にしています。」
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
大岡昇平
永井龍男
瀧井孝作
石川淳
舟橋聖一
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
大岡昇平男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
非凡な手腕 総行数23 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
16 「困難な沖縄の状況の下で、これだけの作品が出たということは、慶賀すべきことである。内地にはない深刻な状況が取扱われていて、切迫した小説的興味を生み出している。」「この作品の下には、表面に出ていない、多くのものがある、という感じである。それをどういう風に書きあらわすか、に作者の将来の問題がかかっていると思われる。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
6 「技術的には「カクテル・パーティー」よりすぐれている部分がある。しかし、私の意見では、丸谷氏はもう芥川賞候補者ではない。」「むしろもっとスケールの大きい作品で、新人賞ではない賞の候補になるべき作家だと思った。」
なだいなだ
男38歳
0  
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
0  
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
中村光夫
永井龍男
瀧井孝作
石川淳
舟橋聖一
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
永井龍男男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
緊密なドラマ 総行数23 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
16 「表現上の欠点は随所にある。」「それにもかかわらず最後までドラマの崩れないのは、作品に籠められた気迫の力で、沖縄の現在とか政治的な問題を扱った素材から直かに来ているのではない。」「現実の問題と、作品の価値とは全く別のものであることを明かにして置きたい。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
7 「技巧のすぐれた作品である。」「しかしながら、主題と目される罪の意識が、技巧を重ねた叙述のくり返しと共に次第に遊戯化して、結びの子の死に臨んでの述懐までも装飾的な言葉に終ってしまったように見えるのは、どうしたものであろうか。」
なだいなだ
男38歳
0  
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
0  
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
中村光夫
大岡昇平
瀧井孝作
石川淳
舟橋聖一
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
瀧井孝作男73歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
挺身者 総行数48 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
20 「描写に無駄がなく、テキパキ簡潔に、よく描けて居た。読了して、構成もよかった。目下の米国占領治下の、制圧された悲哀がよくわかった。」「しかし、この小説は中国人の孫弁護士なども登場して、いろいろのことが二重写しになり、筋の段取りがあまりによく出来すぎて、あまりに達者なもので、作り物だという不安もした。」
野呂邦暢
男29歳
4 「子供の感情は、美しく書けて居た。」
後藤明生
男35歳
2 「評略。」
丸谷才一
男41歳
9 「何か、とりとめがなく、感動させられるものがなかった。これは新しい流行小説のようだが、こんなわけのわからない作り物の空々しい小説が喜ばれるのは、これは今の世間一般が堕落しているせいだと考えられた。」
なだいなだ
男38歳
6 「これまでのは、才気を見せた作だが、これは病院の精神科医とその少女の患者との事柄をまともに書いてあり、これまでのより一番よいと見たが、これは少し長すぎる感じがした。」
北条文緒
女31歳
2 「評略。」
宮原昭夫
男34歳
7 「「石のニンフ達」よりはよいと思った。」「筆も鋭くなって、また引きしまって居た。」
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
中村光夫
大岡昇平
永井龍男
石川淳
舟橋聖一
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
石川淳男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
最後の二篇 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
9 「書いてあるかぎりでは一応書けているが、なにも書こうとしていない部分に於て、わたしは気に入らないところがあった。いろいろなことを考える作中の主人公として、思考の空白というか、怠慢というか、なぜここを深く考えないで素通りしてしまったかとおもわれる部分である。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
13 「銓衡に残った二篇(引用者注:「カクテル・パーティー」と「にぎやかな街で」)のうち、どちらかといえば、わたしは「にぎやかな街で」のほうを取る。」「ともかくスタイルができている。読める文章である。」「極限状況に置かれた二箇の人物のからみあいにも、漠然とはしているが、出口のない業のようなものが感じられる。ただ非常の事件を書いているのに、スゴミが出ないのはどういうものか。」
なだいなだ
男38歳
0  
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
0  
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
中村光夫
大岡昇平
永井龍男
瀧井孝作
舟橋聖一
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
舟橋聖一男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
批評精神を 総行数46 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
16 「カドを立てて書けば、いくらでもセンセイショナルになる題材を、よく抑制をきかせ、丹念に書き上げている。」「永井氏の発言にあったことで、この作品の政治的立地条件からくるアテコミの故に、銓衡されたものではなく、あくまで作品本位で選んだことは、私も証明しておきたい。が、いかに弁明したところで「芥川賞海を渡る」底の、一般の通俗的印象は、避け難い。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
30 「丸谷の才能も、買わないわけにはいかない。それで、(引用者注:「カクテル・パーティー」と)二作を一緒に受賞させてはどうかというハラもあった。」「面白かった。」「只一人の女を殺しただけで、これだけ苦しまねばならぬ個人の犯罪にくらべて、一度に大量殺人をやってのける国家の罪悪の、いかに猛烈、凄惨を極めるかが、この作品のアクチュアリティとして、読む者の心に迫ってくる。」
なだいなだ
男38歳
4 「(引用者注:文名を成しているという観点では、丸谷才一より)なだいなだのほうが、ハイ・クラスだ。にもかかわらず、こんどの作品では、なだは丸谷に引きはなされてしまった。」
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
0  
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
中村光夫
大岡昇平
永井龍男
瀧井孝作
石川淳
三島由紀夫
川端康成
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選考委員
三島由紀夫男42歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二つの欠点 総行数29 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
23 「他の審査委員は褒めるだろうから、私は(引用者中略)欠点をはっきりと述べておく。」「「広場の孤独」以来の常套で、主人公が良心的で反省的でまじめで被害者で……というキャラクタリゼーションが気に入らぬ。このことが作品の説得力を弱めている、という風に私には感じられた。」「主人公の社交能力の欠如が、事件をこじらせる一因でもあろうが、作者はそれをすべて大きな政治的パズルの中へ融かし込んでしまう。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
0  
なだいなだ
男38歳
0  
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
0  
  「今度は該当作なしと勝手に決めて審査会に出たので、気勢の上らぬこと夥しかった。」「全体に、省筆が重んじられていないこと、独自の感覚的発見が重んじられていないこと、の二つが共通の欠点だと思われた。」
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
中村光夫
大岡昇平
永井龍男
瀧井孝作
石川淳
舟橋聖一
川端康成
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選考委員
川端康成男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
適切な設定 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕
男41歳
24 「私は迷うことなく、(引用者中略)推した。」「これは「沖縄問題」を扱っているが、私はその題材のために推したのではない。」「問題の図式に乗ったような構成だが、その計算に感情が通り、しかも抑制で強まっている。たとえば、不器用のような会話も無駄話と肝心の話とがおもしろくまざったり、重要な事件は簡潔に書いてかえって効果を高めたりしている。」
野呂邦暢
男29歳
0  
後藤明生
男35歳
0  
丸谷才一
男41歳
5 「練達であるが、私には読みづらかったのは、描写に鮮明さが欠け、構成の図式が近頃の型で、個性がのびやかに出ていないかと疑われるのは、作者の少し考え過ぎではないだろうか。」
なだいなだ
男38歳
5 「なだ氏の文章とセンスとが好きなので、この作品でも惹かれるところがあった。素直な愛情も通っている。しかし、書き方になにか幕をへだてた感じがあるようだし、二人の患者のうちのファッション・モデルはもの足りない。」
北条文緒
女31歳
0  
宮原昭夫
男34歳
0  
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
中村光夫
大岡昇平
永井龍男
瀧井孝作
石川淳
舟橋聖一
三島由紀夫
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受賞者・作品
大城立裕男41歳×各選考委員 
「カクテル・パーティー」
短篇 125
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男62歳
19 「積極的に推すことはできなかった。」「(私)で始まり途中から(お前)という第二人称にかわる。しかしその(お前)は前半の(私)である。その事の必然性がどうしても納得できなかった。」「次に暴行を受ける娘の、その暴行の事情がはっきりしないし、娘自身のそれに対する態度が書いてない。」「ただ沖縄らしい生活事情の理不尽さが書かれ、その理不尽が日常的であることもよく解るように思った。」
丹羽文雄
男62歳
13 「いちばん読みごたえがあった。」「最後がことに印象的であった。」「勝味のない告訴をあえてやらずにはいられない主人公の気持が胸を打つ。そしてこの気持が沖縄のひとびとをはじめ、われわれの胸を通うものである。」
中村光夫
男56歳
15 「(引用者注:「にぎやかな味で」と共に)重味のある材料をこなして、作者の手腕は感じられますが、それぞれ不満な点があり、当選作にはならないというのが僕の意見です。」「主人公の意識と現実とのあいだのドラマが、作品の中心であるべき筈なのに、極めて不充分にしか見られず、主人公の反省や省察が読者として素直について行けない底の浅さを感じさせます。」
大岡昇平
男58歳
16 「困難な沖縄の状況の下で、これだけの作品が出たということは、慶賀すべきことである。内地にはない深刻な状況が取扱われていて、切迫した小説的興味を生み出している。」「この作品の下には、表面に出ていない、多くのものがある、という感じである。それをどういう風に書きあらわすか、に作者の将来の問題がかかっていると思われる。」
永井龍男
男63歳
16 「表現上の欠点は随所にある。」「それにもかかわらず最後までドラマの崩れないのは、作品に籠められた気迫の力で、沖縄の現在とか政治的な問題を扱った素材から直かに来ているのではない。」「現実の問題と、作品の価値とは全く別のものであることを明かにして置きたい。」
瀧井孝作
男73歳
20 「描写に無駄がなく、テキパキ簡潔に、よく描けて居た。読了して、構成もよかった。目下の米国占領治下の、制圧された悲哀がよくわかった。」「しかし、この小説は中国人の孫弁護士なども登場して、いろいろのことが二重写しになり、筋の段取りがあまりによく出来すぎて、あまりに達者なもので、作り物だという不安もした。」
石川淳
男68歳
9 「書いてあるかぎりでは一応書けているが、なにも書こうとしていない部分に於て、わたしは気に入らないところがあった。いろいろなことを考える作中の主人公として、思考の空白というか、怠慢というか、なぜここを深く考えないで素通りしてしまったかとおもわれる部分である。」
舟橋聖一
男62歳
16 「カドを立てて書けば、いくらでもセンセイショナルになる題材を、よく抑制をきかせ、丹念に書き上げている。」「永井氏の発言にあったことで、この作品の政治的立地条件からくるアテコミの故に、銓衡されたものではなく、あくまで作品本位で選んだことは、私も証明しておきたい。が、いかに弁明したところで「芥川賞海を渡る」底の、一般の通俗的印象は、避け難い。」
三島由紀夫
男42歳
23 「他の審査委員は褒めるだろうから、私は(引用者中略)欠点をはっきりと述べておく。」「「広場の孤独」以来の常套で、主人公が良心的で反省的でまじめで被害者で……というキャラクタリゼーションが気に入らぬ。このことが作品の説得力を弱めている、という風に私には感じられた。」「主人公の社交能力の欠如が、事件をこじらせる一因でもあろうが、作者はそれをすべて大きな政治的パズルの中へ融かし込んでしまう。」
川端康成
男68歳
24 「私は迷うことなく、(引用者中略)推した。」「これは「沖縄問題」を扱っているが、私はその題材のために推したのではない。」「問題の図式に乗ったような構成だが、その計算に感情が通り、しかも抑制で強まっている。たとえば、不器用のような会話も無駄話と肝心の話とがおもしろくまざったり、重要な事件は簡潔に書いてかえって効果を高めたりしている。」
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他の候補作
野呂邦暢
「白桃」
後藤明生
「人間の病気」
丸谷才一
「にぎやかな街で」
なだいなだ
「レトルト」
北条文緒
「魚」
宮原昭夫
「やわらかい兇器」
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候補者・作品
野呂邦暢男29歳×各選考委員 
「白桃」
短篇 31
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男62歳
0  
丹羽文雄
男62歳
0  
中村光夫
男56歳
0  
大岡昇平
男58歳
0  
永井龍男
男63歳
0  
瀧井孝作
男73歳
4 「子供の感情は、美しく書けて居た。」
石川淳
男68歳
0  
舟橋聖一
男62歳
0  
三島由紀夫
男42歳
0  
川端康成
男68歳
0  
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他の候補作
大城立裕
「カクテル・パーティー」
後藤明生
「人間の病気」
丸谷才一
「にぎやかな街で」
なだいなだ
「レトルト」
北条文緒
「魚」
宮原昭夫
「やわらかい兇器」
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候補者・作品
後藤明生男35歳×各選考委員 
「人間の病気」
短篇 109
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男62歳
0  
丹羽文雄
男62歳
0  
中村光夫
男56歳
0  
大岡昇平
男58歳
0  
永井龍男
男63歳
0  
瀧井孝作
男73歳
2 「評略。」
石川淳
男68歳
0  
舟橋聖一
男62歳
0  
三島由紀夫
男42歳
0  
川端康成
男68歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
大城立裕
「カクテル・パーティー」
野呂邦暢
「白桃」
丸谷才一
「にぎやかな街で」
なだいなだ
「レトルト」
北条文緒
「魚」
宮原昭夫
「やわらかい兇器」
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候補者・作品
丸谷才一男41歳×各選考委員 
「にぎやかな街で」
中篇 209
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男62歳
13 「積極的に推すことはできなかった。」「戦後のごたごたとした人間風景を描いて面白いが、わざと時間的に前後交錯させた手法は、読みながら神経が疲れる。」「作者は描写力と構成力とかを充分に持った人と思うが、それだけに今後は幅や大きさのある本格的な作品を見せてほしいと思う。」
丹羽文雄
男62歳
8 「あいまいな殺人に対する主人公の不安が、外部に向ってのみの感情に終始しているので、読者の胸にこたえないのであろう。」「最後に大いなる目のことがほのめかされているが、大いなる目は罪の意識があってはじめて生れるものである。」
中村光夫
男56歳
16 「(引用者注:「カクテル・パーティー」と共に)重味のある材料をこなして、作者の手腕は感じられますが、それぞれ不満な点があり、当選作にはならないというのが僕の意見です。」「作者がこれだけ執拗に彼らの行動を辿る動機が何なのか、読んでゆくうちにあいまいになります。」「作者が通常のモチイフを否定する考えであるなら、そういういわば前衛的な考えと、ここに登場する二人の感傷的人物とのつながりはどこにあるのかという疑問がわいてきます。」
大岡昇平
男58歳
6 「技術的には「カクテル・パーティー」よりすぐれている部分がある。しかし、私の意見では、丸谷氏はもう芥川賞候補者ではない。」「むしろもっとスケールの大きい作品で、新人賞ではない賞の候補になるべき作家だと思った。」
永井龍男
男63歳
7 「技巧のすぐれた作品である。」「しかしながら、主題と目される罪の意識が、技巧を重ねた叙述のくり返しと共に次第に遊戯化して、結びの子の死に臨んでの述懐までも装飾的な言葉に終ってしまったように見えるのは、どうしたものであろうか。」
瀧井孝作
男73歳
9 「何か、とりとめがなく、感動させられるものがなかった。これは新しい流行小説のようだが、こんなわけのわからない作り物の空々しい小説が喜ばれるのは、これは今の世間一般が堕落しているせいだと考えられた。」
石川淳
男68歳
13 「銓衡に残った二篇(引用者注:「カクテル・パーティー」と「にぎやかな街で」)のうち、どちらかといえば、わたしは「にぎやかな街で」のほうを取る。」「ともかくスタイルができている。読める文章である。」「極限状況に置かれた二箇の人物のからみあいにも、漠然とはしているが、出口のない業のようなものが感じられる。ただ非常の事件を書いているのに、スゴミが出ないのはどういうものか。」
舟橋聖一
男62歳
30 「丸谷の才能も、買わないわけにはいかない。それで、(引用者注:「カクテル・パーティー」と)二作を一緒に受賞させてはどうかというハラもあった。」「面白かった。」「只一人の女を殺しただけで、これだけ苦しまねばならぬ個人の犯罪にくらべて、一度に大量殺人をやってのける国家の罪悪の、いかに猛烈、凄惨を極めるかが、この作品のアクチュアリティとして、読む者の心に迫ってくる。」
三島由紀夫
男42歳
0  
川端康成
男68歳
5 「練達であるが、私には読みづらかったのは、描写に鮮明さが欠け、構成の図式が近頃の型で、個性がのびやかに出ていないかと疑われるのは、作者の少し考え過ぎではないだろうか。」
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他の候補作
大城立裕
「カクテル・パーティー」
野呂邦暢
「白桃」
後藤明生
「人間の病気」
なだいなだ
「レトルト」
北条文緒
「魚」
宮原昭夫
「やわらかい兇器」
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候補者・作品
なだいなだ男38歳×各選考委員 
「レトルト」
中篇 217
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男62歳
8 「何かしら小説を(余技)として書き、余技以上には考えていないのではないかという疑問が湧いてくる。才筆にたより、才筆にまかせて、作者が楽しみ過ぎるのかも知れない。」「創作態度について再考を促したいと思った。」
丹羽文雄
男62歳
2 「構成上の失敗と思う。が、いつもの作品よりは好意がもてた。」
中村光夫
男56歳
6 「力作ですが、作者が主人公と一緒になっていい気に人間をいじっている感じで、興味索然とします。」
大岡昇平
男58歳
0  
永井龍男
男63歳
0  
瀧井孝作
男73歳
6 「これまでのは、才気を見せた作だが、これは病院の精神科医とその少女の患者との事柄をまともに書いてあり、これまでのより一番よいと見たが、これは少し長すぎる感じがした。」
石川淳
男68歳
0  
舟橋聖一
男62歳
4 「(引用者注:文名を成しているという観点では、丸谷才一より)なだいなだのほうが、ハイ・クラスだ。にもかかわらず、こんどの作品では、なだは丸谷に引きはなされてしまった。」
三島由紀夫
男42歳
0  
川端康成
男68歳
5 「なだ氏の文章とセンスとが好きなので、この作品でも惹かれるところがあった。素直な愛情も通っている。しかし、書き方になにか幕をへだてた感じがあるようだし、二人の患者のうちのファッション・モデルはもの足りない。」
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他の候補作
大城立裕
「カクテル・パーティー」
野呂邦暢
「白桃」
後藤明生
「人間の病気」
丸谷才一
「にぎやかな街で」
北条文緒
「魚」
宮原昭夫
「やわらかい兇器」
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候補者・作品
北条文緒女31歳×各選考委員 
「魚」
短篇 87
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男62歳
0  
丹羽文雄
男62歳
0  
中村光夫
男56歳
5 「惜しいと思いました。」「終りの方で夫が事故死するあたりが不自然ですが、前半のぐうたらな夫と野心家の妻の心のきしみは、かなり書けています。」
大岡昇平
男58歳
0  
永井龍男
男63歳
0  
瀧井孝作
男73歳
2 「評略。」
石川淳
男68歳
0  
舟橋聖一
男62歳
0  
三島由紀夫
男42歳
0  
川端康成
男68歳
0  
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他の候補作
大城立裕
「カクテル・パーティー」
野呂邦暢
「白桃」
後藤明生
「人間の病気」
丸谷才一
「にぎやかな街で」
なだいなだ
「レトルト」
宮原昭夫
「やわらかい兇器」
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候補者・作品
宮原昭夫男34歳×各選考委員 
「やわらかい兇器」
短篇 79
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男62歳
0  
丹羽文雄
男62歳
4 「「石のニンフ達」の才能が落ち入りやすい失敗を案の定やったのだと思った。自分の才能に溺れすぎたようである。が、このひとの才能を私は高く買っている。」
中村光夫
男56歳
6 「一番作者の才能を感じた」「どこか人間を捕えていて、書きだしの部分は立派なできです。しかし下らない材料を、自分だけ面白がってひねりまわしているところが、結局作品を卑小にしています。」
大岡昇平
男58歳
0  
永井龍男
男63歳
0  
瀧井孝作
男73歳
7 「「石のニンフ達」よりはよいと思った。」「筆も鋭くなって、また引きしまって居た。」
石川淳
男68歳
0  
舟橋聖一
男62歳
0  
三島由紀夫
男42歳
0  
川端康成
男68歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
大城立裕
「カクテル・パーティー」
野呂邦暢
「白桃」
後藤明生
「人間の病気」
丸谷才一
「にぎやかな街で」
なだいなだ
「レトルト」
北条文緒
「魚」
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