芥川賞のすべて・のようなもの
第96回
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昭和61年/1986年下半期
(昭和62年/1987年1月16日決定発表/『文藝春秋』昭和62年/1987年3月号選評掲載)
選考委員  田久保英夫
男58歳
水上勉
男67歳
古井由吉
男49歳
吉行淳之介
男62歳
三浦哲郎
男55歳
開高健
男56歳
安岡章太郎
男66歳
遠藤周作
男63歳
選評総行数  30 33 30 35 28 31    
選評なし 選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
山本昌代 「豚神祀り」
86
女26歳
0 0 0 0 0 0        
村田喜代子 「盟友」
83
女41歳
0 0 0 5 1 0        
干刈あがた 「ホーム・パーティ」
86
女43歳
0 0 0 0 0 0        
多田尋子 「白い部屋」
95
女54歳
8 11 27 8 16 11        
島田雅彦 「未確認尾行物体」
129
男25歳
0 0 0 0 0 0        
山田詠美 「蝶々の纏足」
103
女27歳
7 13 0 13 6 12        
新井満 「苺」
78
男40歳
15 6 0 6 5 8        
            欠席 欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和62年/1987年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
田久保英夫男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「苺」を推す 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
山本昌代
女26歳
0  
村田喜代子
女41歳
0  
干刈あがた
女43歳
0  
多田尋子
女54歳
8 「かなりの支持をえた。しかし、私には何より性的に不能な夫の存在感、その十数年の暮しの時間が稀薄なことが気になった。丹念な工事の描き方は、長く冗漫なほどで、これは格別な方法上の狙いより、少しゆるんだ自然な筆致と思える。」
島田雅彦
男25歳
0  
山田詠美
女27歳
7 「少女期からの二人の女性の内的角逐を描いて、変らぬ筆力が見える。」「にわかに別れる終章の説明部分は、急ぎすぎた。ここで、もう一人の少女の結婚のような関係と時間の飛躍もあり、やはり肝心なところに肉づけが足りない。」
新井満
男40歳
15 「今回の候補作品を読んでいて、「苺」に出あった時、ほっとした。」「人の生命は、知らぬまに纜をとかれた帆船のようなものだ。(引用者中略)これはその白い帆に当る見えない大きな力を、風の気配や鐘の音など、小説的な点景のなかに表現している。」「吉行氏の影響が色濃く、シオランの言葉やワイエスの絵にやや依存しすぎている。しかし、私はからくも賞の水準をクリアしたと思ったし、比較の上では最高点をえたが、残念ながら、ほかの委員の方々の賛同をえられなかった。」
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他の選考委員
水上勉
古井由吉
吉行淳之介
三浦哲郎
開高健
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選考委員
水上勉男67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
授賞なしの感想 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
山本昌代
女26歳
0  
村田喜代子
女41歳
0  
干刈あがた
女43歳
0  
多田尋子
女54歳
11 「好感をもった」「きめのこまかさに魅かれた。だが亡夫との関係がきれいすぎるというか、関心の度合があまりにうすい。そこが不満だった。」「質のいいねばりに感心しつつも強く推す気持になれなかった。」
島田雅彦
男25歳
0  
山田詠美
女27歳
13 「三度目の候補だがこの作が山田さんの仕事でいちばん低い、と思えた。才能は抜群で、しゃれた云いまわしもあって読ませるものの後半がつまらない。」「何といっても一作目の緊張感がなく、話がまともで通俗的となり、山田さんのバイタリティがうすれたと思う。」「前二作の力量もあって、こんどの作が少し弱くても賞をさしあげても、という意見に六分までぼくも手をあげかけたのだが押えた。」
新井満
男40歳
6 「材料の切実なわりに心に迫らなかった。文体にあるのかもしれない。ユーモアもいいけれど、ここでこんなふうに云われては、と思えるところが、ぼくには何ヵ所か感じられた。」
  「候補の七作品のどれもが、ぼくを強く打たない。」「こんども無しかと思って出かけた。」
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他の選考委員
田久保英夫
古井由吉
吉行淳之介
三浦哲郎
開高健
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選考委員
古井由吉男49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
アンセクシュアルな現実 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
山本昌代
女26歳
0  
村田喜代子
女41歳
0  
干刈あがた
女43歳
0  
多田尋子
女54歳
27 「私はもっとも興味をひかれた。」「作品の文章の、やはり歳月をはらんだ、淡泊ながらの独特な粘着性が私には捨てがたくて、これは欠如としか受け取られないものをかけ値なしの現実として基に据えた作品ではないか、(引用者中略)と選考会の席上、われながら苦しい弁じ方をしたところが、先輩諸委員からかすかながら同意を得たのは、むしろ意外だった。」「結局は、この一作では作者の抱えた現実性の深浅を見定められないとして見送られた。私も強く推す自信はなかった。」
島田雅彦
男25歳
0  
山田詠美
女27歳
0  
新井満
男40歳
0  
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他の選考委員
田久保英夫
水上勉
吉行淳之介
三浦哲郎
開高健
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選考委員
吉行淳之介男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数35 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
山本昌代
女26歳
0  
村田喜代子
女41歳
5 「前回の「熱愛」ほどには、私をわくわくさせてくれなかった。」「それにしても、この作者がいつも少年ばかり書く理由は、まだ私には分からない。」
干刈あがた
女43歳
0  
多田尋子
女54歳
8 「細部に見るべきものがあって好感を持ったが、票は入れられなかった。」「工事のトリビアルな点をくわしく書きこむことは、効果を上げてはいるものの読む者を納得させるところまでに至らず、趣向の面白さにとどまった。」
島田雅彦
男25歳
0  
山田詠美
女27歳
13 「前回の選評で「才能があることはたしかだが、その質について判断がつきかねるところがある」と書いたが、私としてはその言葉をそのまま次回に持ち越すことになった。」「作者の手つきが見えてしまうところや、未醗酵のためとおもいたいのだが、弛緩してたよりない部分がある。そういうマイナスに眼をつむってしまおうか、という考えが私を含めて何人かの委員にあったが、結局できなかった。」
新井満
男40歳
6 「十分の才能を感じた。ただ、小説というものを手さぐりしているところがあって、そのために綻びができている。重たいものを含んだ内容を軽いタッチでユーモアを混えて書こうとしていて、その狙いは評価できる。しかし、作品に生かされたかといえば、生煮えになってしまった部分が多い。」
  「前回「受賞作なし」だったので、今回はなんとかして出したい、というのが委員全部の気持だったようだ。」
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他の選考委員
田久保英夫
水上勉
古井由吉
三浦哲郎
開高健
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選考委員
三浦哲郎男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
山本昌代
女26歳
0  
村田喜代子
女41歳
1 「次作を期待しよう。」
干刈あがた
女43歳
0  
多田尋子
女54歳
16 「私は(引用者中略)推した。」「読後に、一人の孤独な初老の女性像が確かな存在感をもって残る。そのことに感心した。それに、近頃の女流作品には珍しく、ここには女性の体臭がある。」「ただ、主人公に比べて、不能だったという夫の像が、なかなかうまく結ばないもどかしさはあった。」
島田雅彦
男25歳
0  
山田詠美
女27歳
6 「力作だが、新しい発見も驚きもなかった。筆力は充分なのだが、作者のよさが素直に出ていないのは素材のせいだろうか。作者はこの素材にあまり気乗りがしなかったのではないか。それとも、逆に、取って置きだったからつい固くなったのか。」
新井満
男40歳
5 「爽やかな風が吹き抜けるような作品で好感を持ったが、肝腎なところになると歌詞のようなものがはめ込まれるのが不満であった。多少野暮になっても、散文作品は散文で貫くべきだと思う。」
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他の選考委員
田久保英夫
水上勉
古井由吉
吉行淳之介
開高健
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選考委員
開高健男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
いずれも次作を 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
山本昌代
女26歳
0  
村田喜代子
女41歳
0  
干刈あがた
女43歳
0  
多田尋子
女54歳
11 「しなやかで精密でこまやかな文体で綴られていて好感を抱かせられる。」「しかし、“作品”としてあらためて読んでみると、亡夫にまったく存在感がないので核がない。」「淡漠を描きたいのならそれなりに発想と手法が変るものと思いたいが、このままでは困っちゃう。」
島田雅彦
男25歳
0  
山田詠美
女27歳
12 「この人にはストーリーらしいストーリーを作ろうという強い意識があって“作文”ではないという一点。ひょっとすると“悪達者”と評されるかもしれない達者さという一点。この二点で私は買いに出た。」「惜しくも今回は長蛇を逸したけれど、その口惜しさや恨みを燃料として次作の飛躍を試みてほしい。あなたはまだ若い。まだまだやれます。」
新井満
男40歳
8 「どうやら作者のお人柄からくるものらしいと思われる爽やかさとおっとりさが魅力になっている。しかし、文章はまだまだ未熟で、デッサン不足というしかない。お人柄は作品にとっていいものだし不可欠のものであるだろうが、それだけではどうしようもないと知らねばなるまい。」
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他の選考委員
田久保英夫
水上勉
古井由吉
吉行淳之介
三浦哲郎
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候補者・作品
山本昌代女26歳×各選考委員 
「豚神祀り」
短篇 86
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
0  
水上勉
男67歳
0  
古井由吉
男49歳
0  
吉行淳之介
男62歳
0  
三浦哲郎
男55歳
0  
開高健
男56歳
0  
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他の候補作
村田喜代子
「盟友」
干刈あがた
「ホーム・パーティ」
多田尋子
「白い部屋」
島田雅彦
「未確認尾行物体」
山田詠美
「蝶々の纏足」
新井満
「苺」
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候補者・作品
村田喜代子女41歳×各選考委員 
「盟友」
短篇 83
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
0  
水上勉
男67歳
0  
古井由吉
男49歳
0  
吉行淳之介
男62歳
5 「前回の「熱愛」ほどには、私をわくわくさせてくれなかった。」「それにしても、この作者がいつも少年ばかり書く理由は、まだ私には分からない。」
三浦哲郎
男55歳
1 「次作を期待しよう。」
開高健
男56歳
0  
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他の候補作
山本昌代
「豚神祀り」
干刈あがた
「ホーム・パーティ」
多田尋子
「白い部屋」
島田雅彦
「未確認尾行物体」
山田詠美
「蝶々の纏足」
新井満
「苺」
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候補者・作品
干刈あがた女43歳×各選考委員 
「ホーム・パーティ」
短篇 86
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
0  
水上勉
男67歳
0  
古井由吉
男49歳
0  
吉行淳之介
男62歳
0  
三浦哲郎
男55歳
0  
開高健
男56歳
0  
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他の候補作
山本昌代
「豚神祀り」
村田喜代子
「盟友」
多田尋子
「白い部屋」
島田雅彦
「未確認尾行物体」
山田詠美
「蝶々の纏足」
新井満
「苺」
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候補者・作品
多田尋子女54歳×各選考委員 
「白い部屋」
短篇 95
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
8 「かなりの支持をえた。しかし、私には何より性的に不能な夫の存在感、その十数年の暮しの時間が稀薄なことが気になった。丹念な工事の描き方は、長く冗漫なほどで、これは格別な方法上の狙いより、少しゆるんだ自然な筆致と思える。」
水上勉
男67歳
11 「好感をもった」「きめのこまかさに魅かれた。だが亡夫との関係がきれいすぎるというか、関心の度合があまりにうすい。そこが不満だった。」「質のいいねばりに感心しつつも強く推す気持になれなかった。」
古井由吉
男49歳
27 「私はもっとも興味をひかれた。」「作品の文章の、やはり歳月をはらんだ、淡泊ながらの独特な粘着性が私には捨てがたくて、これは欠如としか受け取られないものをかけ値なしの現実として基に据えた作品ではないか、(引用者中略)と選考会の席上、われながら苦しい弁じ方をしたところが、先輩諸委員からかすかながら同意を得たのは、むしろ意外だった。」「結局は、この一作では作者の抱えた現実性の深浅を見定められないとして見送られた。私も強く推す自信はなかった。」
吉行淳之介
男62歳
8 「細部に見るべきものがあって好感を持ったが、票は入れられなかった。」「工事のトリビアルな点をくわしく書きこむことは、効果を上げてはいるものの読む者を納得させるところまでに至らず、趣向の面白さにとどまった。」
三浦哲郎
男55歳
16 「私は(引用者中略)推した。」「読後に、一人の孤独な初老の女性像が確かな存在感をもって残る。そのことに感心した。それに、近頃の女流作品には珍しく、ここには女性の体臭がある。」「ただ、主人公に比べて、不能だったという夫の像が、なかなかうまく結ばないもどかしさはあった。」
開高健
男56歳
11 「しなやかで精密でこまやかな文体で綴られていて好感を抱かせられる。」「しかし、“作品”としてあらためて読んでみると、亡夫にまったく存在感がないので核がない。」「淡漠を描きたいのならそれなりに発想と手法が変るものと思いたいが、このままでは困っちゃう。」
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他の候補作
山本昌代
「豚神祀り」
村田喜代子
「盟友」
干刈あがた
「ホーム・パーティ」
島田雅彦
「未確認尾行物体」
山田詠美
「蝶々の纏足」
新井満
「苺」
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候補者・作品
島田雅彦男25歳×各選考委員 
「未確認尾行物体」
短篇 129
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
0  
水上勉
男67歳
0  
古井由吉
男49歳
0  
吉行淳之介
男62歳
0  
三浦哲郎
男55歳
0  
開高健
男56歳
0  
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他の候補作
山本昌代
「豚神祀り」
村田喜代子
「盟友」
干刈あがた
「ホーム・パーティ」
多田尋子
「白い部屋」
山田詠美
「蝶々の纏足」
新井満
「苺」
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候補者・作品
山田詠美女27歳×各選考委員 
「蝶々の纏足」
短篇 103
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
7 「少女期からの二人の女性の内的角逐を描いて、変らぬ筆力が見える。」「にわかに別れる終章の説明部分は、急ぎすぎた。ここで、もう一人の少女の結婚のような関係と時間の飛躍もあり、やはり肝心なところに肉づけが足りない。」
水上勉
男67歳
13 「三度目の候補だがこの作が山田さんの仕事でいちばん低い、と思えた。才能は抜群で、しゃれた云いまわしもあって読ませるものの後半がつまらない。」「何といっても一作目の緊張感がなく、話がまともで通俗的となり、山田さんのバイタリティがうすれたと思う。」「前二作の力量もあって、こんどの作が少し弱くても賞をさしあげても、という意見に六分までぼくも手をあげかけたのだが押えた。」
古井由吉
男49歳
0  
吉行淳之介
男62歳
13 「前回の選評で「才能があることはたしかだが、その質について判断がつきかねるところがある」と書いたが、私としてはその言葉をそのまま次回に持ち越すことになった。」「作者の手つきが見えてしまうところや、未醗酵のためとおもいたいのだが、弛緩してたよりない部分がある。そういうマイナスに眼をつむってしまおうか、という考えが私を含めて何人かの委員にあったが、結局できなかった。」
三浦哲郎
男55歳
6 「力作だが、新しい発見も驚きもなかった。筆力は充分なのだが、作者のよさが素直に出ていないのは素材のせいだろうか。作者はこの素材にあまり気乗りがしなかったのではないか。それとも、逆に、取って置きだったからつい固くなったのか。」
開高健
男56歳
12 「この人にはストーリーらしいストーリーを作ろうという強い意識があって“作文”ではないという一点。ひょっとすると“悪達者”と評されるかもしれない達者さという一点。この二点で私は買いに出た。」「惜しくも今回は長蛇を逸したけれど、その口惜しさや恨みを燃料として次作の飛躍を試みてほしい。あなたはまだ若い。まだまだやれます。」
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他の候補作
山本昌代
「豚神祀り」
村田喜代子
「盟友」
干刈あがた
「ホーム・パーティ」
多田尋子
「白い部屋」
島田雅彦
「未確認尾行物体」
新井満
「苺」
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候補者・作品
新井満男40歳×各選考委員 
「苺」
短篇 78
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
田久保英夫
男58歳
15 「今回の候補作品を読んでいて、「苺」に出あった時、ほっとした。」「人の生命は、知らぬまに纜をとかれた帆船のようなものだ。(引用者中略)これはその白い帆に当る見えない大きな力を、風の気配や鐘の音など、小説的な点景のなかに表現している。」「吉行氏の影響が色濃く、シオランの言葉やワイエスの絵にやや依存しすぎている。しかし、私はからくも賞の水準をクリアしたと思ったし、比較の上では最高点をえたが、残念ながら、ほかの委員の方々の賛同をえられなかった。」
水上勉
男67歳
6 「材料の切実なわりに心に迫らなかった。文体にあるのかもしれない。ユーモアもいいけれど、ここでこんなふうに云われては、と思えるところが、ぼくには何ヵ所か感じられた。」
古井由吉
男49歳
0  
吉行淳之介
男62歳
6 「十分の才能を感じた。ただ、小説というものを手さぐりしているところがあって、そのために綻びができている。重たいものを含んだ内容を軽いタッチでユーモアを混えて書こうとしていて、その狙いは評価できる。しかし、作品に生かされたかといえば、生煮えになってしまった部分が多い。」
三浦哲郎
男55歳
5 「爽やかな風が吹き抜けるような作品で好感を持ったが、肝腎なところになると歌詞のようなものがはめ込まれるのが不満であった。多少野暮になっても、散文作品は散文で貫くべきだと思う。」
開高健
男56歳
8 「どうやら作者のお人柄からくるものらしいと思われる爽やかさとおっとりさが魅力になっている。しかし、文章はまだまだ未熟で、デッサン不足というしかない。お人柄は作品にとっていいものだし不可欠のものであるだろうが、それだけではどうしようもないと知らねばなるまい。」
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他の候補作
山本昌代
「豚神祀り」
村田喜代子
「盟友」
干刈あがた
「ホーム・パーティ」
多田尋子
「白い部屋」
島田雅彦
「未確認尾行物体」
山田詠美
「蝶々の纏足」
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