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第106回
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高橋義夫
Takahashi Yoshio
生没年月日【注】 昭和20年/1945年10月26日~
受賞年齢 46歳2ヵ月
経歴 千葉県船橋市生まれ。早稲田大学文学部卒。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第97回直木賞(昭和62年/1987年上期)『闇の葬列』
  • |候補| 第101回直木賞(平成1年/1989年上期)『秘宝月山丸』
  • |候補| 第17回泉鏡花文学賞(平成1年/1989年)『秘宝月山丸』
  • |候補| 第103回直木賞(平成2年/1990年上期)『北緯50度に消ゆ』
  • |候補| 第105回直木賞(平成3年/1991年上期)『風吹峠』
  • 第106回直木賞(平成3年/1991年下期)「狼奉行」
処女作 『幻の明治維新 やさしき志士の群』(昭和52年/1977年11月・創世記刊)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
直木賞受賞作全作読破への道Part2
備考
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直木賞 第97回候補  一覧へ

やみ そうれつ ひろさわさんぎあんさつはんにんそうさしまつ
闇の 葬列―― 広沢参議暗殺犯人捜査始末』(昭和62年/1987年3月・講談社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 カバー 「悲しき密偵」「The broken hearted policeman」併記
副題等 カバー 「広沢参議 暗殺犯人捜査始末」 奥付 「――広沢参議暗殺犯人捜査始末」
印刷/発行年月日 発行 昭和62年/1987年3月15日(第1刷)
発行者等 発行者 野間惟道 印刷所 株式会社廣済堂 製本所 株式会社黒岩大光堂
発行所 株式会社講談社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装丁 熊谷博人
総ページ数 254 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×19行
×1段
本文ページ 7~254
(計248頁)
測定枚数 452
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書誌
>>平成2年/1990年4月・講談社/講談社文庫『闇の葬列』
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候補者 高橋義夫 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣
男63歳
7 「征韓挙兵を呼号する諸藩の武士や浪人たちの不満が、それほど強く伝わってこないことを除けば、全篇よくまとまっている。政治の非情もよくえがけ、結末も余韻があってよかった。」
藤沢周平
男59歳
16 「新人ばなれした作品で、私は斬られたあとの予後のぐらいとか、斬り合いなどが、こういう場合の類型的な表現にまったく毒されていないのに感服した。力がないと出来ないことである。」「全体を見渡すと題材、文章ともにいま一歩の感があり、花も実もある作品というわけにはいかない。」
黒岩重吾
男63歳
9 「全くそつがなく殆ど欠点のない構成で人物を動かしている」「それにも拘らず読み難い。これは作者が構成通りに人物を動かすことにエネルギーを費やし過ぎたせいであろう。優等生の答案を見せつけられた味気なさを感じた。」
田辺聖子
女59歳
12 「私には感銘があった。」「骨格ただしく推理的興味も添うて、私はオトナの鑑賞に堪える好読物として推してもいい気になっていた。」「(引用者注:「海狼伝」に比べると)まことに通人向きの渋好み、といわねばならぬ。私は涙を呑んで次点に置いたのであった。」
井上ひさし
男52歳
0  
渡辺淳一
男53歳
11 「資料とフィクションの部分がよく馴染み、維新という革命の非情さを背景に、追い詰めていく男と追われる者の息づかいが伝わってくる佳作であった。」「一作ならこの作品かと思って推したが、多数にはいたらなかった。しかし受賞しておかしくない出来栄えであった。」
山口瞳
男60歳
11 「強力新人があらわれたことを喜びたい。」「広沢真臣の妾が知恵おくれで淫乱だったとか、拷問を続けている岡ッ引きが性格的にサディスティックになってしまうといったあたりが面白いのだが、逆に、そこをもっと突っ込んでもらいたかったという憾みが残った。」
村上元三
男77歳
15 「構成もしっかりしているし、明治初年の政治と世相、外国の関係した経済など、きちんと見ている。華がないという批評も出たが、この作品に華は要らない。」「ほかにこの作者の作品がなかったこともあるのだろうが、惜しいところで落ちた。」
平岩弓枝
女55歳
17 「材料をよく消化しているし、追う者と追われる者の人間像がしっかりしていて、文章も歯切れが良い。今回の候補作品の中では一番、印象に残ったし、読後感も好かった。」「地味なようにみえて、本質的には、大変、派手な作品である。」
五木寛之
男54歳
22 「骨太な歴史小説として堂々たる作品であることに驚いた。」「横浜の元同心が主人公で、ふと〈ジャッカルの日〉などを連想しながら一気に読んだ。この長篇が受賞をいっしたのは、ただ他に山田、白石両氏の存在があったからに過ぎないだろう。高橋氏の受賞を強く推す声もあったのは当然である。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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文量
長篇
章立て
「プロローグ 暗殺の夜」「契約」「葬列」「花吹雪」「悪い夢」「陪審」「エピローグ 別れ」
時代設定 場所設定
明治初期  東京~横浜~久留米藩など
登場人物
朝倉新次郎(元・奉行所同心、捕亡)
中村六蔵(肥後出身、逃亡者)
長野文輔(民部省少丞)
神尾精一郎(豊後森藩の探索方役人)
坂本理助(刑部省の権少録)
広沢真臣(萩藩出身の参議、自邸にて暗殺)
雲井龍雄(米沢藩士、政府転覆陰謀の嫌疑で梟首)




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ひほうがっさんまる
秘宝月山丸』(平成1年/1989年3月・新潮社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「ひほうがっさんまる」
印刷/発行年月日 印刷 平成1年/1989年3月10日 発行 平成1年/1989年3月15日
発行者等 発行者 佐藤亮一 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 加藤製本株式会社
発行所 株式会社新潮社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 榎戸文彦
総ページ数 221 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×21行
×1段
本文ページ 5~221
(計217頁)
測定枚数 445
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書誌
>>平成8年/1996年10月・文藝春秋/文春文庫『秘宝月山丸』
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候補者 高橋義夫 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣
男65歳
21 「作品の舞台は、私にとって最も未知の「界隈」であり、そのせいか最も強い印象をうけた。ただ末尾のしめくくりに難点があるようにおもった。方言を多用しているが、それがわかりやすく、地鳴りのような効果があることに感心した。」
黒岩重吾
男65歳
14 「孤島のような山村にいながら、他人の行動を観察し、警戒し合い、それでもなお古い土地によって縛られ、繋っている村人の姿はよく描かれている。」「残念なのはフィクションの魅力が感じられないことである。佳い作品なのに点が集まらなかった理由はそこにあるのではないか。」
山口瞳
男62歳
19 「文化人が地方都市や僻地に移住する、すでに何人かが書いている型の小説だ。(引用者中略)それだけでも損をしている。」「主人公がなぜ都会を避けるのか、私にはよくわからなかった。高橋さんは腕力のある作家だと思っているので、これも残念だった。」
田辺聖子
女61歳
18 「都会人の目線からムラの文化構造を見据え、日本民族の伝統の核のようなものをさぐりあてる、その例がバリエーションに富み、群像の面白さも堪能させられた。」「これは物語性を問う小説ではないように思われる。」「小説はどのように書いてもいいのだと問題提起している作品である。」
藤沢周平
男61歳
21 「登場人物が克明にいきいきと描きわけられているのに感服した。」「話はまとまっているものの、だからどうなのかと言えばそれっきりのようなあっけないところがあるのは、身辺雑記ふうの小説の仕立てのせいではないだろうか。高橋さんにはやはり、「闇の葬列」のようなコクのある物語を書いてもらいたい気がする。」
五木寛之
男56歳
0  
村上元三
男79歳
10 「委員たちの評判がよかったのに、わたしはあまり買わなかった。せっかく作者が描こうとした朝日連峰の山なみや月山あたりも、よく知っているのにわたしの眼には情景が浮んで来なかった。詩情というものに、この作者はおぼれすぎている。」
平岩弓枝
女57歳
20 「主人公が最後まで傍観者の域を出ないのが、作品を弱くしている。それと、こうした連作の短篇の場合、最初と最後の章が、いわば腕のみせどころになる筈だが、終章は村芝居をしている登場人物だけが楽しんで、読者を楽しませるには至らなかった。」
渡辺淳一
男55歳
11 「東北の山村の雰囲気はよく出ているが、結局なにを書きたかったのか、イメージが収斂してこない弱さがある。」「すべてを月山丸につなげるのはいささか無理があろう。しかし力のある人である。」
井上ひさし
男54歳
7 「質のよい文章に南奥方言を効果的に駆使することによって反物語的な物語を展開した」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年9月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 むじな森――村さ宝探すに来たなかァ」「第二章 鬼かつぎ――月山丸はねえなよはァ」「第三章 役者どの――ぽとらぽとらと柿落つる」「第四章 菊之助――蝮ば飼ってなにすんなや」「第五章 十六団子――犬も喰わねべした」「第六章 刀だめし――叩いてみねげばわがんねずゥ」「第七章 村芝居――宝めっけたのかはァ」
時代設定 場所設定
[同時代]  山形県霧ノ城など
登場人物
わたし(翻訳家)
佐和子(わたしの別れた妻)
紀一(屋号・金売、爺さん)
咲江(屋号・清水、婆さん)
彦八(屋号・役者どの、爺さん)
昭男(彦八の義理の息子)
古山卓二(烏谷の住人)
山路麗子(役場の広報係)
良正(屋号・別当)




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ほくいごじゅうど
北緯50度に 消ゆ』(平成2年/1990年3月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「ほくい」「ど」「き」
印刷/発行年月日 印刷 平成2年/1990年3月15日 発行 平成2年/1990年3月20日
発行者等 発行者 佐藤亮一 印刷所 株式会社三秀舎 製本所 大口製本株式会社
発行所 株式会社新潮社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 カバー写真 ニコライ2世の三女マリア カバー地図 樺太陸地測量地図(昭和5年版)
総ページ数 277 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
44字
×20行
×1段
本文ページ 5~277
(計273頁)
測定枚数 544
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書誌
>>書下ろし
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候補者 高橋義夫 男44歳
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣
男66歳
5 「後半の仕掛けがこみいりすぎて、感銘度を薄めたのは残念である。」
平岩弓枝
女58歳
28 「流石の物語上手、構成上手がちょっと息切れしてしまったのではないかという印象をもった。」「全体を通じて不要な人物は刈り込んで、個性のある人物を活躍させるほうが人間も生きて来るし、読者にも親切であろう。」
藤沢周平
男62歳
11 「学生たちが大旅行に出発するあたりの出だしが新鮮で、その後の展開に期待を持たせるが、満洲にわたってからの活劇が平凡。」「高橋さんの本領が発揮された作品とは言えないが、この分野の小説に挑んだ意欲を高く買いたい。」
黒岩重吾
男66歳
0  
山口瞳
男63歳
0  
渡辺淳一
男56歳
0  
五木寛之
男57歳
15 「(引用者注:『風少女』と)『北緯50度に消ゆ』の二作が受賞作に選ばれてもいいと思っていた。」「作家としての卓抜な構築力が感じられる。その筆力はただごとではない。いずれ私たちを瞠目させる作品を書く人だろう。」
田辺聖子
女62歳
34 「導入部から面白く、私には一気に読める小説であった。文章が過不足なく適切で、ほどよき湿度を保って気持よかった。」「ただもう少しマリアの像がはっきりしていたら、と惜しい。」「しかしふしぎな、心にのこる小説だった。ミステリー、冒険小説、そのどれにもあてはまらない広がりをもっている。」
井上ひさし
男55歳
40 「作者の、歴史の隙間から物語の種子を拾い上げようとする努力と情熱に拍手を惜しむものではないが、しかしせっかくの物語要素の前で作者はなぜこのようにためらうのだろうか。」「読者の知りたがっていることがもっとはっきり書き込まれていたら、すばらしい物語になっただろうにと惜しまれる。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年9月号
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文量
長篇
章立て
「序章 皇女の肖像」「第一部 卒業旅行――一九二一年夏」「幕間に」「第二部 流刑の島――一九二三年秋」「終章 ハヴァロフスクの夜」
時代設定 場所設定
[同時代]~1920年代前半  満州~樺太~小樽など
登場人物
修治(手記の語り手、東亜同文書院の学生)
マリア(ロシア人女性、記憶喪失者)
馬橋専六(セミョノフ派義勇団の残党)
クルト・アイスナー(ドイツ系アメリカ人、通信社特派記者)
恵美正勝(修治の同級生)
浅野(ハルビンの写真館主)
ニコライ・ボルコフ(南樺太の帰化ロシア人)
鱒男(樺太人の少年)
薬師寺広(酔いどれの写真家)
高見修(小出版社の編集者)




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かざほことうげ
風吹峠』(平成3年/1991年5月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・背・扉 ルビ有り「かざほことうげ」
印刷/発行年月日 発行 平成3年/1991年5月30日(第1刷)
発行者等 発行者 豊田健次 印刷 凸版印刷 製本 中島製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 畑農照雄 AD 森 玲子
総ページ数 242 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ 5~242
(計238頁)
測定枚数 419
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候補者 高橋義夫 男45歳
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子
女63歳
11 「最後まで受賞作と争い、かなり烈しい接戦になった。私は書き出しの老練な巧さに感じ入った。あと味いい佳品であるが、文句のつけようのないところがすこし、困った。」
山口瞳
男64歳
23 「人物でも風景でも丹念に書き込んで押して押してゆくタイプで好感が持てる。」「これを良しとする考えと直木賞としては現代性に乏しいという考えの間で苦しんだが、見送ることにした。千花という女性は真面目で小太りで地肌の匂う人だと思うのだが、もう少し強く匂ってこないと小説にはならない。」
陳舜臣
男67歳
11 「作風がまっとうすぎたのか、強い支持が得られなかった。かといって、積極的な反対もなかったのである。」「たとえば「秘宝月山丸」にあった作品のさわがしさが、今回の作にすこしのりうつっておればと、おもったほどである。」
五木寛之
男58歳
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黒岩重吾
男67歳
39 「最も惹かれた。」「人間模様が鮮やかに迫って来るのも、作者の慈愛の眼が総てに行き届いているからである。」「票が集まりながら受賞を逸したのは、優等生的な作品と評価されたせいである。」「だが現在、これだけの筆力で寒村僻地を描ける作家は少ない。」
井上ひさし
男56歳
26 「しっかりした取材と調査、正確な方言、たしかな文章力、(引用者中略)作者の目配りのきいた計算には脱帽するほかはない。がしかし、すべての道具立てが行儀よく整っているのに、読者の心が大きくゆすぶられるには至らない。」「一言でいば、だれもかれもが、とても窮屈なのだ。」
渡辺淳一
男57歳
18 「人物の描写も適確で、伊作を偲んで旅館で一人で酒を飲むところなぞ秀逸である。」「医学校は出ても実地の研修を積んでいない女医の問題点は多々あったはずで、そのあたりのことを書き込んでいないところが、作品を平板なものにしてしまった。」
平岩弓枝
女59歳
29 「推したいと思った。」「如何にも高橋さんらしい素材だが、今までと違うのは、暗さの中の明るさの発見が見事なことである。」「例えば、美しい雪国の四季の描写であり、翁屋旅館の女将と女主人公との交流である。」
藤沢周平
男63歳
27 「僻地ともいうべき山村の医療にしたがうことになった若い女医とその周辺は、そつなく描かれているけれども、そこから読む者の心を打ってくるものが不足しているように思えた。小説のおもしろさ、よさは、私が言うまでもなく、書かれていることのほかにプラス・アルファが感じられるかどうかにかかっているわけで、手堅いだけでは読者を感動させることはむずかしい。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年9月号
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文量
長篇
章立て
「一章」~「四章」
時代設定 場所設定
昭和10年/1935年~22年  山形県根子沢村~山形市など
登場人物
西塔千花(根子沢村唯一人の医師)
風間伊作(米沢の中学教師)
西塔庄三郎(千花の父、地元の名士)
西塔貞一(千花の弟、西塔家の長男)
松田捨松(小学校長)
マツ子(千花の幼なじみ)




直木賞 第106受賞  一覧へ

おおかみぶぎょう
狼奉行」(『オール讀物』平成3年/1991年12月号)
媒体・作品情報
誌名 「オール讀物」  別表記表紙 「文藝春秋」併記
巻号 第46巻 第12号  別表記12月号
印刷/発行年月日 発行 平成3年/1991年12月1日
発行者等 編集人 中井 勝 発行人 阿部達児 印刷人 藤田弘道 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
装幀/装画等  三芳悌吉
総ページ数 462 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
19字
×25行
×3段
本文ページ 304~336
(計33頁)
測定枚数 105
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書誌
>>『オール讀物』平成4年/1992年3月号
>>平成4年/1992年3月・文藝春秋刊『狼奉行』所収
>>平成7年/1995年6月・文藝春秋/文春文庫『狼奉行』所収
>>平成12年/2000年12月・リブリオ出版/大きな活字で読みやすい本『げんだい時代小説 第14巻 高橋義夫集』所収
>>平成15年/2003年5月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『狼奉行』(上)所収
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候補者 高橋義夫 男46歳
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣
男67歳
13 「人間生活のある切断面をのぞかせて、読者の頭に人生の全体像を刻みこむのが中短篇の基本であるとおもう。この作品はそれに成功している。ひきしまって、「完結感」とでもいうべきものをかんじた。」
平岩弓枝
女59歳
26 「東北の、きびしい自然の中で生きる人々の明暗を抑えた描写で読者に語りかけている。それが、かえって心を打つのだろうと思う。登場人物の性格も、心の動きも、行動も無理がなく、作品全体には雪国の良い季節の青空をみるような明るさがあった。」
五木寛之
男59歳
29 「小説としての結構がもっともよくととのっていた」「読んでいて素直にたのしむことができた。主人公の祝靱負の描きかたにふくらみがある。下級官吏の十兵衛にも人間的な魅力が感じられるし、狼狩りの絵巻物もなかなかの壮観だ。」
田辺聖子
女63歳
15 「今回の受賞はほとんど満場一致といっていい。私は雪国の日常感覚の描写が作品の構成上、まことにめでたき効果をもたらしているのに感銘をうけた。」「人物描写も簡潔ながら彫りが深く魅力的だ。時代小説の醍醐味を堪能した。」
黒岩重吾
男67歳
23 「三作(引用者注:「狼奉行」「緋い記憶」「人体模型の夜」)を受賞圏内の作品とし、選考会に出席した。」「この作品の魅力は、作者が主人公を始め総ての登場人物を自然に描き、押しつけがましさのないところにある。人間の絡み合いを淡々と描きながら、これだけの迫力を読者に与えた作者の技倆は、並大抵のものではない。」
渡辺淳一
男58歳
19 「頭一つ抜けて、安定した筆力が感じられた。」「全体としてまとまり、前回より一段と巧みになったが、その分だけ、作者の一途さは薄れたようである。個人的な好みからいえば、以前の「闇の葬列」のほうが好きだが、その他のさまざまな候補作に見せた安定した力も含めて、積極的に評価した。」
井上ひさし
男57歳
19 「平凡な非凡さで光る。」「いやなやつのよさ、いいやつのよわさ、作者は登場人物ひとりひとりのいろんな面に描写の光を当てる。その方法が人生の深さと重さとを摘出させるわけで、評者は、作者の長年の努力がここに見事に結実したことを喜ぶ。」
山口瞳
男65歳
46 「私は買わない。」「藩の内紛のことを書きたかったのか、マタギを書きたかったのか、狼の話を書きたかったのかがよくわからず、分裂しているように思われる。」「主人公の妻のすえはどうして山に同行しないのか、なぜ夫を拒むのか、なぜ自害したのか、よくわからない。」
藤沢周平
男64歳
22 「よくまとまった時代小説だった。」「これまでの高橋さんの山形ものには風俗に気持を奪われるところがあったが、この作品では風俗は底に沈みこんで、その分だけ厚みのある物語ができ上がった。底力を感じさせる作品だった。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年3月号
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文量
短篇
章立て
「1」~「7」
時代設定 場所設定
江戸[天明年間]  羽州上山藩
登場人物
祝靱負(山代官出役、黒森館に赴任)
古沢十兵衛(黒森館の武士)
安達左織(黒森館の与力)
勘のう(またぎ)
みつ(勘のうの娘)
佐藤三郎助(勘定奉行下役)




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