直木賞のすべて
第138回
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Last Update[H26]2014/6/20

桜庭一樹
Sakuraba Kazuki
生没年月日【注】 昭和46年/1971年7月26日~
受賞年齢 36歳5ヶ月
経歴 島根県生まれ、鳥取県出身。大学在学中にDENiMライター新人賞受賞。平成11年/1999年「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。ゲームのノベライズやライトノベル、ジュブナイルなどの作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを数多く手がける。
受賞歴・候補歴
備考
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直木賞 第137回候補  一覧へ

あかくちばけ でんせつ
赤朽葉家の 伝説』(平成18年/2006年12月・東京創元社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・背 ルビ有り「あかくちばけ」
印刷/発行年月日 発行 平成18年/2006年12月28日(初版)
測定媒体発行年月日 発行 平成19年/2007年2月15日(3版)
発行者等 発行者 長谷川晋一 印刷 モリモト印刷 製本 鈴木製本所
発行所 株式会社東京創元社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 Book Design 岩郷重力+WONDER WORKZ。
総ページ数 309 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
23字
×21行
×2段
本文ページ 5~309
(計305頁)
測定枚数 737
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書誌
>>平成22年/2010年9月・東京創元社/創元推理文庫『赤朽葉家の伝説』
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候補者 桜庭一樹 女35歳
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男74歳
12 「物語作家としてのたくましい膂力に圧倒されると同時に、年代記風の語り口を採りながら不思議なファンタジーの味を織りこむ手腕に、未知の世界をのぞく戦慄をおぼえた。ただ、長篇ほど緊密な構成力が必要であることに留意すべき点だろう。」
浅田次郎
男55歳
8 「別の選考会における選評に述べた通りである。」「すぐれた作品ではあるが、直木賞には力及ばずとする階級主義的評価を寛恕していただきたい。」
渡辺淳一
男73歳
9 「壮大なでたらめを書くスタミナは認めるが、そのでたらめが妖しい凄みにまで昇華されていない。ところどころ戦後の日本の歩んできた過程が挿入されているが、その視点も平凡である。」
平岩弓枝
女75歳
10 「今回の候補作の中で心に残った」「殊に第二部の毛毬が中心に躍り出たあたりからの迫力には瞠目した。」
阿刀田高
男72歳
11 「小説として瑕瑾を感ずるところもあったが、土俗的な家系を三代にわたってたどった筆力はなかなかのものだ。第三部の弱さが気になったが、まっすぐに小説に取り組んでいる姿勢には目を見張るものがある。熱気がある。」
北方謙三
男59歳
17 「小説の筋肉の力とでも言うべきものを感じた。特に、毛毬の章は秀逸であった。この力量を、私は率直に評価する。ただ全体としては、千里眼に導かれながら、つまりなにが起きるのかわかる状態で読書せざるを得ない、という弱点があったと思う。」
宮城谷昌光
男62歳
14 「特異な才能をもっているのはあきらかであり、この作家と併走できる編集者がいれば、そうとうにすぐれた人である。桜庭氏は右顧左眄することなく、信念をつらぬいてゆけばよい。多作である必要もない。いつか巨大な現代批判が作品として結実するようにおもわれる。」
林真理子
女53歳
10 「桜庭一樹さんの愚直さは捨てがたい。この人の「小説はこうあらねばならぬ」という考えは、今はもう少々古くさいものかもしれないが、それでも真摯に大作に挑む姿勢と、それを書き終えた能力は高く評価出来る。」
井上ひさし
男72歳
18 「力感あふれる意欲作である。とりわけ、少女漫画家赤朽葉毛毬の閃光のような生き方を剛直な文章で彫り上げた第二部は掛け値なしにすばらしい。ただ、戦後史を語るときに突然、年表のような記述が現われるのが惜しかった。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年9月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 28回候補 一覧へ
候補者 桜庭一樹 女35歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男55歳
13 「この長さの小説としては近年珍しく稠密感のある作品であった。作者の類い稀な想像力が、端的で的確な表現で随所にちりばめられており、怪奇譚とも社会小説とも言えぬふしぎな物語世界を構築している。」「作者はこの宿命(引用者注:「親子三代物」の宿命)――神話性の時間的喪失によく耐えていると私は思った。」
伊集院静
男57歳
12 「読み応えのある作品だった。」「祖母、母を語る主人公の語り口に何か憑依のようなものが感じられて、それが熱気になって物語の個性を得ている。」「美しい女性の語り部の出現に思えた。」
大沢在昌
男50歳
18 「作者の堂々たる力量を示した」「その色彩感覚、イマジネーションの鮮烈さ、三代三人のヒロインにあわせ各章の文体を微妙にかえる手腕は、並外れたものがある。」「読み終えて思ったことはふたつ。まず作者の桜庭さんが作品を通して伝えたいことが何なのか、私には汲みとれない。次に、鮮烈なイマジネーションがともすれば既存のアニメ作品を髣髴とさせてしまう、うらみだ。」
高橋克彦
男59歳
12 「(引用者注:「空飛ぶタイヤ」とともに)ことに議論の対象となった」「前半部分の完成度の高さは特筆に値する。」「しかし中間から後半にかけて失速が激しかった。前半を大きく牽引する「空飛ぶ男」の謎が、他愛もないことと知れると、今度は前半でせっかく築いた黄金帝国が音を立てて崩れて行く。勿体ない、と心底思った。」
宮部みゆき
女46歳
11 「第一部の万葉のパートだけなら、私のなかでダントツ一位の作品でした。第三部で明かされる豊寿の死の真相が、(引用者中略)「憎くて殺したんじゃない」という万葉の言葉に結びつくものであったなら――と、惜しまずにはいられません。」
選評出典:『小説現代』平成19年/2007年4月号
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大衆選考会 137回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
水星 平成19年/2007年7月4日 (なし)
書店員A 平成19年/2007年7月9日 この作家が直木賞をとることにより、売上が低迷している富士見ミステリー文庫に光が当たる。そして未だに敬遠されるラノベに大きな光が・・・。ただ、ラノベ界の人がとる事により直木賞の敷居が低くなるのも不安。
書癡 平成19年/2007年7月16日 (前文=>北村薫)桜庭さんは直木賞を狙える重厚さが作品にあると思います。
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文量
長篇
章立て
「第一部 最後の神話の時代 一九五三年~一九七五年 赤朽葉万葉」「第二部 巨と虚の時代 一九七九年~一九九八年 赤朽葉毛毬」「第三部 殺人者 二〇〇〇年~未来 赤朽葉瞳子」
時代設定 場所設定
1953年~同時代  鳥取
登場人物
わたし(語り手、赤朽葉瞳子、無職)
赤朽葉万葉(瞳子の祖母、“辺境の人”の子、千里眼の持ち主)
赤朽葉毛毬(瞳子の母、漫画家)
黒菱みどり(造船会社の娘、万葉の幼馴染)
赤朽葉曜司(旧家・赤朽葉製鉄の跡取り息子、万葉の夫)
赤朽葉泪(万葉の長男、毛毬の兄)
百夜(曜司と女中の子、毛毬の影の存在)
穂積豊寿(製鉄所の職工)
穂積蝶子(毛毬の親友、豊寿の姪)
多田ユタカ(瞳子の恋人、会社員)




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わたし おとこ
私の 男』(平成19年/2007年10月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「わたし」「おとこ」
印刷/発行年月日 発行 平成19年/2007年10月30日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成19年/2007年12月15日(第3刷)
発行者等 発行者 庄野音比古 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 鈴木成一デザイン室 装画 MARLENE DUMAS couples (Detail) 1994 Oil on canvas 99.1 x 299.7 cm (c)Marlene Dumas Private Collection, courtesy Zwirner & Wirth,New York 協力 ギャラリー小柳
総ページ数 381 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×19行
×1段
本文ページ 5~381
(計377頁)
測定枚数 687
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書誌
>>初出『別冊文藝春秋』平成18年/2006年9月号~平成19年/2007年7月号
>>平成22年/2010年4月・文藝春秋/文春文庫『私の男』
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候補者 桜庭一樹 女36歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男56歳
27 「進化論に則ればその形態は整合性を欠き奇体にも見えようけれど、私にはどうにもこの鳥が進化系の枝葉に出現した変異種とは思えず、むしろ主幹の生物にちがいないと判定した。太古からつらなる正統でありながら新鮮な個性を有し、堂々たる体躯と知性をも併せ持っている。」「文句なしに推挽させていただいた。」
阿刀田高
男73歳
47 「――この作者には小説家の気配が濃密に感じられる――と、それが推薦の第一の理由だった。」「想像力の広がりにおいて、文章の魅力において、またストーリイの微妙な妖しさにおいて、それを感じて、賭けてみようと考えた。」「現実性を欠くうらみはあるが、そこにあまり目くじらを立てずに読むほうがよいのだろう。」
五木寛之
男75歳
16 「(引用者注:「ベーコン」とともに)今回読んだなかかで、明確な文体意識を感じた」「どこか不安を感じさせる小説である。しかし、その傾きかたに、不思議な魅力があった。しかも前回、候補となって議論をよんだ『赤朽葉家の伝説』とは方向性のちがう世界に挑んでいるところがいい。」
井上ひさし
男73歳
50 「試みは巨きく、そしてその試みはほとんど成功している。」「章が変わるにつれて時間が逆行して行き、そのつど読者はそのときどきの真相を知って絶句することになる。」「これを起きた順に書けば、あいだに二つの殺人もあるし、どろどろの近親相姦モノに成り果てて読むに耐えなかっただろうが、作者は(たぶん)ギリシャ悲劇の「オイデプス王」の構造をかりて時間を遡行させてどろどろ劇をりっぱな悲劇に蘇生させた。」
北方謙三
男60歳
26 「血の持つ毒と蜜を描きこんで、存在の意味を問いかけるというような、難しく言えばそういう論評になってしまう作品であった。」「随所に、描写の未熟さや、整合性の欠如を感じさせた。しかし血というものを通して、物語の本質に触れているというのは私の確かな印象で、その資質は買うべきだろうと思った。」「例外的に、『悪果』、『警官の血』、『私の男』、の三作に丸をつけて(引用者注:選考会に)臨んだ。」
林真理子
女53歳
43 「私はこの作品をどうしても好きになれなかった。」「作者がおそらく意図的に読者に与えようとしている嫌悪感が私の場合ストレートに効いたということであろう。」「主人公の女性にも父親にもまるで心を寄せることが出来ない。」「私には“わたし”と“私の男”が、禁断の快楽をわかち合う神話のような二人、とはどうしても思えず、ただの薄汚ない結婚詐欺の父娘にしか思えない。」
平岩弓枝
女75歳
22 「桜庭一樹さんはこの作品を書き出しの仕掛けの旨さで成功させたように感じた。」「この前直木賞の候補になった『赤朽葉家の伝説』とほぼ前後して書かれたと聞いて、桜庭さんの持つ可能性の豊かさに改めて驚かされた。」
宮城谷昌光
男62歳
16 「(引用者注:「約束の地で」より)全体が明瞭ではあるが、明瞭でありすぎて、おもしろみが希薄となった。小説の構成の失敗があったと私はみるが、どうであろうか。わざわざわかりにくい小説を書く必要はないが、作者のエネルギーを蓄積し、噴出させるための陰翳をもうすこし長く保持しておいたほうがよい。」
渡辺淳一
男74歳
50 「ある選考委員が、「おかしいところをあげつらうと、いくらでもあるが」と述べたといわれているが、少なくともわたしは、あげつらったのではなく、はっきり批判したのである。」「もしこれを幻想かファンタジーとするなら、そのような書き方をするべきだが、この作者の安易な文章では到底、表現できるとは思えない。」「淳悟と花とのからみのシーンは熱く妖しいが、見方によっては、少女コミックに登場する近親相姦を思わせるところもある。」「この作品の未知の魅力を認めたうえでのことだが、受賞はもう一、二作みてから、というのが、わたしの意見である。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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大衆選考会 138回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
omi 平成19年/2007年12月18日 (なし)
ねの 平成20年/2008年1月4日 (なし)
書痴 平成20年/2008年1月7日 桜庭さんは、昨年ベスト3作家。安定した評価を受けており、既存の作品も書くごとに新しく、もう確定ではないかと思われます。(後文=>佐々木譲
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文量
長篇
章立て
「第1章 2008年6月 花と、ふるいカメラ」「第2章 2005年11月 美郎と、ふるい死体」「第3章 2000年7月 淳悟と、あたらしい死体」「第4章 2000年1月 花と、あたらしいカメラ」「第5章 1996年3月 小町と、凪」「第6章 1993年7月 花と、嵐」
時代設定 場所設定
2008年~1993年  東京~北海道
登場人物
腐野花(派遣社員の受付嬢、旧姓・竹中)
腐野淳悟(花の義父、元・海上保安官)
尾崎美郎(花の結婚相手、ゲーム会社社員)
大塩小町(淳悟と同郷の女性、元・北海道拓殖銀行勤務)
田岡(紋別警察署の刑事)
大塩(紋別の資産家)




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