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第144回
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Last Update[H26]2014/10/25

道尾秀介
Michio Shusuke
生没年月日【注】 昭和50年/1975年5月19日~
受賞年齢 35歳7ヵ月
経歴 東京都生まれ。玉川大学農学部卒。営業職として働きながら、平成16年/2004年「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビュー。敬愛する作家・都筑道夫にちなんで筆名を「道尾」とする。
受賞歴・候補歴
備考
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かため さる
片眼の 猿―One-eyed monkeys―』
(平成19年/2007年2月・新潮社刊)
書誌
>>平成21年/2009年7月・新潮社/新潮文庫『片眼の猿―One-eyed monkeys―』
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大衆選考会 137回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ふぐ 平成19年/2007年6月19日  本作は、ミステリーの根源を変える、いや越える作品だと思う。でも、選ばれない・・かな。自信はありません。今の選考委員の人達があえて選ぶ作品ではないかもしれないからです。でも、それでも本作は良いです。ミステリーで描かれるトリックは、犯人を当てる為だけに存在するのではない。生きる強さを思い知らされる、そんな作品です。
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『ラットマン』(平成20年/2008年1月・光文社刊)
書誌
>>平成22年/2010年7月・光文社/光文社文庫『ラットマン』
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他文学賞 山本周五郎賞 21回候補 一覧へ
候補者 道尾秀介 男32歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男56歳
25 「この作家の小説に接するのは初めてであるが、門外漢の私にも作者がかなり高いハードルに挑戦しているという気概が伝わる。何よりも文章が正確で、美しい描写をところどころにちりばめることも忘れていない。」「気にかかった点は人物造形である。これが現実なのかどうか、どうもバンドのメンバーが三十を過ぎた良識的な社会人とは思えない。」「ジャンルにかかわらず、小説である限り人間はきちんと書かねばなるまい。」
北村薫
男58歳
15 「冒頭と最後のエレベーターの話に象徴されるように、実に才気に富んでいる。」「ただ、《作る》ことに懸命になるあまり、それに物語的魔力を付け加える点では、これまでの作品中の優れたものに及ばなかった。これが《最高傑作》ではないぞといいたくなるのは、未来の作も考えてのことで、大きな期待の言葉と思ってほしい。」
小池真理子
女55歳
35 「主な登場人物たちは全員、三十代の社会人という設定で、著者と等身大と思われるのだが、私にはどうしても、十八、九の学生にしか感じられなかった。これはまさに(本当にまさに!)、致命的であった。」「この作者の衒いのない描写力、文章力には瞠目すべきものがある。」「なのにどうしても、私には、作者のまなざしの奥深くに潜んでいる幼さが透けて見えてしまう。」
重松清
男45歳
44 「優れた青春小説の「青春の終わりのほろ苦さ」が優れたミステリーの「真実を知ったほろ苦さ」に重なり合う、物語の美しいフォルムに心惹かれた。」「謎解きこそを愉しめばいいのだという意見は承知しているが、そう割り切るには、幸か不幸か「青春の終わりのほろ苦さ」があまりにも魅力的すぎた。野際とひかりのドラマが謎解きだけに奉仕したのが惜しくてしょうがない。」
篠田節子
女52歳
36 「陰惨な事件が題材となっているにもかかわらず、気持ちよく騙され、気持ち良く読み終わることのできた小説だ。」「違和感を覚えたのは、殺人事件を巡る登場人物の心の動きだ。二転三転するストーリーに、登場人物の心情がついていかない。」「とはいえトリックとストーリーが一人歩きして人間が描けていない作品ではない。三十代の青春小説として読めば、バンド仲間の姿は生き生きとして、好感が持てる。」
選評出典:『小説新潮』平成20年/2008年7月号
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直木賞 第140回候補  一覧へ

おやゆび
『カラスの 親指――by rule of CROW's thumb』
(平成20年/2008年7月・講談社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・背・扉・奥付 「by rule of CROW's thumb」併記 奥付 ルビ有り「おやゆび」
印刷/発行年月日 発行 平成20年/2008年7月22日(第1刷)
発行者等 発行者 野間佐和子 本文データ制作 講談社文芸局DTPルーム 印刷所 凸版印刷株式会社 製本所 株式会社若林製本工場
発行所 株式会社講談社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 鈴木正道(Suzuki Design) 写真 加藤アラタ
総ページ数 424 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×19行
×1段
本文ページ 7~424
(計418頁)
測定枚数 776
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書誌
>>初出『小説現代特別増刊号メフィスト』平成19年/2007年9月号~平成20年/2008年5月号
>>平成23年/2011年7月・講談社/講談社文庫『カラスの親指』
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候補者 道尾秀介 男33歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男74歳
4 「ちりばめられた趣向が、もう一つ鋭く創られ、垢抜けてくれれば、と願った。」
五木寛之
男76歳
10 「軽やかなタッチは、ほっと一息つけるところがあって好ましかったが、残念ながら読む側の意表をつく意外性に欠けるような読後感をおぼえた。この作品をつよく推す選者もいたことだし、次作を期待したいと思う。」
平岩弓枝
女76歳
0  
宮部みゆき
女48歳
24 「読者が作者と共に手を打って笑い、踊って(いるつもりで踊らされて)大いに楽しむという点では、(引用者中略)ピカ一でした。本来、これこそ直木賞にふさわしい作品ではないかという意見も出ました。今回は受賞に届きませんでしたが、道尾さん、カッコいい初登場でした。」
北方謙三
男61歳
15 「伏線の解決もほとんどがなされ、その実力に疑問の余地はないと思う。ただ、意表を衝く面白さの創出に作者の視線がむき、そこに力が注がれた作品だという気がした。その仕掛けゆえに、私にとっては再読に耐えないものになったのは、小説観の相違と言うほかはないのだろうか。」
林真理子
女54歳
14 「読み返すとつじつまの合わぬところはいくらでも出てくるが、最後にどんでん返しがあり、読者をほろりとさせる。こんな世の中だからこそ、こんな風にエンターテイメントに徹した一作は貴重だ。」
井上ひさし
男74歳
19 「一に人物造型のたしかさ面白さ、二に伏線の仕込み方の誠実さ、三に物語の運びの精密さと意外さ、四に社会の機能を抉りだすときの鋭さ、五に質のいい笑いを創り出すときの冴えにおいて、出色の小説だった。評者も、すっかり騙された口の一人である。」
浅田次郎
男57歳
14 「複雑な結構のわりに作者の余裕を感じなかった。氏の作品をいくつも読んでいると、こちらにも愕く準備ができてしまっているという本質的欠嵌はいかんともしがたい。」「(引用者注:恩田陸とともに)稀有の想像力を持っているのだが、その天才に構築力と表現力がどこまでついて行けるか、という点に作品の出来映えがかかっている。」
宮城谷昌光
男63歳
38 「最初から読んでも、最後から読んでも、意味はかわらないという仕掛けは、小説内の瑣末な描写にだけあったわけではなく、全体の構成にかくされていたのである。こういう知的な作業がなされた小説はめったにあらわれるものではない。非凡である、とあえていっておく。」
渡辺淳一
男75歳
19 「馴染みのない詐欺師の世界を描いて面白いといえば面白い。だが面白さを追い求めてドラマチックにすればするほど、リアリティーが薄れてつまらなくなる。」「むろんこうした作品を好む人も多いかもしれないが、文学賞の対象になる作品とは言い難い。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 30回候補 一覧へ
候補者 道尾秀介 男33歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男57歳
7 「その鮮かな手法には毎度仰天させられるのだが、本作に限れば主人公の抱える苦悩がやや表層的で、ために人情話としての帰結に感動が求めきれなかった。」
伊集院静
男59歳
12 「冒頭から物語に引き込まれた。」「ところが中盤から仕掛けの方に物語の主軸が置かれ、前半部に漂っていた、こんなことをしてしか生きて行けない人間たちの表情が見えなくなった。そのあたりが惜しまれた。」
大沢在昌
男52歳
11 「一読後、私はうーんと考えこんでしまった。テツさん――即ち作者――が仕掛けたこの一大詐欺を是ととるか非ととるかで、読後の印象はまるで異なるだろう。是ととる人は、心を癒される物語と読む。残念ながら私はその側ではなく、むしろ脱力感を誘われてしまった。」
高橋克彦
男61歳
0  
宮部みゆき
女48歳
11 「第一四〇回の直木賞に続き、この企みに満ちた面白い小説を二度落選させるのは、忍びないことでした。」「道尾さんは、〈読者を驚かせて楽しませる〉ことと、物語の整合性にこだわりつつも、ご自分の作風の幅を拡げてゆくという、難しくてやりがいのあるステージに来ているのだと思います。」
選評出典:『小説現代』平成21年/2009年5月号
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大衆選考会 140回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
DORAPON 平成21年/2009年1月14日 単純に面白かったので。特に最後のどんでん返しにはすっかりだまされていました。選考会でもどんでん返しに期待します。
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文量
長篇
章立て
「HERON」「BULLFINCH」「CUCKOO」「STARLING」「ALBATROSS」「CROW」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
武沢竹夫(詐欺師、元・ヤミ金のわた抜き)
入川鉄巳(武沢の相棒)
河合まひろ(少女スリ)
河合やひろ(まひろの姉、無職)
石屋貫太郎(やひろの恋人、売れないマジシャン)
ヒグチ(ヤミ金組織の男)




直木賞 第141回候補  一覧へ

おに あしおと
鬼の 跫音』
(平成21年/2009年1月・角川書店刊、角川グループパブリッシング発売)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「おに」「あしおと」
印刷/発行年月日 発行 平成21年/2009年1月31日(初版)
発行者等 発行者 井上伸一郎 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 本間製本株式会社
発行所 株式会社角川書店(東京都) 発売元 株式会社角川グループパブリッシング(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 下田ひかり「聞こえますか」 装丁・ブックデザイン 高柳雅人
総ページ数 228 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
38字
×16行
×1段
本文ページ 5~228
(計224頁)
測定枚数 294
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書誌
>>平成23年/2011年11月・角川書店/角川文庫『鬼の跫音』
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収録作品の書誌
鈴虫
>>初出『野性時代』平成19年/2007年9月号
犭(ケモノ)
>>初出『野性時代』平成20年/2008年5月号
よいぎつね
>>初出『野性時代』平成19年/2007年5月号
箱詰めの文字
>>初出『野性時代』平成18年/2006年12月号
冬の鬼
>>初出『野性時代』平成20年/2008年4月号
悪意の顔
>>初出『野性時代』平成19年/2007年11月号
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候補者 道尾秀介 男34歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男57歳
7 「(引用者注:「秋月記」と共に」)別の文学賞においてすでに評させていただいた。」「進境著しいが、未だ推輓には至らなかった。」
井上ひさし
男74歳
35 「語りの工夫で巧みに時間を繋ぎ合わせる離れ業もみごとだが、しかし長所は短所と隣り合っていて、その語りによって明らかにされて行く物語の中身が、血糊一色で、いささか月並みである。」「「悪意の顔」は、疑いもなく一個の佳品だが、この一篇では語りが読者を騙ろうとしていない。それで愛の哀しさがよく出たのかもしれない」
北方謙三
男61歳
15 「この作家独得のひねりが、生きていたと思う。長篇では、私はどうしてもあざといと感じてきたが、短篇ではそれが切れ味となっていて、読んでいて快感さえ感じた。短篇の要諦をしっかり掴んでいて、同時に継続力のある資質も感じさせる。」「私は、丸をつけて選考に臨んだ。」
平岩弓枝
女77歳
0  
阿刀田高
男74歳
7 「恐ろしさ、妖しさを描く筆致に舌を巻きながらも、それが結末にうまく収斂されてないように私には感じられた。」
渡辺淳一
男75歳
0  
宮部みゆき
女48歳
28 「悩みました。六作収録の短編集で、前半の三作には不満があり、後半の三作は傑作だと思ったからです。打率五割はプロ野球選手なら文句なしのナンバー・ワンですが、直木賞の場合はどうなのか? 選考委員としてやっと二度目の登板の私には、判断がつきませんでした。」「多彩な不条理のなかに、それを成り立たせている作者の理の筋が一本通っている場合には傑作になり、筋が通り切らないと消化不良になる。そう感じました。」
林真理子
女55歳
6 「前作を強く推しただけに、今回はややがっかりしてしまった。このシリアスさは、道尾さんに向いているとは思えない。」
五木寛之
男76歳
9 「異色の書き手の登場を感じさせるところが随所にあって、興味ぶかく読んだ。コアな愛読者にとらわれないで、もっと自由な世界に飛びだしてみてはどうだろうか。」
宮城谷昌光
男64歳
0  
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 22回候補 一覧へ
候補者 道尾秀介 男34歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男57歳
38 「恒川光太郎氏との共通点を感じた。天賦の才は疑うべくもない。しかしその才能と技術との間に、いかんともしがたい懸隔がある。本来の個性であるところの明晳さが顕現しない。」「もうひとつ、両者の共通点と思えるものは、哲学の欠如であろうか。」「やはり哲学不在の相対的現象は、作者も読者も思惟することをやめて、文学を映像やゲームの代理行為とみなした結果なのではあるまいか。」
北村薫
男59歳
18 「統一感があり、仕上がり具合を含めてぶれが少ない。」「ただ、作者の巧みさを認めつつも、型通りのサプライズエンディングにならず、直線的に押してくれた方が感銘が深かったかと思う作もあった。無論、『犭(ケモノ)』のように、そこを越えたものもあった。」
小池真理子
女56歳
27 「耽美と幻想を主題にし、持ち前の文章力を活かして、前作よりも格段に優れたものになっていると感じられた。」「ただ、幻想の宇宙を自在に飛び回ろうとしながら、作者自身が現実世界の約束ごとにしばられるあまり、現実を意識し過ぎてしまったように見受けられた。」「現実と幻想とは分かちがたく一つのものである、という視点に立って書くことができれば、この分野でいっそう花開く人かもしれない。」
重松清
男46歳
45 「最初の投票で、僕は受賞作となった白石一文さんの作品とともに、(引用者中略)○をつけた。とても心地よく読み進めることのできる短編集だった。」「ただ、賞の選考者の端くれとして、やはり新鋭の作家には背伸びをしてほしいのだ。いまの自分の手には余りそうな大きな作品世界に挑んでほしいし、挑まずにはいられないのが作家のサガではないだろうか、とも(ややロマンチックに)思うのだ。」「最終投票では○を引っ込めることになった。」
篠田節子
女53歳
17 「一本一本に独特の感性の光る短編集だ。」「あらすじだけ見れば凄惨な話が多いが、なまじの現実感を排し、様式化されているために嫌悪感は抱かせない。ただしそうしたミステリーともホラーともつかない世界を極め、著者独自の美学を表現するには、文体も含めて、もうひと工夫が必要ではないか、という気がする。」
選評出典:『小説新潮』平成21年/2009年7月号
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大衆選考会 141回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
pochi 平成21年/2009年6月20日 道尾さんいいね。文章うまいし。そろそろかなって感じがしますね。(同時推薦=>三崎亜記
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文量
短篇集〔6篇〕
鈴虫
章立て
「(一)」~「(四)」
時代設定 場所設定
[同時代]~11年前  ある県
登場人物
私(語り手、一児の父)
S(私の大学時代の同級生、アパートの隣人)
杏子(私の妻、Sの元恋人)
犭(ケモノ)
章立て
「(一)」~「(五)」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京~福島
登場人物
僕(語り手、浪人生、裁判所事務官の息子)
S(昭和40年の猟奇殺人の犯人)
Y子(Sの義母、地元の名家の一人娘)
Sの妹(Y子の娘)
よいぎつね
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]~20年前  ある街
登場人物
私(語り手、取材記者)
S(私の高校時代の友人)
髪の長い女(私が犯した強姦の被害者)
箱詰めの文字
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
僕(語り手、小説家)
S(僕の高校時代の同級生、妻と一人娘を事故で亡くす)
青年(空き巣)
冬の鬼
章立て
なし
時代設定 場所設定
[太平洋戦争後]  九州のある街
登場人物
私(語り手、工場主の娘)
S(私の同居人、幼馴染み)
悪意の顔
章立て
「(一)」~「(六)」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
僕(語り手、小学校四年生)
S(僕の同級生)
女の人(画家の妻、僕の近所の住人)




直木賞 第142回候補  一覧へ

きゅうたい へび
球体の 蛇』
(平成21年/2009年11月・角川書店刊、角川グループパブリッシング発売)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「きゅうたい」「へび」
印刷/発行年月日 発行 平成21年/2009年11月20日(初版)
測定媒体発行年月日 発行 平成21年/2009年12月15日(再版)
発行者等 発行者 井上伸一郎 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 本間製本株式会社
発行所 株式会社角川書店(東京都) 発売元 株式会社角川グループパブリッシング(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装丁 高柳雅人 PHOTO (c)arc image gallery / amanaimages
総ページ数 278 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×18行
×1段
本文ページ 5~278
(計274頁)
測定枚数 473
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書誌
>>初出『野性時代』平成21年/2009年3月号~8月号
>>平成24年/2012年12月・角川書店/角川文庫『球体の蛇』
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候補者 道尾秀介 男34歳
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
0  
渡辺淳一
男76歳
0  
阿刀田高
男75歳
23 「ストーリーは、わざわざ厄介な情況を創り出し、そこで“苦しい、悩ましい”と、もがいているような気配が感じられ、「小説って、みんなそういうところ、あるでしょう」と言われれば否定はしにくいのだが、これが目立ってしまうと、根源的なリアリティを欠くことになる。力量を感じながらも推しきれなかった。」
林真理子
女55歳
11 「大変な才気を感じるが、登場人物たちがあまりにも都合よく動き、都合よく偶然が起きる。エンターテイメントとして、自由に空想の世界をつくるのと、絵空ごとになってしまうのとは紙一重だ。」
平岩弓枝
女77歳
0  
宮城谷昌光
男64歳
12 「きれいにつじつまあわせがおこなわれている。しかし小世界である。ひろがりがない。氏はめずらしく知的な作家である、と私は感心したことがあるので、情念に深入りすると作品の明度が低下すると警告したい。」
宮部みゆき
女49歳
39 「ある水準以上の衣食住と平穏を得た人間が次に欲するのは、〈人生の物語化〉なのだと言ってもいいかもしれません。道尾さんの『球体の蛇』は、そこを鋭く突く作品でした。」「まことに現代的であり、道尾さんが今という時代から星を託された作家であることを証明する作品です。」
浅田次郎
男58歳
29 「(引用者注:候補作の中で)相対的に上位と見た」「紙数のわりにこぢんまりとした印象があるのは、物語の全容を常に俯瞰する巨視感に欠けているせいだろうか。しかし、小説に明確なテーマを据えたのは大きな飛躍である。また反面、その新たなる飛躍が、作者を呪縛しているミステリーの手法との間に軋轢を生じた。」「一般読者のみならずとりわけミステリーファンには納得できなかったのではあるまいか。」
北方謙三
男62歳
29 「力量は充分であるが、描写が稠密で、読みながら私は、息苦しさを感じ、簡潔を求めた。」「この作家はこの作品で、テーマ性をしっかりと持った、というところを私は評価した。」「二度目の投票に残すことを主張したが、孤立無援で果せなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
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大衆選考会 142回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ますくまん 平成21年/2009年12月10日 そろそろ道尾先生に…
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文量
長篇
章立て
「第一章」~「第三章」
時代設定 場所設定
1992年~同時代  ある港町~東京など
登場人物
私(語り手、友彦、高校生、卒業後に東京の大学に進学)
橋塚乙太郎(白蟻駆除屋、私の家族)
サヨ(乙太郎の長女、故人)
ナオ(乙太郎の次女)
智子(手芸品店パート店員)
田西オサム(上京後の私の隣人、作家志望)





りゅうじん あめ
龍神の 雨』(平成21年/2009年5月・新潮社刊)
書誌
>>平成24年/2012年2月・新潮社/新潮文庫『龍神の雨』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 31回候補 一覧へ
候補者 道尾秀介 男34歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
25 「(引用者注:「己惚れの砦」と共に)受賞作にふさわしいと信じた」「人物と情景の描写にすぐれており、ひとつの事件を二視点から捉えてスリリングなストーリーに仕立て上げるという手法にも成功していた。」「作者の立場はすでに習作の時代ではなく、今後一部の限定的な読者に甘んずるか、さもなくば普遍的な読者を獲得するかという正念場にあると思われる。」
伊集院静
男60歳
6 「二人の委員が受賞を強く推された。」「文学賞の選考には、その時々の趨勢がある。受賞作に比べると決め手に欠けるものがあったのかもしれない。」
大沢在昌
男53歳
8 「私は道尾さんのためというよりは吉川英治文学新人賞のために、受賞を願ったが、味方が少なかった。候補作のみで選考はされるべきかもしれない。しかしこれまでのお仕事を考えるなら、今回は受賞してもおかしくなかったと思う。」
高橋克彦
男62歳
0  
宮部みゆき
女49歳
0  
選評出典:『群像』平成22年/2010年5月号
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大衆選考会 141回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
コンササドーレ 平成21年/2009年6月29日 【注:投票は「受賞作なし」との予想】(前文=>三崎亜記畠中恵北村薫恩田陸)5「龍神の雨」(道尾秀介)(実は読んでません。でも何となく。)
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直木賞 第143回候補  一覧へ

こうばい はな
光媒の 花』(平成22年/2010年3月・集英社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「こうばい」「はな」  「こうばいのはな」併記
印刷/発行年月日 発行 平成22年/2010年3月30日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成22年/2010年5月31日(第3刷)
発行者等 発行者 加藤潤 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 加藤製本株式会社
発行所 株式会社集英社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装丁 片岡忠彦
総ページ数 258 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×18行
×1段
本文ページ 5~258
(計254頁)
測定枚数 412
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書誌
>>平成24年/2012年10月・集英社/集英社文庫『光媒の花』
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収録作品の書誌
第一章 隠れ鬼
>>初出『小説すばる』平成19年/2007年4月号
第二章 虫送り
>>初出『小説すばる』平成19年/2007年10月号
第三章 冬の蝶
>>初出『小説すばる』平成20年/2008年9月号
第四章 春の蝶
>>初出『小説すばる』平成20年/2008年10月号
第五章 風媒花
>>初出『小説すばる』平成21年/2009年1月号
第六章 遠い光
>>初出『小説すばる』平成21年/2009年3月号
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候補者 道尾秀介 男35歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
19 「技術的な完成度の高さは抜きん出ているのだが、それゆえに小ぢんまりとまとまってしまった感があり、これまでの氏の作品との比較が容易であった。過去の作品との優劣ではなく、過去の作品を想起したりそれらと比較されたりすること自体が、すでに創作者としては敗北している。」
阿刀田高
男75歳
27 「レベルを超えているとは思うのだが、読み終えて感動が乏しい。(引用者中略)読み返してみたが、作者の企みはよくわかったもののやっぱり感動には結びつかない。」「ここにはつらい人生がいくつもちりばめられているけれど、それが小説を創るための設定という都合を大きく超えるものではなく、つらい人生への作者の思い入れがなぜか感じにくい。」「いったんは○印をつけながら戸惑った」
北方謙三
男62歳
5 「道尾秀介の魂は、腐っていない。選評にはならないが、唯一丸をつけた作品に対して、私はそれだけを言っておこうと思う。」
林真理子
女56歳
11 「小説の濃淡が納得出来ない。冒頭で殺人を犯した男が、小市民的な達観した世界をつくり上げる終わり方は、肩すかしをくらったような気分になる。」
宮城谷昌光
男65歳
5 「作品内を照らす光源の光量が足りない。」
宮部みゆき
女49歳
59 「道尾さんの右肩上がりの成長ぶりは驚異的であり、素晴らしいことです。ただ初期からの読者として、また同じミステリー分野の書き手の一人として、一抹の寂しさはぬぐえません。」「この感情故に、昨今の私は道尾作品の小さな綻びの部分に引っかかり、些末なところで足踏みをして、自分自身も苛立ちつつ、評価しきれず終わることを繰り返しています。」
渡辺淳一
男76歳
4 「幻想的なタッチはユニークだが、独りよがりで甘すぎる。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 23受賞 一覧へ
候補者 道尾秀介 男34歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
45 「これまでの作品よりもとりわけすぐれているとも思えぬ。しかし多作でありながら同じ水準を維持していること、すなわち実力である。」「正直のところ本作には、少なからず既視感を憶えた。小説家が最も戒むべき自己模倣の兆しを感じ、また古典名作の主題を想起させる殆さもあった。すなわち当人は知るや知らずや、現状における努力は大いなる壁に直面している。こうした場合にさし渡すべき梯子こそ、文学賞であって然るべきであろう。乗り越えた壁の向こうに、まったく新たなる地平を見る人だからである。」
北村薫
男60歳
66 「(引用者注:「後悔と真実の色」とともに)上位と考えて選考会に臨んだ。」「読み始めてまず、第一話で、作者の力量を感じさせる。」「この作は、まことに《きれいに》まとまっている――ともいえる。有り体にいえば、賞を取りやすい作かも知れない。そのことについては、選考会で、氏には、きれいに小さくなるのではなく、もっと暴れ続けてほしいという声が出た。そのためにも、賞を取ってしまう方がよい、という意見だった。これを聞いて、さらに強く推す気になった。」
小池真理子
女57歳
39 「どこといって強く指摘すべき弱点も見受けられず、完成度は高いのだが、他の選考委員同様、私も本作が図抜けている、というようには思えなかった。平均点の高い作品を連続して発表している、という、作家としての安定感を高く評価した上で、この作品が受賞作にふさわしいと判断するに至った。」「初期のころのような刺激的なトリック仕立ての作風のほうがよかったとは私は思わない。むしろ、一作一作、作者の成長にしたがって熟成されていく文体で丹念に描かれる世界のほうが、今後、道尾氏の真骨頂になっていくだろうと思われる。」
重松清
男47歳
47 「最初の投票から○を差し上げた。連作長編として闇から光へのグラデーションがみごとに描き出されていることに、まず拍手を贈りたい。」「氏は、ディテールを重ねて物語を密にすることよりも、余白を残すことを選んだ。それによって、苦い物語ではあっても風通しのよい軽みが生まれ、光の通り道も空いた。」「光を物語に射すことは、ひとは誰もが誰かとつながり合っているのだと確かめることでもある。道尾氏が示す希望は、そこにある。」
篠田節子
女54歳
37 「どちらかというと、私は主人公の視点によって外側からのみ語られる、当人の心理描写なしの人物造形に魅力を感じるが、それは読者にあるていどの読解力をも要求することでもあり、書き手にとっては、なかなか頭の痛い問題でもある。」「いずれにせよ、道尾氏は毎回、味わいの異なる作品で、間違いなく一定以上の水準をクリアしてくる作家でもあり、鋭く透明な感性と安定した筆力を積極的に評価したい。」
選評出典:『小説新潮』平成22年/2010年7月号
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大衆選考会 143回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
たこ 平成22年/2010年6月22日 最初は暗いと感じましたが、読み終えるととても語感がよく美しい物語だと思いました。
KORN 平成22年/2010年6月22日 (なし)
SHU 平成22年/2010年7月1日 間違いなく名作、うつくしい表現力とストーリーの素晴らしさ道尾天才です!
yukio 平成22年/2010年7月2日 光と影の鮮やかなコントラスト。これで決まり!
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文量
連作長篇〔6篇〕
第一章 隠れ鬼
章立て
「(一)」~「(六)」
時代設定 場所設定
[同時代]~約三十年前  ある街~長野
登場人物
私(語り手、遠沢正文、印章店店主)
塔子(私の母、認知症)
彼女(ウッド・クラフト店主)
第二章 虫送り
章立て
「(一)」~「(四)」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
僕(語り手、小学生)
智佳(僕の妹)
田沢(河原に住むホームレス)
第三章 冬の蝶
章立て
「(一)」~「(七)」
時代設定 場所設定
[同時代]~二十年以上前  ある街
登場人物
私(語り手、昆虫学者を夢みる中学生)
サチ(私の中学時代の同級生)
第四章 春の蝶
章立て
「(一)」~「(五)」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
わたし(語り手、幸、工場勤務兼ファミリーレストランのウェイトレス)
牧川(わたしの隣人、老紳士)
由希(牧川の孫、幼稚園児)
第五章 風媒花
章立て
「(一)」~「(七)」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
自分(語り手、亮、トラック運転手)
姉(自分の姉、小学校教諭、入院中)
母(自分の母、惣菜屋)
第六章 遠い光
章立て
「(一)」~「(七)」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
わたし(語り手、小学校教諭)
藪下朝代(わたしの生徒、小学四年生)




直木賞 第144受賞  一覧へ

つき かに
月と 蟹』(平成22年/2010年9月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「つき」「かに」 表紙 「tsuki to kani」併記
印刷/発行年月日 発行 平成22年/2010年9月15日(第1刷)
発行者等 発行者 庄野音比古 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 写真 仁礼博 装幀 関口聖司
総ページ数 333 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×18行
×1段
本文ページ 5~333
(計329頁)
測定枚数 568
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書誌
>>初出『別冊文藝春秋』平成21年/2009年11月号~平成22年/2010年7月号
>>平成25年/2013年7月・文藝春秋/文春文庫『月と蟹』
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候補者 道尾秀介 男35歳
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男60歳
34 「大人の私たちが忘れかけていたもの、喪失したものを少年、少女の視点で実にあざやかに呼び覚ませてくれた。」「これまで氏の少年を描いた一連の作品ではストーリーテールに依り過ぎて人間の葛藤・内実から筆が逸れがちだった。しかし本作品はそれを見事クリアーしている。作者の成長であろう。」「私はこの作品の表現に先鋭的なものを感じた。」
林真理子
女56歳
28 「作品的には決して評価が高くなかった。(引用者中略)少年のつくり上げる世界はもともと狭く、独得の価値観を持つものであろう。それでも大人の読者の心に響く普遍性を持たなくては、小説として成立しないはずだ。それでも私は最終的には、木内氏と道尾氏との二作受賞を推した。それは道尾氏が広範囲な読者を獲得し、現代の小説シーンに欠かせない人だと思っているからである。」
阿刀田高
男76歳
25 「木目細かい、入念な筆運びにはなんの不足もない。ただ、あえて言えば、この作家のトリビアリズムと韜晦の傾向は(私にはそう感じられるのだが)小説のよりよい展開にとって本当に必要なことなのだろうか。」「文学観のちがいを感じないでもなかったが、つねに平均点を越える作品をたずさえて連続的にこの賞の候補となった実力には、やはり敬意を表すべきだろう。」
宮部みゆき
女50歳
20 「大人の視点を排し、慎一(引用者注:少年)にすべてを託して複雑な人間関係と母親の恋愛を描くのは、大胆な挑戦でした。そのチャレンジングな姿勢が今回の御受賞を引き寄せたのだと思います。」
桐野夏生
女59歳
21 「作者の凄みは、少年の愛と憎しみが、少年を取り巻くすべての人間に向けられていることだ。むしろ、「愛なき世界」の侘びしさでもある。そこが安易な既視感を排除する、太い縦糸となっている。しかし、三人の少年少女の「枠内」を描こうとするあまり、フレーム外の世界が乱暴に省かれたり、都合よく描かれているところが気になる。」
宮城谷昌光
男65歳
33 「今回の候補作品のなかで、文体への配慮がなされているものは、(引用者中略)『月と蟹』だけであるとみた。しかし、この作品は、極端にいえば、自問自答集である。」「描写のこまやかさが精彩をもたない。さらに子供たちが独自に作る世界も、ほんとうの独自性をもっておらず、おどろきがない。」「それはそれとして、道尾氏の小説が候補作品となる回数はふえた。そろそろ直木賞というステージを通過させてあげたい。」
渡辺淳一
男77歳
16 「なんとも内攻的で独善的すぎる。」「もう少し視野を広げて、自分と同年齢に近い大人の内面へ肉薄するような小説を書けないものなのか。部分的に感性の鋭さがあったとしても、現実の人間への迫力は薄く、ご都合主義で軽すぎる。」
浅田次郎
男59歳
17 「ここ数作が同工異曲に思えて、辛い評価を与えた。登場人物の性格が道徳的教条的で毒がない。もしや伝統的な、少年時代を描く抒情小説を狙ったのかと思ったが、それにしては主人公の孤独感に迫るものがない。」「また、この作者の資質は、短篇において十全に発揮されるように思えた。」
北方謙三
男63歳
19 「煮つまってきた小説だが、子供の視点を動かさなかったところで、世界はあやうく均衡を保ち、凡百の少年小説から一頭地を抜けた。ただ、暗く、重く、歪みすぎてもいる。」「私は『月と蟹』に丸をつけて選考に臨み、結果として二作受賞ということになった。甘い選考だった、とは思っていない。」
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年3月号
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大衆選考会 144回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
伊坂幸太郎大好き 平成22年/2010年12月11日 上記(同時推薦=>海堂尊貴志祐介本多孝好)+時代小説一作、が候補と予想します。
そして道尾さんが直木賞。文藝春秋刊ですし(笑)
りか 平成22年/2010年12月16日 四回連続候補になっているので、受賞して欲しいです。
平成22年/2010年12月23日 候補作の予想としては
百田尚樹『錨を上げよ』(上)(下) 講談社
荻原浩『砂の王国』(上)(下) 講談社
貴志祐介『悪の教典』(上)(下) 文藝春秋
馳星周『エウスカディ』(上)(下) 角川書店
葉室麟『橘花抄』 新潮社
辻村深月『ツナグ』 新潮社
に『月と蟹』を加えた物と予想

ファンタジー章句の強い作品枠として文藝春秋お気に入りの恒川光太郎の新作をあえて持ってかず、『ツナグ』を持ってきたのは、(個人的な好みと共に)恒川作品だと講談社が非常に多くなってしまうのと、辻村さんに直木賞を文藝春秋が与えたいのなら、文秋で刊行される『水上フェスタ』の前にいくつか候補にしておいて……、なんていう腹黒い予想をした結果。
ただこれだと上下間が非常に多いので、『錨~』や『砂~』の代わりに『竜が最後に帰る場所』、『エウスカディ』の代わりに『at HOME』の可能性もある。後『ツナグ』自体が候補にならない可能性も(笑)
ま、どうせどんな候補になったところで受賞予想は『月と蟹』なんですが(笑)
平成22年/2010年12月25日 今までに四回続けてノミネートされているので、直木賞受賞してほしい。
平成22年/2010年12月30日 前回の「光媒の花」で受賞かと思いました。
五回目の候補、期待致します
Y.M.O. 平成23年/2011年1月14日 本命は道尾秀介『月と蟹』だと思います。
対抗が貴志祐介『悪の教典』で、大穴は木内昇『漂砂のうたう』ではないでしょうか。
蝦蟇仙人 平成23年/2011年1月15日 候補のメンバー見たら,文春の二人が抜けていると思います。今回の候補作品ノミネート,他の方々は「今後の受賞のためのワンステップとしてのノミネート」のような感じが拭えません。今回はしかし…文春さん「露骨」すぎませんか?
ほづみちゃん 平成23年/2011年1月15日 これでしょう。文章の卓越、ストーリー、いづれをとっても秀逸。
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文量
長篇
章立て
「第一章」~「第五章」「終章」
時代設定 場所設定
[同時代]  鎌倉市の近くの町
登場人物
利根慎一(小学五年生)
富永春也(慎一の友達、関西出身)
葉山鳴海(慎一の同級生、硝子メーカー部長の娘)
純江(慎一の母)
昭三(慎一の祖父、元・漁師)




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