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第144回
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Last Update[H26]2014/10/25

貴志祐介
Kishi Yusuke
生没年月日【注】 昭和34年/1959年☆月☆日~
経歴 大阪府生まれ。京都大学経済学部卒。朝日生命勤務を経て、平成9年/1997年に日本ホラー小説大賞を受賞し、作家デビュー。
受賞歴・候補歴
備考
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あお ほのお
青の 炎』(平成11年/1999年10月・角川書店刊)
書誌
>>平成14年/2002年10月・角川書店/角川文庫『青の炎』
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他文学賞 山本周五郎賞 13回候補 一覧へ
候補者 貴志祐介 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男65歳
24 3.5点「この完全殺人の計画がものすごく複雑なんですね。ペダンティックなぐらい詳しい知識を縦横に駆使して、ここまでやるとトリビアリズムになってしまう。」「文字通りのシミュレーション――模擬演習が煩瑣に過ぎて、頭のいい人の書いたリポートのような感じを受けました。」「でも、この人の将来性まで否定するつもりはありません。」
北原亞以子
女62歳
12 3.5点「私もこの主人公にまったく同情が出来ないので一点マイナス、さらに曾根という男が最初の殺人の対象になるわけですけれども、これが簡単に殺人へ走っている。」「マイナスしていったんですけれども、高校生の女の子が割合によく書けていると思いましたので、三・五で止めました。」
久世光彦
男65歳
20 2点「読み終わったら、かつてこんなせつなくない殺人者がいただろうか、という一言に尽きると思います。」「文章が無神経過ぎるし、そういう表現を拾っていったら、百も二百もあるんじゃないか。」
花村萬月
男45歳
17 1点「すぐに小賢しさが鼻についてしまい、鬱陶しかったです。殺人のディテールを忠実に書けば書くほど、本来の人を殺す情念というところから離れていく、皮肉な小説でしたね。」「何よりも作り過ぎだし、高校生を主人公にしておきながら、「一揖した」とか「秘匿した」とか、まず文章センスを疑いました。」
山田詠美
女41歳
20 1点「この中で一番かわいそうな人って、最後に主人公に飛び込まれたトラックの運転手だと思うんですね。」「私は、殺される男より、母親の方が少年に憎まれるべきだと思う。」「この殺人者に同情しろって言われてるみたい。でも、そんなのやなこったっていう感じで、とても点数が上げられないというか、そういう感じでした。」
選評出典:『小説新潮』平成12年/2000年7月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 21回候補 一覧へ
候補者 貴志祐介 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男48歳
5 「詳悉癖が甚しく、小説としての完成には至っていない。」「ただし凝縮のコツさえ捉えれば、どなたも傑作を物する実力はある。」
阿刀田高
男65歳
2 「長短なかばする、という印象を持った。」
伊集院静
男50歳
0  
北方謙三
男52歳
0  
高橋克彦
男52歳
0  
林真理子
女45歳
0  
選評出典:『群像』平成12年/2000年5月号
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しんせかい
新世界より』(上)(下)(平成20年/2008年1月・講談社刊)
書誌
>>平成21年/2009年8月・講談社/講談社ノベルス『新世界より』
>>平成23年/2011年1月・講談社/講談社文庫『新世界より』(上)(中)(下)
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 30回候補 一覧へ
候補者 貴志祐介 男50歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男57歳
40 「作者の想像力と博物的な知識、加うるに平易で読みごこちのよい文章力は卓抜している。しかしどうしても推しきれなかった理由は、物理的な重心が戦闘シーンに置かれている点であった。」「むしろ作者がその稀有な資質を踏まえて力点を置くべきであったのは、この新世界における科学であり、歴史であり、社会学であったはずである。」「そのうえでの掉尾を飾る一行、「想像力こそが、すべてを変える」ということになろうか。この真言を得た限り、作者は受賞こそ逸しても敗れたわけではない。」
伊集院静
男59歳
13 「戦闘シーンが少し長過ぎるように思えたがユーモアも処々にあり、終章で、主人公の早季が見つめる希望も伝わった。手応えを感じて推したが、最終投票の末、受賞にはいたらなかった。残念だ。以前の候補作より腕も上がり作家として充分な才能と力量がある。」
大沢在昌
男52歳
18 「上巻のおもしろさはすばらしく、候補作であることを忘れ、私は読む興奮にひたった。」「これだけの世界(原文傍点)を紙上に出現させた作者の想像力と剛腕は受賞に価する、と私は思った。過半数の賛同を得られなかった理由を強いてあげるなら、下巻に入ってからの物語のふらつき、だろうか。作者が着地点に迷ったかのように見える。」
高橋克彦
男61歳
9 「圧倒的なイメージの積み重ねで驚きに襲われた。」「読了してしばらくは興奮が止まなかった。」「が、この超大作に堂々比肩して輝きを放つ連作短編集(引用者注:『ジョーカー・ゲーム』)の存在。その凄さに私は重きを置いた。きりりとした短編の切れ味をもっと多くに知らしめたいという思いもあった。」
宮部みゆき
女48歳
9 「三作(引用者注:受賞作を)出せない仕組みが恨めしいです。」「結末に至って〈人間と非・人間を分かつものは何か〉というテーマが見えてきて、読後しばらく興奮が冷めませんでした。」
選評出典:『小説現代』平成21年/2009年5月号
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直木賞 第144回候補  一覧へ

あく きょうてん
悪の 教典』(上)(下)(平成22年/2010年7月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「あく」「きょうてん」 表紙・背・扉 「Lesson of the evil」併記
印刷/発行年月日 (上)(下)発行 平成22年/2010年7月30日(第1刷)
測定媒体発行年月日 (上)発行 平成22年/2010年12月1日(第6刷) (下)発行 平成22年/2010年12月1日(第6刷)
発行者等 発行者 庄野音比古 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 (上)(下)装画 永戸鉄也 装丁 関口聖司
総ページ数 (上)434 (下)411 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ (上)7~434 (下)7~411
(計833頁)
測定枚数 1465
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書誌
>>初出『別冊文藝春秋』平成20年/2008年7月号~平成22年/2010年7月号
>>平成23年/2011年11月・文藝春秋刊『悪の教典』
>>平成24年/2012年8月・文藝春秋/文春文庫『悪の教典』(上)(下)
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候補者 貴志祐介 男52歳
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男60歳
11 「氏の他作品を読んでいたのでこの作品で挑んだものを見つけたかった。私には模糊として霧の先が明確にならなかった。」
林真理子
女56歳
18 「後半の荒っぽさにどうしてもついていけなくなった。」「B級ホラーを書きたいなら話は別であるが、貴志氏の狙いはそうではあるまい。このような主人公を設定したからには、いろいろ覚悟があったに違いないが、いささか空まわりしてしまった。」
阿刀田高
男76歳
16 「新しい小説なのかもしれないが、私には納得がいかなかった。」「彼(引用者注:主人公)をとりまく人々は普通に生きているはずであり、その周辺に現実感が生じないのは小説の世界ではなく、――これはゲームなのかなあ――と評価に困惑を覚えた。」
宮部みゆき
女50歳
54 「B級ホラーのノリでこの大長編を書ききった豪腕と、単独犯による大量殺人という扱いにくい素材を恐れなかった勇気に、私は票を投じました。」「読者のなかには、「でもハスミンってカッコいいよね」と感じる人もいるはずです。一方で、そういう読み筋に驚いて眉をひそめる読者もいる。それがこの作品の勝利です。」
桐野夏生
女59歳
21 「文体もスピードも内容もトーンも、すべてをB級ホラーに徹しようというコンセプトに準じている」「できるようでできない力業であるし、好悪を超えて評価されるべき仕事だと思う。」「表現の自由が狭まりつつある現在、意義ある仕事だと思う。」
宮城谷昌光
男65歳
15 「殺す側に立って爽快感をおぼえるというものではないだけに、最後まで違和感をおぼえた。暴力、殺人、セックスという小説的要素がもてはやされたのは、半世紀もまえである。(引用者中略)もはや小説は、進化しないものなのか、と考えさせられた。」
渡辺淳一
男77歳
20 「(引用者注:「砂の王国」と共に)頭でつくられすぎた小説」「(引用者注:「砂の王国」「蛻」と共に)最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
浅田次郎
男59歳
10 「モンスター・ティーチャーという発想が面白く、現実を忘れて物語に没頭させてくれる。しかし、これだけ多くの人間を殺しておきながら、悪の論理が不在であるという点で、少くとも文学的ではあるまい。」
北方謙三
男63歳
13 「前半の、学校の支配の実態がないところは気になるが、殺人のシーンそのものには臨場感があり、面白かった。しかし、小説でありながら、小説でないものを読み続けている、という意識は最後まで拭い去ることができなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年3月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 32回候補 一覧へ
候補者 貴志祐介 男52歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男59歳
5 「直木賞の選評と同様である。「悪」を文学として成立せしめるためには、「悪の美学」もしくは「悪の論理」が不可欠であろうと思う。」
伊集院静
男61歳
14 「選考する者として小説の在り方を考えさせられた作品だった。」「何十年後かにこの作品を新しい人が手に取り、そこに光のようなものを易々と見い出してしまうかもしれない。ただ今の私にはその光が見つけられなかった。」
大沢在昌
男54歳
8 「読ませる力、おもしろさという点では、候補作中随一だった。が、下巻に入って、(引用者中略)殺人のための殺人は、サイコパス蓮実の恐ろしさよりも、作者の苦心のあげくの着地点としか読めなくなってしまった。」
高橋克彦
男63歳
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宮部みゆき
女50歳
16 「(引用者注:この作品が)これほどの反響を巻き起こしたのは、この上下巻の小説世界のなかに、人の営みの善悪や、罪と罰の根源に触れる〈何か〉があったからだと、私は思います。選考委員として、その〈何か〉を的確に訴える言葉を持ち得なかった自分の非力が歯がゆく、じくじく悩んでしまったことも情けないのですが、一人の同業者としては、貴志さんのこのお仕事に羨望の念を覚えています。」
選評出典:『小説現代』平成23年/2011年5月号
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大衆選考会 144回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
伊坂幸太郎大好き 平成22年/2010年12月11日 上記(同時推薦=>海堂尊本多孝好道尾秀介)+時代小説一作、が候補と予想します。
そして道尾さんが直木賞。文藝春秋刊ですし(笑)
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文量
長篇
章立て
上巻「第一章」~「第六章」下巻「第七章」~「第十一章」「終章」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京都町田~京都など
登場人物
蓮実聖司(晨光学院町田高校の英語教師、二年四組担任)
片桐怜花(二年四組生徒)
夏越雄一郎(二年四組生徒)
早水圭介(雄一郎と怜花の友人、二年一組生徒)
安原美彌(二年四組生徒)
蓼沼将大(二年四組生徒、二学年を仕切るボス)
釣井正信(数学教師)
久米剛毅(美術教師、実業家の息子)
園田勲(体育教師)




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