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第94回
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Last Update[H26]2014/12/13

志水辰夫
Shimizu Tatsuo
生没年月日【注】 昭和11年/1936年12月17日~
経歴 本名=川村光暁。高知県生まれ。高知商卒。公務員を経て、出版社勤務。のちに雑誌のフリーライターとなり、40代で本格的に小説を書き始める。
受賞歴・候補歴
処女作 『飢えて狼』(昭和56年/1981年8月・講談社刊)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
備考
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かいきょう
裂けて 海峡』(昭和58年/1983年1月・講談社/講談社ノベルス)
書誌
>>昭和61年/1986年2月・講談社/講談社文庫『裂けて海峡』
>>平成16年/2004年9月・新潮社/新潮文庫『裂けて海峡』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 5回候補 一覧へ
候補者 志水辰夫 男47歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男49歳
5 「適量のユーモアをまじえた速度感のある文体、行動を分晰し、かつ統合するときの作家としての眼のたしかさなどに、最後の最後まで惹かれた。」
尾崎秀樹
男55歳
0  
佐野洋
男55歳
0  
野坂昭如
男53歳
0  
半村良
男50歳
0  
選評出典:『群像』昭和59年/1984年5月号
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はな
散る 花もあり』(昭和59年/1984年5月・講談社/講談社ノベルス)
書誌
>>昭和62年/1987年6月・講談社/講談社文庫『散る花もあり』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 6回候補 一覧へ
候補者 志水辰夫 男48歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男50歳
7 「青春をすぎた男たちの、苦い心情を独得のユーモア感覚で鋭く照射する。」「陸の上だけでは物語のはずみ方が小さく、愛読者としては多少、物足りぬ思いがした。」
尾崎秀樹
男56歳
0  
佐野洋
男56歳
0  
野坂昭如
男54歳
0  
半村良
男51歳
0  
選評出典:『群像』昭和60年/1985年5月号
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そむ こきょう
背いて 故郷』(昭和60年/1985年10月・講談社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・背 ルビ有り「こきょう」
印刷/発行年月日 発行 昭和60年/1985年10月20日(第1刷)
発行者等 発行者 野間惟道 印刷所 豊国印刷株式会社 製本所 株式会社堅省堂
発行所 株式会社講談社(東京都) 形態 四六判 並製
装幀/装画等 装幀 辰巳四郎
総ページ数 237 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 3~237
(計235頁)
測定枚数 717
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書誌
>>初出『別冊小説現代』昭和60年/1985年初夏号[6月]「背いて荒野」/単行本化にあたり加筆
>>昭和63年/1988年8月・講談社/講談社文庫『背いて故郷』
>>平成12年/2000年11月・双葉社/双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集51『背いて故郷』
>>平成17年/2005年2月・新潮社/新潮文庫『背いて故郷』
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候補者 志水辰夫 男49歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男59歳
0  
池波正太郎
男62歳
0  
村上元三
男75歳
9 「読み終るまでくたびれた。もっと簡略に、読みやすく書けなかったのだろうか。最後に背負い投げを食わされるのではないか、と思っていた通りだったし、主人公のわたしの存在感が薄い。」
藤沢周平
男58歳
3 「力作だったが結末に難があった。」
井上ひさし
男51歳
11 「主人公はたえず立ち止って自己反省に耽る。そのたびに物語の方は放置される。読者としてはつきあいにくい主人公だ。」「今回はその過重な主観描写にすこし疲労をおぼえた。」
黒岩重吾
男61歳
0  
五木寛之
男53歳
0  
陳舜臣
男61歳
0  
渡辺淳一
男52歳
8 「ストーリーを追うに急で、人物の描写がおろそかすぎる。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年4月号
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文量
長篇
章立て
「一章」~「三十三章」
時代設定 場所設定
[同時代]  山形県鶴岡~東京~神奈川~北海道~宮城など
登場人物
わたし(語り手、柏木斉、元・操業監視船航海士)
成瀬恵司(わたしの友人、船上で謎の死)
成瀬早紀子(恵司の妹)
諏訪優子(成瀬の妻)
吉岡誠二(警察官僚)
塩津義勝(操業監視船の責任者)
菅谷巧(元・操業監視船乗組員)
西元昇(同)




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かえ
帰りなん、いざ』(平成2年/1990年4月・講談社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙 「帰去来兮」併記
印刷/発行年月日 発行 平成2年/1990年4月2日(第1刷)
発行者等 発行者 野間佐和子 印刷所 豊国印刷株式会社 製本所 黒柳製本株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装丁 安彦勝博
総ページ数 271 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×20行
×1段
本文ページ 3~271
(計269頁)
測定枚数 526
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書誌
>>書下ろし
>>平成5年/1993年7月・講談社/講談社文庫『帰りなん、いざ』
>>平成10年/1998年12月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『帰りなん、いざ』(上)(下)
>>平成20年/2008年7月・新潮社/新潮文庫『帰りなん、いざ』
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候補者 志水辰夫 男53歳
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣
男66歳
8 「状況の説明を登場人物の会話に頼りすぎているのが気になった。戯曲ならともかく、小説は地の文を駆使できる。長広舌は不自然であるし、ときに読者をいらだたせる。」
平岩弓枝
女58歳
9 「過疎の進んでいる小村を舞台にサスペンスタッチでさまざまの人間模様を描いて面白いが、話を盛り上げようとして、後半、無理が目立った。こういう作品は読者を上手に欺してくれないと成功とはいえない。」
藤沢周平
男62歳
18 「この種の小説に読者が無意識に期待するカタルシスがなかった。」「結果があまりスカッとしないのである。そうかといって、恋愛小説としても成功していないと思った。」「今回の候補作は柄が小さく理に落ちたように思う。」
黒岩重吾
男66歳
0  
山口瞳
男63歳
0  
渡辺淳一
男56歳
0  
五木寛之
男57歳
4 「今回の候補作が、この作家のベストのものでないことが残念だった。」
田辺聖子
女62歳
15 「快調のすべりだし。閉鎖的な村の、悪意にかこまれる日常の違和感は、まことによく描けている。しかし読了して何となく理屈っぽく感じられてしまったのはなぜだろう。」「ドライな文章は好もしかった。」
井上ひさし
男55歳
10 「質のよい文章、その文章に規則正しく織り込まれる秀抜な比喩、それによって脈打つ快いリズムなど、作者のその手腕たるや見事の一語に尽きるが、読者には物語の織り目が少し朦朧として見える。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年9月号
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文量
長篇
章立て
「1」~「26」
時代設定 場所設定
[同時代]  山梨県浅茅~韮崎~東京都三鷹など
登場人物
わたし(語り手、稲葉雅行、翻訳家)
氏家礼次郎(浅茅の区長)
氏家紀美子(礼次郎の娘)
大前菊治(老人)
氏家治子(紀美子の母、三鷹暮らし)
三宅泰真(わたしの悪友、不動産仲介業者)




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『いまひとたびの』(平成6年/1994年8月・新潮社刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成6年/1994年8月20日
測定媒体発行年月日 発行 平成7年/1995年2月10日(10刷)
発行者等 発行者 佐藤亮一 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 加藤製本株式会社
発行所 株式会社新潮社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 小浦 昇 装幀 新潮社装幀室
総ページ数 242 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
44字
×19行
×1段
本文ページ 5~242
(計238頁)
測定枚数 411
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書誌
>>平成9年/1997年8月・新潮社/新潮文庫『いまひとたびの』
>>平成15年/2003年11月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『いまひとたびの』(上)(下)
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収録作品の書誌
赤いバス
>>『オール讀物』平成7年/1995年3月号
夏の終わりに
>>『オール讀物』平成7年/1995年3月号
>>平成18年/2006年1月・ランダムハウス講談社刊『十話』所収
いまひとたびの
>>『オール讀物』平成7年/1995年3月号
>>平成17年/2005年2月・徳間書店/徳間文庫『特別な一日』所収
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候補者 志水辰夫 男58歳
選考委員 評価 行数 評言
藤沢周平
男67歳
54 「文学の原点に出会ったようでほっとする」「「赤いバス」と「トンネルの向こうで」は、秀作と呼びたい出来ばえである。」「小説は、ああおもしろかったと読み捨てるのではなく、読後なにかしらこころに残るようなものでありたいものだが、「赤いバス」にはそれがある。」「十分に受賞に値いする短篇集だった。」
渡辺淳一
男61歳
15 「表現力はあるし、小説つくりも巧みだが、惜しむらくは感動のポイントが低く、俗な感傷に流れすぎる。とくに老いや死を描くときには余程、慎重にあつかうべきで、作者は一度でも死を正面から見据えたことがあるのだろうか。」「集中では「嘘」が読みごたえがあった。」
田辺聖子
女66歳
10 「私はタイトルにこだわってしまった。和泉式部の歌から採られたものだろうか。しかしこのタイトルの短篇にその影は射していない気がするが。「赤いバス」に感動した。文章もこなれて、大人が読める短篇集だが、味付けがもっと濃くてもいい。」
黒岩重吾
男70歳
32 「受賞に価する作品だと今でも私は信じている。」「大人の童話として読むと、黄ばんだ葉からしたたり落ちる雫を味わったようなまろやかな滋味を感じる。私の好みとしては「嘘」を最も推したい。(引用者中略)嘘が救いになっているところに本作品の味がある。」
山口瞳
男68歳
86 「私は志水辰夫さんを推したが意外にも票が集まらなかった。最終的には三票であって過半数に達しなかった。」「テーマを決めた連作短篇集では、まず先頭打者がヒットでも四球でも、とにかく出塁すればいい。志水さんは第一作目で右前に渋く軽打を放って出塁した。(引用者中略)これをクリーンナップすべき後続の強打に欠けたというのが私の率直な感想である。」
平岩弓枝
女62歳
9 「佳篇揃いであり、さわやかで落ちついた読後感は悪くなかった。だが、この作者の捕えている死が、恰好よすぎるのが気になった。人間が死に直面した時のすさまじさも、書いて頂きたい。」
井上ひさし
男60歳
29 「「赤いバス」は掛け値なしの名作、新作にしてすでに古典であると云ってもいい。」「この短編集の主調音を、たとえば「さまざまな死」と捉えることができようが、残念なことにその後は同工異曲がつづく。しかし一編でもこのような名作があるなら受賞してもおかしくないと考えたが、強い支持が得られなかった。」
五木寛之
男62歳
0  
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年3月号
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文量
短篇集〔9篇〕
赤いバス
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  山間
登場人物
わたし(語り手、山荘で隠居生活)
スガイミツオ(少年)
キミコ(ミツオの姉)
七年のち
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
わたし(語り手、児玉、中小企業経営者)
井川静夫(故人、元・わたしの仕事仲間)
井川美代子(静夫の娘)
夏の終わりに
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  東北のある町
登場人物
わたし(語り手、定年間近の会社員)
高子(わたしの妻、広告プロデューサー)
トンネルの向こうで
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道
登場人物
わたし(語り手、本社社員)
永井隆之(旭川営業所営業マン)
忘れ水の記
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある村
登場人物
わたし(語り手、中年男性)
羽生田侑子(故人、わたしの昔の恋人)
羽生田由紀子(侑子の娘、旅館の女将)
海の沈黙
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京~山口県
登場人物
わたし(語り手、シナリオライター、元・教師)
田中勝吾(わたしの昔の同僚)
ゆうあかり
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
わたし(語り手、デザイン事務所長)
美津子(わたしの妻)
寧子(わたし夫婦の昔の仲間)
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  地方都市
登場人物
わたし(語り手、教員)
弥生(わたしの嫂、重症入院患者)
国子(わたしの妻、弥生の世話役)
いまひとたびの
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京~箱根
登場人物
わたし(語り手、会社員)
松方柚子(わたしの叔母、車椅子生活者)





かげろう たび
『あした 蜉蝣の 旅』(平成8年/1996年2月・毎日新聞社刊)
書誌
>>平成11年/1999年7月・新潮社/新潮文庫『あした蜉蝣の旅』
>>平成15年/2003年2月・集英社/集英社文庫『あした蜉蝣の旅』(上)(下)
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他文学賞 山本周五郎賞 9回候補 一覧へ
候補者 志水辰夫 男59歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男61歳
37 4.25点「美しい文章。ある種の淡い人生感覚、まさに蜉蝣のような人生模様を書いていく。志水さんの世界は滞りなく書かれているんですが、いささか冗長でくり返しが多い。」「私は、昂子という人がわからない。それほど素敵な人にはどうしても思えないんです。」「諸手を上げて、すごいっていうふうにちょっと言えない気がいたしました。」「好みの問題だけど、カタルシスがないよね。」
井上ひさし
男61歳
28 4点「全篇に志水節が鳴り響いています。」「ところが、それらは表現の問題でありまして、今度は内容にふれると、志水さんにしては珍しく展開がのろのろしているんじゃないかと思いました。(引用者中略)話がはっきりしない。」「主人公、つまり読者にとっての情報仲介者に、志水さんのものによく出てくる積極的な、人生に対する賭けがないので、この小説は前へ進む力が弱いんですね。」
逢坂剛
男52歳
42 4点「もともと「裂けて海峡」とか、「飢えて狼」は、志水さんの本領ではなくて、むしろこういう一種の恋愛小説というか、中年ないし初老の男の人生の哀感を出す、そういう小説を本当は書きたかったんじゃないか。」「私も主人公の女性に対するスタンスが、納得のできない点が多かったです。」「十二、三年たっているのに、主人公が必ずしも成長してなくて、ビルドゥングスロマンになりきってないところが惜しまれます。」
長部日出雄
男61歳
33 3.5点「どうも最初の暗号の歌に対する解答とか謎解きがなされない。で、途中からこれは、主人公の俵谷慎介と日下部昂子の恋愛小説になっているんだろうというふうに思ったんですね。」「作者はどうもこれはミステリーを書くつもりじゃなかったんでしょう。私は、行き先を間違えたらしくて、この小説とはすれ違ったようです。」
山田太一
男61歳
54 4.5点「どこかで踏み込みたくない、そのために、小説全体が先へ進まない、ぐらぐら、ぐらぐらしているという感じがある。」「昂子をめぐって三人の男が名乗りを上げて、血で血を洗う闘争があるのかと思うと、ない。ないほうがリアリティがありますね。争って女を手に入れる話よりずっといい。」「そこに僕は、この四作の中でいちばん現代を感じました。」「いま物語を語る困難を、結構正直に引受けているということに共感して、面白く読みました。」
最終投票     ○1票
選評出典:『小説新潮』平成8年/1996年7月号
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