直木賞のすべて
第152回
直木賞-選評の概要 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
候補作家の群像
選考委員の群像
小研究
大衆選考会
リンク集
マップ

ページの最後へ
Last Update[H27]2015/2/22

152   一覧へ 151前の回へ 後の回へ153
平成26年/2014年下半期
(平成27年/2015年1月15日決定発表/『オール讀物』平成27年/2015年3月号選評掲載)
選考委員  伊集院静
男64歳
林真理子
女60歳
北方謙三
男67歳
宮城谷昌光
男69歳
高村薫
女61歳
宮部みゆき
女54歳
東野圭吾
男56歳
桐野夏生
女63歳
浅田次郎
男63歳
選評総行数  101 101 98 98 103 89 140 95 100
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
西加奈子 『サラバ!』
1333
女37歳
34 31 20 13 42 8 60 23 29
青山文平 『鬼はもとより』
495
男66歳
24 16 19 42 25 35 23 22 18
大島真寿美 『あなたの本当の人生は』
538
女52歳
0 16 15 11 17 18 15 18 18
木下昌輝 『宇喜多の捨て嫁』
582
男40歳
19 21 15 34 27 26 28 17 18
万城目学 『悟浄出立』
276
男38歳
26 17 20 13 18 6 11 15 17
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』平成27年/2015年3月号
1行当たりの文字数:12字


選考委員
伊集院静男64歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
まぶしい人 総行数101 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
34 「新しいもの、新しい人はまぶしいのである。まぶしさに思わず、目を細めても何やらどんどんページをめくる力がある。こんなにふうにまぶしくて力強い小説を読んだのはひさしぶりだ。新しい人は、新しい世界と、まぶしい光を背負ってあらわれるらしい。」
青山文平
男66歳
24 「私は青山氏の作品とのつき合いは長く、この作者の声高に物語を語らない姿勢が好きで、藤沢周平作品と通じるものを感じる時がある。今回は女性の描き方に腕を上げられていた。」「“藩札”は成功例をみていない。そこを強引に物語にしてやることができれば小説の背骨に肉が付き、脂も滴った気がするが、最後の詰めが甘いように思った。」
大島真寿美
女52歳
0  
木下昌輝
男40歳
19 「読んで面白いのは候補作中一番だろう。粗削りなところも作品のテーマと合わさって逆に迫力になっている。まだ一作目でこれほどの構えができるのだから筆力、才能は計りしれない。」「ただ私は衣服に沁み付いた膿の匂いにいささか閉口した。」
万城目学
男38歳
26 「勿論、中島敦を越えてくれなどと愚言は発せぬが、万城目氏にしては珍しく慎重になり過ぎた気がした。それに準備期間がなかったのではとも感じた。センスの良い作家ゆえに惜しい気がした。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
林真理子
北方謙三
宮城谷昌光
高村薫
宮部みゆき
東野圭吾
桐野夏生
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
林真理子女60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
溢れ出る才能 総行数101 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
31 「欠点の多い作品だ。」「しかし溢れ出る才能を、若さと力で受けとめて書いたこの小説の魅力に、私は抗うことは出来なかった。」「どれほどついていない人生だとしても、自分の信じるものを大切にしていけば、いつか光がさしてくる日がくる、というこの小説は、大きな肯定に充ちている。また観察者であった“僕”が、いつしか主役になっていくプロセスも見事だ。」
青山文平
男66歳
16 「私は高い評価をつけた。」「藩札がこんなにうまくいくはずはない、というのも事実であろうが、青山さんの手にかかると、江戸の金のサイクルがなめらかに動き出すのだ。ただ女たらしであった、主人公のキャラクターがもっと出てくれればと残念でならない。」
大島真寿美
女52歳
16 「ゴーストライターめいたことが起こり、語り手も変わるという凝った趣向であるが、それがあまり生きていない。また最近の作家の特徴として、食べものに頼り過ぎていないだろうか。」
木下昌輝
男40歳
21 「とても新人とは思えない老練な筆さばきだ。しかし私は、傍役が次の篇では主役となるこの構成が不満である。」「「非情な上司に仕えるものの悲劇」というテーマに心奪われても、次の篇でその上司の苦悩を見せつけられると、読者は彼を憎んだ心の持っていき場がないのである。」
万城目学
男38歳
17 「新しいテーマに挑戦なさった意欲は素晴らしいが、こういう古代中国に材をとったものは、先達がいくらでもいる。万城目さんならではのユニークな視点が成功していないと残念でならない。」「中島敦のオマージュとしても、少しお行儀がよすぎたような気がする。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
北方謙三
宮城谷昌光
高村薫
宮部みゆき
東野圭吾
桐野夏生
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
北方謙三男67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
書くべきものを書いた 総行数98 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
20 「少年期から大人まで描かれた男の人生がどこに行き着くか、そんなことはどうでもよくなってくる。細かい齟齬など混沌に呑みこまれ、方々で人々の叫びや喚きや歓声があがっている。ここに描かれたのは人生であり、それは小説がなすべきことだった、という読後の強い思いもあった。」
青山文平
男66歳
19 「藩政のコンサルタントのような主人公の役割りは、目新しかった。」「一方、貧窮する藩の状態の描写は、私にはもの足りなかった。いまにも一揆が起きそうな、ひりひりしたものがない。空気がどこか霞んでいるような感じで、そういう中では悪役も類型になってしまわざるを得ないだろう、という気がする。」
大島真寿美
女52歳
15 「困難なものを無理に描こうとして、自己撞着に陥ったのではないかと思った。書くことを、書くのはとても難しい。ただ、狭い世界で遊弋するのがこの作家はうまく、細部からリアリティは立ちあがってくる。」
木下昌輝
男40歳
15 「評価に迷った。」「下克上は、滑稽で悲惨な事実であり、そこにある野望や疑心暗鬼を描いて、世界は小説的にはなかなか成立しにくいものだろう。そしてそこに、母と子の陰惨な情念を重ね合わせることで、別のものにすり替っているような気がした。」
万城目学
男38歳
20 「考証の点からは突っこみどころが満載だが、私はおやと思った。長篇の、描写の塗り重ねが、その場で足踏みするようで私の感興を削いできたが、短篇ではそれがきれいに消えている。」「この人に、こういう切り口があるというのは、新しい発見であった。」
  「選考ということを考えた時、候補作のすべてが秀作に思えてくる。私の作品と較べるとである。自分はどんな作品を書いてきて、いま選考しようとしているのか。束の間だが、襲ってくるその感覚には、ちょっとこわいものがある。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
林真理子
宮城谷昌光
高村薫
宮部みゆき
東野圭吾
桐野夏生
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
宮城谷昌光男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
花の有無 総行数98 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
13 「過去に『ふくわらい』というすぐれたものがあり、私の胸裡にそれがあったので、今回の『サラバ!』に大いに期待したが、落胆のほうが大きかった。自伝的とおもわれる要素にひきずられて、主題がぼけた。小説的均整が悪い。これが氏の小説か、と疑いたくなるほど理知的なものを感じなかった。」
青山文平
男66歳
42 「この作品には、藩札の発行と流通が主題としてすえられており、いわば時代経済小説といってよい体裁になっている。着眼点が常識の外にあるとなれば、既存の時代小説とは一線を画している。あとは作者の知識と情熱が小説的高みで開花すればよいのであるが、残念ながら私の目には、その花が映らなかった。」
大島真寿美
女52歳
11 「問いがあっても答えのない作りになっており、あえていえば、問いが答えであると読むしかない。氏には、厳密にいうと、客観という目がない。」
木下昌輝
男40歳
34 「措辞に疎密があり、安心して読めないという欠点がある。しかしながら氏が中心にすえたのが、権謀術数の人というべき宇喜多直家であるとなれば、氏の意気込みをなおざりにはできなかった。」「歴史小説は、現代小説では書きようがない典雅な浪漫があってよく、せちがらい人を書いて、小説がせちがらくなってはいけない。」
万城目学
男38歳
13 「悟浄ときけば、すぐに中島敦の作品を憶いだしてしまうが、氏はそこからもっと離れたほうがよかった。たとえばシェイクスピアの『ハムレット』をもとに、ラフォルグは『ハムレット』を書いたが、そこまでの深みが欲しい。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
林真理子
北方謙三
高村薫
宮部みゆき
東野圭吾
桐野夏生
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
高村薫女61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数103 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
42 「(引用者注:「あなたの本当の人生は」と共に)小説の書き方がよく言えばおおらか、悪く言えば粗い点で共通していた。」「最後に自分は「そもそも男ですらないかもしれない」という暴露があって、小説の土台が根こそぎにされる。違和感の正体は視点の定まらなさだったわけだが、作者はなぜこんな自己言及をしたのか。」「あえて性別不詳の視点を取るならば、もっと違った世界が出現してこなければならないのだ。」
青山文平
男66歳
25 「江戸時代版プロジェクトXといった予定調和の世界は、少々器用にまとまり過ぎていて勢いに欠けた。」「(引用者注:「宇喜多の捨て嫁」と共に)時代小説に詳しい選考委員から、基礎知識の不足が厳しく指摘され、」
大島真寿美
女52歳
17 「(引用者注:「サラバ!」と共に)小説の書き方がよく言えばおおらか、悪く言えば粗い点で共通していた。」「物語なるものをめぐるファンタジーだが、ファンタジーとしてのリアリティに頓着することなく勢いと雰囲気で筆を走らせた感がある。」
木下昌輝
男40歳
27 「戦国時代の下剋上を、観念ではなく、実体として描くことに成功した稀有な小説ではないかと思う。」「候補作五作のなかでもっとも迫力のある小説だったので、評者はこれを受賞作に推した。」「(引用者注:「鬼はもとより」と共に)時代小説に詳しい選考委員から、基礎知識の不足が厳しく指摘され、なるほど時代小説とはそういうものなのかと、評者のほうが勉強をさせていただく恰好になった。」
万城目学
男38歳
18 「中国史の大家である選考委員から歴史資料の使い方が中途半端という指摘がなされたが、それ以前に、有名な史実の脇役を主人公にもってくる手法がいずれも成功していない。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
林真理子
北方謙三
宮城谷昌光
宮部みゆき
東野圭吾
桐野夏生
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
宮部みゆき女54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
江戸経済小説の魅力 総行数89 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
8 「明るくてエネルギッシュで奇天烈でナイーブな西加奈子ワールドの(現時点の)集大成である『サラバ!』のご受賞は、直木賞にとっても嬉しいことです。」
青山文平
男66歳
35 「今回、個人的には青山文平さんの『鬼はもとより』を推しました。藩札という難しい題材を扱いながらリーダビリティが高いのは、主人公の抄一郎のどこか悟ったようなすっとぼけた魅力と、彼が江戸の経営コンサルタントとして直面する〈貧との戦い〉の苛烈さが、ラストまで絶妙なバランスを保っていたからだと思います。」
大島真寿美
女52歳
18 「選考会の評価は辛かった。○は私一人でした。それぐらい好みの分かれる小説だということですが、私は大好きです。」「私はホリーさんのような女性作家とは(たぶん)対極にいますし、私みたいなタイプが〈白い部屋〉をつくって籠もるようになったら、それはもう作家としてアウトでしょうが、そんなヒヤリとする部分も含めて、記憶に残る作品です。」
木下昌輝
男40歳
26 「プロテニスプレイヤーの錦織圭選手みたいですね。シード選手を倒して、あれよあれよという間にベスト4入り。宇喜多直家なんて角の立った武将を選ぶ果断さ、厚い描写、小道具を使う小技の巧さ。大物ルーキー登場です。難を言うならあと少し、作者としての温情があってほしかった。」
万城目学
男38歳
6 「万城目さんが今いろいろな方向を模索していることが伝わってきました。短編を積み上げてゆくのはいい試みだと思います。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
林真理子
北方謙三
宮城谷昌光
高村薫
東野圭吾
桐野夏生
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
東野圭吾男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
妥協にあらず 総行数140 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
60 「私は、でかい×をつけた。」「夫への手紙の差出人を知った時点で妻が激怒するのは、結末で明かされる真相から考えると、全く矛盾している。(引用者中略)問題の不整合は、他の部分の辻褄合わせのために発生したものだと私は睨んだ。」「本作を強く推す意見を聞き、整合性の不備を打ち消すだけのものがあるのだなと感じた。」「私だって、お祭り騒ぎは大好きだ。受賞者を祝うシャンパンを気持ちよく飲みたくて、最後は躊躇いなく○をつけたのであった。」
青山文平
男66歳
23 「△」「藩札の開発話というのは新鮮であり、じつに興味深く読めた。」「難点は、すべてがうまくいきすぎることだ。」「さらに弱いのは、飢饉の時にどう機能するかを検証していない点だ。主人公の命題は、それではなかったのか。最後の最後で推すのを躊躇った所以だ。」
大島真寿美
女52歳
15 「少女小説の香りを感じた。それが美点であり、今回の落選の理由でもあった。」「「老婦人たちによる時間の止まった生活に、全く異分子の娘が飛び込んできたことによって、止まっていた時間が動きだす」というファンタジー小説だと理解した。同時に、既視感も覚えた。」
木下昌輝
男40歳
28 「私の○」「面白いという点では候補作中随一だった。時系列や視点人物を交錯させた構成が成功している。」「この掘り出し物に、一体どのようなケチがつけられるのだろうと思い選考会に臨んだが、致命的な欠陥を指摘する声はなかった。」「ただ、デビュー作だという点を心配する声が多かった。私は仮に一発屋で終わったっていいじゃないかと思うのだが、やはりそれではまずいようだ。」
万城目学
男38歳
11 「この着想は先人のもので、それを拝借するならば、さらに上回るもの、奇想に満ちたものにする必要がある。」「やるなら『八戒歎異』とか『玄奘出世』とかだろう。しかも長編で。」
  「この選考に関わって三回目、個人的にはこれまでで一番楽しかった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
林真理子
北方謙三
宮城谷昌光
高村薫
宮部みゆき
桐野夏生
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
桐野夏生女63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数95 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
23 「この作品の白眉は、何と言っても主人公の姉の造型に尽きる。」「(引用者注:主人公の)内省的でシニカル、かつユーモアを孕んだ語り口は、作者がアーヴィングやサリンジャーなどのアメリカ文学に親しんだことがよくわかって楽しい。」「両親の離婚の原因や、幼稚園時代など、蛇足ではないかと感じられる個所もあったが、勢いが感じられる。」
青山文平
男66歳
22 「小説にごつごつした手触りを求めるのは私の好みだが、この作品のこなれ具合は度が過ぎている。後半は、あまりにダイジェスト的だ。」「しかし、「武家と金」というテーマは、この作者にしか書けない分野だ。ファンも多く付くだろう。」
大島真寿美
女52歳
18 「少女小説家の作り出す虚構に影響された人間たちが集まって、それぞれの「本当の人生」を探る、という抽象的なテーマには好感を持った。しかし、ファンタジックな文体や、「コロッケ」「海辺の惣菜屋」などのディテールが逆に混迷を深め、答えになかなか辿り着けない。」「ただ宇城という秘書の存在は面白かった。」
木下昌輝
男40歳
17 「新人とは思えない文章の切れ味と迫力に驚いた。」「表題作だけでは物足りない、と不満に思った途端、輪舞のように展開していく宇喜多の物語に昂奮した。最後があざとい、という意見もあったが、私はカタルシスに感じた。」
万城目学
男38歳
15 「表題作は、ややありきたりに感じられた。個人的には「虞姫寂静」が一番面白かった。」「飛躍する物語の方が作者には合っている気がする。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
林真理子
北方謙三
宮城谷昌光
高村薫
宮部みゆき
東野圭吾
浅田次郎
  ページの先頭へ

選考委員
浅田次郎男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
丸くならないで 総行数100 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
西加奈子
女37歳
29 「言葉を自在に振り回すことのできる才能のおかげで少しも退屈しなかった。堂々たる長篇というよりも、短篇の集積を読むような面白さがあった。持ち前のオリジナリティを損わずに、小説としての普遍的な説得力を身に付けた、とも言えよう。しかし、そうした成長の代償として、上巻に見られる一種の神秘性が、下巻ではやや世俗的になったとも思える。」
青山文平
男66歳
18 「今日でいう辣腕の経営コンサルタントが、今日でいう破綻寸前の企業を再建する、という設定はまことユニークで面白い。しかし、(引用者中略)明治維新という国家の大転回は、「今日でいう」ことを許さぬ」「本作ではこの問題を小説的に処理したとは言いがたく、江戸時代と現代とを強引に重ね合わせたとしか私には思えなかった。」
大島真寿美
女52歳
18 「ところどころに、真摯な文学に対する姿勢が感じられた。しかし、いかんせん物語が展開しない。」「すぐれた状況設定にもかかわらず物語が躍動しないのは、不要な文学的倫理観のしわざと思われる。少くとも、大団円には誰の手になるともわからぬ「遺稿」が提示されなければ嘘であろう。」
木下昌輝
男40歳
18 「型に嵌まった時代小説からの脱却をめざす意欲が感じられた。」「しかしまだ粗い。小説という表現方法は具体を欠くが、読後感は相当に具体的であるから、作家は常に作品全体の美観を意識していなければならない。」
万城目学
男38歳
17 「どうしても、表題作に得心ゆかない。中島敦の作品に対するオマージュであるのか、あるいはほかに何かしら意味があるのか、そのあたりが判然としないのである。そのほかの短篇については、中国の古典に対する斬新なロマネスクとして評価できたのだが、さほど遠い人ではない中島敦との関連については、納得せずに看過することができなかった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
林真理子
北方謙三
宮城谷昌光
高村薫
宮部みゆき
東野圭吾
桐野夏生
  ページの先頭へ


受賞者・作品
西加奈子女37歳×各選考委員 
『サラバ!』
長篇 1333
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男64歳
34 「新しいもの、新しい人はまぶしいのである。まぶしさに思わず、目を細めても何やらどんどんページをめくる力がある。こんなにふうにまぶしくて力強い小説を読んだのはひさしぶりだ。新しい人は、新しい世界と、まぶしい光を背負ってあらわれるらしい。」
林真理子
女60歳
31 「欠点の多い作品だ。」「しかし溢れ出る才能を、若さと力で受けとめて書いたこの小説の魅力に、私は抗うことは出来なかった。」「どれほどついていない人生だとしても、自分の信じるものを大切にしていけば、いつか光がさしてくる日がくる、というこの小説は、大きな肯定に充ちている。また観察者であった“僕”が、いつしか主役になっていくプロセスも見事だ。」
北方謙三
男67歳
20 「少年期から大人まで描かれた男の人生がどこに行き着くか、そんなことはどうでもよくなってくる。細かい齟齬など混沌に呑みこまれ、方々で人々の叫びや喚きや歓声があがっている。ここに描かれたのは人生であり、それは小説がなすべきことだった、という読後の強い思いもあった。」
宮城谷昌光
男69歳
13 「過去に『ふくわらい』というすぐれたものがあり、私の胸裡にそれがあったので、今回の『サラバ!』に大いに期待したが、落胆のほうが大きかった。自伝的とおもわれる要素にひきずられて、主題がぼけた。小説的均整が悪い。これが氏の小説か、と疑いたくなるほど理知的なものを感じなかった。」
高村薫
女61歳
42 「(引用者注:「あなたの本当の人生は」と共に)小説の書き方がよく言えばおおらか、悪く言えば粗い点で共通していた。」「最後に自分は「そもそも男ですらないかもしれない」という暴露があって、小説の土台が根こそぎにされる。違和感の正体は視点の定まらなさだったわけだが、作者はなぜこんな自己言及をしたのか。」「あえて性別不詳の視点を取るならば、もっと違った世界が出現してこなければならないのだ。」
宮部みゆき
女54歳
8 「明るくてエネルギッシュで奇天烈でナイーブな西加奈子ワールドの(現時点の)集大成である『サラバ!』のご受賞は、直木賞にとっても嬉しいことです。」
東野圭吾
男56歳
60 「私は、でかい×をつけた。」「夫への手紙の差出人を知った時点で妻が激怒するのは、結末で明かされる真相から考えると、全く矛盾している。(引用者中略)問題の不整合は、他の部分の辻褄合わせのために発生したものだと私は睨んだ。」「本作を強く推す意見を聞き、整合性の不備を打ち消すだけのものがあるのだなと感じた。」「私だって、お祭り騒ぎは大好きだ。受賞者を祝うシャンパンを気持ちよく飲みたくて、最後は躊躇いなく○をつけたのであった。」
桐野夏生
女63歳
23 「この作品の白眉は、何と言っても主人公の姉の造型に尽きる。」「(引用者注:主人公の)内省的でシニカル、かつユーモアを孕んだ語り口は、作者がアーヴィングやサリンジャーなどのアメリカ文学に親しんだことがよくわかって楽しい。」「両親の離婚の原因や、幼稚園時代など、蛇足ではないかと感じられる個所もあったが、勢いが感じられる。」
浅田次郎
男63歳
29 「言葉を自在に振り回すことのできる才能のおかげで少しも退屈しなかった。堂々たる長篇というよりも、短篇の集積を読むような面白さがあった。持ち前のオリジナリティを損わずに、小説としての普遍的な説得力を身に付けた、とも言えよう。しかし、そうした成長の代償として、上巻に見られる一種の神秘性が、下巻ではやや世俗的になったとも思える。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
青山文平
『鬼はもとより』
大島真寿美
『あなたの本当の人生は』
木下昌輝
『宇喜多の捨て嫁』
万城目学
『悟浄出立』
  ページの先頭へ

候補者・作品
青山文平男66歳×各選考委員 
『鬼はもとより』
長篇 495
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男64歳
24 「私は青山氏の作品とのつき合いは長く、この作者の声高に物語を語らない姿勢が好きで、藤沢周平作品と通じるものを感じる時がある。今回は女性の描き方に腕を上げられていた。」「“藩札”は成功例をみていない。そこを強引に物語にしてやることができれば小説の背骨に肉が付き、脂も滴った気がするが、最後の詰めが甘いように思った。」
林真理子
女60歳
16 「私は高い評価をつけた。」「藩札がこんなにうまくいくはずはない、というのも事実であろうが、青山さんの手にかかると、江戸の金のサイクルがなめらかに動き出すのだ。ただ女たらしであった、主人公のキャラクターがもっと出てくれればと残念でならない。」
北方謙三
男67歳
19 「藩政のコンサルタントのような主人公の役割りは、目新しかった。」「一方、貧窮する藩の状態の描写は、私にはもの足りなかった。いまにも一揆が起きそうな、ひりひりしたものがない。空気がどこか霞んでいるような感じで、そういう中では悪役も類型になってしまわざるを得ないだろう、という気がする。」
宮城谷昌光
男69歳
42 「この作品には、藩札の発行と流通が主題としてすえられており、いわば時代経済小説といってよい体裁になっている。着眼点が常識の外にあるとなれば、既存の時代小説とは一線を画している。あとは作者の知識と情熱が小説的高みで開花すればよいのであるが、残念ながら私の目には、その花が映らなかった。」
高村薫
女61歳
25 「江戸時代版プロジェクトXといった予定調和の世界は、少々器用にまとまり過ぎていて勢いに欠けた。」「(引用者注:「宇喜多の捨て嫁」と共に)時代小説に詳しい選考委員から、基礎知識の不足が厳しく指摘され、」
宮部みゆき
女54歳
35 「今回、個人的には青山文平さんの『鬼はもとより』を推しました。藩札という難しい題材を扱いながらリーダビリティが高いのは、主人公の抄一郎のどこか悟ったようなすっとぼけた魅力と、彼が江戸の経営コンサルタントとして直面する〈貧との戦い〉の苛烈さが、ラストまで絶妙なバランスを保っていたからだと思います。」
東野圭吾
男56歳
23 「△」「藩札の開発話というのは新鮮であり、じつに興味深く読めた。」「難点は、すべてがうまくいきすぎることだ。」「さらに弱いのは、飢饉の時にどう機能するかを検証していない点だ。主人公の命題は、それではなかったのか。最後の最後で推すのを躊躇った所以だ。」
桐野夏生
女63歳
22 「小説にごつごつした手触りを求めるのは私の好みだが、この作品のこなれ具合は度が過ぎている。後半は、あまりにダイジェスト的だ。」「しかし、「武家と金」というテーマは、この作者にしか書けない分野だ。ファンも多く付くだろう。」
浅田次郎
男63歳
18 「今日でいう辣腕の経営コンサルタントが、今日でいう破綻寸前の企業を再建する、という設定はまことユニークで面白い。しかし、(引用者中略)明治維新という国家の大転回は、「今日でいう」ことを許さぬ」「本作ではこの問題を小説的に処理したとは言いがたく、江戸時代と現代とを強引に重ね合わせたとしか私には思えなかった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
西加奈子
『サラバ!』
大島真寿美
『あなたの本当の人生は』
木下昌輝
『宇喜多の捨て嫁』
万城目学
『悟浄出立』
  ページの先頭へ

候補者・作品
大島真寿美女52歳×各選考委員 
『あなたの本当の人生は』
長篇 538
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男64歳
0  
林真理子
女60歳
16 「ゴーストライターめいたことが起こり、語り手も変わるという凝った趣向であるが、それがあまり生きていない。また最近の作家の特徴として、食べものに頼り過ぎていないだろうか。」
北方謙三
男67歳
15 「困難なものを無理に描こうとして、自己撞着に陥ったのではないかと思った。書くことを、書くのはとても難しい。ただ、狭い世界で遊弋するのがこの作家はうまく、細部からリアリティは立ちあがってくる。」
宮城谷昌光
男69歳
11 「問いがあっても答えのない作りになっており、あえていえば、問いが答えであると読むしかない。氏には、厳密にいうと、客観という目がない。」
高村薫
女61歳
17 「(引用者注:「サラバ!」と共に)小説の書き方がよく言えばおおらか、悪く言えば粗い点で共通していた。」「物語なるものをめぐるファンタジーだが、ファンタジーとしてのリアリティに頓着することなく勢いと雰囲気で筆を走らせた感がある。」
宮部みゆき
女54歳
18 「選考会の評価は辛かった。○は私一人でした。それぐらい好みの分かれる小説だということですが、私は大好きです。」「私はホリーさんのような女性作家とは(たぶん)対極にいますし、私みたいなタイプが〈白い部屋〉をつくって籠もるようになったら、それはもう作家としてアウトでしょうが、そんなヒヤリとする部分も含めて、記憶に残る作品です。」
東野圭吾
男56歳
15 「少女小説の香りを感じた。それが美点であり、今回の落選の理由でもあった。」「「老婦人たちによる時間の止まった生活に、全く異分子の娘が飛び込んできたことによって、止まっていた時間が動きだす」というファンタジー小説だと理解した。同時に、既視感も覚えた。」
桐野夏生
女63歳
18 「少女小説家の作り出す虚構に影響された人間たちが集まって、それぞれの「本当の人生」を探る、という抽象的なテーマには好感を持った。しかし、ファンタジックな文体や、「コロッケ」「海辺の惣菜屋」などのディテールが逆に混迷を深め、答えになかなか辿り着けない。」「ただ宇城という秘書の存在は面白かった。」
浅田次郎
男63歳
18 「ところどころに、真摯な文学に対する姿勢が感じられた。しかし、いかんせん物語が展開しない。」「すぐれた状況設定にもかかわらず物語が躍動しないのは、不要な文学的倫理観のしわざと思われる。少くとも、大団円には誰の手になるともわからぬ「遺稿」が提示されなければ嘘であろう。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
西加奈子
『サラバ!』
青山文平
『鬼はもとより』
木下昌輝
『宇喜多の捨て嫁』
万城目学
『悟浄出立』
  ページの先頭へ

候補者・作品
木下昌輝男40歳×各選考委員 
『宇喜多の捨て嫁』
短篇集6篇 582
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男64歳
19 「読んで面白いのは候補作中一番だろう。粗削りなところも作品のテーマと合わさって逆に迫力になっている。まだ一作目でこれほどの構えができるのだから筆力、才能は計りしれない。」「ただ私は衣服に沁み付いた膿の匂いにいささか閉口した。」
林真理子
女60歳
21 「とても新人とは思えない老練な筆さばきだ。しかし私は、傍役が次の篇では主役となるこの構成が不満である。」「「非情な上司に仕えるものの悲劇」というテーマに心奪われても、次の篇でその上司の苦悩を見せつけられると、読者は彼を憎んだ心の持っていき場がないのである。」
北方謙三
男67歳
15 「評価に迷った。」「下克上は、滑稽で悲惨な事実であり、そこにある野望や疑心暗鬼を描いて、世界は小説的にはなかなか成立しにくいものだろう。そしてそこに、母と子の陰惨な情念を重ね合わせることで、別のものにすり替っているような気がした。」
宮城谷昌光
男69歳
34 「措辞に疎密があり、安心して読めないという欠点がある。しかしながら氏が中心にすえたのが、権謀術数の人というべき宇喜多直家であるとなれば、氏の意気込みをなおざりにはできなかった。」「歴史小説は、現代小説では書きようがない典雅な浪漫があってよく、せちがらい人を書いて、小説がせちがらくなってはいけない。」
高村薫
女61歳
27 「戦国時代の下剋上を、観念ではなく、実体として描くことに成功した稀有な小説ではないかと思う。」「候補作五作のなかでもっとも迫力のある小説だったので、評者はこれを受賞作に推した。」「(引用者注:「鬼はもとより」と共に)時代小説に詳しい選考委員から、基礎知識の不足が厳しく指摘され、なるほど時代小説とはそういうものなのかと、評者のほうが勉強をさせていただく恰好になった。」
宮部みゆき
女54歳
26 「プロテニスプレイヤーの錦織圭選手みたいですね。シード選手を倒して、あれよあれよという間にベスト4入り。宇喜多直家なんて角の立った武将を選ぶ果断さ、厚い描写、小道具を使う小技の巧さ。大物ルーキー登場です。難を言うならあと少し、作者としての温情があってほしかった。」
東野圭吾
男56歳
28 「私の○」「面白いという点では候補作中随一だった。時系列や視点人物を交錯させた構成が成功している。」「この掘り出し物に、一体どのようなケチがつけられるのだろうと思い選考会に臨んだが、致命的な欠陥を指摘する声はなかった。」「ただ、デビュー作だという点を心配する声が多かった。私は仮に一発屋で終わったっていいじゃないかと思うのだが、やはりそれではまずいようだ。」
桐野夏生
女63歳
17 「新人とは思えない文章の切れ味と迫力に驚いた。」「表題作だけでは物足りない、と不満に思った途端、輪舞のように展開していく宇喜多の物語に昂奮した。最後があざとい、という意見もあったが、私はカタルシスに感じた。」
浅田次郎
男63歳
18 「型に嵌まった時代小説からの脱却をめざす意欲が感じられた。」「しかしまだ粗い。小説という表現方法は具体を欠くが、読後感は相当に具体的であるから、作家は常に作品全体の美観を意識していなければならない。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
西加奈子
『サラバ!』
青山文平
『鬼はもとより』
大島真寿美
『あなたの本当の人生は』
万城目学
『悟浄出立』
  ページの先頭へ

候補者・作品
万城目学男38歳×各選考委員 
『悟浄出立』
連作5篇 276
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男64歳
26 「勿論、中島敦を越えてくれなどと愚言は発せぬが、万城目氏にしては珍しく慎重になり過ぎた気がした。それに準備期間がなかったのではとも感じた。センスの良い作家ゆえに惜しい気がした。」
林真理子
女60歳
17 「新しいテーマに挑戦なさった意欲は素晴らしいが、こういう古代中国に材をとったものは、先達がいくらでもいる。万城目さんならではのユニークな視点が成功していないと残念でならない。」「中島敦のオマージュとしても、少しお行儀がよすぎたような気がする。」
北方謙三
男67歳
20 「考証の点からは突っこみどころが満載だが、私はおやと思った。長篇の、描写の塗り重ねが、その場で足踏みするようで私の感興を削いできたが、短篇ではそれがきれいに消えている。」「この人に、こういう切り口があるというのは、新しい発見であった。」
宮城谷昌光
男69歳
13 「悟浄ときけば、すぐに中島敦の作品を憶いだしてしまうが、氏はそこからもっと離れたほうがよかった。たとえばシェイクスピアの『ハムレット』をもとに、ラフォルグは『ハムレット』を書いたが、そこまでの深みが欲しい。」
高村薫
女61歳
18 「中国史の大家である選考委員から歴史資料の使い方が中途半端という指摘がなされたが、それ以前に、有名な史実の脇役を主人公にもってくる手法がいずれも成功していない。」
宮部みゆき
女54歳
6 「万城目さんが今いろいろな方向を模索していることが伝わってきました。短編を積み上げてゆくのはいい試みだと思います。」
東野圭吾
男56歳
11 「この着想は先人のもので、それを拝借するならば、さらに上回るもの、奇想に満ちたものにする必要がある。」「やるなら『八戒歎異』とか『玄奘出世』とかだろう。しかも長編で。」
桐野夏生
女63歳
15 「表題作は、ややありきたりに感じられた。個人的には「虞姫寂静」が一番面白かった。」「飛躍する物語の方が作者には合っている気がする。」
浅田次郎
男63歳
17 「どうしても、表題作に得心ゆかない。中島敦の作品に対するオマージュであるのか、あるいはほかに何かしら意味があるのか、そのあたりが判然としないのである。そのほかの短篇については、中国の古典に対する斬新なロマネスクとして評価できたのだが、さほど遠い人ではない中島敦との関連については、納得せずに看過することができなかった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
西加奈子
『サラバ!』
青山文平
『鬼はもとより』
大島真寿美
『あなたの本当の人生は』
木下昌輝
『宇喜多の捨て嫁』
  ページの先頭へ



ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧受賞作家の群像候補作家の群像
選考委員の群像小研究大衆選考会リンク集マップ