直木賞のすべて
第28回
吉川英治文学新人賞
吉川英治文学新人賞-選評の概要 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
候補作家の群像
選考委員の群像
小研究
大衆選考会
マップ

ページの最後へ
Last Update[H20]2008/1/5

28   一覧へ 27前の回へ 後の回へ29
平成18年/2006年度
(平成19年/2007年3月1日決定発表)
選考委員  浅田次郎
男55歳
伊集院静
男57歳
大沢在昌
男50歳
高橋克彦
男59歳
宮部みゆき
女46歳
選評総行数  55 82 80 67 92
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
佐藤多佳子 『一瞬の風になれ』
女44歳
9 17 20 33 10
池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』
男43歳
5 19 12 13 51
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』
女35歳
13 12 18 12 11
中島京子 『均ちゃんの失踪』
女42歳
7 5 10 4 7
山本弘 『アイの物語』
男(51歳)
8 23 15 6 8
         
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説現代』平成19年/2007年4月号
1行当たりの文字数:20字


選考委員
浅田次郎男55歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
五つの個性 総行数55 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
佐藤多佳子
女44歳
9 「紛うかたなき力作である。」「まったく異なった世代の異なった生活を、異なった言語で書き切った膂力は敬意に値する。ねがわくはもう一歩踏み出して、登場人物の胸に本来あるべき苦悩や嫉妬や迷いや撞着を描き出してほしかった。むろん受賞に異議はない。」
池井戸潤
男43歳
5 「実に読ませる作品であったが、膨大な数の登場人物に未整理の感が否めなかった。しかしこの種の社会派小説の書き手は、まことに貴重な存在である。」
桜庭一樹
女35歳
13 「この長さの小説としては近年珍しく稠密感のある作品であった。作者の類い稀な想像力が、端的で的確な表現で随所にちりばめられており、怪奇譚とも社会小説とも言えぬふしぎな物語世界を構築している。」「作者はこの宿命(引用者注:「親子三代物」の宿命)――神話性の時間的喪失によく耐えていると私は思った。」
中島京子
女42歳
7 「何となく既読感を抱いた。」「作者にとってはさぞかし心外な感想であろうが、昨年の選考会で『イトウの恋』を強く推した立場からすると、この作家の真価は別のところにあると思った。」
山本弘
男(51歳)
8 「作中に使用されている単語すら理解できないのでは、選考委員として失格だと反省しきりである。」「小説の普遍性という一点について、どうしてもこの作品を採ることができなかった。」
  「これほど個性的な作品が出揃った選考会も珍しい。」「私は、あえて一作のみを推すつもりで臨んだ。議論をするうちに自分の率直な読後感を失ってはならぬと考えたからである。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
大沢在昌
高橋克彦
宮部みゆき
  ページの先頭へ

選考委員
伊集院静男57歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
青春小説のかがやき 総行数82 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
佐藤多佳子
女44歳
17 「いやはやたいした新人である。ともかく面白いし、登場人物たちがかがやいている。魅力があるのだ。」「読む側に祈りを喚起させるなら、作者の祈りがこの小説を書かせたのだろう。祈りであるなら純粋もほろ苦いような甘さも頷ける。」
池井戸潤
男43歳
19 「新人が常にかかえる文章の不安定さや小説としての破綻をすべてクリアーしている」「ただ私は巨悪に立ち向かう主人公に物足りなさを感じた。悪いものは悪い、という悪の箇条書きが並べられているように思えた。」「現代の事件をテーマにした時、マスコミの目では届かぬ裏面、深層部を掴み取る、作家の目と魂を見せて欲しい。しかし氏の力量は並の力ではない。」
桜庭一樹
女35歳
12 「読み応えのある作品だった。」「祖母、母を語る主人公の語り口に何か憑依のようなものが感じられて、それが熱気になって物語の個性を得ている。」「美しい女性の語り部の出現に思えた。」
中島京子
女42歳
5 「私は推した。華やかな今回の候補作の中ではテーマが地味過ぎて損をしたきらいがある。」「作者は着実に力量は上がっている。」
山本弘
男(51歳)
23 「七つの物語を読み進めると、時折、前の物語に戻ってみなくてはならないほど物語が重層していた。」「人類亡き後は永遠とエンドレスの世界なのか。そんなものなのか? そこが私には不満だった。」「人が人を平気で殺める人間のどうしようもない面を捉えて欲しい気がした。だがSF小説に再び活気を与えられる素晴らしい才能を持った作家であることは間違いない。」
  「今回の候補作品は(引用者中略)新鮮な風を感じる小説が揃っていた。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
大沢在昌
高橋克彦
宮部みゆき
  ページの先頭へ

選考委員
大沢在昌男50歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
高密度な候補作 総行数80 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
佐藤多佳子
女44歳
20 「作品から汗や練習の苦痛、そして思春期にある主人公の苦悩とった人間臭さが徹底して排除されているのも、すべては作者の作戦であろう。これに違和感をもつかどうかで、評価は大きくかわる。私自身は、よくできた連続ドラマを見せられているようだと感じ、やはりそこにひっかかった。」「材料がどう、味つけがどう、という前に、料理人である佐藤さんの手腕が断然、光っている。授賞に賛成した理由だ。」
池井戸潤
男43歳
12 「私は一番に推した。登場人物がすべてステレオタイプだという批判は、この作品に限っては当たらない。」「どこにでもいそうな人間ばかりを使って、困難への挑戦と勝利を描ききった池井戸さんの力量は本物である。誰もが想起するであろう現実の事件を題材にしたことが、マイナスになった面はある。が、それを次作では払拭できる力を、池井戸さんは蓄えている。」
桜庭一樹
女35歳
18 「作者の堂々たる力量を示した」「その色彩感覚、イマジネーションの鮮烈さ、三代三人のヒロインにあわせ各章の文体を微妙にかえる手腕は、並外れたものがある。」「読み終えて思ったことはふたつ。まず作者の桜庭さんが作品を通して伝えたいことが何なのか、私には汲みとれない。次に、鮮烈なイマジネーションがともすれば既存のアニメ作品を髣髴とさせてしまう、うらみだ。」
中島京子
女42歳
10 「その軽量さが、まず仇となった。均ちゃんのような男は確かにいて、それをめぐる三人の女性たちの位置は興味深い。問題は、この作品にはぴったりではあるものの、ところどころすべってしまう中島さんの饒舌文体である。」
山本弘
男(51歳)
15 「実に確信犯的な短篇の連作で、読む者を虚構世界へと連れこむ。ただ、私自身は、(引用者中略)ここまでロボットを優位におく作者の認識に異論を唱えたくなる。確かに人間は“愚かで”“争いを好む”生物だが、その多様性こそが芸術や文化を生んでいるわけで、同じ人間である作者の山本さんに、そこに触れてもらえなかったのが残念だった。」
  「今年は秀作が結集した。それだけに議論が分かれ、二作受賞の可能性も考えて選考会に臨んだが、結果として一作となった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
高橋克彦
宮部みゆき
  ページの先頭へ

選考委員
高橋克彦男59歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
選評 総行数67 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
佐藤多佳子
女44歳
33 「これしかない、という強い確信を持って選考会に臨んだ。」「読んでいるときは自分が選考する立場であるのを忘れて熱中した。」「汗の輝きと、無意味な挑戦に終わるかも知れない青春の不安を著者は描きたかったに違いない。簡単に日本一や世界一の座に駆け上がるスポーツ物語にやや辟易としていた私にとって、この作品は驚きでもあった。」
池井戸潤
男43歳
13 「(引用者注:「赤朽葉家の伝説」とともに)ことに議論の対象となった」「山の作り方と話の出し入れが抜群に上手い。が、私は最後の作り方に不満を感じた。もっと小説的に綺麗に拵えていいのではないかと思った。」「これでは不完全燃焼という思いが拭えない。」
桜庭一樹
女35歳
12 「(引用者注:「空飛ぶタイヤ」とともに)ことに議論の対象となった」「前半部分の完成度の高さは特筆に値する。」「しかし中間から後半にかけて失速が激しかった。前半を大きく牽引する「空飛ぶ男」の謎が、他愛もないことと知れると、今度は前半でせっかく築いた黄金帝国が音を立てて崩れて行く。勿体ない、と心底思った。」
中島京子
女42歳
4 「この競争相手で損をした、という感じだ。面白く読んだものの、この独特の感性一つで抗うには他の波が大き過ぎた。」
山本弘
男(51歳)
6 「緻密な物語構成と説得力の高い描写には掛け値なしに驚いた。けれど人間とロボットの話には同工異曲のものが氾濫している。」「新鮮さに欠けていたのは否めない。」
  「今回の候補作品、いずれも高レベルに達していた。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
宮部みゆき
  ページの先頭へ

選考委員
宮部みゆき女46歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
選評 総行数92 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
佐藤多佳子
女44歳
10 「そもそも活字で表現することそのものが困難な零コンマ一秒単位の「成長」を、見事に文章化、小説化することに成功した快作でした。同時に優れた青春小説でもある本作に、私も多くの読者の皆さんと同じように魅せられまして、選考委員としては少々上滑りな感想を抱いてしまっているのではないかと案じながら選考会に臨んだのですが、それは杞憂でした。」
池井戸潤
男43歳
51 「傑作です。ただ、ある一点に引っかかりを感じて、私は強く推しきることができませんでした。」「大筋では、この筋書きこそが三菱自動車リコール隠し事件の経緯と決着点なのではないかと、私は思ってしまったのです。」「なぜこの小説を書こうと思ったのか。なぜ、現実にはいない赤松社長に、この小説を創ることで命を与えようと思ったのか。(引用者中略)それがわかる平易な言葉がほんの一ページでも存在していれば、(引用者中略)現実の事件から解き放たれ、フィクションとして独り立ちすることができたろうと思います。」
桜庭一樹
女35歳
11 「第一部の万葉のパートだけなら、私のなかでダントツ一位の作品でした。第三部で明かされる豊寿の死の真相が、(引用者中略)「憎くて殺したんじゃない」という万葉の言葉に結びつくものであったなら――と、惜しまずにはいられません。」
中島京子
女42歳
7 「均ちゃんがいる女と均ちゃんがいない女を描いたこの短編集を、均ちゃんがいない女の一人として、私は愛おしんで読みました。賞はどうしても巡り合わせに左右されるもので、今回は分が悪かったとしか言いようがありません。」
山本弘
男(51歳)
8 「高度な小説技術と、読者への誠意に裏打ちされた潤沢なサービス精神に、深く敬意を表します。」
  「自分がマルをつけた作品が受賞したというのに、こんなにも強く「残念だ」という思いを引きずるのは初めての経験です。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
高橋克彦
  ページの先頭へ


受賞者・作品
佐藤多佳子女44歳×各選考委員 
『一瞬の風になれ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男55歳
9 「紛うかたなき力作である。」「まったく異なった世代の異なった生活を、異なった言語で書き切った膂力は敬意に値する。ねがわくはもう一歩踏み出して、登場人物の胸に本来あるべき苦悩や嫉妬や迷いや撞着を描き出してほしかった。むろん受賞に異議はない。」
伊集院静
男57歳
17 「いやはやたいした新人である。ともかく面白いし、登場人物たちがかがやいている。魅力があるのだ。」「読む側に祈りを喚起させるなら、作者の祈りがこの小説を書かせたのだろう。祈りであるなら純粋もほろ苦いような甘さも頷ける。」
大沢在昌
男50歳
20 「作品から汗や練習の苦痛、そして思春期にある主人公の苦悩とった人間臭さが徹底して排除されているのも、すべては作者の作戦であろう。これに違和感をもつかどうかで、評価は大きくかわる。私自身は、よくできた連続ドラマを見せられているようだと感じ、やはりそこにひっかかった。」「材料がどう、味つけがどう、という前に、料理人である佐藤さんの手腕が断然、光っている。授賞に賛成した理由だ。」
高橋克彦
男59歳
33 「これしかない、という強い確信を持って選考会に臨んだ。」「読んでいるときは自分が選考する立場であるのを忘れて熱中した。」「汗の輝きと、無意味な挑戦に終わるかも知れない青春の不安を著者は描きたかったに違いない。簡単に日本一や世界一の座に駆け上がるスポーツ物語にやや辟易としていた私にとって、この作品は驚きでもあった。」
宮部みゆき
女46歳
10 「そもそも活字で表現することそのものが困難な零コンマ一秒単位の「成長」を、見事に文章化、小説化することに成功した快作でした。同時に優れた青春小説でもある本作に、私も多くの読者の皆さんと同じように魅せられまして、選考委員としては少々上滑りな感想を抱いてしまっているのではないかと案じながら選考会に臨んだのですが、それは杞憂でした。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
池井戸潤
『空飛ぶタイヤ』
桜庭一樹
『赤朽葉家の伝説』
中島京子
『均ちゃんの失踪』
山本弘
『アイの物語』
  ページの先頭へ

候補者・作品
池井戸潤男43歳×各選考委員 
『空飛ぶタイヤ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男55歳
5 「実に読ませる作品であったが、膨大な数の登場人物に未整理の感が否めなかった。しかしこの種の社会派小説の書き手は、まことに貴重な存在である。」
伊集院静
男57歳
19 「新人が常にかかえる文章の不安定さや小説としての破綻をすべてクリアーしている」「ただ私は巨悪に立ち向かう主人公に物足りなさを感じた。悪いものは悪い、という悪の箇条書きが並べられているように思えた。」「現代の事件をテーマにした時、マスコミの目では届かぬ裏面、深層部を掴み取る、作家の目と魂を見せて欲しい。しかし氏の力量は並の力ではない。」
大沢在昌
男50歳
12 「私は一番に推した。登場人物がすべてステレオタイプだという批判は、この作品に限っては当たらない。」「どこにでもいそうな人間ばかりを使って、困難への挑戦と勝利を描ききった池井戸さんの力量は本物である。誰もが想起するであろう現実の事件を題材にしたことが、マイナスになった面はある。が、それを次作では払拭できる力を、池井戸さんは蓄えている。」
高橋克彦
男59歳
13 「(引用者注:「赤朽葉家の伝説」とともに)ことに議論の対象となった」「山の作り方と話の出し入れが抜群に上手い。が、私は最後の作り方に不満を感じた。もっと小説的に綺麗に拵えていいのではないかと思った。」「これでは不完全燃焼という思いが拭えない。」
宮部みゆき
女46歳
51 「傑作です。ただ、ある一点に引っかかりを感じて、私は強く推しきることができませんでした。」「大筋では、この筋書きこそが三菱自動車リコール隠し事件の経緯と決着点なのではないかと、私は思ってしまったのです。」「なぜこの小説を書こうと思ったのか。なぜ、現実にはいない赤松社長に、この小説を創ることで命を与えようと思ったのか。(引用者中略)それがわかる平易な言葉がほんの一ページでも存在していれば、(引用者中略)現実の事件から解き放たれ、フィクションとして独り立ちすることができたろうと思います。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
佐藤多佳子
『一瞬の風になれ』
桜庭一樹
『赤朽葉家の伝説』
中島京子
『均ちゃんの失踪』
山本弘
『アイの物語』
  ページの先頭へ

候補者・作品
桜庭一樹女35歳×各選考委員 
『赤朽葉家の伝説』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男55歳
13 「この長さの小説としては近年珍しく稠密感のある作品であった。作者の類い稀な想像力が、端的で的確な表現で随所にちりばめられており、怪奇譚とも社会小説とも言えぬふしぎな物語世界を構築している。」「作者はこの宿命(引用者注:「親子三代物」の宿命)――神話性の時間的喪失によく耐えていると私は思った。」
伊集院静
男57歳
12 「読み応えのある作品だった。」「祖母、母を語る主人公の語り口に何か憑依のようなものが感じられて、それが熱気になって物語の個性を得ている。」「美しい女性の語り部の出現に思えた。」
大沢在昌
男50歳
18 「作者の堂々たる力量を示した」「その色彩感覚、イマジネーションの鮮烈さ、三代三人のヒロインにあわせ各章の文体を微妙にかえる手腕は、並外れたものがある。」「読み終えて思ったことはふたつ。まず作者の桜庭さんが作品を通して伝えたいことが何なのか、私には汲みとれない。次に、鮮烈なイマジネーションがともすれば既存のアニメ作品を髣髴とさせてしまう、うらみだ。」
高橋克彦
男59歳
12 「(引用者注:「空飛ぶタイヤ」とともに)ことに議論の対象となった」「前半部分の完成度の高さは特筆に値する。」「しかし中間から後半にかけて失速が激しかった。前半を大きく牽引する「空飛ぶ男」の謎が、他愛もないことと知れると、今度は前半でせっかく築いた黄金帝国が音を立てて崩れて行く。勿体ない、と心底思った。」
宮部みゆき
女46歳
11 「第一部の万葉のパートだけなら、私のなかでダントツ一位の作品でした。第三部で明かされる豊寿の死の真相が、(引用者中略)「憎くて殺したんじゃない」という万葉の言葉に結びつくものであったなら――と、惜しまずにはいられません。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
佐藤多佳子
『一瞬の風になれ』
池井戸潤
『空飛ぶタイヤ』
中島京子
『均ちゃんの失踪』
山本弘
『アイの物語』
  ページの先頭へ

候補者・作品
中島京子女42歳×各選考委員 
『均ちゃんの失踪』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男55歳
7 「何となく既読感を抱いた。」「作者にとってはさぞかし心外な感想であろうが、昨年の選考会で『イトウの恋』を強く推した立場からすると、この作家の真価は別のところにあると思った。」
伊集院静
男57歳
5 「私は推した。華やかな今回の候補作の中ではテーマが地味過ぎて損をしたきらいがある。」「作者は着実に力量は上がっている。」
大沢在昌
男50歳
10 「その軽量さが、まず仇となった。均ちゃんのような男は確かにいて、それをめぐる三人の女性たちの位置は興味深い。問題は、この作品にはぴったりではあるものの、ところどころすべってしまう中島さんの饒舌文体である。」
高橋克彦
男59歳
4 「この競争相手で損をした、という感じだ。面白く読んだものの、この独特の感性一つで抗うには他の波が大き過ぎた。」
宮部みゆき
女46歳
7 「均ちゃんがいる女と均ちゃんがいない女を描いたこの短編集を、均ちゃんがいない女の一人として、私は愛おしんで読みました。賞はどうしても巡り合わせに左右されるもので、今回は分が悪かったとしか言いようがありません。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
佐藤多佳子
『一瞬の風になれ』
池井戸潤
『空飛ぶタイヤ』
桜庭一樹
『赤朽葉家の伝説』
山本弘
『アイの物語』
  ページの先頭へ

候補者・作品
山本弘男(51歳)×各選考委員 
『アイの物語』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男55歳
8 「作中に使用されている単語すら理解できないのでは、選考委員として失格だと反省しきりである。」「小説の普遍性という一点について、どうしてもこの作品を採ることができなかった。」
伊集院静
男57歳
23 「七つの物語を読み進めると、時折、前の物語に戻ってみなくてはならないほど物語が重層していた。」「人類亡き後は永遠とエンドレスの世界なのか。そんなものなのか? そこが私には不満だった。」「人が人を平気で殺める人間のどうしようもない面を捉えて欲しい気がした。だがSF小説に再び活気を与えられる素晴らしい才能を持った作家であることは間違いない。」
大沢在昌
男50歳
15 「実に確信犯的な短篇の連作で、読む者を虚構世界へと連れこむ。ただ、私自身は、(引用者中略)ここまでロボットを優位におく作者の認識に異論を唱えたくなる。確かに人間は“愚かで”“争いを好む”生物だが、その多様性こそが芸術や文化を生んでいるわけで、同じ人間である作者の山本さんに、そこに触れてもらえなかったのが残念だった。」
高橋克彦
男59歳
6 「緻密な物語構成と説得力の高い描写には掛け値なしに驚いた。けれど人間とロボットの話には同工異曲のものが氾濫している。」「新鮮さに欠けていたのは否めない。」
宮部みゆき
女46歳
8 「高度な小説技術と、読者への誠意に裏打ちされた潤沢なサービス精神に、深く敬意を表します。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
佐藤多佳子
『一瞬の風になれ』
池井戸潤
『空飛ぶタイヤ』
桜庭一樹
『赤朽葉家の伝説』
中島京子
『均ちゃんの失踪』
  ページの先頭へ



ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧受賞作家の群像候補作家の群像
選考委員の群像小研究大衆選考会マップ