直木賞のすべて
第34回
吉川英治文学新人賞
吉川英治文学新人賞-選評の概要 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
候補作家の群像
選考委員の群像
小研究
大衆選考会
リンク集
マップ

ページの最後へ
Last Update[H25]2013/4/23

34   一覧へ 33前の回へ 後の回へ35
平成24年/2012年度
(平成25年/2013年3月4日決定発表)
選考委員  浅田次郎
男61歳
伊集院静
男63歳
大沢在昌
男56歳
恩田陸
女48歳
京極夏彦
男49歳
高橋克彦
男65歳
選評総行数  50 55 61 49 99 45
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
伊東潤 『国を蹴った男』
男52歳
7 8 10 6 40 42
月村了衛 『機龍警察 暗黒市場』
男49歳
14 12 18 16 45 7
有川浩 『旅猫リポート』
女40歳
10 5 10 21 10 0
畠中恵 『けさくしゃ』
女53歳
8 7 6 21 10 0
畑野智美 『海の見える街』
女(34歳)
7 27 12 6 10 0
           
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説現代』平成25年/2013年5月号
1行当たりの文字数:20字


選考委員
浅田次郎男61歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
大人の小説 総行数50 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊東潤
男52歳
7 「真摯な努力が感じられた。わけても巻末に収められた表題作は、今後の方向を示しているように思えた。今川氏真の蹴り上げた鞠がどこに飛んで行くのか、期待は膨らむ。」
月村了衛
男49歳
14 「これだけ話を拡げてしまって、はたしてうまく畳めるかどうかはいささか不安であったが、緊張感を長く維持したまま大団円を迎えた。実にタフな作家である。この人間描写と強靭さを、限定されたシリーズの中に閉じこめてほしくはない。」
有川浩
女40歳
10 「たぶん正確な図面に基く小説なのだろう。その心構えは正しいが、擬人化された猫の視点は物足りなかった。いったいにこうした手法を用いるに当たっては、哲学や批判精神が必須条件である。人にあらざるものが人格を持つためには、登場人物にまさる知性が要求される。その点について、主人公の猫は人格不足であった。」
畠中恵
女53歳
8 「それぞれの話は面白いのに、枠を形成している登場人物の会話が楽屋話を聞くようで、肝心の物語が運ばない。筆の勢いもあるのだろうが、興味深い物語の進行を妨げるものは、会話であれ説明であれ、最小限でなければならない。」
畑野智美
女(34歳)
7 「いまだ小説を書くことに羞っているような印象を持った。どうにも話が小さい。」
  「ありていに言えば、大人の小説たる二作が選ばれ、大人げない小説が選ばれなかったという結果になった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
  ページの先頭へ

選考委員
伊集院静男63歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
才気と着実 総行数55 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊東潤
男52歳
8 「一作ごとに腕を上げられ、どの作品も読者を満足させる力量は十分にプロの作家である。「牢人大将」はまさに作者の真骨頂が発揮されている。」
月村了衛
男49歳
12 「最初読んでいてよくわからなかった。シリーズ物のひとつとわかり、四苦八苦していた時間に舌打ちした。それでも知らぬ間にこの世界に引き込まれたのは“幻想はリアリティである”という言葉のとおりだと認識させられたのだからたいした才能と実力なのだ。」
有川浩
女40歳
5 「文章も読み易く、ストーリーもあざやかに展開して才能を感じるが、この一見散文的なあざやかさが小説の軸を曖昧にしているのではと思った。」
畠中恵
女53歳
7 「物足りなさが最後まで残り、畠中さんの代表作が登場していればラクラクとクリアーした気がして惜しまれた。既成作家の作品の選考のややこしい点だ。」
畑野智美
女(34歳)
27 「時折、この人は何か自分の想像できない小説をこれから書いてしまう可能性があるのではと思う新人に出逢うことがある。伊坂幸太郎氏がそうであった。今回、畑野智美さんの『海の見える街』を読んだ時、その可能性を感じた。」「一票を投じたがこの新人賞は、或る実績を踏まえての選考という点で私も拳を引いた。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
  ページの先頭へ

選考委員
大沢在昌男56歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
作家の芯 総行数61 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊東潤
男52歳
10 「格段にうまくなられていた。ことに表題作がよかった。何度も文学賞の候補となり、受賞という結果が得られないと、無駄な迷いが作家には生じるときがある。」「伊東さんにはそれがない。はっきりとご自分の書きたい世界が見えていて、まっすぐにそこへ向かっている。」
月村了衛
男49歳
18 「これは近未来SFの鎧をまとった冒険小説の傑作である。『機龍警察』シリーズの評価が高いのも納得した。作者の月村さんは、真に好きな世界、好きな人物を描いて、縦横に筆をふるっている。ときにご都合主義的な展開もあるが、物語にからめとられている間は、それすらが心地よかった。」
有川浩
女40歳
10 「実に達者な作品だ。これはほめ言葉でもあり、難癖でもある。」「ベタな話をさらりと書き、落としこむべき場所へきっちりともっていく。結果、何かが残ったかと問われれば、残念ながら答は否だった。」
畠中恵
女53歳
6 「作者の文章のリズムとかみあうのが難しく、読み通すのに苦労した。先走りがちな説明も必要なものとは思えず、また小説としては見せ場となりうる場面をあっさり数行で終わらせてしまう感覚に疑問をもった。」
畑野智美
女(34歳)
12 「ひとつの舞台にいる四人の男女の、青くさい物語は、清涼感をもたらしてはくれるが、本当はその物語の一歩先へ踏みこむ何かを読ませてほしいと感じた。」「本田と春香のカップルは、決して長つづきはしない。それがいつ、どのように終わり、二人が何を失い、何を得るのか、成長とはそういうものではないだろうか。」
  「あっさりと、と書いたら語弊があるかもしれない。新しい選考委員おふたりを迎え、どのような選考会となるか、まったく予想できなかったのだが、今回は、大きな意見の対立はほとんど起こらず、二作の受賞が決定した。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
  ページの先頭へ

選考委員
恩田陸女48歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数49 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊東潤
男52歳
6 「私は時代小説には「これを書いているのは誰それ」とすぐに分かる「声」の魅力を求めるため、すこぶる端正な語り口ではあるものの、まだ「声」そのものが無味無臭に感じられたので積極的には推さなかった。」
月村了衛
男49歳
16 「何より素晴らしいと思ったのは、やりたいことがはっきりしていて、それをやり遂げる強い意志があるのと同時に、それを徹底したエンターテインメントとして読者に提供する覚悟が明確であるところだ。これを同時になし遂げるのはエンターテインメント作家の理想だが、非常にむずかしいことなのに、見事にやり遂げている。」
有川浩
女40歳
21 「(引用者注:畠中恵と共に)もうじゅうぶんにプロとして結果を出していて自分の「声」を持っているのに、それでも今回受賞しなかった有川さんと畠中さんは、自分の「声」に酔っていないか、ちゃんと「声」の質を維持できているか、プロの目で冷静に判断してみてほしい。賞というもの、勝手に候補にされて勝手に落とされるのはたいへん傷つくし腹立たしいものであるが、小説家人生、先は長いのだ。今ここで自分の作品の品質管理について一考してみる価値はあると思う。」
畠中恵
女53歳
21 「(引用者注:有川浩と共に)もうじゅうぶんにプロとして結果を出していて自分の「声」を持っているのに、それでも今回受賞しなかった有川さんと畠中さんは、自分の「声」に酔っていないか、ちゃんと「声」の質を維持できているか、プロの目で冷静に判断してみてほしい。賞というもの、勝手に候補にされて勝手に落とされるのはたいへん傷つくし腹立たしいものであるが、小説家人生、先は長いのだ。今ここで自分の作品の品質管理について一考してみる価値はあると思う。」
畑野智美
女(34歳)
6 「とても誠実な筆致で将来性のある人だと思っただけに、この安易なラストが惜しい。距離感を持った人間観察にセンスを感じる。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
京極夏彦
高橋克彦
  ページの先頭へ

選考委員
京極夏彦男49歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数99 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊東潤
男52歳
40 「(引用者注:「機龍警察 暗黒市場」とともに)一見「読者を選ぶ」と思われがちな作風であるにも拘らず、両作共にその壁は破られている。」「歴史に興味のない読者にも瑣末な情報を読ませてしまうだけの短編小説群としての熟達した完成度がある。」「特殊な方向性に特化する形で一般性を獲得するというのは、生半な技量では成し遂げられないことである。」
月村了衛
男49歳
45 「(引用者注:「国を蹴った男」とともに)一見「読者を選ぶ」と思われがちな作風であるにも拘らず、両作共にその壁は破られている。」「SFや警察小説に魅力を感じない読者や作中リアリティを保証するために敢えて明文化されない設定に付いて行けない読者までもを小説に引き込んでしまうドライブ感と物語性がある。」「特殊な方向性に特化する形で一般性を獲得するというのは、生半な技量では成し遂げられないことである。」
有川浩
女40歳
10 「(引用者注:「けさくしゃ」「海の見える街」とともに)商品としては満点である。ただ、受賞二作と比較した時、その上に乗るポイントが少なかったということになるだろうか。」
畠中恵
女53歳
10 「(引用者注:「旅猫リポート」「海の見える街」とともに)商品としては満点である。ただ、受賞二作と比較した時、その上に乗るポイントが少なかったということになるだろうか。」
畑野智美
女(34歳)
10 「(引用者注:「旅猫リポート」「けさくしゃ」とともに)商品としては満点である。ただ、受賞二作と比較した時、その上に乗るポイントが少なかったということになるだろうか。」
  「(引用者注:文学賞の場合)選考対象は既に商品化されており、しかも一定数以上のエンドユーザーから高い支持を得ているものばかりである。」「候補作は全て満点である。満点の上に、どれだけ加点できるかということになるのだろうと、個人的には考えている。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
高橋克彦
  ページの先頭へ

選考委員
高橋克彦男65歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
伊東さんの新発明 総行数45 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊東潤
男52歳
42 「実を言うと私は伊東さんが前々回の候補作に選ばれた『戦国鬼譚惨』のときに初めて作品に接し、その途方もないアイデアに仰天させられた。」「世界を限定しての、主人公を変えた連作小説は近頃の流行りではあるが、伊東さんが試みているのはそれとは次元や目的がまるで異なる。読者の位置を高みに引き上げてくれるのだ。と同時に人間の多面性をも引き出す。」「『惨』一冊で私は伊東さんの才能に打ちのめされてしまった。」
月村了衛
男49歳
7 「私は伊東さんの『国を蹴った男』に票を投じたが、月村さんの圧倒的な筆力にも驚いていて、この結果(引用者注:二作授賞)にもちろん異存はない。」
有川浩
女40歳
0  
畠中恵
女53歳
0  
畑野智美
女(34歳)
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
  ページの先頭へ


受賞者・作品
伊東潤男52歳×各選考委員 
『国を蹴った男』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男61歳
7 「真摯な努力が感じられた。わけても巻末に収められた表題作は、今後の方向を示しているように思えた。今川氏真の蹴り上げた鞠がどこに飛んで行くのか、期待は膨らむ。」
伊集院静
男63歳
8 「一作ごとに腕を上げられ、どの作品も読者を満足させる力量は十分にプロの作家である。「牢人大将」はまさに作者の真骨頂が発揮されている。」
大沢在昌
男56歳
10 「格段にうまくなられていた。ことに表題作がよかった。何度も文学賞の候補となり、受賞という結果が得られないと、無駄な迷いが作家には生じるときがある。」「伊東さんにはそれがない。はっきりとご自分の書きたい世界が見えていて、まっすぐにそこへ向かっている。」
恩田陸
女48歳
6 「私は時代小説には「これを書いているのは誰それ」とすぐに分かる「声」の魅力を求めるため、すこぶる端正な語り口ではあるものの、まだ「声」そのものが無味無臭に感じられたので積極的には推さなかった。」
京極夏彦
男49歳
40 「(引用者注:「機龍警察 暗黒市場」とともに)一見「読者を選ぶ」と思われがちな作風であるにも拘らず、両作共にその壁は破られている。」「歴史に興味のない読者にも瑣末な情報を読ませてしまうだけの短編小説群としての熟達した完成度がある。」「特殊な方向性に特化する形で一般性を獲得するというのは、生半な技量では成し遂げられないことである。」
高橋克彦
男65歳
42 「実を言うと私は伊東さんが前々回の候補作に選ばれた『戦国鬼譚惨』のときに初めて作品に接し、その途方もないアイデアに仰天させられた。」「世界を限定しての、主人公を変えた連作小説は近頃の流行りではあるが、伊東さんが試みているのはそれとは次元や目的がまるで異なる。読者の位置を高みに引き上げてくれるのだ。と同時に人間の多面性をも引き出す。」「『惨』一冊で私は伊東さんの才能に打ちのめされてしまった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
月村了衛
『機龍警察 暗黒市場』
有川浩
『旅猫リポート』
畠中恵
『けさくしゃ』
畑野智美
『海の見える街』
  ページの先頭へ

受賞者・作品
月村了衛男49歳×各選考委員 
『機龍警察 暗黒市場』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男61歳
14 「これだけ話を拡げてしまって、はたしてうまく畳めるかどうかはいささか不安であったが、緊張感を長く維持したまま大団円を迎えた。実にタフな作家である。この人間描写と強靭さを、限定されたシリーズの中に閉じこめてほしくはない。」
伊集院静
男63歳
12 「最初読んでいてよくわからなかった。シリーズ物のひとつとわかり、四苦八苦していた時間に舌打ちした。それでも知らぬ間にこの世界に引き込まれたのは“幻想はリアリティである”という言葉のとおりだと認識させられたのだからたいした才能と実力なのだ。」
大沢在昌
男56歳
18 「これは近未来SFの鎧をまとった冒険小説の傑作である。『機龍警察』シリーズの評価が高いのも納得した。作者の月村さんは、真に好きな世界、好きな人物を描いて、縦横に筆をふるっている。ときにご都合主義的な展開もあるが、物語にからめとられている間は、それすらが心地よかった。」
恩田陸
女48歳
16 「何より素晴らしいと思ったのは、やりたいことがはっきりしていて、それをやり遂げる強い意志があるのと同時に、それを徹底したエンターテインメントとして読者に提供する覚悟が明確であるところだ。これを同時になし遂げるのはエンターテインメント作家の理想だが、非常にむずかしいことなのに、見事にやり遂げている。」
京極夏彦
男49歳
45 「(引用者注:「国を蹴った男」とともに)一見「読者を選ぶ」と思われがちな作風であるにも拘らず、両作共にその壁は破られている。」「SFや警察小説に魅力を感じない読者や作中リアリティを保証するために敢えて明文化されない設定に付いて行けない読者までもを小説に引き込んでしまうドライブ感と物語性がある。」「特殊な方向性に特化する形で一般性を獲得するというのは、生半な技量では成し遂げられないことである。」
高橋克彦
男65歳
7 「私は伊東さんの『国を蹴った男』に票を投じたが、月村さんの圧倒的な筆力にも驚いていて、この結果(引用者注:二作授賞)にもちろん異存はない。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
伊東潤
『国を蹴った男』
有川浩
『旅猫リポート』
畠中恵
『けさくしゃ』
畑野智美
『海の見える街』
  ページの先頭へ

候補者・作品
有川浩女40歳×各選考委員 
『旅猫リポート』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男61歳
10 「たぶん正確な図面に基く小説なのだろう。その心構えは正しいが、擬人化された猫の視点は物足りなかった。いったいにこうした手法を用いるに当たっては、哲学や批判精神が必須条件である。人にあらざるものが人格を持つためには、登場人物にまさる知性が要求される。その点について、主人公の猫は人格不足であった。」
伊集院静
男63歳
5 「文章も読み易く、ストーリーもあざやかに展開して才能を感じるが、この一見散文的なあざやかさが小説の軸を曖昧にしているのではと思った。」
大沢在昌
男56歳
10 「実に達者な作品だ。これはほめ言葉でもあり、難癖でもある。」「ベタな話をさらりと書き、落としこむべき場所へきっちりともっていく。結果、何かが残ったかと問われれば、残念ながら答は否だった。」
恩田陸
女48歳
21 「(引用者注:畠中恵と共に)もうじゅうぶんにプロとして結果を出していて自分の「声」を持っているのに、それでも今回受賞しなかった有川さんと畠中さんは、自分の「声」に酔っていないか、ちゃんと「声」の質を維持できているか、プロの目で冷静に判断してみてほしい。賞というもの、勝手に候補にされて勝手に落とされるのはたいへん傷つくし腹立たしいものであるが、小説家人生、先は長いのだ。今ここで自分の作品の品質管理について一考してみる価値はあると思う。」
京極夏彦
男49歳
10 「(引用者注:「けさくしゃ」「海の見える街」とともに)商品としては満点である。ただ、受賞二作と比較した時、その上に乗るポイントが少なかったということになるだろうか。」
高橋克彦
男65歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
伊東潤
『国を蹴った男』
月村了衛
『機龍警察 暗黒市場』
畠中恵
『けさくしゃ』
畑野智美
『海の見える街』
  ページの先頭へ

候補者・作品
畠中恵女53歳×各選考委員 
『けさくしゃ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男61歳
8 「それぞれの話は面白いのに、枠を形成している登場人物の会話が楽屋話を聞くようで、肝心の物語が運ばない。筆の勢いもあるのだろうが、興味深い物語の進行を妨げるものは、会話であれ説明であれ、最小限でなければならない。」
伊集院静
男63歳
7 「物足りなさが最後まで残り、畠中さんの代表作が登場していればラクラクとクリアーした気がして惜しまれた。既成作家の作品の選考のややこしい点だ。」
大沢在昌
男56歳
6 「作者の文章のリズムとかみあうのが難しく、読み通すのに苦労した。先走りがちな説明も必要なものとは思えず、また小説としては見せ場となりうる場面をあっさり数行で終わらせてしまう感覚に疑問をもった。」
恩田陸
女48歳
21 「(引用者注:有川浩と共に)もうじゅうぶんにプロとして結果を出していて自分の「声」を持っているのに、それでも今回受賞しなかった有川さんと畠中さんは、自分の「声」に酔っていないか、ちゃんと「声」の質を維持できているか、プロの目で冷静に判断してみてほしい。賞というもの、勝手に候補にされて勝手に落とされるのはたいへん傷つくし腹立たしいものであるが、小説家人生、先は長いのだ。今ここで自分の作品の品質管理について一考してみる価値はあると思う。」
京極夏彦
男49歳
10 「(引用者注:「旅猫リポート」「海の見える街」とともに)商品としては満点である。ただ、受賞二作と比較した時、その上に乗るポイントが少なかったということになるだろうか。」
高橋克彦
男65歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
伊東潤
『国を蹴った男』
月村了衛
『機龍警察 暗黒市場』
有川浩
『旅猫リポート』
畑野智美
『海の見える街』
  ページの先頭へ

候補者・作品
畑野智美女(34歳)×各選考委員 
『海の見える街』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男61歳
7 「いまだ小説を書くことに羞っているような印象を持った。どうにも話が小さい。」
伊集院静
男63歳
27 「時折、この人は何か自分の想像できない小説をこれから書いてしまう可能性があるのではと思う新人に出逢うことがある。伊坂幸太郎氏がそうであった。今回、畑野智美さんの『海の見える街』を読んだ時、その可能性を感じた。」「一票を投じたがこの新人賞は、或る実績を踏まえての選考という点で私も拳を引いた。」
大沢在昌
男56歳
12 「ひとつの舞台にいる四人の男女の、青くさい物語は、清涼感をもたらしてはくれるが、本当はその物語の一歩先へ踏みこむ何かを読ませてほしいと感じた。」「本田と春香のカップルは、決して長つづきはしない。それがいつ、どのように終わり、二人が何を失い、何を得るのか、成長とはそういうものではないだろうか。」
恩田陸
女48歳
6 「とても誠実な筆致で将来性のある人だと思っただけに、この安易なラストが惜しい。距離感を持った人間観察にセンスを感じる。」
京極夏彦
男49歳
10 「(引用者注:「旅猫リポート」「けさくしゃ」とともに)商品としては満点である。ただ、受賞二作と比較した時、その上に乗るポイントが少なかったということになるだろうか。」
高橋克彦
男65歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
伊東潤
『国を蹴った男』
月村了衛
『機龍警察 暗黒市場』
有川浩
『旅猫リポート』
畠中恵
『けさくしゃ』
  ページの先頭へ



ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧受賞作家の群像候補作家の群像
選考委員の群像小研究大衆選考会リンク集マップ