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第35回
吉川英治文学新人賞
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平成25年/2013年度
(平成26年/2014年3月4日決定発表)
選考委員  浅田次郎
男62歳
伊集院静
男64歳
大沢在昌
男57歳
恩田陸
女49歳
京極夏彦
男50歳
高橋克彦
男66歳
選評総行数  57 68 55 58 90 65
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
和田竜 『村上海賊の娘』
男44歳
19 25 14 15 26 27
恒川光太郎 『金色機械』
男40歳
8 10 7 10 0 19
畑野智美 『南部芸能事務所』
女(35歳)
7 9 11 10 0 0
真山仁 『グリード』
男51歳
10 13 10 10 0 0
薬丸岳 『友罪』
男44歳
9 14 13 10 0 34
           
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説現代』平成26年/2014年5月号
1行当たりの文字数:19字


選考委員
浅田次郎男62歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
旗艦なき海戦 総行数57 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
和田竜
男44歳
19 「たしかに総合的な力量が抜きん出ていた。」「しかし、どうにも強くは推せぬ理由が三点あった。第一は専門的な史料の提示である。」「第二は、作品全体を被う戯画性と映像性である。」「第三には、感情不在の戦闘場面が長すぎる。」
恒川光太郎
男40歳
8 「たいへんユニークで楽しい作品であった。しかし、アイデアを縫い繋げる物語性が弱く、小説というよりもイメージの切り貼りを眺めているように思えた。」
畑野智美
女(35歳)
7 「大空を飛ぶのではなく、細密な万華鏡の世界を描く。ただし万華鏡は、どれほど面白くても見る人を納得させる結論を持たない。」
真山仁
男51歳
10 「長編シリーズの一編であるから、主人公の過去やプロフィールなどの肝心な部分がわからない。それでも、短い場面を次々と繋げてストーリーを編んでゆく構造はよく考えられており、全体の空気にも今日では稀少な大人の小説を感じた。」
薬丸岳
男44歳
9 「惜しい作品である。手堅い筆致から作者の誠実な性格が窺われて、小説を書くこと、もしくは小説家であることについて、謙虚な畏怖を抱いていると感じた。」「人々に寄り添うのではなく、社会に立ち向かう勇気さえ持てば、すぐにでも新たな地平が開ける。」
  「今回の選考会は自信を持って推奨できる作品がなかった。」「例年に較べて低調とは思わぬが、いわば旗艦を欠く艦隊を見るようであった。」
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他の選考委員
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
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選考委員
伊集院静男64歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
痛快“和田城” 総行数68 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
和田竜
男44歳
25 「エンターテインメント小説の大切な要素のひとつである、読んで面白い、醍醐味があって楽しい、という点では候補作の中で群を抜いていた。」「一読後、十分に賞にかなうと票を投じた。」「私はこの作家の小説を史実をベースにした歴史小説とは見ていない。むしろ山田風太郎、隆慶一郎の譜系に続く、和田流の痛快な時代小説と評すべきであろう。主人公の景の感情表現などはいじらしいほどである。」
恒川光太郎
男40歳
10 「“金色様”と呼ばれるSF的なキャラクターの登場も興味を引かれた。ところが中盤で他にもミラクルを持つものがあらわれ、散漫になりはじめ、物語を牽引していたキャラクターの力が萎えてしまった。残念である。」
畑野智美
女(35歳)
9 「これを連作短編と読むのなら私にはテーマが希薄、曖昧に思えた。」「複層的に何かが積み上げられているようで実は何も描けていない。」
真山仁
男51歳
13 「読んでいてこの物語に興味を抱き、感心し、感動する読者が大勢いるということは察せられた。ただこれを文学賞の対象となる小説として読めるかというと疑問を持った。」「私は、真山氏は信奉する文法でこのままやり通し、独自の世界を築かれるべきだと思う。」
薬丸岳
男44歳
14 「薬丸氏は社会と実態をよく観察し、適確に捉える力を持っている。」「惜しかったのは氏の作品(『天使のナイフ』)を読んでいたので、少年犯罪のテーマの結末がこれでいいのだろうかという点だった。」「この結末の後に起こることを描くのが氏の仕事ではないかと思った。」
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他の選考委員
浅田次郎
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
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選考委員
大沢在昌男57歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
血湧き肉躍る 総行数55 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
和田竜
男44歳
14 「長すぎるという謗りを免れないであろうと思いながらも、その合戦シーンは、かつてイギリスの冒険小説に熱狂した十代の頃の興奮を私に思いおこさせた。」「ときにアニメーションのような登場人物の言葉づかいやハリウッド映画のごときアクションシーンに批判があるやもしれない。しかし作者は確信犯である。これでもかというサービス精神が全篇を貫いている。」
恒川光太郎
男40歳
7 「恒川さんの世界が、これまでで最も昇華された作品で、どこへ連れていかれるかわからない面白さにわくわくした。物語終盤で息切れしたのがもったいなかったが、私は推した。」
畑野智美
女(35歳)
11 「畑野さんには確かに才能がある。だがこの作品には、力を感じない。「あたりさわりがない」、読み終えて浮かんだ言葉だ。」「日常を描きながらも、すごみのある物語をこの方は書ける筈だ。」
真山仁
男51歳
10 「吉川英治文学新人賞には不向きな作品だと思いながらも、そのおもしろさにひきずりこまれた。人物描写の甘さ、あとだしジャンケン的などんでん返し、文句は多々あるが、経済を材料にこんなエンターテインメントを書ける人はそういないと感心した。」
薬丸岳
男44歳
13 「刊行時読み、そして今回再読しても、消えなかった不満がある。」「鈴木という、誰もがモデルを思い浮かべられる殺人者の、その動機を知る機会を主人公が回避してしまった点だ。それは作者の回避であり、このテーマで物語を書こうとするなら、決して許されない“逃げ”である。」
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他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
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選考委員
恩田陸女49歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数58 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
和田竜
男44歳
15 「選考委員であることを忘れて、一読者としてわくわくしながら読んだ。」「これまでの作品をみるに、きっと「ゲームみたいだ」とか「こういうのは歴史小説じゃない」と言われてきただろうと推察する。しかし、これほどまでに読む喜びを与えてくれ、楽しませてくれる小説を書けるのなら、エンターテインメント作家としてこれ以上何を望むというのか。」
恒川光太郎
男40歳
10 「デビュー作から素晴らしいイメージや雰囲気があり、独自の世界を持っているのに、いつもその世界を描き切るための文章の精度が伴わないため、読後感が散漫になってしまう。」
畑野智美
女(35歳)
10 「恐らくは飛躍を求めて、今回お笑い芸人の世界というチャレンジングなテーマに挑んだはずなのに、なぜか逆に守りに入っているように見える。連作で毎回視点が変わり、女子高生のおっかけから年配の大御所芸人まで大勢登場するが、みんな同じ人が語っているみたいだ。」
真山仁
男51歳
10 「面白く読んだ。」「もう自分の路線を確立しておられる。ただ、いかんせん一本調子なのが残念。」「シリーズものの一作であったことが不利に働いたのは否めない。」
薬丸岳
男44歳
10 「人柄が滲み出る誠実で丁寧な作品である。」「けれど、いつまでも「薬丸さんていい人だね」で済ませるわけにはいかない。」「人の目を気にせず「私はこれを書くんだ」と、もっとわがままかつしたたかになっていただきたい。」
  「新人賞をどういう基準で選ぶかというと、結局平凡な言葉になるが、将来性ということになる。将来性を平たく言い換えると、次の作品を積極的に読みたいか、一読者としてファンになれるか、ということに尽きる。」
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他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
京極夏彦
高橋克彦
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選考委員
京極夏彦男50歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数90 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
和田竜
男44歳
26 「随所に資料(史実とされるものごと)を挿入し、作品を外側から補強していくという、歴史小説の一手法を採用している。しかし、読み味は同じスタイルで書かれた旧来の歴史小説のそれとは大きく違っている。本来、「事実に見せかける」ために編み出された手法が、「虚構部分を際立たせる」ために貢献しているからである。」「選考過程に於ては様々な疑義も呈されたが、これはひとつの発明であると考える。」
恒川光太郎
男40歳
0  
畑野智美
女(35歳)
0  
真山仁
男51歳
0  
薬丸岳
男44歳
0  
  「候補作はいずれも多数の読者を獲得している傑作ばかりであるから、どれも過剰な魅力に溢れている。細かい傷を指摘するのは野暮というものである。それでも、それだけの魅力があるのなら、その魅力を殺ぐのではなく、より際立たせるために有効な手法を取って欲しいと思えるところも多々あった。」「題材(テーマ)と構造・プロット、そして表現・文体は、やはり有機的に結び付いているべきだし、あらゆる階層に於て虚構/現実のレヴェル統一は計られているべきだろう。」
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他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
高橋克彦
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選考委員
高橋克彦男66歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
小説の力 総行数65 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
和田竜
男44歳
27 「(引用者注:「金色機械」「友罪」と共に)授賞の水準に達していると思えた」「うるさすぎると思えるほどの資料提示という傷はあるものの、物語を読ませる力は抜群だ。」「これは歴史小説に見せかけた嘘八百の立川文庫なのだ。それを嘘と見破られまいとして登場人物のリアリティを資料で補完している。となると大量の資料は傷なのではなく、必要不可欠な武器だったことになる。思わず唸ってしまうほどの大発明ではないか。」
恒川光太郎
男40歳
19 「(引用者注:「村上海賊の娘」「友罪」と共に)授賞の水準に達していると思えた」「やむなく外した。(引用者中略)私の好きなテーマだが、話は頁が重なるにつれてどんどん世界が縮まっていく。」「むしろこの設定なら壮大な別の物語を構築できたのではないか。惜しまれた。」
畑野智美
女(35歳)
0  
真山仁
男51歳
0  
薬丸岳
男44歳
34 「(引用者注:「村上海賊の娘」「金色機械」と共に)授賞の水準に達していると思えた」「一番の失望はエンディング。こういう問題に踏み込みながらゴール直前でレースを投げ出したとしか思えない。単純に物語として読むなら消化不良となる。」「私は最後の最後で『友罪』を一番にした。」「物語は消化不良だったが、私の頭の中には選考会までの間にいつも『友罪』が提示した問題が浮かんでいて、私ならどう対処するか、どう書くかと考えさせられていたのである。」
  「私にとっては小説の力というものをあらためて考えさせられる選考となった。」
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他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
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受賞者・作品
和田竜男44歳×各選考委員 
『村上海賊の娘』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男62歳
19 「たしかに総合的な力量が抜きん出ていた。」「しかし、どうにも強くは推せぬ理由が三点あった。第一は専門的な史料の提示である。」「第二は、作品全体を被う戯画性と映像性である。」「第三には、感情不在の戦闘場面が長すぎる。」
伊集院静
男64歳
25 「エンターテインメント小説の大切な要素のひとつである、読んで面白い、醍醐味があって楽しい、という点では候補作の中で群を抜いていた。」「一読後、十分に賞にかなうと票を投じた。」「私はこの作家の小説を史実をベースにした歴史小説とは見ていない。むしろ山田風太郎、隆慶一郎の譜系に続く、和田流の痛快な時代小説と評すべきであろう。主人公の景の感情表現などはいじらしいほどである。」
大沢在昌
男57歳
14 「長すぎるという謗りを免れないであろうと思いながらも、その合戦シーンは、かつてイギリスの冒険小説に熱狂した十代の頃の興奮を私に思いおこさせた。」「ときにアニメーションのような登場人物の言葉づかいやハリウッド映画のごときアクションシーンに批判があるやもしれない。しかし作者は確信犯である。これでもかというサービス精神が全篇を貫いている。」
恩田陸
女49歳
15 「選考委員であることを忘れて、一読者としてわくわくしながら読んだ。」「これまでの作品をみるに、きっと「ゲームみたいだ」とか「こういうのは歴史小説じゃない」と言われてきただろうと推察する。しかし、これほどまでに読む喜びを与えてくれ、楽しませてくれる小説を書けるのなら、エンターテインメント作家としてこれ以上何を望むというのか。」
京極夏彦
男50歳
26 「随所に資料(史実とされるものごと)を挿入し、作品を外側から補強していくという、歴史小説の一手法を採用している。しかし、読み味は同じスタイルで書かれた旧来の歴史小説のそれとは大きく違っている。本来、「事実に見せかける」ために編み出された手法が、「虚構部分を際立たせる」ために貢献しているからである。」「選考過程に於ては様々な疑義も呈されたが、これはひとつの発明であると考える。」
高橋克彦
男66歳
27 「(引用者注:「金色機械」「友罪」と共に)授賞の水準に達していると思えた」「うるさすぎると思えるほどの資料提示という傷はあるものの、物語を読ませる力は抜群だ。」「これは歴史小説に見せかけた嘘八百の立川文庫なのだ。それを嘘と見破られまいとして登場人物のリアリティを資料で補完している。となると大量の資料は傷なのではなく、必要不可欠な武器だったことになる。思わず唸ってしまうほどの大発明ではないか。」
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他の候補作
恒川光太郎
『金色機械』
畑野智美
『南部芸能事務所』
真山仁
『グリード』
薬丸岳
『友罪』
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候補者・作品
恒川光太郎男40歳×各選考委員 
『金色機械』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男62歳
8 「たいへんユニークで楽しい作品であった。しかし、アイデアを縫い繋げる物語性が弱く、小説というよりもイメージの切り貼りを眺めているように思えた。」
伊集院静
男64歳
10 「“金色様”と呼ばれるSF的なキャラクターの登場も興味を引かれた。ところが中盤で他にもミラクルを持つものがあらわれ、散漫になりはじめ、物語を牽引していたキャラクターの力が萎えてしまった。残念である。」
大沢在昌
男57歳
7 「恒川さんの世界が、これまでで最も昇華された作品で、どこへ連れていかれるかわからない面白さにわくわくした。物語終盤で息切れしたのがもったいなかったが、私は推した。」
恩田陸
女49歳
10 「デビュー作から素晴らしいイメージや雰囲気があり、独自の世界を持っているのに、いつもその世界を描き切るための文章の精度が伴わないため、読後感が散漫になってしまう。」
京極夏彦
男50歳
0  
高橋克彦
男66歳
19 「(引用者注:「村上海賊の娘」「友罪」と共に)授賞の水準に達していると思えた」「やむなく外した。(引用者中略)私の好きなテーマだが、話は頁が重なるにつれてどんどん世界が縮まっていく。」「むしろこの設定なら壮大な別の物語を構築できたのではないか。惜しまれた。」
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他の候補作
和田竜
『村上海賊の娘』
畑野智美
『南部芸能事務所』
真山仁
『グリード』
薬丸岳
『友罪』
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候補者・作品
畑野智美女(35歳)×各選考委員 
『南部芸能事務所』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男62歳
7 「大空を飛ぶのではなく、細密な万華鏡の世界を描く。ただし万華鏡は、どれほど面白くても見る人を納得させる結論を持たない。」
伊集院静
男64歳
9 「これを連作短編と読むのなら私にはテーマが希薄、曖昧に思えた。」「複層的に何かが積み上げられているようで実は何も描けていない。」
大沢在昌
男57歳
11 「畑野さんには確かに才能がある。だがこの作品には、力を感じない。「あたりさわりがない」、読み終えて浮かんだ言葉だ。」「日常を描きながらも、すごみのある物語をこの方は書ける筈だ。」
恩田陸
女49歳
10 「恐らくは飛躍を求めて、今回お笑い芸人の世界というチャレンジングなテーマに挑んだはずなのに、なぜか逆に守りに入っているように見える。連作で毎回視点が変わり、女子高生のおっかけから年配の大御所芸人まで大勢登場するが、みんな同じ人が語っているみたいだ。」
京極夏彦
男50歳
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高橋克彦
男66歳
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他の候補作
和田竜
『村上海賊の娘』
恒川光太郎
『金色機械』
真山仁
『グリード』
薬丸岳
『友罪』
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候補者・作品
真山仁男51歳×各選考委員 
『グリード』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男62歳
10 「長編シリーズの一編であるから、主人公の過去やプロフィールなどの肝心な部分がわからない。それでも、短い場面を次々と繋げてストーリーを編んでゆく構造はよく考えられており、全体の空気にも今日では稀少な大人の小説を感じた。」
伊集院静
男64歳
13 「読んでいてこの物語に興味を抱き、感心し、感動する読者が大勢いるということは察せられた。ただこれを文学賞の対象となる小説として読めるかというと疑問を持った。」「私は、真山氏は信奉する文法でこのままやり通し、独自の世界を築かれるべきだと思う。」
大沢在昌
男57歳
10 「吉川英治文学新人賞には不向きな作品だと思いながらも、そのおもしろさにひきずりこまれた。人物描写の甘さ、あとだしジャンケン的などんでん返し、文句は多々あるが、経済を材料にこんなエンターテインメントを書ける人はそういないと感心した。」
恩田陸
女49歳
10 「面白く読んだ。」「もう自分の路線を確立しておられる。ただ、いかんせん一本調子なのが残念。」「シリーズものの一作であったことが不利に働いたのは否めない。」
京極夏彦
男50歳
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男66歳
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他の候補作
和田竜
『村上海賊の娘』
恒川光太郎
『金色機械』
畑野智美
『南部芸能事務所』
薬丸岳
『友罪』
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候補者・作品
薬丸岳男44歳×各選考委員 
『友罪』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男62歳
9 「惜しい作品である。手堅い筆致から作者の誠実な性格が窺われて、小説を書くこと、もしくは小説家であることについて、謙虚な畏怖を抱いていると感じた。」「人々に寄り添うのではなく、社会に立ち向かう勇気さえ持てば、すぐにでも新たな地平が開ける。」
伊集院静
男64歳
14 「薬丸氏は社会と実態をよく観察し、適確に捉える力を持っている。」「惜しかったのは氏の作品(『天使のナイフ』)を読んでいたので、少年犯罪のテーマの結末がこれでいいのだろうかという点だった。」「この結末の後に起こることを描くのが氏の仕事ではないかと思った。」
大沢在昌
男57歳
13 「刊行時読み、そして今回再読しても、消えなかった不満がある。」「鈴木という、誰もがモデルを思い浮かべられる殺人者の、その動機を知る機会を主人公が回避してしまった点だ。それは作者の回避であり、このテーマで物語を書こうとするなら、決して許されない“逃げ”である。」
恩田陸
女49歳
10 「人柄が滲み出る誠実で丁寧な作品である。」「けれど、いつまでも「薬丸さんていい人だね」で済ませるわけにはいかない。」「人の目を気にせず「私はこれを書くんだ」と、もっとわがままかつしたたかになっていただきたい。」
京極夏彦
男50歳
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高橋克彦
男66歳
34 「(引用者注:「村上海賊の娘」「金色機械」と共に)授賞の水準に達していると思えた」「一番の失望はエンディング。こういう問題に踏み込みながらゴール直前でレースを投げ出したとしか思えない。単純に物語として読むなら消化不良となる。」「私は最後の最後で『友罪』を一番にした。」「物語は消化不良だったが、私の頭の中には選考会までの間にいつも『友罪』が提示した問題が浮かんでいて、私ならどう対処するか、どう書くかと考えさせられていたのである。」
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他の候補作
和田竜
『村上海賊の娘』
恒川光太郎
『金色機械』
畑野智美
『南部芸能事務所』
真山仁
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