直木賞のすべて
第6回
山本周五郎賞
山本周五郎賞-選評の概要 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
候補作家の群像
選考委員の群像
小研究
大衆選考会
マップ

ページの最後へ
Last Update[H20]2008/1/3

6   一覧へ 5前の回へ 後の回へ7
平成4年/1992年度
(平成5年/1993年5月13日決定発表/『小説新潮』平成5年/1993年7月号選評掲載)
選考委員  阿刀田高
男58歳
井上ひさし
男58歳
逢坂剛
男49歳
長部日出雄
男58歳
山田太一
男58歳
最終投票
選評総行数  174 243 245 225 189  
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
宮部みゆき 『火車』
女32歳
49 51 69 58 52    
池宮彰一郎 『四十七人の刺客』
男69歳
30 61 42 34 24    
高村薫 『リヴィエラを撃て』
女40歳
46 61 83 78 63    
中島らも 『ガダラの豚』
男41歳
40 66 49 56 53    
           
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説新潮』平成5年/1993年7月号
1行当たりの文字数:19字


選考委員
阿刀田高男58歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数174 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
宮部みゆき
女32歳
49 4点「本当の主人公を書かないという方法で、しかも水際立ったラストシーンをちゃんと作るという、推理小説として非常に珍しい手法を生み出しています。」「どういうふうに他人とすり替わったのか、どんな心境で殺したのか、といった見せ所を書けなかった。そのあたりがなんとなくもの足りなく感じる理由になっています。」
池宮彰一郎
男69歳
30 3.5点「日本人なら誰でもが知っている話を、新しい視点から、なるほど、世論操作もおこなわれていたのか、知的な勝負がそこでおこなわれていたのか、といった想像的な世界を構築してくれたということで、とても面白く読みました。」「しかし、文章の中に、従来の「忠臣蔵」の史料に対するクリティークのようなものが時どき出てきます。(引用者中略)そこまで言っていいのかなという気がして、興趣がそこでそがれてしまうんです。」
高村薫
女40歳
46 3.5点「基本的には、これはエンターテインメントの小説なので、そう考えた時に、こんなに苦労して読まねばならないのはエンターテインメントとして、やはりいけないのではないかと思います。」「もう一回その点を考えて、読者とともに楽しい時間をもつという視点、それをもったらすごくよくなるのではないかなという感じがしました。」「自分がこういうふうに書きたい、この世界を構築したいという、その情熱でこの千五百枚を書いていて、読者という考えはほとんど希薄ですね。」
中島らも
男41歳
40 4.5点「とても読みやすく、面白く、血沸き肉躍るという感じで、最後まで引っ張っていかれるエンターテインメントです。」「ただこの人は、あまり一生懸命書いていない(笑)。(引用者中略)緻密な部分と、すかすかの部分とが、平然と渾然一体をなしています。」「こんなに雑なものをすいすいと書いて、それである時間を楽しく読者と著者とが共有できるようにするというのも、間違いなく小説家の才能ですね。」
  「評論家の人たちとは違って、実作者は、われと我が身を顧みるから、つらいですね。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
井上ひさし
逢坂剛
長部日出雄
山田太一
最終投票
  ページの先頭へ

選考委員
井上ひさし男58歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数243 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
宮部みゆき
女32歳
51 5点「現代というものを見るのにクレジットカードという窓口から体当たりして見ているところに作家的な機智や強さを感じました。」「みなさんがおっしゃった間接性とか、そのために生じるいろいろな弱さは、作者自身も気がついていると思います。ただ、そこにも作家的決断があって、すべてを捨てても、カードという問題は、やはりこういう形でしか書けないと考えた。」「本間は、そんなに平べったい人間だと思いません。人間としてきちっと書けているというふうに僕は読んでいるんですが。」
池宮彰一郎
男69歳
61 3.5点「あっという間に読ませる筆力はさすがです。」「この作品は大石内臓助の書き方が従来通りだなと感じましたね。」「お上への挑戦、大公儀への挑戦というところをもう少し書いてもらえばよかったと思います。」
高村薫
女40歳
61 4.5点「米ソ二極対立構造がなくなったので、スパイ小説は書きにくいだろうという世の中の普通の考え方に挑戦している野心は、大したものですね。」「どうも作者はまだ読者との関係をしっかり結んでいないような気がしますね。」「なぜこんなに複雑な構成法をとらなければいけないのかというところが、依然として疑問です。」「人生、人間の営みに対する哀しみはよく出ています。」
中島らも
男41歳
66 4点「とにかく、さまざまな情報解説を、これほど素直に読ませられる小説というのはなかなか珍しい。」「志織が日本語を喋るかスワヒリ語に戻ってしまうかということは大事なことなのですが、こういう大事な、物語の結節点のようなところを意外にぞんざいに扱う。」「ただ、たいへん面白い。それから、本当に読者を面白がらせようとして必死になっている。」「すごい穴を平気で乗り越えるという楽天性、これはすばらしい。」「ただ、計算して書いているところは、それほど面白くない。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
阿刀田高
逢坂剛
長部日出雄
山田太一
最終投票
  ページの先頭へ

選考委員
逢坂剛男49歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数245 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
宮部みゆき
女32歳
69 4点「宮部さんは、四人の候補の中で、いちばん才気のある作家だと思っているのですが、この小説には、ミステリーとして見ても、普通の小説として見ても、どうしても見逃せない弱点があります。」「クレジット産業に対して、この小説の中では、社会学的な分析はされていますが、行動心理学的な考察というものが欠けているように思えます。」「(引用者注:宮部みゆき、高村薫、中島らもの中では)宮部さんが一番これから伸びる。発展途上の作家という感じがしますね。」
池宮彰一郎
男69歳
42 4点「作者は、この事件を情報戦としてとらえてます。その点が非常に新鮮だと思いました。」「結局、この小説の大きな欠点は、刃傷の真相に対する考察が足りないところだと思います。」
高村薫
女40歳
83 5点「この小説は、話の筋書きとか構成とかを、細部にわたって検討していくような読み方をしてはいけないのではないか、という感じもします。この作品には、作家のもっている世界観を活字の中に封じ込めようという、一種の怨念みたいなものが感じられます。」「正直いって、これだけ手応えのある小説というのは、ここ十年ほど読んだ記憶がありません。」「この作品は、むしろ、三島賞のほうへ回したほうがよかったんじゃないかな(笑)。」
中島らも
男41歳
49 4.5点「まったく話のとおりに読んでいけばいい、わかりやすい小説です。」「文章上の問題なのですが、視点が未整理になっているところが気になりました。」「全体的に、この小説に対する作者のスタンスがちょっと不明確だな、と感じました。」
  「賞の選考は、選考委員が先生で、候補作という答案を採点するというように一般には考えられています。しかし実際は逆に、選考委員が受験生で、候補作という答案用紙に答えを書き込むよう迫られるという、そんな感じが強くしたりするわけです。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
阿刀田高
井上ひさし
長部日出雄
山田太一
最終投票
  ページの先頭へ

選考委員
長部日出雄男58歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数225 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
宮部みゆき
女32歳
58 4点「とくに、破産した個人より犯人をつくり出す現代社会のシステムの方がずっと悪いのではないかという、いわば常識が逆転させられるところでは、非常にショックを受けました。」「この作品の問題点は、良い点も悪い点も、その間接性にあると思います。」「中盤がちょっと説明的で平板な感じを受けました。」
池宮彰一郎
男69歳
34 4点「この小説には、ところどころに決め台詞があって、それがなかなか切れ味がいいと思いました。」「とてもテンポよく、面白く読めたのですが、ここまでいろいろ仕組んでくれたのなら、ラストにもうひと工夫ほしかったと思います。」「しかし、風格とともに新鮮味も感じさせる時代小説になっていて、これまで数多く書かれている「忠臣蔵」に関する小説の中で、明らかに独自性を主張し得る力をもった作品だと思います。」
高村薫
女40歳
78 3.5点「リヴィエラに関するヒントがほんの少しずつしか明かされていかないものですから、なにか、餌を小出しにされて、ずいぶん長い道を歩かされているなという気がしました。」「この筆力の旺盛さや、日本人離れしたスケールの大きいねばり方の可能性は、まったく疑いようがなくて、今回は、将来のもっと大きな大成を期して、少し低い点にしました。」
中島らも
男41歳
56 5点「エンターテインメントとして非常に新しいタイプの快作だと思います。」「途中いろいろウルトラC級の展開があって、最後にピタリと着地する。途中まで何度も出てきた台詞が最後にもう一回出てきて、それまでの伏線がいきてくるわけですが、見事にきまっているという感じを受けました。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
阿刀田高
井上ひさし
逢坂剛
山田太一
最終投票
  ページの先頭へ

選考委員
山田太一男58歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数189 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
宮部みゆき
女32歳
52 5点「女が男抜きの犯罪を犯す時代になってきた、そういう犯罪を書いてみようという意気込み、それからカードというものの、いわば構造的な魔力、それに対する日本人の抵抗力のなさを教えられて、たいへん面白く読みました。」「ただ、物語が間接的であるということと、刑事の本間が休職中にもかかわらず、この事件を調べ続ける情熱の動機が、これだけの長さを貫くほどの説得力がないのではと感じました。」「他の二作(引用者注:「リヴィエラを撃て」「ガダラの豚」)に比べて、完成度は高いと思うのです。」
池宮彰一郎
男69歳
24 3.5点「この作品は、内蔵助を他の人では代替出来ない人格として登場させ、相手方にも、上杉家の色部又十郎という才人を他ならぬその人として登場させたことに、最近の流れに対して、あえて古風に戻ることでの新しい趣向があるのではないかという印象を受けました。」「時代の欲求に応えていて、面白いのですが、史実に対する一解釈を少し強引にいいまくられたような当惑が残りました。」
高村薫
女40歳
63 4点「こんなに長い外国を舞台にした小説を僕はとても書けません。感服して四点を入れます。」「読書を通して、あれこれのパターンの中で作ったという頼りなさがつきまといます。」「いちばんカギを握っている悪人が、結局、私欲を根底にして動いていたというのにはちょっとがっかりしました。」
中島らも
男41歳
53 3.5点「とても楽しく読み、才能のある人だと思いました。欠点を修正したら、面白さも半減してしまう種類の作品だとは思いますが、やはり惜しい、もっといい作品を書く人のはずだという気持ちがあって減点しました。」「とりわけ前半ですが、たとえば大宅壮一文庫へ行って週刊誌などで取り上げている材料を集めてきて、才気でまとめて面白く読ませるということを、そんなに評価していいのだろうかという気も少ししますが。」
  「みんな面白かった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
阿刀田高
井上ひさし
逢坂剛
長部日出雄
最終投票
  ページの先頭へ

選考委員
最終投票×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
宮部みゆき
女32歳
    1回目○2票、2回目○3票
池宮彰一郎
男69歳
     
高村薫
女40歳
    1回目○1票
中島らも
男41歳
    1回目○2票、2回目○2票
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
阿刀田高
井上ひさし
逢坂剛
長部日出雄
山田太一
  ページの先頭へ


受賞者・作品
宮部みゆき女32歳×各選考委員 
『火車』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男58歳
49 4点「本当の主人公を書かないという方法で、しかも水際立ったラストシーンをちゃんと作るという、推理小説として非常に珍しい手法を生み出しています。」「どういうふうに他人とすり替わったのか、どんな心境で殺したのか、といった見せ所を書けなかった。そのあたりがなんとなくもの足りなく感じる理由になっています。」
井上ひさし
男58歳
51 5点「現代というものを見るのにクレジットカードという窓口から体当たりして見ているところに作家的な機智や強さを感じました。」「みなさんがおっしゃった間接性とか、そのために生じるいろいろな弱さは、作者自身も気がついていると思います。ただ、そこにも作家的決断があって、すべてを捨てても、カードという問題は、やはりこういう形でしか書けないと考えた。」「本間は、そんなに平べったい人間だと思いません。人間としてきちっと書けているというふうに僕は読んでいるんですが。」
逢坂剛
男49歳
69 4点「宮部さんは、四人の候補の中で、いちばん才気のある作家だと思っているのですが、この小説には、ミステリーとして見ても、普通の小説として見ても、どうしても見逃せない弱点があります。」「クレジット産業に対して、この小説の中では、社会学的な分析はされていますが、行動心理学的な考察というものが欠けているように思えます。」「(引用者注:宮部みゆき、高村薫、中島らもの中では)宮部さんが一番これから伸びる。発展途上の作家という感じがしますね。」
長部日出雄
男58歳
58 4点「とくに、破産した個人より犯人をつくり出す現代社会のシステムの方がずっと悪いのではないかという、いわば常識が逆転させられるところでは、非常にショックを受けました。」「この作品の問題点は、良い点も悪い点も、その間接性にあると思います。」「中盤がちょっと説明的で平板な感じを受けました。」
山田太一
男58歳
52 5点「女が男抜きの犯罪を犯す時代になってきた、そういう犯罪を書いてみようという意気込み、それからカードというものの、いわば構造的な魔力、それに対する日本人の抵抗力のなさを教えられて、たいへん面白く読みました。」「ただ、物語が間接的であるということと、刑事の本間が休職中にもかかわらず、この事件を調べ続ける情熱の動機が、これだけの長さを貫くほどの説得力がないのではと感じました。」「他の二作(引用者注:「リヴィエラを撃て」「ガダラの豚」)に比べて、完成度は高いと思うのです。」
最終投票     1回目○2票、2回目○3票
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
池宮彰一郎
『四十七人の刺客』
高村薫
『リヴィエラを撃て』
中島らも
『ガダラの豚』
  ページの先頭へ

候補者・作品
池宮彰一郎男69歳×各選考委員 
『四十七人の刺客』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男58歳
30 3.5点「日本人なら誰でもが知っている話を、新しい視点から、なるほど、世論操作もおこなわれていたのか、知的な勝負がそこでおこなわれていたのか、といった想像的な世界を構築してくれたということで、とても面白く読みました。」「しかし、文章の中に、従来の「忠臣蔵」の史料に対するクリティークのようなものが時どき出てきます。(引用者中略)そこまで言っていいのかなという気がして、興趣がそこでそがれてしまうんです。」
井上ひさし
男58歳
61 3.5点「あっという間に読ませる筆力はさすがです。」「この作品は大石内臓助の書き方が従来通りだなと感じましたね。」「お上への挑戦、大公儀への挑戦というところをもう少し書いてもらえばよかったと思います。」
逢坂剛
男49歳
42 4点「作者は、この事件を情報戦としてとらえてます。その点が非常に新鮮だと思いました。」「結局、この小説の大きな欠点は、刃傷の真相に対する考察が足りないところだと思います。」
長部日出雄
男58歳
34 4点「この小説には、ところどころに決め台詞があって、それがなかなか切れ味がいいと思いました。」「とてもテンポよく、面白く読めたのですが、ここまでいろいろ仕組んでくれたのなら、ラストにもうひと工夫ほしかったと思います。」「しかし、風格とともに新鮮味も感じさせる時代小説になっていて、これまで数多く書かれている「忠臣蔵」に関する小説の中で、明らかに独自性を主張し得る力をもった作品だと思います。」
山田太一
男58歳
24 3.5点「この作品は、内蔵助を他の人では代替出来ない人格として登場させ、相手方にも、上杉家の色部又十郎という才人を他ならぬその人として登場させたことに、最近の流れに対して、あえて古風に戻ることでの新しい趣向があるのではないかという印象を受けました。」「時代の欲求に応えていて、面白いのですが、史実に対する一解釈を少し強引にいいまくられたような当惑が残りました。」
最終投票      
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
宮部みゆき
『火車』
高村薫
『リヴィエラを撃て』
中島らも
『ガダラの豚』
  ページの先頭へ

候補者・作品
高村薫女40歳×各選考委員 
『リヴィエラを撃て』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男58歳
46 3.5点「基本的には、これはエンターテインメントの小説なので、そう考えた時に、こんなに苦労して読まねばならないのはエンターテインメントとして、やはりいけないのではないかと思います。」「もう一回その点を考えて、読者とともに楽しい時間をもつという視点、それをもったらすごくよくなるのではないかなという感じがしました。」「自分がこういうふうに書きたい、この世界を構築したいという、その情熱でこの千五百枚を書いていて、読者という考えはほとんど希薄ですね。」
井上ひさし
男58歳
61 4.5点「米ソ二極対立構造がなくなったので、スパイ小説は書きにくいだろうという世の中の普通の考え方に挑戦している野心は、大したものですね。」「どうも作者はまだ読者との関係をしっかり結んでいないような気がしますね。」「なぜこんなに複雑な構成法をとらなければいけないのかというところが、依然として疑問です。」「人生、人間の営みに対する哀しみはよく出ています。」
逢坂剛
男49歳
83 5点「この小説は、話の筋書きとか構成とかを、細部にわたって検討していくような読み方をしてはいけないのではないか、という感じもします。この作品には、作家のもっている世界観を活字の中に封じ込めようという、一種の怨念みたいなものが感じられます。」「正直いって、これだけ手応えのある小説というのは、ここ十年ほど読んだ記憶がありません。」「この作品は、むしろ、三島賞のほうへ回したほうがよかったんじゃないかな(笑)。」
長部日出雄
男58歳
78 3.5点「リヴィエラに関するヒントがほんの少しずつしか明かされていかないものですから、なにか、餌を小出しにされて、ずいぶん長い道を歩かされているなという気がしました。」「この筆力の旺盛さや、日本人離れしたスケールの大きいねばり方の可能性は、まったく疑いようがなくて、今回は、将来のもっと大きな大成を期して、少し低い点にしました。」
山田太一
男58歳
63 4点「こんなに長い外国を舞台にした小説を僕はとても書けません。感服して四点を入れます。」「読書を通して、あれこれのパターンの中で作ったという頼りなさがつきまといます。」「いちばんカギを握っている悪人が、結局、私欲を根底にして動いていたというのにはちょっとがっかりしました。」
最終投票     1回目○1票
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
宮部みゆき
『火車』
池宮彰一郎
『四十七人の刺客』
中島らも
『ガダラの豚』
  ページの先頭へ

候補者・作品
中島らも男41歳×各選考委員 
『ガダラの豚』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男58歳
40 4.5点「とても読みやすく、面白く、血沸き肉躍るという感じで、最後まで引っ張っていかれるエンターテインメントです。」「ただこの人は、あまり一生懸命書いていない(笑)。(引用者中略)緻密な部分と、すかすかの部分とが、平然と渾然一体をなしています。」「こんなに雑なものをすいすいと書いて、それである時間を楽しく読者と著者とが共有できるようにするというのも、間違いなく小説家の才能ですね。」
井上ひさし
男58歳
66 4点「とにかく、さまざまな情報解説を、これほど素直に読ませられる小説というのはなかなか珍しい。」「志織が日本語を喋るかスワヒリ語に戻ってしまうかということは大事なことなのですが、こういう大事な、物語の結節点のようなところを意外にぞんざいに扱う。」「ただ、たいへん面白い。それから、本当に読者を面白がらせようとして必死になっている。」「すごい穴を平気で乗り越えるという楽天性、これはすばらしい。」「ただ、計算して書いているところは、それほど面白くない。」
逢坂剛
男49歳
49 4.5点「まったく話のとおりに読んでいけばいい、わかりやすい小説です。」「文章上の問題なのですが、視点が未整理になっているところが気になりました。」「全体的に、この小説に対する作者のスタンスがちょっと不明確だな、と感じました。」
長部日出雄
男58歳
56 5点「エンターテインメントとして非常に新しいタイプの快作だと思います。」「途中いろいろウルトラC級の展開があって、最後にピタリと着地する。途中まで何度も出てきた台詞が最後にもう一回出てきて、それまでの伏線がいきてくるわけですが、見事にきまっているという感じを受けました。」
山田太一
男58歳
53 3.5点「とても楽しく読み、才能のある人だと思いました。欠点を修正したら、面白さも半減してしまう種類の作品だとは思いますが、やはり惜しい、もっといい作品を書く人のはずだという気持ちがあって減点しました。」「とりわけ前半ですが、たとえば大宅壮一文庫へ行って週刊誌などで取り上げている材料を集めてきて、才気でまとめて面白く読ませるということを、そんなに評価していいのだろうかという気も少ししますが。」
最終投票     1回目○2票、2回目○2票
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
宮部みゆき
『火車』
池宮彰一郎
『四十七人の刺客』
高村薫
『リヴィエラを撃て』
  ページの先頭へ



ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧受賞作家の群像候補作家の群像
選考委員の群像小研究大衆選考会マップ