Last Update●[R4]2022/2/27

畑野智美 Hatano Tomomi

生没年月日	昭和54年/1979年～
経歴	東京都生まれ。東京女学館短大国際文化学科卒。数々のアルバイトを経て、平成22年/2010年に小説すばる新人賞を受賞。
受賞歴・候補歴	第23回小説すばる新人賞（平成22年/2010年）「国道沿いのファミレス」 \|候補\| 第34回吉川英治文学新人賞（平成24年/2012年度）『海の見える街』 \|候補\| 第35回吉川英治文学新人賞（平成25年/2013年度）『南部芸能事務所』 \|候補\| 第34回坪田譲治文学賞（平成30年/2018年）『水槽の中』
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『海(うみ)の見(み)える街(まち)』（平成24年/2012年12月・講談社刊）

書誌

平成27年/2015年9月・講談社／講談社文庫『海の見える街』

収録作品

「マメルリハ」「ハナビ」「金魚すくい」「肉食うさぎ」

吉川英治文学新人賞 第34回候補

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　畑野智美　(34歳)
選考委員		評価	行数	評言
浅田次郎	61歳	■	7	「いまだ小説を書くことに羞っているような印象を持った。どうにも話が小さい。」
伊集院静	63歳	○	27	「時折、この人は何か自分の想像できない小説をこれから書いてしまう可能性があるのではと思う新人に出逢うことがある。伊坂幸太郎氏がそうであった。今回、畑野智美さんの『海の見える街』を読んだ時、その可能性を感じた。」「一票を投じたがこの新人賞は、或る実績を踏まえての選考という点で私も拳を引いた。」
大沢在昌	56歳	●	12	「ひとつの舞台にいる四人の男女の、青くさい物語は、清涼感をもたらしてはくれるが、本当はその物語の一歩先へ踏みこむ何かを読ませてほしいと感じた。」「本田と春香のカップルは、決して長つづきはしない。それがいつ、どのように終わり、二人が何を失い、何を得るのか、成長とはそういうものではないだろうか。」
恩田陸	48歳	■	6	「とても誠実な筆致で将来性のある人だと思っただけに、この安易なラストが惜しい。距離感を持った人間観察にセンスを感じる。」
京極夏彦	49歳	△	10	「（引用者注：「旅猫リポート」「けさくしゃ」とともに）商品としては満点である。ただ、受賞二作と比較した時、その上に乗るポイントが少なかったということになるだろうか。」
高橋克彦	65歳	―	0
選評出典：『小説現代』平成25年/2013年5月号

『南部芸能事務所(なんぶげいのうじむしょ)』（平成25年/2013年6月・講談社刊）

書誌

平成28年/2016年3月・講談社／講談社文庫『南部芸能事務所』

収録作品

「コンビ」「ラブドール」「中間地点」「グレープフルーツジュース」「歯車」「クリスマスツリー」「サンパチ」

吉川英治文学新人賞 第35回候補

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　畑野智美　(35歳)
選考委員		評価	行数	評言
浅田次郎	62歳	●	7	「大空を飛ぶのではなく、細密な万華鏡の世界を描く。ただし万華鏡は、どれほど面白くても見る人を納得させる結論を持たない。」
伊集院静	64歳	■	9	「これを連作短編と読むのなら私にはテーマが希薄、曖昧に思えた。」「複層的に何かが積み上げられているようで実は何も描けていない。」
大沢在昌	57歳	■	11	「畑野さんには確かに才能がある。だがこの作品には、力を感じない。「あたりさわりがない」、読み終えて浮かんだ言葉だ。」「日常を描きながらも、すごみのある物語をこの方は書ける筈だ。」
恩田陸	49歳	■	10	「恐らくは飛躍を求めて、今回お笑い芸人の世界というチャレンジングなテーマに挑んだはずなのに、なぜか逆に守りに入っているように見える。連作で毎回視点が変わり、女子高生のおっかけから年配の大御所芸人まで大勢登場するが、みんな同じ人が語っているみたいだ。」
京極夏彦	50歳	―	0
高橋克彦	66歳	―	0
選評出典：『小説現代』平成26年/2014年5月号