第26回

第25回第27回

平成16年/2004年度 平成17年/2005年3月7日決定発表

選考委員　 浅田次郎 53歳 伊集院静 55歳 大沢在昌 48歳 高橋克彦 57歳 宮部みゆき 44歳 選評総行数　 33 31 31 26 26 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 恩田陸　『夜のピクニック』 40歳 評 ■ 6 △ 8 ○ 9 ○ 16 □ 11 瀬尾まいこ　『幸福な食卓』 31歳 評 □ 6 ◎ 13 ○ 7 ○ 16 □ 11 石黒耀　『震災列島』 (51歳) 評 ■ 4 ― 0 ● 4 ― 0 ― 0 井上荒野　『だりや荘』 44歳 評 ■ 3 △ 3 ■ 6 ― 0 ― 0 雫井脩介　『犯人に告ぐ』 36歳 評 ■ 5 ― 0 □ 4 ― 0 ◎ 15 永井するみ　『ソナタの夜』 (44歳) 評 ◎ 9 △ 3 ● 4 ― 0 ― 0           年齢の説明   見方・注意点

浅田次郎53歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題敗北選評　総行数33　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 恩田陸 40歳 全 ■ 6 「ひとりのファン読者として納得できなかった。」「作者の真骨頂はこういうふつうの小説ではないとの思いを禁じ得なかった。」 瀬尾まいこ 31歳 全 □ 6 「小説的に難易度の低い作品ながらその出来栄えは「完璧」と言ってもよい。日常の素材に甘んずることなく、力を信じて冒険をしていただきたいと思う。」 石黒耀 (51歳) 全 ■ 4 「社会を巨視せずに一部分のドラマを精密に描けば、傑作たりえたであろうと惜しまれてならない。」 井上荒野 44歳 全 ■ 3 「余人を以てかえがたいテクニックを随所に感じたが、全体に平坦で躍動感に欠ける憾みがあった。」 雫井脩介 36歳 全 ■ 5 「堅実さも小説家の美徳であると言いたい。前半の鋭利さとダイナミズムが後半で失速した感があり、強く推すことはできなかった。」 永井するみ (44歳) 全 ◎ 9 「劈頭に推した」「同工異曲の譏りは免れぬとしても、一貫したテーマに沿って真摯かつ執拗に書き綴った成果であると思った。」「作者は伝統的私小説の光明たるかもしれぬと信じて強く推したが、他の賛同を得られずに残念であった。」

他の選考委員 伊集院静 大沢在昌 高橋克彦 宮部みゆき

伊集院静55歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題たしかなもの　総行数31　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 恩田陸 40歳 全 △ 8 「読者にも作家自身にも大きな収穫を得た作品である。」「一作ごとに実りを得ていることが彼女の光ある将来を感じさせる。」 瀬尾まいこ 31歳 全 ◎ 13 「推した。一行目からたしかな手ごたえを感じた。」「感嘆符がついたり、声高なものはいっさいないのだが、読み終えた後に私の身体に瀬尾さんの骨の重みのようなものが確実に残った。この重みは何だろうか。私は作家の芯、覚悟ではないかと思った。」 石黒耀 (51歳) 全 ― 0   井上荒野 44歳 全 △ 3 「きらりと光る才能（引用者中略）が印象的だった。」 雫井脩介 36歳 全 ― 0   永井するみ (44歳) 全 △ 3 「淡い独特の世界が印象的だった。」	他の選考委員 浅田次郎 大沢在昌 高橋克彦 宮部みゆき

大沢在昌48歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題才能と筆力と　総行数31　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 恩田陸 40歳 全 ○ 9 「同級生の男女が果たして会話を交わせるかどうか、それだけを核に物語をひっぱる力は、なみたいていではない。」 瀬尾まいこ 31歳 全 ○ 7 「どこか危うげな人間ばかりが登場するのに、なぜか読んだ者の胸をあたたかくする。これは才能という他はないだろう。」 石黒耀 (51歳) 全 ● 4 「科学的データの処理とドタバタの融合は難しい。試みは壮大だが、作者の腕力が追いつかず、最後まで水と油のままだった。」 井上荒野 44歳 全 ■ 6 「軽いのにトゲがある。これも作者の資質だ。ただ、初めて男女がことに及ぶとき、女性の意志はそこにあっても男性の意志はないような、妙な居心地の悪さを感じた。」 雫井脩介 36歳 全 □ 4 「惜しいところだった。受賞二作の評価がとび抜けたため、得票的には次点であった。しかしすぐれた警察小説である。」 永井するみ (44歳) 全 ● 4 「どの作品ものぞき穴を通して語られているようなもどかしさを感じた。作者の視点がヒロインの外にまで広がっていないからではないか。」   「今回より選考委員に加えていただいた。私にとり、初めての文学賞がこの賞であり、受賞したことが大きな励みとなった。その恩返しをいくらかでもできれば、という思いだ。」

他の選考委員 浅田次郎 伊集院静 高橋克彦 宮部みゆき

高橋克彦57歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題宝石二つ　総行数26　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 恩田陸 40歳 全 ○ 16 「たった一日の出来ごとを、長期連載という形で丁寧に積み重ねていく恩田さんの企みの見事さに何度溜め息を吐いたことだろう。どこにも隙がなく、それでいて叙情の紗幕を絶やさないのにはほとほと感心させられた。」「恩田さんの新たな魅力で、私は好きだ。」 瀬尾まいこ 31歳 全 ○ 16 「本当に思いがけない結末には仰天した。」「だが、なにを捨てて、なにを貫かなければならないか瀬尾さんは分かっている。強靭な物書きとしての志を感じた。大成する人に違いない。」 石黒耀 (51歳) 全 ― 0   井上荒野 44歳 全 ― 0   雫井脩介 36歳 全 ― 0   永井するみ (44歳) 全 ― 0	他の選考委員 浅田次郎 伊集院静 大沢在昌 宮部みゆき

宮部みゆき44歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題ふさわしい二作　総行数26　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 恩田陸 40歳 全 □ 11 「（引用者注：「幸福な食卓」とは）青春の「未来と希望」を仰ぐか、「傷みと再生」を見つけるかというテーマには大きな差異があり、そこから生まれるそれぞれの魅力は、どちらか一作に軍配を上げることができないほど拮抗しておりました。」「（引用者注：受賞二作は）合わせ読むとなおいっそう、「小説」というものの豊饒さを体感させてくれる二作で、その意味でも並び立つ受賞にふさわしいと感じています。」 瀬尾まいこ 31歳 全 □ 11 「（引用者注：「夜のピクニック」とは）青春の「未来と希望」を仰ぐか、「傷みと再生」を見つけるかというテーマには大きな差異があり、そこから生まれるそれぞれの魅力は、どちらか一作に軍配を上げることができないほど拮抗しておりました。」「（引用者注：受賞二作は）合わせ読むとなおいっそう、「小説」というものの豊饒さを体感させてくれる二作で、その意味でも並び立つ受賞にふさわしいと感じています。」 石黒耀 (51歳) 全 ― 0   井上荒野 44歳 全 ― 0   雫井脩介 36歳 全 ◎ 15 「残念ながら次点に終わった『犯人に告ぐ』には、さまざまな点で作者の勇気を感じました。」「賞讃すべき点は多々ありました。本来、もっと受賞作に肉薄して健闘することができたはずなのに、そこに届かなかったのは、強く推しつつも、劇場型捜査という画期的なギミックを活かし切れなかったのではないかという指摘に、弱気になってしまった私の責任です。」 永井するみ (44歳) 全 ― 0

他の選考委員 浅田次郎 伊集院静 大沢在昌 高橋克彦

恩田陸40歳×各選考委員　 『夜のピクニック』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 浅田次郎 53歳 全 ■ 6 「ひとりのファン読者として納得できなかった。」「作者の真骨頂はこういうふつうの小説ではないとの思いを禁じ得なかった。」 伊集院静 55歳 全 △ 8 「読者にも作家自身にも大きな収穫を得た作品である。」「一作ごとに実りを得ていることが彼女の光ある将来を感じさせる。」 大沢在昌 48歳 全 ○ 9 「同級生の男女が果たして会話を交わせるかどうか、それだけを核に物語をひっぱる力は、なみたいていではない。」 高橋克彦 57歳 全 ○ 16 「たった一日の出来ごとを、長期連載という形で丁寧に積み重ねていく恩田さんの企みの見事さに何度溜め息を吐いたことだろう。どこにも隙がなく、それでいて叙情の紗幕を絶やさないのにはほとほと感心させられた。」「恩田さんの新たな魅力で、私は好きだ。」 宮部みゆき 44歳 全 □ 11 「（引用者注：「幸福な食卓」とは）青春の「未来と希望」を仰ぐか、「傷みと再生」を見つけるかというテーマには大きな差異があり、そこから生まれるそれぞれの魅力は、どちらか一作に軍配を上げることができないほど拮抗しておりました。」「（引用者注：受賞二作は）合わせ読むとなおいっそう、「小説」というものの豊饒さを体感させてくれる二作で、その意味でも並び立つ受賞にふさわしいと感じています。」

他の候補作 瀬尾まいこ 『幸福な食卓』 石黒耀 『震災列島』 井上荒野 『だりや荘』 雫井脩介 『犯人に告ぐ』 永井するみ 『ソナタの夜』

瀬尾まいこ31歳×各選考委員　 『幸福な食卓』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 浅田次郎 53歳 全 □ 6 「小説的に難易度の低い作品ながらその出来栄えは「完璧」と言ってもよい。日常の素材に甘んずることなく、力を信じて冒険をしていただきたいと思う。」 伊集院静 55歳 全 ◎ 13 「推した。一行目からたしかな手ごたえを感じた。」「感嘆符がついたり、声高なものはいっさいないのだが、読み終えた後に私の身体に瀬尾さんの骨の重みのようなものが確実に残った。この重みは何だろうか。私は作家の芯、覚悟ではないかと思った。」 大沢在昌 48歳 全 ○ 7 「どこか危うげな人間ばかりが登場するのに、なぜか読んだ者の胸をあたたかくする。これは才能という他はないだろう。」 高橋克彦 57歳 全 ○ 16 「本当に思いがけない結末には仰天した。」「だが、なにを捨てて、なにを貫かなければならないか瀬尾さんは分かっている。強靭な物書きとしての志を感じた。大成する人に違いない。」 宮部みゆき 44歳 全 □ 11 「（引用者注：「夜のピクニック」とは）青春の「未来と希望」を仰ぐか、「傷みと再生」を見つけるかというテーマには大きな差異があり、そこから生まれるそれぞれの魅力は、どちらか一作に軍配を上げることができないほど拮抗しておりました。」「（引用者注：受賞二作は）合わせ読むとなおいっそう、「小説」というものの豊饒さを体感させてくれる二作で、その意味でも並び立つ受賞にふさわしいと感じています。」

他の候補作 恩田陸 『夜のピクニック』 石黒耀 『震災列島』 井上荒野 『だりや荘』 雫井脩介 『犯人に告ぐ』 永井するみ 『ソナタの夜』

石黒耀(51歳)×各選考委員　 『震災列島』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 浅田次郎 53歳 全 ■ 4 「社会を巨視せずに一部分のドラマを精密に描けば、傑作たりえたであろうと惜しまれてならない。」 伊集院静 55歳 全 ― 0   大沢在昌 48歳 全 ● 4 「科学的データの処理とドタバタの融合は難しい。試みは壮大だが、作者の腕力が追いつかず、最後まで水と油のままだった。」 高橋克彦 57歳 全 ― 0   宮部みゆき 44歳 全 ― 0	他の候補作 恩田陸 『夜のピクニック』 瀬尾まいこ 『幸福な食卓』 井上荒野 『だりや荘』 雫井脩介 『犯人に告ぐ』 永井するみ 『ソナタの夜』

井上荒野44歳×各選考委員　 『だりや荘』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 浅田次郎 53歳 全 ■ 3 「余人を以てかえがたいテクニックを随所に感じたが、全体に平坦で躍動感に欠ける憾みがあった。」 伊集院静 55歳 全 △ 3 「きらりと光る才能（引用者中略）が印象的だった。」 大沢在昌 48歳 全 ■ 6 「軽いのにトゲがある。これも作者の資質だ。ただ、初めて男女がことに及ぶとき、女性の意志はそこにあっても男性の意志はないような、妙な居心地の悪さを感じた。」 高橋克彦 57歳 全 ― 0   宮部みゆき 44歳 全 ― 0	他の候補作 恩田陸 『夜のピクニック』 瀬尾まいこ 『幸福な食卓』 石黒耀 『震災列島』 雫井脩介 『犯人に告ぐ』 永井するみ 『ソナタの夜』

雫井脩介36歳×各選考委員　 『犯人に告ぐ』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 浅田次郎 53歳 全 ■ 5 「堅実さも小説家の美徳であると言いたい。前半の鋭利さとダイナミズムが後半で失速した感があり、強く推すことはできなかった。」 伊集院静 55歳 全 ― 0   大沢在昌 48歳 全 □ 4 「惜しいところだった。受賞二作の評価がとび抜けたため、得票的には次点であった。しかしすぐれた警察小説である。」 高橋克彦 57歳 全 ― 0   宮部みゆき 44歳 全 ◎ 15 「残念ながら次点に終わった『犯人に告ぐ』には、さまざまな点で作者の勇気を感じました。」「賞讃すべき点は多々ありました。本来、もっと受賞作に肉薄して健闘することができたはずなのに、そこに届かなかったのは、強く推しつつも、劇場型捜査という画期的なギミックを活かし切れなかったのではないかという指摘に、弱気になってしまった私の責任です。」	他の候補作 恩田陸 『夜のピクニック』 瀬尾まいこ 『幸福な食卓』 石黒耀 『震災列島』 井上荒野 『だりや荘』 永井するみ 『ソナタの夜』

永井するみ(44歳)×各選考委員　 『ソナタの夜』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 浅田次郎 53歳 全 ◎ 9 「劈頭に推した」「同工異曲の譏りは免れぬとしても、一貫したテーマに沿って真摯かつ執拗に書き綴った成果であると思った。」「作者は伝統的私小説の光明たるかもしれぬと信じて強く推したが、他の賛同を得られずに残念であった。」 伊集院静 55歳 全 △ 3 「淡い独特の世界が印象的だった。」 大沢在昌 48歳 全 ● 4 「どの作品ものぞき穴を通して語られているようなもどかしさを感じた。作者の視点がヒロインの外にまで広がっていないからではないか。」 高橋克彦 57歳 全 ― 0   宮部みゆき 44歳 全 ― 0	他の候補作 恩田陸 『夜のピクニック』 瀬尾まいこ 『幸福な食卓』 石黒耀 『震災列島』 井上荒野 『だりや荘』 雫井脩介 『犯人に告ぐ』