第3回

第2回第4回

昭和56年/1981年度 昭和57年/1982年3月16日決定発表

選考委員　 井上ひさし 47歳 尾崎秀樹 53歳 佐野洋 53歳 野坂昭如 51歳 半村良 48歳 選評総行数　 43 26 30 31 30 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 澤田ふじ子　『陸奥甲冑記』等 35歳 評 ◎ 43 ◎ 26 ◎ 22 ◎ 31 ◎ 30 連城三紀彦　『変調二人羽織』 34歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0           年齢の説明   見方・注意点

井上ひさし47歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選評　総行数43　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 澤田ふじ子 35歳 全 ◎ 43 「短篇集『寂野』に収められた六篇は、どれもこれもこの二個の荷物（引用者注：「人間を描くこと」と「物語を興味津々のうちに展開すること」）を上手に運んでいます。」「どれもみな粒揃いで、安定していると思いました。」「この『寂野』に比べると、書き下し長篇『陸奥甲冑記』は、残念ながら点数が大分落ちます。（引用者中略）肝腎の主役阿弖流為と坂上田村麻呂が曖昧だと思いました。善玉を作者がうっとりして書いているのもちょっといや味です。」 連城三紀彦 34歳 全 ― 0	他の選考委員 尾崎秀樹 佐野洋 野坂昭如 半村良

尾崎秀樹53歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題構想力ときめのこまかさ　総行数26　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 澤田ふじ子 35歳 全 ◎ 26 「今回は澤田ふじ子一本で推せると思っていた」「「寂野」は（引用者中略）他の収録作とともに女性の屈折した心理をきめこまかく描いており、情感にあふれている。」「書き下し長篇の「陸奥甲冑記」は、東国蝦夷の滅亡といった主題に真正面から取り組んだ野心作で、（引用者中略）骨格のたしかな歴史ロマンを構成している。」 連城三紀彦 34歳 全 ― 0	他の選考委員 井上ひさし 佐野洋 野坂昭如 半村良

佐野洋53歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選評　総行数30　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 澤田ふじ子 35歳 全 ◎ 22 「今回の選考は、実質的には、約十分で終ったと言える。残りの時間は、澤田ふじ子氏の作品（引用者中略）が、いかに優れているかを、各委員が賞め合った形だった。」「蝦夷をアメリカ・インディアン、桓武朝廷を連邦政府に擬してみると、この小説（引用者注：「陸奥甲冑記」）は、極めてスケールの大きな西部小説に変身する。」「（引用者注：「寂野」では）最初いささか固かった筆が、次第にのびやかになり、それと同時に、人間観察の目が深まって来ている。」 連城三紀彦 34歳 全 ― 0     「候補作の中には、推理小説も何篇かあり、推したい気持も強かったが、文章、描かれている人間像など、あらゆる点で澤田氏の作品には、敵し得なかった。」	他の選考委員 井上ひさし 尾崎秀樹 野坂昭如 半村良

野坂昭如51歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選評　総行数31　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 澤田ふじ子 35歳 全 ◎ 31 「吉川英治新人賞が設けられて三年、ようやく、その名にふさわしい作品があらわれた、即ち「陸奥甲冑記」であって、（引用者中略）まこと巻措く能わざるおもしろさまた寸毫のゆるみもない結構を維持」「男っぽい骨組の内に、女性としての眼くばりの行き届いていることを、美点に数え上げても、まさか性差別としかられることもないだろう。もっとも、特有のやさしさ故に、類型的性格が、傍役にちらほらするのだけれど。」 連城三紀彦 34歳 全 ― 0	他の選考委員 井上ひさし 尾崎秀樹 佐野洋 半村良

半村良48歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選評　総行数30　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 澤田ふじ子 35歳 全 ◎ 30 「「寂野」は「寂野」で立派な受賞作となり得る短編集だった。「わざあり……」というようなものではなく、しんのある強力な作品である。」「「陸奥甲冑記」と来たら強力という表現ではまだ足りない。銓衡の場へあがって来たなみいる強豪連が鎧袖一触けしとんだ。」 連城三紀彦 34歳 全 ― 0	他の選考委員 井上ひさし 尾崎秀樹 佐野洋 野坂昭如

澤田ふじ子35歳×各選考委員　 『陸奥甲冑記』等

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 47歳 全 ◎ 43 「短篇集『寂野』に収められた六篇は、どれもこれもこの二個の荷物（引用者注：「人間を描くこと」と「物語を興味津々のうちに展開すること」）を上手に運んでいます。」「どれもみな粒揃いで、安定していると思いました。」「この『寂野』に比べると、書き下し長篇『陸奥甲冑記』は、残念ながら点数が大分落ちます。（引用者中略）肝腎の主役阿弖流為と坂上田村麻呂が曖昧だと思いました。善玉を作者がうっとりして書いているのもちょっといや味です。」 尾崎秀樹 53歳 全 ◎ 26 「今回は澤田ふじ子一本で推せると思っていた」「「寂野」は（引用者中略）他の収録作とともに女性の屈折した心理をきめこまかく描いており、情感にあふれている。」「書き下し長篇の「陸奥甲冑記」は、東国蝦夷の滅亡といった主題に真正面から取り組んだ野心作で、（引用者中略）骨格のたしかな歴史ロマンを構成している。」 佐野洋 53歳 全 ◎ 22 「今回の選考は、実質的には、約十分で終ったと言える。残りの時間は、澤田ふじ子氏の作品（引用者中略）が、いかに優れているかを、各委員が賞め合った形だった。」「蝦夷をアメリカ・インディアン、桓武朝廷を連邦政府に擬してみると、この小説（引用者注：「陸奥甲冑記」）は、極めてスケールの大きな西部小説に変身する。」「（引用者注：「寂野」では）最初いささか固かった筆が、次第にのびやかになり、それと同時に、人間観察の目が深まって来ている。」 野坂昭如 51歳 全 ◎ 31 「吉川英治新人賞が設けられて三年、ようやく、その名にふさわしい作品があらわれた、即ち「陸奥甲冑記」であって、（引用者中略）まこと巻措く能わざるおもしろさまた寸毫のゆるみもない結構を維持」「男っぽい骨組の内に、女性としての眼くばりの行き届いていることを、美点に数え上げても、まさか性差別としかられることもないだろう。もっとも、特有のやさしさ故に、類型的性格が、傍役にちらほらするのだけれど。」 半村良 48歳 全 ◎ 30 「「寂野」は「寂野」で立派な受賞作となり得る短編集だった。「わざあり……」というようなものではなく、しんのある強力な作品である。」「「陸奥甲冑記」と来たら強力という表現ではまだ足りない。銓衡の場へあがって来たなみいる強豪連が鎧袖一触けしとんだ。」

他の候補作 連城三紀彦 『変調二人羽織』

連城三紀彦34歳×各選考委員　 『変調二人羽織』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 47歳 全 ― 0   尾崎秀樹 53歳 全 ― 0   佐野洋 53歳 全 ― 0   野坂昭如 51歳 全 ― 0   半村良 48歳 全 ― 0	他の候補作 澤田ふじ子 『陸奥甲冑記』等