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[R6]2024/12/24
宇佐美まこと
Usami Makoto
生没年月日
昭和32年/1957年~
経歴
愛媛県松山市出身。松山商科大学人文学部卒。
平成18年/2006年「るんびにの子供」で『幽』怪談文学賞[短篇部門]大賞を受賞、翌年同名の作品集が刊行され、作家デビューする。
受賞歴・候補歴
第1回
『幽』怪談文学賞
[短篇部門・大賞](平成18年/2006年)「るんびにの子供」
第70回
日本推理作家協会賞
[長編および連作短編集部門](平成29年/2017年)『愚者の毒』
|候補|
第33回
山本周五郎賞
(令和1年/2019年度)『展望塔のラプンツェル』
|候補|
第27回
大藪春彦賞
(令和6年/2024年度)『誰かがジョーカーをひく』
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文学賞の世界
▼
全
14
件
『
展望塔
(
てんぼうとう
)
のラプンツェル』
(令和1年/2019年9月・光文社刊)
書誌
令和4年/2022年11月・光文社/光文社文庫『展望塔のラプンツェル』
山本周五郎賞
第
33
回候補
選評の概要
この回の全概要
見方・注意点
候補者
宇佐美まこと
63歳
選考委員
評価
行数
評言
伊坂幸太郎
49歳
■
22
「三つの物語が並行して語られており、(引用者中略)やりきれない出来事が多く描かれている中、この構造を利用して、希望を感じさせる結末を用意している部分など、とても工夫を凝らしていると感じました。」「虐待や暴力といった理不尽な環境の中を生き抜いていく子供たちのパートにはどこか既視感を覚えてしまい、終盤での救済に辿り着くために逆算的に用意されたものといった印象を(作者にはその気はないかもしれませんが)拭うことができず、積極的に推すことはできませんでした。」
江國香織
56歳
■
35
「多摩川市という一つの土地を中心に据え、そこに重なる幾つもの時間を描く、という手法がまずおもしろかったです。」「私は個人的に、海と那希沙と晴のパートが好きでした。この三人は小説内である種の自由を獲得していたと思う。他の登場人物(引用者中略)にも、おなじくらいの自由と、とりかえのきかなさが与えられていたら、と惜しまれます。」
荻原浩
64歳
◎
51
「冒頭に登場するのは、主人公にしては地味な街の公務員なのだが、読み進めるうちに、これはハードボイルド小説じゃないかと思った。セリフや描写の切れ味がすこぶるいい。」「この作品が本命、と思い定めて選考会に臨んだ。推そうと考えたいちばんの理由は、文章力だ。」「多くを語らなくても映像が見えてくる魅力的な文章は、この先も宇佐美さんの大きな武器になると僕は思う。」
今野敏
64歳
●
41
「この物語は、多視点で、なおかつ二十年ほどの時の隔たりがあるエピソードで組み立てられていて、個人的にはたいへん読みにくかった。」「「作り過ぎ」の小説は受け容れがたい。」「プロットのやり取りで仕事をする編集者は、こういう作品を書かせがちなので、要注意だ。個人的なことだが、私自身はそういう編集者とは仕事はしない。」
三浦しをん
43歳
■
70
「気になったのは、「母性が備わった生き物にはかなわないよ」とか「家庭の中での母親の務めは何だと思う? それはね、明るい笑顔と美味しいご飯よ」といったセリフが散見されることだ。「女性には母性が備わっていて当然」という幻想がまかり通っているから、この社会で母親はよりいっそう追いつめられてしまうのではないか、なぜ母親にだけ笑顔やおいしいご飯を要求するのか(引用者中略)と、激しく疑問だった。」「構成のからくりに作品が引きずられ、松本の心情や過去の経験に即した反応・言動を描けていないきらいがある。その結果、妙に旧弊で女性に厳しい(過剰な幻想・期待を肯定するかのような)テイストが、作品全体に漂ってしまったのではないだろうか。」
選評出典:『小説新潮』令和2年/2020年11月号
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