逢坂冬馬（あいさかとうま）-直木賞候補作家｜直木賞のすべて

直木賞のすべて

第166回

＝受賞者＝
今村翔吾
米澤穂信

＝候補者＝
逢坂冬馬
彩瀬まる
柚月裕子

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Last Update●[R6]2024/10/04

	Aisaka Toma
	生没年月日【注】	昭和60年/1985年☆月☆日～
	経歴	埼玉県所沢市生まれ、横浜市育ち。明治学院大学国際学部国際学科卒。令和3年/2021年に「同志少女よ、敵を撃て」でアガサ・クリスティー賞を受賞して作家デビュー。
	受賞歴・候補歴	第11回アガサ・クリスティー賞（令和3年/2021年）「同志少女よ、敵を撃て」 \|候補\| 第166回直木賞（令和3年/2021年下期）『同志少女よ、敵を撃て』第19回2022年本屋大賞（令和4年/2022年）『同志少女よ、敵を撃て』第8回沖縄書店大賞［小説部門］（令和4年/2022年）『同志少女よ、敵を撃て』第9回高校生直木賞（令和3年/2021年度）『同志少女よ、敵を撃て』 \|候補\| 第21回センス・オブ・ジェンダー賞（令和3年/2021年度）『同志少女よ、敵を撃て』 \|候補\| 第15回山田風太郎賞（令和6年/2024年）『歌われなかった海賊へ』
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第166回候補

『同志少女(どうししょうじょ)よ、敵(てき)を撃(う)て』（令和3年/2021年11月・早川書房刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	奥付ルビ有り「どうししょうじょ」「てき」「う」
印刷/発行年月日	発行令和3年/2021年11月25日
測定媒体発行年月日	発行令和3年/2021年12月10日（3版）
発行者等	発行者早川浩　印刷・製本三松堂株式会社
発行所	株式会社早川書房（東京都）			形態	四六判　並製
装幀/装画等	装画雪下まゆ　装幀早川書房デザイン室
総ページ数	492	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	45字 ×19行 ×1段
本文ページ	5～479 （計475頁）	測定枚数	852枚

書誌

書下ろし（第11回アガサ・クリスティー賞応募作/単行本化に当たり加筆修正）

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　逢坂冬馬　36歳
選考委員		評価	行数	評言
浅田次郎	70歳	△	28	「文章表現には不利な戦闘シーンの描写がうまい。これは想像力と語彙の豊かさによってもたらされているのだが、だとすると作者は天賦の才を与えられている。」「ただし、戦争小説には不可欠なはずの、生と死のテーマが不在であると思えた。主人公が敵を憎みこそすれ戦争に懐疑しないというのは、たとえ現実がそうであろうと文学的ではない。」
桐野夏生	70歳	■	16	「本作が処女作だというのに、見事な筆力である。」「資料もよく読み込み、史実に対して抜かりない取材をしてきたことが窺える。だが、そのことが逆に、小説世界を縛っているようにも思える。」
宮部みゆき	61歳	△	44	「セラフィマの戦いを、私はもう徹夜が辛いので、寝落ちする寸前まで読み、起きたらそのまますぐ本を開いて続きを読むというスタイルで読破しました。」「親切設計な構成と人物配置には脱帽です。」「『童の神』で初候補になり、「作品は素晴らしいが、新人賞受賞作で初ノミネート、いきなり受賞はためらわれる」と見送りになった今村（引用者注：翔吾）さんと同じパターンです。逢坂さんにも、次はどんな作品を読ませてもらえるのか、わくわくします。」
林真理子	67歳	■	25	「なぜ受賞作と思えなかったかというと、こうした小説を読む時にいつもわき起こる一種の異和感、「どうして日本人の作家が、海外の話を書かなくてはいけないのか」というものを、最後まで拭い去ることが出来なかったからだ。ヒットした「戦争は女の顔をしていない」のイメージも見え隠れする。結論は、膨大な資料を物語にまでふくらませるためには何かが足りなかったということだ。」
角田光代	54歳	■	19	「遠い時代の遠い国の理解できない戦争の話を読まされているという感覚はなく、私自身にも近いこととして迫ってくる。けれどもその「理解できない」部分がほとんどないことが私には不満だった。理解できるために、女性たちが参加させられた戦争という異常事態の異常さ異様さが感じられず、そこが惜しいように思った。」
三浦しをん	45歳	◎	56	「推した。」「戦争は女の顔はもちろんのこと、男を含めたあらゆる性別の顔もしておらず、つまり人間の顔をしていないのだという事実を物語ろうとする、その志の高さに感服したからだ。」「本作がなぜ独ソ戦を主題にしているのかといえば、女性がソ連軍兵士として実戦に参加した現実があるからで、彼女たちの姿を描くことを通し、現代の日本および世界に存在する社会の問題点をも「撃て」ると作者は確信したからだろう。」
北方謙三	74歳	■	29	「私にとって印象的だったのは、狙撃兵の眼が、戦争を個人的な行為にしていることであった。（引用者中略）消した命を、ひとつずつ数えていく。その数字に、兵としての存在の意味がある。つまり戦争を個人的な行為にしている、と私は感じた。そのあたりは引きつけられて読んだが、タイトルの『敵』が、終盤では観念性を持ちはじめて、私を失望させた。」
伊集院静	71歳	●	5	「私にはなぜ日本人があの悲惨な戦争を描き切れるのか、と疑問を抱くほかなかった。」
高村薫	68歳	●	20	「版元による圧倒的な宣伝と話題づくりが先行した、昨今の本の売り方のお手本のような作品である。」「が、残念ながら本作は人間が人間の顔をしていない。本賞はあくまで小説の賞であり、小説はどんな舞台であれ、人間の姿を描くものである。本作に登場する少女たちはみな、戦争というゲームのキャラクターのようだった。」
選評出典：『オール讀物』令和4年/2022年3・4月合併号

文量
長篇
章立て
「プロローグ」「第一章　イワノフスカヤ村」「第二章　魔女の巣」「第三章　ウラヌス作戦」「第四章　ヴォルガの向こうに我らの土地なし」「第五章　決戦に向かう日々」「第六章　要塞都市ケーニヒスベルク」「エピローグ」
時代設定	場所設定
1940年～1978年	ソヴィエト連邦～ポーランド～東プロイセン
登場人物
●セラフィマ・マルコヴナ・アルスカヤ（中央女性狙撃兵訓練学校の生徒） ●イリーナ・エメリヤノヴナ・ストローガヤ（同校の教官長） ●シャルロッタ・アレクサンドロヴナ・ポポワ（同校生徒、モスクワ射撃大会優秀者） ●アヤ・アンサーロヴナ・マカタエワ（同校生徒、カザフ人猟師） ●ヤーナ・イサーエヴナ・ハルロワ（同校生徒、モスクワ空襲で家族を亡くした母親、愛称〈ママ〉） ●オリガ・ヤーコヴレヴナ・ドロシェンコ（同校生徒、ウクライナ出身のコサック） ●ターニャ（看護師） ●ミハイル（セラフィマの幼なじみ） ●リュドミラ・パヴリチェンコ（有名な狙撃兵）

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