第134回

第133回第135回

平成17年/2005年下半期 平成18年/2006年1月17日決定発表／『文藝春秋』平成18年/2006年3月号選評掲載

選考委員　 河野多恵子 79歳 石原慎太郎 73歳 山田詠美 46歳 村上龍 53歳 宮本輝 58歳 黒井千次 73歳 高樹のぶ子 59歳 池澤夏樹 60歳 選評総行数　 45 62 44 52 69 46 42 44 評 評 評 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 絲山秋子　「沖で待つ」 70枚 39歳 評 ◎ 45 ― 0 ○ 7 ― 0 □ 20 ◎ 25 △ 17 ○ 25 伊藤たかみ　「ボギー、愛しているか」 118枚 34歳 評 ― 0 ― 0 ● 4 ― 0 ― 0 ■ 8 ◎ 20 ― 0 佐川光晴　「銀色の翼」 153枚 40歳 評 ― 0 ― 0 ○ 7 ◎ 52 ― 0 △ 6 ― 0 △ 13 清水博子　「vanity」 176枚 37歳 評 ― 0 ― 0 ■ 3 ― 0 ― 0 ■ 3 ― 0 ― 0 西村賢太　「どうで死ぬ身の一踊り」 173枚 38歳 評 ― 0 ― 0 △ 18 ― 0 △ 23 ■ 3 ■ 5 ― 0 松尾スズキ　「クワイエットルームにようこそ」 164枚 43歳 評 ― 0 ― 0 ■ 5 ― 0 ◎ 26 ■ 7 ― 0 ― 0                 年齢/枚数の説明   見方・注意点

河野多恵子79歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題『沖で待つ』の新しさ　総行数45　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 ◎ 45 「この作品には、全く無駄がない」「一人称、しかも話言葉という、無駄の生じる危険の多い形式を用いておりながら、その無駄のなさは小気味がよいほどで、正味のおいしさに富んでいる。」「職業の織り込まれ方の見事さには感心した。」「現代の本式の職業をこれほどまでに自由に書きこなした『沖で待つ』の新しさには瞠目する。」 伊藤たかみ 34歳 全 ― 0   佐川光晴 40歳 全 ― 0   清水博子 37歳 全 ― 0   西村賢太 38歳 全 ― 0   松尾スズキ 43歳 全 ― 0	他の選考委員 石原慎太郎 山田詠美 村上龍 宮本輝 黒井千次 高樹のぶ子 池澤夏樹

石原慎太郎73歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題本質的主題の喪失　総行数62　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 ― 0   伊藤たかみ 34歳 全 ― 0   佐川光晴 40歳 全 ― 0   清水博子 37歳 全 ― 0   西村賢太 38歳 全 ― 0   松尾スズキ 43歳 全 ― 0     「私が新人の作品に期待するいわれは、私にとって未知の新しい戦慄に見舞われることへの期待以外の何ものでもない。」「しかし最近その期待がかなえられることが稀有となってきた。」「多くの候補作の印象は小器用だがマイナーという気がしてならない。これらの作品を読んで何か未曾有の新しいものの到来を予感させられるということは一向にないし、時代がいかに変わろうと人間にとって不変で根源的なものの存在を、新しい手法の内であらためて歴然と知らされるという感動もない。」	他の選考委員 河野多恵子 山田詠美 村上龍 宮本輝 黒井千次 高樹のぶ子 池澤夏樹

山田詠美46歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題選評　総行数44　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 ○ 7 「友人でもなく、恋人でもなく、同僚。その関係に横たわる茫漠とした空気を正確に描くことに成功している。」 伊藤たかみ 34歳 全 ● 4 「二人の男たちの内に死んでなお生きている筈のボギーが、本当に死んでしまったようだ。」 佐川光晴 40歳 全 ○ 7 「誰にも似ていないひとつの夫婦のありようが、丁寧に丹念に書かれている。」「オルモスト　ゼアという印象。」 清水博子 37歳 全 ■ 3 「どうせなら、もっとあざといまでに虚飾（ルビ：ヴァニティ）を極めて欲しかった。」 西村賢太 38歳 全 △ 18 「爆笑。死語のこれでもかという連発、あまりにも古い文学臭。それもここまで極めればかえって新しい。」「意識せずに天然の心持ちで、自らを笑い者に出来る人は、天才、もしくは、ばかたれと呼ばれるが、この作者は天才ではない。かと言って、ただのばかたれでもない。愛すべき文学ばかたれである。」 松尾スズキ 43歳 全 ■ 5 「ウィノナ・ライダー主演の映画「17歳のカルテ」の日本版ノヴェライズとしては上出来だが。」

他の選考委員 河野多恵子 石原慎太郎 村上龍 宮本輝 黒井千次 高樹のぶ子 池澤夏樹

村上龍53歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題選評　総行数52　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 ― 0   伊藤たかみ 34歳 全 ― 0   佐川光晴 40歳 全 ◎ 52 「わたしは（引用者中略）推した。理由は、主人公の心理と状況が冒頭から過不足なく描写されていて、物語の輪郭をつかむことができたからだ。」「美恵子に関するエピソードが甘いとかわかりにくいという批判もあるだろう。だがわたしは美恵子の過去を示さないという方法は正しいと思った。」「美恵子の過去は作品全体から想像することができるはずだという確信犯的な方法論なのだ。」 清水博子 37歳 全 ― 0   西村賢太 38歳 全 ― 0   松尾スズキ 43歳 全 ― 0	他の選考委員 河野多恵子 石原慎太郎 山田詠美 宮本輝 黒井千次 高樹のぶ子 池澤夏樹

宮本輝58歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題安定感　総行数69　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 □ 20 「私は二回読んだ。一回目は、いつもの絲山氏の世界だという感想しか持てなかったが、二回目に読み終えたとき、かなり印象が変わった。」「何年も実社会でもまれた人しか持ち得ない目が随所に光っている。」「あまりに小品ではあるが、氏の作家としての安定感は納得せざるを得ない。強く推す委員も多くて、私も受賞に賛成票を投じた。」 伊藤たかみ 34歳 全 ― 0   佐川光晴 40歳 全 ― 0   清水博子 37歳 全 ― 0   西村賢太 38歳 全 △ 23 「捨て難い作品だと思う。」「主人公が耽溺する作家がいかなる作家であったのか、なぜ主人公がその作家にここまで惹かれつづけるのかについては、ほとんど、というより、まったく触れられていない。私もだが、そこのところを大きな欠落だと指摘する委員は多かった。」「それにしても粘着力のある書き手であって、主人公の、女への滑稽なほどの執着を描く筆さばきは秀逸である。」 松尾スズキ 43歳 全 ◎ 26 「入院患者のひとりひとりが巧みに描かれ、しかも根底に書き手の愛情のようなものが確かに存在していると感じて受賞作に推した。他の委員の賛同は少なく、受賞には到らなかったが、松尾氏の次作を読みたいと思う。」

他の選考委員 河野多恵子 石原慎太郎 山田詠美 村上龍 黒井千次 高樹のぶ子 池澤夏樹

黒井千次73歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題女と男の新しい光景　総行数46　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 ◎ 25 「短さの中に必要かつ充分な内容を盛り込んだ秀作である。」「二人が女と男であるために、一見遠ざけられたかに思える性の谺が微かに響き返して来るところにも味わいがある。なによりも仕事の現場感覚が人物を支えているところに作の強みが宿っている。」 伊藤たかみ 34歳 全 ■ 8 「三十代の男の哀しさを作者特有のくすんだ筆致で描いた面白さはあるけれど、少年時代に寄せる思いと現在の居場所のない感覚とがうまく噛み合っていないのではあるまいか。」 佐川光晴 40歳 全 △ 6 「病者同士が結婚した後の進行に無理があり、後半失速した感のあるのが憾まれる。」 清水博子 37歳 全 ■ 3 「（引用者注：「どうで死ぬ身の一踊り」と共に）特色はあっても冗長の感を拭えない。」 西村賢太 38歳 全 ■ 3 「（引用者注：「vanity」と共に）特色はあっても冗長の感を拭えない。」 松尾スズキ 43歳 全 ■ 7 「人物の描きわけと場面の作りに鮮やかさを認めつつも、あまりに騒然として焦点が定めにくかった。」

他の選考委員 河野多恵子 石原慎太郎 山田詠美 村上龍 宮本輝 高樹のぶ子 池澤夏樹

高樹のぶ子59歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題「あざとさも力」　総行数42　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 △ 17 「（引用者注：“私”と“太っちゃん”の）二人の信頼関係はきちんと書かれているし心地良く読めるのだが、このような（引用者注：どちらかが先に死んだら相手のパソコンのハードディスクの記録を消す約束をしている）仕組みが置かれる以上、ハードディスクの中に何が入っているかが気になる。」「何かもうひとつ、短篇としてのコワさが欲しかった。」 伊藤たかみ 34歳 全 ◎ 20 「積極的に推した」「自分たちの気取りや流出しかける情緒を、片っぱしから自嘲自爆でひっくり返していく運び方に、才能を感じる。」「風俗嬢とのプレイのあと、“からりと疲れた”の一文。あざといと思いつつも、あざとさも力ではないかと思った。」 佐川光晴 40歳 全 ― 0   清水博子 37歳 全 ― 0   西村賢太 38歳 全 ■ 5 「主人公のやりきれない矮小さがリアル。ただなぜ藤澤清造という作家に執着するかが、描かれていない。」 松尾スズキ 43歳 全 ― 0

他の選考委員 河野多恵子 石原慎太郎 山田詠美 村上龍 宮本輝 黒井千次 池澤夏樹

池澤夏樹60歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題恋愛でない男女の仲　総行数44　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 絲山秋子 39歳 全 ○ 25 「この作の要点は恋愛ではない女と男の仲である。」「今回の作でこの二人の仲を描くのに力あったのは彼らの職場の生き生きとした記述だ。」「ふだんの友情はぬるいものだから、そのままではドラマ性が薄い。事故を契機に星形ドライバーが用いられることによって、短篇としての結構ができあがる。見事な話だと思う。」 伊藤たかみ 34歳 全 ― 0   佐川光晴 40歳 全 △ 13 「丁寧な力作なのだが、今ひとつ迫るものがない。その理由が遠近法の欠如なのではないかと考えた。話者は今の時点から過去を振り返って語っているわけで、そうなると京都における発病など今から遠いところは簡素になっていいのだが、語りのトーンは終始一貫している。」 清水博子 37歳 全 ― 0   西村賢太 38歳 全 ― 0   松尾スズキ 43歳 全 ― 0     「このところ芥川賞は周囲がいやに騒々しい。候補作の作者への事前取材など当人たちにとっては辛いばかりだろうし、ある種の抑制が必要ではないか、と苦言を呈しておく。」

他の選考委員 河野多恵子 石原慎太郎 山田詠美 村上龍 宮本輝 黒井千次 高樹のぶ子

絲山秋子39歳×各選考委員　 「沖で待つ」 短篇 70枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 河野多恵子 79歳 全 ◎ 45 「この作品には、全く無駄がない」「一人称、しかも話言葉という、無駄の生じる危険の多い形式を用いておりながら、その無駄のなさは小気味がよいほどで、正味のおいしさに富んでいる。」「職業の織り込まれ方の見事さには感心した。」「現代の本式の職業をこれほどまでに自由に書きこなした『沖で待つ』の新しさには瞠目する。」 石原慎太郎 73歳 全 ― 0   山田詠美 46歳 全 ○ 7 「友人でもなく、恋人でもなく、同僚。その関係に横たわる茫漠とした空気を正確に描くことに成功している。」 村上龍 53歳 全 ― 0   宮本輝 58歳 全 □ 20 「私は二回読んだ。一回目は、いつもの絲山氏の世界だという感想しか持てなかったが、二回目に読み終えたとき、かなり印象が変わった。」「何年も実社会でもまれた人しか持ち得ない目が随所に光っている。」「あまりに小品ではあるが、氏の作家としての安定感は納得せざるを得ない。強く推す委員も多くて、私も受賞に賛成票を投じた。」 黒井千次 73歳 全 ◎ 25 「短さの中に必要かつ充分な内容を盛り込んだ秀作である。」「二人が女と男であるために、一見遠ざけられたかに思える性の谺が微かに響き返して来るところにも味わいがある。なによりも仕事の現場感覚が人物を支えているところに作の強みが宿っている。」 高樹のぶ子 59歳 全 △ 17 「（引用者注：“私”と“太っちゃん”の）二人の信頼関係はきちんと書かれているし心地良く読めるのだが、このような（引用者注：どちらかが先に死んだら相手のパソコンのハードディスクの記録を消す約束をしている）仕組みが置かれる以上、ハードディスクの中に何が入っているかが気になる。」「何かもうひとつ、短篇としてのコワさが欲しかった。」 池澤夏樹 60歳 全 ○ 25 「この作の要点は恋愛ではない女と男の仲である。」「今回の作でこの二人の仲を描くのに力あったのは彼らの職場の生き生きとした記述だ。」「ふだんの友情はぬるいものだから、そのままではドラマ性が薄い。事故を契機に星形ドライバーが用いられることによって、短篇としての結構ができあがる。見事な話だと思う。」

他の候補作 伊藤たかみ 「ボギー、愛しているか」 佐川光晴 「銀色の翼」 清水博子 「vanity」 西村賢太 「どうで死ぬ身の一踊り」 松尾スズキ 「クワイエットルームにようこそ」

伊藤たかみ34歳×各選考委員　 「ボギー、愛しているか」 短篇 118枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 河野多恵子 79歳 全 ― 0   石原慎太郎 73歳 全 ― 0   山田詠美 46歳 全 ● 4 「二人の男たちの内に死んでなお生きている筈のボギーが、本当に死んでしまったようだ。」 村上龍 53歳 全 ― 0   宮本輝 58歳 全 ― 0   黒井千次 73歳 全 ■ 8 「三十代の男の哀しさを作者特有のくすんだ筆致で描いた面白さはあるけれど、少年時代に寄せる思いと現在の居場所のない感覚とがうまく噛み合っていないのではあるまいか。」 高樹のぶ子 59歳 全 ◎ 20 「積極的に推した」「自分たちの気取りや流出しかける情緒を、片っぱしから自嘲自爆でひっくり返していく運び方に、才能を感じる。」「風俗嬢とのプレイのあと、“からりと疲れた”の一文。あざといと思いつつも、あざとさも力ではないかと思った。」 池澤夏樹 60歳 全 ― 0	他の候補作 絲山秋子 「沖で待つ」 佐川光晴 「銀色の翼」 清水博子 「vanity」 西村賢太 「どうで死ぬ身の一踊り」 松尾スズキ 「クワイエットルームにようこそ」

佐川光晴40歳×各選考委員　 「銀色の翼」 中篇 153枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 河野多恵子 79歳 全 ― 0   石原慎太郎 73歳 全 ― 0   山田詠美 46歳 全 ○ 7 「誰にも似ていないひとつの夫婦のありようが、丁寧に丹念に書かれている。」「オルモスト　ゼアという印象。」 村上龍 53歳 全 ◎ 52 「わたしは（引用者中略）推した。理由は、主人公の心理と状況が冒頭から過不足なく描写されていて、物語の輪郭をつかむことができたからだ。」「美恵子に関するエピソードが甘いとかわかりにくいという批判もあるだろう。だがわたしは美恵子の過去を示さないという方法は正しいと思った。」「美恵子の過去は作品全体から想像することができるはずだという確信犯的な方法論なのだ。」 宮本輝 58歳 全 ― 0   黒井千次 73歳 全 △ 6 「病者同士が結婚した後の進行に無理があり、後半失速した感のあるのが憾まれる。」 高樹のぶ子 59歳 全 ― 0   池澤夏樹 60歳 全 △ 13 「丁寧な力作なのだが、今ひとつ迫るものがない。その理由が遠近法の欠如なのではないかと考えた。話者は今の時点から過去を振り返って語っているわけで、そうなると京都における発病など今から遠いところは簡素になっていいのだが、語りのトーンは終始一貫している。」

他の候補作 絲山秋子 「沖で待つ」 伊藤たかみ 「ボギー、愛しているか」 清水博子 「vanity」 西村賢太 「どうで死ぬ身の一踊り」 松尾スズキ 「クワイエットルームにようこそ」

清水博子37歳×各選考委員　 「vanity」 中篇 176枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 河野多恵子 79歳 全 ― 0   石原慎太郎 73歳 全 ― 0   山田詠美 46歳 全 ■ 3 「どうせなら、もっとあざといまでに虚飾（ルビ：ヴァニティ）を極めて欲しかった。」 村上龍 53歳 全 ― 0   宮本輝 58歳 全 ― 0   黒井千次 73歳 全 ■ 3 「（引用者注：「どうで死ぬ身の一踊り」と共に）特色はあっても冗長の感を拭えない。」 高樹のぶ子 59歳 全 ― 0   池澤夏樹 60歳 全 ― 0	他の候補作 絲山秋子 「沖で待つ」 伊藤たかみ 「ボギー、愛しているか」 佐川光晴 「銀色の翼」 西村賢太 「どうで死ぬ身の一踊り」 松尾スズキ 「クワイエットルームにようこそ」

西村賢太38歳×各選考委員　 「どうで死ぬ身の一踊り」 中篇 173枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 河野多恵子 79歳 全 ― 0   石原慎太郎 73歳 全 ― 0   山田詠美 46歳 全 △ 18 「爆笑。死語のこれでもかという連発、あまりにも古い文学臭。それもここまで極めればかえって新しい。」「意識せずに天然の心持ちで、自らを笑い者に出来る人は、天才、もしくは、ばかたれと呼ばれるが、この作者は天才ではない。かと言って、ただのばかたれでもない。愛すべき文学ばかたれである。」 村上龍 53歳 全 ― 0   宮本輝 58歳 全 △ 23 「捨て難い作品だと思う。」「主人公が耽溺する作家がいかなる作家であったのか、なぜ主人公がその作家にここまで惹かれつづけるのかについては、ほとんど、というより、まったく触れられていない。私もだが、そこのところを大きな欠落だと指摘する委員は多かった。」「それにしても粘着力のある書き手であって、主人公の、女への滑稽なほどの執着を描く筆さばきは秀逸である。」 黒井千次 73歳 全 ■ 3 「（引用者注：「vanity」と共に）特色はあっても冗長の感を拭えない。」 高樹のぶ子 59歳 全 ■ 5 「主人公のやりきれない矮小さがリアル。ただなぜ藤澤清造という作家に執着するかが、描かれていない。」 池澤夏樹 60歳 全 ― 0

他の候補作 絲山秋子 「沖で待つ」 伊藤たかみ 「ボギー、愛しているか」 佐川光晴 「銀色の翼」 清水博子 「vanity」 松尾スズキ 「クワイエットルームにようこそ」

松尾スズキ43歳×各選考委員　 「クワイエットルームにようこそ」 中篇 164枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 河野多恵子 79歳 全 ― 0   石原慎太郎 73歳 全 ― 0   山田詠美 46歳 全 ■ 5 「ウィノナ・ライダー主演の映画「17歳のカルテ」の日本版ノヴェライズとしては上出来だが。」 村上龍 53歳 全 ― 0   宮本輝 58歳 全 ◎ 26 「入院患者のひとりひとりが巧みに描かれ、しかも根底に書き手の愛情のようなものが確かに存在していると感じて受賞作に推した。他の委員の賛同は少なく、受賞には到らなかったが、松尾氏の次作を読みたいと思う。」 黒井千次 73歳 全 ■ 7 「人物の描きわけと場面の作りに鮮やかさを認めつつも、あまりに騒然として焦点が定めにくかった。」 高樹のぶ子 59歳 全 ― 0   池澤夏樹 60歳 全 ― 0	他の候補作 絲山秋子 「沖で待つ」 伊藤たかみ 「ボギー、愛しているか」 佐川光晴 「銀色の翼」 清水博子 「vanity」 西村賢太 「どうで死ぬ身の一踊り」