第16回

第15回第17回

平成6年/1994年度 平成7年/1995年3月6日決定発表

選考委員　 井上ひさし 60歳 尾崎秀樹 66歳 佐野洋 66歳 野坂昭如 64歳 半村良 61歳 選評総行数　 31 24 30 32 30 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 浅田次郎　『地下鉄に乗って』 43歳 評 ◎ 20 ◎ 13 ○ 12 ○ 17 □ 7 小嵐九八郎　『刑務所ものがたり』 50歳 評 ◎ 15 ○ 7 ○ 11 ○ 22 □ 5 井上祐美子　『桃夭記』 36歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 大槻ケンヂ　『くるぐる使い』 29歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 藤水名子　『赤壁の宴』 30歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 山崎洋子　『熱月』 47歳 評 ― 0 ■ 4 ― 0 ― 0 ― 0           年齢の説明   見方・注意点

井上ひさし60歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選評　総行数31　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 浅田次郎 43歳 全 ◎ 20 「たしかに地下鉄は現代の迷路、そこではなにが起こっても不思議ではない。その上、作者は地下鉄を時間の迷路に置き換える。みごとな発想だ。」「物語が進むにつれて、もつれた時間はきれいに整理され、やがて一人の男の姿が、ある種の郷愁を漂わせながら浮かび上がってくる。」「掛け値なしに傑作である。」 小嵐九八郎 50歳 全 ◎ 15 「作者独特の訥々とした文体が刑務所の日常という特異な題材とジャストミートしている。」「この国には珍しい反思想小説にさえなった。禁欲的に挿入される刑務所からの風景描写、これがまたすこぶる効果的である。」 井上祐美子 36歳 全 ― 0   大槻ケンヂ 29歳 全 ― 0   藤水名子 30歳 全 ― 0   山崎洋子 47歳 全 ― 0	他の選考委員 尾崎秀樹 佐野洋 野坂昭如 半村良

尾崎秀樹66歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題作品の可能性に期待して　総行数24　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 浅田次郎 43歳 全 ◎ 13 「第一に注目した」「地下鉄をつかったユニークなタイムスリップものだ。」「（引用者注：主人公の身に）何度となくタイムスリップがおこり、敗戦直後の新宿、満州の戦場に身をおき、家族への、また恋する女性への愛を確かめるといった作品だった。」 小嵐九八郎 50歳 全 ○ 7 「懲役者の生活ぶりをユーモアたっぷりに描いている。獄中にも日本社会が存在し、位階制があり、といった作者の眼は劇画化した作品の裏によめる。」 井上祐美子 36歳 全 ― 0   大槻ケンヂ 29歳 全 ― 0   藤水名子 30歳 全 ― 0   山崎洋子 47歳 全 ■ 4 「武林無想庵の妻だった宮田文子という興味ある人物に迫った長篇だったが、小説か評伝かやや中途半端な点がおしかった。」   「六篇の候補作」	他の選考委員 井上ひさし 佐野洋 野坂昭如 半村良

佐野洋66歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選考を終えて　総行数30　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 浅田次郎 43歳 全 ○ 12 「例えば永田町から赤坂見附までの地下道を歩いているときに、だれでも感じる「心許なさ」をタイムトンネルに仕立てた着想と、ページを操るのがもどかしいほどのストーリーテリングに感心した。」「ミステリーの味つけがされている点が、私には面白かった。」 小嵐九八郎 50歳 全 ○ 11 「癖のある文体ながら、刑務所内の人物像を見事に書きわけている。しかも、我が国の矯正行政が、近代国家としていかに遅れているかを巧みに浮き上がらせているところに、共感を覚えた。」 井上祐美子 36歳 全 ― 0   大槻ケンヂ 29歳 全 ― 0   藤水名子 30歳 全 ― 0   山崎洋子 47歳 全 ― 0     「候補作六篇が送られて来たとき、意外だったのは、推理小説が一篇もなかったことだ。」「候補作の中には、候補になったこと自体に疑問を感じるような作品が、いくつかあった。こんなわけで、ことしは、納得できない気持ちを抱きながら、選考を終えた。」

他の選考委員 井上ひさし 尾崎秀樹 野坂昭如 半村良

野坂昭如64歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選評　総行数32　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 浅田次郎 43歳 全 ○ 17 「あたらしい都会小説の分野を拓かれた。かねてからぼくも、地下鉄という乗物を、奇妙に感じていた。（引用者中略）地下鉄の中で、少くともぼくは本が読めず、モノを考えられない。タイムトラベルそのものなのだ。」 小嵐九八郎 50歳 全 ○ 22 「刑務所における特別な習慣、明け暮れたよって、お話をおもしろくさせようという意図もない。人間と人間のふつうの関係を、文字となし、よく出来た小説に創り上げている。特に会話がたくみである。」 井上祐美子 36歳 全 ― 0   大槻ケンヂ 29歳 全 ― 0   藤水名子 30歳 全 ― 0   山崎洋子 47歳 全 ― 0     「お切匙ながら、文芸編集者の御努力を、おねがいしたい。落選した作品は、少々ひとりよがりの印象、なんだかんだしゃべり合っていればと、残念に感じた、それぞれ才能、書きたいテーマを持っているのだから。」

他の選考委員 井上ひさし 尾崎秀樹 佐野洋 半村良

半村良61歳×各候補作

年齢の説明 見方・注意点

題選評　総行数30　（1行=20字） 候補 評価 行数 評言 浅田次郎 43歳 全 □ 7 「浅田氏と小嵐氏の同時受賞に賛成した。」「社会の深部の感触十分な作品」「故広瀬正を思い出させてくれた。」 小嵐九八郎 50歳 全 □ 5 「浅田氏と小嵐氏の同時受賞に賛成した。」「社会の深部の感触十分な作品」 井上祐美子 36歳 全 ― 0   大槻ケンヂ 29歳 全 ― 0   藤水名子 30歳 全 ― 0   山崎洋子 47歳 全 ― 0     「最終選考の場には、ほかにＳＦ系の作品がいくつかあがっており、それぞれに面白く読ませてもらったが、この二作（引用者注：受賞作）には及ばなかった。」「これは饅頭がうまいか煎餅がうまいかというような問題に近い。比べて結論を出すとき痛さを感じてしまう。」	他の選考委員 井上ひさし 尾崎秀樹 佐野洋 野坂昭如

浅田次郎43歳×各選考委員　 『地下鉄に乗って』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 60歳 全 ◎ 20 「たしかに地下鉄は現代の迷路、そこではなにが起こっても不思議ではない。その上、作者は地下鉄を時間の迷路に置き換える。みごとな発想だ。」「物語が進むにつれて、もつれた時間はきれいに整理され、やがて一人の男の姿が、ある種の郷愁を漂わせながら浮かび上がってくる。」「掛け値なしに傑作である。」 尾崎秀樹 66歳 全 ◎ 13 「第一に注目した」「地下鉄をつかったユニークなタイムスリップものだ。」「（引用者注：主人公の身に）何度となくタイムスリップがおこり、敗戦直後の新宿、満州の戦場に身をおき、家族への、また恋する女性への愛を確かめるといった作品だった。」 佐野洋 66歳 全 ○ 12 「例えば永田町から赤坂見附までの地下道を歩いているときに、だれでも感じる「心許なさ」をタイムトンネルに仕立てた着想と、ページを操るのがもどかしいほどのストーリーテリングに感心した。」「ミステリーの味つけがされている点が、私には面白かった。」 野坂昭如 64歳 全 ○ 17 「あたらしい都会小説の分野を拓かれた。かねてからぼくも、地下鉄という乗物を、奇妙に感じていた。（引用者中略）地下鉄の中で、少くともぼくは本が読めず、モノを考えられない。タイムトラベルそのものなのだ。」 半村良 61歳 全 □ 7 「浅田氏と小嵐氏の同時受賞に賛成した。」「社会の深部の感触十分な作品」「故広瀬正を思い出させてくれた。」

他の候補作 小嵐九八郎 『刑務所ものがたり』 井上祐美子 『桃夭記』 大槻ケンヂ 『くるぐる使い』 藤水名子 『赤壁の宴』 山崎洋子 『熱月』

小嵐九八郎50歳×各選考委員　 『刑務所ものがたり』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 60歳 全 ◎ 15 「作者独特の訥々とした文体が刑務所の日常という特異な題材とジャストミートしている。」「この国には珍しい反思想小説にさえなった。禁欲的に挿入される刑務所からの風景描写、これがまたすこぶる効果的である。」 尾崎秀樹 66歳 全 ○ 7 「懲役者の生活ぶりをユーモアたっぷりに描いている。獄中にも日本社会が存在し、位階制があり、といった作者の眼は劇画化した作品の裏によめる。」 佐野洋 66歳 全 ○ 11 「癖のある文体ながら、刑務所内の人物像を見事に書きわけている。しかも、我が国の矯正行政が、近代国家としていかに遅れているかを巧みに浮き上がらせているところに、共感を覚えた。」 野坂昭如 64歳 全 ○ 22 「刑務所における特別な習慣、明け暮れたよって、お話をおもしろくさせようという意図もない。人間と人間のふつうの関係を、文字となし、よく出来た小説に創り上げている。特に会話がたくみである。」 半村良 61歳 全 □ 5 「浅田氏と小嵐氏の同時受賞に賛成した。」「社会の深部の感触十分な作品」

他の候補作 浅田次郎 『地下鉄に乗って』 井上祐美子 『桃夭記』 大槻ケンヂ 『くるぐる使い』 藤水名子 『赤壁の宴』 山崎洋子 『熱月』

井上祐美子36歳×各選考委員　 『桃夭記』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 60歳 全 ― 0   尾崎秀樹 66歳 全 ― 0   佐野洋 66歳 全 ― 0   野坂昭如 64歳 全 ― 0   半村良 61歳 全 ― 0	他の候補作 浅田次郎 『地下鉄に乗って』 小嵐九八郎 『刑務所ものがたり』 大槻ケンヂ 『くるぐる使い』 藤水名子 『赤壁の宴』 山崎洋子 『熱月』

大槻ケンヂ29歳×各選考委員　 『くるぐる使い』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 60歳 全 ― 0   尾崎秀樹 66歳 全 ― 0   佐野洋 66歳 全 ― 0   野坂昭如 64歳 全 ― 0   半村良 61歳 全 ― 0	他の候補作 浅田次郎 『地下鉄に乗って』 小嵐九八郎 『刑務所ものがたり』 井上祐美子 『桃夭記』 藤水名子 『赤壁の宴』 山崎洋子 『熱月』

藤水名子30歳×各選考委員　 『赤壁の宴』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 60歳 全 ― 0   尾崎秀樹 66歳 全 ― 0   佐野洋 66歳 全 ― 0   野坂昭如 64歳 全 ― 0   半村良 61歳 全 ― 0	他の候補作 浅田次郎 『地下鉄に乗って』 小嵐九八郎 『刑務所ものがたり』 井上祐美子 『桃夭記』 大槻ケンヂ 『くるぐる使い』 山崎洋子 『熱月』

山崎洋子47歳×各選考委員　 『熱月』

年齢の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上ひさし 60歳 全 ― 0   尾崎秀樹 66歳 全 ■ 4 「武林無想庵の妻だった宮田文子という興味ある人物に迫った長篇だったが、小説か評伝かやや中途半端な点がおしかった。」 佐野洋 66歳 全 ― 0   野坂昭如 64歳 全 ― 0   半村良 61歳 全 ― 0	他の候補作 浅田次郎 『地下鉄に乗って』 小嵐九八郎 『刑務所ものがたり』 井上祐美子 『桃夭記』 大槻ケンヂ 『くるぐる使い』 藤水名子 『赤壁の宴』