本城雅人（ほんじょうまさと）-直木賞候補作家

第159回

＝受賞者＝
島本理生

＝候補者＝
上田早夕里
木下昌輝
窪　美澄
本城雅人
湊かなえ

Last Update●[R3]2021/7/28

	Honjo Masato
	生没年月日【注】	昭和40年/1965年☆月☆日～
	経歴	神奈川県生まれ。明治学院大学経済学部卒。産経新聞社に入社、サンケイスポーツ記者を経て退職。平成21年/2009年「ノーバディノウズ」が第16回松本清張賞候補作に残り、同作で作家デビュー。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第16回松本清張賞（平成21年/2009年）「ノーバディーノウズ」第1回サムライジャパン野球文学賞（平成22年/2010年）『ノーバディノウズ』第2回サムライジャパン野球文学賞［ベストナイン］（平成23年/2011年）『嗤うエース』 \|候補\| 毎日スポーツ人賞［文化賞］（平成26年/2014年度） \|候補\| 第18回大藪春彦賞（平成27年/2015年度）『トリダシ』 \|候補\| 第37回吉川英治文学新人賞（平成27年/2015年度）『トリダシ』第38回吉川英治文学新人賞（平成28年/2016年度）『ミッドナイト・ジャーナル』 \|候補\| 第159回直木賞（平成30年/2018年上期）『傍流の記者』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全13件

『ノーバディノウズ』（平成21年/2009年8月・文藝春秋刊）

書誌

平成25年/2013年1月・文藝春秋／文春文庫『ノーバディノウズ』

第142回推薦候補

大衆選考会での推薦

推薦者	推薦日	推薦文
ウオーターブルック	平成21年/2009年12月23日	正体が暴かれていく過程がおもしろい。いくら外国人になりきっても思考や一瞬の習性までは隠すことができない。実際に存在する米球界の差別なども初めて知った。

『トリダシ』（平成27年/2015年7月・文藝春秋刊）

書誌

平成30年/2018年4月・文藝春秋／文春文庫『トリダシ』

収録作品の書誌

第一話　スクープ

なし

倉見健次郎（横浜ベイズのエース投手）

初出『オール讀物』平成24年/2012年5月号「スクープ記者」

第二話　コーチ人事

なし

三塚滋（元・横浜ベイズ監督、元・東都ジェッツヘッドコーチ）

初出『オール讀物』平成25年/2013年1月号

第三話　勝ち投手

なし

唐沢涼（ドラフト注目の高校生サウスポー）

初出『オール讀物』平成25年/2013年3月号

第四話　裏取り

なし

湯上栄一（東西新聞経済部デスク、元・社会部で鳥飼の同僚）、中田洋二（ＩＴ企業ゴーンバンク社長）

初出『オール讀物』平成25年/2013年7月号

第五話　報復死球

なし

二村明生（東都ジェッツ球団広報部主任、元・選手）、五十嵐俊哉（東都ジェッツの現役外野手）

初出『オール讀物』平成25年/2013年12月号「裏切り」

第六話　三勝三敗

なし

東郷和義（東都ジェッツ監督）

初出『オール讀物』平成26年/2014年3月号

第七話　逆転

なし

初出『オール讀物』平成26年/2014年10月号

吉川英治文学新人賞 第37回候補

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　本城雅人　50歳
選考委員		評価	行数	評言
伊集院静	66歳	□	11	「私は薬丸氏の次に（引用者中略）推した。」「鳥飼という名物記者より私は女性記者の細谷に魅力を感じた。欲を言えば登場人物がいかにもどこかに居そうな印象があり、もっと自由に筆を振るっていいのではと思った。」
大沢在昌	59歳	■	13	「不運だった。ここで比べられるには、あまりに小粒な物語群なのだ。主人公の魅力をどう見せるか、もっと考えていただきたい。」
恩田陸	51歳	■	4	「手堅く、エンターテインメントのお手本のような作品である。」「その先の個性ある展開を見せてほしい。」
京極夏彦	52歳	―	0
高橋克彦	68歳	―	0
選評出典：『小説現代』平成28年/2016年5月号

文量
連作短篇集〔7篇〕
時代設定	場所設定
［同時代］	東京～横浜～長野～広島など
登場人物
●鳥飼義伸（東西スポーツデスクのひとり、異名「トリダシ」） ●細谷香織（東西スポーツ記者、横浜ベイズ番） ●酒井千夏（細谷の後輩記者、東都ジェッツ番三番手） ●江田島亮（東西スポーツ遊軍記者） ●笠原誠（東西スポーツアマ野球担当記者、元プロ野球投手） ●石丸匡（東西スポーツデスクのひとり、鳥飼の一歳下） ●工藤（東西スポーツ記者、東都ジェッツ番キャップ、元・東西新聞社会部） ●紀野保仁（スポーツ東都記者、東都ジェッツ番キャップ）

第一話　スクープ

第二話　コーチ人事

第三話　勝ち投手

第四話　裏取り

第五話　報復死球

第六話　三勝三敗

第七話　逆転

『ミッドナイト・ジャーナル』（平成28年/2016年2月・講談社刊）

書誌

平成29年/2017年12月・講談社／講談社文庫『ミッドナイト・ジャーナル』

吉川英治文学新人賞 第38回受賞

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　本城雅人　51歳
選考委員		評価	行数	評言
伊集院静	67歳	□	21	「候補作品の中でもっとも読み易く、読み手をどんどんクライマックスの場へ連れて行ってくれるというエンターテイメント小説の真髄があった。読み易いと書いたが、これは本城氏の文体が仕上がりつつあるということだろう。私は氏のデビュー作から何作かを読む機会があったので、この数年の成長の著しさに感心し、今回は感動を覚えた。」
大沢在昌	60歳	△	9	「作者の進化に目をみはった。これだけ多くの人物を登場させながら、混乱させない描き分けはみごとである。」「欲をいえば、その逮捕にも、記者の貢献があれば、より爽快感を得られる物語になった。」
恩田陸	52歳	□	16	「群像劇の書き分けもうまく、一読者として面白く読んだ。しかし、私にはきちんとしすぎていて、内容もいささかクラシカルな印象なのが不満だった。」
京極夏彦	53歳	□	13	「作者は得意分野を地に足のついた筆致で克明に描いており、その行為自体が小説をエンターテインメントとして成り立たせている。」「受賞の理由は、正にその王道感、安定感にあるだろう。ただ、裏を返せば冒険はない。敢えて苦言を呈するならば、そこということになるだろうか。」
高橋克彦	69歳	◎	44	「あまりに複雑で細かな心の動きが交錯する前半にへとへとになってしまった。」「後半になってこの細部の書き込みが俄然重要となってくる。急激で圧倒的な展開に度肝を抜かれてしまう。」「読み終えて、興奮の中でこの小説の一番の手柄は「細部の積み重ね」にある、とつくづくと思った。当たり前のことだが、小説は人がきちんと描かれているか否かにかかっている。筋立てではないのだ。」
選評出典：『小説現代』平成29年/2017年5月号

第159回候補

『傍流(ぼうりゅう)の記者(きしゃ)』（平成30年/2018年4月・新潮社刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	カバー「Five plus one newspapermen」併記　奥付ルビ有り「ぼうりゅう」「きしゃ」
印刷/発行年月日	発行平成30年/2018年4月25日
発行者等	発行者佐藤隆信　印刷所錦明印刷株式会社　製本所大口製本印刷株式会社
発行所	株式会社新潮社（東京都）			形態	四六判　上製
装幀/装画等	写真広瀬達郎（新潮社写真部）　装幀新潮社装幀室
総ページ数	250	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	43字 ×21行 ×1段
本文ページ	5～250 （計246頁）	測定枚数	500枚

書誌

単行本化にあたり加筆修正、書き下ろしのプロローグとエピローグを追加

令和2年/2020年12月・新潮社／新潮文庫『傍流の記者』

収録作品の書誌

敗者の行進

初出『小説新潮』平成28年/2016年12月号

逆転の仮説

初出『小説新潮』平成29年/2017年3月号

疲弊部隊

初出『小説新潮』平成29年/2017年6月号

選抜の基準

初出『小説新潮』平成29年/2017年8月号

人事の風

初出『小説新潮』平成29年/2017年10月号

記憶の固執

初出『小説新潮』平成29年/2017年12月号

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　本城雅人　53歳
選考委員		評価	行数	評言
北方謙三	70歳	●	10	「どこを読んでも既視感に似たものに襲われる。描かれる事象は克明で、同期の登場人物たちの書き分けもきちんとしていて、全体としては隙のない世界が構築されながら、新鮮さに欠ける。」
宮城谷昌光	73歳	●	13	「音楽にたとえると、不協和音が多用されている楽曲である。それが新機軸として成功していただろうか。私は否だとおもう。」「小説の内的エネルギーを読者に伝えてゆく技法が熟していない。」
浅田次郎	66歳	■	10	「説明くさくなくてわかりやすい、センスのよさを感じた。しかし読み進むうちに、よその職場の愚痴を聞いているような気分になった。」
桐野夏生	66歳	△	13	「狭い新聞記者業界内部の域を出ていないように感じられたものの、記者の人間関係の話は、確かに他に類を見ないから面白かった。それから、プロローグは要らないのではないか。」
東野圭吾	60歳	■	15	「エンタテイメント小説として立派な出来だと思うが、無難で地味という印象があるのは、核になる大きな事件がないからかもしれない。人物の描き分け方も物足りない。」「企業勤めを経験すれば、その業界の内幕ものを一つや二つは書ける。この作品が、そのレベルを超越しているかどうかは判断の難しいところだ。」
林真理子	64歳	■	13	「スクープをめぐっての、新聞社内の駆け引きが非常にスリリングなのであるが、「ひと昔前の話」という感はぬぐえない。新聞が最初にニュースを発するメディアだった頃の話だろうとつい思ってしまう。」
高村薫	65歳	■	10	「エンターテインメントとして過不足はないが、新聞記者という、今日では少々手垢のついた題材が小説全体の印象を薄くした。」
宮部みゆき	57歳	■	15	「ラストに向かって収束してゆく長編としてのストーリー展開はこれで充分と思いますが、個々の短編にもう少しひねりや意外性がほしい。」
伊集院静	68歳	●	12	「新聞記者がどんなふうに生き、どんな考え方をしているのかが見え辛かった。内情に通じていた作家の捉え方としては甘いのではないかと思った。」
選評出典：『オール讀物』平成30年/2018年9月号

文量
連作長篇〔6篇〕
時代設定	場所設定
2015年～2021年	東京

敗者の行進

章立て

「1」～「9」

登場人物

●植島昌志（東都新聞記者、警視庁キャップ）
●野々垣（植島の部下）
●富田（同社会部長）
●彩香（植島の妻）

逆転の仮説

章立て

「1」～「11」

登場人物

●名雲静一（東都新聞記者、調査報道班キャップ）
●島有子（名雲の部下）
●山脇（政治研究所代表）

疲弊部隊

章立て

「1」～「10」

登場人物

●図師貴弘（東都新聞記者、司法キャップ）
●坪内（図師の部下）
●敦子（図師の別れた妻、東都新聞広告整理勤務）

選抜の基準
章立て
「1」～「8」
時代設定	場所設定
東京～神奈川	奈川
登場人物
●城所良平（東都新聞記者、社会部デスク、遊軍専門） ●ちなみ（城所の妻）

人事の風

章立て

「1」～「9」

登場人物

●土肥達也（東都新聞記者、社会部デスク、通称「人事の土肥」）
●水口（土肥の部下）
●淑恵（土肥の妻）
●真喜志勉（元・医療法人堀田会副理事長）

記憶の固執

章立て

「1」～「11」

登場人物

●北川友介（東都新聞人事部長）
●久島晋（同社長、入院中）
●日菜（北川の妻）