上田早夕里（うえださゆり）-直木賞候補作家｜直木賞のすべて

直木賞のすべて

第159回

＝受賞者＝
島本理生

＝候補者＝
上田早夕里
木下昌輝
窪　美澄
本城雅人
湊かなえ

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Last Update●[R6]2024/1/13

	Ueda Sayuri
	生没年月日【注】	昭和39年/1964年10月26日～
	経歴	兵庫県神戸市出身。神戸海星女子学院卒。平成15年/2003年に「火星ダーク・バラード」で第4回小松左京賞を受賞して作家デビュー。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第3回小松左京賞（平成14年/2002年）「ゼリーフィッシュ・ガーデン」第4回小松左京賞（平成15年/2003年）「火星ダーク・バラード」 \|候補\| 第30回日本ＳＦ大賞（平成21年/2009年）『魚舟・獣舟』 \|候補\| 第64回日本推理作家協会賞［長編および連作短編集部門］（平成23年/2011年）『華竜の宮』第10回センス・オブ・ジェンダー賞［大賞］（平成22年/2010年度）『華竜の宮』第32回日本ＳＦ大賞（平成23年/2011年）『華竜の宮』 \|候補\| 第67回日本推理作家協会賞［長編および連作短編集部門］（平成26年/2014年）『深紅の碑文』 \|候補\| 第159回直木賞（平成30年/2018年上期）『破滅の王』第12回日本歴史時代作家協会賞［作品賞］（令和5年/2023年）『上海灯蛾』
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第159回候補

『破滅(はめつ)の王(おう)』（平成29年/2017年11月・双葉社刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	カバー「The King Of Ruin」併記　奥付ルビ有り「はめつ」「おう」
印刷/発行年月日	発行平成29年/2017年11月25日（第1刷）
発行者等	発行者稲垣潔　ＣＴＰ製版株式会社ビーワークス　印刷所大日本印刷株式会社　製本所株式会社若林製本工場　カバー印刷株式会社大熊整美堂
発行所	株式会社双葉社（東京都）			形態	四六判　上製
装幀/装画等	装幀川名潤
総ページ数	356	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	23字 ×21行 ×2段
本文ページ	9～351 （計343頁）	測定枚数	821枚

書誌

初出『小説推理』平成28年/2016年4月号～平成29年/2017年6月号/単行本化にあたり大幅加筆修正

令和1年/2019年11月・双葉社／双葉文庫『破滅の王』

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　上田早夕里　53歳
選考委員		評価	行数	評言
北方謙三	70歳	■	10	「労作と感じたが、底の知れない闇を描き出すことに成功した、とは思わなかった。」「重苦しさがのしかかってこないのは、人の存在感が希薄だからではないだろうか。」
宮城谷昌光	73歳	△	16	「私にとってインパクトはあった。」「ただし実録的要素のつよい作品は、文学的許容の外にあるため、そのあたりの事情に暗い私としては、肯定することをためらわざるをえなかった。だが、この作品には、強い意志の下に物語を邁進させてゆくという力がある。」
浅田次郎	66歳	■	17	「掛値なしの力作である。」「称賛は惜しまぬのだが、やはり小説としては大団円に至って、息が上がってしまった感があった。どれほど歴史を敬し畏れても、やはり嘘をつき続けてこその小説家であろう。」
桐野夏生	66歳	△	23	「資料を駆使して物語に練り上げていく知性と筆力を感じた。が、気になるところが散見されたのも事実である。例えば、「灰塚」のベルリン行きは可能性の面からも、小説の完成度から見ても疑問だし、「株」に関する謎解きもドタバタに感じられる。」
東野圭吾	60歳	●	25	「読み始めて７３１部隊の話と気づき、わくわくした。（引用者中略）ところが読み進めるうちに失望が広がった。ごく狭い人間関係だけで展開するので、物語にスケールの大きさが感じられない。」「最も残念だったのは、細菌の恐ろしさがちっとも伝わってこないことだ。」
林真理子	64歳	■	16	「二段組みの小説には非常に大切なことがある。「あまりの面白さに、ページをめくるのももどかしくなる」と思わせるほどのパワーが必要なのだ。上海、細菌部隊、スパイ、とこれだけの道具立てを用意されても、ほとんどわくわくしなかったのである。」
高村薫	65歳	■	20	「いわゆる「筆力」は題材の咀嚼不足を補うほど万能ではないことの一例と言えるかもしれない。活劇の舞台である日中戦争当時の関東軍や特務機関についての理解の浅さは、たとえば映像ではカバーできても、文章ではそうは行かない。」
宮部みゆき	57歳	◎	45	「推しました。」「堅実で抑制的で、パンデミック・パニックＳＦや、反戦・反化学兵器をテーマにしたフィクションにありがちな感情的な描写やストーリー展開はありません。登場人物の陰影も淡く、ちょっと落ち着きすぎているのでは？　と思うほどに、じっくりゆっくりと物語が展開されていきます。（引用者中略）この禁欲的なスタンスが私には新鮮でしたし、学ぶべきところがたくさんあると思いました。」
伊集院静	68歳	△	22	「物語を押し進める力量、才能は候補作の中で目を見張るものがあった。」「ただクライマックスの構成、展開がいささか急ぎ過ぎていた。惜しい作品だった。あと一点気になったのは中国での大戦の実感がこの程度のおさめ方で果たしていいのかということである。」
選評出典：『オール讀物』平成30年/2018年9月号

第159回推薦候補

大衆選考会での推薦

推薦者	推薦日	推薦文
本子	平成30年/2018年7月5日	久しぶりに夢中で読みました

文量
長篇
章立て
「序」「第一章　風根」「第二章　上海　１９４３」「第三章　遺された言葉」「第四章　血と闇夜の城」「第五章　焦熱の地」「第六章　眩耀」「第七章　ベルリン市街戦前夜」「第八章　祈望」「補記」
時代設定	場所設定
昭和初期～昭和20年～［現在］	満州～上海～南京～河南省～ドイツなど
登場人物
●宮本敏明（細菌学研究者、上海自然科学研究所勤務） ●六川正一（宮本の同僚） ●石口静子（六川の婚約者） ●灰塚瑛義（在南京日本大使館附武官補佐官） ●石井四郎（関東軍防疫給水部本部の最高責任者） ●藤邑良次（同本部所属の内科医） ●真須木一郎（兜製薬萊郷研究所の研究員） ●早崎正二（同） ●魏文林（上海の開業医） ●アーベル・グレッツナー（ドイツ人研究者）

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