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平成13年/2001年度
(平成14年/2002年5月16日決定発表/『小説新潮』平成14年/2002年7月号選評掲載)
選考委員  長部日出雄
男67歳
北原亞以子
女64歳
久世光彦
男67歳
花村萬月
男47歳
山田詠美
女43歳
選評総行数  262 118 123 176 144
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
吉田修一 『パレード』
男33歳
20 17 26 36 56
江國香織 『泳ぐのに、安全でも
適切でもありません』
女38歳
99 39 29 31 22
馳星周 『ダーク・ムーン』
男37歳
46 13 19 37 15
諸田玲子 『源内狂恋』
女48歳
52 26 28 44 29
宇月原晴明 『聚楽―太閤の錬金窟』
男38歳
44 23 20 27 19
         
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説新潮』平成14年/2002年7月号
1行当たりの文字数:19字


選考委員
長部日出雄男67歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数262 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
吉田修一
男33歳
20 3.5点「最初に読んだときは、才気が弾けていて、今の若い世代の生活実感というものがよく伝わってきて、一気に読んで、これは四点だなと思ったんです。」「この軽さはとてもいいんですけど、その底にもっと辛辣な目と批評精神がほしかったと思いました。」
江國香織
女38歳
99 5点「ほぼ文句なし、脱帽して五点をつけさせていただきます。」「一冊の本に収められた十本の短篇が全部書き下ろしで、しかも趣向が全て異なっていて、揃って水準を超えている。」「よく考え抜かれて、徹底的に凝縮されながら、しかも重くない。」「私は小説の楽しみを十分に味わいました。」「実にあっさり書いていて、奥行きが非常にありますよ。」
馳星周
男37歳
46 4点「文体は体言止めを多用していて、スピーディな感覚が生じます。映画のノベライゼーションを読んでいるような感じもするんですが、若い読者にはかえって効果的なのかもしれません。」「ドライな書き方で書いていながら、最終的には因果応報の物語で終わるというところに、いい意味でも悪い意味でも、私は迫力を感じたんですね。」
諸田玲子
女48歳
52 3.5点「面白おかしく世の中を渡ってきて、人生の最後に来たときのディレッタントの苦い後悔と悲しみが語られていて、僕はとてもいいと思ったんですね。」「細かな言葉遣いとかそういうところで、引っかかるところがあるんですね。」
宇月原晴明
男38歳
44 3.5点「作者の博学というか、ペダントリーについていけませんでした。」「キリスト教の異端と錬金術と日本の戦国史がうまく絡み合っているとも言い難いと思います。」「やっぱり青髯とか、ジャンヌ・ダルクとか、話を広げ過ぎですよ。」
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他の選考委員
北原亞以子
久世光彦
花村萬月
山田詠美
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選考委員
北原亞以子女64歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数118 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
吉田修一
男33歳
17 4.5点「非常に巧みな構成だと思いました。」「いちばんしっかりしていた人が実は通り魔だったというのも恐ろしいんですけれども、それに気づいていながら一緒に暮らしていけるというところの恐ろしさ。そういうことも現代ではあるかな、と思いました。」
江國香織
女38歳
39 4.5点「江國さんの作品は好き嫌いがわかれるのではないかと思うのですが、私は大好きです。」「江國さんの小説は、細い鉛筆の先を尖らせて書いたような繊細な小説です。」「ただ、私はあとがきは必要なかったと思います。」「私は、作家江國香織に山本賞をあげたい。」
馳星周
男37歳
13 3.5点「いい意味で劇画的に、その場面が目の前に現れてくるんですね。こういう文体を選んだのは成功だったと思います。」「それと白人社会での黄色人種のみじめさみたいなことも感じさせられました。」
諸田玲子
女48歳
26 3.5点「野乃という女性に託して源内自身を語るという手法は、私もとても面白いと思いました。」「時代小説を書くなら、やはりその時代のルールに従わなければいけない。でも、細かなミスがかなりあるんです。」「不注意としか思えないようなミスが興をそいでしまうんです。」
宇月原晴明
男38歳
23 3.5点「よくお調べになっているな、よくご存知だなと感心するほかはないんですが、その知識に頼り過ぎているような気もいたしました。」「が、豊臣秀吉や徳川家康の書き方はとてもうまいと思いました。」「どうしてやたら子供を殺すとか、気持ちの悪い場面を連続的に書くのかなと思いました。」
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他の選考委員
長部日出雄
久世光彦
花村萬月
山田詠美
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選考委員
久世光彦男67歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数123 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
吉田修一
男33歳
26 4.5点「会話も含めての文章は、今回の候補作品の中で一等賞だと思います。センスも一等賞だと思います。」「最後のところがちょっと引っかかっていて、ちょっと大事件的に扱い過ぎというか、確かに大事件なんだけれども、この書きようから言ったら、もっと淡白なほうが素敵だったんじゃないかなと思うんです。」
江國香織
女38歳
29 4.5点「シチュエーションとか語り口を変えて、スタイル的にもいろいろ工夫がなされているんだけれども、むしろ相殺しあっていて、どの主人公も同じ女の人に見える。」「短篇集を読んでいる楽しみがもう一つ足りない。」「やっぱり文章がうまいし、表現にも輝きがあって好きです。」
馳星周
男37歳
19 3点「結局、この種の小説は、好き嫌いで判断していいのだと思う。こうした小説を読み終わって、その小説に背中を向けて歩き出したときに、なにか背中に感じるものがあってほしい。(引用者中略)それがない。作家の資質もさることながら、文章が僕には受け付けられない。」
諸田玲子
女48歳
28 4.5点「僕が一番がっかりしたのは、やはりラストです。」「通俗な言い方ですが、結局ちょっと人間が書けてないというのが一番の致命傷じゃないかなと思いました。」「諸田さんは、突然と言っていいくらいに、うまくなったなと思うんです。これまであまり感じられなかった作者の思いが、今回初めて見えてきた。」
宇月原晴明
男38歳
20 3.5点「西洋のほうの話と日本の話があまり効果的にお互いに働きかけていないので、読みにくいですね。」「家康と正信のやりとりなんていうのはうまいなと思っているうちに、急にまた西洋のキンキン耳につく音が入ってきて気分が殺がれる。つまり、東西の話のバランスを五分五分にしたのが勘定間違いで、結局のところ、一つの結末に収斂しそこなった。」
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他の選考委員
長部日出雄
北原亞以子
花村萬月
山田詠美
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選考委員
花村萬月男47歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数176 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
吉田修一
男33歳
36 3.5点「読み進むうちに、これは文章の力であり、こういう小賢しいことをわざとやっているんだと気づきました。」「通り魔とか、要らなかったねえ。なぜこんなものを付け加えたのか。」「最後の女の顔をつぶす場面が非常に引っかかって、ここまで書ける人が、何でこんなつまらないことをしちゃったのかと気落ちしました。」
江國香織
女38歳
31 3点「今回は肩の力が抜け過ぎじゃないかと思いました。あまりにもありきたりというか、テレビのトレンディ・ドラマを気取って見せられているような、そんな印象がずっと拭えなかったです。」「才能ある人が自分の才に溺れるというか……。」
馳星周
男37歳
37 3点「本来こういう作品を書く上で作者に必要不可欠な暗い衝動や恨み、そういうものがあまり感じられなくなっていたのが残念でした。」「肝心のときに「剃刀を思わせる酷薄な顔」とか、よくある比喩が出てきて、この文体の中では余計に浮き上がってしまう。作者本人が自分の文体を把握していないのが目立ちました。」
諸田玲子
女48歳
44 4.5点「平賀源内という実在の人物を据えたことで随分得をしているんでしょうが、以前の作品のように散らかることもなく、今回の候補作の中で一番楽しく読めました。」「地味ではありますが、この人がしっかりと仕事を重ねてきて上達しているのがわかって、非常に気持ちがよかったです。」
宇月原晴明
男38歳
27 4点「この人は、ポテンシャルがすごくあると思います。」「読んでいて腹が立つのは、肝心の部分に薀蓄や引用が入ってくることですね。」「変なインテリ・コンプレックスさえ抑制できて、楽しく物語をきっちりつくり上げてくれれば、きっと面白いものが出てくると思います。」「この人、化けてほしい。説明さえしなけりゃ、本当に面白いのに。」
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他の選考委員
長部日出雄
北原亞以子
久世光彦
山田詠美
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選考委員
山田詠美女43歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数144 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
吉田修一
男33歳
56 5点「今、物語に頼りがちなエンターテインメントの小説が多い中、一つ一つものすごく文章にこだわった小説だと思うんです。」「恋愛を描いてとてもチャーミングな描写がたくさんあって、女性が主人公になっている章もあるんですけど、男の作家が書いているのに一つもブレがない。」「登場人物の一人一人が心の中で傷を持っているんだけど、純文学が陥りがちなトラウマに堕していない。」「虚無をセンティメントに反転させるのを臆面もなく書くのは恥ずかしいんですけれども、そういうことをちゃんと書くのは大切だと思うんですよ。」
江國香織
女38歳
22 2.5点「「不思議ちゃん」って私たちが呼んでいる人種が時々出て来て、それが大人の女を書くときにうまい具合に働く場合と、そうでない場合ですごく差があるんですね。」「たぶん海辺なんかで読んだらロマンティックに読めて、素晴らしい本なのかもしれないけれども、山本周五郎賞という賞にはどうかなと思う」「少女漫画の世界に近いと思う。」
馳星周
男37歳
15 1点「私、(引用者注:馳星周を)全部読んでいるからわかるんですけど、どの本のどのページを開いても、これがどの作品だかわからなくなるんですよね。まだ様式美をやるような必要はないのに、無理して長いものを書こうとしてしまったように思いました。」
諸田玲子
女48歳
29 1.5点「ここのどこに狂おしい恋があるのかと思いました。源内が雑念を捨てて、初めて自分のための物語を念頭において、人生の最後に書かれた物語がこれか、と。」「それから、会話がすごく多用されているんですね。地の文でどう書くか苦労すべきところを、会話で一行で済ませてしまう。」
宇月原晴明
男38歳
19 2点「家康と信長と秀吉の部分はすごくいいと思うんです。けれども、結局これって壮大なる失敗作というか、知識と物語性が融合していないという感じで、大体この長さ、必要ないと思うんです。」
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他の選考委員
長部日出雄
北原亞以子
久世光彦
花村萬月
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受賞者・作品
吉田修一男33歳×各選考委員 
『パレード』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男67歳
20 3.5点「最初に読んだときは、才気が弾けていて、今の若い世代の生活実感というものがよく伝わってきて、一気に読んで、これは四点だなと思ったんです。」「この軽さはとてもいいんですけど、その底にもっと辛辣な目と批評精神がほしかったと思いました。」
北原亞以子
女64歳
17 4.5点「非常に巧みな構成だと思いました。」「いちばんしっかりしていた人が実は通り魔だったというのも恐ろしいんですけれども、それに気づいていながら一緒に暮らしていけるというところの恐ろしさ。そういうことも現代ではあるかな、と思いました。」
久世光彦
男67歳
26 4.5点「会話も含めての文章は、今回の候補作品の中で一等賞だと思います。センスも一等賞だと思います。」「最後のところがちょっと引っかかっていて、ちょっと大事件的に扱い過ぎというか、確かに大事件なんだけれども、この書きようから言ったら、もっと淡白なほうが素敵だったんじゃないかなと思うんです。」
花村萬月
男47歳
36 3.5点「読み進むうちに、これは文章の力であり、こういう小賢しいことをわざとやっているんだと気づきました。」「通り魔とか、要らなかったねえ。なぜこんなものを付け加えたのか。」「最後の女の顔をつぶす場面が非常に引っかかって、ここまで書ける人が、何でこんなつまらないことをしちゃったのかと気落ちしました。」
山田詠美
女43歳
56 5点「今、物語に頼りがちなエンターテインメントの小説が多い中、一つ一つものすごく文章にこだわった小説だと思うんです。」「恋愛を描いてとてもチャーミングな描写がたくさんあって、女性が主人公になっている章もあるんですけど、男の作家が書いているのに一つもブレがない。」「登場人物の一人一人が心の中で傷を持っているんだけど、純文学が陥りがちなトラウマに堕していない。」「虚無をセンティメントに反転させるのを臆面もなく書くのは恥ずかしいんですけれども、そういうことをちゃんと書くのは大切だと思うんですよ。」
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他の候補作
江國香織
『泳ぐのに、安全でも
適切でもありません』
馳星周
『ダーク・ムーン』
諸田玲子
『源内狂恋』
宇月原晴明
『聚楽―太閤の錬金窟』
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受賞者・作品
江國香織女38歳×各選考委員 
『泳ぐのに、安全でも
適切でもありません』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男67歳
99 5点「ほぼ文句なし、脱帽して五点をつけさせていただきます。」「一冊の本に収められた十本の短篇が全部書き下ろしで、しかも趣向が全て異なっていて、揃って水準を超えている。」「よく考え抜かれて、徹底的に凝縮されながら、しかも重くない。」「私は小説の楽しみを十分に味わいました。」「実にあっさり書いていて、奥行きが非常にありますよ。」
北原亞以子
女64歳
39 4.5点「江國さんの作品は好き嫌いがわかれるのではないかと思うのですが、私は大好きです。」「江國さんの小説は、細い鉛筆の先を尖らせて書いたような繊細な小説です。」「ただ、私はあとがきは必要なかったと思います。」「私は、作家江國香織に山本賞をあげたい。」
久世光彦
男67歳
29 4.5点「シチュエーションとか語り口を変えて、スタイル的にもいろいろ工夫がなされているんだけれども、むしろ相殺しあっていて、どの主人公も同じ女の人に見える。」「短篇集を読んでいる楽しみがもう一つ足りない。」「やっぱり文章がうまいし、表現にも輝きがあって好きです。」
花村萬月
男47歳
31 3点「今回は肩の力が抜け過ぎじゃないかと思いました。あまりにもありきたりというか、テレビのトレンディ・ドラマを気取って見せられているような、そんな印象がずっと拭えなかったです。」「才能ある人が自分の才に溺れるというか……。」
山田詠美
女43歳
22 2.5点「「不思議ちゃん」って私たちが呼んでいる人種が時々出て来て、それが大人の女を書くときにうまい具合に働く場合と、そうでない場合ですごく差があるんですね。」「たぶん海辺なんかで読んだらロマンティックに読めて、素晴らしい本なのかもしれないけれども、山本周五郎賞という賞にはどうかなと思う」「少女漫画の世界に近いと思う。」
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他の候補作
吉田修一
『パレード』
馳星周
『ダーク・ムーン』
諸田玲子
『源内狂恋』
宇月原晴明
『聚楽―太閤の錬金窟』
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候補者・作品
馳星周男37歳×各選考委員 
『ダーク・ムーン』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男67歳
46 4点「文体は体言止めを多用していて、スピーディな感覚が生じます。映画のノベライゼーションを読んでいるような感じもするんですが、若い読者にはかえって効果的なのかもしれません。」「ドライな書き方で書いていながら、最終的には因果応報の物語で終わるというところに、いい意味でも悪い意味でも、私は迫力を感じたんですね。」
北原亞以子
女64歳
13 3.5点「いい意味で劇画的に、その場面が目の前に現れてくるんですね。こういう文体を選んだのは成功だったと思います。」「それと白人社会での黄色人種のみじめさみたいなことも感じさせられました。」
久世光彦
男67歳
19 3点「結局、この種の小説は、好き嫌いで判断していいのだと思う。こうした小説を読み終わって、その小説に背中を向けて歩き出したときに、なにか背中に感じるものがあってほしい。(引用者中略)それがない。作家の資質もさることながら、文章が僕には受け付けられない。」
花村萬月
男47歳
37 3点「本来こういう作品を書く上で作者に必要不可欠な暗い衝動や恨み、そういうものがあまり感じられなくなっていたのが残念でした。」「肝心のときに「剃刀を思わせる酷薄な顔」とか、よくある比喩が出てきて、この文体の中では余計に浮き上がってしまう。作者本人が自分の文体を把握していないのが目立ちました。」
山田詠美
女43歳
15 1点「私、(引用者注:馳星周を)全部読んでいるからわかるんですけど、どの本のどのページを開いても、これがどの作品だかわからなくなるんですよね。まだ様式美をやるような必要はないのに、無理して長いものを書こうとしてしまったように思いました。」
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他の候補作
吉田修一
『パレード』
江國香織
『泳ぐのに、安全でも
適切でもありません』
諸田玲子
『源内狂恋』
宇月原晴明
『聚楽―太閤の錬金窟』
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候補者・作品
諸田玲子女48歳×各選考委員 
『源内狂恋』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男67歳
52 3.5点「面白おかしく世の中を渡ってきて、人生の最後に来たときのディレッタントの苦い後悔と悲しみが語られていて、僕はとてもいいと思ったんですね。」「細かな言葉遣いとかそういうところで、引っかかるところがあるんですね。」
北原亞以子
女64歳
26 3.5点「野乃という女性に託して源内自身を語るという手法は、私もとても面白いと思いました。」「時代小説を書くなら、やはりその時代のルールに従わなければいけない。でも、細かなミスがかなりあるんです。」「不注意としか思えないようなミスが興をそいでしまうんです。」
久世光彦
男67歳
28 4.5点「僕が一番がっかりしたのは、やはりラストです。」「通俗な言い方ですが、結局ちょっと人間が書けてないというのが一番の致命傷じゃないかなと思いました。」「諸田さんは、突然と言っていいくらいに、うまくなったなと思うんです。これまであまり感じられなかった作者の思いが、今回初めて見えてきた。」
花村萬月
男47歳
44 4.5点「平賀源内という実在の人物を据えたことで随分得をしているんでしょうが、以前の作品のように散らかることもなく、今回の候補作の中で一番楽しく読めました。」「地味ではありますが、この人がしっかりと仕事を重ねてきて上達しているのがわかって、非常に気持ちがよかったです。」
山田詠美
女43歳
29 1.5点「ここのどこに狂おしい恋があるのかと思いました。源内が雑念を捨てて、初めて自分のための物語を念頭において、人生の最後に書かれた物語がこれか、と。」「それから、会話がすごく多用されているんですね。地の文でどう書くか苦労すべきところを、会話で一行で済ませてしまう。」
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他の候補作
吉田修一
『パレード』
江國香織
『泳ぐのに、安全でも
適切でもありません』
馳星周
『ダーク・ムーン』
宇月原晴明
『聚楽―太閤の錬金窟』
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候補者・作品
宇月原晴明男38歳×各選考委員 
『聚楽―太閤の錬金窟』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男67歳
44 3.5点「作者の博学というか、ペダントリーについていけませんでした。」「キリスト教の異端と錬金術と日本の戦国史がうまく絡み合っているとも言い難いと思います。」「やっぱり青髯とか、ジャンヌ・ダルクとか、話を広げ過ぎですよ。」
北原亞以子
女64歳
23 3.5点「よくお調べになっているな、よくご存知だなと感心するほかはないんですが、その知識に頼り過ぎているような気もいたしました。」「が、豊臣秀吉や徳川家康の書き方はとてもうまいと思いました。」「どうしてやたら子供を殺すとか、気持ちの悪い場面を連続的に書くのかなと思いました。」
久世光彦
男67歳
20 3.5点「西洋のほうの話と日本の話があまり効果的にお互いに働きかけていないので、読みにくいですね。」「家康と正信のやりとりなんていうのはうまいなと思っているうちに、急にまた西洋のキンキン耳につく音が入ってきて気分が殺がれる。つまり、東西の話のバランスを五分五分にしたのが勘定間違いで、結局のところ、一つの結末に収斂しそこなった。」
花村萬月
男47歳
27 4点「この人は、ポテンシャルがすごくあると思います。」「読んでいて腹が立つのは、肝心の部分に薀蓄や引用が入ってくることですね。」「変なインテリ・コンプレックスさえ抑制できて、楽しく物語をきっちりつくり上げてくれれば、きっと面白いものが出てくると思います。」「この人、化けてほしい。説明さえしなけりゃ、本当に面白いのに。」
山田詠美
女43歳
19 2点「家康と信長と秀吉の部分はすごくいいと思うんです。けれども、結局これって壮大なる失敗作というか、知識と物語性が融合していないという感じで、大体この長さ、必要ないと思うんです。」
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吉田修一
『パレード』
江國香織
『泳ぐのに、安全でも
適切でもありません』
馳星周
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諸田玲子
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