生没年月日【注】 | 大正2年/1913年2月25日~平成14年/2002年12月26日 | |
経歴 | 福岡県久留米市生まれ。久留米高等女学校卒。地下足袋工場の工員となり、労働組合運動に参加。昭和11年/1936年、結婚後に満洲に渡る。昭和21年/1946年帰国。『九州文学』同人で、昭和23年/1948年には新日本文学会久留米支部の創立に参加。 | |
受賞歴・候補歴 |
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「祝といふ男」
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作品名 別表記 | 「日滿露在滿作家短篇選集」 | ||||
印刷/発行年月日 | 印刷 昭和15年/1940年12月18日 発行 昭和15年/1940年12月22日 | ||||
発行者等 | 編者 山田清三郎 発行者 和田利彦 印刷者 吉原良三 株式会社康文社印刷所(東京市) | ||||
発行所 | 株式会社春陽堂書店(東京市) | ||||
装幀/装画等 | 装幀 奥 行雄 | ||||
総ページ数 | 293 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
40字 ×13行 ×1段 |
本文ページ | 215~250 (計36頁) |
測定枚数 | 40枚 |
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書誌
初出『満洲新聞』昭和15年/1940年9月26日~10月8日
『文藝春秋』昭和16年/1941年3月号
昭和16年/1941年12月・小山書店刊『日本小説代表作全集7 昭和16年・前半期』所収
昭和39年/1964年11月・集英社刊『昭和戦争文学全集 第1 戦火満州に挙がる』所収「祝という男」
平成8年/1996年2月・新宿書房刊『〈外地〉の日本語文学選2 満洲・内蒙古/樺太』所収「祝という男」
平成13年/2001年9月・ゆまに書房刊『日本植民地文学精選集23 満洲編9 日満露在満作家短篇選集』所収
平成19年/2007年4月・双文社出版刊『文学で考える〈日本〉とは何か』所収
令和2年/2020年4月・春陽堂書店刊『芥川賞候補傑作選 戦前・戦中編 1935-1944』所収
候補者 牛島春子 27歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
佐藤春夫 | 48歳 |
□ | 17 | 「感服した。」「この個性的な有為の人物の風貌性格をよく把握し、可なりに複雑な人と事とを簡素に大まかなしかも陰影の多い力ある筆で十分に活写して自らに新興国満洲の役人社会らしい趣を示し清新の気の漲るもののあるのを敬愛する。」 |
横光利一 | 42歳 |
○ | 6 | 「(引用者注:「崖」「鶏」と共に)最後まで「源内」に迫った」「荒々しい描写力に新鮮鋭敏な健康さがあり、芸を無視しているところに満洲という土地に相応しい強さを感じた。」 |
室生犀星 | 51歳 |
― | 0 | |
小島政二郎 | 46歳 |
○ | 37 | 「描写がモノクロマチックなところが欠点と云えば欠点だが、しかし祝と云う満人の――異人種の、非常に特殊な性格をこれ程まで見詰めた――女流作家としては珍らしいインテンシテー、しかも、その性格描写に於ける成功は、特筆していいと思う。」「作者の導くがままに私はごく自然に祝と云う男を生活した。これは、作者の創作態度が、悪い意味で小説的野心のとりこ(原文傍点)にならなかった賜物であろう。」 |
瀧井孝作 | 46歳 |
■ | 8 | 「慥かにハッキリと描いてあるが、描写に味が淡いようで、これは作家の筆ではない、作文の先生の筆だと思った。この主人公の性格などは表現されているが、この描写に読み乍ら愉しみのない感じは、どういうわけかとぼくは考えて、これは作家の筆でないと云うような欠点を思った。」 |
川端康成 | 41歳 |
■ | 4 | 「満人の不思議な性格が、不思議なままに写せているし、婦人作家としては強いけれども、少し粗いようで、まだ十分には信頼しかねるところがある。」 |
宇野浩二 | 49歳 |
△ | 10 | 「祝という毛色の変った人間の性格がわりに書けている上に、満洲国の裏面の或る一面も或る程度まで出ている、好短篇である。しかし、唯それだけの作品である。」 |
佐佐木茂索 | 46歳 |
・ | 2 | |
選評出典:『芥川賞全集 第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和16年/1941年3月号) |