直木賞のすべて

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Last Update●[R6]2024/6/23

斜線堂有紀 Shasendo Yuki

生没年月日	平成5年/1993年～
経歴	秋田県生まれ、埼玉県育ち。上智大学文学部卒。大学在学中、平成28年/2016年「キネマ探偵カレイドミステリー」で電撃小説大賞［メディアワークス文庫賞］を受賞し、作家デビューする。
受賞歴・候補歴	第23回電撃小説大賞［メディアワークス文庫賞］（平成28年/2016年）「キネマ探偵カレイドミステリー」 \|候補\| 第21回本格ミステリ大賞［小説部門］（令和3年/2021年）『楽園とは探偵の不在なり』 \|候補\| 第44回日本ＳＦ大賞（令和6年/2024年）『回樹』 \|候補\| 第45回吉川英治文学新人賞（令和5年/2023年度）『回樹』
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『回樹(かいじゅ)』（令和5年/2023年3月・早川書房刊）

吉川英治文学新人賞 第45回候補

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　斜線堂有紀　30歳
選考委員		評価	行数	評言
朝井まかて	64歳	◎	17	「行き場のない死体を吸収する「回樹」。愛する者の死体を飲み込まれた人間は、かの人を愛するように回樹を愛するようになる。この愛情の転移、愛情の受容体についての洞察、文体も群を抜いて洗練されていた。この才能に私は興奮し、選考会でも推した。」「斜線堂さんの作品をよく知る選考委員から「力のある人だから、この作品で受賞してよいか」という懸念が出た。」
大沢在昌	67歳	■	12	「「骨刻」に感心する一方、「ＢＴＴＦ葬送」には首を傾げた。」「首を傾げたのは、説得力の不足だ。ありえない物語を読者の胸にすんなり落としこむには、それなりの理屈が必要で、その理屈こそが読者を作者の世界に引きこむ力をもつ。この作品集には、理屈が足りていないものもあり、結果、受賞に届かなかった。」
京極夏彦	60歳	△	19	「著者は綺想という核種に小説という中性子をぶつけることで起きる核反応を統御しようと企み、その企みは成功している。但しそうした目で眺めた時、若干の夾雑物＝綺想を種としない要素が目に付くことは否めない。“普通”に寄せることをせず、臨界を迎えるまで綺想を増殖させていたとしても、作品を成立させるだけの技量は十分にあるだろう。」
辻村深月	44歳	△	16	「発想が小説としてどう結ばれるのか、という決着がどれも設定が示された時点である程度予想できてしまった。とびぬけた才能の持ち主だと思えばこそ、この著者の受賞作は今作ではなく、未来に書かれる別の作品だと思えて、今回は積極的に推さなかった。」
村山由佳	59歳	■	13	「どの短編にも、作者の底意地の悪さ（ほめています）と性格の良さが両方とも滲み出ているようで好もしかった。ただ、最後を飾る書き下ろしの一編にも再び〈回樹〉が描かれているのだが、同じ世界をもう一度描くのなら、最初の一編を裏切るか、はるかに深める描き方でなければいけない。」
選評出典：『小説現代』令和6年/2024年5・6月合併号

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