直木賞のすべて
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[R4]2022/8/30
一條次郎
Ichij
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Jir
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生没年月日
昭和49年/1974年~
経歴
福島県生まれ。山形大学人文学部卒。
平成27年/2015年「レプリカたちの夜」で新潮ミステリー大賞を受賞、作家デビューする。
受賞歴・候補歴
第2回
新潮ミステリー大賞
(平成27年/2015年)「レプリカたちの夜」
|候補|
第35回
山本周五郎賞
(令和3年/2021年度)『チェレンコフの眠り』
サブサイトリンク
文学賞の世界
▼
全
4
件
『チェレンコフの
眠
(
ねむ
)
り』
(令和4年/2022年2月・新潮社刊)
山本周五郎賞
第
35
回候補
選評の概要
この回の全概要
見方・注意点
候補者
一條次郎
48歳
選考委員
評価
行数
評言
伊坂幸太郎
50歳
○
36
「「プラスチック」という言葉が頻出しますし、環境破壊に対する憂いや諦観じみたものを感じることはできるのですが、ただ、「環境破壊への抗議」「文明批判」と言い切れるほど分かりやすいものではなく、押しつけがましさが皆無であるところが、さらに素晴らしいと感じました。優れた文学作品は、「これは○○についての小説である」と言えるようなものではないと思っていますので、この作品は、(大衆小説を対象とした)本賞の候補作ではありながらも、優れた(純文学的な意味での)文学作品ではないかと思っています。」
江國香織
58歳
□
21
「なんてチャーミングな一冊。今回、私は受賞作とこの作品とのあいだで、最後まで迷った。」「イメージの喚起力が豊かで、読んでいて、どこに連れて行かれるのかわからない愉しさがあった。」「ユーモアと詩情、皮肉と哀愁の漂う言語センスも魅力的だった。そして、なによりも、前提のない場所で小説を書こうとする(いわば、共感を求めない)姿勢に私は敬意を表する。」
荻原浩
65歳
■
31
「とにかく密度が濃い。一行一行の文章が練りに練られた感がある。」「ただし、作者の創造する世界観やイメージの奔流について行けてるうちはいいけれど、ときどき意味不明だったり、ついて行ききれなかったりした。そこがいいのだ、ついてこれんほうが悪い、という感度の高い一條さんのファンも多いのだろうけれど、せっかくの優れた文章力、比喩力を、もっと万人に行使しても損はないと思う。」
今野敏
66歳
△
25
「何人かの選考委員はこの作品を推していた。私もとてもよい作品だと思う。」「きわめて意味の深い単語が、随所にちりばめられている。それにこだわっても、またうっかり読み過ごしても、あるいは無視しても、この物語はしっかりと成立してくれる。」「ただ、環境問題に対する意識が、素で垣間見えるのが、ちょっとだけ興ざめという感があった。」「こうした不思議な味わいの小説は、なかなか書けるものではない。」
三浦しをん
45歳
△
42
「本作はもう、我々読者がどうこう口を挟むような次元を超えて、唯一無二の確固とした世界を現出させており、それをひたすら堪能する喜びに浸ればいいと思う。しかし野暮を承知で、気になるところを強いて挙げるとすれば、人称視点の問題だ。基本的に三人称で語られているが、随所に若干のブレがある」
選評出典:『小説新潮』令和4年/2022年7月号
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