犬飼六岐（いぬかいろっき）-直木賞候補作家｜直木賞のすべて

直木賞のすべて

第144回

＝受賞者＝
木内　昇
道尾秀介

＝候補者＝
犬飼六岐
荻原　浩
貴志祐介

シェアする

Last Update●[H26]2014/11/3

	Inukai Rokki
	生没年月日【注】	昭和39年/1964年☆月☆日～
	経歴	大阪府生まれ。大阪教育大学卒。公務員を経て作家デビュー。
	受賞歴・候補歴	第48回毎日児童小説コンクール［小学生向き・佳作］（平成11年/1999年）「クスノキ探検隊」第68回小説現代新人賞（平成12年/2000年）「筋違い半介」 \|候補\| 第144回直木賞（平成22年/2010年下期）『蛻』 \|候補\| 本屋が選ぶ時代小説大賞2011（平成23年/2011年）『囲碁小町　嫁入り七番勝負』 \|候補\| 本屋が選ぶ時代小説大賞2012（平成24年/2012年）『佐助を討て』 \|候補\| 第3回歴史時代作家クラブ賞［作品賞］（平成26年/2014年）『騙し絵』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全6件

第144回候補

『蛻(もぬけ)』（平成22年/2010年6月・講談社刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	表紙・扉・奥付ルビ有り「もぬけ」
印刷/発行年月日	発行平成22年/2010年6月17日（第1刷）
発行者等	発行者鈴木哲　印刷所大日本印刷株式会社　製本所島田製本株式会社
発行所	株式会社講談社（東京都）			形態	四六判　上製
装幀/装画等	装幀多田和博　カバー画像リーブラ（安藤広重　東海道五十三次御油旅人留女）
総ページ数	299	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	43字 ×19行 ×1段
本文ページ	3～299 （計297頁）	測定枚数	552枚

書誌

書下ろし

平成25年/2013年12月・講談社／講談社文庫『蛻』

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　犬飼六岐　47歳
選考委員		評価	行数	評言
伊集院静	60歳	●	10	「興味ある設定を探しあて、これに武士と町衆の間に立つ不気味な塀を感じ、これを描ききればと期待したが、設定に依り過ぎて登場人物の顔があらわれて来なかった。」
林真理子	56歳	●	10	「素材の面白さに頼り過ぎたかもしれない。藩主の楽しみのために、宿場町のミニチュア版が実在していたという事実から、小説が動き出していかないのである。」
阿刀田高	76歳	△	15	「ユニークな史実を見つけ出し、それを舞台にして当然そこに起こるべき登場人物たちの違和感を丁寧に描いている。」「わるくない作品と思った。が、時代小説として私には『漂砂のうたう』に少し及ばない、と見えた。」
宮部みゆき	50歳	△	18	「着眼点の面白さではピカ一でしたし、せっかくならもっとミステリーに徹して事件を錯綜させ、御町屋の見取り図を付けるくらいのところまでハジけちゃってもよかったのではないでしょうか。」
桐野夏生	59歳	■	17	「着眼点がよい。だが、偽宿場町に人が住む必然性を、物語の中にうまく創出できていないように感じた。」「史実を踏まえて書くのか、設定だけを借りて想像を遊ばせるのか。構想が中途半端に終わった感がある。」
宮城谷昌光	65歳	■	23	「江戸の尾張藩邸に宿場町を作って名古屋の町人を住まわせるという発想はおもしろい。だが、その発想をあざやかに活用するだけの明確な主題がない。町人たちがいやいや住んでいる感じがつたわってきて、読者がそこに住んでみたいとはおもわないであろう。作品が作品自体を否定する構造は、やはり魅力にとぼしい。」
渡辺淳一	77歳	●	14	「（引用者注：「砂の王国」「悪の教典」と共に）最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
浅田次郎	59歳	●	21	「どのように料理しようと面白くなるにちがいない設定を、甚だ平凡な連続殺人事件にしてしまい、あげくには人情話でしめくくってしまった。実にもったいない。視点をしきりに変える手法を用いているが、そのぶん人物像が希釈されてわかりづらくなるという欠点もあった。」
北方謙三	63歳	●	10	「逼塞状態に置かれた人間の心理に、極限まで追いつめられた切迫感と深さが見えない。設定に頼り、設定倒れで終ってしまった、としか感じられなかった。」
選評出典：『オール讀物』平成23年/2011年3月号

第144回推薦候補

大衆選考会での推薦

推薦者	推薦日	推薦文
おれ	平成23年/2011年1月5日	奇怪な世界観のはずだが、達者な文章によってむしろ生々しいリアリティがある。出来はよいが氏の作品としては地味。しかし直木賞向けとも思えるし、大穴以上の存在。

文量
長篇
章立て
「序章」「第一章」～「第八章」「終章」
時代設定	場所設定
江戸中期［享保年間］	江戸尾張藩下屋敷内～尾張
登場人物
●佐之助（筆屋、元・建具師） ●おひさ（佐之助の同居人、元・女郎） ●嘉平（合羽屋、元・芝居小屋中売り） ●与之吉（提灯屋） ●枡次郎（矢師） ●万亀堂文右衛門（菓子屋の先代主人、宿場「御町屋」の差配役の一人） ●榊原順安（町医者、宿場「御町屋」の差配役の一人）

シェアする

トップページ｜直木賞・芥川賞受賞作一覧｜受賞作・候補作一覧｜受賞作家の群像｜選考委員の群像
選評の概要｜小研究｜大衆選考会｜サイトマップ || 候補作家の一覧へ｜前の回へ｜次の回へ