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第38回
吉川英治文学新人賞
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平成28年/2016年度
(平成29年/2017年3月3日決定発表)
選考委員  伊集院静
男67歳
大沢在昌
男60歳
恩田陸
女52歳
京極夏彦
男53歳
高橋克彦
男69歳
選評総行数  82 91 79 122 84
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
本城雅人 『ミッドナイト・ジャーナル』
男51歳
21 9 16 13 44
宮内悠介 『彼女がエスパーだったころ』
男38歳
19 10 17 20 0
芦沢央 『許されようとは思いません』
女33歳
5 12 11 25 0
木下昌輝 『天下一の軽口男』
男43歳
8 14 11 21 0
塩田武士 『罪の声』
男37歳
10 29 15 24 0
葉真中顕 『コクーン』
男41歳
6 13 13 21 0
         
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説現代』平成29年/2017年5月号
1行当たりの文字数:19字


選考委員
伊集院静男67歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
異質の歩調 総行数82 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
本城雅人
男51歳
21 「候補作品の中でもっとも読み易く、読み手をどんどんクライマックスの場へ連れて行ってくれるというエンターテイメント小説の真髄があった。読み易いと書いたが、これは本城氏の文体が仕上がりつつあるということだろう。私は氏のデビュー作から何作かを読む機会があったので、この数年の成長の著しさに感心し、今回は感動を覚えた。」
宮内悠介
男38歳
19 「今回の候補作の中で、新しい世界をもっとも感じた」「解説、分析するのも拒むような奇妙な“熱のかたまり”が伝わって来て心地好かった。新人作家の作品を読んで、そう感じることは何度もあることではない。」
芦沢央
女33歳
5 「才能を随所に感じさせ、小説のセンスも良く、好きな作品だった。受賞作と比較すると短篇集という光の細かさが逆にマイナスになったのだろう。」
木下昌輝
男43歳
8 「一人の人物の生涯を描くには、その歳月、時間を作家の手の中で凝縮させる工夫が必要だった気がする。読後、呆気なさが強く、作品がほそってしまった。」
塩田武士
男37歳
10 「テーマはこれまで何人かの作家が挑んだ事件に敢えて挑んだ点も好感が持てた。私はこの作品を推したが、他の選考委員の賛同を得られなかった。文学賞の選考会には不思議な流れがあり、残念であったが、この作品はすでに十分な評価を受けているので、あらたな作品にむかって精進されることを望んでいる。」
葉真中顕
男41歳
6 「時間軸の移行が作品のテーマをまぎらわしていて、読み手がどのシーンに思いを入れていいのか、私には苦しかった。」
  「小説という表現の最大の力は、主題においても、言語においても、一人の作家が、これを主張、表現したいと思えば、あらゆることに規制を受けることがないという点だ。滾る内なる想いを文章で綴る時、そこに表現方法としての“自由”が大前提にある。」「その作品を読んだ人の内に眠っていたものを目覚めさせ、こころを揺さぶるものがあれば、それはひとつの小説作品であると私は考えている。」
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他の選考委員
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
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選考委員
大沢在昌男60歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
設定の難しさ 総行数91 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
本城雅人
男51歳
9 「作者の進化に目をみはった。これだけ多くの人物を登場させながら、混乱させない描き分けはみごとである。」「欲をいえば、その逮捕にも、記者の貢献があれば、より爽快感を得られる物語になった。」
宮内悠介
男38歳
10 「才気が溢れている。実験精神の豊富な作者の筆は、ときに小説を作りそこねているが、それすらも思考実験に思えてくる。」「この作者以外には書きえない物語群ではあった。」「これを機会に、娯楽小説に腰をすえて挑んでいただきたい。」
芦沢央
女33歳
12 「特に表題作に描かれた、人の心の綾にはどきりとさせられる。が、他の作品は作者の意図と後味の悪さだけが残った。なぜだろうと考え、それが文章の湿度のせいだと思いあたった。もし乾いた筆致でこれらの物語が描かれていたら、これほど後味は悪くなかったのではないか。」
木下昌輝
男43歳
14 「ある種の芸道小説と読めるが、芸道の“すごみ”といったものが伝わってこない。」「やはりこうした物語では、立ちはだかる敵の強さ、すごみといったものが描かれて初めて、主人公の魅力が際立つ。」「さらにいえば、彦八の内面が子供の頃からかわらないのはよしとしても、加齢を思わせる変化のないまま終章に至ったのは唐突の印象があった。」
塩田武士
男37歳
29 「世評の高い作品で、期待して読んだのだが、違和感が残った。」「借りた設定が克明であるだけに、作者の手柄と“事実”の線引きが難しい。もちろんそれこそが意図だといわれれば、その通りなのだろうが、ならば借りるという手法による負の側面も覚悟しなければならない。」「私が疑問を感じたのは二点、俊也が見つけたカセットテープのことを最初に母親に訊かなかったこと。そして彼の祖父が四十五歳のサラリーマンであったにもかかわらず、内ゲバで殺害されたと疑われるほど過激派集団と親しくなっていたという設定だ。」
葉真中顕
男41歳
13 「紗のような薄い生地ごしに物語を読んでいるもどかしさがつきまとった。これはおそらく、第一章の語り手に心の平衡を失った人物をすえてしまったのが理由だ。」「オウム事件で得た着想を、社会福祉の問題点と表層的にからめただけという印象しか残らない。」
  「六本の候補作はいずれも独自の設定をもちながら、つき抜けるものが感じられなかった。」
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他の選考委員
伊集院静
恩田陸
京極夏彦
高橋克彦
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選考委員
恩田陸女52歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数79 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
本城雅人
男51歳
16 「群像劇の書き分けもうまく、一読者として面白く読んだ。しかし、私にはきちんとしすぎていて、内容もいささかクラシカルな印象なのが不満だった。」
宮内悠介
男38歳
17 「私は個人的に氏の作品の中ではこれがいちばん気に行った。皮肉とユーモアのバランスに優れ、科学にまつわるもろもろについての深い洞察力が光り、才気と実力は疑いようもない。ただ、この体温の低さも作品にマッチしていて魅力だが、ひとつの作品としては弱いかなとも感じた。」
芦沢央
女33歳
11 「読み手の感情のコントロールがうまく、確信犯的な語りに力量を感じた。いわゆる「最後の一撃」ものを集めている短編集だが、どれもよく出来ている。ただ、作品集としてのまとまりは弱く、この器用さがこの先どの方向に行くのか読みきれなかった。」
木下昌輝
男43歳
11 「時代劇に「お笑い」というテーマを選んだ勇気は大いに買うけれど、肝心の「お笑い」の場面がちっともおかしくない。最初のほうに何人も魅力的なキャラクターが出てきて、どう活躍するのかと思いきや、途中でいなくなってしまうし、主人公の一生が不自然なところで飛ばされ、場面転換が行き当たりばったりな印象を受ける。」
塩田武士
男37歳
15 「いちばん迷った」「なぜか私はこの作品、「ノンフィクションで読みたかったな」と思ってしまったのだった。「あの声の子供たちのその後」を描くのに、小説という手段しかなかったのは分かるのだけれど、「子供たちのその後」の小説部分と、「事実に沿った事件の再構成と真相」の部分が微妙に乖離してしまっている。」
葉真中顕
男41歳
13 「「胡蝶の夢」をモチーフとしてパラレルワールドを描いたものだということはすぐに分かるのだが、改変された世界と元の世界の差異がほとんどなく、何を狙っているのかとうとう理解できなかった。何より気になったのは、著者が「みんなが知っていること」しか書いていないことだった。」
  「今回は、正直なところ、決め手がなくてどれを推すか選考会当日まで悩み続けていた。」「選考会の議論の末、着実な歩みと将来性への期待で『ミッドナイト・ジャーナル』と『彼女がエスパーだったころ』の二作受賞というのは、「なるほど」と至極納得させられたし、最終的には積極的に賛成した。」
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他の選考委員
伊集院静
大沢在昌
京極夏彦
高橋克彦
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選考委員
京極夏彦男53歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数122 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
本城雅人
男51歳
13 「作者は得意分野を地に足のついた筆致で克明に描いており、その行為自体が小説をエンターテインメントとして成り立たせている。」「受賞の理由は、正にその王道感、安定感にあるだろう。ただ、裏を返せば冒険はない。敢えて苦言を呈するならば、そこということになるだろうか。」
宮内悠介
男38歳
20 「オカルトとして斬り捨てられることもなく、雰囲気だけで持て囃され棚に上げられてしまったある時代のある世代の持つ空気感こそを“借り物”とし、作品の在り方そのものでそれを表現するという、かなり先鋭的な企みを感じる。そしてそれは成功している。作者は“記す”という行為の本質を問い、小説という表現の行き詰まりに疑義を投げ掛けている。ただし、それ故に届きにくい層もあることだろう。」
芦沢央
女33歳
25 「作者がミステリとして作品を紡いだか否かは知る由もないが、周到に計算された小品はミステリ的な感興を充分に呼び込むだろう。惜しむらくは、その端正な作風そのものが構造自体を予測させてしまうという点である。こうした性質の短篇集は収録作のセレクトや収録順も含め、本としてのプレゼンテーションにも配慮する必要があるかもしれない。」
木下昌輝
男43歳
21 「今まで取り上げられることの少なかった題材を俎上に乗せた意欲作である。」「構成がフレームの支配下にあり、それ自体が軽妙な筆致やストーリーラインにブレーキをかけてしまっているように読める。」
塩田武士
男37歳
24 「フィクションとしての巧みさが優れていたが故に、“借り物”としてのノンフィクションとの接合部分に若干の無理が生じている感がある。今回、惜しくも受賞を逃したのは、虚実が融合するのではなく、拮抗してしまったからかもしれない。」
葉真中顕
男41歳
21 「作者は幅広いジャンルで健筆を振るうテクニシャンであり、各話の短篇小説としての完成度は申し分ないように思う。ただ、章を繋ぐために用意された寓話的趣向や現実とリンクさせるためのSF的趣向は果たして必要だったのだろうか。」
  「以前の選評にも記したことだが、小説は虚構のみで構成し得る表現物ではない。様々なレヴェルで、現実から“借り物”をして来なければ成立はしない。」
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他の選考委員
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
高橋克彦
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選考委員
高橋克彦男69歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
細部の積み重ね 総行数84 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
本城雅人
男51歳
44 「あまりに複雑で細かな心の動きが交錯する前半にへとへとになってしまった。」「後半になってこの細部の書き込みが俄然重要となってくる。急激で圧倒的な展開に度肝を抜かれてしまう。」「読み終えて、興奮の中でこの小説の一番の手柄は「細部の積み重ね」にある、とつくづくと思った。当たり前のことだが、小説は人がきちんと描かれているか否かにかかっている。筋立てではないのだ。」
宮内悠介
男38歳
0  
芦沢央
女33歳
0  
木下昌輝
男43歳
0  
塩田武士
男37歳
0  
葉真中顕
男41歳
0  
  「今回は私にとって最後の選考会となった。理由はあくまで私の体調不良で、ここ数年、何冊もの力作と真正面から対峙するには集中力が薄れかけていると自覚したせいである。いや、集中力と言うより「興味」だろうか。七十近い年齢になると、正直、様々なことに対する関心が失われていく。」
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他の選考委員
伊集院静
大沢在昌
恩田陸
京極夏彦
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受賞者・作品
本城雅人男51歳×各選考委員 
『ミッドナイト・ジャーナル』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男67歳
21 「候補作品の中でもっとも読み易く、読み手をどんどんクライマックスの場へ連れて行ってくれるというエンターテイメント小説の真髄があった。読み易いと書いたが、これは本城氏の文体が仕上がりつつあるということだろう。私は氏のデビュー作から何作かを読む機会があったので、この数年の成長の著しさに感心し、今回は感動を覚えた。」
大沢在昌
男60歳
9 「作者の進化に目をみはった。これだけ多くの人物を登場させながら、混乱させない描き分けはみごとである。」「欲をいえば、その逮捕にも、記者の貢献があれば、より爽快感を得られる物語になった。」
恩田陸
女52歳
16 「群像劇の書き分けもうまく、一読者として面白く読んだ。しかし、私にはきちんとしすぎていて、内容もいささかクラシカルな印象なのが不満だった。」
京極夏彦
男53歳
13 「作者は得意分野を地に足のついた筆致で克明に描いており、その行為自体が小説をエンターテインメントとして成り立たせている。」「受賞の理由は、正にその王道感、安定感にあるだろう。ただ、裏を返せば冒険はない。敢えて苦言を呈するならば、そこということになるだろうか。」
高橋克彦
男69歳
44 「あまりに複雑で細かな心の動きが交錯する前半にへとへとになってしまった。」「後半になってこの細部の書き込みが俄然重要となってくる。急激で圧倒的な展開に度肝を抜かれてしまう。」「読み終えて、興奮の中でこの小説の一番の手柄は「細部の積み重ね」にある、とつくづくと思った。当たり前のことだが、小説は人がきちんと描かれているか否かにかかっている。筋立てではないのだ。」
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他の候補作
宮内悠介
『彼女がエスパーだったころ』
芦沢央
『許されようとは思いません』
木下昌輝
『天下一の軽口男』
塩田武士
『罪の声』
葉真中顕
『コクーン』
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受賞者・作品
宮内悠介男38歳×各選考委員 
『彼女がエスパーだったころ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男67歳
19 「今回の候補作の中で、新しい世界をもっとも感じた」「解説、分析するのも拒むような奇妙な“熱のかたまり”が伝わって来て心地好かった。新人作家の作品を読んで、そう感じることは何度もあることではない。」
大沢在昌
男60歳
10 「才気が溢れている。実験精神の豊富な作者の筆は、ときに小説を作りそこねているが、それすらも思考実験に思えてくる。」「この作者以外には書きえない物語群ではあった。」「これを機会に、娯楽小説に腰をすえて挑んでいただきたい。」
恩田陸
女52歳
17 「私は個人的に氏の作品の中ではこれがいちばん気に行った。皮肉とユーモアのバランスに優れ、科学にまつわるもろもろについての深い洞察力が光り、才気と実力は疑いようもない。ただ、この体温の低さも作品にマッチしていて魅力だが、ひとつの作品としては弱いかなとも感じた。」
京極夏彦
男53歳
20 「オカルトとして斬り捨てられることもなく、雰囲気だけで持て囃され棚に上げられてしまったある時代のある世代の持つ空気感こそを“借り物”とし、作品の在り方そのものでそれを表現するという、かなり先鋭的な企みを感じる。そしてそれは成功している。作者は“記す”という行為の本質を問い、小説という表現の行き詰まりに疑義を投げ掛けている。ただし、それ故に届きにくい層もあることだろう。」
高橋克彦
男69歳
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他の候補作
本城雅人
『ミッドナイト・ジャーナル』
芦沢央
『許されようとは思いません』
木下昌輝
『天下一の軽口男』
塩田武士
『罪の声』
葉真中顕
『コクーン』
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候補者・作品
芦沢央女33歳×各選考委員 
『許されようとは思いません』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男67歳
5 「才能を随所に感じさせ、小説のセンスも良く、好きな作品だった。受賞作と比較すると短篇集という光の細かさが逆にマイナスになったのだろう。」
大沢在昌
男60歳
12 「特に表題作に描かれた、人の心の綾にはどきりとさせられる。が、他の作品は作者の意図と後味の悪さだけが残った。なぜだろうと考え、それが文章の湿度のせいだと思いあたった。もし乾いた筆致でこれらの物語が描かれていたら、これほど後味は悪くなかったのではないか。」
恩田陸
女52歳
11 「読み手の感情のコントロールがうまく、確信犯的な語りに力量を感じた。いわゆる「最後の一撃」ものを集めている短編集だが、どれもよく出来ている。ただ、作品集としてのまとまりは弱く、この器用さがこの先どの方向に行くのか読みきれなかった。」
京極夏彦
男53歳
25 「作者がミステリとして作品を紡いだか否かは知る由もないが、周到に計算された小品はミステリ的な感興を充分に呼び込むだろう。惜しむらくは、その端正な作風そのものが構造自体を予測させてしまうという点である。こうした性質の短篇集は収録作のセレクトや収録順も含め、本としてのプレゼンテーションにも配慮する必要があるかもしれない。」
高橋克彦
男69歳
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他の候補作
本城雅人
『ミッドナイト・ジャーナル』
宮内悠介
『彼女がエスパーだったころ』
木下昌輝
『天下一の軽口男』
塩田武士
『罪の声』
葉真中顕
『コクーン』
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候補者・作品
木下昌輝男43歳×各選考委員 
『天下一の軽口男』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男67歳
8 「一人の人物の生涯を描くには、その歳月、時間を作家の手の中で凝縮させる工夫が必要だった気がする。読後、呆気なさが強く、作品がほそってしまった。」
大沢在昌
男60歳
14 「ある種の芸道小説と読めるが、芸道の“すごみ”といったものが伝わってこない。」「やはりこうした物語では、立ちはだかる敵の強さ、すごみといったものが描かれて初めて、主人公の魅力が際立つ。」「さらにいえば、彦八の内面が子供の頃からかわらないのはよしとしても、加齢を思わせる変化のないまま終章に至ったのは唐突の印象があった。」
恩田陸
女52歳
11 「時代劇に「お笑い」というテーマを選んだ勇気は大いに買うけれど、肝心の「お笑い」の場面がちっともおかしくない。最初のほうに何人も魅力的なキャラクターが出てきて、どう活躍するのかと思いきや、途中でいなくなってしまうし、主人公の一生が不自然なところで飛ばされ、場面転換が行き当たりばったりな印象を受ける。」
京極夏彦
男53歳
21 「今まで取り上げられることの少なかった題材を俎上に乗せた意欲作である。」「構成がフレームの支配下にあり、それ自体が軽妙な筆致やストーリーラインにブレーキをかけてしまっているように読める。」
高橋克彦
男69歳
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他の候補作
本城雅人
『ミッドナイト・ジャーナル』
宮内悠介
『彼女がエスパーだったころ』
芦沢央
『許されようとは思いません』
塩田武士
『罪の声』
葉真中顕
『コクーン』
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候補者・作品
塩田武士男37歳×各選考委員 
『罪の声』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男67歳
10 「テーマはこれまで何人かの作家が挑んだ事件に敢えて挑んだ点も好感が持てた。私はこの作品を推したが、他の選考委員の賛同を得られなかった。文学賞の選考会には不思議な流れがあり、残念であったが、この作品はすでに十分な評価を受けているので、あらたな作品にむかって精進されることを望んでいる。」
大沢在昌
男60歳
29 「世評の高い作品で、期待して読んだのだが、違和感が残った。」「借りた設定が克明であるだけに、作者の手柄と“事実”の線引きが難しい。もちろんそれこそが意図だといわれれば、その通りなのだろうが、ならば借りるという手法による負の側面も覚悟しなければならない。」「私が疑問を感じたのは二点、俊也が見つけたカセットテープのことを最初に母親に訊かなかったこと。そして彼の祖父が四十五歳のサラリーマンであったにもかかわらず、内ゲバで殺害されたと疑われるほど過激派集団と親しくなっていたという設定だ。」
恩田陸
女52歳
15 「いちばん迷った」「なぜか私はこの作品、「ノンフィクションで読みたかったな」と思ってしまったのだった。「あの声の子供たちのその後」を描くのに、小説という手段しかなかったのは分かるのだけれど、「子供たちのその後」の小説部分と、「事実に沿った事件の再構成と真相」の部分が微妙に乖離してしまっている。」
京極夏彦
男53歳
24 「フィクションとしての巧みさが優れていたが故に、“借り物”としてのノンフィクションとの接合部分に若干の無理が生じている感がある。今回、惜しくも受賞を逃したのは、虚実が融合するのではなく、拮抗してしまったからかもしれない。」
高橋克彦
男69歳
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他の候補作
本城雅人
『ミッドナイト・ジャーナル』
宮内悠介
『彼女がエスパーだったころ』
芦沢央
『許されようとは思いません』
木下昌輝
『天下一の軽口男』
葉真中顕
『コクーン』
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候補者・作品
葉真中顕男41歳×各選考委員 
『コクーン』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男67歳
6 「時間軸の移行が作品のテーマをまぎらわしていて、読み手がどのシーンに思いを入れていいのか、私には苦しかった。」
大沢在昌
男60歳
13 「紗のような薄い生地ごしに物語を読んでいるもどかしさがつきまとった。これはおそらく、第一章の語り手に心の平衡を失った人物をすえてしまったのが理由だ。」「オウム事件で得た着想を、社会福祉の問題点と表層的にからめただけという印象しか残らない。」
恩田陸
女52歳
13 「「胡蝶の夢」をモチーフとしてパラレルワールドを描いたものだということはすぐに分かるのだが、改変された世界と元の世界の差異がほとんどなく、何を狙っているのかとうとう理解できなかった。何より気になったのは、著者が「みんなが知っていること」しか書いていないことだった。」
京極夏彦
男53歳
21 「作者は幅広いジャンルで健筆を振るうテクニシャンであり、各話の短篇小説としての完成度は申し分ないように思う。ただ、章を繋ぐために用意された寓話的趣向や現実とリンクさせるためのSF的趣向は果たして必要だったのだろうか。」
高橋克彦
男69歳
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他の候補作
本城雅人
『ミッドナイト・ジャーナル』
宮内悠介
『彼女がエスパーだったころ』
芦沢央
『許されようとは思いません』
木下昌輝
『天下一の軽口男』
塩田武士
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