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第147回
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宮内悠介
Miyauchi Yusuke
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生没年月日【注】 昭和54年/1979年1月☆日~
経歴 東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。海外放浪などを経て、プログラマー職に就く。平成22年/2010年「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞の選考委員特別賞である山田正紀賞を受賞。
受賞歴・候補歴
  • 第1回創元SF短編賞[山田正紀賞](平成22年/2010年)「盤上の夜」
  • |候補| 第7回ミステリーズ!新人賞(平成22年/2010年)「ホテルアースポート」
  • |候補| 第147回直木賞(平成24年/2012年上期)『盤上の夜』
  • 第33回日本SF大賞(平成24年/2012年)『盤上の夜』
  • 第6回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞(平成25年/2013年)
  • |候補| 第66回日本推理作家協会賞[短編部門](平成25年/2013年)「青葉の盤」
  • |候補| 第149回直木賞(平成25年/2013年上期)『ヨハネスブルグの天使たち』
  • 第34回日本SF大賞[特別賞](平成25年/2013年)『ヨハネスブルグの天使たち』
  • |候補| 第29回山本周五郎賞(平成27年/2015年度)『アメリカ最後の実験』
  • |候補| 第156回芥川賞(平成28年/2016年下期)「カブールの園」
  • 第38回吉川英治文学新人賞(平成28年/2016年度)『彼女がエスパーだったころ』
  • 第30回三島由紀夫賞(平成28年/2016年度)『カブールの園』
  • |候補| 第157回直木賞(平成29年/2017年上期)『あとは野となれ大和撫子』
  • |候補| 第158回芥川賞(平成29年/2017年下期)「ディレイ・エフェクト」
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直木賞 第147回候補  一覧へ

ばんじょう よる
盤上の 夜』(平成24年/2012年3月・東京創元社/創元日本SF叢書)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成24年/2012年3月30日(初版)
発行者等 発行者 長谷川晋一 印刷 フォレスト 製本 加藤製本
発行所 株式会社東京創元社(東京都) 形態 四六判 並製
装幀/装画等 装画 瀬戸羽方 装幀 岩郷重力+WONDER WORKZ。
総ページ数 283 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×19行
×1段
本文ページ 5~283
(計279頁)
測定枚数 493
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書誌
平成26年/2014年4月・東京創元社/創元SF文庫『盤上の夜』
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収録作品の書誌
盤上の夜
初出平成22年/2010年12月・東京創元社/創元SF文庫『原色の想像力』
人間の王
初出『ミステリーズ!』45号[平成23年/2011年2月]
清められた卓
初出『Webミステリーズ!』平成23年/2011年6月
象を飛ばした王子
初出『Webミステリーズ!』平成24年/2012年2月
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候補者 宮内悠介 男33歳
選考委員 評価 行数 評言
桐野夏生
女60歳
19 「コンセプトがはっきりしている短編集なだけに、似通ったイメージにはなっている。しかし、ゲームは面白い、という作者の喜びが伝わってきて、幸福な読後感がある。虚実入り混じるゲーム人生を、そしてその対局の様を、ジャーナリストが解き明かす構造になっているのだが、やや隔靴掻痒の感がある。」
伊集院静
男62歳
34 「大変興味深く読んだ。SFの分野からの候補作である点にまず期待感が増した。「人間の王」と「象を飛ばした王子」が秀逸の出来上りだった。」「しかし作者が力を注ぎ込んだと思われる巻頭、巻末の短篇は設定の奇異な点は仕方ないとしても勝負事は人間の業欲をいかに書き切るしかないと私は思っているので、その点が今ひとつ踏み込めてないと思った。」
浅田次郎
男60歳
12 「さまざまの勝負事を素材としながら解説に堕することなく、上手に物語を仕込んでいた。連作短編の定められた枚数の中で、過不足なくこうした書き方ができるのは天与のセンスであろう。」
宮部みゆき
女51歳
43 「歴史ある種々の盤上ゲームに、人間は娯楽以上の何かを求める。その「何か」とは何だ?(引用者中略)そこに、そうしたゲームを生み出さずには進歩し得なかった人類の存在意義もあるのではないか。神の領域へとつながるものが見えるのではないか。小説を読みながらこんなことを考えるのは、ぞくぞくするほど愉しい経験でした。ただ、なにしろこれがデビュー作の宮内さんですから、直木賞という輝かしい栄冠の持つ重い責任を背負わせるのは、まだ申し訳ない気がしました。」
北方謙三
男64歳
7 「勝負と人物描写が乖離しているように感じた。両手両脚を奪われた女性が、どうやってこれほど強い棋士になれたのかというところを、私は読みたかった。」
林真理子
女58歳
9 「なんともとらえがたい魅力に満ちている。私のような将棋や碁をやらない者にも、勝負ごとの空間に生まれる魔というものを感じさせてくれる。間違いなく才能がある作家だ。」
宮城谷昌光
男67歳
31 「盤上にあるゲームのルールに、作者独自の世界観を並存させるこころみは、多くの困難がみえすぎていて、やはり成功しているとはいえない。この短編集は、まるで入り口のない家のように感じられたが、「象を飛ばした王子」という短編だけは、開放的で、いわば入り口がひらかれていて、家のなかにはいりやすい。」「すなわち、せっかくの才能を孤高の狷介さによって摧折させてはもったいないということである。」
阿刀田高
男77歳
17 「人間の脳の不思議さをいろいろなゲームを通して探り、小説的な飛躍によって読者にサムシングを感じさせようという趣向と見たが、小説になりきっていないようなうらみがないでもない。――まだ作品のノートみたい――」
渡辺淳一
男78歳
0  
選評出典:『オール讀物』平成24年/2012年9月号
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大衆選考会 147回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
快楽亭 平成24年/2012年7月5日 あなたも、盤上で作者と闘って見ませんか? 私は完膚無きまでに叩きのめされました。
Takao Wada 平成24年/2012年7月7日 なし
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文量
連作短篇集〔6篇〕
盤上の夜
章立て
なし
時代設定 場所設定
[近未来]  東京~中国~広島など
登場人物
わたし(語り手)
灰原由宇(囲碁棋士、八段)
相田淳一(囲碁棋士、九段、由宇の庇護者)
人間の王
章立て
「1」~「5」
時代設定 場所設定
[近未来]  アメリカなど
登場人物
マリオン・ティンズリー(チェッカーの世界チャンピオン)
シェーファー(人工知能研究者)
シヌーク(シェーファーたち研究者がつくったチェッカーのプログラム)
清められた卓
章立て
「1」~「5」
時代設定 場所設定
[ある時代]  東京など
登場人物
わたし(語り手)
真田優澄(宗教法人〈シティ・シャム〉代表、麻雀の「白鳳位戦」決勝進出者)
新沢駆(プロ雀士、「白鳳位戦」決勝進出者)
当山牧(九歳の少年、「白鳳位戦」決勝進出者)
赤田大介(精神科医、「白鳳位戦」決勝進出者)
象を飛ばした王子
章立て
なし
時代設定 場所設定
古代インド  インド・カピラバストゥ
登場人物
ゴータマ・ラーフラ(シャカ族カピラバストゥの王子)
釈尊(ゴータマ・ブッダ、王子のち若くして出家)
ヴィドゥーダバ(カピラバストゥの隣国コーサラの王子)
千年の虚空
章立て
なし
時代設定 場所設定
[ある時代]  東京~北海道など
登場人物
わたし(語り手)
葦原一郎(元・政治家)
葦原恭二(一郎の弟、将棋棋士)
織部綾(葦原兄弟と長年同居した女性、資産家の娘)
佐々宏介(将棋棋士、九段)
原爆の局
章立て
「1」~「6」
時代設定 場所設定
[近未来]~昭和20年  広島~アメリカなど
登場人物
わたし(語り手)
井上隆太(囲碁棋士、九段)
由宇(引退した囲碁棋士、アメリカ旅行中)
橋本宇太郎(第二期本因坊)
岩本薫(第三期本因坊戦の挑戦者)




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てんし
『ヨハネスブルグの 天使たち』
(平成25年/2013年5月・早川書房/ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 印刷 平成25年/2013年5月20日(初版) 発行 平成25年/2013年5月25日(初版)
発行者等 発行者 早川浩 印刷所 精文堂印刷株式会社 製本所 大口製本印刷株式会社
発行所 株式会社早川書房(東京都) 形態 四六判変形 並製
装幀/装画等 Cover Direction & Design Tomoyuki Arima Illustration Takumi Yoza
総ページ数 261 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×17行
×1段
本文ページ 5~261
(計257頁)
測定枚数 394
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書誌
平成27年/2015年8月・早川書房/ハヤカワ文庫JA『ヨハネスブルグの天使たち』
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収録作品の書誌
ヨハネスブルグの天使たち
初出『SFマガジン』平成24年/2012年2月号
ロワーサイドの幽霊たち
初出『SFマガジン』平成24年/2012年8月号
ジャララバードの兵士たち
初出『SFマガジン』平成24年/2012年11月号
ハドラマウトの道化たち
初出『SFマガジン』平成25年/2013年2月号
北東京の子供たち
書き下ろし
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候補者 宮内悠介 男34歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男78歳
16 「とても読みづらい。」「私は読みにくさゆえに直木賞にふさわしくないと考えたが、選考会でこの作品を高く評価する声を聞き、――小説としては不足があるが、志は尊いな――と判断が少し変わった。」
伊集院静
男63歳
33 「小説の可能性という点で(引用者中略)推した。」「テーマへの挑戦がまず大前提にあり、民族衝突、人種差別、テロリズム、格差社会といったテーマと日本人、日本という国家がどう関っているのかを近未来という設定で挑んだ点を私は評価した。」「全体は行きつ戻りつ手探りの感はあるが、私たちが安易に目指している社会が壊れるという予兆は描けていると思った。」
林真理子
女59歳
7 「二度読み直したが、やはりよくわからなかった。イメージは素晴らしいが、よくこなれていない印象を持った。」
浅田次郎
男61歳
12 「よほど用心しいしい読んだつもりだが、理解不能というのが本音である。もしや新世代の作品を読む力がないのか、と怖くもなったが、やはり世代にかかわらず普遍的な理解度を持たぬ作品を評価することはできなかった。」
宮部みゆき
女52歳
86 「DX9は、楽器として流通させるために〈歌う〉機能を持たされ、少女の外見をし、甘ったるい声で舌っ足らずにしゃべる量産型のロボットです。」「人間が神に問いかけるように、DX9が人間に、「かほどの試練を与えるならば、なぜ我らを創り賜うたか」と問いかけてきても、何の不思議もありません。」「その問いへの答えを、私は見出せませんでした。この作品は、答えを求めて読むものではない。「我々は何者で、どこへ行こうとしているのか」を考えるためにあるのです。直木賞にこういう受賞作があってもいい――むしろあるべきだと思いましたので、強く支持しました。」
宮城谷昌光
男68歳
10 「(引用者注:「夜の底は柔らかな幻」とともに)ひとりよがりの印象がつよい。」「可視と不可視をもっと峻烈に描きわける必要があると感じた。」
渡辺淳一
男79歳
7 「(引用者注:「巨鯨の海」「ジヴェルニーの食卓」などとともに)それなりに目を引く作品」「一篇の小説としての安定感や説得力ではいささかもの足りないというのが、正直な実感であった。」
桐野夏生
女61歳
23 「面白い読書というのは、作者によって読者が試される経験でもあるのだ。この候補作は連作短編集と銘打ってはいるが、DX9というロボットを巡る長い旅の物語でもある。」「世界の移り変わりを「今」見ている者として、「今」この世に生きている者として、この作品は一番難しい仕事に挑戦している。」
北方謙三
男65歳
25 「読者の対象を自ら狭くしている、という印象があった。」「ただ精読していると、そこここに鮮やかな情景が立ちあがり、的確な文章でそれを描き出していると感じた。」「結論を言えば、私はこれをハードボイルドふうの小説として読み、その点では受賞に同意してもいいという気持になった。この文章で本格ハードボイルドを読みたいというのは、註文というわけでなく、読後に私が抱いた願望である。」
選評出典:『オール讀物』平成25年/2013年9月号
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大衆選考会 149回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
マリ本D 平成25年/2013年6月12日 受賞をすれば、「ハヤカワJコレクション」として、初の直木賞受賞作となるだけに、期待値は高い。
何より、前期『盤上の夜』で候補になっているという実力と実績がある。
受賞はともかく、候補作入りの可能性は高いかと。
マテラス・ヒミコ 平成25年/2013年6月22日 エンターテイメントでありながら、広い世界性と、深い芸術、思想性を持った、ジャンルを超えた現代の小説。
マリ本D 平成25年/2013年7月5日 すいません。ちょっとミスしてしまいました。

見事、「ヨハネスブルグの天使たち」候補入りということで。
次点で「夜の底は柔らかな幻」(恩田陸)と「望郷」(湊かなえ)を。
ただ、この3つの中から選ばれるのだったら、「望郷」が一番確率高いかも。
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文量
連作短篇集〔5篇〕
ヨハネスブルグの天使たち
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[未来]  南アフリカ・ヨハネスブルグ
登場人物
スティーブ(戦争孤児)
シェリル(オランダ系白人、スティーブの彼女)
ンコボ(情報工学のエンジニア)
PP2713(日本製ホビーロボット〈DX9〉の一機)
ロワーサイドの幽霊たち
章立て
「1」~「5」
時代設定 場所設定
2001年~[未来]  アメリカ・ニューヨークなど
登場人物
ビンツ(ウクライナからの移民、エンジニア)
父親(ビンツの父、行動分析学者)
モハメド・アタ(エジプト出身のアラブ人)
ジャララバードの兵士たち
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[未来]  アフガニスタン
登場人物
ルイ(本名・隆一)
ザカリー(アメリカ兵、ルイの護衛)
ナオミ・ヴァレンティン(犯罪捜査司令部〈CID〉准士官)
ハドラマウトの道化たち
章立て
「1」~「6」
時代設定 場所設定
[未来]  イエメン
登場人物
アキト(兵士)
ジャリア・ウンム・サイード(新宗教の女性教祖)
タヒル(DX9に人格転写したゲリラ組織幹部)
北東京の子供たち
章立て
「1」~「4」
時代設定 場所設定
[未来]  東京
登場人物
誠(セイ、中学生)
璃乃(誠の幼馴染み)





しょうこうぐん
『エクソダス 症候群』(平成27年/2015年6月・東京創元社/創元日本SF叢書)
大衆選考会 154回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
クバの葉 平成27年/2015年12月17日 近現代の人類にとっての精神医療史を俯瞰し、今後を考察するという難題を、火星を舞台にした読みやすいSF小説で実現した傑作。
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さいご じっけん
『アメリカ 最後の 実験』(平成28年/2016年1月・新潮社刊)
他文学賞 山本周五郎賞 29回候補 一覧へ
候補者 宮内悠介 男37歳
選考委員 評価 行数 評言
石田衣良
男56歳
31 「直木賞と山本賞、どちらが先にSFに賞をあげるか。その期待をこめて、ぼくは推したよ。」「問題なのは音楽をテーマにしているのに、音楽の感動や素晴らしさが伝わらないところだね。音楽を描くのは楽理の解説ではないはずだ。」「あとアメリカ最後の実験の本質がなんなのか、いくら読んでもわからなかった。」
角田光代
女49歳
35 「魅力的な人物が次々と登場し、(引用者中略)仕掛けも続々と投下されて、知らない場所に連れていかれるようで興奮した。」「けれど「アメリカ最初の実験」が登場するあたりから、だんだん小説が拡散してしまったように思う。」「私がいちばん残念に思ったのは、拡散しながらも一貫して登場する音楽が、まったく聞こえてなかったこと。」
佐々木譲
男66歳
40 「せっかく魅力的な謎の楽器「パンドラ」を設定し、音楽を科学としてたっぷり語りながら、ストーリーとディテールのほうぼうに既視感がある。」「「いかにも」のアイテムをどう組み合わせて独自の味付けの料理とするか、どんなカバーバージョンにするか、という部分が勝負の作品となる。」「ただこうした傾向の作品の場合、文学賞の候補作として読んだとき、なんとなく「弾道のきれいな二塁打」と感じられてしまうのだ。」
白石一文
男57歳
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唯川恵
女61歳
43 「ストーリーを的確に把握できなかったのは私の読解力の低さとしても、せめて本書の根底を流れる音楽の存在は感じ取りたかった。しかし、どうにも伝わって来ない。」「理解できなかった――これが正直な感想である。だからと言って、間違った読み方はしていないのではないかと思う。たぶん、作者は読み手を翻弄するためにこの小説を書いたのではないか。」
選評出典:『小説新潮』平成28年/2016年7月号
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その
「カブールの 園」(『文學界』平成28年/2016年10月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第70巻 第10号  別表記10月号
印刷/発行年月日 発売 平成28年/2016年9月7日 発行 平成28年/2016年10月1日
発行者等 編集人 武藤 旬 発行人 吉安 章 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社 DTP制作 株式会社ローヤル企画
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 296 表記上の枚数 表紙・目次 110枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 9~44
(計36頁)
測定枚数 114
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書誌
平成29年/2017年1月・文藝春秋刊『カブールの園』所収
平成29年/2017年4月・講談社刊『文学2017』所収
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芥川賞 芥川賞 156回候補 一覧へ
候補者 宮内悠介 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
吉田修一
男48歳
8 「「盤上の夜」などに比べて、作者の筆がどこか窮屈そうだった。もしその理由が「純文学」というバイアスからなのであれば、まったく逆である。もっと自由に、さらに大胆になってほしい。」
小川洋子
女54歳
11 「差別、いじめ、母娘の確執、ルーツとの出会いと断絶。(引用者中略)それらが実に巧みに織り込まれ、安定した作品に仕上がっている。ただその上手さが、私には弱さに感じられてならなかった。」
村上龍
男64歳
24 「わたしが予想したほど評価を得られなかった。」「この作品には、「目をそむけてはいけない、隠蔽された何かを抽出し、描き出す」という作者の意志を感じた。」「おそらく『カブールの園』に足りなかったのは、作品の構成・構図を凌駕する、奔放で不可解な数行の言葉ではなかったかと思う。だが、わたしは『カブールの園』を、「つまらない」とは思わなかった。」
高樹のぶ子
女70歳
31 「アメリカ在住の日本語が出来ない日系女性の心の転変を、日本語で書く、という難しい試みに挑戦している。日本語での表現と伝達無くしては「伝承」出来ないものがあり、それが異国で暮らした母と祖母、そして娘に、深いところでの断絶をもたらしていた。(引用者中略)主人公は仕事に復帰し、音楽のリミックスについてプレゼンする。リミックスとは一つの音楽を幾つもの音源に分解し再構築するテクノロジーで、過去の声も現代風に蘇らせることができる。暗示的だ。」
奥泉光
男60歳
19 「リーダブルな物語であることには危険がつきまとうので、本作について云うなら、主人公の女性と母親との確執というただならぬ問題が、物語を構築する目的で導入されたように見えてしまう――いや、小説は虚構なのであり、そうであるのは必然なのであるが、しかしなお、そう見せないだけの言葉の力が必要だと思われる。」
山田詠美
女57歳
20 「候補作の中で、もっともまとまっていて破綻がない。時々、上手だなあ、と感心する箇所もある。」「でも、何だろう、そつがなさ過ぎて物足りない。〈マイノリティがどう生きるかは、当の本人がきめるということだ〉……そうだけど。でも、それ、もっとずっと大変なことじゃない?」
宮本輝
男69歳
24 「私は(引用者中略)一番に置いたが、なにかが足りない。なにかが足りないというのは、評される側にとっては最も腹立たしい無責任な批判のされ方だと充分にわかってはいるが、そういう言い方しかないのである。」「作者は(引用者注:主人公が、日系人収容所に入れられた祖父母や同胞たちの痕跡に触れる旅について)旅人のように通り過ぎてしまう。その地で生きる人ではない旅人の目線だ。強く推せなかった第一の理由ということになる。」
堀江敏幸
男53歳
17 「彼女(引用者注:主人公)が少女時代に味わった、人種差別的な虐め、第二次大戦中に祖父母が捕虜収容所で体験した苦しみ、母親との不和と和解などが、広い視野をもって描かれる。ただ、マイノリティとして「伝承できないものを伝承する」ための切実な方法が、主人公が開発しているソフトの影響か、音楽パーツのリミックスのようにも見えてくる。」
島田雅彦
男55歳
34 「ハードボイルド・タッチのスタイリッシュな語り口で、随所にヒューモアをちりばめ、自身のゲノムに刻まれた情報を解読してゆくように、自分を見つめ直すことができれば、どんな薬もセラピーも不要になるだろう。」「作中人物はAIを搭載したアンドロイドのようにバグの少ないメカニズムによって動いているように見える。だが、ノイズだらけの古い人間の中には宮内と人間観を共有できない人も出てくるだろう。」
川上弘美
女58歳
21 「わたしがことにどぎりとしたのは、「日系人ではなく、日本人の目になっている」という文章。それだけしか書いていないのに、とてもたくさんのことを背後にひそませています。」「ただ、小説の中で提起されているいくつもの問題を解決しようと、作者は少しがんばりすぎてしまったかもしれない。」
選評出典:『文藝春秋』平成29年/2017年3月号
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かのじょ
彼女がエスパーだったころ』(平成28年/2016年4月・講談社刊)
収録作品
「百匹目の火神」「彼女がエスパーだったころ」「ムイシュキンの脳髄」「水神計画」「薄ければ薄いほど」「佛点」
 
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 38受賞 一覧へ
候補者 宮内悠介 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男67歳
19 「今回の候補作の中で、新しい世界をもっとも感じた」「解説、分析するのも拒むような奇妙な“熱のかたまり”が伝わって来て心地好かった。新人作家の作品を読んで、そう感じることは何度もあることではない。」
大沢在昌
男60歳
10 「才気が溢れている。実験精神の豊富な作者の筆は、ときに小説を作りそこねているが、それすらも思考実験に思えてくる。」「この作者以外には書きえない物語群ではあった。」「これを機会に、娯楽小説に腰をすえて挑んでいただきたい。」
恩田陸
女52歳
17 「私は個人的に氏の作品の中ではこれがいちばん気に行った。皮肉とユーモアのバランスに優れ、科学にまつわるもろもろについての深い洞察力が光り、才気と実力は疑いようもない。ただ、この体温の低さも作品にマッチしていて魅力だが、ひとつの作品としては弱いかなとも感じた。」
京極夏彦
男53歳
20 「オカルトとして斬り捨てられることもなく、雰囲気だけで持て囃され棚に上げられてしまったある時代のある世代の持つ空気感こそを“借り物”とし、作品の在り方そのものでそれを表現するという、かなり先鋭的な企みを感じる。そしてそれは成功している。作者は“記す”という行為の本質を問い、小説という表現の行き詰まりに疑義を投げ掛けている。ただし、それ故に届きにくい層もあることだろう。」
高橋克彦
男69歳
0  
選評出典:『小説現代』平成29年/2017年5月号
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直木賞 第157回候補  一覧へ

やまとなでしこ
『あとは 野となれ 大和撫子』(平成29年/2017年4月・KADOKAWA刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「の」「やまとなでしこ」
印刷/発行年月日 発行 平成29年/2017年4月21日(初版)
発行者等 発行者 郡司 聡 印刷所 旭印刷株式会社 製本所 本間製本株式会社
発行所 株式会社KADOKAWA(東京都) 形態 四六判 並製
装幀/装画等 装画 mieze ブックデザイン 鈴木成一デザイン室
総ページ数 381 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×21行
×1段
本文ページ 7~377
(計371頁)
測定枚数 745
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書誌
初出『文芸カドカワ』平成27年/2015年11月号~平成28年/2016年8月号
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候補者 宮内悠介 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男65歳
16 「登場人物に人間味が感じられず、既定のキャラクターを文章化しているようにも思えた。小説家として必要な資質をすべて備えた作者の居場所は、ここではないはずである。」
伊集院静
男67歳
5 「好きな作品であったが、この数年の作品の中では少々荒削りに思えた。」
北方謙三
男69歳
29 「私は面白く読んだ。いきなり誕生してしまった新しい政府は、女子高の自治会さながらで、物語に、なんとも言えない愛敬を与えた。そのまま進んで、愛敬などと言っていられない権力への変貌が描かれていたら、怖い小説になったという気がする。」「なんの理由もない歌劇の稽古が、やがて底知れない権力に変貌していく。権力そのものが、舞台で歌劇をやる。その空恐ろしさは、小説でしか描き得なかったものだろう、と思うのだが。」
林真理子
女63歳
17 「宮内さんのお書きになるものだ、さぞかし面白いだろうと思ったがそうでもなかった。切実さや暗さがない替わりにリアリティがない。」
桐野夏生
女65歳
13 「架空の国での出来事という設定が好きだ。しかし、少女たちが表面的で、なかなか深まっていかない。」「筆致は軽くても人物に陰影がないと、筋が機能しない。」
宮部みゆき
女56歳
38 「私は『あとは野となれ大和撫子』を推しました。」「読後感の重い候補作が揃っていたなかで、架空の砂漠の国で政治的冒険を繰り広げる聡明で元気な少女たちのお話は、まさにオアシスのようだったからです。」「中央アジアの政治情勢にはてんで無知で関心も薄かった私ですが、これからはワールドニュースで「アラル海周辺地域」などの言葉を聞いたら注目します。これは物語が日常という現実に働きかけ、何かをチェンジした証でしょう。」
東野圭吾
男59歳
28 「政治改革でも国際紛争でもいいから、破天荒に物語をかき回してくれたら文句なしだったのだが、大統領代行や国防相の主な仕事が芝居の稽古というのではがっかりしてしまう。」「しかし作者の博識ぶりと想像力の豊かさには感心した。」「悩んだ末、新しい才能の台頭を祝福する気持ちを込め、宮内さんの作品に○をつけた。」
宮城谷昌光
男72歳
7 「以前、その作風に多少なりとも言及したことがある。」
高村薫
女64歳
17 「賑やかに群像劇を描きながら、登場人物たちが誰ひとり存在の重みをもって立ち上がってこない。」「ある着想から巧みに舞台を構成しながら、そこに立つ人間をじっと見つめることはしない、新しい小説の可能性もないことはないと想像する。」
選評出典:『オール讀物』平成29年/2017年9月号
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文量
長篇
章立て
「1.塩の都」「2.水上の後宮(ハレム)」「3.マグリスラード攻防戦」「4.三人のミカエル」「5.二人のドミートリィ」「6.船の墓場」「7.あまねく生者のために」「8.レインメーカー」
時代設定 場所設定
2015年  中央アジア・アラルスタン(かつてのアラル海)
登場人物
ナツキ・ナシーム・トオミネ(後宮で学ぶ日系二世、孤児)
アイシャ・ファイシャル(後宮の若い衆のリーダー)
ジャミラ・クンディ・サドザイ(ナツキの友人)
ウズマ・ハリーファ(枢密院議長、後宮の主)
ナジャフ・ビン・ラシード(AIM〈アラルスタン・イスラム運動〉の幹部)
イーゴリ・フェルツマン(武器商人にして吟遊詩人)




「ディレイ・エフェクト」(『たべるのがおそい』vol.4[平成29年/2017年10月])
媒体・作品情報
誌名 「たべるのがおそい」  別表記表紙・背・目次 「文学ムック」併記
巻号 vol.4  別表記Autumn 2017
印刷/発行年月日 発行 平成29年/2017年10月15日(第一刷)
発行者等 発行人 田島安江 編集 西崎憲、田島安江 編集協力 佐々木孝、宮島亜紀 DTP 黒木留美(書肆侃侃房) 印刷・製本 アロー印刷株式会社
発行所 書肆侃侃房(福岡市)
総ページ数 169 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
25字
×20行
×2段
本文ページ 8~41
(計34頁)
測定枚数 74
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芥川賞 芥川賞 158回候補 一覧へ
候補者 宮内悠介 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女55歳
   
奥泉光
男61歳
   
川上弘美
女59歳
   
島田雅彦
男56歳
   
高樹のぶ子
女71歳
   
堀江敏幸
男54歳
   
宮本輝
男70歳
   
村上龍
男65歳
   
山田詠美
女58歳
   
吉田修一
男49歳
   
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