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宮城谷昌光
Miyagidani Masamitsu
生没年月日【注】 昭和20年/1945年2月4日~
在任期間 第123回~(通算17.5年・35回)
在任年齢 55歳4ヶ月~
経歴 本名=宮城谷誠一。愛知県生まれ。早稲田大学文学部卒。師に立原正秋がいる。
受賞歴・候補歴
個人全集 『宮城谷昌光全集』全21巻(平成14年/2002年11月~平成16年/2004年7月・文藝春秋刊)
直木賞候補歴 第104回候補 『天空の舟――小説・伊尹伝』(上)(下)(平成2年/1990年7月・海越出版社刊)
第105回受賞 『夏姫春秋』(上)(下)(平成3年/1991年4月・海越出版社刊)
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part2
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 意欲とこころみ 総行数111 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男55歳
候補 評価 行数 評言
男31歳
24 「小説を書くという作業にあらたな課題をあたえ、何かを越えようとするこころみが感じられた」「すぐれた作家のみがかならずもっている憎悪が底辺にめだたないようにあり、この憎悪の管理が疎漏なくなされているがゆえに、人間の愛ややさしさが小説世界のすみずみにしみわたってゆくのである。」
宇江佐真理
女50歳
33 「小説を書くという作業にあらたな課題をあたえ、何かを越えようとするこころみが感じられた」「おもしろい小説を書きたい、という初志を喪っていないように感じられた。その時代における認識の甘さや語法の不備など、問題点はすくなくないが、私には初志を遵守してゆく姿が美しければ、それだけで打たれる。」
真保裕一
男39歳
28 「小説を書くという作業にあらたな課題をあたえ、何かを越えようとするこころみが感じられた」「作為の跡が消されておらず、人間関係もぎごちないが、この作家の精神の中枢にはたぶん変化と成長があり、自身を甘やかさない厳しさがあるとみて、好感を懐いた。」
男56歳
20 「作品にある内的方向性の用いかたを私は学ばせてもらったような気がしている。」「氏が置いてゆくことばが象を描くのが早すぎはしないか。両者の距離が短すぎると色あいを内含するゆとりをもたず、さらに語がおなじ方向をむいてしまっているので、単調さを産んでしまう。」
  「この賞が功労賞ではなく新人賞であり、この賞の受賞がその作家にとって飛躍のための翼やスプリングボードになってくれればよく、そのための選考である、と自分にいいきかせて候補作品を読んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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直木賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 可視と不可視 総行数103 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男55歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
15 「氏の文章はまことに読みやすいが、やはり映像先行型であり、ことばを隷属化している。自己への徹底的な問いかけが不足しているせいではあるまいか。氏が沈黙することばに気づいたら、どれほどすばらしい作品を産むであろうか。」
男37歳
15 「ふと気づいたことは、時間的に遠い出来事を語ると清涼感がおのずと生じている、ということである。氏の小説空間におかれている人と物との距離が短すぎて息苦しい。その点「母帰る」は従来のものとはちがった気のながれがあって、ほっとさせられた。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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直木賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 悟性の活用 総行数114 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男56歳
候補 評価 行数 評言
男51歳
114 「悟性によって決定された語句は、作品自体がもっている原理を超越するという特徴をもち、藤田氏の作品のみがそれを有し、他の作品は自身の原理にとどまっている。つまりそれは藤田氏のみが、作家としてではない生活をもおろそかにせず、周辺を凝視し観察してきたということである。」「藤田氏はちかごろの作家にしてはめずらしく風景描写をする。(引用者中略)風景にさわった手をひきもどす力が弱いようである。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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直木賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 軽みについて 総行数100 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男56歳
候補 評価 行数 評言
黒川博行
男52歳
12 「小説家としての努力の痕跡があり、その賢明さに感心させられた。作品は賞に手がとどいていたと私は感じたが、その手は賞をつかむことができなかった。が、握力の差をあまり深く考えないほうがよい。」
男53歳
20 「山本一力氏には、内なる力があり、その力がおのずと求めた小説様式が、素直に展開されたことで、読むほうも素直になれたという事実がある。私は氏の作品を読みすすむにつれて、良い人情噺が書ける作者があらわれたな、という実感を強くした。作品が人の胸を打つということは、そこに真実がある、ということにほかならない。」
女46歳
19 「謬舛の多い私の読解の目には、その軽みに文学的な非凡さや時代的な個性が映らなかった。すなわち受賞作品は氏の最大限の表現に到達したものであったのか、疑問が残る。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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直木賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 意欲と表現 総行数110 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男57歳
候補 評価 行数 評言
奥田英朗
男42歳
30 「まえの候補作品の『邪魔』には隠微な笑いがあった。が、今回は笑いが顕現した。」「それは氏のなかにバランスのよい客観性が生じたからであろうと推察している。克己があったのではないか。ゆえに、氏は読者に一歩も二歩も近づいたのであり、小説の愉しさが幅をひろげたのである。」「これほどの才能が受賞という光を浴びなかったのは、解せず、私は廓如とした気分になった。」
男49歳
19 「用心深い作品であるように感じられた。」「その作品(引用者注:「蔓の端々」)からこの作品まで、氏は何かをつらぬいてきたのであり、その努力と研鑽は私の想像のおよばぬものであろう。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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直木賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 虚構の振幅 総行数98 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男57歳
候補 評価 行数 評言
奥田英朗
男43歳
13 「こういう平凡なテーマを、こういう気どらない筆致で書いたのは、作者がいかに挑戦的であったかということである。虚構の振幅のほどのよさは、絶妙とさえいえる。読者はそれにおどろかねばならぬ。それにもかかわらずこの作品に賞という冠が置かれなかった事実をどう解したらよいのか。」
  「すべての候補作品を読み終えたあと、まだ一、二の作品を読んでいないような、ものたりなさをおぼえたのであるが、それはおそらくどの作品も読む側の感覚を刺激する圭角をもっていなかったことによるのではないかとおもっている。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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直木賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 ことばと物 総行数101 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男58歳
候補 評価 行数 評言
真保裕一
男42歳
36 「創作の基盤に感動がすえられていたのが真保裕一氏の「繋がれた明日」であることは瞭然としている。」「むろん小説の良否は修辞に大きくかかわり、主題の堅牢さは修辞のまずさによって湮没させられてしまう。しかし真保氏の創作の姿勢と手順は正しい。ところどころ虚構の素肌が露呈しているが、そんなことを嗤われても、まったく気にする必要はない。この小説には真実があると私はみた。」
男43歳
43 「その実績が認められ(引用者中略)ての受賞である、と私は理解した。」「過去の候補作品の上にこの作品が積まれて峻竦した観がある。この作家にはもともと純気があり、風俗を描いてもけがれるおそれのない人ではあるが、それだけに淡白さがあることに私は不満をおぼえていた。この作品からは淡白さを感じず、都会の情緒を感じた。」
女39歳
17 「その成長が賛嘆されての受賞である、と私は理解した。」「それは多くの選考委員が村山氏の旧作を丹念に読んでいる証左であり、それは村山氏の幸運でもあろうが、作家としての徳というものでもあろう。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号
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直木賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 文体について 総行数87 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男58歳
候補 評価 行数 評言
男40歳
17 「文体とは言語の生活形態であり、そこに特徴がないのは、創作力の肥沃さにつながりにくい。(引用者中略)「後巷説百物語」には、ぬきさしならない文体があり、小説というものはそこまできてはじめて良否を問うことができるのである。」「(引用者注:他の候補作は)京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
女39歳
6 「京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
  「小説は平面に文字を置いてゆく作業によって完成されるが、全象は構築物のようでなければならず、しかしながら今回の作品は平面にとどまっているものが多いことに不満をおぼえた。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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直木賞 131 平成16年/2004年上半期   一覧へ
選評の概要 作品の佳さと巧さ 総行数90 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男59歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
34 「私のなかでは「イン・ザ・プール」も「マドンナ」も、奥田英朗氏の作品は、直木賞を受賞するにふさわしいものであったので、今回、「空中ブランコ」が候補作品として眼前にあらわれたとき、――まだ奥田氏は受賞していなかったのか。と、倦怠をともなったおどろきをおぼえた。」「(引用者注:「イン・ザ・プール」より)評価が漸進していたので、ほっとした。」
男46歳
46 「文体に遺漏がない。それに感心しつつ、さらに読みすすむと、その文体を絶賛するわけにはいかなくなった。」「ここにある通俗性がまったく新奇さをもっていないことが問題なのである。」「私は通俗性が悪いといっているわけではなく、構成力をそこなうような通俗性は、せっかくの文体さえ単なる話術にみせてしまう毒をもっているということである。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
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直木賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 作家の胆力 総行数118 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男59歳
候補 評価 行数 評言
福井晴敏
男36歳
61 「感心した」「氏の小説はあとあじがよい。」「氏はあわててまにあわせのことばを捜しにゆかないところがよい。それは作者の胆力をあらわしている。」「もっとも私が重視したのは、小説空間の表層と深層のつかいわけのうまさであり、ことばを熟知していなければ、それができるはずもなく、もっといえば一語にある深浅がわからなければ、氏の小説のすごみを洞察できるはずもない。」
女37歳
50 「角田氏の小説には、おどろくべき素直さと首をかしげたくなる圭角がある。」「『空中庭園』においてもそうであったが、理性的な意義をみつけにくい整理と組み合わせがなされていて、むしろそれは生理的なものではないか、と疑ったのである。あえていえば、性癖が露呈している。」「今回の作品では、氏の手法によって情景は額縁のなかにおさまるが、じつは読む側の感情がそのなかにおさまらないという体験をした。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年3月号
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直木賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 人称の問題 総行数101 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男60歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
50 「朱川氏の作品は品が良い。」「前回の候補作品は良家の子女がなにもせずに行儀よく椅子に腰をおろしているような文体であったので、私には不満であったが、今回は挙止が明確になった。愕くべきことに、朱川氏の作品には、そこはかとないユーモアがある。」
  「『ベルカ、吠えないのか?』をのぞいて、六作品はすべて一人称を主語としている。」「プロの作家が書く小説では、一人称を主語とすることは、その構造のなかに社会を展開することを拒否する奇形といってよく、作者の恣意を抑制する力があらかじめ排除された世界を提示することになる。」「今回、自分勝手としかおもわれない作品があったので、この傾向が熄むまで、一人称を主語とする候補作品に寛容をしめすことをひかえたい。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年9月号
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直木賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 合理と不合理 総行数86 (1行=13字)
選考委員 宮城谷昌光 男60歳
候補 評価 行数 評言
荻原浩
男49歳
18 「いわゆる小説らしい小説とは、荻原浩氏の「あの日にドライブ」しかなかったといってよいのに、推したのが私ひとりであったのは意外であった。作者の意匠的肚のすえかたは尋常ではない。」「作者のすぐれた自制力と偏曲しない感性がみえるようであり、そのため小説の風景がゆがんでみえない。」
男47歳
14 「他の候補作品は力感において東野氏のそれに及ばなかったということに尽きる。」「閉じられた合理のなかで物語が展開し、読者のなぜという問いかけはうけつけず、作者の自問自答で終始する。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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直木賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 さまざまな課題 総行数112 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男61歳
候補 評価 行数 評言
女29歳
6 「他の選考委員の評にゆずる。私は(引用者中略)好意をもって読んだ。」
女38歳
6 「他の選考委員の評にゆずる。私は(引用者中略)好意をもって読んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年9月号
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直木賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 小説世界の重力 総行数121 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男61歳
候補 評価 行数 評言
  「今回、ひさしぶりに受賞作がでなかったが、その理由は容易に推察されるであろう。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号
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直木賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 知識と構成力 総行数90 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男62歳
候補 評価 行数 評言
三田完
男51歳
14 「いわゆる巧い小説で、知識、構成力、言語感覚などが上級である。小説がもっている情報量も豊富で、しかも正確であるように感じられたので、衒学的であるとはおもわなかった。しかしながら上手の手から水が漏るところがあり、推しきれなかった。」
女53歳
53 「その構成力に作者の肚のすえかたがまざまざとみてとれる。とはいえ、読者に有無をいわせぬ語りの連続に、私は辟易した。」「作品と読者の距離がありすぎる。ただしその距離に、作者の自尊の高さがある、と感じられるが、それが志の大きさであろうとはいいにくい。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年9月号
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直木賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 受賞作品と今 総行数104 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男62歳
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男57歳
8 「『警官の血』の構成と描写には、瑕がすくないようにおもわれた。設計図をもとに、基礎工事も手ぬきなくおこなわれて、建てられた家を想えばよい。」
女36歳
16 「(引用者注:「約束の地で」より)全体が明瞭ではあるが、明瞭でありすぎて、おもしろみが希薄となった。小説の構成の失敗があったと私はみるが、どうであろうか。わざわざわかりにくい小説を書く必要はないが、作者のエネルギーを蓄積し、噴出させるための陰翳をもうすこし長く保持しておいたほうがよい。」
  「いまや小説というものが旧慣に満ちているとはいえ、やはりなんらかの新風を感じたい。桜庭一樹氏の幻想的作品が受賞した理由は、そこにあるかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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直木賞 139 平成20年/2008年上半期   一覧へ
選評の概要 覇気不足 総行数93 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男63歳
候補 評価 行数 評言
女47歳
20 「品の悪くない小説であるが、全体が平面的で、人と物の厚みも不足している。」「ときどきいらいらする。リズムに弱点がある。」「人が人を好きになるという新しい形態を示している点で、その(引用者注:受賞の)決定に異存はないが、さらに大きな作家になるためには、自制の外へ踏みだす足が欲しい。」
  「候補作品全体についていえば、覇気が足りない。小説における覇気とは、その作品の著者の志の高さと小説を構成する力とに関係する。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年9月号
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直木賞 140 平成20年/2008年下半期   一覧へ
選評の概要 ひとつの非凡 総行数126 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男63歳
候補 評価 行数 評言
道尾秀介
男33歳
38 「最初から読んでも、最後から読んでも、意味はかわらないという仕掛けは、小説内の瑣末な描写にだけあったわけではなく、全体の構成にかくされていたのである。こういう知的な作業がなされた小説はめったにあらわれるものではない。非凡である、とあえていっておく。」
男48歳
22 「現代の陰の事象をことごとく直視してゆく勇気をもったものである。が、多少説明的であり、近視眼的である。今あるいは現代がもっている負の要素にこだわりすぎている。」「残念ながら、この小説には夾雑物が大きすぎる。」
男52歳
17 「建てられた物、作られた物に、作り手あるいは所有者の精神を視る目を、作者がそなえているにせよ、こと小説に関しては、この作者は人を内から建てていないことに手法上の欠陥がある。」
  「直木賞の選考会にもっとも近い日まで読んでいた候補作品が、もっとも印象が強くなるので、なるべく早く全作品を読み終えて、すくなくとも選考会まで二日のゆとりが欲しい、とつねにおもい、実際にそうしてきた。」「不公平さを自分のなかで匡す時間が要るのである。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号
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直木賞 141 平成21年/2009年上半期   一覧へ
選評の概要 後楽の思想 総行数97 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男64歳
候補 評価 行数 評言
男59歳
50 「優雅さの対称となる醜悪さが淡白すぎて、その時代がもっているぬきさしならない悪の形がみえてこない。それゆえに作品の特性である優雅さが弱く、小説の構造も凡庸なものと映ってしまう。」「小説内の知識と認識における度合もぬるい。この程度では、読者はおどろかないし、喜びもしない。」「氏に再考してもらいたいことはすくなくないが、「後楽」の思想だけは小説家として肝に銘じて書きつづけてもらいたい。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号
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直木賞 142 平成21年/2009年下半期   一覧へ
選評の概要 新味を望む 総行数112 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男64歳
候補 評価 行数 評言
池井戸潤
男46歳
27 「最近の直木賞候補作品ははっきりいってパワー不足で、表層のつくろいに終始している作品が多い。ところが氏の作品は力動感にあふれ、パワーに関しては群をぬいている。しかしながら私が氏の作品を推しきれなかったのは、ひとつに文章の問題があったからである。この文章に新味はない。」
男59歳
27 「氏の『警官の血』が、押した作品、であるとすれば、これは、引いた作品、である。私はまえに『警官の血』が受賞作品になってよいとおもっていたので、それと合わせれば、この作品が受賞してもかまわないが、切り離して考えるべきだといわれれば、ものたりないというしかない。ただし作家としての習熟度は氏がもっとも高い。」
男51歳
18 「自己を嫌悪するのであれば、もっと細部にあるいは恥部に精密な描写をほどこすべきだ。そこを徹底せずに切り上げたという感は否めない。」
  「私は候補作品を読むまえに、もしかすると画期的な文体を目にすることになるのではないか、と期待するのが常である。が、この期待は裏切られつづけたといってよい。これは新しい作家たちが厳しく激しい自己否定を経ていないからであり、究極の孤独を体験していないがゆえに、真の共感を知らないせいではあるまいか。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
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直木賞 143 平成22年/2010年上半期   一覧へ
選評の概要 小説の工夫 総行数93 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男65歳
候補 評価 行数 評言
乾ルカ
女40歳
25 「注目した」「この作品には、過去と現在、生と死が織り込まれており、いわばモザイクのような形式になっている。しかしきれいに混乱は避けられており、それだけでも氏の才能が尋常ではないとわかる。」
女46歳
26 「(引用者注:「リアル・シンデレラ」とともに)過去を描写する上で、作者以外に作中に話者を立てたという点で、構成は似ている。(引用者中略)私の印象ではただ単にリアリティが遠ざかっただけで、予想もしなかった大きな何かを与えられたとはおもわれなかった。」「小説世界にある人と物を、読む側に立って、手で触れたという実感がなかった。」
  「各候補作品から、小説の工夫というものが強く感じられた。これは、それぞれの作者が従来の小説のありかたに疑念をもち、新しい小説の方向性を探ろうとしているあかしであろう。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年9月号
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直木賞 144 平成22年/2010年下半期   一覧へ
選評の概要 小説の進化 総行数136 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男65歳
候補 評価 行数 評言
男35歳
33 「今回の候補作品のなかで、文体への配慮がなされているものは、(引用者中略)『月と蟹』だけであるとみた。しかし、この作品は、極端にいえば、自問自答集である。」「描写のこまやかさが精彩をもたない。さらに子供たちが独自に作る世界も、ほんとうの独自性をもっておらず、おどろきがない。」「それはそれとして、道尾氏の小説が候補作品となる回数はふえた。そろそろ直木賞というステージを通過させてあげたい。」
女43歳
30 「文章が有機的ではなく無機的であるがゆえに、ニュアンスがとぼしい。小説のニュアンスには、人が生きている色や様、あるいは人と人との関係の綾などがあらわれるものであるが、そこのところが単調である。」「二度とないその時、その時にしか生きられない人、という実態が、十全なかたちで読み手にとどかない。」
  「私は、小説には文体があるべきだ、とおもっており、新しい小説には新しい文体が必要だ、と信じているひとりである。最近の直木賞候補作品では、文体への意識を感じさせるものが、じつにすくない。」
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年3月号
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直木賞 145 平成23年/2011年上半期   一覧へ
選評の概要 作品の底辺 総行数116 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男66歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
28 「人や組織がもちうる力には、大、中、小がある。ところが中以下の力しかもたないものが、大の力にまさる、あるいは比肩するためには、量ではなく質において、こころみるしかない。氏の『下町ロケット』の主題は、そこにあるとおもう。それはじつは日本国内の人と企業の力関係に限定する話ではなく、世界における日本の現状を想うべきであろう。氏の作品はそれを教えている。私は、この作品が受賞してよい、という考えをもって選考会に臨んだことをつけくわえておく。」
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年9月号
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直木賞 146 平成23年/2011年下半期   一覧へ
選評の概要 おどろき 総行数121 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男66歳
候補 評価 行数 評言
男60歳
29 「小説としては、風致にすぐれ、ずいぶん目くばりがよく、瑕瑾も減ったが、惜しいことに、おどろきがない。」「良く書けている、というのは、創作へのほめことばにならないときが多い。氏は、「人を愛する」という点において、デモーニッシュな面をもっており、それが作品のバランスをくずしたことがあるので、自制し、自粛したのかもしれないが、行儀のよさは魅力にはならない。むずかしいところである。」
選評出典:『オール讀物』平成24年/2012年3月号
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直木賞 147 平成24年/2012年上半期   一覧へ
選評の概要 呼応する力 総行数100 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男67歳
候補 評価 行数 評言
女32歳
9 「心理的トリックをつかった作品で、したたかではあるが、少々ずるい、とおもわれた。他人にとってたいしたことではないのに、自分にとっては重大事、ということは、ままある。」
  「候補作品をすべて読み終えたところで、今回は構成力をそなえた作家がそろった、という好印象をもった。作品を構成するということは、作品内の表現と連結するというのが創作の基本であり、両者が呼応しあった作品は、平板にならない。」
選評出典:『オール讀物』平成24年/2012年9月号
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直木賞 148 平成24年/2012年下半期   一覧へ
選評の概要 創作のマナー 総行数100 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男67歳
候補 評価 行数 評言
男57歳
14 「長谷川等伯の情熱とかれの子の久蔵の顕揚欲が旺盛であるがゆえに、危うい、という感じが、よく描けていた。それでもこの作品には、わかりにくいところがいくつかあり、読了するまでに、何度か立ちどまったことはたしかである。」
男23歳
6 「構成における弾性のなさに不満があったが、ここでは賀を献じておきたい。」
選評出典:『オール讀物』平成25年/2013年3月号
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直木賞 149 平成25年/2013年上半期   一覧へ
選評の概要 文章力 総行数98 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男68歳
候補 評価 行数 評言
女48歳
49 「文章の技法面だけでいえば、他の候補作品は桜木氏のそれにとても及ばない。ゆえに、桜木氏の作品が最上で、受賞作品としてよい、とおもわぬでもなかった。が、小説とはやっかいなもので、文章がすべてではない。桜木氏はすぐれた料理人のようなもので、どこにでもある材料で旨い料理をつくりあげてしまう。」「他の候補作品は素材が厳選されて(引用者中略)他の作品に流用や応用の効かないものである。じつは小説とはそうあるべきで、(引用者中略)そうでなければ、独特さがない、ということになる。」
  「小説の基本が文章にある、という考えは、昔も今も私のなかでは変わらない。」
選評出典:『オール讀物』平成25年/2013年9月号
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直木賞 150 平成25年/2013年下半期   一覧へ
選評の概要 作中人物の立ち位置 総行数46 (1行=27字)
選考委員 宮城谷昌光 男68歳
候補 評価 行数 評言
女54歳
13 「幕末の水戸の天狗党に加わった人々の妻子が、どのように処罰されたか、詳細に書かれていて、感心させられただけに、すっきりとした語りが欲しかった。この作者は措辞もしっかりしており、ひねりすぎたところが、もったいない。」「(引用者注:「昭和の犬」と共に)作品には、力がある。それは認めざるをえない。」
女55歳
12 「作中人物の立ち位置がよい。そういう人の立たせかたをすると、物も動物も生きてくる。」「しかしながら、この小説には落としどころが決められており、そこへのながれがあきらかになるにつれて、人と動物と物がもっていた圭角が失われていったような気がする。俗ないいかたをすれば、もっととげとげしくてよかったのではないか。」「(引用者注:「恋歌」と共に)作品には、力がある。それは認めざるをえない。」
選評出典:『オール讀物』平成26年/2014年3月臨時増刊号
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直木賞 151 平成26年/2014年上半期   一覧へ
選評の概要 ことばへの敬意 総行数96 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男69歳
候補 評価 行数 評言
伊吹有喜
女45歳
47 「ストーリー優先主義の小説では、風景描写はよけいなもの、小説のながれを阻害するものであるとおもわれがちだが、その考えは小説世界の幅をせばめ、奥ゆきを失わせる、と私はおもっている。(引用者中略)その風景描写が的確におこなわれている」「文章も浸潤性をもっており、その文章が解体されて、ことばに還ったとしても、生色を失わないであろう。」
男65歳
14 「以前読んだ『国境』とくらべると、小説世界のスケールが縮んだという感は否めないものの、独特なペーソスがあり、それに色づけされた小説内の風景に棄てがたいものがあった。私はこの作家の作品が嫌いではないが、賞となれば、どうであろう。」
  「所詮、小説はことばから発してことばに還るものだ、とおもっている。そのことばの構築の美が文章であるが、ちかごろそういう美しさを感じさせてくれない小説が多い、というのが実感である。」
選評出典:『オール讀物』平成26年/2014年9月号
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直木賞 152 平成26年/2014年下半期   一覧へ
選評の概要 花の有無 総行数98 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男69歳
候補 評価 行数 評言
女37歳
13 「過去に『ふくわらい』というすぐれたものがあり、私の胸裡にそれがあったので、今回の『サラバ!』に大いに期待したが、落胆のほうが大きかった。自伝的とおもわれる要素にひきずられて、主題がぼけた。小説的均整が悪い。これが氏の小説か、と疑いたくなるほど理知的なものを感じなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成27年/2015年3月号
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直木賞 153 平成27年/2015年上半期   一覧へ
選評の概要 新しい風 総行数98 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男70歳
候補 評価 行数 評言
男46歳
20 「ことばを慎重に選ぶのではなく、手あたりしだいに集めて詰めてゆけばなんとかなるというずぶとさがみえて、めずらしかった。しかしながら、台湾という小国がもっている不断の不安が通奏低音的にながれていて、その上での事象のあやうさが、おのずと読み手にしみてくる。私は新しい風を感じた。」
澤田瞳子
女37歳
29 「この作家は上達したというしかない。節度のある比喩を用いていることにも感心した。」「この作品を読んで、いやな感じをうける人はほとんどいないであろう。そこに作者の風致をみたとおもうのだが、称めすぎであろうか。」
選評出典:『オール讀物』平成27年/2015年9月号
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直木賞 154 平成27年/2015年下半期   一覧へ
選評の概要 構成力 総行数105 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男70歳
候補 評価 行数 評言
男67歳
13 「落ち着きのある筆致で書かれてはいるが、内容はそれほど静かなものではない。読み手の意表を衝く機知がそなえられている。藤沢周平作品より基本的に明るいのは、知と情のちがいであろう。この人は、芸術的であるというより哲学的である、と私はおもっている。」
  「今回の候補作品の作者は、ひとりを除いて、すべて女性である。これは風潮というだけではかたづけられない問題であり、書く側だけではなく読む側に変動が生じていることを予告しているようにおもわれる。」
選評出典:『オール讀物』平成28年/2016年3月号
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直木賞 155 平成28年/2016年上半期   一覧へ
選評の概要 誠実さの下にあるもの 総行数102 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男71歳
候補 評価 行数 評言
男60歳
24 「私は氏のほかの候補作品よりもその作品(引用者注:『あの日にドライブ』)に愛着があるがゆえに、新しい目で氏の作品を正視できない弊習のなかにいるのかもしれない。今回の『海の見える理髪店』は、つくりものの気配が濃厚に残っているため、小説世界に素直にはいってゆけない。それでもこの短編集はテーマの流用などはなく、その誠実さには好感がもてる。」
  「秀抜な作品はなかったといわざるをえないが、この直木賞が新人賞の性格をもっている以上、究極の名作を求める作業をする必要はなく、みどころのある作者にスプリングボードを提供するだけでよい、という考えかたをしても、さしつかえあるまい。」
選評出典:『オール讀物』平成28年/2016年9月号
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直木賞 156 平成28年/2016年下半期   一覧へ
選評の概要 作品の力 総行数114 (1行=12字)
選考委員 宮城谷昌光 男71歳
候補 評価 行数 評言
女52歳
35 「(引用者注:これまで)氏の候補作品が手もとにとどけられるたびに、他の候補作品とはちがう俎を用意しなければならなかった。おなじ俎上に乗らないわけは、作品そのものが比較されることを拒絶していたからである。」「ところが今回の『蜜蜂と遠雷』を読みはじめるとすぐに、ようやくおなじ俎上に乗った、と安心した。これは氏の許容量が大きくなったあかしであろう。」「氏の作曲家論や音楽作品論について、読書中に、異論をとなえたり反駁したりしたが、あとで考えてみれば、そういうことばを誘発させるほど作品に力があったということであろう。」
選評出典:『オール讀物』平成29年/2017年3月号
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直木賞 157 平成29年/2017年上半期   一覧へ
選評の概要 総行数未 (1行=字)
選考委員 宮城谷昌光 男72歳
候補 評価 行数 評言
男61歳
   
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