直木賞のすべて
第145回
  • =受賞者=
  • 池井戸 潤
受賞作家の群像 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
候補作家の群像
選考委員の群像
選評の概要
小研究
大衆選考会
マップ

受賞作家の一覧へ
前の回へ後の回へ
Last Update[H28]2016/3/15

池井戸潤
Ikeido Jun
生没年月日【注】 昭和38年/1963年6月16日~
受賞年齢 48歳0ヵ月
経歴 岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部人間関係学科、法学部法律学科卒。昭和63年/1988年、旧三菱銀行に入行。退社後、コンサルタント業のほか、ビジネス書の執筆を手がける。平成10年/1998年「果つる底なき」で第44回江戸川乱歩賞受賞。
受賞歴・候補歴
備考
  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



エム・ワン
M1』(平成12年/2000年3月・講談社刊)
書誌
>>平成15年/2003年3月・講談社/講談社文庫『架空通貨』に改題
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他文学賞 吉川英治文学新人賞 22回候補 一覧へ
候補者 池井戸潤 男37歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男49歳
2 「アイデアばかりを集積させた感を否めなかった。」
阿刀田高
男66歳
3 「経済小説としての野心をおおいに買ってはみたが、人物が立っていないし、ややこし過ぎる。」
伊集院静
男51歳
7 「導入の巧みさに期待を持って読みすすめたが、中盤以降、私が想像していたものより安易に人間たちが片付いてしまった。氏は一度、人間と金の問題にじっくり向き合ってはどうか。」
北方謙三
男53歳
4 「銀行の内部描写などこの作者にしか書けないものだと感じられた。人物設定がやや安易で、絵空事を突破する迫真力を感じさせるまでに到らなかった。」
高橋克彦
男53歳
0  
林真理子
女46歳
0  
選評出典:『群像』平成13年/2001年5月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



直木賞 第136回候補  一覧へ

そらと
空飛ぶタイヤ』(平成18年/2006年9月・実業之日本社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「そらと」
印刷/発行年月日 発行 平成18年/2006年9月25日(初版第1刷)
発行者等 発行者 増田義和 印刷所 大日本印刷 製本所 ブックアート
発行所 株式会社実業之日本社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装丁・CG 鈴木正道(Suzuki Design) カバー写真 MITSURU YAMAGUCHI, Doable / A collection / amana
総ページ数 489 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
25字
×21行
×2段
本文ページ 7~489
(計483頁)
測定枚数 1268
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>初出『月刊ジェイ・ノベル』平成17年/2005年4月号、6月号~平成18年/2006年9月号
>>平成20年/2008年8月・実業之日本社/Jノベル・コレクション『空飛ぶタイヤ』
>>平成21年/2009年9月・講談社/講談社文庫『空飛ぶタイヤ』(上)(下)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 池井戸潤 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男72歳
22 「いちばんいい点をつけて選考会に臨んだ。」「まことに古典的な物語設計だが、しかし細部が新鮮である。」「「文学的香気に乏しい」という批判の火が燃え上がり、評者はこれに十分に反駁できなかった。今は評者の力不足を嘆くばかりである。」
林真理子
女52歳
6 「難のない達者な作品であるが、こう新しいタイプの小説が並んだ今回の選考会ではいかにも不利であった。」
渡辺淳一
男73歳
8 「どこといって悪いところはないが、はっきりいってつまらない。ちょうど、音符どおり正確に唄う歌がつまらないように、小説的なふくらみに欠ける。」
平岩弓枝
女74歳
17 「もっとも力があると思った」「登場人物がよく描けている。」「力なき蛙でもここまでやってのけられるという作者の思いが読者をゆり動かす。企業小説を超えた優秀な作品といえる。」
阿刀田高
男72歳
17 「読みやすく、充分におもしろい。」「サラリーマン諸氏がみずからの仕事のあいまに、――こんなもんだよな、企業社会は――と同感を覚えながら、ひとときの読書を楽しむには恰好の内容となっている。私はそれを“よし”としたが、直木賞の文学性という、きびしいテーゼを問われると、不足がないでもない。」
北方謙三
男59歳
22 「構成力がいいし、ストーリー展開に緊迫感がある。」「ただ、登場人物がみんな、ほんとうにこうだろうな、と思わせる描かれ方で、意外な存在感で読者を圧倒してくる脇役がいなかった。リアリティがあるところに留保をつけられるのは、作者にはいい迷惑だろうが、」
宮城谷昌光
男61歳
6 「けれんなくひた押しに押す筆致に好感をもった。」
五木寛之
男74歳
0  
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他文学賞 吉川英治文学新人賞 28回候補 一覧へ
候補者 池井戸潤 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男55歳
5 「実に読ませる作品であったが、膨大な数の登場人物に未整理の感が否めなかった。しかしこの種の社会派小説の書き手は、まことに貴重な存在である。」
伊集院静
男57歳
19 「新人が常にかかえる文章の不安定さや小説としての破綻をすべてクリアーしている」「ただ私は巨悪に立ち向かう主人公に物足りなさを感じた。悪いものは悪い、という悪の箇条書きが並べられているように思えた。」「現代の事件をテーマにした時、マスコミの目では届かぬ裏面、深層部を掴み取る、作家の目と魂を見せて欲しい。しかし氏の力量は並の力ではない。」
大沢在昌
男50歳
12 「私は一番に推した。登場人物がすべてステレオタイプだという批判は、この作品に限っては当たらない。」「どこにでもいそうな人間ばかりを使って、困難への挑戦と勝利を描ききった池井戸さんの力量は本物である。誰もが想起するであろう現実の事件を題材にしたことが、マイナスになった面はある。が、それを次作では払拭できる力を、池井戸さんは蓄えている。」
高橋克彦
男59歳
13 「(引用者注:「赤朽葉家の伝説」とともに)ことに議論の対象となった」「山の作り方と話の出し入れが抜群に上手い。が、私は最後の作り方に不満を感じた。もっと小説的に綺麗に拵えていいのではないかと思った。」「これでは不完全燃焼という思いが拭えない。」
宮部みゆき
女46歳
51 「傑作です。ただ、ある一点に引っかかりを感じて、私は強く推しきることができませんでした。」「大筋では、この筋書きこそが三菱自動車リコール隠し事件の経緯と決着点なのではないかと、私は思ってしまったのです。」「なぜこの小説を書こうと思ったのか。なぜ、現実にはいない赤松社長に、この小説を創ることで命を与えようと思ったのか。(引用者中略)それがわかる平易な言葉がほんの一ページでも存在していれば、(引用者中略)現実の事件から解き放たれ、フィクションとして独り立ちすることができたろうと思います。」
選評出典:『小説現代』平成19年/2007年4月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
大衆選考会 136回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
原 光好 平成18年/2006年12月14日 リコール隠蔽事件の陰で、加害者扱いをされた企業には何が起きているか。マスメディアが見落としている日常的視点で事件を描く推理作家の新境地。兎に角、泣かせる。
森田 平成19年/2007年1月14日 (なし)
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
長篇
章立て
「序章 決して風化することのない、君の記憶」「第一章 人生最悪の日々」「第二章 ホープとドリーム」「第三章 温室栽培群像」「第四章 ハブ返せ!」「第五章 罪罰系迷門企業」「第六章 レジスタンス」「第七章 組織断面図」「第八章 不経済的選択」「第九章 聖夜の歌」「第十章 飛べ! 赤松プロペラ機」「第十一章 コンプライアンスを笑え!」「第十二章 緊急避難計画」「終章 ともすれば忘れがちな我らの幸福論」
時代設定 場所設定
[同時代]  神奈川~東京など
登場人物
赤松徳郎(赤松運送の二代目社長)
沢田悠太(ホープ自動車販売部カスタマー戦略課長)
狩野威(ホープ自動車常務取締役、品質保証部長)
井崎一亮(東京ホープ銀行本店営業本部)
榎本崇(『週刊潮流』記者、井崎の大学時代の友人)
柚木雅史(自動車事故の被害者の夫)
高幡真治(港北警察署刑事)
門田駿一(赤松運送の整備士)
片山淑子(赤松の息子の同級生の母親、通称“女王蜂”)





はな ぐみ
『オレたち 花のバブル 組』(平成20年/2008年6月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成22年/2010年12月・文藝春秋/文春文庫『オレたち花のバブル組』
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他文学賞 山本周五郎賞 22回候補 一覧へ
候補者 池井戸潤 男45歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男57歳
17 「外装は近代的に見えるが、一介の中間管理職が組織の巨悪に立ち向かうという基本構図は、企業小説の古典的様式である。」「難をいうなら登場人物が繁多で個性に欠けること、またシリアスなのかコミカルなのか、どっちつかずの印象があること、あるいは二つの独立した案件をひとつの建物に押しこめたこと、などであろうか。」
北村薫
男59歳
27 「実に面白く、一気に読んだ。」「内部を知る人にしか書けない攻防は、読みごたえがあった。」「しかし、この流れなら最大の山場は、何といっても大和田を倒す場面になる。となれば、ここに、銀行業界に詳しい作者ならではの、思わず膝を打つような必殺技がほしかった。」「途中が優れているだけに、ページをめくりつつ、そういう山場の用意があって、作られた物語かと期待するところはあった。」
小池真理子
女56歳
27 「サスペンスフルなシーンもあり、物語の流れがわかりやすい。読者の人気を博しているのは理解できなくもないが、私にはどうしても、ドラマの脚本のようにしか思えなかった。」「友を裏切る形で、銀行に戻っていく男(=近藤)の心の叫びや苦悩も描かれていない。(引用者中略)そうなってしまった彼らの内面をこそ描くのが、小説なのではないか。」
重松清
男46歳
30 「候補作六編の中で最も心地よく読み進めることができた」「だが、選考にあたって本作を積極的に推すことはできなかった。スパッと事態が解決する心地よさと引き替えに、悪役が、そして「悪」そのものが、いささか単純になっていないか、という思いが拭えなかったのである。」「また、物語の深みを生むはずの近藤の失意と再生のドラマも、そもそもの失意が第一作を参照しなければ伝わりづらいし、第三作への展開を期待させるラストシーンも、本作単独の閉じ方として考えると中途半端に感じられる。」
篠田節子
女53歳
33 「ソフトカバーの体裁やいかにも安易なタイトルに似合わない、予想外に硬派な内容だった。」「ストーリー自体は十分面白いので、何も奇矯な人物や無駄に熱い同期の連帯感を描いて、ことさらの笑いと泣きを狙う必要はない。むしろスーツ姿の男たちがネクタイを緩めることもなく、敬語を使いながら腹の中で殴り合いをするバトルシーンの方が印象に残った。」
選評出典:『小説新潮』平成21年/2009年7月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



直木賞 第142回候補  一覧へ

てつ ほね
鉄の 骨』(平成21年/2009年10月・講談社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「てつ」「ほね」
印刷/発行年月日 発行 平成21年/2009年10月7日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成21年/2009年11月19日(第3刷)
発行者等 発行者 鈴木 哲 印刷所 凸版印刷株式会社 製本所 大口製本印刷株式会社
発行所 株式会社講談社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 岡 孝治 カバー写真 orion / amanaimages
総ページ数 537 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×19行
×1段
本文ページ 7~537
(計531頁)
測定枚数 986
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>初出『IN★POCKET』平成19年/2007年5月号~平成21年/2009年4月号
>>平成23年/2011年11月・講談社/講談社文庫『鉄の骨』
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 池井戸潤 男46歳
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
0  
渡辺淳一
男76歳
19 「文章がやや単調で膨らみがなく、登場人物も型通りで、各々の内面への切り込みが薄いのが残念であった。」「直木賞は文学賞である以上、ストーリーの面白さとともに、人間、および人間関係への独自な視点と、奥行きも備えるべきである。」
阿刀田高
男75歳
10 「人物の設定も描写も(工夫の跡は充分に見えるのだが)ややステレオ・タイプで、全体として“血湧き肉踊る”楽しさは感じにくかった。」
林真理子
女55歳
11 「スケールの大きい構成力もすぐれた小説であるが、なんにせよ文章が荒っぽい。男と女の心の動きがあまりにもステレオタイプだ。」
平岩弓枝
女77歳
6 「興味深く好感を持った。毎回、新しい素材に果敢に挑戦する姿勢は池井戸さんならではと感動している。」
宮城谷昌光
男64歳
27 「最近の直木賞候補作品ははっきりいってパワー不足で、表層のつくろいに終始している作品が多い。ところが氏の作品は力動感にあふれ、パワーに関しては群をぬいている。しかしながら私が氏の作品を推しきれなかったのは、ひとつに文章の問題があったからである。この文章に新味はない。」
宮部みゆき
女49歳
28 「〈現実への解釈を変えるのではなく、現実そのものを、ベタな人間の愚直な奮闘で変えていくことだってできる〉という希望(引用者中略)に、強く心を動かされました。」「(引用者注:「花や散るらん」と共に)日々の暮らしを覆う漠然とした不安と閉塞感に、人がよろず自信を失いがちな今日だからこそ、こういう作品に直木賞を受賞してもらいたいと思いました。」
浅田次郎
男58歳
13 「この種の小説を文学とするためには、物語の重心を社会事象に置かず、事象に翻弄され苦悩する人間に焦点を定めるほかはない。そのほかの手法が実にまったくないことは、先人の著作を多少なりとも解析すれば明らかである。」
北方謙三
男62歳
15 「この作者に銀行もの業界ものを描かせると、卓抜であることを再認識した。」「ただ、業界をはみ出す人間がいない、行儀のよさもある。」「あえて、もう一段の積みあげを望みたい。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他文学賞 吉川英治文学新人賞 31受賞 一覧へ
候補者 池井戸潤 男46歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
6 「賛同ができなかった。読み物としてはたしかに面白く、内容も興味深いのだが、文学賞である限りは文学性を問うべきであるというのが、私の率直な主張である。」
伊集院静
男60歳
19 「『鉄の骨』を推したのは作品の完成度の高さ、そして、構成、エンターテイメント性、そして何より氏でなくては描くことのできない独自の世界観が他の作品より抜きん出ていたことが理由であるが、もう一点、私が氏の作品を推した理由は、サラリーマンの経験の少ない私が読んでもこれほど面白いのだから、当事者であるサラリーマンの人たちはどんなにこころを躍らせ、勇気を与えられるだろうか、という点がある。」「現代を見つめる氏の目、その底にある正義と志を沈着に鳥瞰している作家の魂を感じる。」
大沢在昌
男53歳
9 「平明な文体でどこにでもいる平凡な人々の苦労と喜びを描いている。だがこの題材を一篇の物語としてしあげるには、作者はなみなみならない苦心を重ねた筈だ。これを機に、池井戸さんには「池井戸節」ともいわれるような仕事をしてほしい。きっと我が国のサラリーマン、サラリーウーマンの心強い応援歌となる。」
高橋克彦
男62歳
6 「授賞に相応しい文句なしの面白さだった。私が気になったのは銀行があまり意味もなしに関わってくる場面だけで、力作の評価は動かない。」
宮部みゆき
女49歳
60 「(引用者注:「天地明察」と共に)自身が所属する社会の階層、組織のなかで、精一杯の力を尽くして〈変革〉を志す、二人の若者を描いています。(引用者中略)格好いいヒーローではなく、ひょろひょろと頼りない二人の若者の頑張りに、私は深く感動しました。」「「今時、フツーのサラリーマンが主役の小説なんて」という漠然とした思い込みに流されず、淡々としかし骨太にこの路線の作品を書き続け、『鉄の骨』に至った池井戸さんの気骨に胸を打たれたということです。」
選評出典:『群像』平成22年/2010年5月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
大衆選考会 142回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
コンササドーレ 平成21年/2009年12月11日 「タイヤ」や「バブル」より一層洗練されてきたように思います。読む者に勇気とやる気を与える池井戸作品に直木賞を。
 候補作「宵山万華鏡」(森見登美彦)「覇天の歌」(岩井三四二)「刻まれない明日」(三崎亜記)「植物図鑑」(有川浩
higeru 平成21年/2009年12月12日 ぜひ『タイヤ』の雪辱を!
DORAPON 平成22年/2010年1月9日 そもそも『空飛ぶタイヤ』で獲るべきだった。
IMOAN 平成22年/2010年1月12日 なし
メタリック 平成22年/2010年1月13日 DORAPONさんと同意見。6作品読みましたが、圧勝でしょう。
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
長篇
章立て
「第一章 談合課」「第二章 入札」「第三章 地下鉄工事」「第四章 アクアマリン」「第五章 特捜」「第六章 調整」「第七章 駆け引き」「最終章 鉄の骨」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京~長野など
登場人物
富島平太(中堅ゼネコン一松組社員、入社四年目)
野村萌(平太の恋人、白水銀行新宿支店行員)
尾形総司(一松組常務)
兼松巌夫(一松組業務課長)
西田吾郎(一松組業務課員、平太の先輩)
三橋萬造(ゼネコン山崎組顧問、談合の調整役)
園田俊一(白水銀行融資課員、萌の先輩)





したまち
下町ロケット』(平成22年/2010年11月・小学館刊)
書誌
>>平成25年/2013年12月・小学館/小学館文庫『下町ロケット』
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
大衆選考会 144回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
Y.M.O. 平成22年/2010年12月27日 過去二回候補になっているので、三度目の正直で受賞するのではないでしょうか。
他に気になる作品は、佐藤多佳子『第二音楽室』、朝倉かすみ『夏目家順路』です。
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



直木賞 第145受賞  一覧へ

したまち
下町ロケット』(平成22年/2010年11月・小学館刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「したまち」
印刷/発行年月日 発行 平成22年/2010年11月29日(初版第1刷)
発行者等 発行人 森 万紀子 印刷所 凸版印刷株式会社 製本所 株式会社若林製本工場
発行所 株式会社小学館(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 木内達朗 装丁 大久保 學
総ページ数 407 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×19行
×1段
本文ページ 7~407
(計401頁)
測定枚数 745
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>初出『週刊ポスト』平成20年/2008年4月18日号~平成21年/2009年5月22日号/単行本化にあたり加筆訂正
>>平成25年/2013年12月・小学館/小学館文庫『下町ロケット』
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 池井戸潤 男48歳
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男61歳
31 「下町のエンジン部品メーカーの社長が仰ぎ見ている夢に周囲の人々が、自分たちもかつて抱いていた夢を託しはじめる。夢、望みは希望である。この希望が物語の力となっている。人々の希望を繋ぐ爽快な作品だ。」「直木賞の受賞作にふさわしい作品であると同時に、さまざまな事情を抱えた今夏の日本に活力を与える小説である。」
桐野夏生
女59歳
31 「池井戸さんは、安定した達者な書き手だ。すでに「池井戸ブランド」を確立しておられるし、何も言うことはない。」「面白かったのは、社内の不満が噴き出すあたりだろうか。「夢とプライド」は個人の価値観に過ぎず、会社は、個々の「夢とプライド」を束ねることはできない、ということだ。」「個人的には、主人公と妻の何がどうぶつかって、破局に至ったのかを知りたかった。また、震災後の日本の姿を、是非、池井戸さんに書いて頂きたいと願う。」
宮城谷昌光
男66歳
28 「人や組織がもちうる力には、大、中、小がある。ところが中以下の力しかもたないものが、大の力にまさる、あるいは比肩するためには、量ではなく質において、こころみるしかない。氏の『下町ロケット』の主題は、そこにあるとおもう。それはじつは日本国内の人と企業の力関係に限定する話ではなく、世界における日本の現状を想うべきであろう。氏の作品はそれを教えている。私は、この作品が受賞してよい、という考えをもって選考会に臨んだことをつけくわえておく。」
北方謙三
男63歳
25 「エンターテインメントの王道は、一歩間違えれば通俗に落ちかねず、また企業小説ふうなところが、いかにもこの作者の類型と見なされる危険にもあえて挑み、見事に危惧をクリアして、さわやかな世界を築きあげている。」「十数年にわたる努力の積み重ねが、このような普遍性を獲得させ、いま花開きはじめたと言っていいであろう。」「私は迷った末、『下町ロケット』と『アンダスタンド・メイビー』に丸をつけて臨んだ。」
阿刀田高
男76歳
27 「痛快で、楽しめる作品だ。」「受賞後の談話で“心の苦しみより、お金で苦悩する人を書いた”と語っていたが(なにほどかの韜晦はあるにせよ)端的に言えば、そういう内容だ。もちろん主人公たちの心も苦しんでいる。けれど、その苦しさのよって来たるところが、まあ、経済のこと、お金のこと、これはほとんどの大人たちの日常である。それをしっかりと捕らえた文学は充分に評価しうるものと考えた。」
渡辺淳一
男77歳
11 「わたしはここまで読みものに堕したものは採らない。直木賞は当然、文学賞であり、そこにそれなりの文学性とともに人間追求の姿勢も欠かすべきではない。」
林真理子
女57歳
24 「全員から「ぼんやりとした」好感と賛同を持って迎えられたのが、受賞作の「下町ロケット」ではなかっただろうか。私としては登場人物のすべてがステレオタイプなのが気にかかった。」「とはいうものの、この作品の持っている健全さは捨てがたい魅力がある。」「時代と小説とが決して無関係でないとしたら、やはり今の世にふさわしい受賞作だ。」
浅田次郎
男59歳
20 「これまでの(引用者注:作者自身の)作品に較べて、明らかにすぐれているのである。こうした考え方には異論もあろうが、少くとも自己の小説世界を着実に積み上げて、その精華というべきこの作品を獲得したという事実は、創作者が範とするべきであり、賞讃に価すると思った。」
宮部みゆき
女50歳
38 「文学には様々な方法があっていいはずですし、小説の文体には、作者が書きたいと思う素材やテーマに合った無数の発展型があるはずです。」「池井戸さんはご自分の信念を曲げず、切り捨てる部分は潔く切り捨てて、池井戸さんの文体を見つけました。勇気ある全力の頑固には、いつか壁をぶち破る力があります。『下町ロケット』はそれを証明してくれました。」
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年9月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他文学賞 山本周五郎賞 24回候補 一覧へ
候補者 池井戸潤 男47歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男59歳
33 「この患者さん(引用者注:作者)には、善人と悪人をはなから規定する癖があって、それが世界観なのか小説観なのかはわからないけれども、要するに良く言えばわかりやすく、悪くいうなら単純に過ぎる。」「その反動的退行的作風が、町工場VS大企業という物語の構造にみごと嵌まった。ゆえに読者は、ほとんど手放しで感動し、啓発もされる。理屈はともかく結果からすれば、文学の使命を果たしたのである。」
北村薫
男61歳
16 「いかにも出て来そうな登場人物が現れ、こうなるだろう方向に物語が進む――といった批判があるかも知れない。だが、その進み方、読ませる力に、紛れも無いプロの力量を感じる。」「人物像、展開なども含めて考えた時、王道を行って、大きな成果を見せた作と思う。」「《周五郎賞》的作ということでは『下町ロケット』かも知れない。」
小池真理子
女58歳
21 「前回の候補作よりも人物描写が丁寧になって、好感をもった。」「しかし、私は、主人公の佃という男の人物の描き方に単純な疑問をもった。(引用者中略)結局は一から十まで周囲に支えられながら、無邪気に悩み、無邪気に喜び、めでたくヒーローになることができた男、といった印象しか残らず、佃の個性に魅力が感じられなかった。」
重松清
男48歳
57 「立場や役割による本作の人間関係の構図は、とてもしっかりしている。」「確かに人物像のぶれのなさは物語に安定感を与えてくれるし、うじうじした内面の葛藤ではなく、もっと大きな社会の矛盾や理不尽との対決を描くことこそが本作(と作者)の真骨頂だというのもわかっているつもりだ。それでもなお、もう少しだけ、人間の割り切れなさや矛盾に満ちたところを描いてほしかった。」
篠田節子
女55歳
47 「絵空事でない、圧倒的リーダビリティには感服した。」「小説ではロケットを町工場の社長の「夢」に置き直し、経営者って何? 働くってどんなこと? さらには作者は直接書いてはいないが、資本主義って何なのさ、という問いかけまでがなされる。恋愛や性や小市民的営みや、それに伴う喜びや悲しみ苦しみをテーマに据え、人間を書くことこそが小説という考え方の中で、こうしたテーマを堂々と掲げること自体が、挑戦的だ。」
選評出典:『小説新潮』平成23年/2011年7月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
大衆選考会 145回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
メタリック 平成23年/2011年7月8日 まず、前回の「鉄の骨」で煮え湯を飲まされていますから、是非とも今回は!!
Y.M.O. 平成23年/2011年7月8日 前回の大衆選考会で『下町ロケット』を推薦しましたが、候補にも選ばれずに意気消沈していました。しかし、今回のノミネートで復活!
当然、本命は『下町ロケット』です。対抗が 葉室麟『恋しぐれ』で、大穴は 辻村深月『オーダーメイド殺人クラブ』だと思います。
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
長篇
章立て
「プロローグ」「第一章 カウントダウン」「第二章 迷走スターダスト計画」「第三章 下町ドリーム」「第四章 揺れる心」「第五章 佃プライド」「第六章 品質の砦」「第七章 リフト・オフ」「エピローグ」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京~茨城~種子島
登場人物
佃航平(佃製作所社長、宇宙科学開発機構の元研究員)
財前道生(帝国重工宇宙開発グループ部長)
富山敬治(帝国重工の新型水素エンジン開発責任者、財前の部下)
水原重治(財前の上席)
殿村直弘(佃製作所経理部長、元銀行員)
神谷修一(知財関係に強い弁護士)
真野賢作(佃製作所技術開発部の若手社員)




ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧候補作家の群像選考委員の群像
選評の概要小研究大衆選考会マップ || 受賞作家の一覧へ前の回へ次の回へ