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第142回
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平成21年/2009年下半期
(平成22年/2010年1月14日決定発表/『オール讀物』平成22年/2010年3月号選評掲載)
選考委員  五木寛之
男77歳
渡辺淳一
男76歳
阿刀田高
男75歳
林真理子
女55歳
平岩弓枝
女77歳
宮城谷昌光
男64歳
宮部みゆき
女49歳
浅田次郎
男58歳
北方謙三
男62歳
井上ひさし
男75歳
選評総行数  101 83 83 78 65 112 186 99 103  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
佐々木譲 『廃墟に乞う』
533
男59歳
57 36 33 9 28 27 36 13 22    
白石一文 『ほかならぬ人へ』
424
男51歳
40 34 26 25 28 18 41 16 23    
池井戸潤 『鉄の骨』
986
男46歳
0 19 10 11 6 27 28 13 15    
辻村深月 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
677
女29歳
0 0 15 13 0 16 41 13 12    
葉室麟 『花や散るらん』
492
男58歳
0 0 6 7 31 6 39 14 8    
道尾秀介 『球体の蛇』
473
男34歳
0 0 23 11 0 12 39 29 29    
                  欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
1行当たりの文字数:12字


選考委員
五木寛之男77歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二つの受賞作 総行数101 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
57 「選考の席では、いまさら直木賞でもあるまい、という空気もあったが、デビュー作から三十一年という、そのたゆまぬ作家活動への敬意をふくめて今回の受賞となった。」「著者の描きたかったのは、事件解決への主人公の鮮かな推理や、犯罪の動機ではあるまい。(引用者中略)松本清張さんは「犯罪の動機(原文傍点)」に執着したが、佐々木さんは「事件の背景(原文傍点)」に注目している。そこが新しい。」
白石一文
男51歳
40 「男女の愛憎が、単なる風俗的なお話に終っていないところが、この作家の才能だろう。」「人物の輪郭というか、キャラクターが鮮かに描かれていて感心した。人物描写のエッジが立っている、という印象だ。」「いま流行りの単語がしばしば出てくる。アイスキャラメルマキアートとか。私はこういうやり方に賛成である。」
池井戸潤
男46歳
0  
辻村深月
女29歳
0  
葉室麟
男58歳
0  
道尾秀介
男34歳
0  
  「受賞作二作ということもあって、他の候補作品に触れる紙数がつきたのが残念だ。」
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他の選考委員
渡辺淳一
阿刀田高
林真理子
平岩弓枝
宮城谷昌光
宮部みゆき
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
渡辺淳一男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
さらなる深みを 総行数83 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
36 「全体は各短編から成り立ち、主人公が休職中の刑事というところが、ユニークで新鮮である。」「当然、このような構成では、従来のような物語の分かり易さや痛快性には欠ける点がある。」「しかしかわりに、人間、そして人間性への視点がふくらみ、作品の陰影が濃くなっている。」「以上、これまでの努力と、作品の巾と深みが加わった点をかって、受賞に賛成した。」
白石一文
男51歳
34 「この作品は久々に男女関係を正面から描いたもので、二部に分かれているが、仕上がりは前者の表題作のほうがはるかにいい。」「さまざまな男女の、そして夫婦の関わりがあるが、もしかしてその各々が少しずつ食い違っていて、その相互の関わりを一斉にずらしたら、両者の溝が埋まっていくのではないか。そんな予感がリアリティーをもって迫ってくるところが、この作品の妙味であり、作者の着眼点の非凡なところでもある。」
池井戸潤
男46歳
19 「文章がやや単調で膨らみがなく、登場人物も型通りで、各々の内面への切り込みが薄いのが残念であった。」「直木賞は文学賞である以上、ストーリーの面白さとともに、人間、および人間関係への独自な視点と、奥行きも備えるべきである。」
辻村深月
女29歳
0  
葉室麟
男58歳
0  
道尾秀介
男34歳
0  
  「今回、最終候補作として残ったのは、「ほかならぬ人へ」「廃墟に乞う」「鉄の骨」の三作であった。」
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他の選考委員
五木寛之
阿刀田高
林真理子
平岩弓枝
宮城谷昌光
宮部みゆき
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
阿刀田高男75歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二人より一人を選びたかったが 総行数83 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
33 「ずっと警官の登場する作品を書き続けて来た作者は、あえてこの手法(引用者注:休職中の刑事なので犯人を逮捕するところまで行かない)を選び、事件を解明することより荒廃の辺境と刑事の人となりを描くことに力点を置いたのだろう。そう考えて読むと構造の整った、味わい深い作品集になっている。ベテランの筆力を痛感した。」
白石一文
男51歳
26 「――確かに、現代の男女はこういうことなんだろうな――と読者を納得させてくれるところがすばらしい。登場人物のそれぞれにリアリティがあり、気負いのない筆致もこころよい。」
池井戸潤
男46歳
10 「人物の設定も描写も(工夫の跡は充分に見えるのだが)ややステレオ・タイプで、全体として“血湧き肉踊る”楽しさは感じにくかった。」
辻村深月
女29歳
15 「女性の時代と言われても、さまざまな理由でその波に乗れない人たちがいる。(引用者中略)それをヒロインとしたのは慧眼だが、小説の具体的な技法において(たとえば鉤かっこの中の台詞をだれが語っているのか、それを読者に無理なくわからせること、など)私は不足を感じた。」
葉室麟
男58歳
6 「人物や歴史の描写が詳細に過ぎて、小説の中になかなか入り込めなかった。作者が狙ったであろう情感も私には覚えにくかった。」
道尾秀介
男34歳
23 「ストーリーは、わざわざ厄介な情況を創り出し、そこで“苦しい、悩ましい”と、もがいているような気配が感じられ、「小説って、みんなそういうところ、あるでしょう」と言われれば否定はしにくいのだが、これが目立ってしまうと、根源的なリアリティを欠くことになる。力量を感じながらも推しきれなかった。」
  「賞の選考は一人受賞が本筋と思うのだが、今回は厳しい選考を経ても甲乙つけがたく、二人受賞となった。屈託が残らないでもない。」
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他の選考委員
五木寛之
渡辺淳一
林真理子
平岩弓枝
宮城谷昌光
宮部みゆき
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
林真理子女55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
恋愛の虚無 総行数78 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
9 「推理小説ではない、とわかっているものの、中途半端な終わり方にはぐらかされたような思いがしないでもない。とはいうものの古い白黒(ルビ:モノトーン)の名画を見ているような描写の巧みさは見事なものだ。」
白石一文
男51歳
25 「私がまずこの方を推そうと決めていたのは、白石一文氏である。」「私はむしろこの小説から、恋愛の虚無を感じる。」「また上流の青年の描写が、具体的でリアリティがある。日本の小説では珍しいことなので心に残った。」
池井戸潤
男46歳
11 「スケールの大きい構成力もすぐれた小説であるが、なんにせよ文章が荒っぽい。男と女の心の動きがあまりにもステレオタイプだ。」
辻村深月
女29歳
13 「私は辻村さんとごく近い町の出身なので、この情況はよくわかるが、はたして他の土地の人には理解してもらえるであろうか。面白いと感じてもらえるだろうか。いち地方の女性の感情を“翻訳”する作業が必要だと思う。」
葉室麟
男58歳
7 「期待していたが、この作品はあまりよくなかった。理屈っぽく、ストーリーが複雑で退屈してしまった。」
道尾秀介
男34歳
11 「大変な才気を感じるが、登場人物たちがあまりにも都合よく動き、都合よく偶然が起きる。エンターテイメントとして、自由に空想の世界をつくるのと、絵空ごとになってしまうのとは紙一重だ。」
  「今年は新人からベテランまで、バラエティにとんだ顔ぶれが揃っていた。」
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他の選考委員
五木寛之
渡辺淳一
阿刀田高
平岩弓枝
宮城谷昌光
宮部みゆき
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
平岩弓枝女77歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数65 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
28 「(引用者注:「ほかならぬ人へ」と共に)筆力充分、品が良く、手馴れた巧者の感がある。その意味では文句のつけようがないけれども、読者の立場からいうと、なんとなくもの足りない。」「読む進む中に心の深い部分に衝撃を与えてくれるような人間の奥行が書かれていたら、作品にもう一つ、陰影が出たのではないかというような気持が残っている。」
白石一文
男51歳
28 「(引用者注:「廃墟に乞う」と共に)筆力充分、品が良く、手馴れた巧者の感がある。その意味では文句のつけようがないけれども、読者の立場からいうと、なんとなくもの足りない。」「読む進む中に心の深い部分に衝撃を与えてくれるような人間の奥行が書かれていたら、作品にもう一つ、陰影が出たのではないかというような気持が残っている。」
池井戸潤
男46歳
6 「興味深く好感を持った。毎回、新しい素材に果敢に挑戦する姿勢は池井戸さんならではと感動している。」
辻村深月
女29歳
0  
葉室麟
男58歳
31 「元禄の赤穂事件に女性の側から取り組むのは着想としては面白いが、大きな構想と多彩な登場人物に対して、この枚数というか、分量ではとても書き切れるものではない。」「おそらく、作者も不満であろうが、読者も同様であろう。」「悠々と、この大きな歴史的事件の全容に向い合って頂きたいと願っている。」
道尾秀介
男34歳
0  
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他の選考委員
五木寛之
渡辺淳一
阿刀田高
林真理子
宮城谷昌光
宮部みゆき
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
宮城谷昌光男64歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
新味を望む 総行数112 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
27 「氏の『警官の血』が、押した作品、であるとすれば、これは、引いた作品、である。私はまえに『警官の血』が受賞作品になってよいとおもっていたので、それと合わせれば、この作品が受賞してもかまわないが、切り離して考えるべきだといわれれば、ものたりないというしかない。ただし作家としての習熟度は氏がもっとも高い。」
白石一文
男51歳
18 「自己を嫌悪するのであれば、もっと細部にあるいは恥部に精密な描写をほどこすべきだ。そこを徹底せずに切り上げたという感は否めない。」
池井戸潤
男46歳
27 「最近の直木賞候補作品ははっきりいってパワー不足で、表層のつくろいに終始している作品が多い。ところが氏の作品は力動感にあふれ、パワーに関しては群をぬいている。しかしながら私が氏の作品を推しきれなかったのは、ひとつに文章の問題があったからである。この文章に新味はない。」
辻村深月
女29歳
16 「たいそう読みにくかった。語り手あるいは作中人物の立ち位置が明示されない箇所があり、環境の描写も省略されているとあっては、想像でおぎなってゆくのに時間がかかる。事象の描写がやや遅れてやってくる。その悪癖をなおしてもらいたい。」
葉室麟
男58歳
6 「さきの『秋月記』にくらべて、空気感が悪く、質も悪い。」
道尾秀介
男34歳
12 「きれいにつじつまあわせがおこなわれている。しかし小世界である。ひろがりがない。氏はめずらしく知的な作家である、と私は感心したことがあるので、情念に深入りすると作品の明度が低下すると警告したい。」
  「私は候補作品を読むまえに、もしかすると画期的な文体を目にすることになるのではないか、と期待するのが常である。が、この期待は裏切られつづけたといってよい。これは新しい作家たちが厳しく激しい自己否定を経ていないからであり、究極の孤独を体験していないがゆえに、真の共感を知らないせいではあるまいか。」
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他の選考委員
五木寛之
渡辺淳一
阿刀田高
林真理子
平岩弓枝
宮部みゆき
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
宮部みゆき女49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
意志の輝き 総行数186 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
36 「月並みな表現ながら〈いぶし銀の味〉なのですが、個々の作品にはピリッとした企みが隠されていることが嬉しいのです。」「表題作は、追う者と追われる者のあいだに発生する〈清算〉がテーマです。普通は清算を要求するのは追う者の側ですが、この作品では追われる者が追う者に決死の清算を迫り、それを仙道刑事が、ヒーロー然としてやり過ごせないところに新鮮なリアルを感じました。」「読んでいて、だから短編は面白いんだと思い、短編を書きたくなる作品集でした。」
白石一文
男51歳
41 「白石さんには大変申し訳ないのですが、私はこの中編二作の作品集に対して何とも勘違いなアプローチをしてしまい、最後までそこから抜け出すことができませんでした。」「後半の「かけがえのない人へ」では、主人公の〈みはる〉が前半の〈なずな〉であるとこれまた勝手に思い込み(引用者中略)それが読み違いだとわかると、情けなくもまた迷子になってしまいました。」
池井戸潤
男46歳
28 「〈現実への解釈を変えるのではなく、現実そのものを、ベタな人間の愚直な奮闘で変えていくことだってできる〉という希望(引用者中略)に、強く心を動かされました。」「(引用者注:「花や散るらん」と共に)日々の暮らしを覆う漠然とした不安と閉塞感に、人がよろず自信を失いがちな今日だからこそ、こういう作品に直木賞を受賞してもらいたいと思いました。」
辻村深月
女29歳
41 「辻村さんが二組の母娘像を見事に描き分けていたからこそ、真相開示に至って私は「チエミのお母さんは怒らないよ。だからこそ、チエミは一瞬だけ、殺したいほどにお母さんを憎んでしまうんだ」と思いました。」「とはいえ、チエミのお母さんが激怒した方が、ミステリーとしては、このうえなくショッキングな真相ですよね。同業者(かつ同好の士)としては、そちらもとてもよくわかるだけに、難しいなあと悩みました。」
葉室麟
男58歳
39 「史実を能動的に自在に操ることで生まれる〈作り話の妙味〉(引用者中略)に、強く心を動かされました。」「(引用者注:「鉄の骨」と共に)日々の暮らしを覆う漠然とした不安と閉塞感に、人がよろず自信を失いがちな今日だからこそ、こういう作品に直木賞を受賞してもらいたいと思いました。」
道尾秀介
男34歳
39 「ある水準以上の衣食住と平穏を得た人間が次に欲するのは、〈人生の物語化〉なのだと言ってもいいかもしれません。道尾さんの『球体の蛇』は、そこを鋭く突く作品でした。」「まことに現代的であり、道尾さんが今という時代から星を託された作家であることを証明する作品です。」
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他の選考委員
五木寛之
渡辺淳一
阿刀田高
林真理子
平岩弓枝
宮城谷昌光
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
浅田次郎男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
受賞作あり、推賞作なし。 総行数99 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
13 「ベテランの候補というのも考えもので、さまざまの事前知識が公正な判断力のさまたげになってしまう。私の頭も氏が長編作家だという印象が強いから、たとえば著名なマラソンランナーがむりやり百メートルを疾走しているような奇異を感じてしまった。」
白石一文
男51歳
16 「その完成度の高さからは受賞にふさわしい。」「ならばなおさらのことこの作品が、受賞作にはふさわしくとも作者の代表作としてよいものかどうかと迷った。直木賞作家の冠名はその受賞作とともに語られ、つまり一生祟るからである。」
池井戸潤
男46歳
13 「この種の小説を文学とするためには、物語の重心を社会事象に置かず、事象に翻弄され苦悩する人間に焦点を定めるほかはない。そのほかの手法が実にまったくないことは、先人の著作を多少なりとも解析すれば明らかである。」
辻村深月
女29歳
13 「随所に輝かしい才能が鏤められているのだが、創造欲と感情とが先走って筆の運びが伴わないもどかしさを感じた。」
葉室麟
男58歳
14 「指摘すべき点は前二回とまったく同様である。」「日本人大衆に向き合うからには、小説家にも相応の覚悟が必要であろう。」
道尾秀介
男34歳
29 「(引用者注:候補作の中で)相対的に上位と見た」「紙数のわりにこぢんまりとした印象があるのは、物語の全容を常に俯瞰する巨視感に欠けているせいだろうか。しかし、小説に明確なテーマを据えたのは大きな飛躍である。また反面、その新たなる飛躍が、作者を呪縛しているミステリーの手法との間に軋轢を生じた。」「一般読者のみならずとりわけミステリーファンには納得できなかったのではあるまいか。」
  「今回は強く推せる作品がなかった。」
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他の選考委員
五木寛之
渡辺淳一
阿刀田高
林真理子
平岩弓枝
宮城谷昌光
宮部みゆき
北方謙三
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選考委員
北方謙三男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
恋愛と謎と 総行数103 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲
男59歳
22 「大長篇の力作の多い作家だが、切り口だけを見せる短篇では、人生の真実をさりげなく読者に投げかけてくる。私にあったのは、力作長篇での受賞でなくていいのか、というわずかなためらいだったが、この作品が賞に縁があったのだ、と思うことにした。」
白石一文
男51歳
23 「完成度にも、不足はあるまい。表題作の方がおおむね評価されたが、結婚と恋愛がなにかを考えさせる『かけがえのない人へ』の中に漂う、妙ないとおしさと、結末の寂寞感も、恋愛小説の苦い味があって、私は好きであった。」
池井戸潤
男46歳
15 「この作者に銀行もの業界ものを描かせると、卓抜であることを再認識した。」「ただ、業界をはみ出す人間がいない、行儀のよさもある。」「あえて、もう一段の積みあげを望みたい。」
辻村深月
女29歳
12 「友人たちを訪ね歩く場面が、不必要である。主人公の必然性ではなく、作者の都合で必要だったのだ、と感じた。」
葉室麟
男58歳
8 「咲弥と蔵人と清厳の、友情、愛情関係を描くのに、なぜ忠臣蔵が必要になってくるのか、最後までわからなかった。作品が、二つに割れた印象さえある。」
道尾秀介
男34歳
29 「力量は充分であるが、描写が稠密で、読みながら私は、息苦しさを感じ、簡潔を求めた。」「この作家はこの作品で、テーマ性をしっかりと持った、というところを私は評価した。」「二度目の投票に残すことを主張したが、孤立無援で果せなかった。」
  「いつも一作に絞りこもうという思いは持っているが、受賞の二作は、優劣というより、較べられない作品だった、と思っている。」
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他の選考委員
五木寛之
渡辺淳一
阿刀田高
林真理子
平岩弓枝
宮城谷昌光
宮部みゆき
浅田次郎
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受賞者・作品
佐々木譲男59歳×各選考委員 
『廃墟に乞う』
連作6篇 533
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
57 「選考の席では、いまさら直木賞でもあるまい、という空気もあったが、デビュー作から三十一年という、そのたゆまぬ作家活動への敬意をふくめて今回の受賞となった。」「著者の描きたかったのは、事件解決への主人公の鮮かな推理や、犯罪の動機ではあるまい。(引用者中略)松本清張さんは「犯罪の動機(原文傍点)」に執着したが、佐々木さんは「事件の背景(原文傍点)」に注目している。そこが新しい。」
渡辺淳一
男76歳
36 「全体は各短編から成り立ち、主人公が休職中の刑事というところが、ユニークで新鮮である。」「当然、このような構成では、従来のような物語の分かり易さや痛快性には欠ける点がある。」「しかしかわりに、人間、そして人間性への視点がふくらみ、作品の陰影が濃くなっている。」「以上、これまでの努力と、作品の巾と深みが加わった点をかって、受賞に賛成した。」
阿刀田高
男75歳
33 「ずっと警官の登場する作品を書き続けて来た作者は、あえてこの手法(引用者注:休職中の刑事なので犯人を逮捕するところまで行かない)を選び、事件を解明することより荒廃の辺境と刑事の人となりを描くことに力点を置いたのだろう。そう考えて読むと構造の整った、味わい深い作品集になっている。ベテランの筆力を痛感した。」
林真理子
女55歳
9 「推理小説ではない、とわかっているものの、中途半端な終わり方にはぐらかされたような思いがしないでもない。とはいうものの古い白黒(ルビ:モノトーン)の名画を見ているような描写の巧みさは見事なものだ。」
平岩弓枝
女77歳
28 「(引用者注:「ほかならぬ人へ」と共に)筆力充分、品が良く、手馴れた巧者の感がある。その意味では文句のつけようがないけれども、読者の立場からいうと、なんとなくもの足りない。」「読む進む中に心の深い部分に衝撃を与えてくれるような人間の奥行が書かれていたら、作品にもう一つ、陰影が出たのではないかというような気持が残っている。」
宮城谷昌光
男64歳
27 「氏の『警官の血』が、押した作品、であるとすれば、これは、引いた作品、である。私はまえに『警官の血』が受賞作品になってよいとおもっていたので、それと合わせれば、この作品が受賞してもかまわないが、切り離して考えるべきだといわれれば、ものたりないというしかない。ただし作家としての習熟度は氏がもっとも高い。」
宮部みゆき
女49歳
36 「月並みな表現ながら〈いぶし銀の味〉なのですが、個々の作品にはピリッとした企みが隠されていることが嬉しいのです。」「表題作は、追う者と追われる者のあいだに発生する〈清算〉がテーマです。普通は清算を要求するのは追う者の側ですが、この作品では追われる者が追う者に決死の清算を迫り、それを仙道刑事が、ヒーロー然としてやり過ごせないところに新鮮なリアルを感じました。」「読んでいて、だから短編は面白いんだと思い、短編を書きたくなる作品集でした。」
浅田次郎
男58歳
13 「ベテランの候補というのも考えもので、さまざまの事前知識が公正な判断力のさまたげになってしまう。私の頭も氏が長編作家だという印象が強いから、たとえば著名なマラソンランナーがむりやり百メートルを疾走しているような奇異を感じてしまった。」
北方謙三
男62歳
22 「大長篇の力作の多い作家だが、切り口だけを見せる短篇では、人生の真実をさりげなく読者に投げかけてくる。私にあったのは、力作長篇での受賞でなくていいのか、というわずかなためらいだったが、この作品が賞に縁があったのだ、と思うことにした。」
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他の候補作
白石一文
『ほかならぬ人へ』
池井戸潤
『鉄の骨』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
葉室麟
『花や散るらん』
道尾秀介
『球体の蛇』
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受賞者・作品
白石一文男51歳×各選考委員 
『ほかならぬ人へ』
中篇集2篇 424
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
40 「男女の愛憎が、単なる風俗的なお話に終っていないところが、この作家の才能だろう。」「人物の輪郭というか、キャラクターが鮮かに描かれていて感心した。人物描写のエッジが立っている、という印象だ。」「いま流行りの単語がしばしば出てくる。アイスキャラメルマキアートとか。私はこういうやり方に賛成である。」
渡辺淳一
男76歳
34 「この作品は久々に男女関係を正面から描いたもので、二部に分かれているが、仕上がりは前者の表題作のほうがはるかにいい。」「さまざまな男女の、そして夫婦の関わりがあるが、もしかしてその各々が少しずつ食い違っていて、その相互の関わりを一斉にずらしたら、両者の溝が埋まっていくのではないか。そんな予感がリアリティーをもって迫ってくるところが、この作品の妙味であり、作者の着眼点の非凡なところでもある。」
阿刀田高
男75歳
26 「――確かに、現代の男女はこういうことなんだろうな――と読者を納得させてくれるところがすばらしい。登場人物のそれぞれにリアリティがあり、気負いのない筆致もこころよい。」
林真理子
女55歳
25 「私がまずこの方を推そうと決めていたのは、白石一文氏である。」「私はむしろこの小説から、恋愛の虚無を感じる。」「また上流の青年の描写が、具体的でリアリティがある。日本の小説では珍しいことなので心に残った。」
平岩弓枝
女77歳
28 「(引用者注:「廃墟に乞う」と共に)筆力充分、品が良く、手馴れた巧者の感がある。その意味では文句のつけようがないけれども、読者の立場からいうと、なんとなくもの足りない。」「読む進む中に心の深い部分に衝撃を与えてくれるような人間の奥行が書かれていたら、作品にもう一つ、陰影が出たのではないかというような気持が残っている。」
宮城谷昌光
男64歳
18 「自己を嫌悪するのであれば、もっと細部にあるいは恥部に精密な描写をほどこすべきだ。そこを徹底せずに切り上げたという感は否めない。」
宮部みゆき
女49歳
41 「白石さんには大変申し訳ないのですが、私はこの中編二作の作品集に対して何とも勘違いなアプローチをしてしまい、最後までそこから抜け出すことができませんでした。」「後半の「かけがえのない人へ」では、主人公の〈みはる〉が前半の〈なずな〉であるとこれまた勝手に思い込み(引用者中略)それが読み違いだとわかると、情けなくもまた迷子になってしまいました。」
浅田次郎
男58歳
16 「その完成度の高さからは受賞にふさわしい。」「ならばなおさらのことこの作品が、受賞作にはふさわしくとも作者の代表作としてよいものかどうかと迷った。直木賞作家の冠名はその受賞作とともに語られ、つまり一生祟るからである。」
北方謙三
男62歳
23 「完成度にも、不足はあるまい。表題作の方がおおむね評価されたが、結婚と恋愛がなにかを考えさせる『かけがえのない人へ』の中に漂う、妙ないとおしさと、結末の寂寞感も、恋愛小説の苦い味があって、私は好きであった。」
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他の候補作
佐々木譲
『廃墟に乞う』
池井戸潤
『鉄の骨』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
葉室麟
『花や散るらん』
道尾秀介
『球体の蛇』
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候補者・作品
池井戸潤男46歳×各選考委員 
『鉄の骨』
長篇 986
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
0  
渡辺淳一
男76歳
19 「文章がやや単調で膨らみがなく、登場人物も型通りで、各々の内面への切り込みが薄いのが残念であった。」「直木賞は文学賞である以上、ストーリーの面白さとともに、人間、および人間関係への独自な視点と、奥行きも備えるべきである。」
阿刀田高
男75歳
10 「人物の設定も描写も(工夫の跡は充分に見えるのだが)ややステレオ・タイプで、全体として“血湧き肉踊る”楽しさは感じにくかった。」
林真理子
女55歳
11 「スケールの大きい構成力もすぐれた小説であるが、なんにせよ文章が荒っぽい。男と女の心の動きがあまりにもステレオタイプだ。」
平岩弓枝
女77歳
6 「興味深く好感を持った。毎回、新しい素材に果敢に挑戦する姿勢は池井戸さんならではと感動している。」
宮城谷昌光
男64歳
27 「最近の直木賞候補作品ははっきりいってパワー不足で、表層のつくろいに終始している作品が多い。ところが氏の作品は力動感にあふれ、パワーに関しては群をぬいている。しかしながら私が氏の作品を推しきれなかったのは、ひとつに文章の問題があったからである。この文章に新味はない。」
宮部みゆき
女49歳
28 「〈現実への解釈を変えるのではなく、現実そのものを、ベタな人間の愚直な奮闘で変えていくことだってできる〉という希望(引用者中略)に、強く心を動かされました。」「(引用者注:「花や散るらん」と共に)日々の暮らしを覆う漠然とした不安と閉塞感に、人がよろず自信を失いがちな今日だからこそ、こういう作品に直木賞を受賞してもらいたいと思いました。」
浅田次郎
男58歳
13 「この種の小説を文学とするためには、物語の重心を社会事象に置かず、事象に翻弄され苦悩する人間に焦点を定めるほかはない。そのほかの手法が実にまったくないことは、先人の著作を多少なりとも解析すれば明らかである。」
北方謙三
男62歳
15 「この作者に銀行もの業界ものを描かせると、卓抜であることを再認識した。」「ただ、業界をはみ出す人間がいない、行儀のよさもある。」「あえて、もう一段の積みあげを望みたい。」
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他の候補作
佐々木譲
『廃墟に乞う』
白石一文
『ほかならぬ人へ』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
葉室麟
『花や散るらん』
道尾秀介
『球体の蛇』
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候補者・作品
辻村深月女29歳×各選考委員 
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
長篇 677
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
0  
渡辺淳一
男76歳
0  
阿刀田高
男75歳
15 「女性の時代と言われても、さまざまな理由でその波に乗れない人たちがいる。(引用者中略)それをヒロインとしたのは慧眼だが、小説の具体的な技法において(たとえば鉤かっこの中の台詞をだれが語っているのか、それを読者に無理なくわからせること、など)私は不足を感じた。」
林真理子
女55歳
13 「私は辻村さんとごく近い町の出身なので、この情況はよくわかるが、はたして他の土地の人には理解してもらえるであろうか。面白いと感じてもらえるだろうか。いち地方の女性の感情を“翻訳”する作業が必要だと思う。」
平岩弓枝
女77歳
0  
宮城谷昌光
男64歳
16 「たいそう読みにくかった。語り手あるいは作中人物の立ち位置が明示されない箇所があり、環境の描写も省略されているとあっては、想像でおぎなってゆくのに時間がかかる。事象の描写がやや遅れてやってくる。その悪癖をなおしてもらいたい。」
宮部みゆき
女49歳
41 「辻村さんが二組の母娘像を見事に描き分けていたからこそ、真相開示に至って私は「チエミのお母さんは怒らないよ。だからこそ、チエミは一瞬だけ、殺したいほどにお母さんを憎んでしまうんだ」と思いました。」「とはいえ、チエミのお母さんが激怒した方が、ミステリーとしては、このうえなくショッキングな真相ですよね。同業者(かつ同好の士)としては、そちらもとてもよくわかるだけに、難しいなあと悩みました。」
浅田次郎
男58歳
13 「随所に輝かしい才能が鏤められているのだが、創造欲と感情とが先走って筆の運びが伴わないもどかしさを感じた。」
北方謙三
男62歳
12 「友人たちを訪ね歩く場面が、不必要である。主人公の必然性ではなく、作者の都合で必要だったのだ、と感じた。」
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他の候補作
佐々木譲
『廃墟に乞う』
白石一文
『ほかならぬ人へ』
池井戸潤
『鉄の骨』
葉室麟
『花や散るらん』
道尾秀介
『球体の蛇』
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候補者・作品
葉室麟男58歳×各選考委員 
『花や散るらん』
長篇 492
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
0  
渡辺淳一
男76歳
0  
阿刀田高
男75歳
6 「人物や歴史の描写が詳細に過ぎて、小説の中になかなか入り込めなかった。作者が狙ったであろう情感も私には覚えにくかった。」
林真理子
女55歳
7 「期待していたが、この作品はあまりよくなかった。理屈っぽく、ストーリーが複雑で退屈してしまった。」
平岩弓枝
女77歳
31 「元禄の赤穂事件に女性の側から取り組むのは着想としては面白いが、大きな構想と多彩な登場人物に対して、この枚数というか、分量ではとても書き切れるものではない。」「おそらく、作者も不満であろうが、読者も同様であろう。」「悠々と、この大きな歴史的事件の全容に向い合って頂きたいと願っている。」
宮城谷昌光
男64歳
6 「さきの『秋月記』にくらべて、空気感が悪く、質も悪い。」
宮部みゆき
女49歳
39 「史実を能動的に自在に操ることで生まれる〈作り話の妙味〉(引用者中略)に、強く心を動かされました。」「(引用者注:「鉄の骨」と共に)日々の暮らしを覆う漠然とした不安と閉塞感に、人がよろず自信を失いがちな今日だからこそ、こういう作品に直木賞を受賞してもらいたいと思いました。」
浅田次郎
男58歳
14 「指摘すべき点は前二回とまったく同様である。」「日本人大衆に向き合うからには、小説家にも相応の覚悟が必要であろう。」
北方謙三
男62歳
8 「咲弥と蔵人と清厳の、友情、愛情関係を描くのに、なぜ忠臣蔵が必要になってくるのか、最後までわからなかった。作品が、二つに割れた印象さえある。」
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他の候補作
佐々木譲
『廃墟に乞う』
白石一文
『ほかならぬ人へ』
池井戸潤
『鉄の骨』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
道尾秀介
『球体の蛇』
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候補者・作品
道尾秀介男34歳×各選考委員 
『球体の蛇』
長篇 473
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
0  
渡辺淳一
男76歳
0  
阿刀田高
男75歳
23 「ストーリーは、わざわざ厄介な情況を創り出し、そこで“苦しい、悩ましい”と、もがいているような気配が感じられ、「小説って、みんなそういうところ、あるでしょう」と言われれば否定はしにくいのだが、これが目立ってしまうと、根源的なリアリティを欠くことになる。力量を感じながらも推しきれなかった。」
林真理子
女55歳
11 「大変な才気を感じるが、登場人物たちがあまりにも都合よく動き、都合よく偶然が起きる。エンターテイメントとして、自由に空想の世界をつくるのと、絵空ごとになってしまうのとは紙一重だ。」
平岩弓枝
女77歳
0  
宮城谷昌光
男64歳
12 「きれいにつじつまあわせがおこなわれている。しかし小世界である。ひろがりがない。氏はめずらしく知的な作家である、と私は感心したことがあるので、情念に深入りすると作品の明度が低下すると警告したい。」
宮部みゆき
女49歳
39 「ある水準以上の衣食住と平穏を得た人間が次に欲するのは、〈人生の物語化〉なのだと言ってもいいかもしれません。道尾さんの『球体の蛇』は、そこを鋭く突く作品でした。」「まことに現代的であり、道尾さんが今という時代から星を託された作家であることを証明する作品です。」
浅田次郎
男58歳
29 「(引用者注:候補作の中で)相対的に上位と見た」「紙数のわりにこぢんまりとした印象があるのは、物語の全容を常に俯瞰する巨視感に欠けているせいだろうか。しかし、小説に明確なテーマを据えたのは大きな飛躍である。また反面、その新たなる飛躍が、作者を呪縛しているミステリーの手法との間に軋轢を生じた。」「一般読者のみならずとりわけミステリーファンには納得できなかったのではあるまいか。」
北方謙三
男62歳
29 「力量は充分であるが、描写が稠密で、読みながら私は、息苦しさを感じ、簡潔を求めた。」「この作家はこの作品で、テーマ性をしっかりと持った、というところを私は評価した。」「二度目の投票に残すことを主張したが、孤立無援で果せなかった。」
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他の候補作
佐々木譲
『廃墟に乞う』
白石一文
『ほかならぬ人へ』
池井戸潤
『鉄の骨』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
葉室麟
『花や散るらん』
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