直木賞のすべて
選評の概要
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五木寛之
Itsuki Hiroyuki
生没年月日【注】 昭和7年/1932年9月30日~
在任期間 第79回~第142回(通算32年・64回)
在任年齢 45歳9ヶ月~77歳3ヶ月
経歴 福岡県生まれ。早稲田大学文学部中退。
受賞歴・候補歴
  • 第6回小説現代新人賞(昭和41年/1966年上期)「さらば、モスクワ愚連隊」
  • |候補| 第55回直木賞(昭和41年/1966年上期)「さらば、モスクワ愚連隊」
  • 第56回直木賞(昭和41年/1966年下期)「蒼ざめた馬を見よ」
  • |候補| 第56回直木賞(昭和41年/1966年下期)「GIブルース」
  • |候補| 第6回吉川英治文学賞(昭和47年/1972年)
  • 第10回吉川英治文学賞(昭和51年/1976年)『青春の門』(筑豊篇ほか)
  • |候補| 第30回日本推理作家協会賞[長編部門](昭和52年/1977年)『戒厳令の夜』
  • 全日本文具協会ベスト・オフィス・ユーザー賞(平成3年/1991年)
  • 龍谷特別賞(平成7年/1995年)
  • 第28回新風賞(平成5年/1993年)『生きるヒント』
  • 第33回新風賞(平成10年/1998年)『大河の一滴』
  • 第50回菊池寛賞(平成14年/2002年)
  • 第38回仏教伝導文化賞B項(平成16年/2004年)
  • 第61回NHK放送文化賞(平成21年/2009年度)
  • 第64回毎日出版文化賞[特別賞](平成22年/2010年)『親鸞』
  • 第70回西日本文化賞[第70回記念特別賞](平成23年/2011年)
  • 第75回文藝春秋読者賞(平成25年/2013年)「うらやましい死に方」
処女作 「さらば、モスクワ愚連隊」(『小説現代』昭和41年/1966年6月号)
個人全集 『五木寛之小説全集』全36巻・補1巻(昭和55年/1980年8月~昭和57年/1982年7月・講談社刊)
直木賞候補歴 第55回候補 「さらば、モスクワ愚連隊」(『小説現代』昭和41年/1966年6月号)
第56回受賞 「蒼ざめた馬を見よ」(『別冊文藝春秋』98号[昭和41年/1966年12月])
第56回候補 「GIブルース」(『オール讀物』昭和41年/1966年11月号)
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part3
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 79 昭和53年/1978年上半期   一覧へ
選評の概要 プロの資質を 総行数60 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男45歳
候補 評価 行数 評言
男49歳
8 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」「私は阿佐田哲也、仮の名を色川武大と考えて一票を投じた。」
男49歳
6 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
  「この賞の選考委員の末席に連なることをお引き受けした時、私は二つの考えを述べた。一つは、直木賞作品は、芥川賞の作品とくっきりと異った質のものでありたいという考え方である。もう一つは、(引用者中略)その作家に真のプロフェッショナルの資質があるかどうかという点を見たいという考えである。」
選評出典:『オール讀物』昭和53年/1978年10月号
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直木賞 80 昭和53年/1978年下半期   一覧へ
選評の概要 問われるのは…… 総行数52 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男46歳
候補 評価 行数 評言
虫明亜呂無
男55歳
12 「興味を持った。この短篇集の中では、候補になった作品よりも、巻末に収録されている〈ペケレットの夏〉のほうが、私は好きだ。虫明さんは若い作家ではないが、小説には新しいところがある。単なるモダニズムの作風と誤解されかねないところがあって、その辺がむずかしいのかもしれない。」
女52歳
0  
男42歳
0  
  「それぞれに一家をなす作風の持主揃いであることに感心した。」「自然、小説づくり(原文傍点)の腕以外の部分での作者の目が問われることになってくる。或はまた、選者の好みの問題になってくるのも仕方がない。」
選評出典:『オール讀物』昭和54年/1979年4月号
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直木賞 81 昭和54年/1979年上半期   一覧へ
選評の概要 本格派二人の登場 総行数52 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男46歳
候補 評価 行数 評言
男54歳
20 「マスコミの表面で異色作家ふうの扱いを受けることが少くないようだが、本来おそろしく姿勢の正しいオーソドックスな小説を書く人だ。」「私は受賞作(引用者中略)にも感心したけれども、これらの作品と一緒に「香具師の旅」という本におさめられている「母娘流れ唄」という短篇がとても好きだった。」
男44歳
18 「受賞と決まった陰には、「つまり、これはエスプリの小説なんだよな」という、今日出海さんの短いひとことが大きかったと思う。」「文壇的感覚からすると異色作のように見られるのかもしれないが、今はこういった作品が主流といっていい時代なのではなかろうか。」「受賞に不足はない。」
  「間口がべらぼうに広い、というのが小説というジャンルの面白いところなのだから、今後もますます多様な作品が登場してくることだろう。」「しかし、今回、眉村卓さんの「消滅の光輪」のような超大型小説(変な表現だが)が候補にならなかったあたり、まだまだ選ぶ側の視野が限られているような気がしないでもない。」
選評出典:『オール讀物』昭和54年/1979年10月号
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直木賞 82 昭和54年/1979年下半期   一覧へ
選評の概要 直木賞の現実 総行数60 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男47歳
候補 評価 行数 評言
つかこうへい
男31歳
4 「最終的に私は、つかこうへい氏の作品を受賞作に推したが、各委員の賛意を得ることができなかった。」
  「直木賞がジャーナリズムの興味をひくために、芸能界に関係のある知名人を候補に集めたというような見方も、一部にはあるらしいが、そんなことはどうでもいいことだ。」「今後とも主催者側のますます大胆溌剌たる遺賢の発掘を望む。」「また訳知り顔の解説家の中には、直木賞の決定に主催団体およぶ文藝春秋社の意向が大きく反映するかのごとき説を述べられたりする向きもあるが、これも全くのナンセンスである。」「そんな無言の誘導や圧力を感じたら、私なぞ即座に選考委員をやめさせて頂く。」
選評出典:『オール讀物』昭和55年/1980年4月号
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直木賞 83 昭和55年/1980年上半期   一覧へ
選評の概要 “さらに厳しく” 総行数47 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男47歳
候補 評価 行数 評言
女50歳
18 「力量十分の作家である。」「熱狂的にこれを支持する声も多く、両氏の受賞は自然な流れの結果であったと思う。」
男40歳
18 「力量十分の作家である。」「どの選考委員も、その実力を認めておられたし、(引用者中略)、両氏の受賞は自然な流れの結果であったと思う。」
  「かつてのように、受賞、即、多作、という図式は、そろそろ崩れかけているのではあるまいか。またその必要もないだろう。」「選考の対象となる作品を、もっと広く、大胆に取りあげる必要がありはしないか。」「まだまだ、と、いまさら、の二つの枠に押されて、惜しい作品や作家がこの賞の横をかすめて流れ去るのを見ていると、どうも落ち着かないところがある。」
選評出典:『オール讀物』昭和55年/1980年10月号
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直木賞 84 昭和55年/1980年下半期   一覧へ
選評の概要 迷いながら 総行数57 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男48歳
候補 評価 行数 評言
男52歳
26 「日本人が一人も登場しない日本語の小説という意味で、特異な作品だった。」「欧米型フィクションの形式をふまえながら、土台のところに日本人の心情が色濃くにじみ出ている所に私は興味を抱かせられた。職業作家としての将来への期待、という一点への気がかりが私にあったため、無条件でこれを推すことにためらったことを付記しておきたい。」
  「直木賞という賞がどういう賞であるのか、少くとも自分の内でははっきりさせなければならないと思いながら、結論が出ないままに今日にいたっている。」
選評出典:『オール讀物』昭和56年/1981年4月号
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直木賞 85 昭和56年/1981年上半期   一覧へ
選評の概要 「この一作」の場で 総行数49 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男48歳
候補 評価 行数 評言
森田誠吾
男55歳
3 「私は(引用者中略)強く推し、」
神吉拓郎
男52歳
3 「私は(引用者中略)「ブラックバス」を強く推し、」
山下惣一
男45歳
4 「(引用者注:「曲亭馬琴遺稿」「ブラックバス」の)つぎに山下惣一氏の「減反神社」など一連の農村を背景にした作品を支持した。」
男48歳
41 「今回はほぼ満票に近いかたちで青島氏が選ばれることになった」「文筆の道ただ一つに夢を託する者たちには、小説という世界はもはや遠いエスタブリッシュメントになってしまったのだろうか。(引用者中略)そんな感慨をおさえきれず、臨席の水上勉氏に、「もう中退生や落伍者の時代じゃなくなったんですね」ともらした」
選評出典:『オール讀物』昭和56年/1981年10月号
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直木賞 86 昭和56年/1981年下半期   一覧へ
選評の概要 つか氏を推す 総行数81 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男49歳
候補 評価 行数 評言
男33歳
37 「つか氏の作品は、私たちの無意識の世界の深いところに鋭く触れるものがある。」「私はこの物語りを遠い祭ばやしを聞くような気分で楽しみながら一気に読み通し、やがて数日たってからずしんと来るものを感じた。」「面白おかしく書きとばせば、それがおのずからなる批評の色合いをおびるという痛快な結果をもたらすので、そういう無意識の狩人を天才と呼んで不自然なわけがない。」
村松友視
男41歳
20 「秀才の苦心作といった趣きだ。」「〈泪橋〉が〈蒲田行進曲〉より小説としていささかも劣るわけではない。私はこの作品の背景をなしている一帯に長く住んでいたことがあるためか、ことに興味ぶかく読んだ。」
男49歳
10 「池波正太郎氏に強く推された。私は池波さんの真情あふるる推挙ぶりに感動し、最初は〈蒲田行進曲〉と〈泪橋〉の二作授賞を主張しながら、最後に変節した。池波さんの批評眼を私は信用しているし、そういう一途な推されかたをする作家には必ず何かがあると思えたからである。」
選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年4月号
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直木賞 87 昭和57年/1982年上半期   一覧へ
選評の概要 村松氏を推す遠因 総行数49 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男49歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
15 「一作受賞の場合は、と断って私が推した」「私はこの作家と、その作風が好きだし、この手の小説こそ実は小説の本道だろうとひそかに思ってきた。」「前に神吉拓郎氏が受賞をのがした時の残念さを含めて、強く支持したのだ。(引用者中略)私は村松さんの作風に、どこか神吉さんと一脈通ずるものを感じていたのである。」
男51歳
17 「なかにはこの作品は認めないが、この作家は認める、という微妙な発言などもあったとはいえ、深田氏の受賞に反対する選者はなかった。」「私個人としては、「日本悪妻に乾杯」の爽やかさ、視点こそちがえ、「革命商人」の重量感のほうが今回の候補作より印象に残っている。」
選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年10月号
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直木賞 88 昭和57年/1982年下半期   一覧へ
選評の概要 日和見的選考の弁 総行数49 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男50歳
候補 評価 行数 評言
  「つか氏や、村松氏の際のようにきっぱり一人に賭けて推すほどの情熱はなかったために、うーん、と腕組みしながら成り行きを見守るしかなかった。」
選評出典:『オール讀物』昭和58年/1983年4月号
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直木賞 89 昭和58年/1983年上半期   一覧へ
選評の概要 北方謙三氏を推す 総行数53 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男50歳
候補 評価 行数 評言
北方謙三
男35歳
15 「私は受賞者を北方謙三氏にしぼって推し続けたのだが、大多数の選考委員の賛同をうるにはいたらなかった。」「私はこの人の作家としての資質を高く評価している。」「たとえば野球の選手について「球筋が良い」という表現があるが、北方氏には作家としての球筋の良さがある。」
男58歳
0 「紙数がつきたので別な場所で感想を述べたい。」
選評出典:『オール讀物』昭和58年/1983年10月号
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直木賞 90 昭和58年/1983年下半期   一覧へ
選評の概要 それぞれに魅力あり 総行数88 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男51歳
候補 評価 行数 評言
男55歳
34 「二作(引用者注:「私生活」と「友よ、静かに瞑れ」)を受賞作として推したいと考えて選考会にのぞんだ。」「これはきわどい小説である。前作の「ブラックバス」よりも気難しくなく(原文傍点)なった部分だけ俗に近づいており、そのきわどい警戒水位のすれすれで踏みこたえたところが、この作家の手腕だろう。」
北方謙三
男36歳
11 「二作(引用者注:「私生活」と「友よ、静かに瞑れ」)を受賞作として推したいと考えて選考会にのぞんだ。」「まだ充分に余力のある人だし、有無を言わさぬ作品をひっさげて再挑戦するほうが御本人も納得がいくだろう。」
男54歳
34 「前に候補になった「地雷」とは、がらりと変った作風の力作である。」「人間の業の象徴としての怪魚であるから、原寸大で目に見えてしまうより、遂に得体の知れない幻の生きものとして海中にひそませておきたい思いもあった。そこを描き切れば、この小説はひとつの神話的な世界にまで高まったかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年4月号
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直木賞 91 昭和59年/1984年上半期   一覧へ
選評の概要 薄暮の時代を映す二作 総行数55 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男51歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
28 「まず誰が見ても異存のないところだろう。」「造花の美が時には現実の花よりリアリティを感じさせることがあるという、小説ならではのたのしみ(原文傍点)を充分にあじあわせてくれた佳作となった。」
男47歳
15 「ノスタルジーの時代に浮上する必然性をもった小説だろう。」「特色は、作者の視点がここに描かれた作中人物たちのそれと、ほとんど重なっている所にある。美也子という若い娘の登場する場面が、ことに印象が鮮かに感じられた。」
  「今回は病気のため選考の席につらなることができなかった。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年10月号
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直木賞 92 昭和59年/1984年下半期   一覧へ
選評の概要 理不尽な作業 総行数52 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男52歳
候補 評価 行数 評言
  「或る選者が積極的に推す作品が、他の委員から全く黙殺されたり、正反対の評価がくだされたりする場に立ち合っていると、小説の値打ちなんて結局は好みの問題にすぎないような気もしてくるのだ。」「他人の書くものに点数をつけるという作業の理不尽さを痛感させられた一夜だった。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年4月号
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直木賞 93 昭和60年/1985年上半期   一覧へ
選評の概要 新受賞者の多作に期待 総行数63 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男52歳
候補 評価 行数 評言
女48歳
10 「最後に決をとる際に、私は山口洋子さん、林真理子さん、二氏の受賞を提案した。」「これからの山口さんの仕事に期待したい。私個人としては、力の限り多作されんことを望んでいる。」
林真理子
女31歳
3 「最後に決をとる際に、私は山口洋子さん、林真理子さん、二氏の受賞を提案した。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年10月号
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直木賞 94 昭和60年/1985年下半期   一覧へ
選評の概要 隠された凄さ 総行数69 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男53歳
候補 評価 行数 評言
男60歳
16 「林真理子さんと、森田誠吾さんのお二人を推した。」「後味がいい、爽やかな作品だ、と。非常に好評だった。しかし、私はこの作家の物語づくりの鮮やかな才能に敬服しながら、一種異様な後味のわるさもおぼえている。」「その得体のしれない部分に惹かれて一票を投じたというのが本音かもしれない。」
女31歳
15 「林真理子さんと、森田誠吾さんのお二人を推した。」「男性に愛されたいと願いつつ、男の敵になってしまう。」「私を含めて男たちはどこか無気味な脅威を林さんの資質にかぎとっているのだろう。」
  「私は候補作をその作家の隠された鉱脈の一部として読む。どんなに完成度の高い作品であっても、その人が今後それをしのぐ豊かな仕事を見せてくれそうだという予感がなければ推さない。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年4月号
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直木賞 95 昭和61年/1986年上半期   一覧へ
選評の概要 「恋紅」を推す 総行数47 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男53歳
候補 評価 行数 評言
女56歳
23 「最も印象にのこった。一見、古風な物語りのようでいて、かならずしもそうではない。」「もし受賞作を選ぶとすればこの作品だろうと考えながら選考の席にのぞんだ。」「幕末から明治という、それだけでも難しそうな時代を背景に、ゆうという女性の前半生を様々な群像とともに描いてみせた作者の力量は相当のものである。」
泡坂妻夫
男53歳
12 「魅力のある小説だった。あえて、ミステリ-に仕立てあげずとも、近頃めずらしい情感のある佳作として、大人が読むに耐える小説の一つになったに違いない。」「ひさびさに小説を読むたのしさをあじわうことができた。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年10月号
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直木賞 96 昭和61年/1986年下半期   一覧へ
選評の概要 実作者の及び腰 総行数83 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男54歳
候補 評価 行数 評言
男43歳
8 「〈カディスの赤い星〉の逢坂氏の筆力と、落合氏の作家的力量を合わせて二作受賞というところだろうか、とも考えていた。」
男55歳
3  
  「今回はどの作品が受賞しても、また受賞作なしに決定しても、反対はしないつもりで選考の席にのぞんだ。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年4月号
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直木賞 97 昭和62年/1987年上半期   一覧へ
選評の概要 作品と作家の両面から 総行数150 (1行=14字)
選考委員 五木寛之 男54歳
候補 評価 行数 評言
男55歳
13 「大きな存在感をもって迫ってきた作家」「お二人(引用者注:山田詠美と白石一郎)が図抜けていると感じた」「直木賞候補八回という実績は、今後ともそのような作家は二度と現れることがないと思われる。」
女28歳
43 「ひときわ強い印象を受けた作品」「お二人(引用者注:山田詠美と白石一郎)が図抜けていると感じた」「〈ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー〉と〈ベッドタイムアイズ〉を、ほとんど同時といっていい数年の間に書き分けられる山田氏の才能も空前のものだ。」「林芙美子と同様、向日性のいささか古風なヒューマニストである。あえていうならば〈黒いひまわり〉とでも呼ぶべきその資質に、私は文句なしに共感した。」
高橋義夫
男41歳
22 「骨太な歴史小説として堂々たる作品であることに驚いた。」「横浜の元同心が主人公で、ふと〈ジャッカルの日〉などを連想しながら一気に読んだ。この長篇が受賞をいっしたのは、ただ他に山田、白石両氏の存在があったからに過ぎないだろう。高橋氏の受賞を強く推す声もあったのは当然である。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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直木賞 98 昭和62年/1987年下半期   一覧へ
選評の概要 何か、を考える 総行数93 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男55歳
候補 評価 行数 評言
男54歳
9 「どの候補作が受賞してもおかしくないではないか、という意見が出てくるにちがいない。私はその通りだと思う。だが、阿部牧郎氏の「それぞれの終楽章」の受賞は、すべての選者の賛意を集めるなにか(原文傍点)を持っていた。それが何かを、私はいま考えているところだ。」
西木正明
男47歳
8 「これが受賞作となっても異論はないと思っていた、とだけ言っておこう。小説をつくろう(原文傍点)とするこの作家の意欲を、高く評価して今後を見守りたい。」
  「直木賞という賞の肌合いというか、性格というか、そういったものが少し変ってきたようだな、と、いう感じがした。」「無名の新人がいきなり登場して、劇的な長打をかっとばすといった舞台では、なくなってきたような雰囲気なのである。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号
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直木賞 99 昭和63年/1988年上半期   一覧へ
選評の概要 「遠い海から──」を推す 総行数143 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男55歳
候補 評価 行数 評言
男41歳
12 「強く推した。この作品に対して、賛否がまっぷたつに分かれたところに、新作家登場のエネルギーを感じたからだ。」
男48歳
10 「私はいまひとつ物足りなさを感じて、強く推さなかった。これも前回の「ユーコン・ジャック」のほうに魅力をおぼえるせいである。」
  「候補作品として二作を列挙する主催者側の意図が、いつも作家にとってマイナスの作用をおよぼしているような気がする。」「「無名作家」もしくは「無名に近い新人作家」という、菊池寛の直木賞創設の文章に私は今もこだわっている。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号
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直木賞 100 昭和63年/1988年下半期   一覧へ
選評の概要 毒にも薬にもなる二作 総行数103 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男56歳
候補 評価 行数 評言
女35歳
28 「端正な文章といい、緻密な構成といい、文句のつけようのない佳作だと思う。くわえて人間を見る目の清涼さ、読み終えたあとの爽やかさなど、いろんな意味で得難い資質を感じさせるところがあった。」「受賞が満場一致ですんなり決まった」
女39歳
27 「杉本氏の受賞が満場一致ですんなり決まったあと、ふと一瞬の空白ののちに藤堂志津子さんの「熟れてゆく夏」が浮上してきたのは、ある意味では当然のことだったとも思われる。「東京新大橋雨中図」の清澄な世界を照らし返すためにも、藤堂氏の「毒」のある作品が必要だ、と感じられたのだ。」「その毒には舌をくすぐる愉楽の味も希薄なのだが、それでもなおこの作家が独自の世界をもつ書き手であることを信じさせる力がある。」
  「最近、小説がなんだかつまらなくなってきたような気がする。ひと口で言ってしまえば、毒にも、薬にもならぬような作品が多すぎるのだ。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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直木賞 101 平成1年/1989年上半期   一覧へ
選評の概要 好対照の二作品 総行数81 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男56歳
候補 評価 行数 評言
男40歳
54 「笹倉明さんの小説には、いつも、小説の枠におさまりきれないところがある。一歩ふみはずせば〈大説〉と化しそうな危うさをはらんでおり、そこがまた魅力でもあると思う。」「雑な文章は作品の興趣をそぐことはなはだしい。しかし、アジアと日本人、そして被差別者がさらに弱い者への差別者となってゆく無残な現実がしっかりと見すえられている〈遠い国からの殺人者〉を、今回の受賞作として推すことにためらいはなかった。」
男41歳
28 「最近これほどの文章つかい(原文傍点)にお目にかかった記憶はない。」「詩と小説の世界をいさぎよいまでに峻別して、舞踏でなく歩行の文体に徹した姿勢に共感をおぼえる。」「かつをぶしを削る、それだけの動作を描写して人を感動させるというのは、なみの才能ではない。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年9月号
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直木賞 102 平成1年/1989年下半期   一覧へ
選評の概要 円熟と未完の魅力 総行数148 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男57歳
候補 評価 行数 評言
男68歳
12 「安定した筆力と円熟した作風をもつ堂々たる大人の作家である。権八という醜男が幼い小伝に、うなぎの串焼きを口うつしのように噛んで食べさせる描写など、僧衣の袖口にちらと鎧の小手を見せられたような気にさせられたものだった。」
男43歳
30 「未完の大器である。なによりもこの国におけるハードボイルド的作風の確立という、至難の世界にターゲットをしぼった姿勢に若々しさがある。」「ハードボイルドとは、非情ではなく抑制された多情であり、粗暴の辛さではなく感傷の苦さであることを思えば、〈私が殺した少女〉の主人公の行動規範は、モラルではなく情感であるべきではないだろうか。」
  「(引用者注:受賞作が)二作でもいっこうにかまわないが、私個人の考えでは徹夜ででも討論を重ねて一作にしぼったほうがいいような気がする。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年3月号
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直木賞 103 平成2年/1990年上半期   一覧へ
選評の概要 新作家への声援 総行数85 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男57歳
候補 評価 行数 評言
男57歳
31 「直木賞を新人賞と考えている私の目には、泡坂さんはすでに直木賞を超えた堂々たる既成作家として映っていたので、選考会にのぞんで少々とまどうところがあったのも事実である。」「驚くほど簡単に泡坂さんの受賞がきまったのは、当然の結果だろうと思う。他の候補作との差は、歴然たるものがあった。」
高橋義夫
男44歳
15 「(引用者注:『風少女』と)『北緯50度に消ゆ』の二作が受賞作に選ばれてもいいと思っていた。」「作家としての卓抜な構築力が感じられる。その筆力はただごとではない。いずれ私たちを瞠目させる作品を書く人だろう。」
樋口有介
男40歳
20 「『風少女』のような作風は、とかくこの国の文壇では軽視されがちな傾向がある。(引用者中略)しかし、私は『風少女』の文体が好きだった。これと『北緯50度に消ゆ』の二作が受賞作に選ばれてもいいと思っていた。」「樋口さんはミステリーにこだわるのをやめたらどうだろう。そうすればもっと自由な、あたらしい小説が書けるのではあるまいか。」
  「今回の選考会ほどすんなりというか、あっさり受賞作がきまった例を私は知らない。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年9月号
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直木賞 104 平成2年/1990年下半期   一覧へ
選評の概要 古川薫氏の実績に脱帽 総行数71 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男58歳
候補 評価 行数 評言
酒見賢一
男27歳
9 「すでに一家をなした感のある堂々たる作風で、これが受賞作として推されたとしても異存はなかっただろう。登場後みじかい間に、ここまで完熟する才能には恐るべきものがある。」
東郷隆
男39歳
7 「「水阿弥陀仏」が奇妙に印象に残った。ふと魯迅の「故事新編」の作風を連想したのは、この作家の才能にただならぬものを感じたからである。」
男65歳
23 「今回の候補作のなかでは、(引用者中略)最も安定した作家的力量を発揮されていた。」「ただ、直木賞はあくまで新人賞であるという私の固定観念が、この作品を無条件で推すことをためらわせるところがあったのも事実である。」「多少の躊躇はあったが、全選考委員が一致しての評価であれば、異論のあろうはずがない。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号
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直木賞 105 平成3年/1991年上半期   一覧へ
選評の概要 実力二作家の登場 総行数111 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男58歳
候補 評価 行数 評言
男41歳
90 「一読おもわず破顔一笑、といった好感のもてる少年小説で、しかも周到な方法論に支えられた佳作である。」「この作者の最大の美点は、上機嫌なユーモアの感覚だろう。」「芦原氏のユーモアは地方の少年を描きながら、妙に都会的だ。そんな外部の視点を体得していればこそ方言を魅力的に使うことができたのではあるまいか。」
男46歳
21 「すでに堂々たる作家である。独得の世界を描いて一家を成した感のある氏に、あえて妄言を書きつらねる勇気は私にはない。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年9月号
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直木賞 106 平成3年/1991年下半期   一覧へ
選評の概要 一作を選ぶ激論も 総行数92 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男59歳
候補 評価 行数 評言
男46歳
29 「小説としての結構がもっともよくととのっていた」「読んでいて素直にたのしむことができた。主人公の祝靱負の描きかたにふくらみがある。下級官吏の十兵衛にも人間的な魅力が感じられるし、狼狩りの絵巻物もなかなかの壮観だ。」
男44歳
18 「すでに独自の作風を確立している小説家である。そういう作家が受賞するためには、一種、新しい境地を切りひらく野心的な作品が現れなければならない。その困難を見事にクリアした」「モダンな描写の底に、どこか縄文的な粘りが感じられるのが、この作家の資質をこえた才能だろう。」
小嵐九八郎
男47歳
11 「いっぷう変った全共闘家庭小説だが、両親や周囲の人物の描きかたに卓抜な才能が光っている。平成版の「坊っちゃん」とも読め、私はこの作品が受賞二作の内に入ってもいいな、と思った。」
  「両高橋氏の受賞をよろこぶ反面、どちらか一篇にしぼる激論もたたかわせてみたかったと思う気持ちもあった。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年3月号
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直木賞 107 平成4年/1992年上半期   一覧へ
選評の概要 伊集院氏を推す 総行数104 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男59歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
26 「それぞれの委員が、この作品集の中で気に入った一篇をあげるのが、ほとんどちがった作品であることも興味ぶかかった。」「この作品集では、すでに伊集院静の世界、という独自の世界がはっきりできあがってしまっていることが感じられる。」「しかし、「受け月」には、まだどこか不安定なところがあって、私はそこに作者の今後の可能性を見たいと考えた。」
  「この数回の候補作品のなかでも、今回はかなり水準の高いほうではないかと考えて選考の席にのぞんだのだが、なぜかそれと反対の感想をもらす委員が少なくなかったのは意外だった。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年9月号
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直木賞 108 平成4年/1992年下半期   一覧へ
選評の概要 余裕の受賞 総行数51 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男60歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
29 「余裕の受賞という感じで今回の選考会は終った。」「なによりも文章が練れているというか、こなれた筆である。」「この作品のなによりの成功は、物語りの舞台に佃島という場所を選んだことだ。(引用者中略)このあたりには、まだまだ沢山の物語りが埋まっていそうである。」
東郷隆
男41歳
12 「惹かれるものがあった。山田風太郎山脈、隆慶一郎連山の系譜につらなる作家として、期待できそうな気がする。」「いつ受賞してもおかしくない才能だと確信している。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年3月号
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直木賞 109 平成5年/1993年上半期   一覧へ
選評の概要 北原さんを推す 総行数92 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男60歳
候補 評価 行数 評言
女55歳
24 「この題名がいかにも古い、という意見も出たが、私は逆に北原亞以子の世界にふさわしい題だと思った。」「川口松太郎さんの初期の名作を思わせる芸道小説の新しい展開がここにあると思った。」「〈まんがら茂平次〉で一家を成した作家だが、まだまだ大きく化ける可能性を秘めた才能である。」
女40歳
19 「今回の候補作家のなかでもっとも筆力のあるのが高村さんだろう。私が〈マークスの山〉を受賞作として一本で推さなかったのは、犯罪の動機に納得がいかなかったのと、警察内部の人間関係にあまり興味がなかったせいである。事件の背後にある人間の意識の深淵への関心が、この作家の本領なのかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年9月号
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直木賞 110 平成5年/1993年下半期   一覧へ
選評の概要 大沢在昌さんを推す 総行数118 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男61歳
候補 評価 行数 評言
男37歳
49 「文句タラタラで読んだが、それでも抜群におもしろかった。決して「文句なしの」おもしろさではない。そこにこの作家の力があると思った。」「総じてこの小説には、タフなジャケットの下から甘さが見え隠れするが、それを排除してしまうと、批評家にはほめられても、売れないだろう。ロックの感覚を生かした歌謡曲、というあたりが、この作品の取り柄なのである。」「大沢さんの一篇を受賞作として推した」
小嵐九八郎
男49歳
26 「「鉄塔の泣く街」が私は大好きで、たちまち小嵐さんのファンになってしまった。だが、なぜかその後、どうも会心の作がでてこない。」「こんどの「おらホの選挙」も、小嵐節はたしかにきこえるのだが、いまひとつ乗りがなく、笑いも中途半端にすぼんでしまう。」「この国の作家としては卓抜な批評性をそなえた異才なのだから、もうすこし気合いを入れて力投してほしい。」
男52歳
4 「一家を成した作家である。(引用者注:「新宿鮫 無間人形」との)二作受賞に反対する理由はなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
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直木賞 111 平成6年/1994年上半期   一覧へ
選評の概要 複雑な感慨 総行数146 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男61歳
候補 評価 行数 評言
東郷隆
男42歳
11 「小説の運命に果敢に挑戦しようという野心を感じた」「この二作(引用者注:「蛇鏡」と「終りみだれぬ」)のうちのどちらかが受賞してもおかしくないと思ったのだが、少数意見であったようだ。」
坂東眞砂子
女36歳
13 「小説の運命に果敢に挑戦しようという野心を感じた」「この二作(引用者注:「蛇鏡」と「終りみだれぬ」)のうちのどちらかが受賞してもおかしくないと思ったのだが、少数意見であったようだ。」
男44歳
39 「これらの諸作品がすべて「オール讀物」という読物雑誌に発表されていることに私は感嘆した。表題作の『帰郷』をはじめ、いずれもチェホフの短篇を連想させる作風だったからだ。」「十九世紀の小説を思わせる作品が読物雑誌に載り、それが直木賞の候補として挙げられるということは、とりもなおさず小説が老成への道をあゆみつつある何よりの証拠だ」
男45歳
14 「私も気分よく読んだが、その自分の感覚にどこか素直になれないかすかな軋みをおぼえたことも事実である。小説としては、いささかひよわな面があるとも思った。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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直木賞 112 平成6年/1994年下半期   一覧へ
選評の概要 ひとつの節目として 総行数72 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男62歳
候補 評価 行数 評言
  「私にはなんとなく小説の世界そのものにパワーが失われている、という気がしてならないのだ。」「これまでの仕事の実績と将来への可能性を加味しての授賞、という考えかたもないではない。しかし、合わせて二作授賞という案と同じように、それにもどこか不確かなところが感じられて、結局、見送られることとなった。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年3月号
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直木賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 こころ残り 総行数99 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男62歳
候補 評価 行数 評言
梁石日
男58歳
37 「異色の候補作だった。こういう作品が受賞すれば、直木賞のイメージも大きく変るかもしれないと思って一票を投じたのだ。この長篇には、何かを書かずにはいられないという、つよい衝動がみなぎっている。その粗削りなエネルギーこそ最近の小説に欠けている大事なものだろう。」
男63歳
31 「私は後半三つの野球小説よりも、学生時代を描いた前半二作品につよく惹かれるところがあった。ことに『夜行列車』の背景をなしている時代相の描写に、胸をしめつけられるような感慨をおぼえたものだ。」
  「(引用者注:「夜を賭けて」と「白球残映」の)二作授賞という考えもないではなかったが、どちらか一つにしようという気配が大勢を占めて、投票ということになった。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
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直木賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 ヴィンテージの予感 総行数98 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男63歳
候補 評価 行数 評言
女43歳
36 「ほとんど満票と言っていい支持を受けてのダブル受賞である。」「なにかを言いたい作家の息遣いが感じられるという点で、(引用者中略)際立っていたと思う。」「文体とか、文章とかいったものを新しい意匠として意識せずに、ひとつの機能としてぐいぐい駆使してゆく逞しさに才能があるのではあるまいか。」
男47歳
38 「ほとんど満票と言っていい支持を受けてのダブル受賞である。」「なにかを言いたい作家の息遣いが感じられるという点で、(引用者中略)際立っていたと思う。」「なによりの美点は、読者に対してフェアであることだ。」「フィクションをフィクションとして読者の前に提出しようといういさぎよさは、たしかに一つの才能である。」
服部真澄
女34歳
4 「私は非常におもしろく読んだが、選考の席では意外に不評だった。」
  「直木賞の周辺には、どことなく波のうねりのような周期的なリズムがあるらしい。ある時期、しばらく候補作がひどく低調に感じられるときが続くと、こんどは急に迫力のある作品が一斉に押しよせてくる何年かがやってくる、という具合いなのだ。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年3月号
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直木賞 115 平成8年/1996年上半期   一覧へ
選評の概要 『蒼穹の昴』を推す 総行数92 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男63歳
候補 評価 行数 評言
浅田次郎
男44歳
26 「もっとも印象に残った。」「たしかに欠点は多い。」「しかし、それでもなお私は、この浅田氏の野心的な仕事に一票を投じたことを後悔してはいない。いかにエネルギッシュな作家でも、これだけの力作をたて続けに世に問うことは難しいだろうと思えば、「長蛇ヲ逸ス」の感をおさえることができなかった。」
女35歳
13 「推理小説として読めば、いささかの難はあるが、サスペンス小説と受けとめれば納得もいく。ただ私には、バイクで狼犬を追走する場面の描写などひどく物足りなく感じられる部分もあって、『蒼穹の昴』の八方破れのおもしろさに一票を投じることになった。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年9月号
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直木賞 116 平成8年/1996年下半期   一覧へ
選評の概要 三作品に注目 総行数83 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男64歳
候補 評価 行数 評言
篠田節子
女41歳
20 「前回の候補作『カノン』とくらべると、『ゴサインタン』ははるかに大きな可能性を感じさせる小説で、私に一票を投じさせる魅力があった。」
馳星周
男31歳
37 「ド派手さにおいてきわだっている。」「胃もたれのする読者には苦手かもしれないが、ニラ、ネギ、ニンニクが好物という向きにはこたえられない御馳走だろう。」「馳氏は九〇年代の歌舞伎町を描いた作家というよりも、歌舞伎町という街に選ばれた書き手かもしれない。」「馳氏が受賞を逸したのは、現実のほうがさらに巨大な深淵をひめているのではないか、と、読後ふと思ったりする点にあったと思う。」
女38歳
20 「直木賞近来の収穫と言っていい長篇、と脱帽しておこう。」「この作品の場合は、後半三分の一あたりから詠み進むために努力を必要としたあたりに問題がありそうだ。前半の見事な物語づくりに舌を巻かされただけに惜しまれる。」
  「今回はどの候補作が受賞しても、それなりに納得できるような気持ちで選考の席にのぞんだ。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年3月号
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直木賞 117 平成9年/1997年上半期   一覧へ
選評の概要 堂々の二作受賞 総行数121 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男64歳
候補 評価 行数 評言
女41歳
23 「いまさら言うまでもない当然の受賞と思う。」「今回の「女たちのジハード」は、優れた作家は常にオールラウンド・プレイヤーであることを示している。作中の女たちへの温かい目と、冷徹な目とが見事に共存して、複眼というか、対位法的な作品の構造に舌を巻く思いがあった。」
男45歳
37 「どの作品も最近の世相のなかで私たちが見失ってしまっている人間の「情」というものが、たっぷり湛えられた鮮やかな物語で、この作家の大技、小技、ともに優れた実力をよく示す一冊だと感心した。」「「蒼穹の昴」で長蛇を逸した作家が、よくも再度の金的を射とめたものだ。強運も才能のうち、とあらためて思った。」
藤田宜永
男47歳
20 「もしも三作受賞が可能ならば、私は迷わずに藤田宜永さんの「樹下の想い」を推しただろう。すこぶる古風な味わいを持つ恋愛小説で、欠点も多々あるものの、この作家の一筋の「想い」が読む側に強くつたわってくるのを感じた。」
  「今回は会心の選考会だった。いかにも直木賞作家らしい受賞者二人を得て、すこぶる高揚した気分で帰途についた。それだけではない。惜しくも受賞を逸した他の候補作も、それぞれに魅力的な作品ぞろいだったこともあって、ひさしぶりに選者冥利につきる感じをおぼえさせられたのだ。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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直木賞 118 平成9年/1997年下半期   一覧へ
選評の概要 複雑な心境 総行数62 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男65歳
候補 評価 行数 評言
  「過半数の支持を集める突出した作品がなく、受賞作なしに終ったのは、なんとなく複雑な心境だった。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年3月号
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直木賞 119 平成10年/1998年上半期   一覧へ
選評の概要 梁、車谷の両氏を推す 総行数83 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男65歳
候補 評価 行数 評言
男53歳
24 「私は梁、車谷、両氏の二作受賞を提案した」「文句なしの受賞だった。」「一気に読み終えたあと、奇妙な満足感をおぼえた。ふと椎名麟三のことを思い出した、という友人がいたが、私も同じ印象を受けた。」
梁石日
男61歳
21 「私は梁、車谷、両氏の二作受賞を提案した」「荒けずりな文章がむしろ効果的といっていいような骨太の物語である。」「この作家の会心の力作と言っていいだろう。いかに才能ある書き手にしても、そうちょくちょく書ける作品ではあるまいと思われるだけに、今回の受賞を逸したことは惜しまれる。」
重松清
男35歳
16 「この二作(引用者注:「血と骨」「赤目四十八瀧心中未遂」)についで感心した」「人間の存在があらためていとおしくなってくるような作品だった。前作の「ナイフ」のほうがヒリヒリと強く心に刺さってくる感じはあるが、「定年ゴジラ」もまたこの作家の独特の世界であることはまちがない。いずれ必ず受賞して一家をなす才能だと信じている。」
  「今回の候補作品は、いずれもくっきりした個性を帯びたものが多く、読んでいて非常に興味をそそられるところがあった。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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直木賞 120 平成10年/1998年下半期   一覧へ
選評の概要 「理由」を推す理由 総行数101 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男66歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
37 「発表当初から世評の高かった秀作で、今回の受賞も当然のことのような印象がある。」「宮部さんは、人間を社会に生きる存在として克明に描くという、小説の王道を臆することなくたどりながら、そのなかに人間の内面を鮮かに彫りおこすミステリーを創りあげることに成功した。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年3月号
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直木賞 121 平成11年/1999年上半期   一覧へ
選評の概要 「永遠の仔」の謎 総行数83 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男66歳
候補 評価 行数 評言
天童荒太
男39歳
44 「最後まで推したのだが、意外なほど不評で、」「たしかに「永遠の仔」には多くの欠点がある。」「しかし、それにもかかわらず、この力作には何かがあると今でも思う。しかし、その肝心な何かをはっきりとつかみ出し、誰もが納得するような説明をすることが私にはできなかった。」「作品自体が、そのような小器用な解説を拒む謎、不可侵の核を抱いて成り立つ小説であるとも考えられるだろう。」
男31歳
17 「佐藤賢一さんの作品は、新人賞のころからずっと読んできた。」「それもあって、「王妃の離婚」に、新星いず! と驚倒できなかったことを、すこし恥じる気持ちがある。選考する側にも、「初心忘るべからず」の緊張感が常に必要であると、あらためて反省させられた。」
女47歳
27 「「OUT」とくらべて、新人の小説としての野心に欠けると思った。」「制度としての直木賞のラインからはじき出されたところにこそ、「OUT」の真の栄光があったのではあるまいか。私は胸中にウメガイを抱いているかのように見えるこの作家が、ふたたび「OUT」の世界を描いて「平地人を戦慄せしめ」るであろうことを、ひそかに期待している。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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直木賞 122 平成11年/1999年下半期   一覧へ
選評の概要 もう一枚の切り札 総行数93 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男67歳
候補 評価 行数 評言
男61歳
20 「この古風な小説のなかでも、十分に人を酔わせるアルコール度を発散している。なかにし礼という作家には、一世一代という切り札を何度でも切ってみせる不思議な才能が、天与のものとしてそなわっているのかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年3月号
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直木賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 重松、金城の二氏を推す 総行数107 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男67歳
候補 評価 行数 評言
重松清
男37歳
23 「私がまず推したのは、重松清さんの『カカシの夏休み』である。」「『未来』につよく惹かれるところがあった。」「彼のめざす道のかなたには、ドストエフスキーやトルストイではなく、ゴーゴリやチェホフの背中がみえているように思う。」
男31歳
31 「二番目に興味ぶかく読んだのは、金城一紀さんの『GO』だった。背後をふり返ることなく前へ前へとつき進む物語りの疾走感は、まさしくエンターテインメントの新世界を切りひらいた感がある。」「主人公が調子よくいきすぎるんじゃないか、と苦笑しつつも、それを許さざるをえない爽快さがあった。」
男56歳
14 「これまでいくつか読む機会のあった船戸ワールドの諸作品とくらべて、ぬきんでた秀作とはいえないというのが私の感想である。」
  「これまでながく選者をつとめてきて、あのときの受賞は決定的にまちがっていたと感じる例は一度もなかったように思う。」「作品としては優れていても、「受賞力」が弱いという場合もありそうだ。しかしその「受賞力」は、かならずしも作品の質とはイコールではない。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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直木賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 二作への期待 総行数71 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男68歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
10 「あえて言うことはない堂々たる佳作である。」「手だれの書き手であり、キャリアも十分、新しい野心作も期待できるはずだ。」
男37歳
10 「あえて言うことはない堂々たる佳作である。」「手だれの書き手であり、キャリアも十分、新しい野心作も期待できるはずだ。」
田口ランディ
女41歳
17 「全員がその才能を認めた秀作である。」「どんなメディアから登場しようと、表現者の才能には壁などないのだと痛感させられた。賞をのがしたのは「未知数」という点が作用していると思うが、作家は処女作がすべてである。この人の将来に不安を抱くことはあるまい。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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直木賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 多作のすすめ 総行数68 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男68歳
候補 評価 行数 評言
男51歳
24 「今回ほどすんなりと決まった受賞作もめずらしい。」「私は『愛の領分』と、田口ランディさんの『モザイク』に一票を投じた」「古風な小説である。しかし、立原正秋とも、加堂秀三ともちがう独自の世界を創りだしているところがいいと思った。登場する人物たちひとりひとりに存在感があるのも、この作家の才能だろう。」
田口ランディ
女41歳
29 「私は『愛の領分』と、田口ランディさんの『モザイク』に一票を投じたのだが、『モザイク』のほうは意外なほど不評で、ちょっとびっくりしたほどである。」「私などにはとてもこういうふうに渋谷の街を描くことはできない。」「新しさを感じさせる文章だった。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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直木賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 軽さの重さ 総行数62 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男69歳
候補 評価 行数 評言
女46歳
27 「選者の立場を忘れて私が、興味ぶかく読みふけった」「端倪すべからざる書き手が登場した感があった。」「軽さに徹すれば重さに変る表現のおもしろさに惹かれて、私は唯川さんの作品に一票を投じた。」「新しい才能を確かに感じさせたことで、推すことに迷いはなかった。」
男53歳
6 「今回はめずらしく時代小説が三本勢揃いしたが、そのなかでは山本一力さんの『あかね空』が、安定した作家的力量を感じさせて、一馬身ぬきんでていたと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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直木賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 読みごたえのある候補作揃い 総行数73 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男69歳
候補 評価 行数 評言
松井今朝子
女48歳
19 「興味ぶかく読んだ」「当選作となって少しも不思議でない作品である。」「これをミステリーとして読めば、幾分の不満もあろうが、江戸時代を背景にした風俗小説として読めば抜群のおもしろさである。章のはじめに引用される文章も卓抜な批評性を感じさせて、私は今回随一の力作だったと思っている。」
江國香織
女38歳
15 「興味ぶかく読んだ」「詩人としての才能が小説を書く上でマイナスになっていない、めずらしい作家である。」「すでに山本周五郎賞を受けていることもあって受賞を逸したが、それもまたこの人らしいという思いもあった。私は好きな作品である。」
男49歳
8 「技術的な安定感と作家としての誠実さには感心しつつも、どことなく印象が薄く、積極的に推すにはいたらなかった。」
  「今回の選考会は、非常に長い時間がかかった。」「ひとつひとつの候補作について、順番に、丹念すぎるほどの感想を語りあっていたために時間をついやしただけのことである。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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直木賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 京極夏彦の栄光 総行数84 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男70歳
候補 評価 行数 評言
京極夏彦
男39歳
51 「好き嫌いや、文芸観の相違をこえて、その存在を誰もが無視することができない作家である。」「京極夏彦という小説家の世界は、直木賞の次元を突き抜けている。」「票が集ればそれもよし、もし支持が少ければ、受賞者なしに終るだろうと予想したのだが、結果はその通りになった。」「直木賞になじまない、さりとて芥川賞の枠にも入らない、というところが京極夏彦という作家の栄光と言えるのではあるまいか。」
  「たぶん、受賞作なしの結果に終るのではないか、しかし、それは避けたい、と考えながら選考の席にのぞんだ。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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直木賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 才気と熱気 総行数79 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男70歳
候補 評価 行数 評言
男43歳
21 「ホームランではないが、走者一掃の二塁打といった感じのライナー性のヒットである。風俗が新鮮で人情が古風、そこがおもしろい。」「私は学生時代に月島で新聞配達をして働いていたことがあるので、ふと感傷をそそられるものがあった。採点が少し甘くなったのは、そのせいだろう。」
女39歳
17 「大きな破綻のある小説である。しかし、小器用にまとまった熱気のない作品など、読んだところで仕方がないではないか。書き手が全体の構成を崩してでも書かずにいられない何かに、私は胸を打たれるのだ。『星々の舟』には、それがあった。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号
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直木賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 二作拮抗の受賞をよろこぶ 総行数83 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男71歳
候補 評価 行数 評言
女39歳
36 「(引用者注:「号泣する準備はできていた」「後巷説百物語」の)二作を推した。」「江國香織さんは見事に小説家として離陸した。」「牛どんとバグダッドカフェとを、まったく同じトーンで文章のなかにはさんでみせる手際は大したものだ。小説家は剣術つかい(原文傍点)と同じように、言葉つかい(原文傍点)でなくてはならないのだから、この人の日本語感覚は貴重である。」
男40歳
21 「(引用者注:「号泣する準備はできていた」「後巷説百物語」の)二作を推した。」「すこぶる批評的な作家である。」「前近代を造型的に駆使して近代を超えようとする姿勢には、外野席から声援を送らずにはいられないような気分になってくる。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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直木賞 131 平成16年/2004年上半期   一覧へ
選評の概要 緊張をはらんだ受賞 総行数91 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男71歳
候補 評価 行数 評言
田口ランディ
女44歳
19 「私は田口ランディさんの『富士山』を推した」「世間の人びとが知っていて知らぬふりをしている問題を、きちんとふまえた小説だと思う。」「これまでの小説の文法をすてて、新しい小説世界を夢みているかのような作風に、ある共感をおぼえずにはいられなかった。」
男44歳
26 「受賞の結果に異存はない。」「文句なしにおもしろい連作である。」「問題は人間の内面世界は、もっと奇怪で難解なものではないか、と、ふと感じさせられる点だ。」
男46歳
19 「受賞の結果に異存はない。」「良くも悪くも時空をずらせた(原文傍点)古風さが魅力となっている。」「粘りづよい描写力に圧倒されるような気がした。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
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直木賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 余裕の受賞 総行数105 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男72歳
候補 評価 行数 評言
岩井三四二
男46歳
53 「もっとも興味ぶかく読んだ」「商人や農民など実質的に社会を支える民衆の行動のモチーフに信仰という照明を当てることで、新しい小説世界の可能性をさぐろうとする野心的な試みである。」「史料的にいくつかの問題点があるという指摘もあり、また構成上の破綻も話題となったが、そういった欠点を超えて私を惹きつける力がこの作品にはあった。」
女37歳
29 「生きるためには、誰しもが生きる意味を必要とする。その捕え難い感覚を、この作家はじつに的確に表現してみせて、間然する所がない。」「文章力は、今回の候補作のなかでもぬきんでていたと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年3月号
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直木賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 『となり町戦争』の不幸と栄光 総行数111 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男72歳
候補 評価 行数 評言
三崎亜記
男34歳
13 「私はこの作品をつよく推したが、「次作を待ちたい」という意見にしたがわざるをえなかった。これが傑作であるという考えは変らない。しかし、この書き手にはたしてこれを超える次作があるのだろうか。」
恩田陸
女40歳
10 「それなりの作品だが、『夜のピクニック』と比較すると、やはり弱い。しかし、私は今回はこの作家が受賞するのではないかと思いながら選考会にのぞんだ。小説家としての安定した実力という観点からは、この人だろう。」
男42歳
14 「(引用者注:授賞に)異論はない。」「私個人としては、(引用者中略)「トカビの夜」という冒頭の一作にことに惹かれるものがあった。」
  「今回はこれまでになく個性のつよい作品が候補として登場してきた。直木賞にも、どことなく新しい風が吹きはじめた予感がある。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年9月号
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直木賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 『容疑者Xの献身』を推す 総行数72 (1行=13字)
選考委員 五木寛之 男73歳
候補 評価 行数 評言
男47歳
56 「推理小説として、ほとんど非のうちどころのない秀作である。」「特筆すべきは、そのプロセスを作中人物に投影させつつストーリーを組み上げてみせた作者の膂力である。」「犯行を偽装するために殺されたホームレスの描きかたと、男たちを惹きつける何を持った靖子という女のオーラが伝わってこないのと、その二点が私にとっては不満だった。」「しかし、他の作品を引き離しての、堂々の受賞であったことはまちがいない。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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直木賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 予感を信じて 総行数95 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男73歳
候補 評価 行数 評言
女29歳
12 「上手な小説である。しかし、この作家の本領は、もっとちがうタイプの小説にあるのかもしれない。思いがけない化けかたをする予感を信じて、(引用者中略)一票を投じた。」
女38歳
16 「小説を創ろうというはっきりした意志が、脱力系の流行る昨今、とても新鮮な印象をあたえるところがあった。ういういしい文章と、妙に手だれな部分とが混在するのもまた魅力の一つか。」「一票を投じた。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年9月号
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直木賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 文壇人を戦慄せしめよ 総行数82 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男74歳
候補 評価 行数 評言
  「今回、受賞者なしの結果に終ったことは、残念ではあるが、いたしかたないことだ。選考にあたった既成作家たちを瞠目させるような候補作品がなかっただけの話である。」「あえて言うなら、最近の候補作品はどこか行儀がよすぎるような気がしてならない。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号
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直木賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 『吉原手引草』を推す 総行数112 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男74歳
候補 評価 行数 評言
女53歳
41 「私はことのほか面白く読んだ。」「生の人間ドラマを敬遠して、人形芝居の物語りをつむごうとする作者の姿勢には、大人びた無常感さえ漂う。構成としては、ヒロイン葛城の最後の行動にいささかの無理があるものの、随所にちりばめられた遊里文化の情報の多彩さは、それをおぎなうに十分である。」
  「候補作品のほとんどが、どこかに夢の気配を感じさせるのは、なぜだろう。リアリズムの時代は、すでに過ぎたのだろうか、と、ふと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年9月号
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直木賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 傾きかたの魅力をかう 総行数123 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男75歳
候補 評価 行数 評言
女36歳
16 「(引用者注:「ベーコン」とともに)今回読んだなかかで、明確な文体意識を感じた」「どこか不安を感じさせる小説である。しかし、その傾きかたに、不思議な魅力があった。しかも前回、候補となって議論をよんだ『赤朽葉家の伝説』とは方向性のちがう世界に挑んでいるところがいい。」
  「そもそも小説にとって、正確で魅力的な文章が不可欠であるという、常識的な考え方が揺らいでいるのではないか。」「文章に対しての関心が薄れてきたことと、最近の直木賞の候補作品のヴォリュームとは、どこかつながっているというのは、的はずれな意見だろうか。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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直木賞 139 平成20年/2008年上半期   一覧へ
選評の概要 最後の一作 総行数118 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男75歳
候補 評価 行数 評言
三崎亜記
男37歳
11 「私は最初、(引用者中略)推したが、ほかに支持する人がなく、あっさり空振りに終った。表題作も興味ぶかく読んだし、『突起型選択装置』の奇妙な魅力も捨てがたい。エンターテインメント界の安部公房といった作風は、今後どこまで進化するのだろうか。」
女47歳
18 「最後に残り、私も一票を投じた。」「主人公の「私」をはじめ登場人物の心と体の揺れうごくきわどさが、人間存在のきわどさを反映していると同時に、文章のもつ官能の力を巧みに使いこなしているところに、この作家の成熟度を感じた。その完成度の高さにかすかな不安もある。しかし、自然描写にさえセクシーな気配が漂うのは、貴重な才能というべきだろう。」
  「第一回目の投票では、各選者の支持作品が分散して、今回はかなり難航しそうな気がしていたのだが、最後は意外にあっさり受賞作が決定した。」「かつてこの賞の選考会は、良くいえば豪快、悪くいえばおおざっぱに事が運ぶのが特徴だったように思う。」「最近では皆さんが試験勉強のように微に入り細をうがって徹底的に準備をなさって選考会にのぞまれる。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年9月号
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直木賞 140 平成20年/2008年下半期   一覧へ
選評の概要 作家と作品と 総行数99 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男76歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
25 「いまの時代に書かれるべくして書かれた作品、という気がした。」「人の死を数字や統計として見るのではなく、個人としての生き方を思うことが「悼む」ということだ。私たちの時代にむけて、この小説が何かを語りかけようとする試みに注目しないわけにはいかない。」「『利休にたずねよ』は作家への、そして『悼む人』は作品への評価といった感じの今回の授賞だろうか。」
男52歳
28 「これらの(引用者注:受賞作以外の候補)作品とならべてみると、さすがに(引用者中略)安定感が際立ってくるのだ。」「私個人としては、利休の出自や、隠された彼の生業などについて、もっと掘りさげてほしい気持ちはあったが、そこは作者の趣向を尊重して楽しく読ませてもらうことにしよう。」「『利休にたずねよ』は作家への、そして『悼む人』は作品への評価といった感じの今回の授賞だろうか。」
  「今回の候補作六篇は、それぞれずしりとヴォリュームのある単行本ぞろいで、私が受賞した一九六〇年代とくらべると、最近、雑誌掲載の中短篇がほとんど対象になっていないのが不思議な気がした。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号
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直木賞 141 平成21年/2009年上半期   一覧へ
選評の概要 作家の存在感 総行数100 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男76歳
候補 評価 行数 評言
葉室麟
男58歳
12 「受賞作として推した」「定石どおりといえば、そうなのだが、どこかにあたらしい風を感じたからだ。」「書き古された題材だという声もあったものの、この作家には独自の作風というものがある。」
男59歳
16 「これまでの安定した実績を踏まえて積極的に推す声もあり、また全面的に否定する声もあったが、受賞作にはそれなりの理由がある、というのが一貫した私の実感である。すんなりと圧倒的な支持で受賞しなかった、ということも、その作家の才能の一つなのだ。北村薫という書き手の存在感が、選考会を圧倒したともいえる、今回の直木賞だった。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号
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直木賞 142 平成21年/2009年下半期   一覧へ
選評の概要 二つの受賞作 総行数101 (1行=12字)
選考委員 五木寛之 男77歳
候補 評価 行数 評言
男59歳
57 「選考の席では、いまさら直木賞でもあるまい、という空気もあったが、デビュー作から三十一年という、そのたゆまぬ作家活動への敬意をふくめて今回の受賞となった。」「著者の描きたかったのは、事件解決への主人公の鮮かな推理や、犯罪の動機ではあるまい。(引用者中略)松本清張さんは「犯罪の動機(原文傍点)」に執着したが、佐々木さんは「事件の背景(原文傍点)」に注目している。そこが新しい。」
男51歳
40 「男女の愛憎が、単なる風俗的なお話に終っていないところが、この作家の才能だろう。」「人物の輪郭というか、キャラクターが鮮かに描かれていて感心した。人物描写のエッジが立っている、という印象だ。」「いま流行りの単語がしばしば出てくる。アイスキャラメルマキアートとか。私はこういうやり方に賛成である。」
  「受賞作二作ということもあって、他の候補作品に触れる紙数がつきたのが残念だ。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
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