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平成5年/1993年下半期
(平成6年/1994年1月13日決定発表/『オール讀物』平成6年/1994年3月号選評掲載)
選考委員  井上ひさし
男59歳
陳舜臣
男69歳
藤沢周平
男66歳
田辺聖子
女65歳
黒岩重吾
男69歳
五木寛之
男61歳
平岩弓枝
女61歳
渡辺淳一
男60歳
山口瞳
男67歳
選評総行数  132 77 115 91 105 118 59 108 103
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
佐藤雅美 『恵比寿屋喜兵衛手控え』
653
男52歳
13 37 38 19 28 4 26 20 37
大沢在昌 『新宿鮫 無間人形』
1028
男37歳
26 18 19 35 29 49 33 25 25
内海隆一郎 『鮭を見に』
430
男56歳
19 4 13 16 14 0 0 11 12
小嵐九八郎 『おらホの選挙』
627
男49歳
22 0 9 3 16 26 0 10 0
中村彰彦 『保科肥後守お耳帖』
436
男44歳
17 0 9 5 5 0 0 6 0
熊谷独 『最後の逃亡者』
733
男57歳
16 16 16 13 8 0 0 14 41
内田春菊 『ファザーファッカー』
260
女34歳
19 0 11 10 5 44 0 22 0
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
1行当たりの文字数:13字


選考委員
井上ひさし男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
高い水準 総行数132 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
13 「なによりもその着眼で光っている。」「物語そのものは常套で、また会話と地の文の関係が手拍子で進行する個所も多く、ハテと思うところは少くなかったけれども、そういった疵をすべて着眼のすばらしさが消した。勉強になる小説だ。」
大沢在昌
男37歳
26 「物語の展開は快調、とにかくおもしろい。舌を巻くばかりの筆力である。」「登場人物たちの織り出す人生の織物は厚くて豪奢である。もちろん欠点はある。たとえば今回の悪玉には「悪の哲学」がない。あるとしても弱い。」「現在感覚に溢れて生き生きとした作品だ。今回は水準が高かったが、その高い水準をこの作品はさらに頭ひとつ抜いている。」
内海隆一郎
男56歳
19 「過去の重い時間を引き摺りながら、現在、出来うる限りの努力をし、未来に一条の希望の光を見ようとする人たちが大勢、登場する。」「さらにもう一つ、作者はそれらの人びとに「心のやさしさ」を与えている。ここがいわば議論の分れ目で、だから印象が淡い、美談仕立てだという意見があり、だから気持がいいという意見も生まれる。今回の評者は後者の立場、しかし力が及ばなかった。」
小嵐九八郎
男49歳
22 「物語は評者の好みであるが、感嘆符のむやみに多い一人称の語りや、そう意味があるとも思えない視点の転換が、読者の読み進む力を殺ぐ。」「全体になにか悪い冗談につき合わされているような印象。ただし特別通信員の「田沢さん」という人物の造型がとてもいい。」
中村彰彦
男44歳
17 「一途で後味のよい話が並んでいる。」「がしかし読み進むにつれて、どの話も同じ鋳型に嵌められていることが判ってくる。いつも「お殿様が知っていてくださった」、「お殿様が覚えていてくださった」というのを感動の梃子にしているので、どの話もその作りが似てくるのだ。」
熊谷独
男57歳
16 「主人公の岡部に関する記述は不明瞭かつ曖昧。それに逃走途中でおこる危機は、たいていが都合よく回避される。結末の暗さは、多分、逃走中の甘さを作者が自分で罰しようとして付け加えたのかもしれない。とにかく前半の旧ソ連の庶民生活のリポートは大の字のつく傑作である。」
内田春菊
女34歳
19 「候補作の中で、最も文章がよろしかった」「平明なのに人間の心の内懐へぐいと入り込む勁いしなやかさを持っているし、諧謔を盛ることもできる度量のある文章だ。」「ただ作者が女主人公にやや甘いところが玉に瑕、」
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他の選考委員
陳舜臣
藤沢周平
田辺聖子
黒岩重吾
五木寛之
平岩弓枝
渡辺淳一
山口瞳
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選考委員
陳舜臣男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
粒ぞろい 総行数77 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
37 「真正面から江戸時代の裁判をとりあげ、エンターテインメントとして水準をこえた作品になっている。」「最近ようやく法廷小説も脚光を浴びはじめたが、そんなとき、時代小説で裁判物を成功させた佐藤氏の功績は大きい。」「新しい分野を拓いたというポイントが加わって、(引用者注:選考においては)最初から有利であった。」
大沢在昌
男37歳
18 「設定にやや無理があるという意見もあったが、ハードボイルドでは、不条理性が登場人物をよりあざやかに造型する素材でもあるので、大きく減点するにあたらないとおもう。この作家の『毒猿』という作品に感心したおぼえがあるが、ハードボイルドの新しい星として活躍が期待できる。」
内海隆一郎
男56歳
4 「前回の候補作よりも重量感があったので、受賞を逸したのは残念であった。」
小嵐九八郎
男49歳
0  
中村彰彦
男44歳
0  
熊谷独
男57歳
16 「一気に読ませるが、このような大逃亡、大追跡にいたらせたエネルギーは何であったのか判然としない。アラブの王様からもらったトルストイのダイヤのためとすれば、日本まで追ってくる仕掛けが大袈裟だし、政治的信条であるとすれば、それが納得できるように書きこまれていない。」
内田春菊
女34歳
0  
  「秀作ぞろいなので、二作受賞ではないかと思って選考会に出たが、はたしてその予感もあたった。」
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他の選考委員
井上ひさし
藤沢周平
田辺聖子
黒岩重吾
五木寛之
平岩弓枝
渡辺淳一
山口瞳
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選考委員
藤沢周平男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二作それぞれに特色 総行数115 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
38 「ユニークな作家である。ただしこのユニークさは、単純に異色などということではなくいささか奥が深い。」「考証は従属的な位置から解放されて、作品の中で進行する物語と等質等量の役割をあたえられているようにみえる。ユニークというのはこのへんのことで、佐藤さんの小説の新しさもここにある」「物語と考証の絶妙のバランスが生み出した傑作」
大沢在昌
男37歳
19 「「新宿鮫」シリーズは、四作目の「新宿鮫 無間人形」に至って、三作目までの娯楽性が勝った作風を超えたように思われた。主人公鮫島の超人的な設定など、二、三気になっていたところが整理されて、派手なおもしろみは減ったかわりに、ずしりと重い現実感が前面に出てきたのが四作目の特色である。」「直木賞にこのエンタテイメントの傑作を加え得たことをよろこびたい。」
内海隆一郎
男56歳
13 「「鮭を見に」は完成度の高い作品だった。(引用者中略)私はこの一遍だけで受賞の値打ちがあると思ったほどである。」「ただ、市役所で女の子が泣くのはどんなものか。ほかの三篇もそれぞれにおもしろかったが、いずれもどこかしら甘さがあるように思われた。」
小嵐九八郎
男49歳
9 「地方の理屈で中央の常識をひっくり返す痛快さがあった。ただしこの作品は津軽弁がおもしろすぎて、物語にそれをしのぐほどのおもしろさがないところが難点に思われた。」
中村彰彦
男44歳
9 「作者のべつの可能性を示した作品だった。推理小説ふうの話のつくりもおもしろく、保科正之の名君ぶりがいやみなく書けているのがいい。しかしこの小説では、史的事実と虚構の間にまだ隙間があるように思った。」
熊谷独
男57歳
16 「読み終ったときに筆力のある新人が出現した強い印象が残った作品だった。」「圧巻は旧ソ連の官庁組織(その内部)、検閲の実態、基地の様子などが綿密に調べられていることで、ここには取材もひとつの才能だと思わせる重味がある。結末が悲劇に終るのはどうだろうか。私は疑問符をつけた。」
内田春菊
女34歳
11 「感覚のいい小説である。人が見のがすような事柄をひろい上げておもしろがる才能は、間違いなく作家のものだ。」「後半、はじめの乾いたユーモアが消え、偏執的な感じが強まって読みづらくなるが、将来有望な作家だと思った。」
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他の選考委員
井上ひさし
陳舜臣
田辺聖子
黒岩重吾
五木寛之
平岩弓枝
渡辺淳一
山口瞳
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選考委員
田辺聖子女65歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
力作揃い 総行数91 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
19 「特異な題材が魅力である。主人公はじめ登場人物が過不足なく描かれ、江戸のまちの匂いを著くもたらす。そっけないほど抑制の利いた筆致は、ことに女たちを描くとき効果をあげている。」
大沢在昌
男37歳
35 「スピードと緊迫感にみち、それでいて、ちょっと甘いところのある味つけが口あたりいい。(引用者中略)大沢氏のお作にある品の良さが、かいなでの作品と一線を劃する。」「構成上やや破綻と思われる個所もあるが、ともかく脂の乗った作家の、みなぎる熱情と荒肝をひしぐ腕力に魅せられ、女の子の描きかたの趣味のよさにも共感。」
内海隆一郎
男56歳
16 「氏のお作品を拝見すると、まことにほっとする。そういう意味で現代にあらまほしい作品だ。ときどき文学的エスプリが日常の常識次元の波をかぶってしまいそうな危うさをちょっと感ずるが、「窓辺のトロフィー」はことにも佳篇であった。」
小嵐九八郎
男49歳
3 「方言の魅力とエピソードがいい。」
中村彰彦
男44歳
5 「興趣ふかい短篇群、成熟度を増していられるが、今回はちょっと「花」のない憾みが残った。」
熊谷独
男57歳
13 「手に汗にぎる臨場感はただごとではない。」「管理社会に住む恐怖の細部がよく書けている。私は特にラストの暗さに作者の才能と現代批判を見た。」「ただすでにこの作品はサントリーミステリー大賞を手中にしていられるので。……」
内田春菊
女34歳
10 「何と文章の巧い人だろう。しかし読後の印象はよくない。文章は清純で印象は醜悪、という矛盾した結果を露呈することになった。題材が作者の裡で未消化のため、文学的濾過が終っていないせいか。しかし将来を注目すべき新人と思った。」
  「今回は作品数も多く、しかも力作揃いであった。これは票が割れて揉めるかな、と思いながら臨んだが、ごく早い時点で『新宿鮫 無間人形』と『恵比寿屋喜兵衛手控え』がせりあって浮上した。」
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他の選考委員
井上ひさし
陳舜臣
藤沢周平
黒岩重吾
五木寛之
平岩弓枝
渡辺淳一
山口瞳
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選考委員
黒岩重吾男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
対照的な二作品 総行数105 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
28 「(引用者注:江戸時代の)民事の訴訟をテーマにした作品を読んだのは初めてだが、難解ではなく実に読み易い。」「とくにこの作品を魅力的にしているのは、旅人宿の主人、喜兵衛の人間描写にある。」「訴え出た地方の百姓も一見純朴そうだが実にしたたかで、この作者が人間を凝視する眼に曇りはない。」
大沢在昌
男37歳
29 「新しい迫力がある。」「問題は前半の汗ばむような緊張感が後半に到って崩れることである。政界人を操るような地方財閥の息子が、危険な覚醒剤を売らなければならない理由が、読者に納得出来るまで描かれていない。」「本家の息子など実に屈折した人物なので、もっと書き込んで貰いたかった。」「苦言を呈したが、私の時代には存在しなかったであろう晶は、作者の筆力においてのみ創り得た女性であることは間違いない。」
内海隆一郎
男56歳
14 「素朴な作品である。人間の善良さが良く出ている。ただ作者は人間の厳しさから逃げているようだ。例えば主人公は旅の途中で少女と出会い連れ歩く。(引用者中略)場合によっては主人公は痴漢に間違われかねないのである。作者がこのことに気づいていないとすると甘いといわれても仕方がない。」
小嵐九八郎
男49歳
16 「面白く、考えさせるものがあった。」「読後爽快感を覚えるのは、東京から来た野々村が、仕事熱心で清潔感を漂わせているからであろう。」「ただ主人公に匹敵する風子の印象が弱い。個性的な女性として描かれているにも拘らず、個性の根が分らない。残念だった。」
中村彰彦
男44歳
5 「前回よりものびのびと作品に向ってはいるが、善玉、悪玉がはっきりし過ぎた。」
熊谷独
男57歳
8 「面白く読んだが、この面白さは小説の味とは少し異なるように思えた。私が主に読みたかったのは、日本人の岡部が、ソ連の罠にはまって行く詳細な過程だった。それが描かれていない。」
内田春菊
女34歳
5 「カオスの才能が感じられる。ただ今は小説がわかっていないような気がする。」
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他の選考委員
井上ひさし
陳舜臣
藤沢周平
田辺聖子
五木寛之
平岩弓枝
渡辺淳一
山口瞳
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選考委員
五木寛之男61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
大沢在昌さんを推す 総行数118 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
4 「一家を成した作家である。(引用者注:「新宿鮫 無間人形」との)二作受賞に反対する理由はなかった。」
大沢在昌
男37歳
49 「文句タラタラで読んだが、それでも抜群におもしろかった。決して「文句なしの」おもしろさではない。そこにこの作家の力があると思った。」「総じてこの小説には、タフなジャケットの下から甘さが見え隠れするが、それを排除してしまうと、批評家にはほめられても、売れないだろう。ロックの感覚を生かした歌謡曲、というあたりが、この作品の取り柄なのである。」「大沢さんの一篇を受賞作として推した」
内海隆一郎
男56歳
0  
小嵐九八郎
男49歳
26 「「鉄塔の泣く街」が私は大好きで、たちまち小嵐さんのファンになってしまった。だが、なぜかその後、どうも会心の作がでてこない。」「こんどの「おらホの選挙」も、小嵐節はたしかにきこえるのだが、いまひとつ乗りがなく、笑いも中途半端にすぼんでしまう。」「この国の作家としては卓抜な批評性をそなえた異才なのだから、もうすこし気合いを入れて力投してほしい。」
中村彰彦
男44歳
0  
熊谷独
男57歳
0  
内田春菊
女34歳
44 「良かれ悪しかれ、この作品をどう評価するかは、今後の直木賞のゆくえを占う重要なポイントになるだろう。そう考えて、すこし緊張しながら選考会の席に臨んだのだが、意外にあっさりと見送られてしまった。」「こんどの七作のなかで、いちばん引き込まれて読んだ」「しかし、なぜか夢中になって読みすすみながら、「ちがうな」「ちがうよ」と絶えず心の中でつぶやき続けていた。」
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他の選考委員
井上ひさし
陳舜臣
藤沢周平
田辺聖子
黒岩重吾
平岩弓枝
渡辺淳一
山口瞳
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選考委員
平岩弓枝女61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
受賞作によせて 総行数59 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
26 「公事宿というものの面白さがよく描けている、品のいい作品である。」「喜兵衛という人物がほどほどに温厚で人情味があり、仕事に関しては冷静できっぱりしているという性格描写がしっかりしているので、喜兵衛を通して裁判なり、事件なりを読者が理解しやすい。そういうところが、作者の腕だと思う。」「欲をいわせてもらえば、夫婦の情愛の機微に関して、もう少し書き込んでもらえれば、作品の情感が増したのではないかと感じた。」
大沢在昌
男37歳
33 「週刊誌に連載中から愛読していて、次の回が楽しみであった。」「で、(引用者中略)読者として苦情を申し上げたい。」「巨大な権力の中心人物が姿もみせず、その一族にあの老いぼれは、じきに死ぬ、と一人言で片づけてしまったのは、まことに残念。更にいえば、(引用者中略、注:キャンディを作っていた)理由が、でき上った自分のまわりの世界を汚したかったのかも知れない、という、これも独白だけで終らせたのでは、おそらく誰も納得出来ないと思う。」
内海隆一郎
男56歳
0  
小嵐九八郎
男49歳
0  
中村彰彦
男44歳
0  
熊谷独
男57歳
0  
内田春菊
女34歳
0  
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他の選考委員
井上ひさし
陳舜臣
藤沢周平
田辺聖子
黒岩重吾
五木寛之
渡辺淳一
山口瞳
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選考委員
渡辺淳一男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
安定感と勢いのある作家 総行数108 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
20 「いままでほとんど書かれていない世界に踏みこんだところが、第一の手柄であった。さらに登場人物が善玉、悪玉といった通俗的な枠を越えて、冷静に等身大に書いているところにリアリティがあり、作者の目のたしかさを感じさせる。もっとも全体のつくりはやや平板で、文章もいまひとつ危うげなところがある」
大沢在昌
男37歳
25 「いま登り坂の作家の勢いが感じられる。」「裕福な彼等(引用者注:登場人物の香川兄弟)が、麻薬の売買に手を出した理由も弱く、最後が腰砕けになっている。」「あまりにエンターテインメントに過ぎて、手応えが軽すぎるが、シリーズ作品で、他にそうでもないものもあるところから納得した。この作品で最も惹かれたのは晶という女性で、この女性の魅力と、全体を貫く乾いた感性をかって、受賞に賛成した。」
内海隆一郎
男56歳
11 「いずれの短篇もほのぼのと人間の善意を感じさせ、読後感は爽やかだが、常にそこまでで止まり、その甘さをのり越えた深みにいたらない、もどかしさが残る。」
小嵐九八郎
男49歳
10 「達者な小説だが、方言がややうるさく、話の内容も作者が思っているほど面白くはない。この作者はかなりの筆力があるようだが、達者さがわざわいして、本来のところと違う迷路に入りこんでいるような気がして惜しまれる。」
中村彰彦
男44歳
6 「資料と小説部分がうまく溶け合わず、作者が作品から距離をおきすぎていることも、興を薄めているようである。」
熊谷独
男57歳
14 「息詰まる緊迫感があり、風景や人々の生活などのディテールもよく書けている。だが全体としてみると、ソ連をよく知る者の綿密なルポルタージュの気配が強く、それを越えて虚構とともにわきでてくる小説的ふくらみに欠けている。」
内田春菊
女34歳
22 「期待して読んだだけに、いささか失望した。たしかに題材は衝撃的で興味はそそられるが、全体としては話を追うに急で、文学作品としての柔軟さとふくらみに欠けている。なによりも不満なのは、作者が一人、虐げられた可哀相な少女、という安全地帯に入りこみ、苛立ち乱暴を働く養父や、その男と別れきれない母親の内面まで、目が行き届いていないこと」
  「今回、最終候補に残った七篇は、それなりに書けてはいるが、さて当選作はとなると、やや決定打に欠ける憾みがあった。」
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井上ひさし
陳舜臣
藤沢周平
田辺聖子
黒岩重吾
五木寛之
平岩弓枝
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選考委員
山口瞳男67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
タダ者じゃない 総行数103 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
佐藤雅美
男52歳
37 「新人らしからぬ悠々たる筆の運びに先ず魅了された。」「この小説のお手柄は何といっても、江戸時代の裁判という未知の世界を再現してくれたことだろう。」「読者の襟髪を?んで、その場に放り込むような描写は見事というほかはない。」「ただし、この小説の瑕瑾もそこにあるのであって、裁判そのものの経過がわかりにくくゴタゴタしている。」
大沢在昌
男37歳
25 「こういう小説、私は読み馴れないのだが、なかなか面白くて上等だと思った。文章のテムポがいい。」「その上で無いもの強請りを言うのだが、この小説には哲学がない。(引用者中略)麻薬犯も鮫島も愛人の晶も、恰好はついているが、奥が無くて薄いものになってしまっている。」
内海隆一郎
男56歳
12 「内海さんの小説を読むと、いつももどかしい思いをする。なんという欲の無い人なのか。文章の安定感も好感度も随一であるのに、勿体無い。もっとハッタリをかましたら、と私なんかは考える。」
小嵐九八郎
男49歳
0  
中村彰彦
男44歳
0  
熊谷独
男57歳
41 「文章がのびのびしている。格調が高くスケールが大きい。」「卑しいところが少しもない。」「外国を舞台にした小説としては珍しく作者の腰がすわっていて、見る目が安定している。」「難点がないわけではない。(引用者中略)主人公の追われる身となる原因がやや曖昧。これは何しろ野蛮国ロシヤの話だから、精しく書くと商社マンであったらしい作者の身に危険が及ぶのではないかといったように好意的に解釈した。」
内田春菊
女34歳
0  
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他の選考委員
井上ひさし
陳舜臣
藤沢周平
田辺聖子
黒岩重吾
五木寛之
平岩弓枝
渡辺淳一
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受賞者・作品
佐藤雅美男52歳×各選考委員 
『恵比寿屋喜兵衛手控え』
長篇 653
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男59歳
13 「なによりもその着眼で光っている。」「物語そのものは常套で、また会話と地の文の関係が手拍子で進行する個所も多く、ハテと思うところは少くなかったけれども、そういった疵をすべて着眼のすばらしさが消した。勉強になる小説だ。」
陳舜臣
男69歳
37 「真正面から江戸時代の裁判をとりあげ、エンターテインメントとして水準をこえた作品になっている。」「最近ようやく法廷小説も脚光を浴びはじめたが、そんなとき、時代小説で裁判物を成功させた佐藤氏の功績は大きい。」「新しい分野を拓いたというポイントが加わって、(引用者注:選考においては)最初から有利であった。」
藤沢周平
男66歳
38 「ユニークな作家である。ただしこのユニークさは、単純に異色などということではなくいささか奥が深い。」「考証は従属的な位置から解放されて、作品の中で進行する物語と等質等量の役割をあたえられているようにみえる。ユニークというのはこのへんのことで、佐藤さんの小説の新しさもここにある」「物語と考証の絶妙のバランスが生み出した傑作」
田辺聖子
女65歳
19 「特異な題材が魅力である。主人公はじめ登場人物が過不足なく描かれ、江戸のまちの匂いを著くもたらす。そっけないほど抑制の利いた筆致は、ことに女たちを描くとき効果をあげている。」
黒岩重吾
男69歳
28 「(引用者注:江戸時代の)民事の訴訟をテーマにした作品を読んだのは初めてだが、難解ではなく実に読み易い。」「とくにこの作品を魅力的にしているのは、旅人宿の主人、喜兵衛の人間描写にある。」「訴え出た地方の百姓も一見純朴そうだが実にしたたかで、この作者が人間を凝視する眼に曇りはない。」
五木寛之
男61歳
4 「一家を成した作家である。(引用者注:「新宿鮫 無間人形」との)二作受賞に反対する理由はなかった。」
平岩弓枝
女61歳
26 「公事宿というものの面白さがよく描けている、品のいい作品である。」「喜兵衛という人物がほどほどに温厚で人情味があり、仕事に関しては冷静できっぱりしているという性格描写がしっかりしているので、喜兵衛を通して裁判なり、事件なりを読者が理解しやすい。そういうところが、作者の腕だと思う。」「欲をいわせてもらえば、夫婦の情愛の機微に関して、もう少し書き込んでもらえれば、作品の情感が増したのではないかと感じた。」
渡辺淳一
男60歳
20 「いままでほとんど書かれていない世界に踏みこんだところが、第一の手柄であった。さらに登場人物が善玉、悪玉といった通俗的な枠を越えて、冷静に等身大に書いているところにリアリティがあり、作者の目のたしかさを感じさせる。もっとも全体のつくりはやや平板で、文章もいまひとつ危うげなところがある」
山口瞳
男67歳
37 「新人らしからぬ悠々たる筆の運びに先ず魅了された。」「この小説のお手柄は何といっても、江戸時代の裁判という未知の世界を再現してくれたことだろう。」「読者の襟髪を?んで、その場に放り込むような描写は見事というほかはない。」「ただし、この小説の瑕瑾もそこにあるのであって、裁判そのものの経過がわかりにくくゴタゴタしている。」
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他の候補作
大沢在昌
『新宿鮫 無間人形』
内海隆一郎
『鮭を見に』
小嵐九八郎
『おらホの選挙』
中村彰彦
『保科肥後守お耳帖』
熊谷独
『最後の逃亡者』
内田春菊
『ファザーファッカー』
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受賞者・作品
大沢在昌男37歳×各選考委員 
『新宿鮫 無間人形』
長篇 1028
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男59歳
26 「物語の展開は快調、とにかくおもしろい。舌を巻くばかりの筆力である。」「登場人物たちの織り出す人生の織物は厚くて豪奢である。もちろん欠点はある。たとえば今回の悪玉には「悪の哲学」がない。あるとしても弱い。」「現在感覚に溢れて生き生きとした作品だ。今回は水準が高かったが、その高い水準をこの作品はさらに頭ひとつ抜いている。」
陳舜臣
男69歳
18 「設定にやや無理があるという意見もあったが、ハードボイルドでは、不条理性が登場人物をよりあざやかに造型する素材でもあるので、大きく減点するにあたらないとおもう。この作家の『毒猿』という作品に感心したおぼえがあるが、ハードボイルドの新しい星として活躍が期待できる。」
藤沢周平
男66歳
19 「「新宿鮫」シリーズは、四作目の「新宿鮫 無間人形」に至って、三作目までの娯楽性が勝った作風を超えたように思われた。主人公鮫島の超人的な設定など、二、三気になっていたところが整理されて、派手なおもしろみは減ったかわりに、ずしりと重い現実感が前面に出てきたのが四作目の特色である。」「直木賞にこのエンタテイメントの傑作を加え得たことをよろこびたい。」
田辺聖子
女65歳
35 「スピードと緊迫感にみち、それでいて、ちょっと甘いところのある味つけが口あたりいい。(引用者中略)大沢氏のお作にある品の良さが、かいなでの作品と一線を劃する。」「構成上やや破綻と思われる個所もあるが、ともかく脂の乗った作家の、みなぎる熱情と荒肝をひしぐ腕力に魅せられ、女の子の描きかたの趣味のよさにも共感。」
黒岩重吾
男69歳
29 「新しい迫力がある。」「問題は前半の汗ばむような緊張感が後半に到って崩れることである。政界人を操るような地方財閥の息子が、危険な覚醒剤を売らなければならない理由が、読者に納得出来るまで描かれていない。」「本家の息子など実に屈折した人物なので、もっと書き込んで貰いたかった。」「苦言を呈したが、私の時代には存在しなかったであろう晶は、作者の筆力においてのみ創り得た女性であることは間違いない。」
五木寛之
男61歳
49 「文句タラタラで読んだが、それでも抜群におもしろかった。決して「文句なしの」おもしろさではない。そこにこの作家の力があると思った。」「総じてこの小説には、タフなジャケットの下から甘さが見え隠れするが、それを排除してしまうと、批評家にはほめられても、売れないだろう。ロックの感覚を生かした歌謡曲、というあたりが、この作品の取り柄なのである。」「大沢さんの一篇を受賞作として推した」
平岩弓枝
女61歳
33 「週刊誌に連載中から愛読していて、次の回が楽しみであった。」「で、(引用者中略)読者として苦情を申し上げたい。」「巨大な権力の中心人物が姿もみせず、その一族にあの老いぼれは、じきに死ぬ、と一人言で片づけてしまったのは、まことに残念。更にいえば、(引用者中略、注:キャンディを作っていた)理由が、でき上った自分のまわりの世界を汚したかったのかも知れない、という、これも独白だけで終らせたのでは、おそらく誰も納得出来ないと思う。」
渡辺淳一
男60歳
25 「いま登り坂の作家の勢いが感じられる。」「裕福な彼等(引用者注:登場人物の香川兄弟)が、麻薬の売買に手を出した理由も弱く、最後が腰砕けになっている。」「あまりにエンターテインメントに過ぎて、手応えが軽すぎるが、シリーズ作品で、他にそうでもないものもあるところから納得した。この作品で最も惹かれたのは晶という女性で、この女性の魅力と、全体を貫く乾いた感性をかって、受賞に賛成した。」
山口瞳
男67歳
25 「こういう小説、私は読み馴れないのだが、なかなか面白くて上等だと思った。文章のテムポがいい。」「その上で無いもの強請りを言うのだが、この小説には哲学がない。(引用者中略)麻薬犯も鮫島も愛人の晶も、恰好はついているが、奥が無くて薄いものになってしまっている。」
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他の候補作
佐藤雅美
『恵比寿屋喜兵衛手控え』
内海隆一郎
『鮭を見に』
小嵐九八郎
『おらホの選挙』
中村彰彦
『保科肥後守お耳帖』
熊谷独
『最後の逃亡者』
内田春菊
『ファザーファッカー』
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候補者・作品
内海隆一郎男56歳×各選考委員 
『鮭を見に』
短篇集4篇 430
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男59歳
19 「過去の重い時間を引き摺りながら、現在、出来うる限りの努力をし、未来に一条の希望の光を見ようとする人たちが大勢、登場する。」「さらにもう一つ、作者はそれらの人びとに「心のやさしさ」を与えている。ここがいわば議論の分れ目で、だから印象が淡い、美談仕立てだという意見があり、だから気持がいいという意見も生まれる。今回の評者は後者の立場、しかし力が及ばなかった。」
陳舜臣
男69歳
4 「前回の候補作よりも重量感があったので、受賞を逸したのは残念であった。」
藤沢周平
男66歳
13 「「鮭を見に」は完成度の高い作品だった。(引用者中略)私はこの一遍だけで受賞の値打ちがあると思ったほどである。」「ただ、市役所で女の子が泣くのはどんなものか。ほかの三篇もそれぞれにおもしろかったが、いずれもどこかしら甘さがあるように思われた。」
田辺聖子
女65歳
16 「氏のお作品を拝見すると、まことにほっとする。そういう意味で現代にあらまほしい作品だ。ときどき文学的エスプリが日常の常識次元の波をかぶってしまいそうな危うさをちょっと感ずるが、「窓辺のトロフィー」はことにも佳篇であった。」
黒岩重吾
男69歳
14 「素朴な作品である。人間の善良さが良く出ている。ただ作者は人間の厳しさから逃げているようだ。例えば主人公は旅の途中で少女と出会い連れ歩く。(引用者中略)場合によっては主人公は痴漢に間違われかねないのである。作者がこのことに気づいていないとすると甘いといわれても仕方がない。」
五木寛之
男61歳
0  
平岩弓枝
女61歳
0  
渡辺淳一
男60歳
11 「いずれの短篇もほのぼのと人間の善意を感じさせ、読後感は爽やかだが、常にそこまでで止まり、その甘さをのり越えた深みにいたらない、もどかしさが残る。」
山口瞳
男67歳
12 「内海さんの小説を読むと、いつももどかしい思いをする。なんという欲の無い人なのか。文章の安定感も好感度も随一であるのに、勿体無い。もっとハッタリをかましたら、と私なんかは考える。」
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他の候補作
佐藤雅美
『恵比寿屋喜兵衛手控え』
大沢在昌
『新宿鮫 無間人形』
小嵐九八郎
『おらホの選挙』
中村彰彦
『保科肥後守お耳帖』
熊谷独
『最後の逃亡者』
内田春菊
『ファザーファッカー』
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候補者・作品
小嵐九八郎男49歳×各選考委員 
『おらホの選挙』
長篇 627
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男59歳
22 「物語は評者の好みであるが、感嘆符のむやみに多い一人称の語りや、そう意味があるとも思えない視点の転換が、読者の読み進む力を殺ぐ。」「全体になにか悪い冗談につき合わされているような印象。ただし特別通信員の「田沢さん」という人物の造型がとてもいい。」
陳舜臣
男69歳
0  
藤沢周平
男66歳
9 「地方の理屈で中央の常識をひっくり返す痛快さがあった。ただしこの作品は津軽弁がおもしろすぎて、物語にそれをしのぐほどのおもしろさがないところが難点に思われた。」
田辺聖子
女65歳
3 「方言の魅力とエピソードがいい。」
黒岩重吾
男69歳
16 「面白く、考えさせるものがあった。」「読後爽快感を覚えるのは、東京から来た野々村が、仕事熱心で清潔感を漂わせているからであろう。」「ただ主人公に匹敵する風子の印象が弱い。個性的な女性として描かれているにも拘らず、個性の根が分らない。残念だった。」
五木寛之
男61歳
26 「「鉄塔の泣く街」が私は大好きで、たちまち小嵐さんのファンになってしまった。だが、なぜかその後、どうも会心の作がでてこない。」「こんどの「おらホの選挙」も、小嵐節はたしかにきこえるのだが、いまひとつ乗りがなく、笑いも中途半端にすぼんでしまう。」「この国の作家としては卓抜な批評性をそなえた異才なのだから、もうすこし気合いを入れて力投してほしい。」
平岩弓枝
女61歳
0  
渡辺淳一
男60歳
10 「達者な小説だが、方言がややうるさく、話の内容も作者が思っているほど面白くはない。この作者はかなりの筆力があるようだが、達者さがわざわいして、本来のところと違う迷路に入りこんでいるような気がして惜しまれる。」
山口瞳
男67歳
0  
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他の候補作
佐藤雅美
『恵比寿屋喜兵衛手控え』
大沢在昌
『新宿鮫 無間人形』
内海隆一郎
『鮭を見に』
中村彰彦
『保科肥後守お耳帖』
熊谷独
『最後の逃亡者』
内田春菊
『ファザーファッカー』
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候補者・作品
中村彰彦男44歳×各選考委員 
『保科肥後守お耳帖』
連作5篇 436
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男59歳
17 「一途で後味のよい話が並んでいる。」「がしかし読み進むにつれて、どの話も同じ鋳型に嵌められていることが判ってくる。いつも「お殿様が知っていてくださった」、「お殿様が覚えていてくださった」というのを感動の梃子にしているので、どの話もその作りが似てくるのだ。」
陳舜臣
男69歳
0  
藤沢周平
男66歳
9 「作者のべつの可能性を示した作品だった。推理小説ふうの話のつくりもおもしろく、保科正之の名君ぶりがいやみなく書けているのがいい。しかしこの小説では、史的事実と虚構の間にまだ隙間があるように思った。」
田辺聖子
女65歳
5 「興趣ふかい短篇群、成熟度を増していられるが、今回はちょっと「花」のない憾みが残った。」
黒岩重吾
男69歳
5 「前回よりものびのびと作品に向ってはいるが、善玉、悪玉がはっきりし過ぎた。」
五木寛之
男61歳
0  
平岩弓枝
女61歳
0  
渡辺淳一
男60歳
6 「資料と小説部分がうまく溶け合わず、作者が作品から距離をおきすぎていることも、興を薄めているようである。」
山口瞳
男67歳
0  
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他の候補作
佐藤雅美
『恵比寿屋喜兵衛手控え』
大沢在昌
『新宿鮫 無間人形』
内海隆一郎
『鮭を見に』
小嵐九八郎
『おらホの選挙』
熊谷独
『最後の逃亡者』
内田春菊
『ファザーファッカー』
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候補者・作品
熊谷独男57歳×各選考委員 
『最後の逃亡者』
長篇 733
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男59歳
16 「主人公の岡部に関する記述は不明瞭かつ曖昧。それに逃走途中でおこる危機は、たいていが都合よく回避される。結末の暗さは、多分、逃走中の甘さを作者が自分で罰しようとして付け加えたのかもしれない。とにかく前半の旧ソ連の庶民生活のリポートは大の字のつく傑作である。」
陳舜臣
男69歳
16 「一気に読ませるが、このような大逃亡、大追跡にいたらせたエネルギーは何であったのか判然としない。アラブの王様からもらったトルストイのダイヤのためとすれば、日本まで追ってくる仕掛けが大袈裟だし、政治的信条であるとすれば、それが納得できるように書きこまれていない。」
藤沢周平
男66歳
16 「読み終ったときに筆力のある新人が出現した強い印象が残った作品だった。」「圧巻は旧ソ連の官庁組織(その内部)、検閲の実態、基地の様子などが綿密に調べられていることで、ここには取材もひとつの才能だと思わせる重味がある。結末が悲劇に終るのはどうだろうか。私は疑問符をつけた。」
田辺聖子
女65歳
13 「手に汗にぎる臨場感はただごとではない。」「管理社会に住む恐怖の細部がよく書けている。私は特にラストの暗さに作者の才能と現代批判を見た。」「ただすでにこの作品はサントリーミステリー大賞を手中にしていられるので。……」
黒岩重吾
男69歳
8 「面白く読んだが、この面白さは小説の味とは少し異なるように思えた。私が主に読みたかったのは、日本人の岡部が、ソ連の罠にはまって行く詳細な過程だった。それが描かれていない。」
五木寛之
男61歳
0  
平岩弓枝
女61歳
0  
渡辺淳一
男60歳
14 「息詰まる緊迫感があり、風景や人々の生活などのディテールもよく書けている。だが全体としてみると、ソ連をよく知る者の綿密なルポルタージュの気配が強く、それを越えて虚構とともにわきでてくる小説的ふくらみに欠けている。」
山口瞳
男67歳
41 「文章がのびのびしている。格調が高くスケールが大きい。」「卑しいところが少しもない。」「外国を舞台にした小説としては珍しく作者の腰がすわっていて、見る目が安定している。」「難点がないわけではない。(引用者中略)主人公の追われる身となる原因がやや曖昧。これは何しろ野蛮国ロシヤの話だから、精しく書くと商社マンであったらしい作者の身に危険が及ぶのではないかといったように好意的に解釈した。」
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他の候補作
佐藤雅美
『恵比寿屋喜兵衛手控え』
大沢在昌
『新宿鮫 無間人形』
内海隆一郎
『鮭を見に』
小嵐九八郎
『おらホの選挙』
中村彰彦
『保科肥後守お耳帖』
内田春菊
『ファザーファッカー』
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候補者・作品
内田春菊女34歳×各選考委員 
『ファザーファッカー』
中篇 260
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男59歳
19 「候補作の中で、最も文章がよろしかった」「平明なのに人間の心の内懐へぐいと入り込む勁いしなやかさを持っているし、諧謔を盛ることもできる度量のある文章だ。」「ただ作者が女主人公にやや甘いところが玉に瑕、」
陳舜臣
男69歳
0  
藤沢周平
男66歳
11 「感覚のいい小説である。人が見のがすような事柄をひろい上げておもしろがる才能は、間違いなく作家のものだ。」「後半、はじめの乾いたユーモアが消え、偏執的な感じが強まって読みづらくなるが、将来有望な作家だと思った。」
田辺聖子
女65歳
10 「何と文章の巧い人だろう。しかし読後の印象はよくない。文章は清純で印象は醜悪、という矛盾した結果を露呈することになった。題材が作者の裡で未消化のため、文学的濾過が終っていないせいか。しかし将来を注目すべき新人と思った。」
黒岩重吾
男69歳
5 「カオスの才能が感じられる。ただ今は小説がわかっていないような気がする。」
五木寛之
男61歳
44 「良かれ悪しかれ、この作品をどう評価するかは、今後の直木賞のゆくえを占う重要なポイントになるだろう。そう考えて、すこし緊張しながら選考会の席に臨んだのだが、意外にあっさりと見送られてしまった。」「こんどの七作のなかで、いちばん引き込まれて読んだ」「しかし、なぜか夢中になって読みすすみながら、「ちがうな」「ちがうよ」と絶えず心の中でつぶやき続けていた。」
平岩弓枝
女61歳
0  
渡辺淳一
男60歳
22 「期待して読んだだけに、いささか失望した。たしかに題材は衝撃的で興味はそそられるが、全体としては話を追うに急で、文学作品としての柔軟さとふくらみに欠けている。なによりも不満なのは、作者が一人、虐げられた可哀相な少女、という安全地帯に入りこみ、苛立ち乱暴を働く養父や、その男と別れきれない母親の内面まで、目が行き届いていないこと」
山口瞳
男67歳
0  
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他の候補作
佐藤雅美
『恵比寿屋喜兵衛手控え』
大沢在昌
『新宿鮫 無間人形』
内海隆一郎
『鮭を見に』
小嵐九八郎
『おらホの選挙』
中村彰彦
『保科肥後守お耳帖』
熊谷独
『最後の逃亡者』
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