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山口瞳
Yamaguchi Hitomi
生没年月日【注】 大正15年/1926年11月3日~平成7年/1995年8月30日
在任期間 第83回~第113回(通算15.5年・31回)
在任年齢 53歳7ヶ月~68歳7ヶ月
経歴 東京府生まれ。国学院大学文学部卒。
受賞歴・候補歴
個人全集 『山口瞳大全』全11巻(平成4年/1992年10月~平成5年/1993年9月・新潮社刊)
直木賞候補歴 第48回受賞 「江分利満氏の優雅な生活」(『婦人画報』昭和36年/1961年10月号~昭和37年/1962年8月号)
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part3
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 83 昭和55年/1980年上半期   一覧へ
選評の概要 土の匂いコンクリートの匂い 総行数54 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男53歳
候補 評価 行数 評言
女50歳
40 「特に「かわうそ」が勝れている。嘘つきで情感に乏しく、そのために娘も夫も殺してしまうが、反面、愛嬌、頓智、活力があり、「夏蜜柑の胸」を持つ、そこらへんにいそうな「厚かましいが憎めない」女の典型を、ほとんど完璧に描ききっている。(しかるが故の夫の悲哀!)」「意外にも反対意見が多かったが、それは、小味で、うますぎると見られたためだろう。」「私は『あ・うん』を参考作品として読んだので、文句ナシに推すことができた。」
男40歳
18 「次々と出てくるマタギだけの言葉が、自然に効果的に使われているのにまず感心した。」「恋愛、冒険、闘争に種々の社会問題をからませた上々の娯楽小説であり、私はわくわくしながら一気に読み通してしまった。」
選評出典:『オール讀物』昭和55年/1980年10月号
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直木賞 84 昭和55年/1980年下半期   一覧へ
選評の概要 大混戦 総行数59 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男54歳
候補 評価 行数 評言
男52歳
21 「私は良い読者になれない。」「私が評価したのは、千二百枚という長尺にもかかわらず端正な文章が少しも乱れず、全体に読者に媚びない格調があったからである。その文章は、東西ドイツの統一はありうるかという壮大なテーマに充分に応え得るものだった。」「今回は、私は中村正軌(車+几)プラスワン(その際は実績を買って深田さんを推す)と考えていた」
  「誰が受賞しても不思議のない大混戦であったことを附記しておく。」
選評出典:『オール讀物』昭和56年/1981年4月号
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直木賞 85 昭和56年/1981年上半期   一覧へ
選評の概要 残念 総行数57 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男54歳
候補 評価 行数 評言
神吉拓郎
男52歳
21 「「ブラックバス」は(引用者中略)発表当時、清潔で不気味な詩情を湛えた名作だと思ったが、今回読みなおして一層の強い感動があった。むろん、これを第一に推したが大方の賛同が得られなかったのが残念だった。神吉さんは、東京の上流階級、中流階級、特にその女性心理の描ける得難い作家だと思っている。」
男48歳
15 「どうしてもこれが書きたかったという作者の熱気が直かに伝わってくる。また、ストーリーは平凡だが、エピソードがいちいち面白かった。ただし、文章には気負い過ぎがあって案外に読み辛い。最初の作品だから仕方がないが――。」
栗山良八郎
男(52歳)
8 「一気に読んだ。こういう作品は資料的にも残したいという気持が強かったが、小説としてイマイチと言われれば、引きさがらざるをえない。」
選評出典:『オール讀物』昭和56年/1981年10月号
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直木賞 86 昭和56年/1981年下半期   一覧へ
選評の概要 豊作貧乏 総行数57 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男55歳
候補 評価 行数 評言
村松友視
男41歳
10 「第一京浜国道立会川附近の埃っぽい感じと羽田埋立地水路の索漠とが完璧に描かれているうえに話の転結が面白く、上々の風俗小説となっている。」「前回と較べて格段の進歩があるところから将来性を買って、これを第一に推した。」
男33歳
10 「ともかく面白い作品で、何度も笑ったり唸ったりした。銀ちゃんがいい。」「いまの若者の受身の姿勢がマゾヒズムに拡大され、一種の恍惚境を造りだす作者の手腕に感動した。」
男49歳
6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
  「七篇の甲乙はつけ難く、豊作貧乏の感がある。」
選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年4月号
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直木賞 87 昭和57年/1982年上半期   一覧へ
選評の概要 胡桃沢耕史さんを推す 総行数59 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男55歳
候補 評価 行数 評言
胡桃沢耕史
男57歳
12 「スッキリした仕上りで、まことに面白く、B級アメリカ映画の傑作という趣きがあり、こういう分野の受賞があってしかるべきだと思い、強く推したが、残念ながら票が集まらなかった。それ以前に、大ヴェテランの衰えぬ創作意欲に感動していた。」
男42歳
28 「ほとんど完璧に描かれていて注文のつけようがない。小道具となる猫の扱いも巧妙をきわめる。」「これだけで小説になるかという反論はあるだろうが、私には、戻ってくる若妻の、ぐるぐる回る銀色のパラソル、ピンクのTシャツ、白いスカートが目に焼きついて離れない。」「村松さんの目は、果てしなく優しい。(引用者中略)私、村松の味方です。」
男51歳
19 「長いものを読むときは、一種の快感にひきずりこまれないと読み通すことが苦痛になるが、ついにその種の快感が得られなかった。」「商社マン、建築業者、フィリピンに関心のある人たちには、興味津々巻を措くあたわずという小説であろうから、そういう読者を限定する(その数は少くない)タイプの新しい小説だと思い、その点を評価した。むろん、実績のある作者の受賞に異議はない。」
選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年10月号
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直木賞 88 昭和57年/1982年下半期   一覧へ
選評の概要 うしろ姿が見えない 総行数60 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男56歳
候補 評価 行数 評言
  「該当作ナシ。ただし、胡桃沢さんを熱烈に支持する人がいたら同調するという曖昧かつ無責任な態度で出席した。」
選評出典:『オール讀物』昭和58年/1983年4月号
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直木賞 89 昭和58年/1983年上半期   一覧へ
選評の概要 余慶あり 総行数58 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男56歳
候補 評価 行数 評言
男58歳
15 「ポルノのシミショウ(清水正二郎)から冒険小説の胡桃沢耕史への転身は容易なことではなかったはずだ。この痛快活劇の手法でもって「俘虜記」を書いたところに新味が生じた。」「とにかく面白い。爽快感がある。これは直木賞に求められていた一分野であることを疑わない。」
山口洋子
女46歳
16 「なんと言っても元手が掛っている。ジゴロ小説という分野があるとすれば、これは傑作だと言っていい。」「以上四氏(引用者注:北方謙三、山口洋子、連城三紀彦、高橋治)、なにか、近々満期になる定期預金を四口座持っている感じで、リッチな気分になった。」
選評出典:『オール讀物』昭和58年/1983年10月号
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直木賞 90 昭和58年/1983年下半期   一覧へ
選評の概要 やや大安売の感 総行数58 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男57歳
候補 評価 行数 評言
男55歳
23 「私の尊敬する作家で、雑誌連載中も楽しく読んだ。こういう短篇連作は、二篇か三篇、ズシンとくる、もしくはジンとくるものがあればいいと思っているが、神吉さんの資質の生かされた作品があるとは思われなかった。軽い。」「前回候補の「ブラックバス」(引用者中略)がこの連作に含まれていると仮定して受賞に納得した。」
男54歳
18 「二人の狙う巨魚に魅力がない。それと今日性に欠ける憾みが残ったが、毎回違った題材、異なるテーマで力作を書く気合に打たれた。」「(引用者注:授賞は)力量のある作家の将来性に賭けるという意味あいが濃い。」
  「今回は、受賞作ナシか高橋・神吉二作受賞を予測していたが、前者では遺憾、後者ではやや大安売だと思い大変に困った。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年4月号
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直木賞 91 昭和59年/1984年上半期   一覧へ
選評の概要 林真理子さん 総行数64 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男57歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
14 「こんどの短篇集には殺人がなく、はたして、格段に良くなったことを喜びたい。」「しかし、依然として、小説づくりに律儀でありすぎて、説明過多になるのが難。「無理に小説(原文傍点)にしようと思わないほうがいい」と老婆心ながらアドバイスする。」
男47歳
10 「さっぱりとしていて、笑いも涙もある好感の持てる作品だが、そのぶん、全体として印象が薄い。てんのじ村の芸人が善人ばかりというのが納得できない。底辺に生きる芸人の卑しさが書けていないので起伏に乏しいのである。」
  「低調が続いている。打開の方法として、「選考会は年一回、賞金は倍額(百万円)」を提案する。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年10月号
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直木賞 92 昭和59年/1984年下半期   一覧へ
選評の概要 だんぜん島田荘司 総行数63 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男58歳
候補 評価 行数 評言
島田荘司
男36歳
48 「「いつか機会があったら、もう一度読み返してみたい」という気持になったのは、島田荘司の「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」だけだった。」「小説は、わくわくしながら読む、知的昂奮に駆られるということがなければ存在価値がないが、その両方を満足させられた。」「いや、それよりも、島田さんの格調の高い文章に、ほとんど感動した。」「しかるに、選考委員会では、支持者は私一人で、少なからぬショックを受けた。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年4月号
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直木賞 93 昭和60年/1985年上半期   一覧へ
選評の概要 「老梅」の強さ 総行数55 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男58歳
候補 評価 行数 評言
宮脇俊三
男58歳
26 「こんなに欲ばった読者サービスの濃厚な小説を初めて読んだが、それがイヤミにならずに成功しているのだから驚かざるをえない。」「この短篇集は名作として長く私の記憶に残るにちがいない。格調の高さと奥の深さに脱帽!」
女48歳
29 「「女の運命は、爪の色まで変える」といった鋭い観察も随所にあって「老梅」は純度と完成度の高い風俗小説である。この小説には強さ(原文傍点)がある。」「現在の酒場の経営者で有名作詞家とくれば色目で見られるかもしれないが、洋子さんは意外にも純情な人ではないかという気がする。こういう人は伸びると見た。」「また、私は「演歌の虫」を評価しない。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年10月号
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直木賞 94 昭和60年/1985年下半期   一覧へ
選評の概要 事件を捌く大人の目 総行数60 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男59歳
候補 評価 行数 評言
男60歳
11 「こんな巧い人がまだ残っていたのかと驚き、かつ、嬉しくなった。直木賞に要求されていた大人の目を再認識させられた。」「この作者は、まだまだ幾つかの抽出しを持っているはずで、化ける可能性大いにあり、と見た。」
女31歳
21 「『最終便に間に合えば』のほうを買うが、憧れの都会的なるもの、もしくは男性に失望するという同じパターン(『京都まで』に顕著)で書いているのが気になる。男と女の卑しさとイヤラシサを描くのが実に上手だが、そのぶん後味が悪い。にもかかわらず林さんが受賞したのは、力でもって選考委員を捩じ伏せたのであり、それは、うんと自慢していいことだと思う。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年4月号
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直木賞 95 昭和61年/1986年上半期   一覧へ
選評の概要 努力賞 総行数59 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男59歳
候補 評価 行数 評言
隆慶一郎
男62歳
17 「第一位に推した。吉原を城に見立てて柳生一族と戦わせるという構想が面白い。作者がノリにノッて書いているのがいい。」「私が推しきれなかったのは、ところどころに粗雑な文章がありナマな言葉が出てくるからだった。残念!」
泡坂妻夫
男53歳
19 「この作者は、偏執狂の男女を追いかけるのを得意とするが、この作品で、遂に壁を越えて自分の世界を構築した。特に女を描くのが巧い。久しぶりに情緒纏綿という作品に接して小説の面白さを堪能した。」「ただし、いつも思うのだが、トリックが弱く必然性に乏しい。」「泡坂さんも、もう推理仕立てをやめてしまったほうがいい。」
女56歳
9 「終始、これは次点だと思いながら読んだ。選挙で言うと、次回は最高点となる力を備えているが、今回に限っては魅力に乏しい。「一人が笑うために一人が泣く」というテーマも平凡。それより文学少女臭が気になった。これは努力賞だ。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年10月号
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直木賞 96 昭和61年/1986年下半期   一覧へ
選評の概要 天の時、地の利 総行数60 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男60歳
候補 評価 行数 評言
男55歳
27 「昭和二十年代の終りから三十年代の初めにかけて、喫茶店ブームというのがあったが、そこで無為に過す青年という設定は、まさに天の時、地の利を得たと言うべきか。」「桃色のストロー・ハットの似合う丸顔の小柄な女性である恋人がいい。」「これが稀に見る美しい青春小説になっているのは、ここに常盤さんの万感の思いが籠められているからだ。」
早坂暁
男57歳
21 「大衆小説は、まず面白くなければ話にならないというのが僕の持論であり、この点で(引用者中略)満票に近い票を集めるものと予測したが意外な結果に終った。とにかく面白すぎるくらいに面白くて、ゲラゲラ笑わせたり泣かせたりする。」「早坂ファンである僕としては、とても残念だ。」
男43歳
9 「冒険小説を読まない僕は、逢坂さんを論ずる資格がない。ただし、引きこまれるようにして読まされたのは逢坂さんに力量があるからだ。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年4月号
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直木賞 97 昭和62年/1987年上半期   一覧へ
選評の概要 山田詠美さんの潔さ 総行数83 (1行=14字)
選考委員 山口瞳 男60歳
候補 評価 行数 評言
女28歳
17 「私も不潔感なしに不仕鱈な女を書く方法がないものかと考えた時期があり、これは完全にヤラレタと思った。」「どの場合でも山田さんの文章に一種の潔さ、小気味のよさを感ずる。これはもう才能だとしか言いようがなく、この二、三年のうちに凄い小説を書きそうな予感がする。」
もりたなるお
男61歳
19 「警察官や兵隊の抱く劣等意識、劣等意識を抱かざるをえないような情況設定が見事だった。改行の多い簡潔な文章も効果的だ。もりたさんには『真贋の構図』という推理小説の傑作があり、それを勘案したうえで推したのだが私の力が足りなかった。」
男55歳
12 「この作品に限って言えば、一番お書きになりたかったのは何だったのかという焦点が定まっていないように思った。重要人物である麗花や小金吾の死の場面でジンとくるものがなかった。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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直木賞 98 昭和62年/1987年下半期   一覧へ
選評の概要 二度読むと……。 総行数174 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男61歳
候補 評価 行数 評言
男54歳
56 「市民と芸術家(虚業家)の対比という視点で読んだ。その視点からすると、不満が残った。(引用者中略)私の評価は低かった。」「ところが、二度目に読みすすむうちに、これは一つの昭和史もしくは友情小説として読むべきだと思い、そう思って読むうちに私の評価はガラリと変った。」「阿部さんは実力がありながら、マスコミの渦に巻き込まれていると思い、『蛸と精鋭』以来のファンである私は悲しんでいたが、この一作で見事に踏み止まった。志を失っていなかったことを証明した。」
  「私は、なるべくなら若い新人に賞を差しあげたいと思っている。しかし、既成作家が良い作品を書いたら大いに歓迎したいと思う。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号
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直木賞 99 昭和63年/1988年上半期   一覧へ
選評の概要 景山民夫の才能 総行数78 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男61歳
候補 評価 行数 評言
男41歳
17 「文章がよかった。特に恐龍がCOOを産むプロローグが圧巻で、これから何が起るのかという期待を抱かせる上々の書きだしになっている。」「近来になくワクワクして読んだが、これは大変な才能だと思う。強硬な反対意見があったが、私は景山民夫さんの才能に賭けてみる側に立った。」
男48歳
10 「事実の面白さはあっても小説的な感動を受けなかった。私の好みで言えば、破綻はあっても前回候補の「ユーコン・ジャック」のほうが好きだ。いずれにしても受賞作は西木さんの作品としてベストのものだとは思われない。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号
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直木賞 100 昭和63年/1988年下半期   一覧へ
選評の概要 大いなる期待 総行数126 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男62歳
候補 評価 行数 評言
女39歳
84 「とても女臭い小説である。」「初め僕には拒絶反応が働いた。」「松木夫人、紀夫、律子、道子の誰ともつきあいたくないなァと思った。」「良いところは、登場人物の誰もが確りと描かれていることだ。夏の海辺の描き方も上手だ。相当な腕力の持主だと思う。」「今回の作品で化けたとは思わないが、大化けに化けるかもしれないという期待感は一層強くなった。」
女35歳
52 「結末がいい、読後感がいいと誰もが言うが、全篇に流れる清潔感のためだろうと思う。よく調べて叮嚀に書くのはいいのだが、逆にそれが難点にもなっている。」「しかし、このような叮嚀と言えば叮嚀、固いと言えば固い文章で押し通していって少しずつ上手になって遂に大作家になる例がないこともない。実はどちらとも僕自身決めかねているのである。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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直木賞 101 平成1年/1989年上半期   一覧へ
選評の概要 豪華な顔触れ 総行数120 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男62歳
候補 評価 行数 評言
男40歳
23 「確実に前回候補作に較べて腕をあげている。」「私は、特に、フィリピンから来た若い踊り子の頼りなげな様子がよく書けているのに感動した。しかし、裁判小説は、事件の謎を解く重要な事実(たとえば被害者がレイプ常習犯で殺人者であったこと)を作者が伏せておいて、その発見が弁護人の手柄になるのが興醒めになる。これは避け難いことなのだろうか。」
男41歳
15 「純度が高く密度も濃い。雑誌連載中から面白いと思って読んでいたが、傾向からして直木賞の候補にはなるまいと思っていた。敢えて言うならば、これは芥川賞である。」「この作品が票を集めたのも私にとっては実に意外だった。」
  「この作者に受賞してもらいたいのだが、この作品ではどうかナ(原文ナは四分角)という候補作が大半を占めた。」「優劣を決めるのは極めて困難であるが、半面、受賞作が必ず出るという安心感もあった。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年9月号
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直木賞 102 平成1年/1989年下半期   一覧へ
選評の概要 自分の文体 総行数164 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男63歳
候補 評価 行数 評言
男43歳
51 「作者は、文章はレイモンド・チャンドラーの真似だと言っているようだが真似でもなんでもいい。それを自分の文体にしてしまっているのが素敵だ。」「この小説のストーリーには決定的な欠陥がある。(引用者中略)これが推理小説の限界とか、推理だから仕方がないという意見もあったが、それなら、途中からでも推理小説を抛棄すべきだと私なんかは考える。」
男68歳
36 「私は買わない。小伝は魅力のある女性だということだが、私には恣意的で異常な淫乱女であるとしか思えない。これに従う醜悪な下僕の権八という設定も陳腐だ。」「私は星川さんは力のある作家だと思っているが、同じシナリオライターで隆慶一郎さんが二度落選して星川さんが一度で受賞したことに運命的なものを感ずる。」
  「ざっと一渡り予選通過作品を読んだとき、該当作ナシだと思った。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年3月号
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直木賞 103 平成2年/1990年上半期   一覧へ
選評の概要 鬼才清水義範氏を推す 総行数114 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男63歳
候補 評価 行数 評言
清水義範
男42歳
82 「この一種ハチャメチャ小説に非常なるリアリティを感じた。」「誰でもが学校教育に多少なりとも恨みを抱いていると思われるが、そこを衝いた着想が素晴らしい。」「この作者は疑いもなく上質なセンスの持主であり、かつ、強引と思われるような腕力も持ちあわせていると感じた。」「近年の直木賞候補作のなかでは群を抜く傑作であり、社会性もある問題作だと思った。」
男57歳
18 「私は泡坂さんのファンであり彼を尊敬する者であって、(引用者中略)泡坂さんでなければ書けない台詞に接するとゾクゾクするという質の男だ。特に以前に『忍火山恋唄』という名作を落してしまったのが心の傷のように残っていたので、今回の受賞はとても嬉しい。」
  「今回は全体に低調だという声もあったが、私は粒が揃っていたと思っている。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年9月号
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直木賞 104 平成2年/1990年下半期   一覧へ
選評の概要 プロの文章 総行数117 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男64歳
候補 評価 行数 評言
男65歳
47 「抜きん出ていて一歩も二歩もリードしている。」「いつもの力みや文学臭が消えて、端正で、いい味の文章になっている。」「下関の出てくる所、九州の田舎町の描写が哀れ深くていい。」「古川さんが純粋にもっといいものを書きたいという願いを何十年も保ち続けたことに、ただただ頭が下る思いだ。」
もりたなるお
男65歳
16 「二・二六事件の全容を明らかにしたいという作者の執念に打たれた。」「第八章「蝉の声降る」の緊迫感が圧巻だと思った。私はこれが受賞作となっても少しも不思議ではないと思っていたが、意外に票数が伸びなかった。」
  「高見順さんふうに言えば臍のある小説がない。」「今回は小説らしい小説がなかった。ほとんどが一代記か実録だった。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号
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直木賞 105 平成3年/1991年上半期   一覧へ
選評の概要 田舎暮しの精髄 総行数118 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男64歳
候補 評価 行数 評言
男41歳
50 「ロックやオートバイに夢中になっている田舎の面皰だらけの阿呆面した少年というのに常に興味があったが、とうてい私には書けないと思っていた。それをこんなに見事に小説化した作家がいたわけで私としては尊敬し脱帽するほかはない。」「全体にウキウキするような湧き立つような感じがあって、日本文学には滅多にはあらわれない種類の快作であると思う。」
男46歳
15 「この方面も私は全く不案内であって、陳さんの推挙がなかったら、受賞に反対する立場になったかもしれない。それでも前回候補作の『天空の舟』に較べれば文章はずっと滑らかになってきて大物感が漂う。」
  「今回は「低調で受賞作ナシ」の声もあったが、私には力作ぞろい快作ぞろいで楽しく読めた。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年9月号
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直木賞 106 平成3年/1991年下半期   一覧へ
選評の概要 中島らも、だ 総行数133 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男65歳
候補 評価 行数 評言
中島らも
男39歳
58 「才気だか才能だかわからないが、それのあるのは中島さんが一番だと思った。」「この明るい厭世主義、無手勝流の虚無主義は間違いなく新しい文学の行方を示唆しているように思われる。」「好い加減に書いているように見えるが作者は背景や小道具にも細心の注意を払っていて、それも快い。」
男44歳
29 「「遠い記憶」が傑作だと思っている。」「誰にでもある甘美な記憶、思いだしたくない怖しい記憶という狙いは面白いが、同時に無理が生ずる。」「設定が似てきてしまって、通読するとやや靠れる感じを免れない。」「「遠い記憶」と視覚的に鮮やかな「言えない記憶」があるので、私は中島らもさんが除外された後ではこの短篇集を支持することになった。」
男46歳
46 「私は買わない。」「藩の内紛のことを書きたかったのか、マタギを書きたかったのか、狼の話を書きたかったのかがよくわからず、分裂しているように思われる。」「主人公の妻のすえはどうして山に同行しないのか、なぜ夫を拒むのか、なぜ自害したのか、よくわからない。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年3月号
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直木賞 107 平成4年/1992年上半期   一覧へ
選評の概要 大男の淋しい影 総行数129 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男65歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
108 「七篇のなかでは「切子皿」が好きだ。」「こんなに上手な小説家がまだいたのか! 伊集院さんは小道具を使うのがうまい。」「それと、もうひとつ。その土地を描くのがうまい。」「短篇の名手の誕生を小説好きの読者とともに喜びたい。私は久しぶりに堪能した。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年9月号
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直木賞 108 平成4年/1992年下半期   一覧へ
選評の概要 出久根さんの文章 総行数117 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男66歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
117 「一言一句が粒立っているとか、活字が立ち上ってくるとかいう言い方があるが、そういう文章に久し振りにお目にかかったような気がしている。」「第四章の「鬼火あやしき黒い大川」が傑出している。」「畜生! うめえなあと思い、私は何度も唸ったのである。」「これは瑕瑾の多い小説である。(引用者中略)出久根さんにはキリッとした中年男女の恋愛小説の短篇を書いてもらいたいと切に願っている。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年3月号
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直木賞 109 平成5年/1993年上半期   一覧へ
選評の概要 高村さんは凄い人だ 総行数99 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男66歳
候補 評価 行数 評言
女40歳
45 「雄渾で迫力があり、一人一人の警察官に人間臭がある。」「ところが最終章の《収穫》に至ってメチャクチャになる。」「著者の略歴を見ると、本名林みどり、果たして歴とした女性だった。(引用者中略)作者を警察関係の人だと思った不明を恥じた。いや、あらためて作者の腕力に敬服したと言ったほうがいい。」「私はこの作品ではなく高村さんの才能に惚れた。」
女55歳
29 「全体として立ち姿が綺麗過ぎる(原文傍点)んじゃないかと思った。作者は主人公の恰好よさに惚れこみすぎている。」「状況が叮嚀に書きこまれているのに、肝腎な男女のことになると意外に情感に乏しい。」「私の意見なんか無視してこのまま押してゆけば、もっと明るいところへ出られるはずだという思いもあったので受賞に賛成することにした。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年9月号
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直木賞 110 平成5年/1993年下半期   一覧へ
選評の概要 タダ者じゃない 総行数103 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男67歳
候補 評価 行数 評言
熊谷独
男57歳
41 「文章がのびのびしている。格調が高くスケールが大きい。」「卑しいところが少しもない。」「外国を舞台にした小説としては珍しく作者の腰がすわっていて、見る目が安定している。」「難点がないわけではない。(引用者中略)主人公の追われる身となる原因がやや曖昧。これは何しろ野蛮国ロシヤの話だから、精しく書くと商社マンであったらしい作者の身に危険が及ぶのではないかといったように好意的に解釈した。」
男52歳
37 「新人らしからぬ悠々たる筆の運びに先ず魅了された。」「この小説のお手柄は何といっても、江戸時代の裁判という未知の世界を再現してくれたことだろう。」「読者の襟髪を?んで、その場に放り込むような描写は見事というほかはない。」「ただし、この小説の瑕瑾もそこにあるのであって、裁判そのものの経過がわかりにくくゴタゴタしている。」
男37歳
25 「こういう小説、私は読み馴れないのだが、なかなか面白くて上等だと思った。文章のテムポがいい。」「その上で無いもの強請りを言うのだが、この小説には哲学がない。(引用者中略)麻薬犯も鮫島も愛人の晶も、恰好はついているが、奥が無くて薄いものになってしまっている。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
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直木賞 111 平成6年/1994年上半期   一覧へ
選評の概要 海老沢さんの文章 総行数75 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男67歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
31 「海老沢さんの文章が好きだ。」「気取らない、大仰に騒ぎたてない、文学臭のある言い廻しを排除する、手垢のついた言葉を使わない剛直な文章で、つまりはこれがハードボイルドなのだが、私はすぐにヘミングウェイを連想する。」「表題作の「帰郷」が断然優れている。F1の描写はほとんど一行もなくて、それでいてF1の豪奢、爽快、純粋、緊張、恐怖を深く読者の心に刻みこむ。」
男45歳
10 「稀に見る清々しい小説で好感度百パーセント。これはおそらくは作者の人柄によるものだと思われる。」「松江豊寿の美挙は大いに顕彰されてしかるべきだと思うが、私には、やや小説的結構に乏しいという憾みが残った。」
  「今回の候補作は、私の知るかぎり、もっとも程度の高いものであったという感想を附記しておく。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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直木賞 112 平成6年/1994年下半期   一覧へ
選評の概要 志水辰夫さんの腕ッ節 総行数146 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男68歳
候補 評価 行数 評言
志水辰夫
男58歳
86 「私は志水辰夫さんを推したが意外にも票が集まらなかった。最終的には三票であって過半数に達しなかった。」「テーマを決めた連作短篇集では、まず先頭打者がヒットでも四球でも、とにかく出塁すればいい。志水さんは第一作目で右前に渋く軽打を放って出塁した。(引用者中略)これをクリーンナップすべき後続の強打に欠けたというのが私の率直な感想である。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年3月号
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直木賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 思いが深ければ 総行数65 (1行=13字)
選考委員 山口瞳 男68歳
候補 評価 行数 評言
男63歳
31 「「思いが深ければ誰にでも良い文章が書けるはずです」と言ったのは向田邦子さんである。(引用者中略)この発言を実証してくれた小説(文章)が短篇集『白球残映』のなかの「陽炎球場」であるような気がして仕方がない。」「私は「陽炎球場」があるので『白球残映』の赤瀬川さんだけを強く推した。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
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