直木賞のすべて
第84回
直木賞-選評の概要 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
候補作家の群像
選考委員の群像
小研究
大衆選考会
マップ

ページの最後へ
Last Update[H26]2014/6/20

84   一覧へ 83前の回へ 後の回へ85
昭和55年/1980年下半期
(昭和56年/1981年1月19日決定発表/『オール讀物』昭和56年/1981年4月号選評掲載)
選考委員  山口瞳
男54歳
阿川弘之
男60歳
村上元三
男70歳
水上勉
男61歳
五木寛之
男48歳
源氏鶏太
男68歳
城山三郎
男53歳
今日出海
男77歳
選評総行数  59 41 54 62 57 49 52 52
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
中村正軌 『元首の謀叛』
997
男52歳
21 25 13 45 26 11 15 52
深田祐介 「アラスカの喇叭」
195
男49歳
10 11 7 3 9 8 14 0
西木正明 『オホーツク諜報船』
569
男40歳
8 0 7 4 2 5 8 0
もりたなるお 「真贋の構図」
78
男55歳
11 0 6 0 0 4 0 0
西村望 『薄化粧』
560
男55歳
10 14 8 11 2 8 11 0
古川薫 「きらめき侍」等
103
男55歳
9 0 8 0 3 7 0 0
泡坂妻夫 「椛山訪雪図」等
111
男47歳
8 0 6 0 0 6 0 0
               
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和56年/1981年4月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
山口瞳男54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
大混戦 総行数59 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
21 「私は良い読者になれない。」「私が評価したのは、千二百枚という長尺にもかかわらず端正な文章が少しも乱れず、全体に読者に媚びない格調があったからである。その文章は、東西ドイツの統一はありうるかという壮大なテーマに充分に応え得るものだった。」「今回は、私は中村正軌(車+几)プラスワン(その際は実績を買って深田さんを推す)と考えていた」
深田祐介
男49歳
10 「前半がまことに快調で、海外事情についても教えられるところが多かったが、最後、葉隠や武士道との結びつけが強引すぎると思った。」「今回は、私は中村正軌(車+几)プラスワン(その際は実績を買って深田さんを推す)と考えていた」
西木正明
男40歳
8 「作者の心血を注ぐという感じの濃かったのが西木正明さんの「オホーツク諜報船」だった。しかし、小説としての結構に破綻があって、わかりにくいのが難になっている。」
もりたなるお
男55歳
11 「この分野での作者会心の作ではなかろうか。完全に一人前の端倪すべからざる作家に化けているのを知って驚いた。あえて難癖をつけるならば、(引用者中略)巧緻に過ぎて新味が薄れ、直木賞受賞作としてのハナと重量に乏しいというところだろうか。」
西村望
男55歳
10 「粘着力のある調査に迫力が生じていて、もっとも面白く読んだが、(引用者中略)調査だけが前面に押しだされ、作者の視点がぼやけているのが惜しまれた。」
古川薫
男55歳
9 「娯楽雑誌の小説として、危な気のない好短篇である。」「あえて難癖をつけるならば、(引用者中略)巧緻に過ぎて新味が薄れ、直木賞受賞作としてのハナと重量に乏しいというところだろうか。」
泡坂妻夫
男47歳
8 「巧妙にして緻密」「あえて難癖をつけるならば、(引用者中略)巧緻に過ぎて新味が薄れ、直木賞受賞作としてのハナと重量に乏しいというところだろうか。」
  「誰が受賞しても不思議のない大混戦であったことを附記しておく。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
阿川弘之
村上元三
水上勉
五木寛之
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
  ページの先頭へ

選考委員
阿川弘之男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
野心的な試み 総行数41 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
25 「日本人の全く登場しないすぐれた作品も、従来いくつかあるけれど、「元首の謀叛」のやうなものでは珍しく、(引用者中略)その野心的(?)試みにみごと成功してゐる。」「中村氏の現職を知れば当然ながら、航空機の扱ひもあざやかで、楽しみつつ二度読んで、推すに躊躇を感じなかつた。」
深田祐介
男49歳
11 「未練が残つた。」「達者な面白いうまい短篇。」「「元首の謀叛」が無ければ、「アラスカの喇叭」か「薄化粧」かが受賞といふことになつたかも知れない。」
西木正明
男40歳
0  
もりたなるお
男55歳
0  
西村望
男55歳
14 「未練が残つた。」「(題名とあとがきの苦心談は感心しないけれど)サスペンスも充分、兇悪犯罪人の身のあはれのやうなものもよく出てをり、やはり楽しんで読んだ。」「「元首の謀叛」が無ければ、「アラスカの喇叭」か「薄化粧」かが受賞といふことになつたかも知れない。」
古川薫
男55歳
0  
泡坂妻夫
男47歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
山口瞳
村上元三
水上勉
五木寛之
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
  ページの先頭へ

選考委員
村上元三男70歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
中味の濃い選考会 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
13 「よく計算されていて、部分部分にも鋭いきらめきがあり、群を抜いていた。」「この作者は中篇短篇を器用に書き分けるような作家には、すぐになれないかも知れない。だが、一年に一作だけ長篇を発表する直木賞作家があってもいいと思う。」
深田祐介
男49歳
7 「前作の長篇よりもよくまとまっていたし、わたしは推したが賛成票が少なくて残念であった。社長の自殺と「葉隠」が、作者のねらいだったろうに、どうも結びつかない。」
西木正明
男40歳
7 「資料をよく漁っているが、どうも構成に無理があるし、読んでいて混乱するところがある。なまじ小説仕立てにしないで、ドキュメントの形にしたらどうだったろうか。」
もりたなるお
男55歳
6 「推理小説の読者ということについては、人後に落ちないつもりだが、(引用者中略)二度読み返してみたものの、推す気にはなれなかった。」
西村望
男55歳
8 「この作者が書いている一連の犯罪物の中では出来のいいほうだが、読み終って黒いしこり(原文傍点)のようなものしか残らない。なんの目的もなく、平気で妻や子や女を殺して逃げまわる殺人者を描いた作品を、直木賞の対象にはしたくない。」
古川薫
男55歳
8 「「きらめき侍」より、同じ作者の「刀痕記」のほうを買うが、この作者には史料を追いかけるだけでなく、むかしの風俗習慣についての雑学をやることをすすめたい。そのほうが人間や事件の裏づけ肉づけができると思う。」
泡坂妻夫
男47歳
6 「推理小説の読者ということについては、人後に落ちないつもりだが、(引用者中略)二度読み返してみたものの、推す気にはなれなかった。」
  「こんどは予選を通った作品の粒がそろっていたので、選考していても張合いがあった。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
山口瞳
阿川弘之
水上勉
五木寛之
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
  ページの先頭へ

選考委員
水上勉男61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
中村さんの仕事 総行数62 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
45 「こんどの候補作中、いちばん心を打たれた」「内容にというよりは、きめのこまかい仕事ぶりにだった。」「それと抑制のきいた文章と、細密描写の腕にだった。」「少々長すぎるかと思えもする、西側の軍事談義などにも、念を入れて読みかえさねばならぬほどの力がみなぎっていた。それで、今回は、この作品だと思って出かけたが、各委員また同じような意見なのでうれしかった。」
深田祐介
男49歳
3 「少し弱かった。こんども運不運というようなことを考えさせられた。」
西木正明
男40歳
4 「舞台のおもしろさに固唾をのんだが、人間描写が類型にすぎるかと思った。」
もりたなるお
男55歳
0  
西村望
男55歳
11 「題名に首をかしげはしたが、面白く読んだ。」「追いつめられてゆく主人公の悲哀が、事実を追ってゆくかたちでにじみ出て、凡手でないのだが、しかし、こういう悪い男をなぜ追跡してみたくなったのか、もう一つの深みがひびいてこないうらみがあった。」
古川薫
男55歳
0  
泡坂妻夫
男47歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
山口瞳
阿川弘之
村上元三
五木寛之
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
  ページの先頭へ

選考委員
五木寛之男48歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
迷いながら 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
26 「日本人が一人も登場しない日本語の小説という意味で、特異な作品だった。」「欧米型フィクションの形式をふまえながら、土台のところに日本人の心情が色濃くにじみ出ている所に私は興味を抱かせられた。職業作家としての将来への期待、という一点への気がかりが私にあったため、無条件でこれを推すことにためらったことを付記しておきたい。」
深田祐介
男49歳
9 「これまでの実績と安定感からは深田、古川の両氏をあげるべきだろう。」「私は前々回の候補作品「日本悪妻に乾杯」の爽やかな魅力を忘れかねているため、今回の「アラスカの喇叭」にいささか点が辛くなったような気もしている。」
西木正明
男40歳
2 「作品の新鮮度では西木正明氏の「オホーツク諜報船」(引用者中略)をあげるべきだろう。」
もりたなるお
男55歳
0  
西村望
男55歳
2 「作家の個性では西村望氏(引用者中略)をあげるべきだろう。」
古川薫
男55歳
3 「これまでの実績と安定感からは深田、古川の両氏をあげるべきだろう。」
泡坂妻夫
男47歳
0  
  「直木賞という賞がどういう賞であるのか、少くとも自分の内でははっきりさせなければならないと思いながら、結論が出ないままに今日にいたっている。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
山口瞳
阿川弘之
村上元三
水上勉
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
  ページの先頭へ

選考委員
源氏鶏太男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数49 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
11 「格調の高い文章で描かれているが、専門用語が多過ぎるのと、長過ぎるので、読み辛かった。戦争の場面にもまるで机上作戦のような感じを受けて、実感がなかった。敢えていえば、私は、この作品の授賞には消極的であった。」
深田祐介
男49歳
8 「葉隠の話も出て来て、落ちついた筆で過不足なく描いてあった。各人物の描写も適確だったし、食中毒の場面もうまい。」
西木正明
男40歳
5 「よく調べてあり、面白過ぎる程面白かった。しかし、この面白過ぎるところが、文学的な香気を薄めているように思われた。」
もりたなるお
男55歳
4 「読んでいて、気持のいい作品であった。が、直木賞作品としては、風格に欠ける。」
西村望
男55歳
8 「追う警官、逃げる脱獄囚の心理がよく描かれている。逃亡中のふっとした哀れさも出ていて、重厚な文学作品となっていた。私は、この作品を推した。」
古川薫
男55歳
7 「好短篇であるが、今一つ盛り上りに欠けていて、過去に候補になった何篇かの長篇小説に比較すると落ちる。しかし、力量からいっても、氏は、直木賞を取ってもおかしくない。」
泡坂妻夫
男47歳
6 「二作のうち、「椛山訪雪図」は、しゃれた作品であり、最後のどんでん返しもよく利いているが、ぜんたいとしてやや説得力が不足しているように思われた。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
山口瞳
阿川弘之
村上元三
水上勉
五木寛之
城山三郎
今日出海
  ページの先頭へ

選考委員
城山三郎男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
人間の匂いが 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
15 「それぞれに面白く、新鮮であったが、ひとつ気になるのは、読み進めば進むほど人間が濃く浮き出てきていいのに、逆に、人間の姿や匂いが稀薄になって行ってしまう、という感じがあることであった。」「文章もしっかりしており、構成にも工夫があり、本格的な重厚な作品だが、それでも、その欠点から逃れてはいない。」
深田祐介
男49歳
14 「いかにも小説らしい小説で、書きすぎもせず、安定した出来上り。」「しっとりした作品だが、そうなると、同じ作者の「日本悪妻に乾杯」のようなおもしろさ新しさが望ましいということにもなり、いまさらこの人に、ということにもなってしまった。」
西木正明
男40歳
8 「描写は、ダイナミックで活力があり、汐のにおいや雪の冷たさが身にしみてくる。こわい話を荒々しくたたみかけてくるのだが、手をひろげすぎというか、少々散漫になってしまったうらみが残る。」
もりたなるお
男55歳
0  
西村望
男55歳
11 「描写力があり、しかも、追われる人間の心のふるえだけでなく、周辺の人間のおびえや悲しみのようなものまで、よくつかんでいるが、かんじんの主人公に、わたしはどうしてもついて行けないものがあり、それが最後までひっかかった。」
古川薫
男55歳
0  
泡坂妻夫
男47歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
山口瞳
阿川弘之
村上元三
水上勉
五木寛之
源氏鶏太
今日出海
  ページの先頭へ

選考委員
今日出海男77歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
作者への謀叛 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村正軌
男52歳
52 「量的にも文字通り力作で、且つ読み応えがあり、作品としても他の候補作品を圧していたのに、処女作だとかいうことで、才人の出現ということにもなろう。」「東西独乙の戦いというテーマは、東独の裏にソ連がいて、(引用者中略)不自然な東西独乙の現状を是正するだけに終るとは容易に考えられそうもない。(引用者中略)もっと広い政治的配慮があった方が、小説のウソが事実らしい背景になり得たろう。」
深田祐介
男49歳
0  
西木正明
男40歳
0  
もりたなるお
男55歳
0  
西村望
男55歳
0  
古川薫
男55歳
0  
泡坂妻夫
男47歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
山口瞳
阿川弘之
村上元三
水上勉
五木寛之
源氏鶏太
城山三郎
  ページの先頭へ


受賞者・作品
中村正軌男52歳×各選考委員 
『元首の謀叛』
長篇 997
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男54歳
21 「私は良い読者になれない。」「私が評価したのは、千二百枚という長尺にもかかわらず端正な文章が少しも乱れず、全体に読者に媚びない格調があったからである。その文章は、東西ドイツの統一はありうるかという壮大なテーマに充分に応え得るものだった。」「今回は、私は中村正軌(車+几)プラスワン(その際は実績を買って深田さんを推す)と考えていた」
阿川弘之
男60歳
25 「日本人の全く登場しないすぐれた作品も、従来いくつかあるけれど、「元首の謀叛」のやうなものでは珍しく、(引用者中略)その野心的(?)試みにみごと成功してゐる。」「中村氏の現職を知れば当然ながら、航空機の扱ひもあざやかで、楽しみつつ二度読んで、推すに躊躇を感じなかつた。」
村上元三
男70歳
13 「よく計算されていて、部分部分にも鋭いきらめきがあり、群を抜いていた。」「この作者は中篇短篇を器用に書き分けるような作家には、すぐになれないかも知れない。だが、一年に一作だけ長篇を発表する直木賞作家があってもいいと思う。」
水上勉
男61歳
45 「こんどの候補作中、いちばん心を打たれた」「内容にというよりは、きめのこまかい仕事ぶりにだった。」「それと抑制のきいた文章と、細密描写の腕にだった。」「少々長すぎるかと思えもする、西側の軍事談義などにも、念を入れて読みかえさねばならぬほどの力がみなぎっていた。それで、今回は、この作品だと思って出かけたが、各委員また同じような意見なのでうれしかった。」
五木寛之
男48歳
26 「日本人が一人も登場しない日本語の小説という意味で、特異な作品だった。」「欧米型フィクションの形式をふまえながら、土台のところに日本人の心情が色濃くにじみ出ている所に私は興味を抱かせられた。職業作家としての将来への期待、という一点への気がかりが私にあったため、無条件でこれを推すことにためらったことを付記しておきたい。」
源氏鶏太
男68歳
11 「格調の高い文章で描かれているが、専門用語が多過ぎるのと、長過ぎるので、読み辛かった。戦争の場面にもまるで机上作戦のような感じを受けて、実感がなかった。敢えていえば、私は、この作品の授賞には消極的であった。」
城山三郎
男53歳
15 「それぞれに面白く、新鮮であったが、ひとつ気になるのは、読み進めば進むほど人間が濃く浮き出てきていいのに、逆に、人間の姿や匂いが稀薄になって行ってしまう、という感じがあることであった。」「文章もしっかりしており、構成にも工夫があり、本格的な重厚な作品だが、それでも、その欠点から逃れてはいない。」
今日出海
男77歳
52 「量的にも文字通り力作で、且つ読み応えがあり、作品としても他の候補作品を圧していたのに、処女作だとかいうことで、才人の出現ということにもなろう。」「東西独乙の戦いというテーマは、東独の裏にソ連がいて、(引用者中略)不自然な東西独乙の現状を是正するだけに終るとは容易に考えられそうもない。(引用者中略)もっと広い政治的配慮があった方が、小説のウソが事実らしい背景になり得たろう。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
深田祐介
「アラスカの喇叭」
西木正明
『オホーツク諜報船』
もりたなるお
「真贋の構図」
西村望
『薄化粧』
古川薫
「きらめき侍」等
泡坂妻夫
「椛山訪雪図」等
  ページの先頭へ

候補者・作品
深田祐介男49歳×各選考委員 
「アラスカの喇叭」
中篇 195
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男54歳
10 「前半がまことに快調で、海外事情についても教えられるところが多かったが、最後、葉隠や武士道との結びつけが強引すぎると思った。」「今回は、私は中村正軌(車+几)プラスワン(その際は実績を買って深田さんを推す)と考えていた」
阿川弘之
男60歳
11 「未練が残つた。」「達者な面白いうまい短篇。」「「元首の謀叛」が無ければ、「アラスカの喇叭」か「薄化粧」かが受賞といふことになつたかも知れない。」
村上元三
男70歳
7 「前作の長篇よりもよくまとまっていたし、わたしは推したが賛成票が少なくて残念であった。社長の自殺と「葉隠」が、作者のねらいだったろうに、どうも結びつかない。」
水上勉
男61歳
3 「少し弱かった。こんども運不運というようなことを考えさせられた。」
五木寛之
男48歳
9 「これまでの実績と安定感からは深田、古川の両氏をあげるべきだろう。」「私は前々回の候補作品「日本悪妻に乾杯」の爽やかな魅力を忘れかねているため、今回の「アラスカの喇叭」にいささか点が辛くなったような気もしている。」
源氏鶏太
男68歳
8 「葉隠の話も出て来て、落ちついた筆で過不足なく描いてあった。各人物の描写も適確だったし、食中毒の場面もうまい。」
城山三郎
男53歳
14 「いかにも小説らしい小説で、書きすぎもせず、安定した出来上り。」「しっとりした作品だが、そうなると、同じ作者の「日本悪妻に乾杯」のようなおもしろさ新しさが望ましいということにもなり、いまさらこの人に、ということにもなってしまった。」
今日出海
男77歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
中村正軌
『元首の謀叛』
西木正明
『オホーツク諜報船』
もりたなるお
「真贋の構図」
西村望
『薄化粧』
古川薫
「きらめき侍」等
泡坂妻夫
「椛山訪雪図」等
  ページの先頭へ

候補者・作品
西木正明男40歳×各選考委員 
『オホーツク諜報船』
長篇 569
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男54歳
8 「作者の心血を注ぐという感じの濃かったのが西木正明さんの「オホーツク諜報船」だった。しかし、小説としての結構に破綻があって、わかりにくいのが難になっている。」
阿川弘之
男60歳
0  
村上元三
男70歳
7 「資料をよく漁っているが、どうも構成に無理があるし、読んでいて混乱するところがある。なまじ小説仕立てにしないで、ドキュメントの形にしたらどうだったろうか。」
水上勉
男61歳
4 「舞台のおもしろさに固唾をのんだが、人間描写が類型にすぎるかと思った。」
五木寛之
男48歳
2 「作品の新鮮度では西木正明氏の「オホーツク諜報船」(引用者中略)をあげるべきだろう。」
源氏鶏太
男68歳
5 「よく調べてあり、面白過ぎる程面白かった。しかし、この面白過ぎるところが、文学的な香気を薄めているように思われた。」
城山三郎
男53歳
8 「描写は、ダイナミックで活力があり、汐のにおいや雪の冷たさが身にしみてくる。こわい話を荒々しくたたみかけてくるのだが、手をひろげすぎというか、少々散漫になってしまったうらみが残る。」
今日出海
男77歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
中村正軌
『元首の謀叛』
深田祐介
「アラスカの喇叭」
もりたなるお
「真贋の構図」
西村望
『薄化粧』
古川薫
「きらめき侍」等
泡坂妻夫
「椛山訪雪図」等
  ページの先頭へ

候補者・作品
もりたなるお男55歳×各選考委員 
「真贋の構図」
短篇 78
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男54歳
11 「この分野での作者会心の作ではなかろうか。完全に一人前の端倪すべからざる作家に化けているのを知って驚いた。あえて難癖をつけるならば、(引用者中略)巧緻に過ぎて新味が薄れ、直木賞受賞作としてのハナと重量に乏しいというところだろうか。」
阿川弘之
男60歳
0  
村上元三
男70歳
6 「推理小説の読者ということについては、人後に落ちないつもりだが、(引用者中略)二度読み返してみたものの、推す気にはなれなかった。」
水上勉
男61歳
0  
五木寛之
男48歳
0  
源氏鶏太
男68歳
4 「読んでいて、気持のいい作品であった。が、直木賞作品としては、風格に欠ける。」
城山三郎
男53歳
0  
今日出海
男77歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
中村正軌
『元首の謀叛』
深田祐介
「アラスカの喇叭」
西木正明
『オホーツク諜報船』
西村望
『薄化粧』
古川薫
「きらめき侍」等
泡坂妻夫
「椛山訪雪図」等
  ページの先頭へ

候補者・作品
西村望男55歳×各選考委員 
『薄化粧』
長篇 560
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男54歳
10 「粘着力のある調査に迫力が生じていて、もっとも面白く読んだが、(引用者中略)調査だけが前面に押しだされ、作者の視点がぼやけているのが惜しまれた。」
阿川弘之
男60歳
14 「未練が残つた。」「(題名とあとがきの苦心談は感心しないけれど)サスペンスも充分、兇悪犯罪人の身のあはれのやうなものもよく出てをり、やはり楽しんで読んだ。」「「元首の謀叛」が無ければ、「アラスカの喇叭」か「薄化粧」かが受賞といふことになつたかも知れない。」
村上元三
男70歳
8 「この作者が書いている一連の犯罪物の中では出来のいいほうだが、読み終って黒いしこり(原文傍点)のようなものしか残らない。なんの目的もなく、平気で妻や子や女を殺して逃げまわる殺人者を描いた作品を、直木賞の対象にはしたくない。」
水上勉
男61歳
11 「題名に首をかしげはしたが、面白く読んだ。」「追いつめられてゆく主人公の悲哀が、事実を追ってゆくかたちでにじみ出て、凡手でないのだが、しかし、こういう悪い男をなぜ追跡してみたくなったのか、もう一つの深みがひびいてこないうらみがあった。」
五木寛之
男48歳
2 「作家の個性では西村望氏(引用者中略)をあげるべきだろう。」
源氏鶏太
男68歳
8 「追う警官、逃げる脱獄囚の心理がよく描かれている。逃亡中のふっとした哀れさも出ていて、重厚な文学作品となっていた。私は、この作品を推した。」
城山三郎
男53歳
11 「描写力があり、しかも、追われる人間の心のふるえだけでなく、周辺の人間のおびえや悲しみのようなものまで、よくつかんでいるが、かんじんの主人公に、わたしはどうしてもついて行けないものがあり、それが最後までひっかかった。」
今日出海
男77歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
中村正軌
『元首の謀叛』
深田祐介
「アラスカの喇叭」
西木正明
『オホーツク諜報船』
もりたなるお
「真贋の構図」
古川薫
「きらめき侍」等
泡坂妻夫
「椛山訪雪図」等
  ページの先頭へ

候補者・作品
古川薫男55歳×各選考委員 
「きらめき侍」等
短篇2篇 103
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男54歳
9 「娯楽雑誌の小説として、危な気のない好短篇である。」「あえて難癖をつけるならば、(引用者中略)巧緻に過ぎて新味が薄れ、直木賞受賞作としてのハナと重量に乏しいというところだろうか。」
阿川弘之
男60歳
0  
村上元三
男70歳
8 「「きらめき侍」より、同じ作者の「刀痕記」のほうを買うが、この作者には史料を追いかけるだけでなく、むかしの風俗習慣についての雑学をやることをすすめたい。そのほうが人間や事件の裏づけ肉づけができると思う。」
水上勉
男61歳
0  
五木寛之
男48歳
3 「これまでの実績と安定感からは深田、古川の両氏をあげるべきだろう。」
源氏鶏太
男68歳
7 「好短篇であるが、今一つ盛り上りに欠けていて、過去に候補になった何篇かの長篇小説に比較すると落ちる。しかし、力量からいっても、氏は、直木賞を取ってもおかしくない。」
城山三郎
男53歳
0  
今日出海
男77歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
中村正軌
『元首の謀叛』
深田祐介
「アラスカの喇叭」
西木正明
『オホーツク諜報船』
もりたなるお
「真贋の構図」
西村望
『薄化粧』
泡坂妻夫
「椛山訪雪図」等
  ページの先頭へ

候補者・作品
泡坂妻夫男47歳×各選考委員 
「椛山訪雪図」等
短篇集(一部)2篇 111
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男54歳
8 「巧妙にして緻密」「あえて難癖をつけるならば、(引用者中略)巧緻に過ぎて新味が薄れ、直木賞受賞作としてのハナと重量に乏しいというところだろうか。」
阿川弘之
男60歳
0  
村上元三
男70歳
6 「推理小説の読者ということについては、人後に落ちないつもりだが、(引用者中略)二度読み返してみたものの、推す気にはなれなかった。」
水上勉
男61歳
0  
五木寛之
男48歳
0  
源氏鶏太
男68歳
6 「二作のうち、「椛山訪雪図」は、しゃれた作品であり、最後のどんでん返しもよく利いているが、ぜんたいとしてやや説得力が不足しているように思われた。」
城山三郎
男53歳
0  
今日出海
男77歳
0  
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
中村正軌
『元首の謀叛』
深田祐介
「アラスカの喇叭」
西木正明
『オホーツク諜報船』
もりたなるお
「真贋の構図」
西村望
『薄化粧』
古川薫
「きらめき侍」等
  ページの先頭へ



ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧受賞作家の群像候補作家の群像
選考委員の群像小研究大衆選考会マップ